JP4741504B2 - Il−18結合タンパク質の精製方法 - Google Patents

Il−18結合タンパク質の精製方法 Download PDF

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Description

本発明はタンパク質精製の分野に属する。より具体的には疎水性電荷誘起クロマトグラフィーによるIL−18結合タンパク質(IL−18BP)の精製に関する。好ましくは本発明はさらに、固定化金属イオンアフィニティクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、および逆相クロマトグラフィーから選択される精製ステップを含む。
タンパク質は、一般に「生物製剤」とも呼ばれる薬物として商業的に重要になっている。その最も大きな課題の一つは、工業的規模でタンパク質を精製するための経済的かつ効率的方法の開発である。現在、タンパク質の大規模な調製のために多くの方法が利用できるが、体液などの粗製産物は所望の産物だけでなくその所望の産物から分離することが困難な不純物を含有する。さらにタンパク質の生物供給源は、一般に物質の複合混合物を含有する。
組換え的手法でタンパク質産物を発現する細胞の細胞培養上清などの生物供給源は、特にその細胞が無血清培地中で成長する場合には、あまり不純物を含有しないかも知れない。しかしながら衛生当局は、ヒト投与向けのタンパク質については高い基準の純度を要求する。これに加えて多くの精製法は、ある特定のタンパク質の生体活性を危険にさらす恐れのある低いまたは高いpH、高い塩濃度、あるいは他の過激な条件の適用を必要とするステップを含む可能性がある。したがってどのようなタンパク質についてもそのタンパク質の生体活性を維持しながら十分な純度を可能にする精製方法を確立することが課題である。
イオン交換クロマトグラフィーシステムは、主として電荷の差に基づくタンパク質の分離に広く用いられてきた。イオン交換クロマトグラフィーでは周囲の緩衝液のイオン強度が低い場合、溶質表面の荷電したパッチはクロマトグラフィーマトリックスに付与された反対電荷によって引き寄せられる。溶出は、一般にその緩衝液のイオン強度(すなわち導電率)を増して、イオン交換マトリックスの荷電部位を獲得しようと溶質と競合することにより達成される。pHを変え、それによって溶質の電荷を変えるのは、溶質の溶出を達成する別のやり方である。その導電率またはpHの変化は、漸進的(勾配溶出)でも階段的(階段溶出)でもよい。
陰イオン交換体は、弱または強のどちらかに分類することができる。弱陰イオン交換体上のその荷電基は弱塩基であり、脱プロトン化するようになり、したがって高pHではその電荷を放出する。DEAE−セルロースは弱陰イオン交換体の例であり、そのアミノ基はpH〜9未満で正に荷電することができ、より高pH値ではその電荷を次第に失う。ジエチルアミノエチル(DEAE)またはジエチル−(2−ヒドロキシ−プロピル)アミノエチル(QAE)は、例えば対イオンとして塩化物を有する。
一方、強陰イオン交換体は強塩基を含有し、イオン交換クロマトグラフィーに通常用いられるpH範囲(pH 1〜14)の間ずっと正に荷電したままである。Q−セファロース(Qは第四アンモニウムを意味する)は、強陰イオン交換体の例である。
陽イオン交換体もまた、弱または強のどちらかに分類することができる。強陽イオン交換体は、pH 1〜14で荷電したままの強酸(スルホプロピル基など)を含有するのに対し、弱陽イオン交換体は弱酸(カルボキシメチル基など)を含有し、pHが4または5未満に低下するに従って次第に電荷を失う。カルボキシメチル(CM)およびスルホプロピル(SP)は、例えば対イオンとしてナトリウムを有する。
疎水固定相を有するクロマトグラフィーシステムもまた、タンパク質の精製に広く使用されてきた。このカテゴリーには疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)および逆相液体クロマトグラフィー(RPLC)が含まれる。HICおよびRPLCによる分離の物理化学的原理はその疎水効果であり、タンパク質は疎水性の差に基づいて疎水固定相上で分離される。
一般にHICでは高塩緩衝液に溶かした試料分子をHICカラムに充填する。この緩衝液中の塩が水分子と相互に作用して溶液中の分子の溶媒和を減少させ、それによって試料分子中の疎水領域を露出させ、その結果この試料分子がHICカラムによって吸着される。分子が疎水性であればあるほど、結合を促進させるのに必要な塩は少ない。通常、カラムから試料を溶出するために逓減塩勾配が用いられる。イオン強度が下がるに従って分子の疎水領域の露出は増し、分子は疎水性が増す順にカラムから溶出する。試料の溶出はまた、その溶出緩衝液に弱有機調節剤または界面活性剤を加えることによって達成することもできる。HICは、例えばProtein Purification, 2nd Ed., Springer-Verlag, New York, p.176~179 (1988)中に概説されている。
HICでは様々なリガンドを持つ様々なクロマトグラフィー用支持体が利用可能である。リガンドはそれらの疎水性に関しては異なる。一般に用いられる疎水性リガンドは、フェニル残基、ブチル残基、またはオクチル残基である。
疎水性電荷誘起クロマトグラフィーは、4−メルカプトエチルピリジン誘導体などのリガンドを持つ樹脂を用いたHICのサブセットである。疎水性電荷誘起クロマトグラフィー樹脂の例は、MEP-HyperCel(登録商標)(Boschetti等の論文、Genetic Engineering Vol. 20, No. 13, July, 2000(BoschettiおよびJungbauer、2000))である。
逆相クロマトグラフィーとHICはともに、生体分子表面上の溶媒が到達できる非極性基とマトリックスの疎水性リガンドとの間の相互作用に基づくので、逆相クロマトグラフィーはHICと密接な関係にあるタンパク質精製法である。しかしながら逆相クロマトグラフィーに用いられるリガンドは、HICリガンドよりも疎水性リガンドにより高度に置換される。HIC吸着剤の置換の程度はC2〜C8アリールリガンドのマトリックス1 mL当たり10〜50 μmolの範囲にあることができるが、一般にはC4〜C8アルキルリガンドのマトリックス1 mL当たり数百μmolが逆相クロマトグラフィー吸着剤に用いられる。
また、疎水性相互作用クロマトグラフィーと逆相クロマトグラフィーとは、疎水性相互作用クロマトグラフィーが水性溶媒の条件下で行われ、かつイオン強度の変化がカラムを溶出するために用いられるという点でまったく異なっている。タンパク質は一般に自然の状態ではそのタンパク質の表面に位置する疎水基を介して結合し、その自然のままの状態は溶出の間ずっと保持される。これとは対照的に逆相クロマトグラフィーは疎水性溶媒(一般にはアセトニトリル)を利用し、リガンドの結合は溶媒の疎水性とカラムの官能基の間の相分配の関数である。タンパク質は一般にこのような溶媒中である程度まで変性され、その全体のポリペプチド配列の疎水性により結合する。大部分の疎水基は球状タンパク質のコア中に位置するので、その結合はタンパク質の変性の度合い、およびカラム官能基へのそれら基のアクセシビリティと関係する。
Source 30 RPCカラムは高分子逆相マトリックスである。それは、剛性のある均一サイズの直径30ミクロンのポリスチレン/ジビニルベンゼンビーズをベースとする。その特徴は、非常に広いpH範囲(1〜12)、高い選択性、高い耐薬品性、高容量、および高流量における高分解能に要約することができる。
タンパク質精製に広く用いられる更にもう1つの種類のクロマトグラフィーは、固定化金属イオンアフィニティクロマトグラフィー(IMAC)と呼ばれる。1975年にPorathがタンパク質を分画するために固定化金属イオンアフィニティクロマトグラフィー(IMAC)を導入した(J. Porath、J. Carlsson、I. Olsson、およびG. Belfrageの論文、Nature (London) 258, 598~599 (1975))。Porathの研究ではIMACは、イミノ二酢酸(IDA)とキレート金属イオンで樹脂をIDA誘導体化樹脂に誘導体化することからなる。タンパク質は、キレート化により予め固定化された金属イオンに対するそれらのアフィニティに基づいて分離される。タンパク質は、空配位部位を介してこの金属イオンと結合し、カラム上に固定化される。その後IDAとは別のリガンドが、金属イオンを樹脂にキレート化するために用いられた。血清タンパク質に関する研究の結果によりIMACがきわめて特異的かつ選択的な分離手法であることが示された(J. PorathおよびB. Olinの論文、Biochemistry 22, 1621~1630 (1983))。この吸着剤は、イミノ二酢酸などの金属キレート形成リガンドをセファロースまたはスペロース(Superose)に結合し、それをZn2+、Cu2+、Cd2+、Hg2+、Co2+、Ni2+、またはFe2+などの1種類または複数種類の二価金属イオンの溶液で処理することによって調製される。この結合反応はpH依存性であり、溶出はpHを下げ、緩衝液のイオン強度を増すことによって、または緩衝液中にEDTAを含めることによって行われる。
