JP4746759B2 - 粘着剤組成物とその粘着シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステル系の粘着剤組成物と、これをシート状やテープ状などの形態とした粘着シートとに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、粘着剤は、容易に接着できる利便性から、事務用のセロハンテープから工業用の両面テープまで広範囲に用いられている。中でも、アクリル系の粘着テープは、耐久性や耐熱性にすぐれるものとして多用されており、現在では、コンピュータなどの電子機器の装置内部にまで利用されている。
【0003】
しかるに、電子機器などの装置内部は約60℃や約80℃という比較的高温の使用環境となりやすく、現在多用されているアクリル系の粘着テープでは、上記の使用環境下で発生ガスが多くみられ、この発生ガスが、電子機器を汚染して、電子機器の誤動作や故障を生じさせる原因となっていた。
【0004】
これに対し、本発明者らは、先に、特開平10−77452号公報に開示されるような分子鎖中にポリカーボネート構造を有するポリエステルなどの特定の粘着性ポリマーを主成分としたものによると、比較的高温の使用環境下で発生ガスが少なくなり、電子機器への適用が可能となることを見い出した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、近年、電子機器の性能向上に伴い、これらの発生ガスの要求レベルも高くなってきており、さらなる発生ガスの低減が望まれている。また、電子機器の小型化に伴い、粘着テープの貼り付け面積も小さくなっているため、自動機による貼り付け作業などでは、貼り付け直後からの接着信頼性、とくに粗面に対する上記接着信頼性が、強く望まれる状況となっている。
【0006】
本発明は、このような事情に照らし、主に電子機器などの装置内部に用いられる粘着剤組成物とその粘着シートとして、前記のような比較的高温の使用環境下での発生ガスの低減をはかれるとともに、貼り付け直後の粗面接着性にすぐれたものを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的に対する鋭意検討の過程において、粘着性ポリマーとして、分子鎖中にポリカーボネート構造を有するポリエステルを使用すると、アクリル系ポリマーなどに比べて、高温の使用環境下での発生ガスを少なくできるものの、ポリエステルの合成過程で生じる反応副生成物に起因して少量のガス成分がいぜんとして発生するものであることがわかった。
【0008】
そこで、上記の発生ガスを低減するため、さらに検討した結果、ポリエステルの合成原料である多価アルコール成分や多価カルボン酸成分として、分子骨格の大きな成分を用いると、ポリエステルの合成過程で生じる反応副生成物が揮発し難い構造となって、発生ガスが少なくなること、とくに、多価アルコール成分としてポリエステルの機械的強度や耐熱性の向上に寄与する分子凝集エネルギーの高いポリカーボネート構造を有する脂肪族ジオールであって、その分子骨格の大きなものを用いると、発生ガスを大きく低減できることがわかった。
【0009】
また、本発明者らは、ポリエステルの原料成分として、上記の脂肪族ジオールに加えて、3価以上の多価アルコールや3価以上の多価カルボン酸を用いると、分枝鎖を持つポリエステルが生成して、分子量分布の広いものとなり、ジオールとジカルボン酸との2官能成分のみを用いたポリエステルに比べ、ポリエステルの柔軟性が改善されて初期接着性が良くなり、貼り付け直後からの接着信頼性、とくに粗面に対する上記接着信頼性が向上することがわかった。
【0010】
このように、本発明者らは、分子鎖中にポリカーボネート構造を有するポリエステルを得るにあたり、原料成分として、分子鎖中にポリカーボネート構造を有しかつその分子骨格の大きな特定の脂肪族ジオールと、3価以上の多価アルコールや3価以上の多価カルボン酸とを使用し、これらの原料成分を重縮合反応させて得たポリエステルを主成分としたときに、比較的高温の使用環境下での発生ガスが極めて少なく、しかも貼り付け直後の粗面接着性にすぐれた粘着剤組成物とその粘着シートが得られることを知り、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は、(A)1,8−オクタメチレンカーボネートジオール、2−メチル−1,8−オクタメチレンカーボネートジオール、3−メチル−1,8−オクタメチレンカーボネートジオール、1,9−ノナメチレンカーボネートジオール、または、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、3−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,18−オクタデカンジオールの中から選ばれる多価アルコールと、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジベンジルカーボネート、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネートの中から選ばれるカーボネート化合物との脱アルコール反応で得られるポリカーボネートジオールからなる、主鎖中につぎの式(1);
