JP4807073B2 - ポリイミドフィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
ポリイミドベンゾオキサゾールフィルムは従来のポリイミドフィルムに比べて耐熱性も優れているので、熱加工する時に発生するカールは抑制される傾向にあるが、電子機器の小型化、配線の高密度化が進むに伴い、更なる改良が求められている。
すなわち本発明は、以下の構成である。
1. 芳香族テトラカルボン酸類の残基と芳香族ジアミン類の残基とを有するポリイミドフィルムの製造方法において、ポリイミド前駆体フィルムを支持体上で製造する第一乾燥工程と前記フィルムを熱により反応させてイミド化反応させる工程との間に、両面から溶媒を乾燥させる両面乾燥工程を導入し、両面乾燥工程を通過後のポリイミド前駆体フィルムが、一方の面(A面)の残留溶媒量をSaとし、他一方の面(B面)の残留溶媒量をSbとするとき、Sa、Sbの両者の差が0.01以上0.25以下であることを特徴とするポリイミドフィルムの製造方法。
2. ポリイミドフィルムが、少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてピロメリット酸残基、芳香族ジアミン類の残基としてベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン残基とを有するポリイミドフィルムである前記1に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
3. 両面乾燥工程が、第一乾燥工程後に支持体から剥離したポリイミド前駆体フィルムを乾燥する工程である前記1又は2に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
4. ポリイミドフィルムのカール度が、5%以下のポリイミドフィルムを製造する前記1〜3のいずれかに記載のポリイミドフィルム製造方法。
さらに、本発明で得られるポリイミドフィルムは、フィルム表裏の残留溶媒量の絶対値差を容易に小さく制御することができる。これにより、残留溶媒量と相関のある、ポリイミドフィルムの面配向の絶対値差をフィルム表裏で小さくすることが可能となる。このイミド化反応過程で形成される、フィルム表裏の面配向度差の程度は、ポリイミドフィルム内部の残留応力の発生の有無と関係がある。本発明でポリイミドフィルムを作製すれば、この内在する応力は小さくすることが可能となり、表面の面配向性が影響される300℃を超えるような高温で処理したとしても、カールの発生を最小限に抑制することができるため、FPCやTABキャリアテープの製造に適するという利点を有する。本発明は、特に厚さが大きいポリイミドフィルムにおいて上記効果の得られる製造方法である。
この製造方法によって得られるポリイミドフィルムは、カール度が5%以下であるという、従来にない優れた熱変形安定性を有する。
本発明において、フィルムのカール度とは、所定の熱処理を行った後のフィルムの面方向に対する厚さ方向への変形度合を意味し、具体的には、図1に示すように50mm×50mmの試験片を、400℃で10分間熱風処理した後に、平面上に試験片を静置し、四隅の平面からの距離(h1、h2、h3、h4:単位mm)の平均値をカール量(mm)とし、試験片の各頂点から中心までの距離(35.36mm)に対するカール量の百分率(%)で表される値である。
具体的には、次式によって算出される。
カール量(mm)=(h1+h2+h3+h4)/4
カール度(%)=100×(カール量)/35.36
フィルム表裏の残留溶媒量は、次に示すATR測定手順に従って行った。
フィルム表裏の残留溶媒量の評価には、1620cm-1付近のDMAcによる吸収と1480cm-1付近の芳香環による吸収との強度比を用いるが、1620cm-1付近にはポリイミド前駆体であるポリアミド酸由来の吸収も存在する。そのため、ポリイミド前駆体フィルム中の溶媒量を算出するためには、ポリアミド酸の吸収を差し引く必要がある。
ポリイミド前駆体フィルムには、イミド化部分が少量存在する。このイミド化率を指標として、ポリアミド酸量を算出することとした。そのポリアミド酸の吸収を差し引く手順を次に示す。
異なるイミド化率を有するポリイミド前駆体フィルムを数種類準備し、メタノール洗浄で溶媒抽出した。溶媒抽出後のポリイミド前駆体フィルムをATR測定し、イミド化率(1778cm-1付近のイミド結合由来の吸収と1480cm-1付近の芳香環による吸収との強度比)とアミド酸量(1620cm-1付近のポリアミド酸による吸収と1480cm-1付近の芳香環による吸収との強度比)との検量線を作成した。次式に、その検量線を示す。
[ポリアミド酸量]=−3.099 ×[イミド化率]+0.874・・・(1)