タンパク質の遊離金属イオンとの結合を起こす実際の仕組みは十分には分かっておらず、少なからずその特定のタンパク質の高次構造である複数の要因に左右される。しかしながら金属イオンを固定化する場合、少なくとも3つの制限因子が働き、すなわち、その金属上の利用しうる配位部位の数が少ないこと、タンパク質上の結合部位へのその繋ぎ留められた金属のアクセシビリティが限定されること、およびその樹脂の特徴によっては固定化された金属イオンへのタンパク質の接近が制限されること、である。したがってそのタンパク質が固定化された金属イオンに対してアフィニティを示すか否かを推測的に決めることはきわめて困難である。
インターロイキン−18結合タンパク質(IL−18BP)は、IL−18カラム上で尿から最初にアフィニティ精製された天然に産出する可溶性タンパク質である(Novick等、1999年)。IL−18BPは、in vitroでIFN−γのIL−18誘発およびNF−κBのIL−18活性化を完全に破壊する。これに加えてIL−18BPは、LPSを注射したマウス中でのIFN−γ誘発を阻害する。
IL−18BP遺伝子はヒトの第11染色体に局在化しており、IL−18BP遺伝子を含む8.3 kbゲノム配列中には膜貫通ドメインをコードするエキソンは何も見出すことができなかった。選択的mRNAスプライシングにより生じるIL−18BPの4種類のイソ型がこれまでにヒトで確認されている。これらはIL−18BP a、b、c、およびdと命名され、すべて同じN末端を共有し、C末端が異なる(Novick等、1999年)。これらのイソ型は、それらのIL−18と結合する能力が異なる(Kim等、2000年)。これら4種類のヒトIL−18BP(hIL−18BP)イソ型のなかでイソ型aおよびcはIL−18を中和する能力を持つことが知られている。最も豊富にあるIL−18BPイソ型、すなわちイソ型aは、速い結合速度と遅い解離速度を有するIL−18に対する高いアフィニティと、約0.4 nMの解離定数(Kd)とを示す(Kim等、2000年)。IL−18BPは脾臓中に構成的に発現し、免疫グロブリンスーパーファミリーに属する。IL−18BPとIL−18の相互作用に関与する残基についてはコンピュータモデリングの使用を介して(Kim等、2000年)、また類似のタンパク質IL−1βと1型IL−1Rの間の相互作用に基づいて(Vigers等、1997年)説明されている。
IL−18BPは、多くの細胞中に構成的に存在し(Puren等、1999年)、健康なヒトの体内を循環しており(Urushihara等、2000年)、これらはサイトカイン生物学における独特な現象を代表している。IL−18に対するIL−18BPの高アフィニティ(Kd=0.4 nM)および循環中に見出される高濃度のIL−18BP(IL−18と比べて20倍のモル過剰量)のせいで、全部ではないがほとんどの循環中のIL−18がIL−18BPと結合すると思われる。したがってIL−18の細胞表面受容体と競合する循環IL−18BPは、天然の抗炎症および免疫抑制分子として働きうる。
IL−18BPは、乾癬、クローン病、慢性関節リウマチ、乾癬性関節炎、肝臓の損傷、敗血症、アテローム性動脈硬化、虚血性心疾患、アレルギーなどの複数の疾患および異常において治療用タンパク質として提案されており、例えばWO9909063、WO0107480、WO0162285、WO0185201、WO02060479、WO02096456、WO03080104、WO02092008、WO02101049、WO03013577を参照されたい。IL−18BPは、例えばヒトに投与するための治療用タンパク質として示唆されることを考慮すると、適切な量のIL−18BPが十分に高い純度で必要である。
しかしながら精製されたIL−18BPを提供するいずれの精製方法もこれまで有効でない。
発明の概要
本発明は、IL−18結合タンパク質(IL−18BP)の精製方法の開発に基づく。
したがって第一の態様において本発明は、IL−18BP精製のための疎水性電荷誘起クロマトグラフィーの使用法に関する。
第二の態様において本発明は、疎水性電荷誘起クロマトグラフィーのステップを含む、液体からIL−18結合タンパク質(IL−18BP)を精製する方法に関する。
より具体的には本発明の精製方法は、固定化金属イオンアフィニティクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、および逆相クロマトグラフィーから選択される精製ステップをさらに含む。
発明の詳細な説明
本発明は、精製されたIL−18BPをもたらすIL−18BP用の精製工程の開発に基づく。
第一の態様において本発明は、IL−18BP精製のための疎水性電荷誘起クロマトグラフィーの使用法に関する。好ましい実施形態において疎水性電荷誘起クロマトグラフィーステップのこのステップは、固定化金属イオンアフィニティクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、および逆相クロマトグラフィーから選択される1つまたは複数のステップと組み合わせて実施される。
好ましくはこの疎水性電荷誘起のステップは、4−メルカプトエチルピリジン(MEP)樹脂上で行われる。さらに好ましい実施形態ではこの疎水性電荷誘起のステップは、固定化金属イオンアフィニティクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、および逆相クロマトグラフィーから選択される1つまたは複数のステップと組み合わせて行われる。これら個々のクロマトグラフィーのステップは、任意の適切な順序で実施することができる。
第二の態様において本発明は、疎水性電荷誘起クロマトグラフィーのステップを含む、液体からIL−18結合タンパク質(IL−18BP)を精製する方法に関する。
本明細書中で用いる用語「樹脂」は、「背景技術」中で詳細に説明した例えばDEAE、CM、MEP、フェニルなどのリガンドまたは官能基で誘導体化することができる、例えばアガロース、セファロース、スペロース、デキストラン、セファデックス、ポリプロピレンなどのクロマトグラフィーカラムにおいて用いる任意のマトリックスまたは担体と関係がある。このマトリックス材料は、その特定の用途に応じて様々な架橋形態で存在することができる。この樹脂の体積および使用するカラムの長さと直径は、処理される液体の体積、本発明の方法にかけられる液体中のタンパク質の濃度などの幾つかのパラメータに左右され、これを決めるのは完全に当業者の技能の十分範囲内である。
疎水性電荷誘起クロマトグラフィーは、好ましくは固定化されたリガンドとして4−メルカプトエチルピリジン(MEP)を有する樹脂上で行われる。MEP HyperCel(登録商標)は、本発明の範囲内で特に好適な樹脂である。
好ましくはこの工程は、固定化金属イオンアフィニティクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、および逆相クロマトグラフィーから選択される少なくとも1つのステップをさらに含む。これら個々のクロマトグラフィーのステップは、任意の順序で実施することができる。また個々のステップはそれぞれ必要に応じて2回以上実施することもできる。
固定化金属イオンアフィニティクロマトグラフィーは、好ましくはキレーティングセファロースなどのキレート樹脂上で行われる。
イオン交換クロマトグラフィーのステップは、陰イオン交換体または陽イオン交換体を含むことができる。精製工程のこのステップを実施するには陽イオン交換クロマトグラフィー材料、具体的には弱陽イオン交換材料を使用するのが好ましく、またCMセファロースFFなどのカルボキシメチル(CM)樹脂を使用するのが非常に好ましい。
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)のステップは、固定化されたリガンドとしてアルキルまたはアリール残基を有する樹脂などの任意の周知のHIC樹脂上で実施することができる。ブチル、オクチル、またはフェニルセファロース(アガロース)は、このようなHIC樹脂の更なる例である。精製工程のこのステップにはフェニルセファロースFFなどのフェニル樹脂を用いるのが好ましい。