【化2】
(Rは直鎖部分の炭素数が8〜20の直鎖状または分枝状の炭化水素基である)
で表される構造単位を持つ脂肪族ジオールを全ジオール成分中30重量%以上と、(B)3価以上の多価アルコールおよび/または3価以上の多価カルボン酸を脂肪族ジオールとジカルボン酸成分との合計量に対して2〜30重量%とを必須の原料成分とした数平均分子量が1万以上のポリエステルを主成分とし、120℃で240時間保存後の重量減少率が2重量%以下であることを特徴とする粘着剤組成物に係るものであり、とくに上記のポリエステルが架橋処理され、その溶剤不溶分が10重量%以上である上記構成の粘着剤組成物と、#180のサンドペーパで研磨したアルミニウム板に対する室温(23℃)での粗面粘着力が2N/20mm幅以上である上記構成の粘着剤組成物とに係るものである。
【0012】
また、本発明は、支持体の片面または両面に上記構成の粘着剤組成物からなる層を有することを特徴とする粘着シートに係るものである。なお、上記の「粘着シート」には、通常幅広の粘着シートのほか、通常幅狭の粘着テープも含まれ、また粘着ラベルなどの公知の各種粘着製品が含まれるものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のポリエステルは、多価アルコール成分と多価カルボン酸成分とからなる原料成分に、(A)前記の式(1)で表される構造単位、つまりカーボネート構造単位を持つ分子骨格の大きな脂肪族ジオールと、(B)3価以上の多価アルコールおよび/または3価以上の多価カルボン酸とを必須成分として使用して、これらを重縮合反応させることにより、得られるものである。
【0014】
ここで、上記の多価アルコール成分には、A成分とともに、A成分以外の他の脂肪族ジオールを併用することができる。本明細書において「脂肪族ジオール」には脂環族も含めたジオールを意味する。また、上記の多価カルボン酸成分としては、B成分に3価以上の多価カルボン酸を使用しない場合は、ジカルボン酸が必ず用いられるが、B成分に3価以上の多価カルボン酸を使用する場合でも、この多価カルボン酸とともにジカルボン酸成分を併用してもよい。
【0015】
A成分としての脂肪族ジオールには、前記の式(1)中のRが、直鎖部分の炭素数が8〜20となる分子骨格の大きな直鎖状または分枝状の炭化水素基からなる各種の脂肪族ジオールが用いられる。具体的には、1,8−オクタメチレンカーボネートジオール、2−メチル−1,8−オクタメチレンカーボネートジオール、3−メチル−1,8−オクタメチレンカーボネートジオール、1,9−ノナメチレンカーボネートジオールなどが用いられる。
【0016】
また、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、3−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,18−オクタデカンジオールなどの直鎖部分が炭素数8〜20の炭化水素基からなる多価アルコールと、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネートまたはアルキレンカーボネートなどのカーボネート化合物との脱アルコール反応で得られるポリカーボネートジオールも用いられる。
【0017】
上記のカーボネート化合物のうち、ジアルキルカーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネートなどが挙げられる。また、上記のジアリールカーボネートとしては、ジフェニルカーボネート、ジベンジルカーボネートなどが挙げられる。さらに、上記のアルキレンカーボネートとしては、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネートなどが挙げられる。
【0018】
上記したA成分としての脂肪族ジオールに代えて、前記の式(1)中のRが、直鎖部分の炭素数が8に満たない分子骨格の小さな直鎖状または分枝状の炭化水素基からなる脂肪族ジオール(たとえば、プロピレンカーボネートジオール、ヘキサメチレンカーボネートジオールなどのカーボネートジオール、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどの低級多価アルコールとカーボネート化合物との脱アルコール反応などで得られるポリカーボネートジオール)を用いると、本発明の目的とする比較的高温の使用環境下における発生ガスの低減をはかれない。
【0019】
A成分以外の脂肪族ジオールとしては、直鎖部分の炭素数が8〜20である分子骨格の大きな直鎖状または分枝状の炭化水素基からなる各種の脂肪族ジオールが用いられる。具体的には、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、3−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,18−オクタデカンジオールなどが挙げられる。その他、ダイマージオール、1,4−シクロヘキサンジオールなどの脂環族ジオールを用いることもできる。これらは、粘着特性のバランスをはかるため、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0020】
