JP4770707B2 - 現像ローラの製造方法、現像ローラ、現像装置および画像形成装置 - Google Patents
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Description
現像工程では、例えば、静電的な潜像を担持する感光体に、トナーを担持する現像ローラを接触させた状態で、帯電したトナーを現像ローラから潜像へ付与し、潜像をトナー像として可視化する。
かかる現像ローラは、一般に金属管を用いて製造される。そして、金属管の外周面に前述のような表面処理を施すことにより、外周面に凹部を形成してなる現像ローラが得られる。このような現像ローラでは、凹部にトナーを担持した状態で回転することにより、トナーを感光体に付与することができる。
また、上記のような凹部を形成した金属管の外周面上に、表面層を形成した現像ローラも知られている。
しかしながら、このような現像ローラにおいても、十分な帯電特性が得られないため、上記のような問題は十分に解決されていない。
本発明の現像ローラの製造方法は、外周部にトナーを保持する凹部を備えた現像ローラの製造方法であって、
金属製の管体の外周部に前記凹部を形成する凹部形成工程と、
該凹部形成工程の後に、前記凹部を形成した前記管体の外周面上に、金属を主成分とする非晶質材料で構成された表面層を形成する表面層形成工程と、
該表面層形成工程の後に、前記表面層を構成する非晶質材料のうちの一部が結晶化するように、少なくとも前記表面層に熱処理を施す熱処理工程と、を有し、
前記熱処理工程において、前記表面層に光を照射し、光電効果により前記表面層から発生した光電子を分析する光電子分光分析を、前記表面層について行い、得られた分析結果が、前記表面層の結晶化度に応じて変化することを利用して、前記熱処理の条件を決定し、決定された条件で前記熱処理を施すことを特徴とする。
これにより、帯電され易さの異なるトナーが混在している場合でも、トナーを確実に帯電させる優れた帯電特性を有し、担持したトナーを安定的に感光体に付与することができる現像ローラを容易に製造することができる。
金属製の管体の外周面上に、金属を主成分とする非晶質材料で構成された表面層を形成する表面層形成工程と、
該表面層形成工程の後に、前記表面層を形成した前記管体の外周部に、前記凹部を形成する凹部形成工程と、
該凹部形成工程の後に、前記表面層を構成する非晶質材料のうちの一部が結晶化するように、少なくとも前記表面層に熱処理を施す熱処理工程と、を有し、
前記熱処理工程において、前記表面層に光を照射し、光電効果により前記表面層から発生した光電子を分析する光電子分光分析を、前記表面層について行い、得られた分析結果が、前記表面層の結晶化度に応じて変化することを利用して、前記熱処理の条件を決定し、決定された条件で前記熱処理を施すことを特徴とする。
これにより、帯電され易さの異なるトナーが混在している場合でも、トナーを確実に帯電させる優れた帯電特性を有し、担持したトナーを安定的に感光体に付与することができる現像ローラを容易に製造することができる。
金属製の管体の外周面上に、金属を主成分とする非晶質材料で構成された表面層を形成する表面層形成工程と、
該表面層形成工程の後に、前記表面層を構成する非晶質材料のうちの一部が結晶化するように、少なくとも前記表面層に熱処理を施す熱処理工程と、
該熱処理工程の後に、前記表面層を形成した前記管体の外周部に、前記凹部を形成する凹部形成工程と、を有し、
前記熱処理工程において、前記表面層に光を照射し、光電効果により前記表面層から発生した光電子を分析する光電子分光分析を、前記表面層について行い、得られた分析結果が、前記表面層の結晶化度に応じて変化することを利用して、前記熱処理の条件を決定し、決定された条件で前記熱処理を施すことを特徴とする。
これにより、帯電され易さの異なるトナーが混在している場合でも、トナーを確実に帯電させる優れた帯電特性を有し、担持したトナーを安定的に感光体に付与することができる現像ローラを容易に製造することができる。
該光電子分光スペクトルと前記横軸とがなす角度αに基づいて、前記熱処理の条件を決定し、決定された条件で前記熱処理を施すことが好ましい。
前記角度αは、前記表面層からトナーへの電荷の移動効率を反映する指標となる。したがって、この角度αを指標として前記熱処理の条件を決定すれば、帯電特性が確実に向上し得るように、前記表面層に熱処理を施すことができる。
前記表面層を構成する非晶質材料の全体を結晶化させたものに対して、前記光電子分光分析を行い、前記角度αCを得たとき、
α<αCなる関係を満足するように、前記熱処理の条件を決定し、決定された条件で前記熱処理を施すことが好ましい。
これにより、より最適な熱処理の条件を容易かつ確実に決定することができ、この条件で熱処理を施された表面層は、トナーへの電荷の移動効率がより高くなる。その結果、十分な耐久性を備えるとともに、帯電特性に優れた現像ローラを確実に得ることができる。
前記角度αCと、
前記表面層を構成する非晶質材料に対して、前記光電子分光分析を行い、前記角度αAとを得たとき、
αA<α<(αC+αA)/2なる関係を満足するように、前記熱処理の条件を決定し、決定された条件で前記熱処理を施すことが好ましい。
これにより、前記表面層中の結晶化度が特に最適化され、前記表面層からトナーへの電荷の移動効率が特に高くなる。その結果、十分な耐久性を備えるとともに、帯電特性に特に優れた現像ローラを確実に得ることができる。
これにより、前記表面層から光電子を確実に発生させることができる。その結果、前記熱処理の条件を光電子分光分析に基づいて確実に決定することができる。