この精製工程は、さらに逆相クロマトグラフィーを含んで成る。このステップの好ましい材料は逆相Source 30 RPCである。
高度に好ましい実施形態では、液体からIL−18BPを精製するためのこの工程は、
(a)当該液体を固定化金属イオンアフィニティクロマトグラフィーにかけるステップ、
(b)この金属イオンアフィニティクロマトグラフィーの溶出液を疎水性電荷誘起クロマトグラフィーにかけるステップ、
(c)この疎水性電荷誘起クロマトグラフィーの溶出液を陽イオン交換クロマトグラフィーにかけるステップ、
(d)この陽イオン交換クロマトグラフィーのフロースルーを疎水性相互作用クロマトグラフィーにかけるステップ、
(e)この疎水性相互作用クロマトグラフィーの溶出液を逆相クロマトグラフィーにかけるステップ
を含む。
上記ステップ(a)から(e)の順序が好ましいが、本発明のこの工程のステップは、精製されたタンパク質産物に至らしめる任意の順序で実施することができる。また、或る純度、あるいは宿主細胞または培地由来の不純物の除去を達成するために本発明の任意のステップを単独で(独立して)実施することもできる。この好ましい精製工程ではIL−18BPは陽イオン交換樹脂と結合せず、したがってこのカラムのフロースルーは更なる処理に用いられることに注目されたい。本発明の精製方法の枠組内で用いられるその他の樹脂はIL−18BPと結合するが、不純物とは結合しない。結合および洗浄のステップの後、IL−18BPを一定の条件下で溶出する。これらのステップではそれぞれこの溶出液をさらに使用する。
ステップ(a)は、好ましくはキレーティングセファロースファストフローカラムなどのZn2+イオンをキレート化したキレーティングセファロースカラム上で行われる。好ましくはIL−18BPの結合はpH 8.5±0.1で、好ましくはこのpHを有する50 mMリン酸ナトリウムと0.5 M NaCl中で行われる。洗浄のステップは、平衡化緩衝液に溶かした15 mM塩化アンモニウムを用いて実施することができる。溶出は、好ましくはpH 9.0±0.5、例えばpH 8.7またはpH 9で、例えば0.075 M酢酸アンモニウム中、またはこのpHを有する0.06 M酢酸アンモニウム中で行われる。
ステップ(b)は、好ましくはMEP HyperCel(登録商標)(LifeSciences)などのMEP(4−メルカプトエチルピリジン誘導体)カラム上で行われる。IL−18BPの結合は、好ましくはpH 6.1±0.1で、例えばこのpHを有するPBS 1X+1 NaCl中で行われる。溶出は、好ましくはpH 8.4±0.1で、例えばpH 8.4±0.1を有する20 mMリン酸塩緩衝液プラス35%プロピレングリコールの混合物を用いて行われる。
ステップ(c)は、好ましくはカルボキシメチルセファロース(CM)カラム上で行われる。これは更なる精製のためにフロースルーを回収するステップである。このステップは、IL−18BPは、例えば塩およびpH条件と関係する特定の環境下ではこの樹脂と結合しないが、不純物(例えば宿主細胞タンパク質、血清由来のタンパク質)は、それと結合させるために用いられるこの樹脂と結合するという事実に基づいている。好ましくはステップ(c)はpH 6.0±0.2で、例えば1 mM MES(N−モルホリノエタンスルホン酸)の存在下で行われる。
ステップ(d)は、好ましくはフェニルセファロースファストフローカラムなどのフェニルセファロースカラム上で行われる。好ましくはIL−18BPの結合は約pH 9.1±0.2、例えば50 mMホウ酸ナトリウムと0.9 M硫酸アンモニウム中で、またはこのpHを有する0.10 M硫酸アンモニウム中で行われる。フェニルセファロースカラムからの溶出は、好ましくはpH 9.1±0.2の50 mMホウ酸ナトリウム中、このpHを有する0.15 M硫酸アンモニウム中などの高い塩濃度の存在下においてpH 9.1±0.2で行われる。
ステップ(e)は、好ましくはSource 30 RPCカラム上で行われる。このカラム材料とのIL−18BPの結合は、好ましくはpH 9.1±0.2で、例えば50 mMホウ酸ナトリウム緩衝液中で行われる。溶出は、好ましくは、IL−18BPをアセトニトリルに溶かした0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)/アセトニトリルの約28〜32%グラジエントを用いて実施する。
この精製ステップ(a)から(e)に関連する上記条件はまた、本発明の個々のステップまたはこれらステップの(部分)組合せを実施する場合にも適用することができることが分かる。
本発明の精製方法のさらに好ましい実施形態では、1つまたは複数の限外濾過のステップを実施する。限外濾過は、先行するクロマトグラフィーのステップから得られる溶出液中の低分子量成分の除去に役立つ。この限外濾過は、先行するステップからの有機溶剤、TFA、および塩類を除去して緩衝液全体の中でIL−18BPを平衡化し、かつ所望の濃度まで分子を濃縮することを可能にする。このような限外濾過は、例えば分子量が5 kDa未満の成分を排除する限外濾過媒体上で実施することができる。
好ましくは限外濾過はステップ(b)と(c)の間で、そして/またはステップ(e)の後に実施することができる。より好ましくはステップ(b)と(c)の間で1つ、ステップ(e)の後に1つの2つの限外濾過のステップを実施する。
本発明の方法により精製されるタンパク質がヒトへの投与を意図する場合、有利にはこの工程中にさらにウィルス除去の1つまたは複数のステップを含む。好ましくはウィルス濾過のステップはステップ(d)と(e)の間で行われる。ウィルス除去の濾過ステップはステップ(e)の後に実施するのがさらに好ましい。より好ましくはこの方法は、少なくとも2つのウィルス除去のステップを含み、一方はステップ(d)と(e)の間で行い、他方はステップ(e)の後に実施する。
IL−18BPが精製される元の液体の初期体積が大きい場合、実際に精製工程を開始する前にタンパク質を捕捉し、それをより少量の緩衝液中に再懸濁することによって材料の体積を減らすのが有利である。
したがってさらに好ましくは本発明の方法は、最初の捕捉のステップ、すなわち前述の精製ステップのいずれかの前、好ましくは上記工程のステップ(a)の前に実施するステップを含む。
好ましい実施形態ではこの捕捉のステップはイオン交換クロマトグラフィーにより行われる。好ましくはこの捕捉のステップに用いられるイオン交換樹脂は、例えばQセファロースファストフローなどの強陰イオン交換マトリックスである。イオン交換材料としてTMAE Fractogel(登録商標)(またはTMAE HiCap(登録商標))などのトリメチルアミノエチルから誘導される樹脂を用いるのが高度に好ましい。有利にはこの捕捉のステップは、粗製材料中に存在する全異物の60%超を除去する。
貯蔵または輸送を容易にするには、例えばこの材料を、本発明の任意の精製ステップの前および/または後に凍結融解することができる。
本発明によれば精製されるIL−18BPは、天然すなわち生物起源のIL−18BPであってもよい。したがってそれは、例えば尿のような体液からなど、任意の天然の供給源または材料から精製することができる。
IL−18BPはまた任意の動物またはヒトの供給源から得ることができる。好ましくはこの精製されるIL−18BPはヒトのものであり、またより好ましくは組換えIL−18BPである。組換えIL−18BPは、大腸菌のような細菌系中などの原核細胞発現系中で産生することができる。またこれは、酵母、昆虫、または哺乳動物の細胞などの真核細胞発現系中で産生することもできる。本発明によれば、IL−18BPを動物細胞系統など、哺乳動物細胞中またはヒト細胞系統中で発現させることが好ましい。チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)は、IL−18BPの発現用に特に適した細胞系統の例である。
精製されるIL−18BPがそれを分泌する哺乳動物の細胞によって発現される場合、本発明の精製方法の出発材料は、採取または粗製IL−18BPとも呼ばれる細胞培養上清である。動物血清を含有する培地中で当該細胞を培養する場合、この細胞培養上清もまた不純物として血清タンパク質を含有する。
好ましくはこのIL−18BP発現細胞は、無血清の条件下で培養される。この場合、本発明の精製方法の出発材料は、不純物として主に宿主細胞タンパク質を含有する、無血清細胞培養上清である。例えばインスリンなどの成長因子を細胞培養培地に加える場合、好ましくは精製工程の間にそれらタンパク質を排除するのが良い。
