JP4794368B2 - タイヤ変形量計測装置 - Google Patents
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Description
このような歪ゲージは、タイヤトレッゴムなどのような有機材料から成る粘弾性体の変形量を計測する際にも使用されている(例えば、特許文献1,2参照)。
一方、タイヤ内にインピーダンス素子を埋設する技術としては、図9に示すように、タイヤ51の空気室側にコイル本体52と開閉スイッチ53とから成るスイッチ付コイル54を埋め込んで、上記開閉スイッチ53が空気圧に応じて開閉するようにしておくとともに、タイヤ51の近傍に交流電源55に接続された検知コイル56を配置して、上記開閉スイッチ53の開閉に伴う上記検知コイル56のインピーダンスの変化から当該タイヤ51の空気圧の低下を検知するタイヤ空気圧警報センサ50が開示されている。このタイヤ空気圧警報センサ50は、具体的には、空気圧が高いときには開閉スイッチ53が閉じられて上記スイッチ付コイル54と上記検知コイル56とが結合し、上記検知コイル56のインピーダンスを変化させるが、空気圧が低いときには開閉スイッチ53が開いているので、上記スイッチ付コイル54がオープンになり、上記スイッチ付コイル54と上記検知コイル56とが結合しなくなることを利用してタイヤ51の空気圧の低下を検知する(例えば、特許文献3参照)。
また、金属箔の弾性限界はゴムなどの粘弾性体に比べて小さいため、特に、タイヤトレッドのゴムのように、繰返し圧縮や引張りが作用する箇所のゴムの変形量を計測する場合には、変形量が大きいと少ない繰返し回数で断線する恐れがあった。
また、上記タイヤ空気圧警報センサ50に使用されているスイッチ付コイル54は、空気圧により開閉スイッチ53を容易に開閉することができるように、上記開閉スイッチ53をゴムの変形により変形しやすい収納室57に収納してはいるものの、コイル本体52で上記空気圧によるゴムの変形を計測するようには構成されていない。
すなわち、請求項1に記載の発明は、タイヤの変形量を計測する装置であって、タイヤのトレッドの陸部を形成するゴムと同質のゴムから成る芯材とこの芯材の表面に金属線を巻回して成るコイル本体とを備えタイヤのトレッドの陸部を形成するゴムの内部に埋設されたコイルと、上記コイルに直列接続された抵抗と、上記抵抗と上記コイルとから成る回路に交流電圧を印加する交流電源と、上記抵抗の両端の電圧を検出する電圧検出手段と、上記検出された電圧と予め求めておいた上記コイルの歪量と上記抵抗の両端の電圧との関係式とから当該タイヤの変形量を計測する変形量計測手段とを備えたことを特徴とする。
このとき、ゴムの内部に埋設したコイルと、上記コイルに直列接続された抵抗と、この抵抗と上記コイルとから成る回路に交流電圧を印加する交流電源と、上記抵抗の両端の電圧を検出する手段と、上記検出された電圧に基づいて当該タイヤの変形量を計測する手段とを備えたタイヤ変形量計測装置を構成すれば、直接インダクタンスを検出することなく、上記タイヤの変形量を計測することができる。
図1は、本最良の形態に係わるタイヤ変形量計測装置10の構成を示す機能ブロック図である。同図において、11はタイヤの変形量を計測するためのコイルで、このコイル11は、図2(a)に示すように、タイヤ20のタイヤトレッド21の陸部21kを構成するゴム内に埋設されている。12は上記コイル11に直列接続された抵抗、13は、図2(b)にも示すように、ゴムgに埋設されたコイル11と抵抗12とが直列接続された回路に交流電圧を印加するための交流電源14と、上記抵抗12の両端の電圧を検出する電圧検出手段15とを備えた駆動検出部で、本例では、上記抵抗12と駆動検出部13とをタイヤのインナーライナー22の表面に配設している。また、16は上記電圧検出手段15で検出された抵抗12の両端の電圧Vと、予め求めておいたトレッドゴムの変形量εと抵抗12の両端の電圧Vとの関係を示すε−V対応表16Tとに基づいて、上記コイル11が埋設されているタイヤトレッド21の陸部21kのゴムの変形量を計測するタイヤ変形量計測手段で、このタイヤ変形量計測手段16で計測されたトレッドゴムの変形量のデータは、車体側に設けられた図示しない車両制御装置に送られる。