これにより、十分な耐久性を備えるとともに、帯電特性に特に優れた現像ローラをより確実に得ることができる。
これにより、特に十分な耐久性を備えた現像ローラが得られる。
これにより、厚さを厳密に制御しつつ、前記表面層を効率よく形成することができる。また、前記表面層を形成する際に、前記管体に熱的負荷を及ぼすことがないので、前記管体の変質・劣化を確実に防止することができる。
本発明の現像ローラの製造方法では、前記表面層の平均厚さは、1〜15μmであることが好ましい。
これにより、十分な帯電特性を備えた現像ローラを得ることができる。
前記現像ローラの外周部は、金属を主成分とする結晶と非晶質とが混在する表面層で構成されており、
前記凹部は、互いに平行でありかつ前記現像ローラの周方向に対して傾斜する複数の第1の溝と、前記第1の溝に交差するとともに互いに平行でありかつ前記現像ローラの周方向に対して傾斜する複数の第2の溝と、を有しており、
前記第1の溝および前記第2の溝に囲まれてなる凸部を有していることを特徴とする。
これにより、帯電され易さの異なるトナーが混在している場合でも、トナーを確実に帯電させる優れた帯電特性を有し、担持したトナーを安定的に感光体に付与することができる現像ローラが得られる。
本発明の現像ローラでは、前記表面層における結晶化度が、10〜90%であることが好ましい。
本発明の現像装置は、本発明の現像ローラを備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い現像装置が得られる。
本発明の画像形成装置は、本発明の現像装置を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い画像形成装置が得られる。
図1は、本発明の画像形成装置の概略構成を示す模式的断面図、図2は、本発明の現像装置の概略構成を示す模式的断面図である。なお、以下の説明では、図1、2中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
まず、図1に基づいて、画像形成装置の一例としてレーザビームプリンタ(以下、単に「プリンタ」と言う。)10について説明する。
図1に示すように、プリンタ10は、潜像を担持し図中矢印方向に回転する感光体20を有し、その回転方向(時計方向)に沿って帯電ユニット30、露光ユニット40、現像ユニット50、一次転写ユニット60および中間転写体70、クリーニングユニット75がこの順に配設されている。また、プリンタ10は、図1の下部に、紙などの記録媒体P1を給紙する給紙トレイ92を有し、該給紙トレイ92からの記録媒体P1の搬送方向下流に向かって、二次転写ユニット80、定着ユニット90が順次配設されている。
露光ユニット40は、図示しないパーソナルコンピュータなどのホストコンピュータから画像情報を受け、これに応じて、一様に帯電された感光体20にレーザ光を所望のパターンで照射することにより、感光体20の外周面に静電的な潜像(静電潜像)を担持(形成)させる装置である。
中間転写体70は、エンドレスのベルトで構成されており、図1に示す矢印方向に、感光体20とほぼ同じ周速度にて回転駆動(循環)される。中間転写体70上には、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローのうちの少なくとも1色のトナー像が担持され、例えばフルカラー画像の形成時に、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの4色のトナー像が順次重ねて転写されて、フルカラーのトナー像が形成される。
定着ユニット90は、前記トナー像の転写を受けた記録媒体P1を加熱および加圧することにより、前記トナー像を記録媒体P1上に融着させて永久像として定着させるための装置である。
クリーニングユニット75は、一次転写ユニット60と帯電ユニット30との間で感光体20の表面に当接するゴム製のクリーニングブレード76を有し、一次転写ユニット60によって中間転写体70上にトナー像が転写された後に、感光体20上に残存するトナーをクリーニングブレード76により掻き落として除去するための装置である。
まず、図示しないホストコンピュータからの指令により、感光体20、現像ユニット50の各現像装置51、52、53、54に対応して設けられた後述の現像ローラ510(図2、図3参照)、および中間転写体70が回転を開始する。そして、感光体20は、回転することによって帯電ユニット30により順次帯電される。
感光体20上に形成された潜像は、感光体20の回転に伴って現像位置に至り、イエロー現像装置54によってイエロートナーで現像される。これにより、感光体20上にイエロートナー像が形成される。このとき、現像ユニット50は、イエロー現像装置54が、前記現像位置にて感光体20と対向している(図1参照)。
一方、記録媒体P1は、給紙トレイ92から、給紙ローラ94、レジローラ96によって二次転写ユニット80へ搬送される。
一方、感光体20は、一次転写位置を経過した後に、クリーニングユニット75のクリーニングブレード76によって、その表面に付着しているトナーが掻き落とされ、次の潜像を形成するための帯電に備える。掻き落とされたトナーは、クリーニングユニット75内の残存トナー回収部(図示しない)に回収される。
次に、現像ユニット50の現像装置51、52、53、54について詳細に説明するが、これらは、ほぼ同一の構成であるため、以下、図2に基づき、イエロー現像装置54を代表的に説明する。