IL−18BPは可溶性の分泌タンパク質であるので、その天然シグナルペプチドによって、または異種シグナルペプチド、すなわち別の分泌タンパク質から得られるシグナルペプチドであって、使用するこの特定の発現系でより一層効率的である可能性のあるシグナルペプチドによって細胞培養上清中に放出される。したがってIL−18BPの精製がなされる元の液体は、好ましくは例えばCHO細胞上清などの細胞培養上清である。細胞を血清含有培地中で培養する場合、細胞培養上清は動物由来の血清を含む可能性がある。無血清培地中、すなわちウシ胎児または他の動物源から得られる無血清培地培地中で成長した細胞の上清からタンパク質を精製することが好ましい。
用語「IL−18結合タンパク質」は、本明細書中では「IL−18BP」と同義に用いる。この用語は、WO99/09063中またはNovick等(1999年)中で定義されているようなIL−18結合タンパク質と関連性がある。この用語IL−18BPには、Kim等(2000年)中で定義されているようなIL−18結合タンパク質のスプライス変異型および/またはイソ型、具体的にはヒトのIL−18BPのイソ型aおよびcが含まれる。本明細書中で用いる用語「IL−18BP」には、さらにWO99/09063中で定義されているIL−18BPの突然変異タンパク質、機能的誘導体、活性画分、融合タンパク質、円順列変異タンパク質、および塩が含まれる。
本発明による精製工程にかけられるIL−18BPは、グリコシル化または非グリコシル化IL−18BPであることもでき、尿などの天然の供給源から誘導することもでき、あるいは好ましくは組換えにより産生することもできる。組換え発現は、E. coliのような原核細胞発現系中、または真核細胞発現系中、好ましくは哺乳動物発現系中で実施することができる。
本明細書中で用いる用語「突然変異タンパク質」とは、その得られる産物の活性を野生型IL−18BPまたはウィルスIL−18BPと比べてあまり変えることなく、天然IL−18BPまたはウィルスIL−18BPのアミノ酸残基の1個または複数個が別のアミノ酸残基によって置換もしくは欠失されるか、あるいはIL−18BPまたはウィルスIL−18BPの天然配列に1個または複数個のアミノ酸残基が付加されているIL−18BPの類似体またはウィルスIL−18BPの類似体を指す。これらの突然変異タンパク質は、周知の合成法および/または部位指定突然変異誘発技術により、あるいはそれに適した任意の他の周知の技術により調製される。
本発明による突然変異タンパク質には、ストリンジェントな条件下でIL−18BPをコードするまたはウィルスIL−18BPをコードするDNAまたはRNAとハイブリッドを形成するDNAまたはRNA(両方ともWO99/09063に開示されている)などの核酸がコードするタンパク質が含まれる。用語「ストリンジェントな条件」とは、当業者が慣例的に「ストリンジェント」と呼ぶハイブリッド形成とその後の洗浄の条件を指す。Ausubel等の著Current Protocols in Molecular Biology、上記InterScience, N.Y. §§6.3および6.4(1987年、1992年)を参照されたい。限定しないがストリンジェントな条件の例には、例えば検討中のハイブリッドの計算されたTm未満の12〜20℃で5分間の2×SSCおよび0.5%SDS、15分間の2×SSCおよび0.1%SDS、37℃で30〜60分間の0.1×SSCおよび0.5%SDS、次いで68℃で30〜60分間の0.1×SSCおよび0.5%SDSの洗浄条件が挙げられる。当業者は、これらストリンジェントな条件がまたDNA配列の長さ、オリゴヌクレオチドプローブ(塩基10〜40個など)、または混合オリゴヌクレオチドプローブによって決まることを理解している。混合プローブを使用する場合、SSCの代わりに塩化テトラメチルアンモニウム(TMAC)を使用することが好ましい。前掲Ausubelを参照されたい。
同一性は、2つ以上のポリペプチド配列間の関係または2つ以上のポリヌクレオチド配列間の関係を反映し、それら配列を比較することによって求められる。一般に同一性とは、その比較される配列の長さにわたってのこれら2つのポリペプチドまたは2つのポリヌクレオチドのそれぞれ厳密なヌクレオチド対ヌクレオチドまたはアミノ酸対アミノ酸の一致を指す。
正確な一致が存在しない配列については、「同一性(%)」を求めてもよい。比較される2つの配列は、一般にそれら配列間の最高の相関関係を与えるようにアラインされる。これにはアライメントの度合いを高めるために、どちらか一方または両方の配列中に「ギャップ」を挿入することを含めることができる。同一性%は、比較される配列のそれぞれの全長にわたって求めることができ(いわゆるグローバルアライメント)、これは同一または非常に似た長さの配列に特に適しており、あるいはより短い限定された長さにわたって求めることもでき(いわゆるローカルアライメント)、これは不均等の長さの配列により適している。
2つ以上の配列の同一性および相同性を比較する方法は当業界でよく知られている。例えば2つのポリヌクレオチド間の同一性%および2つのポリペプチド配列間の同一性(%)と相同性%を求めるには、例えばWisconsin Sequence Analysis Package, version 9.1(Devereux J等、1984年)中の利用可能なプログラム、例えばプログラムBESTFITおよびGAPを用いることができる。BESTFITは、SmithおよびWatermanの「ローカルホモロジー」アルゴリズム(1981)を使用し、2つの配列間の類似の最善のただ一つの領域を見つけ出す。配列間の同一性および/または類似度を求めるための他のプログラム、例えばBLAST系統群のプログラム(Altschul S F等、1990年(www. ncbi.nlm.nih.govでNCBIのホームページを通じてアクセスできるAltschul S F等、1997年))およびFASTA(Pearson W R、1990年)もまた当業界で知られている。
このようないかなる突然変異タンパク質も好ましくはIL−18BPとほぼ似た活性を有するようなIL−18BPのアミノ酸配列と十分に重複した配列を有するか、またはウィルスIL−18BPのアミノ酸配列と十分に重複した配列を有する。IL−18BPの活性の一つは、IL−18と結合する能力である。当該突然変異タンパク質が実質上IL−18との結合活性を有する限り、それをアフィニティクロマトグラフィーなどによるIL−18の精製に用いることができ、したがってそれはIL−18BPと実質上同様の活性を有すると考えることができる。したがってそのような突然変異タンパク質を、例えば放射線イムノアッセイまたはELISAアッセイなど、適切に標識したIL−18と結合するか否かを判定する簡単なサンドイッチ競合アッセイにかけることを含むルーチンな実験手段によって、任意の与えられた突然変異タンパク質がIL−18BPと実質上同じ活性を有するかどうかを決めることができる。
好ましい実施形態では、前記突然変異タンパク質のいずれも、WO99/09063中で規定するようなIL−18BPまたはウィルスをコードしたIL−18BP相同体のどちらかの配列と少なくとも40%の同一性または相同性を有する。より好ましくは少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または最も好ましくはそれと少なくとも90%の同一性または相同性を有する。
本発明により用いることができるIL−18BPポリペプチドの突然変異タンパク質またはウィルスIL−18BPの突然変異タンパク質、あるいはそれらをコードする核酸は、過度の実験を実施することなく本明細書中で提示された教示または手引きに基づいて当業者が日常的に得ることができる置換ペプチドまたはポリヌクレオチドとしての実質的に相当の配列の有限集合を含む。
本発明による突然変異タンパク質にとって好ましい変化は、「保存的」置換として知られているものである。IL−18BPポリペプチドまたはタンパク質、あるいはウィルスIL−18BPの保存的アミノ酸置換には、グループのメンバー間の置換がその分子の生物機能を保存することになる十分に類似した物理化学的特性を有するグループ内の同義アミノ酸を含めることができる(Grantham、1974年)。アミノ酸の挿入および欠失はまた、具体的にはそれら挿入および欠失が少数、例えば30個未満、好ましくは10個未満のアミノ酸とのみ関係していて機能コンホメーションにとって重要なアミノ酸、例えばシステイン残基を除去または置換しない場合には、それらの機能を変えることなく上文で規定するような配列中で実施することができることは明らかである。このような欠失および/または挿入により生成したタンパク質および突然変異タンパク質は、本発明の範囲内にある。