残留溶媒量未知のポリイミド前駆体フィルムのIRスペクトルから、ポリイミド前駆体フィルムのイミド化率を算出したものを(1)式に代入し、ポリアミド酸量を算出した。そのポリアミド酸量を、1620cm-1付近の吸収と1480cm-1付近の芳香環による吸収との強度比から差し引くことで、ポリイミド前駆体フィルムに残留する溶媒量を算出した。
下記に、今回用いたATR測定条件を示す。
[測定条件]
装置名 ; FT−IR(測定装置:Digilab社製、FTS−60A/896等)
アタッチメント ; golden gate MkII(SPECAC社製)
IRE ; ゲルマニウム
入射角 ; 45°
分解能 ; 4cm-1
積算回数 ; 128回
前記本発明の製造法で得られる前駆体フィルムをイミド化することで本発明のポリイミドフィルムが得られ、得られたポリイミドフィルムのカール度が5%以下にすることが容易となる。
本発明においては、特定ポリイミド前駆体フィルムをイミド化することで得られたポリイミドフィルムのカール度が5%以下という、FPCやTAB用キャリアテープなどに適した熱変形安定性を達成することができることを見出した。
下記のベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類および上記芳香族ジアミン類における芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基又はアルコキシ基、シアノ基、又はアルキル基又はアルコキシ基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基又はアルコキシ基で置換された芳香族ジアミン類等が挙げられる。
該芳香族ジアミン類は、単独であっても二種以上を用いることも可能である。
本発明においては、全テトラカルボン酸二無水物の30モル%未満であれば下記に例示される非芳香族のテトラカルボン酸二無水物類を一種又は二種以上を併用しても構わない。用いられる非芳香族テトラカルボン酸二無水物類としては、例えば、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、
<工程(a)>
芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸無水物類とを重合してポリアミド酸を得るときに用いる溶媒は、原料となるモノマーおよび生成するポリアミド酸のいずれをも溶解するものであれば特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックアミド、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン、ハロゲン化フェノール類等が挙げられる。これらの溶媒は,単独あるいは混合して使用することができる。溶媒の使用量は、原料となるモノマーを溶解するのに十分な量であればよく、具体的な使用量としては、モノマーを溶解した溶液に占めるモノマーの質量が、通常5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%となるような量が挙げられる。
ポリアミド酸溶液を塗布する支持体は、ポリアミド酸溶液をフィルム状に成形するに足る程度の平滑性、剛性を有していればよく、表面が金属、プラスチック、ガラス、磁器などであるドラム又はベルト状回転体などが挙げられる。支持体の表面は好ましくは金属であり、より好ましくは錆びなくて耐腐食に優れるステンレスである。
適度な剛性と高い平滑性を有する高分子フィルムを利用する方法も好ましい態様である。
支持体の表面にはCr、Ni、Snなどの金属メッキを施してもよい。支持体表面は必要に応じて鏡面にしたり、あるいは梨地状に加工することができる。支持体へのポリアミド酸溶液の塗布は、スリット付き口金からの流延、押出機による押出し、スキージコーティング、リバースコーティング、ダイコーティング、アプリケータコーティング、ワイヤーバーコーティング等を含むが、これらに限られず、従来公知の溶液の塗布手段を適宜用いることができる。
両面乾燥工程の具体的方法としては、例えば支持体上の第一乾燥工程を終了した前駆体フィルムを支持体から剥離して、支持体に密接していたフィルム面側をフリーとした状態で前駆体フィルムを乾燥せしめる方法が挙げられる。
前駆体フィルムの一方の面(A面)の残留溶媒量をSaとし、他一方の面(B面)の残留溶媒量をSbとするとき、Sa、Sbの両者の差が0.01以上0.25以下である範囲を超えると、得られるポリイミドフィルムのカール度が5%を超え、さらに引張弾性率が5GPaに満たない品質的に劣るポリイミドフィルムとなり易い。