図2に示すイエロー現像装置54は、イエロートナーであるトナーTを収容するハウジング540と、トナー担持体たる現像ローラ510と、この現像ローラ510にトナーTを供給するトナー供給ローラ550と、現像ローラ510に担持されたトナーTの層厚を規制する規制ブレード560とを有している。
また、本実施形態では、イエロー現像装置54による現像時に、現像ローラ510と感光体20とが微小間隙をもって、非接触状態で対向する。そして、現像ローラ510と感光体20との間に交番電界を印加する(以下、この状態を「電界印加状態」という)ことにより、トナーTを現像ローラ510上から感光体20へ飛翔させて、感光体20上の潜像についての現像が行われる。
本実施形態では、規制ブレード560の自由端部、すなわち、ブレード支持板金562に支持されている側とは逆側の端部は、その端縁で現像ローラ510に接触せずに、端縁から若干離れた部位で現像ローラ510に接触している。また、規制ブレード560は、その先端が現像ローラ510の回転方向の上流側に向くように配置されており、いわゆるカウンタ当接している。
なお、現像ユニット50の現像装置51、52、53の各部の構成、作用、効果も、前記現像装置54と同様である。
次に、図3〜図6に基づき、現像ローラ510について詳細に説明する。
図3は、現像ローラの概略構成を示す平面図、図4は、図3に示す現像ローラに形成された溝の拡大平面図、図5は、図4中のA−A線断面図、図6は、図4の斜視図である。
図3に示すように、現像ローラ510は、円筒状の本体300と、該本体300の両端から突出するようにそれぞれ設けられ、本体300の外径より縮径した2つの縮径部310、310とを有している。このうち、各縮径部310、310は、本体300の中空部の両端に、それぞれ、本体300の回転軸(中心軸)Oに沿うように挿入されている。
また、本体300の直径は、特に限定されないが、例えば、10〜30mmであるのが好ましく、15〜20mmであるのがより好ましい。
この溝2は、平面および断面において、いかなる形状をなしていてもよいが、本実施形態では、一例として、溝2が、図3〜図6に示すように、複数の第1の溝21と、各第1の溝21と直交(交差)する複数の第2の溝22とで構成されている場合について説明する。
なお、溝2は、例えば、多数のすり鉢状の凹部のような溝形状以外の凹部形状で代替されてもよい。
また、図4に示すように、複数の第2の溝22も、複数の第1の溝21と同様に、互いに平行であり、それぞれ、外周部301の周方向に対して傾斜する方向に略等間隔で形成されている。そして、本実施形態では、図4および図6に示すように、第2の溝22は第1の溝21と直交している。
なお、第1の溝21と第2の溝22のそれぞれの形状は、ほぼ同一であるため、以下、第1の溝21を代表的に説明する。
ここで、第1の溝21の最大幅A1は、隣り合う前記凸部同士の離間距離の50〜90%であることが好ましく、60〜80%であることがより好ましい。
一方、第1の溝21の最大幅A1が前記上限値よりも大きければ、第1の溝21にトナーTが大量に収容され、トナーT漏れを引き起こす。また、上記好ましい範囲の場合よりも、外周面301aとの接触面が小さくなり、帯電性が低下する。
一方、第1の溝21の最大深さD1が、トナーTの粒子の平均直径(平均粒径)の前記上限値よりも大きければ、第1の溝21内をトナーTが転動しにくくなる。よって、トナーTの搬送性が低下し、帯電性も悪くなる。
トナーTの平均粒径が前記下限値よりも小さければ、第1の溝21にトナーTが積み重なって収容され、トナーTの帯電が不均一となる。
一方、トナーTの平均粒径が前記上限値よりも大きければ、トナーTが適切に外周面301aを転動せず、帯電性が悪くなる可能性がある。
また、深さD1と深さD2との比D2/D1は、特に限定されないが、例えば、0.5〜2であるのが好ましく、0.8〜1.5であるのがより好ましい。これにより、現像ローラ510の外周面301aが段差のない滑らかな形状となるため、トナーTが当該外周面301aを滑らかに転動することができる。
このときの第1の溝21の底面212の曲率半径は、トナーT粒子の平均粒径の半分より大きいことが好ましく、0.6〜10倍であることがより好ましい。より具体的には、第1の溝21の底面212の曲率半径は、0.5μmよりも大きいことが好ましく、0.6〜50μmであることがより好ましい。
これにより、トナーT粒子が第1の溝21中で転動し易い溝形状となり、トナーTと外周面301aが接触することにより、トナーT粒子が良好に帯電される。
一方、第1の溝21の底面212の曲率半径が前記上限値よりも大きければ、第1の溝21内をトナーTが滑らかに転動せず、トナーTの帯電性が悪くなる。
また、図5に示すように、第1の溝21のU字形状は、左右対称に形成されている。これにより、トナーT粒子の第1の溝21への収容、離脱がスムーズに進行し、トナーTを滑らかに搬送することができる。したがって、トナーTが外周面301aと接することにより、トナーTを均一に帯電させることができる。
角度θが前記下限値未満であると、現像ローラ周方向の凹凸の数が多くなるため、回転時にトナーTと凹凸の接触機会が多くなり過ぎるおそれがある。このため、トナーTの帯電量が高くなり過ぎてトナーTの飛翔性が悪くなり、十分な量のトナーTを感光体20に付与するのが困難となる可能性がある。
角度θが前記上限値を超えると、現像ローラ周方向の凹凸の数が少なくなるため、回転時にトナーTと凹凸の接触機会が少なくなるおそれがある。これにより、トナーTが十分に帯電されないため、そのトナーTがかぶりの原因となり、無駄となるトナーTの量が多くなる可能性がある。