A成分としての脂肪族ジオールは、上記したA成分以外の脂肪族ジオールとの合計量中、つまり全ジオール成分中、30重量%以上、好ましくは50重量%以上となる割合で用いられる。この理由は、A成分としての脂肪族ジオールが全ジオール成分の30重量%未満となると、生成ポリエステルの機械的強度が低くなり、十分な粘着力が得られなくなるためである。
【0021】
B成分としては、3価以上の多価アルコールか、3価以上の多価カルボン酸かのいずれか一方または両方が用いられる。3価以上の多価アルコールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの脂肪族多価アルコールやこれらの誘導体が用いられる。3価以上の多価カルボン酸としては、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、mesoブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸などの脂肪族多価カルボン酸、トリメリット酸やピロメリット酸などの芳香族多価カルボン酸、これらの酸無水物または低級アルキルエステルなどが用いられる。
【0022】
多価カルボン酸成分には、B成分として3価以上の多価カルボン酸を使用しない場合は、炭素数が6以上の炭化水素基を分子骨格としたジカルボン酸成分が用いられる。このジカルボン酸成分は、B成分として3価以上の多価カルボン酸を使用する場合でも、これと組み合わせて用いることができる。
【0023】
このようなジカルボン酸成分には、つぎの式(2);HOOC−(CH2 )n−COOH(nは6〜20の整数である)で表される直鎖脂肪族ジカルボン酸成分や、脂環族ジカルボン酸成分、芳香族ジカルボン酸成分などがある。上記の直鎖脂肪族ジカルボン酸成分としては、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン酸、1,14−テトラデカン二酸、これらの酸無水物や低級アルキルエステルなどがある。また、上記の脂環族ジカルボン酸成分としては、ダイマー酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、これらの酸無水物や低級アルキルエステルなどがある。さらに、上記の芳香族ジカルボン酸成分としては、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸、これらの酸無水物や低級アルキルエステルなどがある。
【0024】
B成分としての3価以上の多価アルコールおよび/または3価以上の多価カルボン酸は、室温(23℃)での粗面粘着力が2N/20mm幅以上となる割合で、用いられる。通常、ポリエステルの分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が2.2以上(通常、25以下)となると、上記の粗面粘着力が2N/20mm幅以上となることがわかっており、このため、上記分散度が上記範囲となる割合で、用いられる。このような使用量は分子量や価数により最適値が変わるが、通常は脂肪族ジオールとジカルボン酸成分との合計量に対して、B成分が2〜30重量%、好ましくは4〜15重量%となる割合とするのがよい。2重量%未満では、上記分散度が小さくなりやすく、20重量%を超えると、ポリエステルが高粘度となり、いわゆるゲル化が起こり、粘着シートの形成が難しくなる。
【0025】
本発明のポリエステルは、上記したA成分およびB成分を必須とする原料成分を使用し、これらを重縮合反応させることにより、得られるが、その製造方法はとくに限定されず、従来公知の手法が用いられる。たとえば、上記の原料成分を触媒の存在下同時に加熱縮重合させる手法が挙げられる。触媒は、一般の縮合反応に使用される触媒であり、具体的には、ジブチルチンオキサイド、テトラ−n−ブチルチタネート、三酸化アンチモンなどの金属化合物が挙げられる。
【0026】
本発明のポリエステルは、数平均分子量が1万以上(通常、10万以下)、好ましくは1.1万〜5万、さらに好ましくは1.2万〜3万であるのがよい。ポリエステルの数平均分子量が1万未満では、粘着剤としての凝集力が得られず、耐熱性や耐久性に劣りやすい。分子量が高すぎると、高粘度となり、粘着シートの形成が難しくなるため、上記範囲内とするのがよい。
【0027】
本発明の粘着剤組成物は、上記のポリエステルを主剤成分としたものであり、通常はこれを架橋処理して耐熱性にすぐれたものとする。架橋処理には、ポリイソシアネート化合物、ポリエポキシ化合物、ポリアジリジン化合物など、ポリエステルに含まれる水酸基および/またはカルボキシル基と反応する官能基を持つ多官能性化合物を加えて架橋反応させる、いわゆる架橋剤を用いる方法がある。架橋剤の中でも、ポリイソシアネート化合物がとくに好ましい。
【0028】