好ましくはこの同義アミノ酸グループは表1中で規定されるものである。より好ましくはこの同義アミノ酸グループは表2中で規定されるものであり、最も好ましくはこの同義アミノ酸グループは表3中で規定されるものである。
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本発明で使用するIL−18BPポリペプチドまたはタンパク質の突然変異タンパク質、あるいはウィルスIL−18BPの突然変異タンパク質を得るために用いることができるタンパク質中のアミノ酸置換の生成の例には、Mark他の米国特許第4,959,314号、第4,588,585号、および第4,737,462号、Koths他の第5,116,943号、Namen他の第4,965,195号、Chong他の第4,879,111号、およびLee他の第5,017,691号中で提示されているような任意の公知の方法のステップ、および米国特許第4,904,584号(Shaw他)中で提示されているリシン置換タンパク質が含まれる。
用語「融合タンパク質」は、例えば体液中で長期滞留時間を有する別のタンパク質と融合した、IL−18BP、ウィルスIL−18BP、あるいはそれらの突然変異タンパク質または断片を含むポリペプチドを指す。したがってIL−18BPまたはウィルスIL−18BPは、別のタンパク質、ポリペプチドなど、例えば免疫グロブリンまたはその断片と融合させることができる。
本明細書中で用いる「機能的誘導体」は、当業界で知られている手段により、残基上の側鎖あるいはNまたはC末端基として生ずる官能基から調製することができるIL−18BPまたはウィルスIL−18BPの誘導体ならびにそれらの突然変異タンパク質および融合タンパク質を包含し、それらが医薬として許容される状態のままである限り、すなわちそれらがIL−18BPまたはウィルスIL−18BPの活性とほぼ類似のタンパク質の活性を破壊せず、かつそれを含有する組成物に毒性を与えない限り本発明に含まれる。
これらの誘導体には、体液中のIL−18BPまたはウィルスIL−18BPの抗原部位をマスキングし滞留を延ばすことができる、例えばポリエチレングリコール側鎖を含めることができる。他の誘導体には、カルボキシル基の脂肪族エステル類、アンモニアまたは第一もしくは第二アミンとの反応によるカルボキシル基のアミド類、アシル部分で形成されるアミノ酸残基の遊離アミノ基(例えばアルカノイルまたは炭素環式アロイル基)のNアシル誘導体、あるいはアシル部分で形成される遊離ヒドロキシル基のOアシル誘導体(例えばセリルまたはトレオニル残基の誘導体)が挙げられる。
IL−18BPまたはウィルスIL−18BP、突然変異タンパク質、および融合タンパク質の「活性画分」として、本発明は、当該タンパク質分子単独のポリペプチド鎖の任意のフラグメントまたは前駆物質、あるいは関連する分子またはそれと結合した残基、例えば糖またはリン酸の残基を伴うタンパク質分子のポリペプチド鎖の任意のフラグメントまたは前駆物質、あるいはタンパク質分子または糖残基単独の凝集体を包含するが、但し、前記画分はIL−18BPとほぼ同様の活性を有するという条件がある。
本明細書中の用語「塩」は、IL−18阻害分子またはその類似体のカルボキシル基の塩およびアミノ基の酸付加塩の両方を指す。カルボキシル基の塩は当業界で周知の手段により形成することができ、これには無機塩、例えばナトリウム、カルシウム、アンモニウム、鉄、または亜鉛塩などと、例えばトリエタノールアミン、アルギニンもしくはリシン、ピペリジン、プロカインなどのアミンで形成される有機塩基との塩とが挙げられる。酸付加塩には、例えば塩酸または硫酸などの鉱酸との塩と、例えば酢酸またはシュウ酸などの有機酸との塩が、例えば挙げられる。当然ながらこのような任意の塩は、血液細胞中のIFN−γの誘発などのIL−18阻害剤の生体活性を保持しなければならない。
IL−18BPおよびそのスプライス変異型/イソ型の配列は、WO99/09063またはNovick等(1999)から、またKim等(2000)から得ることができる。
IL−18BPの機能的誘導体は、ポリマーに接合して安定性、半減期、バイオアベイラビリティ、人体の耐性、または抗原性などのタンパク質の特性を向上させることができる。この目的を達成するためにIL−18BPを、例えばポリエチレングリコール(PEG)に連結することができる。PEG化は、例えばWO92/13095に記載の公知の方法によって実施することができる。したがって好ましい実施形態では当該機能的誘導体は、アミノ酸残基上の1個または複数個の側鎖として存在する1個または複数個の官能基に付着した少なくとも1個の部分を含んで成る。この部分がポリエチレングリコール(PEG)部分である実施形態が高度に好ましい。
本発明のなお一層好ましい実施形態ではIL−18BPは免疫グロブリン融合体を含んで成る。すなわちそのIL−18阻害剤は、免疫グロブリンの全体または一部と融合しているIL−18BP結合タンパク質の全体または一部を含む融合タンパク質である。免疫グロブリン融合タンパク質の作出方法は、例えばWO01/03737に記載のものなど、当業界でよく知られている。当業者ならば、本発明により得られる融合タンパク質がIL−18BPの生体活性、具体的にはIL−18との結合を保持することが分かるはずである。この融合は直接であってもよく、また長さがわずか1から3個のアミノ酸残基、またはもっと長い、例えば長さ13個のアミノ酸残基であることもできる短いリンカーペプチドを介してでもよい。上記リンカーは、例えば配列E−F−M(Glu−Phe−Met)のトリペプチド、またはIL−18BP配列と免疫グロブリン配列の間に導入されたGlu−Phe−Gly−Ala−Gly−Leu−Val−Leu−Gly−Gly−Gln−Phe−Metを含む13個のアミノ酸リンカー配列であってもよい。この得られた融合タンパク質は、体液中での長い滞留時間(半減期)、大きな比活性、発現レベルの増大などの改良された特性を有し、または当該融合タンパク質の精製が容易である。
好ましい実施形態ではIL−18BPは、Ig分子の定常領域と融合する。好ましくはそれは、例えばヒトIgG1のCH2およびCH3ドメインのような重鎖領域と融合する。IL−18BPと免疫グロブリンの一部とを含む特定の融合タンパク質の生成については、例えばWO99/09063の実施例11中に記載されている。例えばイソ型IgG2またはIgG4、あるいはIgMまたはIgAのような他のIgクラスなどのIg分子の他のイソ型もまた、本発明による融合タンパク質の生成に適している。融合タンパク質は、単量または多量体、ヘテロまたはホモ多量体であってもよい。
第三の態様において本発明は、本発明の精製方法によって精製したタンパク質に関する。下記においてこのようなタンパク質はまた「精製IL−18BP」とも呼ばれる。このような精製IL−18BPは、好ましくは高度に精製したIL−18BPである。高度に精製したIL−18BPは、例えば1レーン当たり2 mcgの量のタンパク質を充填した後、銀染色したPAGEゲル中の単一バンドの存在によって判定される。精製IL−18BPはまた、HPLCにおける単一ピークとしての移動と定義することもできる。
本発明の精製方法から得られるIL−18BP調製物は、不純物を20%未満、好ましくは不純物を10%未満、5%未満、3%未満、2%未満、1%未満含有してもよく、または同質になるまで、すなわちいかなるタンパク質性汚染物質も含まなくなるまで精製することもできる。
精製IL−18BPは治療用途向け、すなわち患者への投与用であってもよい。精製IL−18BPを患者に投与する場合、それは好ましくは全身的投与であり、また好ましくは皮下または筋内、あるいは局所的すなわち或る特定の場所である。また精製IL−18BPの特殊な用途によっては直腸または鞘内投与が適している場合もある。
この目的に対しては精製IL−18BPを医薬組成物として、すなわち医薬として許容される担体、賦形剤などと共に調合することができる。
「医薬として許容される」の定義は、その活性成分の生体活性の有効性を妨げず、かつそれを投与される宿主にとって毒性でない任意の担体を包含することを意味する。例えば非経口投与の場合、その活性タンパク質は、塩類液、デキストロース溶液、血清アルブミン、リンゲル液などの基剤に溶かした注射用単位剤形に調合することができる。