具体的には、乾燥後の全質量に対する残留溶媒量は、好ましくは25〜50質量%であり、より好ましくは35〜45質量%である。当該残留溶媒量が25質量%より低い場合は、ポリイミド前駆体フィルムの表面の乾燥が進んだ状態となり、表裏面の残留溶媒量差の小さいポリイミド前駆体フィルムを得ることが困難になるばかりか、分子量低下により、ポリイミド前駆体フィルムが脆くなりやすい。また、50質量%を超える場合は、自己支持性が不十分となり、フィルムの搬送が困難になる。
乾燥温度が130℃より高い場合は、分子量低下がおこり、ポリイミド前駆体フィルムが脆くなりやすい。また、ポリイミド前駆体フィルム製造時にイミド化が一部進行し、イミド化工程時に所望の物性が得られにくくなる。また70℃より低い場合は、乾燥時間が長くなり、分子量低下がおこりやすく、また乾燥不十分でハンドリング性が悪くなる傾向がある。また、乾燥時間としては乾燥温度にもよるが、好ましくは10〜90分間であり、より好ましくは15〜80分間である。乾燥時間が90分間より長い場合は、分子量低下がおこり、フィルムが脆くなりやすく、また10分間より短い場合は、乾燥不十分でハンドリング性が悪くなる傾向がある。また、乾燥効率の向上又は乾燥時の気泡発生抑制のために、70〜130℃の範囲で温度を段階的に昇温して、乾燥してもよい。
この製造方法に適用されるポリイミドフィルム厚さは、3μm以上125μm以下の範囲が好ましく、本発明の効果がより発揮されるのは15μm以上125μm以下であり、さらに効果的に適用されるのは25μm以上125μm以下である。
乾燥装置は従来公知のものを適用でき、熱風、熱窒素、遠赤外線、高周波誘導加熱などを挙げることができる。
工程(b)で得られた表裏面の残留溶媒量の差などが所定の範囲のポリイミド前駆体フィルムをイミド化することで表裏面面配向度の差の小さいカール度の小さいポリイミドフィルムが得られる。その具体的な方法としては、従来公知のイミド化反応を適宜用いることが可能である。例えば、閉環触媒や脱水剤を含まないポリアミド酸溶液を用いて、加熱処理に供することでイミド化反応を進行させる方法(所謂、熱閉環法)やポリアミド酸溶液に閉環触媒および脱水剤を含有させておいて、上記閉環触媒および脱水剤の作用によってイミド化反応を行わせる、化学閉環法を挙げることができるが、本発明においては熱閉環法が好ましい。
本発明の製造方法によって得られるポリイミドフィルムは、面配向度が小さい面を巻内にして管状物に巻き取ることで、更にカール度の小さいポリイミドフィルムを得ることができる。面配向度が小さい面を巻内にして管状物に巻き取る場合、その曲率半径は30mmから300mmの範囲とすることが好ましい。曲率半径がこの範囲を超えるとポリイミドフィルムのカール度が大きくなる場合がある。
1.ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドンに溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。
2.ポリイミドフィルムのフィルム厚さ
フィルムの厚さは、マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン(商品名)1254D)を用いて測定した。
乾燥後のフィルムを長手方向(MD方向)および幅方向(TD方向)にそれぞれ長さ100mm、幅10mmの短冊状に切り出して試験片とし、引張試験機(島津製作所製オートグラフ(登録商標)機種名AG−5000A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmで測定し、引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度を求めた。
4.ポリイミドフィルムの線膨張係数(CTE)
下記条件で伸縮率を測定し、30〜300℃までを15℃間隔で分割し、各分割範囲の伸縮率/温度の平均値より求めた。
装置名 ; MACサイエンス社製TMA4000S
試料長さ ; 20mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/min
雰囲気 ; アルゴン
試料を下記条件でDSC測定し、融点(融解ピーク温度Tpm)とガラス転移点(Tmg)をJIS K 7121に準拠して下記測定条件で求めた。
装置名 ; MACサイエンス社製DSC3100S
パン ; アルミパン(非気密型)
試料質量 ; 4mg
昇温開始温度 ; 30℃
昇温速度 ; 20℃/min
雰囲気 ; アルゴン
TGA装置(MACサイエンス社製TG−DTA2000S)を用い、ポリイミド前駆体フィルムを、窒素気流中にて、室温から10℃/分にて400℃まで昇温、400℃にて30分間保持した後の加熱質量減を測定し、その質量減少率を、質量減少は全て残留溶媒が揮発したものと仮定して、残留溶媒量(質量%)とした。