ポリイソシアネート化合物としては、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族ポリイソシアネート類、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート類、トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物やヘキサメチレンジイソシアネート付加物などのイソシアネート付加物などが挙げられる。これらの架橋剤は、その1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0029】
架橋剤の使用量は、ポリエステルの分子量や分散度とのバランスにより、また粘着剤組成物の用途目的により、適宜選択できる。通常は、ポリエステル100重量部に対して、架橋剤が0.5〜10重量部となる割合とし、これにより架橋処理後のポリエステルの溶剤不溶分が10重量%以上、好ましくは20〜70重量%となるようにするのがよい。上記の溶剤不溶分が10重量%未満となると、粘着剤組成物の凝集力が不足して、十分な耐熱性が得られない。また、上記の溶剤不溶分が高くなりすぎると、粘着剤組成物の柔軟性が損なわれ、貼り付け直後の粗面接着性が低下してくるため、上記範囲内とするのがよい。
【0030】
また、上記の多官能性化合物に代えて、実質的な架橋剤を多官能性モノマーとして配合し、電子線などで架橋する方法をとってもよい。多官能性モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの多官能性モノマーの使用量は、多官能性化合物の場合と同様に、適宜選択でき、通常は、ポリエステル100重量部に対し、多官能性モノマーが1重量部以上となるようにして、電子線にて架橋処理したのちの溶剤不溶分が10重量%以上、好ましくは20〜70重量%となるようにするのがよい。
【0031】
本発明の粘着剤組成物は、上記のポリエステルを主剤成分とし、通常は上記のように架橋処理されるが、これには従来公知の各種の老化防止剤や粘着付与剤、その他、無機または有機の充填剤、金属粉、顔料などの粉体、粒子状、箔状物などの従来公知の各種の添加剤を配合することができる。これらの添加剤を配合することにより、粘着特性のバランスがよりとりやすくなることもある。
【0032】
本発明の粘着シートは、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどのプラスチックフィルムや、その他、紙、不織布などの多孔質材料などからなる各種の支持体を使用して、この支持体の片面または両面に、上記構成の粘着剤組成物を、乾燥後の厚さが通常10〜150μmとなるように塗布し、乾燥することにより、シート状やテープ状などの形態としたものである。
【0033】
【実施例】
つぎに、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明の範囲は以下の実施例によりなんら制限を受けるものではない。なお、以下において、部とあるのは重量部を意味するものとする。また、分散度とは、ポリエステルの(重量平均分子量/数平均分子量)の比を意味するものである。
【0034】
実施例1
撹拌機、温度計、窒素導入管および留出管を付した四つ口セパラブルフラスコに、2−メチル−1,8−オクタンジオール136g、1,9−ノナンジオール24g、ジメチルカーボート90g、触媒としてのジブチルチンオキサイド(以下、DBTOという)0.25gを仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら、190℃に昇温し、反応副生成物であるメタノールの留出がほとんど認められなくなるまで、反応を行った。その後、200℃に昇温し、2〜6mmHgの減圧下でさらに2時間反応させ、水酸基価が55.1KOHmg/g、数平均分子量が2,000のポリカーボネートジオールを得た。
【0035】
つぎに、撹拌機、温度計、窒素導入管および留出管を付した四つ口セパラブルフラスコに、上記のポリカーボネートジオール200g、セバシン酸42.5g、トリメチロールプロパン10g、触媒としてのDBTO0.06gを仕込み、反応水排出溶剤としての少量のトルエンの存在下、撹拌を開始しながら180℃まで昇温し、この温度で保持した。しばらくすると、水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。約19時間反応を続けて、数平均分子量が17,000、分散度が3.0のポリエステルを得た。
【0036】
このポリエステルをトルエンで固形分濃度30重量%に希釈した。このポリエステル100部(固形分)に対し、架橋剤としてトリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン社製の「コロネートHL」)2.5部(固形分)を配合して、粘着剤組成物とした。この粘着剤組成物をアプリケータを用いて、支持体としての厚さが38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し、130℃で5分間乾燥して、厚さが50μmの粘着剤組成物からなる層を形成して、粘着シートを作製した。また、上記と同様にして、離型紙上に厚さが50μmの粘着剤組成物からなる層を形成して、加熱減量および溶剤不溶分を測定するための試験シートとした。
【0037】
実施例2