第2の溝22は、その各部の寸法、形状について、前記第1の溝21のものと同様である。また、その作用、効果も同様である。
凸部3は、その頂面31が略平面で形成され、凸部3全体として截頭錐体状の形状をなしている。頂面31を平面とすることで、トナーTや規制ブレードとの摩擦により表面が磨耗しにくくなり、現像ローラ510の性能が長期にわたり維持される。また、頂面31をトナーTが転動するため、トナーTの帯電性を上げることができる。
なお、凸部3は現像ローラ510の外周面301a上に形成されているので、その頂面31は現像ローラ510の外径の曲率半径と略同程度に湾曲している。この程度の湾曲は、前記「略平面」に含まれるものとする。
また、凸部3の頂面31の中心を通り第1の溝21と平行な方向の頂面31の長さをC2としたとき、C2は10〜50μmであることが好ましく、10〜30μmであることがより好ましい。
C1およびC2のそれぞれが前記下限値よりも小さければ、長時間の使用により規制ブレードやトナーとの摩擦で凸部が磨耗しやすくなり、トナー搬送量、帯電量を維持することができなくなる。
なお、凸部3の高さは、第1の溝21の深さD1および第2の溝22の深さD2と同じである。
一方、隣り合う凸部3との離間距離dが前記上限値よりも大きければ、第1の溝21の最大幅A1が大きくなり、トナーT漏れを引き起こしてしまう恐れがある。また、トナーTと外周面301aとの接触する面が上記好ましい範囲よりも小さくなるため、トナーTの帯電性が悪くなる。
一方、溝形成部320の面積率が外周面301aの面積の前記上限値より大きければ、第1の溝21から凸部3へと転動する割合が少なくなるため、トナーTの帯電性が悪くなる。また、トナーTと外周面301aとの接触する面が上記好ましい範囲よりも小さくなるため、トナーTの帯電性が悪くなる。
なお、図5、図6では、第1の溝21および第2の溝22は、それぞれほぼ同じU字形状をなしていたが、それそれ、異なるU字形状であってもよい。また、第1の溝21または第2の溝22の一部の部位のU字形状が他の部位のU字形状と異なっていてもよい。
<第1実施形態>
次に、このような現像ローラ510を製造する方法(本発明の現像ローラの製造方法)の第1実施形態について説明する。
図7は、本発明の現像ローラの製造方法の第1実施形態を説明するための模式図である。
この金属管511には、いかなる方法で製造されたものでも用いることができるが、例えば、金属板を、成形ロールで連続的に管状に成形(ロール成形)する方法、スパイラル状に成形(スパイラル成形)する方法、U字状にプレス成形した後、O字状にプレス成形(UOプレス成形)する方法等の各種成形方法で成形した後、突き合わせた金属板の端部同士、または、重ね合わせた金属板の端部同士を溶接することにより製造されたものを用いることができる。
このような金属材料の中でも、特に、炭素鋼、クロム鋼のような合金鋼、特殊鋼、高張力鋼、ステンレス鋼のような耐食鋼等の鉄鋼材料が好ましく、炭素鋼がより好ましい。炭素鋼は、比較的展延性に優れているので、炭素鋼で構成された金属管511は、転造法により凹部を高い寸法精度で形成するのに適したものとなる。
さらに、低炭素鋼としては、例えば、JIS G 3445に規定の機械構造用炭素鋼鋼管用に用いられる低炭素鋼材料が特に好適である。
溝(凹部)2を形成する方法には、特に限定されないが、転造法、ブラスト法、切削法、レーザ照射、エッチング法等の方法を用いることができる。
このうち、溝を形成する方法は、転造法またはブラスト法であるのが好ましい。これらの方法によれば、比較的短時間で、高い寸法精度の溝を効率よく形成することができる。
I.転造法は、金属管511の外周面511aに形成すべき溝2の形状に対応した凸部を、外周面に備えたダイスを、金属管511の外周面511aに押し付けて食い込ませることにより、溝2を形成する加工方法である。
転造にあたっては、まず、金属管511を、図7(b)に示すように、円柱状をなすダイス513の外周面に接触させる。
なお、ダイス513の数は、1つまたは3つであってもよい。
次に、回転中の各ダイス513、513の間隙に、金属管511を挿入する。これにより、金属管511の外周面511aに、各ダイス513、513の外周面がそれぞれ押し付けられる。この際、各ダイス513、513の外周面に設けられた凸部513aが金属管511の外周面511aに食い込むことにより、図7(b)に示す溝2が形成される。そして、この状態で、金属管511が、各ダイス513、513の外周面に沿って転がることにより、外周面511a全体に溝2が形成される。
また、金属管511の外周面511a上に、あらかじめ、溝を形成すべき領域が露出するような開口部を有するマスクを形成しておき、その上からブラスト処理を行うようにしてもよい。この方法によれば、開口部から露出した領域の外周面511aのみが研削されるので、外周面511aに所定の形状の溝を形成することができる。
これにより、金属管511の外周面511a上が、図8(c)に示すように、表面層512で覆われる。
外周面511a上に表面層512を形成する方法としては、例えば、メッキ法、溶射法、物理的蒸着法、化学的蒸着法等の方法を用いることができる。
メッキ法としては、例えば、無電解メッキ法、電解メッキ法等が挙げられるが、特に、無電解メッキ法を用いるのが好ましい。無電解メッキによれば、非晶質材料で構成された表面層512を確実に形成することができる。また、形成された表面層512は、金属管511の形状によらず、外周面511a上に均一な厚さで形成される。