[発明を実施するための最良の形態]において記述したとおりに測定した。
また、本発明におけるポリイミド前駆体フィルム表裏の残留溶媒量の差は、一方の面の残留溶媒量Saと他方の面の残留溶媒量Sbとの差(|Sa―Sb|)である。
<重合およびフィルムの製造例1>
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後,5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール375質量部を仕込んだ。次いで、N,N−ジメチルアセトアミド5000質量部を加えて完全に溶解させた後、ピロメリット酸二無水物375質量部を加え,25℃の反応温度で30時間攪拌すると,褐色で粘調なポリアミド酸溶液が得られた。このもののηsp/Cは4.0dl/gであった。
続いてこのポリアミド酸溶液をステンレスベルトにスキージ/ベルト間のギャップを700μmとしてコーティングし、第一乾燥工程として3つの熱風式乾燥ゾーンにて雰囲気温度で90℃×10分、90℃×10分、90℃×10分間乾燥した。
乾燥後に自己支持性となった前駆体フィルムをステンレスベルトから剥離し厚さ63μmのポリイミド前駆体フィルムを得た。
この剥離した前駆体フィルムを、熱風式乾燥ゾーンにて雰囲気温度150℃で10分間、両面乾燥を行った。
得られたポリイミド前駆体フィルムのSaとSbの差は0.22であった。またポリイミド前駆体フィルムの残留溶媒量(バルク)は38.5質量%であった。
得られたポリイミド前駆体フィルムを、連続式の乾燥炉に通し、200℃にて3分間熱処理した後、450℃まで、約20秒間にて昇温し、450℃にて7分間熱処理し、5分間かけて室温まで冷却、褐色のポリイミドフィルムを得た。
得られたポリイミドフィルムの特性値を表1に示す。
実施例1で得られたポリアミド酸溶液をステンレスベルトにスキージ/ベルト間のギャップを700μmとしてコーティングし、第一乾燥工程として3つの熱風式乾燥ゾーンにて雰囲気温度で90℃×7.5分、100℃×7.5分、120℃×7.5分間乾燥した。
乾燥後に自己支持性となったポリイミド前駆体フィルムをステンレスベルトから剥離し厚さ60μmのポリイミド前駆体フィルムを得た。この剥離した前駆体フィルムを、熱風式乾燥ゾーンにて雰囲気温度150℃で10分間、両面乾燥を行った。
得られたポリイミド前駆体フィルムのSaとSbとの差は0.18であった。またポリイミド前駆体フィルムの残留溶媒量(バルク)は34.5質量%であった。
得られたポリイミド前駆体フィルムを、連続式の乾燥炉に通し、200℃にて3分間熱処理した後、450℃まで、約20秒間にて昇温し、450℃にて7分間熱処理し、5分間かけて室温まで冷却、褐色のポリイミドフィルムを得た。
得られたポリイミドフィルムの特性値を表1に示す。
実施例1で得られたポリアミド酸溶液をステンレスベルトにスキージ/ベルト間のギャップを700μmとしてコーティングし、第一乾燥工程として3つの熱風式乾燥ゾーンにて雰囲気温度で110℃×5分、110℃×5分、110℃×5分間乾燥した。
乾燥後に自己支持性となったポリイミド前駆体フィルムをステンレスベルトから剥離し厚さ59μmのポリイミド前駆体フィルムを得た。この剥離した前駆体フィルムを、熱風式乾燥ゾーンにて雰囲気温度150℃で10分間、両面乾燥を行った。
得られたポリイミド前駆体フィルムのSaとSbとの差は0.10であった。またポリイミド前駆体フィルムの残留溶媒量(バルク)は33.5質量%であった。
得られたポリイミド前駆体フィルムを、連続式の乾燥炉に通し、200℃にて3分間熱処理した後、450℃まで、約20秒間にて昇温し、450℃にて7分間熱処理し、5分間かけて室温まで冷却、褐色のポリイミドフィルムを得た。
得られたポリイミドフィルムの特性値を表1に示す。
実施例1で得られたポリアミド酸溶液をステンレスベルトにスキージ/ベルト間のギャップを700μmとしてコーティングし、第一乾燥工程である、3つの熱風式乾燥ゾーンにて雰囲気温度で100℃×10分、120℃×10分、130℃×10分間乾燥した。
乾燥後に自己支持性となったポリイミド前駆体フィルムをステンレスベルトから剥離し厚さ59μmのポリイミド前駆体フィルムを得た。得られたポリイミド前駆体フィルムのSaとSbとの差は0.32であった。またポリイミド前駆体フィルムの残留溶媒量(バルク)は32.5質量%であった。
得られたポリイミド前駆体フィルムを、連続式の乾燥炉に通し、200℃にて3分間熱処理した後、450℃まで、約20秒間にて昇温し、450℃にて7分間熱処理し、5分間かけて室温まで冷却、褐色のポリイミドフィルムを得た。
得られたポリイミドフィルムの特性値を表2に示す。