撹拌機、温度計、窒素導入管および留出管を付した四つ口セパラブルフラスコに、実施例1で得たポリカーボネートジオール100g、ダイマージオール100g、トリメチロールプロパン10g、セバシン酸70.2g、触媒としてのDBTO0.1gを仕込み、反応水排出溶剤としての少量のトルエンの存在下、撹拌を開始しながら180℃まで昇温し、この温度で保持した。しばらくすると、水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。約16時間反応を続けて、数平均分子量が18,000、分散度が12.5のポリエステルを得た。
【0038】
このポリエステルをトルエンで固形分濃度30重量%に希釈した。このポリエステル100部(固形分)に対し、架橋剤としてトリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン社製の「コロネートHL」)1部(固形分)を配合して、粘着剤組成物とした。この粘着剤組成物を用いて、以下、実施例1と同様にして、粘着シートを作製し、また加熱減量および溶剤不溶分を測定するための試験シートを作製した。
【0039】
実施例3
撹拌機、温度計、窒素導入管および留出管を付した四つ口セパラブルフラスコに、実施例1で得たポリカーボネートジオール200g、ダイマー酸118.6g、トリメチロールプロパン10g、触媒としてのDBTO0.12gを仕込み、反応水排出溶剤である少量のトルエンの存在下、撹拌を開始しながら180℃まで昇温し、この温度で保持した。しばらくすると、水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。約26時間反応を続けて、数平均分子量が15,000、分散度が3.5のポリエステルを得た。
【0040】
このポリエステルをトルエンで固形分濃度30重量%に希釈した。このポリエステル100部(固形分)に対し、架橋剤としてトリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン社製の「コロネートHL」)2部(固形分)を配合して、粘着剤組成物とした。この粘着剤組成物を用いて、以下、実施例1と同様にして、粘着シートを作製し、また加熱減量および溶剤不溶分を測定するための試験シートを作製した。
【0041】
実施例4
撹拌機、温度計、窒素導入管および留出管を付した四つ口セパラブルフラスコに、実施例1で得たポリカーボネートジオール200g、mesoブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸11.5gを仕込み、反応水排出溶剤としての少量のトルエンの存在下、撹拌を開始しながら180℃まで昇温し、この温度で保持した。しばらくすると、水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。約2時間反応を続けて、数平均分子量が18,000、分散度が11.5のポリエステルを得た。
【0042】
このポリエステルをトルエンで固形分濃度30重量%に希釈した。このポリエステル100部(固形分)に対し、架橋剤としてトリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン社製の「コロネートHL」)2部(固形分)を配合して、粘着剤組成物とした。この粘着剤組成物を用いて、以下、実施例1と同様にして、粘着シートを作製し、また加熱減量および溶剤不溶分を測定するための試験シートを作製した。
【0043】
比較例1
撹拌機、温度計、窒素導入管および留出管を付した四つ口セパラブルフラスコに、ダイセル化学(株)製の「PLACCEL CD220PL」〔式(1)中のRが炭素数8未満となる分子骨格の小さな炭化水素基からなるポリカーボネートジオール、水酸基価:56.1KOHmg/g〕200g、セバシン酸43.9g、トリメチロールプロパン10g、触媒としてのDBTO0.06gを仕込み、反応水排出溶剤としての少量のトルエンの存在下、撹拌を開始しながら180℃まで昇温し、この温度で保持した。しばらくすると、水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。約18時間反応を続け、数平均分子量が17,000、分散度が2.9のポリエステルを得た。
【0044】
このポリエステルをトルエンで固形分濃度30重量%に希釈した。このポリエステル100部(固形分)に対し、架橋剤としてトリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン社製の「コロネートHL」)2.5部(固形分)を配合し、粘着剤組成物とした。この粘着剤組成物を用いて、以下、実施例1と同様にして、粘着シートを作製し、また加熱減量および溶剤不溶分を測定するための試験シートを作製した。
【0045】
比較例2
撹拌機、温度計、窒素導入管および留出管を付した四つ口セパラブルフラスコに、実施例1で得たポリカーボネートジオール200g、セバシン酸19.9g、触媒としてのDBTO0.03gを仕込み、反応水排出溶剤としての少量のトルエンの存在下、撹拌を開始しながら、180℃まで昇温し、この温度で保持した。しばらくすると、水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。約18時間反応を続けて、数平均分子量が25,000のポリエステルを得た。