このうち、添加物は、ホウ素およびリンのうちの少なくとも1種で構成されているのが好ましい。これらの元素は、特にニッケルと反応して、非晶質を安定的に生成することができる。したがって、ニッケルを主成分とする非晶質で構成された表面層512を確実に得ることができる。
ここで、前記金属材料と前記添加物との組み合わせとしては、例えば、Ni−P、Ni−B、Ni−P−B、Ni−P−Co等が挙げられる。
このように表面層512を構成する材料の組成を適宜設定することにより、表面層512がトナーを帯電させる特性(帯電特性)を高めることができる。
なお、表面層512の平均厚さが前記上限値を上回ってもよいが、帯電特性のそれ以上の向上を期待することができないばかりか、金属管511と表面層512との熱膨張率差が顕在化するおそれがある。この熱膨張率差の顕在化は、表面層512の剥離につながるため、避けられることが好ましい。
ここで、従来の現像ローラの製造方法では、外周面に凹部を形成した金属管の外周面に、表面層を形成し、現像ローラを製造していた。
ところで、この表面層は、全体が非晶質材料または全体が結晶材料で構成されていた。このような従来の現像ローラでは、トナーを帯電させる特性(帯電特性)が低く、帯電されないトナーが発生するという問題があった。この帯電されないトナーは、現像に寄与することができないため、トナーのかぶりの増大という問題を招いていた。
これに対し、本発明では、第1の工程で形成した表面層512のうちの一部が結晶化するように、少なくとも表面層512に熱処理を施すようにした。これにより、非晶質材料で構成された表面層512の一部が結晶化し、表面層512は、非晶質と結晶とが混在した状態となる。
具体的には、熱処理の条件として、熱処理の温度、加熱時間、平均冷却速度および雰囲気のうちの少なくとも1つを用いるのが好ましい。このような熱処理の条件を適宜設定すれば、容易かつ確実に、表面層512の一部を結晶化させることができる。
そこで、表面層512に光を照射したとき、光電効果により表面層512から発生した光電子を分析することにより、最適な熱処理の条件を容易かつ確実に決定することができる。これにより、表面層512中の非晶質材料の一部のみを確実に結晶化させることができる。
表面層512から発生する光電子数は、表面層512の結晶化度を反映しており、結晶化度の程度に応じて変化する。したがって、この特性を利用して、表面層512の一部のみが結晶化するための条件を見出し(決定し)、見出された条件に基づいて、表面層512の熱処理を行うようにすればよい。これにより、表面層512が含む金属の組成や添加物の組成、含有率等の各因子にかかわらず、非晶質で構成された表面層512の一部のみを確実に結晶化することができる。その結果、帯電特性に優れるとともに、十分な耐久性を備えた現像ローラ510を効率よく製造することができる。
なお、表面層512に照射する光のエネルギーは、表面層512を構成する材料の仕事関数より大きいのが好ましい。これにより、表面層512から光電子を確実に発生させることができる。その結果、熱処理の条件を光電子分光分析に基づいて確実に決定することができる。
この方法では、まず、所定の条件で熱処理を施された後の表面層512に向けて、所定のエネルギーの光を照射する。そして、照射された光に伴う光電効果により表面層512から発生した光電子を分析する光電子分光分析を行う。
図9は、表面層に照射した光のエネルギーと、表面層から発生した光電子の収率(数)との関係を模式的にプロットしたグラフである。
このグラフは、横軸に、表面層512に照射する光のエネルギーを示し、縦軸に、光電効果により表面層512から発生した光電子の収率の平方根を示している。
そして、熱処理の条件の決定にあたっては、所定の条件で熱処理を施した後の表面層512から求めた角度αが、全体を結晶化させた表面層SCから求めた角度αCよりも小さくなるように、熱処理の条件を調整する。これにより、より最適な熱処理の条件を容易かつ確実に決定することができ、この条件で熱処理を施された表面層512は、トナーTへの電荷の移動効率がより高くなる。その結果、十分な耐久性を備えるとともに、帯電特性に優れた現像ローラ510を確実に得ることができる。
この方法では、まず、全体を結晶化させた表面層SCを備えた現像ローラと、全体が非晶質で構成された表面層SAを備えた現像ローラとを用意する。なお、表面層SAを備えた現像ローラとしては、熱処理を施す前の表面層512を備えた現像ローラを用いればよい。
熱処理の条件の決定にあたっては、所定の条件で熱処理を施した後の表面層512から求めた角度αが、αA<α<(αC+αA)/2なる条件を満足するように、熱処理の条件を調整する。これにより、特に最適な熱処理の条件を容易かつ確実に決定することができる。これにより、表面層512中の結晶化度が特に最適化され、表面層512からトナーTへの電荷の移動効率が特に高くなる。その結果、十分な耐久性を備えるとともに、帯電特性に特に優れた現像ローラ510を確実に得ることができる。
なお、前記含有率が前記下限値を下回ると、表面層512からトナーTへの電荷の移動効率が若干低下するとともに、表面層512の硬度も若干低下するおそれがある。一方、前記含有率が前記上限値を上回ると、表面層512からトナーTへの電荷の移動効率が若干低下するとともに、表面層512の靭性も若干低下するおそれがある。
ところで、前述したように、熱処理の条件は、表面層512が含む金属の組成や添加物の組成、含有率等の各因子に応じて異なる。
まず、熱処理の温度は、150〜390℃程度であるのが好ましく、200〜350℃程度であるのがより好ましく、250〜300℃程度であるのがさらに好ましい。熱処理の温度を前記範囲内に設定することにより、表面層512の全体が結晶化するのを防止しつつ、一部のみを確実に結晶化させることができる。