実施例1で得られたポリアミド酸溶液をステンレスベルトにスキージ/ベルト間のギャップを700μmとしてコーティングし、第一乾燥工程である、3つの熱風式乾燥ゾーンにて雰囲気温度で130℃×10分、130℃×10分、130℃×10分間乾燥した。
乾燥後に自己支持性となったポリイミド前駆体フィルムをステンレスベルトから剥離し厚さ56μmのポリイミド前駆体フィルムを得た。得られたポリイミド前駆体フィルムのSaとSbとの差は0.39であった。またポリイミド前駆体フィルムの残留溶媒量(バルク)は30.5質量%であった。
得られたポリイミド前駆体フィルムを、連続式の乾燥炉に通し、170℃にて3分間熱処理した後、450℃まで、約20秒間にて昇温し、450℃にて7分間熱処理し、5分間かけて室温まで冷却、褐色のポリイミドフィルムを得た。
得られたポリイミドフィルムの特性値を表2に示す。
実施例1で得られたポリアミド酸溶液をステンレスベルトにスキージ/ベルト間のギャップを700μmとしてコーティングし、第一乾燥工程である、3つの熱風式乾燥ゾーンにて雰囲気温度で120℃×5分、140℃×5分、150℃×5分間乾燥した。
乾燥後に自己支持性となったポリイミド前駆体フィルムをステンレスベルトから剥離し厚さ53μmのポリイミド前駆体フィルムを得た。得られたポリイミド前駆体フィルムのSaとSbとの差は0.45であった。またポリイミド前駆体フィルムの残留溶媒量は26.5質量%であった。
得られたポリイミド前駆体フィルムを、連続式の乾燥炉に通し、170℃にて3分間熱処理した後、450℃まで、約20秒間にて昇温し、450℃にて7分間熱処理し、5分間かけて室温まで冷却、褐色のポリイミドフィルムを得た。
得られたポリイミドフィルムの特性値を表2に示す。
実施例1で得られたポリアミド酸溶液をステンレスベルトにスキージ/ベルト間のギャップを700μmとしてコーティングし、第一乾燥工程である、3つの熱風式乾燥ゾーンにて雰囲気温度で150℃×3分、150℃×3分、150℃×3分間乾燥した。
乾燥後に自己支持性となったポリイミド前駆体フィルムをステンレスベルトから剥離し厚さ52μmのポリイミド前駆体フィルムを得た。得られたポリイミド前駆体フィルムのSaとSbとの差は0.48であった。またポリイミド前駆体フィルムの残留溶媒量は24.0質量%であった。
得られたポリイミド前駆体フィルムを、連続式の乾燥炉に通し、150℃にて3分間熱処理した後、450℃まで、約20秒間にて昇温し、450℃にて7分間熱処理し、5分間かけて室温まで冷却、褐色のポリイミドフィルムを得た。
得られたポリイミドフィルムの特性値を表2に示す。
実施例1〜3のポリイミドフィルムは、カール度は5%未満であったが、両面乾燥工程を導入していない比較例での製造方法においては、所定外物性のポリイミド前駆体フィルムとなり、この前駆体フィルムを使用してイミド化したポリイミドフィルムにおいてはカール度が大きく、また、強度や伸度も低いものであった。
2; アルミナ・セラミック板
Claims (3)
- 芳香族テトラカルボン酸類の残基と芳香族ジアミン類の残基とを有するポリイミドフィルムの製造方法において、ポリイミド前駆体フィルムを支持体上で製造する第一乾燥工程と前記フィルムを熱により反応させてイミド化反応させる工程との間に、両面から溶媒を乾燥させる両面乾燥工程を導入し、該両面乾燥工程は、第一乾燥工程後に支持体から剥離したポリイミド前駆体フィルムを乾燥する工程であり、該両面乾燥工程を通過後のポリイミド前駆体フィルムが、一方の面(A面)の残留溶媒量をSaとし、他一方の面(B面)の残留溶媒量をSbとするとき、Sa、Sbの両者の差が0.01以上0.25以下であることを特徴とする、厚さ3μm以上125μm以下のポリイミドフィルムの製造方法。
ここで、上記残留溶媒量とはATR測定において、1620cm −1 付近の吸収と1480cm −1 付近の芳香環による吸収との強度比から、下記(1)式で算出されたポリアミド酸量を差し引いた値をさす。
[ポリアミド酸量]=−3.099 ×[イミド化率]+0.874・・・(1)
ここで、上記イミド化率とは1778cm −1 付近のイミド結合由来の吸収と1480cm −1 付近の芳香環による吸収との強度比をさす。 - ポリイミドフィルムが、少なくとも芳香族テトラカルボン酸類の残基としてピロメリット酸残基、芳香族ジアミン類の残基としてベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン残基とを有するポリイミドフィルムである請求項1記載のポリイミドフィルムの製造方法。
- ポリイミドフィルムのカール度が、5%以下のポリイミドフィルムを製造する請求項1〜2いずれかに記載のポリイミドフィルム製造方法。
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