本発明による医薬組成物の活性成分は、様々な方法で個体に投与することができる。投与の経路には、皮内、経皮的(例えば徐放性製剤で)、筋内、腹膜内、静脈内、皮下、経口、頭蓋内、硬膜外、局所的、直腸、および鼻腔内の経路が挙げられる。任意の他の治療上効能のある経路、例えば上皮または内皮組織を通じての吸収、または活性成分をコードし、当該活性成分をin vivoで発現また分泌させるDNA分子を患者に投与(例えばベクターを介して)する遺伝子治療による吸収を用いることができる。これに加えて本発明によるタンパク質は、医薬として許容される界面活性剤、賦形剤、担体、希釈剤、および基剤などの生理活性物質の他の成分と共に投与することができる。
非経口(例えば、静脈内、皮下、筋内)投与の場合、その活性タンパク質は、医薬として許容される非経口基剤(例えば、水、塩類液、デキストロース溶液)ならびに等張性を維持する添加剤(例えばマンニトール)または化学的安定性を維持する添加剤(例えば保存剤および緩衝液)と一緒に溶液、懸濁液、乳化液、または凍結乾燥粉末として調合することができる。この製剤は、通常用いられる技術により滅菌される。
本発明による活性タンパク質のバイオアベイラビリティはまた、人体中の分子の半減期を増す、例えばWO92/13095に記載のように分子をポリエチレングリコールと連結させる接合手順を用いることによって改良することができる。
この活性タンパク質の治療に有効な量は、拮抗物質の種類、IL−18との拮抗物質のアフィニティ、当該拮抗物質が示す残留細胞障害活性、投与の経路、患者の臨床上の状態(内因性IL−18BP活性のもつ非毒性レベルを維持することの望ましさの度合いを含む)を含めた多くの変数の関数であるはずである。
「治療に有効な量」は、投与したときそのIL−18阻害剤がIL−18の生体活性の阻害を引き起こすような量である。個体に単一回または複数回投与量として投与される用量は、IL−18阻害剤の薬動力学的特性、投与の経路、患者の状態および特質(性別、年齢、体重、健康状態、身長)、症状の程度、併用療法、治療頻度、および望ましい効果を含めた様々な要因に応じて変わることになる。既定の用量範囲の調整および取扱いは、完全に当業者の能力、ならびに一人一人のIL−18の阻害を判定するin vitroおよびin vivoの方法の性能の範囲内にある。
精製IL−18BPは、体重1kg当たり約0.001から100 mgまたは約0.01から10 mg、あるいは体重1kg当たり約0.1から5 mgまたは約1から3 mg、あるいは体重1kg当たり約2 mgの量で使用することができる。
さらに好ましい実施形態ではこの精製IL−18BPは、毎日、隔日、週に3回、または週に1回投与される。
1日当たりの用量は、一般に所望の結果を得るのに有効な分割した用量または持続放出形態で与えられる。二回目またはそれ以降の投与は、その個体に最初または以前に投与された用量と同じか、より少ないか、またはより多い1回分の用量で実施することができる。その病気の間または始まる前に二回目またはそれ以降の投与を行ってもよい。
本発明によれば精製IL−18BPは、治療に有効な量を予防のためにまたは治療のために他の養生法または治療薬(例えば多剤療法)に先立って、または同時に、または続けて個体に投与することができる。
精製IL−18BPは、複数種類の疾患または異常の治療および/または予防用の医薬品の調製に用いることができる。このような疾患または異常は、好ましくはIL−18が介在する異常である。具体的には精製IL−18BPは、乾癬、乾癬性関節炎、クローン病、慢性関節リウマチ、アルコール性肝硬変などの肝臓の損傷、敗血症、アテローム性動脈硬化症、虚血性心疾患、アレルギー、特に遅延型過敏反応、および非開放性頭部損傷の治療および/または予防に用いることができる。
これまで本発明を完全に述べてきたが、同様のことを本発明の精神および範囲から逸脱することなくまた過度の実験を実施することなく、広範囲の同等のパラメータ、濃度、および条件内で実施することができることを当業者は理解するはずである。
本発明をその具体的な実施形態と結び付けて記述してきたが、さらなる変更が可能であるあることが理解されるはずである。本願は、全般的には本発明の原理に従う、また本発明が属する業界内の周知のまたは慣習的なやり方に入るような、かつ本明細書中ですでに述べ、別添の特許請求の範囲中の範囲の通りの本質的な特徴に当てはめることができるような本発明の開示内容からの逸脱を含めた、本発明のどのような変形形態、使用法、または適応形態をも包含することを意図している。
雑誌の論文または要約、公告また非公告の米国または外国特許出願、発行済みの米国または外国特許、あるいは任意の他の文献を含めた本明細書中で引用するすべての文献は、それら引用文献中で提示されているすべてのデータ、表、図、および本文を含めて参照により全体を本明細書中に組み込む。さらに本明細書中で引用した文献中に引用されている文献の全内容もまた参照によりその全体を組み込む。
既知の方法のステップ、従来の方法のステップ、既知の方法、または従来の方法に対する言及は、決して本発明の任意の態様、説明、または実施形態がこの関連業界で開示、教示、または示唆されていることを認めることではない。
これら特定の実施形態の上記の説明が本発明の全般的本質を十分明らかにしているので、他の人々は過度の実験を実施することなく、本発明の全般的な概念から逸脱することなく、当業界の技術の範囲内の知識を適用することによってこのような特定の実施形態を容易に改変しかつ/または様々な用途に応用することができるはずである。したがってこのような適応形態および修正形態は、本発明の趣旨を超えずに本明細書中で提示した教示および手引きに基づく開示した実施形態の均等物の範囲にあると考える。本明細書中の語法または術語は説明を目的とし、限定することが目的ではなく、したがって本明細書の語法または術語は、当業者の知識と組み合わせて本明細書中で提示した教示および手引きに照らし、当業者により解釈されることになることを理解されたい。
実施例1、無血清CHO細胞上清からの組換えヒトIL−18BPの精製
1.捕捉のステップ
IL−18BP発現CHO細胞由来の無血清細胞培養上清300 L中に存在するIL−18BPをQセファロースFF樹脂上で捕捉した。この捕捉した材料を、数滴の35%オルトリン酸(H3PO4)および約0.35 Mに相当する量の固体NaClを加えることによってpH 8.5±0.1、導電率50±5 mS/cmに調整した。
2.精製工程
上記(1)により捕捉した材料から出発する精製工程を次に詳細に述べる。精製工程の工程図を図1に示す。
一般にpHおよび導電率の値は、温度+25℃における値である。
カラムを、UVモニターを用いて連続的にモニタリングし、280 nmにおける吸光度を測定した。
2.1 ステップ(a):キレーティングセファロースファストフロー上でのIMAC
装置
・クロマトグラフィーカラム:XK1.6×20 cm(Amersham Biosciences)
・2個のチャネル記録計を備えたUVモニター(光路長2.5 mm)(Amersham Biosciencesまたは同等品)
・蠕動ポンプ(Minipuls Gilsonまたは同等品)
・UV分光光度計(Shimadzuまたは同等品)
・pHメーター(Metrohmまたは同等品)
・電気伝導度測定器(Metrohmまたは同等品)
・天秤(MettleToledoまたは同等品)
材料
・キレーティングセファロースファストフロー樹脂(Amersham Biosciences)
・水酸化ナトリウムペレット(Merck)
・硫酸銅(Merck)
・氷酢酸(Merck)
・エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)(Fluka)
・塩化ナトリウム(NaCl)(Merck)
・精製水(Modulabまたは同等品)
・リン酸二ナトリウム水素二水化物(Merck)
・酢酸アンモニウム(Merck)
・25%アンモニア溶液(Merck)
・85%オルトリン酸(Merck)
・50%水酸化ナトリウム溶液(Baker)
緩衝液および溶液
・金属充填液:0.2 M硫酸銅
・酸性化水
・平衡化緩衝液:50 mMリン酸ナトリウム(pH 8.5±0.1)、0.5 M NaCl
・溶出緩衝液:0.075 M酢酸アンモニウム(pH 9.0±0.1)
・再生液:20 mMリン酸ナトリウム(pH 5.8±0.3)、0.5 M NaCl、50 mM EDTA
・殺菌液:0.5 M NaOH
製造者の使用説明書に従ってカラムにキレーティングセファロースファストフロー樹脂を充填した。殺菌のためにこのカラムを少なくとも3 BV(カラム体積)の0.5 M NaOHでフラッシュし、室温で1時間インキュベートし、次いでカラムを3 BVの精製水ですすいだ。