また、熱処理における加熱後の平均冷却速度は、20〜400℃/h程度であるのが好ましく、50〜300℃/h程度であるのがより好ましい。冷却速度を前記範囲内に設定することにより、表面層512の一部のみが結晶化するのを、促進することができる。
なお、冷却速度は、熱処理における冷却過程全体のうち、一部の冷却過程において前記範囲内に設定されるようにしてもよい。
なお、非酸化性雰囲気としては、例えば、窒素、アルゴンのような不活性ガス雰囲気、水素、一酸化炭素のような還元性ガス雰囲気、減圧雰囲気等が挙げられる。
このようにして、円筒状の本体300が得られる。
以上のような方法によれば、帯電特性に優れるとともに、十分な耐久性を備えた現像ローラ510を効率よく確実に製造することができる。
また、帯電特性の異なるトナーが混在している場合でも、トナーを確実に帯電させ、担持したトナーを安定的に感光体に付与することができる。
次に、現像ローラ510を製造する方法(本発明の現像ローラの製造方法)の第2実施形態について説明する。
以下、第2実施形態について説明するが、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態にかかる現像ローラ510を製造する方法は、金属管(金属製の管体)の外周面上に、金属を主成分とする非晶質材料で構成された表面層を形成する表面層形成工程と、この表面層を形成した金属管の外周部に、凹部を形成する凹部形成工程と、表面層を構成する非晶質材料の一部が結晶化するように、少なくとも表面層に熱処理を施す熱処理工程とを有する。以下、各工程について、順次説明する。
次に、金属管511の外周面511a上に、金属を主成分とする非晶質材料で構成された表面層512を形成する(表面層形成工程)。
これにより、金属管511の外周面511a上が、表面層512で覆われる。
[2]次に、表面層512を形成した金属管511の外周面(外周部)に、溝(凹部)2を形成する(凹部形成工程)。
溝2を形成する方法には、前記第1実施形態と同様に、転造法、ブラスト法、切削法、レーザ照射、エッチング法等の方法を用いることができる。
この熱処理は、前記第1実施形態と同様に、表面層512を構成する非晶質材料の一部が結晶化するような条件で行われる。その結果、表面層512は、非晶質と結晶との混在物により構成される。
以上により、前述した円筒状の本体300が得られる。
以上のような本実施形態にかかる現像ローラの製造方法によっても、前記第1実施形態と同様に、帯電特性に優れるとともに、十分な耐久性を備えた現像ローラ510を効率よく確実に製造することができる。
さらに、本実施形態では、表面層512を形成した後、溝2を形成するようにした。
ここで、例えば、溝を形成した後、表面層を形成する場合、表面層の形成方法によっては、溝が形成された部分と、溝が形成されない部分との間で、表面層の厚さにバラツキが生じる。かかる問題は、メッキ法により、表面層を形成する場合等に特に顕著に生じる。
また、本実施形態では、表面層512を形成した後、熱処理を施す前に溝2を形成する。このため、比較的硬度の低い非晶質材料で構成された表面層512に溝2を形成することができるので、寸法精度の高い溝2を効率よく形成することができる。
次に、現像ローラ510を製造する方法(本発明の現像ローラの製造方法)の第3実施形態について説明する。
以下、第3実施形態について説明するが、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態にかかる現像ローラ510を製造する方法は、金属管(金属製の管体)の外周面上に、金属を主成分とする非晶質材料で構成された表面層を形成する表面層形成工程と、表面層を構成する非晶質材料の一部が結晶化するように、少なくとも表面層に熱処理を施す熱処理工程と、表面層を形成した金属管の外周部に、凹部を形成する凹部形成工程とを有する。以下、各工程について、順次説明する。
次に、金属管511の外周面511a上に、金属を主成分とする非晶質材料で構成された表面層512を形成する(表面層形成工程)。
これにより、金属管511の外周面511a上が、表面層512で覆われる。
[2]次に、表面層512を形成した金属管511に熱処理を施す。
この熱処理は、前記第1実施形態と同様に、表面層512を構成する非晶質材料の一部が結晶化するような条件で行われる。その結果、表面層512は、非晶質と結晶との混在物により構成される。
溝2を形成する方法には、前記第1実施形態と同様に、転造法、ブラスト法、切削法、レーザ照射、エッチング法等の方法を用いることができる。
以上により、前述した円筒状の本体300が得られる。
以上のような本実施形態にかかる現像ローラの製造方法によっても、前記第1実施形態と同様に、帯電特性に優れるとともに、十分な耐久性を備えた現像ローラ510を効率よく確実に製造することができる。
また、帯電特性の異なるトナーが混在している場合でも、トナーを確実に帯電させ、担持したトナーを安定的に感光体に付与することができる。
例えば、本発明の現像ローラの製造方法は、必要に応じて、任意の工程を追加することもできる。
また、金属管には、あらかじめ用意されたもの(例えば、市販の金属管等)を用いることができる。
また、現像ローラの外周面に形成された溝の形状は、特に限定されず、いかなる形状であってもよい。なお、現像ローラの外周面に形成された溝の形状にかかわらず、前述のような本発明の現像ローラの製造方法における作用・効果が発揮される。
1.プリンタ(画像形成装置)の製造
(実施例1)