なお、上記ε−V対応表16Tと上記タイヤ変形量計測手段16は、上記駆動検出部13内に設けてもよいし、リム部23、あるいは、車体側に設けてもよい。車体側に設ける場合には、上記駆動検出部13に送信器を設けて、上記電圧Vのデータを車体側に送信する。また、リム部23に設けた場合には、上記駆動検出部13に送信器を、タイヤ変形量計測手段16に送受信器をそれぞれ設けて、上記電圧Vのデータをタイヤ変形量計測手段16に送り、タイヤ変形量計測手段16で得られたトレッドゴムの変形量のデータを車体側に送信する。
コイル11の形状が上記のように軸方向に長い場合には、軸方向が感度が高いので、上記コイル11の延長方向が当該コイル11が計測するトレッドゴムの変形方向となるように、上記コイル11を配置することが好ましい。例えば、トレッドゴムの荷重方向への変形を計測したい場合には、図2(a)に示すように、コイル11の延長方向をタイヤ径方向とする。また、上記トレッドゴムの周方向の変形量を計測する場合には、上記コイル11の延長方向をタイヤ周方向にすれば、上記トレッドゴムの変形量を効率よく計測することができる。
なお、上記コイル11の感度方向はコイルの形状に依存するので、例えば、コイル11が、図3(b)に示すような、軸方向に短い形態である場合には、径方向の方が感度が高いので、上記コイル11の延長方向を当該コイル11が計測するトレッドゴムの変形方向に直交する方向になるように配置するなど、コイル形状については、埋設箇所や貼着箇所などの条件に応じて適宜設定すればよい。
L0=Kn2R2l‥‥(1)
なお、Kは形状に依存した係数(長岡係数)である。
コイルの円柱が変形してその長さがlから(1+ε)lになった場合、インダクタンスLは、ゴムのポアソン比が0.5で、かつ、歪量εが小さくて体積変化がないものとすると、変形後のインダクタンスLは、以下の式(2)のようになる。
上記式(2)から、インダクタンスの変化ΔL=L−L。は歪量εに比例することが分かる。
したがって、コイル11のインダクタンスの変化を求めれば、コイル11の変形量、すなわち、コイル11が埋設されているトレッドゴムの変形量を計測することができる。
本例では、上記歪量εと上記電圧Vとの関係を予め求めて、ε−V対応表16Tとしているので、タイヤ変形量計測手段16にて、電圧検出手段15により検出した抵抗12の両端の電圧の大きさVと上記ε−V対応表16Tの歪量εと電圧Vとの関係とを比較することにより、上記タイヤ20の変形量を求めることができる。
なお、コイル11は一様に伸縮するので局所的な歪が入りにくく、そのため、任意の線幅でも高い耐久性を得ることができる。
また、上記コイル11は、当該コイル11を構成する金属の単位長さ当たりの変形量が従来の金属箔ゲージに比べて少ないので、タイヤ変形量計測装置10の耐久性を向上させることができる。
また、本発明は、有機材料から成る粘弾性体、特に、ゴムや熱可塑性エラストマーなどのような、常温近傍で粘弾性を示す高分子材料(エラストマー)から成る粘弾性体一般に適用可能である。
また、コイルの形状についても、断面が円形である円柱状のもの(コイル11)に限定されるものではなく、例えば、図4(a)に示すような、断面が長方形状である直方体状のもの(コイル11A)であってもよい。なお、コイルの形状としては、上記円柱状のコイル11や直方体状のコイル11Aのように断面形状が軸方向に一様である必要はなく、例えば、計測部であるコイル本体11bの中央部の面積を広くし、金属線の引き出し部である端部の面積を狭くしたような、断面形状が軸方向に一様でないものを用いてもよい。