【0046】
このポリエステルをトルエンで固形分濃度30重量%に希釈した。このポリエステル100部(固形分)に対し、架橋剤としてトリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン社製の「コロネートHL」)3.5部(固形分)を配合して、粘着剤組成物とした。この粘着剤組成物を用いて、以下、実施例1と同様にして、粘着シートを作製し、また加熱減量および溶剤不溶分を測定するための試験シートを作製した。
【0047】
上記の実施例1〜4および比較例1,2の各試験シートを用いて、下記の方法により、加熱減量および溶剤不溶分を測定した。また、上記の実施例1〜4および比較例1,2の各粘着シートについて、下記の方法により、粗面粘着力と凝集力とを測定した。これらの結果は、表1に示されるとおりであった。
【0048】
<加熱減量の測定>
離型紙上から粘着剤組成物を約0.1gサンプリングして精秤する(W1)。これをアルミカップ内に1.5cm×1.5cm程度のサイズに裁断し積層して、セットし、アルミカップごと精秤する(Z1)。つぎに、このサンプルをアルミカップごと120℃の乾燥機中に投入し、240時間後に取り出し、アルミカップごと精秤する(Z2)。これらの測定重量から、下記の式にしたがい、粘着剤組成物の重量減少率〔X〕(重量%)を算出する。
【0049】
<溶剤不溶分の測定>
離型紙上から粘着剤組成物を約0.1gサンプリングして精秤する(W1)。つぎに、このサンプルを約50mlのトルエン中に室温で5日間浸漬後、溶剤不溶成分を取り出し、130℃中で約1時間乾燥したのち、秤量する(W2)。このように測定した溶剤浸漬前後のサンプルの重量から、下記の式にしたがい、粘着剤組成物の溶剤不溶分〔Y〕(重量%)を算出する。
【0050】
<粗面粘着力の測定>
粘着シート(20mm×100mm)を、#180のサンドペーパで研磨したアルミニウム板に、500gのローラで貼り付け、雰囲気温度23℃、貼付時間10秒、剥離速度300mm/分の条件で、180°剥離粘着力を測定した。
【0051】
<凝集力の測定>
粘着シートを、被着体としてのベークライト板に貼り付け、雰囲気温度40℃において、垂直方向に500g/2cm2 の荷重を与えて、落下するまでの保持時間(分)を測定した。
【0052】
【0053】
上記の表1の結果から明らかなように、本発明の実施例1〜4の各粘着シートは、いずれも、A成分を原料成分としないポリエステルを用いた比較例1の粘着シートに比べ、加熱減量が少ないとともに、B成分を原料成分としないポリエステルを用いた比較例2の粘着シートに比べて、粗面粘着力が大きくなっており、発生ガスが少なくかつ粗面接着性を満足するものであることがわかる。
【0054】
【発明の効果】
以上のように、本発明においては、ポリエステルの原料成分としてポリカーボネート構造を有する分子骨格の大きな特定の脂肪族ジオールと3価以上の多価アルコールや3価以上の多価カルボン酸とを組み合わせ使用したことにより、発生ガスが極めて少なくかつ貼り付け直後の粗面接着性にすぐれた粘着剤組成物とその粘着シートが得られるという格別の効果が奏される。
Claims (4)
- (A)1,8−オクタメチレンカーボネートジオール、2−メチル−1,8−オクタメチレンカーボネートジオール、3−メチル−1,8−オクタメチレンカーボネートジオール、1,9−ノナメチレンカーボネートジオール、または、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、3−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,18−オクタデカンジオールの中から選ばれる多価アルコールと、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、ジベンジルカーボネート、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネートの中から選ばれるカーボネート化合物との脱アルコール反応で得られるポリカーボネートジオールからなる、主鎖中につぎの式(1);
で表される構造単位を持つ脂肪族ジオールを全ジオール成分中30重量%以上と、(B)3価以上の多価アルコールおよび/または3価以上の多価カルボン酸を脂肪族ジオールとジカルボン酸成分との合計量に対して2〜30重量%とを必須の原料成分とした数平均分子量が1万以上のポリエステルを主成分とし、120℃で240時間保存後の重量減少率が2重量%以下であることを特徴とする粘着剤組成物。 - ポリエステルが架橋処理され、その溶剤不溶分が10重量%以上である請求項1に記載の粘着剤組成物。
- #180のサンドペーパで研磨したアルミニウム板に対する室温(23℃)での粗面粘着力が2N/20mm幅以上である請求項1または2に記載の粘着剤組成物。
- 支持体の片面または両面に請求項1〜3のいずれかに記載の粘着剤組成物からなる層を有することを特徴とする粘着シート。
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