<1>まず、機械構造用炭素鋼鋼管STKM11Aを用意した。なお、鋼管中の炭素含有率は、0.05wt%であった。
<溝の各部の条件>
・D1・D2 :5μm
・θ :90°
・d :80μm
・A1・B1 :55μm
・C1・C2 :25μm
・溝の面積率 :70%
<表面層の形成条件>
・形成方法 :無電解メッキ法
・組成 :Ni−P(Pの含有率:10wt%)
・平均厚さ :5μm
<熱処理の条件>
・温度 :200℃
・時間 :60分
・雰囲気 :N2ガス雰囲気
・平均冷却速度:100℃/h
これにより、現像ローラの本体を得、この本体の中空部の両端に縮径部を挿入して、現像ローラを得た。
<5>次に、この現像ローラを組み込んだ図2に示す現像装置を得た。
<6>次に、この現像装置を組み込んだ図1に示すプリンタを得た。
熱処理の温度を280℃にした以外は、前記実施例1と同様にして現像ローラを製造し、この現像ローラを組み込んだ現像装置・プリンタをそれぞれ製造した。
(実施例3)
熱処理の温度を350℃にした以外は、前記実施例1と同様にして現像ローラを製造し、この現像ローラを組み込んだ現像装置・プリンタをそれぞれ製造した。
前記実施例2において、工程<2>と工程<3>の順序を入れ替えた以外は、前記実施例2と同様にして現像ローラを製造し、この現像ローラを組み込んだ現像装置・プリンタをそれぞれ製造した。
(実施例5)
前記実施例2において、各工程<2>、<3>、<4>の順序を、<3>→<4>→<2>の順序に変更した以外は、前記実施例2と同様にして現像ローラを製造し、この現像ローラを組み込んだ現像装置・プリンタをそれぞれ製造した。
熱処理を省略した以外は、前記実施例1と同様にして現像ローラを製造し、この現像ローラを組み込んだ現像装置・プリンタをそれぞれ製造した。
(比較例2)
熱処理の温度を400℃に変更した以外は、前記実施例1と同様にして現像ローラを製造し、この現像ローラを組み込んだ現像装置・プリンタをそれぞれ製造した。
2.1 光電子分光分析
各実施例および各比較例で製造した現像ローラの表面層に対して、光電子分光装置を用いて光電子分光分析を行った。そして、横軸が表面層に照射した光のエネルギーを示し、縦軸が光電効果により表面層から発生した光電子の収率の平方根を示すグラフに、分析結果をプロットして、各現像ローラの光電子分光スペクトルを得た。以下に、光電子分光分析の条件を示す。
・使用装置 :理研計器(株)製 光電子分光装置 AC−2
・測定エネルギー :4.2〜6.2eV(0.1eVステップ)
・エネルギー毎計数時間:10秒
・アノード電圧 :2850V
・光源 :重水素ランプ(紫外光)
・測定光量 :10nW
図10に示すように、各スペクトルは、照射光のエネルギー5eV未満では、いずれも光電子収率が小さいが、5eV付近をしきい値として、右上に立ち上がっている。
また、実施例2で得られた角度αをα280、比較例1で得られた角度αをα0、比較例2で得られた角度αをα400とする。
その結果、各角度α0、α280、α400は、「α0<α280<(α0+α400)/2」なる大小関係を満足した。
また、実施例2以外の各実施例で製造した現像ローラから得られた光電子分光スペクトルについても、実施例2と同様に、上記の大小関係を満足した。
各実施例および各比較例で製造した現像ローラを5本ずつ用意し、これらを切断した。次いで、切断面の表面層に対して、透過型電子顕微鏡を用いて電子線を照射し、電子線回折像を得た。そして、この電子線回折像に基づいて、各現像ローラに形成された表面層の結晶構造を評価した。
なお、表面層中の結晶化度は、若干バラツキ(個体差)があるものの、30〜70%の範囲内であった。
一方、比較例1で得られた現像ローラの表面層は、全体が非晶質組織で構成されていた。
また、比較例2で得られた現像ローラの表面層は、全体が結晶組織で構成されていた。
各実施例および各比較例で製造した現像ローラを5本ずつ用意し、それぞれの現像ローラにおいて、外周面(表面層)のビッカース硬度HVを、JIS Z 2244に規定の方法により測定した。
2.4 帯電特性の評価
まず、各実施例および各比較例で製造したプリンタにおいて、印字途中で動作を停止し、カートリッジを取り出した。そして、粉黛帯電量分布測定装置(ホソカワミクロン社製、E-spart analyzer)を用いて、帯電量分布を測定した。その結果から、各プリンタ中の現像ローラのトナー担持量と、担持したトナーの帯電量とを求めた。
2.5.1 非補給時のトナーかぶりの評価
まず、各実施例および各比較例で製造したプリンタのカートリッジ中に、新しいトナーのみを充填した。
次に、各プリンタにおいて、所定の印字パターンで1000枚印字した。その後、各プリンタからカートリッジを取り出し、それぞれのトナーかぶりを計量した。そして、トナーかぶりを、以下の基準にしたがって評価した。
◎:かぶりが4g以下である
○:かぶりが4g超、6g以下である
△:かぶりが6g超、8g以下である
×:かぶりが8g超である
まず、2.5.1で使用したカートリッジ中に、別途、新しいトナーを補給した。これにより、カートリッジ中に、新しいトナーと古いトナーとの混在状態とした。
次に、各プリンタにおいて、所定の印字パターンで1000枚印字した。その後、各プリンタからカートリッジを取り出し、それぞれのトナーかぶりを計量した。そして、トナーかぶりを、以下の基準にしたがって評価した。
◎:かぶりが10g以下である
○:かぶりが10g超、15g以下である
△:かぶりが15g超、20g以下である
×:かぶりが20g超である
以上、2.2〜2.5の評価結果を表1に示す。
また、各実施例で得られた現像ローラは、優れた帯電特性を示した。