また、上記例では、コイル11を、円柱状の芯材11aの表面にコイル本体11bとなる金属細線を巻回した形態としたが、図4(b)に示すように、コイル11Bをタイヤトレッド21の陸部21kを構成するゴム内に直接埋設する構成としてもよい。
また、上記例では、コイル11をタイヤトレッド21の陸部21kを構成するゴム内に埋設したが、コイル11の設置場所はこれに限るものではなく、例えば、図5に示すように、タイヤのインナーライナー22内など、設置したコイル11がタイヤトレッド21の変形に伴って変形する箇所であればよい。
また、上記例では、コイル11に抵抗12を直列接続した例を示したが、図6(a)に示すように、上記抵抗12に代えて、コンデンサ17をゴムgに埋設されたコイル11に直列に接続し、上記コイル11またはコンデンサ17の両端の電圧、あるいは、上記コイル11及びコンデンサ17に流れる電流を検出してタイヤトレッド21の陸部21kを構成するゴムの変形量を計測するようにしてもよい。
また、図6(b)に示すように、コイル11だけでなく、抵抗12もゴムg内に埋設してもよいが、抵抗12の両端の電圧Vを検出するような場合には、配線等の関係から、本例のようにコイル11のみを埋設する方が好ましい。
図3に示したコイル11と同様の試験片を作製し、上記芯材に周期的な圧力を与えて、試験体のインダクタンスの時間変化を計測した結果を図7に示す。ここで、上記試験片のインダクタンスは0.3000mH、圧力の周期は1.0sec.とした。なお、図7の横軸は時間(sec)、縦軸は試験片30の変位(%)と試験片のインダクタンス(mH)である。
図7から明らかなように、試験片のインダクタンスは試験片の変位(%)と同様の時間変化を示すことがわかる。これにより、ゴム表面に形成したコイルのインダクタンスを検出れば、当該ゴムの変形量を精度よく計測できることが確認された。
上記試験片を様々な歪量εで変形させるとともに、図3に示すように、コイルに抵抗を直列接続した回路に、交流電源にて交流電圧(V1=1V,f=500kHz)を印加して、上記抵抗の両端の電圧Vを測定した結果を図8に示す。図8のグラフから明らかなように、上記電圧Vは、上記式(2)のように、試験片の歪量εと線形な関係にあり、これにより、上記電圧Vを検出すれば、歪量εを計測することができることが確認された。
コイルを試験タイヤのインナーライナー内にコイルを形成した試験タイヤを作製し、この試験タイヤを車両に搭載して実車走行試験を実施し、コイルの破壊の有無を検査した。また、比較のため、上記コイルに代えて、従来の金属箔歪ゲージをインナーライナー内に配置して、同様の試験を行った。その結果、金属箔歪ゲージは走行距離200kmで破損したが、コイルは10万km走行後も破損しなかった。これにより、本発明のコイルが耐久性に優れていることが確認された。
14 交流電源、15 電圧検出手段、16 タイヤ変形量計測手段、
16T ε−V対応表、17 コンデンサ、20 タイヤ、21 タイヤトレッド、
21k タイヤトレッドの陸部、22 インナーライナー、23 リム部。
Claims (1)
- タイヤの変形量を計測する装置であって、
タイヤのトレッドの陸部を形成するゴムと同質のゴムから成る芯材とこの芯材の表面に金属線を巻回して成るコイル本体とを備えタイヤのトレッドの陸部を形成するゴムの内部に埋設されたコイルと、
上記コイルに直列接続された抵抗と、
上記抵抗と上記コイルとから成る回路に交流電圧を印加する交流電源と、
上記抵抗の両端の電圧を検出する電圧検出手段と、
上記検出された電圧と予め求めておいた上記コイルの歪量と上記抵抗の両端の電圧との関係式とから当該タイヤの変形量を計測する変形量計測手段とを備えたことを特徴とするタイヤ変形量計測装置。
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