上記(1)で述べた捕捉のステップで得られた濃縮r−hIL−18BPの220〜300 mgを解凍し、数滴の35%オルトリン酸(H3PO4)および約0.35 Mに相当する量の固体NaClを加えることによってpH 8.5±0.1、導電率50±5 mS/cmに調整した。
このクロマトグラフィーカラムをまずpHが<4.5になるまで5〜6 BVの酸性化水でフラッシュした。次いでこのカラムを吸光度が基線に達するまで3 BVの0.2 M硫酸銅および4 BVの酸性化水でフラッシュした。
次にこのカラムを、6 BV以上の平衡化緩衝液50 mMリン酸ナトリウム(pH 8.5±0.1)、0.5 M NaCl(導電率50±5 mS/cm)をカラムに通してフラッシュすることにより平衡化した。そのpHおよび導電率を確認し、カラムの流出液のパラメータが目標値、すなわちpH 8.5±0.1、導電率50±5 mS/cmからはずれている場合は洗浄を続けた。
次いで出発材料すなわち上記のように調製した捕捉後r−hIL−18BPをカラムに充填した。試料の充填終了後、カラムを5〜10 BVの平衡化緩衝液でフラッシュした。これらの画分は細胞培養不純物のみを含有するので廃棄した。
溶出を0.075 M酢酸アンモニウムpH 9.0±0.1、導電率7.6±0.5 mS/cmで開始した。r−hIL−18BPは開始から約0.5 BV後に主ピークとして溶出し始めた。
この主ピークの3〜5 BVを回収した。この主ピークは、オンラインODが急に増加したとき始まる。
溶出終了後、このカラムをEDTAを含有する再生緩衝液3〜5 BVでフラッシュした。このサンプル採取した画分は、樹脂から外れた銅と細胞培養不純物とを含有した。
殺菌のためにカラムを少なくとも3 BVの0.5 M NaOHでフラッシュし、1時間インキュベートし、次いでそのカラムを3 BVの精製水ですすいだ。次いでこのカラムを少なくとも3 BVの保存液10 mM NaOHでフラッシュし、次のサイクルまで室温で貯蔵する。
2.2 ステップ(b):MEP HyperCel上でのHIC/IEC
このステップは、MEP樹脂、すなわち疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)とイオン交換クロマトグラフィー(IEC)の中間混合物である疎水性電荷誘起クロマトグラフ樹脂上で実施する。
装置
・クロマトグラフィーカラム:XK1.6×20 cm(Amersham Biosciences)
・2個のチャネル記録計を備えたUVモニター(光路長2.5 mm)(Amersham Biosciencesまたは同等品)
・蠕動ポンプ(Minipuls Gilsonまたは同等品)
・UV分光光度計(Shimadzuまたは同等品)
・pHメーター(Metrohmまたは同等品)
・電気伝導度測定器(Metrohmまたは同等品)
・天秤(MettleToledoまたは同等品)
材料
・IMAC後r−hIL−18BP
・MEP HyperCel(登録商標)樹脂(BioSepra−Cypergen Biosystems)
・水酸化ナトリウムペレット(Merck)
・塩化カリウム(Merck)
・エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)(Fluka)
・塩化ナトリウム(NaCl)(Merck)
・精製水(Modulabまたは同等品)
・リン酸二ナトリウム水素七水化物(Merck)
・リン酸二ナトリウム水素一塩基性二水化物(Merck)
・リン酸カリウム(Merck)
・1, 2−プロパンジオール(プロピレングリコール)(Merck)
・85%オルトリン酸(Merck)
・50%水酸化ナトリウム溶液(Baker)
緩衝液および溶液
・平衡化緩衝液:リン酸緩衝塩類液(PBS)1×pH 6.1±0.1、1 NaCl(導電率95±5 mS/cm)
・洗浄緩衝液:PBS 1×pH 6.1±0.1、導電率16±2 mS/cm
・溶出緩衝液:20 mMリン酸緩衝液(pH 8.4±0.1)、35%プロピレングリコール(導電率1.1±0.3 mS/cm)
・再生液1:精製水
・再生液2:100 mM EDTA
・殺菌液:1M NaOH
製造者の使用説明書に従ってカラムにMEP HyperCel(登録商標)樹脂を充填した。
ステップ(a)で得られたIMAC後r−hIL−18BPを、導電率が95±5 mS/cmになるまで攪拌しながら1M NaClを補った。
カラムの殺菌のためにこのカラムを少なくとも1 BVの0.5 M NaOHでフラッシュし、次いで3〜5 BVの精製水ですすいだ。
カラムの平衡化のためにこのカラムを6 BV以上の平衡化緩衝液PBS 1×pH 6.1±0.1、1 NaCl(導電率95±5 mS/cm)でフラッシュした。pHおよび導電率を確認し、カラムの流出液のパラメータが目標値、すなわちpH 6.1±0.1、1 NaCl(導電率95±5 mS/cm)からはずれている場合は洗浄を続けた。
次いでこの材料にステップ(a)で得られた材料を充填した。
充填後、このカラムを6 BVの平衡化緩衝液PBS 1×pH 6.1±0.1、1 NaCl(導電率95±5 mS/cm)でフラッシュした。この画分は細胞培養不純物のみを含有するので廃棄した。カラムの過剰充填の場合、この画分は若干のr−hIL−18BPを含有することもある。
次にこのカラムを10 BVの洗浄緩衝液PBS 1×pH 6.1±0.1、導電率16±2 mS/cmでフラッシュした。細胞培養不純物のみを含有するこの画分もまた廃棄した。カラムの過剰充填の場合、この画分は若干のr−hIL−18BPを含有することもある。
次に溶出を溶出緩衝液20 mMリン酸緩衝液(pH 8.4±0.1)、35%プロピレングリコール(導電率0.8±0.1 mS/cm)で開始した。r−hIL−18BPは開始から約0.5 BV後に主ピークとして溶出し始めた。クロマトグラフの変化図に従って、ほぼ最初の0.5 BV(廃棄)後の吸光度の急激な増加から始まる主ピークの8〜10 BVを回収した。この溶出液は半精製r−hIL−18BPを含有した。
再生のためにこのカラムを少なくとも6 BVの再生液1、続いて10 BVの再生液2でフラッシュした。このカラムを再生液中に一晩放置して再生効果をさらに向上させた。次いでカラムを少なくとも6 BVの精製水ですすいだ。これらの細胞培養不純物を含有する画分は廃棄した。
殺菌のためにこのカラムを少なくとも6 BVの1 M NaOHでフラッシュし、その流れを1時間止め、次いで少なくとも6 BVの精製水ですすいだ。
貯蔵のためにこのカラムを少なくとも3 BVの保存液、すなわち0.1 M NaOHでフラッシュし、次のサイクルまで室温で貯蔵した。
2.3 中間ステップ:限外濾過
装置
・限外濾過装置Vivaflow 200、カットオフ5000D(RC、PES、またはHydroSart)(Sartoriusまたは同等品)
・蠕動ポンプ型Masterflexまたは同等品
・UV分光光度計(Shimadzuまたは同等品)
・pHメーター(Metrohmまたは同等品)
・電気伝導度測定器(Metrohmまたは同等品)
・天秤(MettleToledoまたは同等品)
材料
・IMAC後r−hIL−18BP中間体
・水酸化ナトリウムペレット(Merck)
・精製水(Modulabまたは同等品)
ダイアフィルトレーション用溶液
・ModulabまたはMilli Q systemsによる精製水
・殺菌液:0.5 M NaOH
手順
この限外濾過のステップは室温(+20±5℃)で行った。
限外濾過器の殺菌のために約500 mLの0.5 M NaOHを少なくとも30分間濾過し、次いでこの限外濾過器を透過液のpHが7.5未満になるまで精製水ですすいだ。
MEP後画分を精製水で1 : 2に希釈し、この限外濾過器で濾過した。この溶液を出発体積の約10分の1〜2まで濃縮し、この濃縮液画分をその濃縮液の導電率が<100 μS/cmになるまで精製水で透析した。濃縮液の導電率を体積約150〜200 mLまで水で希釈した後に調整した。
濃縮液画分を回収し、その限外濾過器を精製水で洗浄した。洗浄画分を回収し、濃縮液画分と一緒にした(最終体積200〜250 mL)。
限外濾過器は、500 mLの0.5 M NaOHを30分間以上濾過し、続いてその限外濾過器を透過液のpHが7.5未満になるまで精製水で洗浄することによって殺菌された。この限外濾過器は、次のサイクルまで0.05 M NaOH中に+4℃±3℃で貯蔵した。
2.4 ステップ(c):CMセファロースファストフロー上でのIEC
装置