さらに、各実施例で得られたプリンタは、各比較例で得られたプリンタに比べ、トナーかぶりが少なかった。この結果からも、各実施例で得られた現像ローラは、いずれも、帯電特性に優れていることが明らかとなった。また、この傾向は、トナー補給時において、特に顕著であった。
Claims (15)
- 外周部にトナーを保持する凹部を備えた現像ローラの製造方法であって、
金属製の管体の外周部に前記凹部を形成する凹部形成工程と、
該凹部形成工程の後に、前記凹部を形成した前記管体の外周面上に、金属を主成分とする非晶質材料で構成された表面層を形成する表面層形成工程と、
該表面層形成工程の後に、前記表面層を構成する非晶質材料のうちの一部が結晶化するように、少なくとも前記表面層に熱処理を施す熱処理工程と、を有し、
前記熱処理工程において、前記表面層に光を照射し、光電効果により前記表面層から発生した光電子を分析する光電子分光分析を、前記表面層について行い、得られた分析結果が、前記表面層の結晶化度に応じて変化することを利用して、前記熱処理の条件を決定し、決定された条件で前記熱処理を施すことを特徴とする現像ローラの製造方法。 - 外周部にトナーを保持する凹部を備えた現像ローラの製造方法であって、
金属製の管体の外周面上に、金属を主成分とする非晶質材料で構成された表面層を形成する表面層形成工程と、
該表面層形成工程の後に、前記表面層を形成した前記管体の外周部に、前記凹部を形成する凹部形成工程と、
該凹部形成工程の後に、前記表面層を構成する非晶質材料のうちの一部が結晶化するように、少なくとも前記表面層に熱処理を施す熱処理工程と、を有し、
前記熱処理工程において、前記表面層に光を照射し、光電効果により前記表面層から発生した光電子を分析する光電子分光分析を、前記表面層について行い、得られた分析結果が、前記表面層の結晶化度に応じて変化することを利用して、前記熱処理の条件を決定し、決定された条件で前記熱処理を施すことを特徴とする現像ローラの製造方法。 - 外周部にトナーを保持する凹部を備えた現像ローラの製造方法であって、
金属製の管体の外周面上に、金属を主成分とする非晶質材料で構成された表面層を形成する表面層形成工程と、
該表面層形成工程の後に、前記表面層を構成する非晶質材料のうちの一部が結晶化するように、少なくとも前記表面層に熱処理を施す熱処理工程と、
該熱処理工程の後に、前記表面層を形成した前記管体の外周部に、前記凹部を形成する凹部形成工程と、を有し、
前記熱処理工程において、前記表面層に光を照射し、光電効果により前記表面層から発生した光電子を分析する光電子分光分析を、前記表面層について行い、得られた分析結果が、前記表面層の結晶化度に応じて変化することを利用して、前記熱処理の条件を決定し、決定された条件で前記熱処理を施すことを特徴とする現像ローラの製造方法。 - 横軸が前記照射した光のエネルギーを示し、縦軸が前記光電子の収率の平方根を示すグラフに、前記分析結果をプロットしてなる光電子分光スペクトルを得たとき、
該光電子分光スペクトルと前記横軸とがなす角度αに基づいて、前記熱処理の条件を決定し、決定された条件で前記熱処理を施す請求項1ないし3のいずれかに記載の現像ローラの製造方法。 - 所定の条件で熱処理を施した後の前記表面層に対して、前記光電子分光分析を行い、前記角度αを得るとともに、
前記表面層を構成する非晶質材料の全体を結晶化させたものに対して、前記光電子分光分析を行い、前記角度αCを得たとき、
α<αCなる関係を満足するように、前記熱処理の条件を決定し、決定された条件で前記熱処理を施す請求項4に記載の現像ローラの製造方法。 - 前記角度αを得るとともに、
前記角度αCと、
前記表面層を構成する非晶質材料に対して、前記光電子分光分析を行い、前記角度αAとを得たとき、
αA<α<(αC+αA)/2なる関係を満足するように、前記熱処理の条件を決定し、決定された条件で前記熱処理を施す請求項5に記載の現像ローラの製造方法。 - 前記表面層に照射される光のエネルギーは、前記表面層の仕事関数より大きい請求項1ないし6のいずれかに記載の現像ローラの製造方法。
- 前記熱処理後の前記表面層における結晶化度は、10〜90%である請求項1ないし7のいずれかに記載の現像ローラの製造方法。
- 前記熱処理後の表面層のビッカース硬度HVは、750〜900である請求項1ないし8のいずれかに記載の現像ローラの製造方法。
- メッキ法により前記表面層を形成する請求項1ないし9のいずれかに記載の現像ローラの製造方法。
- 前記表面層の平均厚さは、1〜15μmである請求項1ないし10のいずれかに記載の現像ローラの製造方法。
- 外周部にトナーを保持する凹部を備えた金属製の現像ローラであって、
前記現像ローラの外周部は、金属を主成分とする結晶と非晶質とが混在する表面層で構成されており、
前記凹部は、互いに平行でありかつ前記現像ローラの周方向に対して傾斜する複数の第1の溝と、前記第1の溝に交差するとともに互いに平行でありかつ前記現像ローラの周方向に対して傾斜する複数の第2の溝と、を有しており、
前記第1の溝および前記第2の溝に囲まれてなる凸部を有していることを特徴とする現像ローラ。 - 前記表面層における結晶化度が、10〜90%である請求項12に記載の現像ローラ。
- 請求項12または13に記載の現像ローラを備えることを特徴とする現像装置。
- 請求項14に記載の現像装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
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