・クロマトグラフィーカラム:AC10/20 cm(Amersham Biosciences)
・2個のチャネル記録計を備えたUVモニター(光路長2.5 mm)(Amersham Biosciencesまたは同等品)
・蠕動ポンプ(Minipuls Gilsonまたは同等品)
・UV分光光度計(Shimadzuまたは同等品)
・pHメーター(Metrohmまたは同等品)
・電気伝導度測定器(Metrohmまたは同等品)
・天秤(MettleToledoまたは同等品)
材料
・限界濾過済みのMEP後r−hIL−18BP中間体
・CMセファロースFF樹脂(Amersham Biosciences)
・水酸化ナトリウムペレット(Merck)
・MES(2−[N−モルホリノ]エタンスルホン酸)(Sigmaまたは同等品)
・精製水(Modulabまたは同等品)
・塩化ナトリウム(Merck)
緩衝液および溶液
・予備平衡化緩衝液:20 mM MES、pH 5.0±0.5、導電率150±50 μsi/cm
・平衡化緩衝液:1 mM MES、pH 6.0±0.2、導電率45±15 μsi/cm
・再生液:1.5 M NaCl
・殺菌液:0.5 M NaOH
・保存液:0.01 M NaOH
製造者の使用説明書に従ってカラムにCMセファロースファストフロー樹脂を充填した。
限界濾過済みのMEP後r−hIL−18BP(ステップ(b)参照)を、カラムに充填する直前に数滴の20 mM MES、pH 5±0.5、導電率100±15 μS/cmによりpH 6.0±0.2にした。
カラムの殺菌のためにこのカラムを1 BVの0.5 M NaOHでフラッシュし、15〜20 BVの精製水ですすいだ。
次にこのカラムを、15〜20 BVの20 mM MES、pH 5±0.5、導電率150±50 μS/cmをカラムに通してフラッシュすることにより予備平衡化し、カラムの流出液のパラメータが目標値、すなわちpH 5.0±0.5、導電率150±50 μS/cmからはずれている場合は洗浄を続けた。
次にこのカラムを、5 BV以上の平衡化緩衝液1 mM MES、pH 6.0±0.2、導電率45±15 μS/cmをカラムに通してフラッシュすることにより平衡化した。pHおよび導電率を確認し、カラムの流出液のパラメータが目標値、すなわちpH 6.0±0.2、導電率45±15 μS/cmからはずれている場合は洗浄を続けた。
平衡化後、上記で調製したr−hIL−18BPを充填した。この画分は半精製r−hIL−18BPを含有するので吸光度が上昇し始めたら直ちにそのフロースルーを回収した。
試料の充填が終了したらこのカラムを3〜4 BVの平衡化緩衝液1 mM MES、pH 6±0.2、導電率45±15 μS/cmで洗浄し、吸光度が基線に達するまでそのフロースルーを連続的に回収した。
回収後この溶液を、直ちに50 mM固体四ホウ酸ナトリウムを加えることによってpH 9.1±0.1にした。この回収した画分は半精製r−hIL−18BPを含有する。
カラム再生のためにこのカラムを少なくとも4 BVの再生緩衝液1.5 M NaClでフラッシュした。試料を採取し、その画分を廃棄した。この画分は、細胞培養不純物と、r−hIL−18BPのより塩基性のイソ型とを含有する。
殺菌のためにこのカラムを、少なくとも3 BVの0.5 M NaOHでフラッシュし、その流れを1時間止め、次いでこのカラムを3 BVの精製水ですすいだ。
貯蔵のためにこのカラムを少なくとも3 BVの保存液でフラッシュし、次いで次のサイクルまで貯蔵した。
2.5 ステップ(d):フェニルセファロースFF HS上での疎水性相互作用クロマトグラフィー
装置
・クロマトグラフィーカラム:XK16/20(Amersham Biosciences)
・2個のチャネル記録計を備えたUVモニター(光路長2.5 mm)(Amersham Biosciencesまたは同等品)
・蠕動ポンプ(Minipuls 2 Gilsonまたは同等品)
・UV分光光度計(Shimadzuまたは同等品)
・pHメーター(Metrohmまたは同等品)
・電気伝導度測定器(Metrohmまたは同等品)
・天秤(MettleToledoまたは同等品)
材料
・CM後のr−hIL−18BP中間体
・フェニルセファロースFF HS樹脂(Amersham Biosciences)
・四ホウ酸二ナトリウム十水化物(Merck)
・硫酸アンモニウム(Merck)
・Modulabによる精製水または同等品
・水酸化ナトリウムペレット(Merck)
・50%NaOH溶液(J. T. Baker)
緩衝液および溶液
・平衡化緩衝液:50 mMホウ酸ナトリウム(pH 9.1±0.2)、0.9 M硫酸アンモニウム(導電率122±6 mS)
・溶出緩衝液:50 mMホウ酸ナトリウム(pH 9.1±0.2)、0.15 M硫酸アンモニウム(導電率30±2 mS/cm)
・再生緩衝液:精製水
・殺菌液:0.5 M NaOH
製造者の使用説明書に従ってカラムにCMセファロースファストフロー樹脂を充填した。
出発材料の調製のためにCM後IL−18BP(ステップ(c)の結果)に固体硫酸アンモニウムを0.9 Mの濃度まで加えた。塩の溶解が終わった後、溶液状態の50%NaOHを加えることによってこの材料をpH 9.1±0.2にした。
カラムの殺菌のためにこのカラムを少なくとも1 BVの0.5 M NaOHでフラッシュし、カラムを6 BVの精製水で洗い落とす。
このカラムを、5〜7 BV以上の平衡化緩衝液50 mMホウ酸ナトリウム(pH 9.1±0.2)、0.9 M硫酸アンモニウム(導電率122±6 mS)をカラムに通してフラッシュすることにより平衡化した。pHおよび導電率を確認し、カラムの流出液のパラメータが目標値、すなわちpH 9.1±0.2、導電率122±6 mSからはずれている場合は洗浄を続けた。
次いで出発材料、すなわちCM後r−hIL−18BPをこのカラムに充填した。試料の充填が終わったらカラムを7〜9 BVの平衡化緩衝液でフラッシュした。この画分は、残余の細胞培養不純物を含有する。
溶出を溶出緩衝液50 mMホウ酸ナトリウム(pH 9.1±0.2)、0.15 M硫酸アンモニウム(導電率30±2 mS/cm)で開始した。r−hIL−18BPは開始から約0.5〜0.8 BV後の主ピークとして溶出し始めた。吸光度の増加で始まるこの主ピークの6〜8 BVを回収した。この溶出画分は半精製r−hIL−18BPを含有した。
溶出終了後、このカラムを少なくとも3 BVの精製水で洗い落とすことによってカラムを再生した。この画分は、細胞培養不純物と、凝集塊形態のIL−18BPとを含有するので廃棄した。
殺菌のためにこのカラムを少なくとも3 BVの0.5 M NaOHでフラッシュし、その流れを1時間止め、次いでこのカラムを6 BVの精製水ですすいだ。
貯蔵のためにカラムを少なくとも3 BVの保存液10 mM NaOHでフラッシュし、このカラムを次のサイクルまで室温で貯蔵した。
2.6 ステップ(e): Source 30 RPC上での逆相クロマトグラフィー
装置
・クロマトグラフィーカラム:AC10//20(Amersham Biosciences)
・2個のチャネル記録計を備えたUVモニター(光路長2.5 mm)(Amersham Biosciencesまたは同等品)
・蠕動ポンプ(Minipuls 2 Gilsonまたは同等品)
・UV分光光度計(Shimadzuまたは同等品)
・直線的濃度勾配を実施するためのFPLCシステムまたは同等システム
・pHメーター(Metrohmまたは同等品)
・電気伝導度測定器(Metrohmまたは同等品)
材料
・HIC後IL−18BP
・Source 30 RPC樹脂(Amersham Biosciences)
・塩化ナトリウム(Merck)
・四ホウ酸二ナトリウム十水化物(Merck)
・50%NaOH溶液(Baker)
・精製水(Modulabまたは同等品)
・アセトニトリル(Merck)
・トリフルオロ酢酸(J. T. Baker)
・pH 0〜14広域指示薬(Merck)
緩衝液および溶液
・溶液A:水に溶かした0.1%TFA
・溶液B:ACNに溶かした0.1%TFA
・平衡化緩衝液:50 mMホウ酸ナトリウム、pH 9.1±0.2、導電率5±2 mS/cm
・殺菌液:0.5 M NaOH
製造者の使用説明書に従ってカラムにSource 30 RPC樹脂を充填した。
カラムの殺菌のためにこのカラムを少なくとも3 BVの0.5 M NaOHで逆流の状態でフラッシュし、次いで4〜5 BVの精製水ですすいだ。
次にこのカラムを、5〜6 BV以上の平衡化緩衝液50 mMホウ酸ナトリウム、pH 9.1±0.2、導電率5±2 mS/cmをカラムに通すフラッシュ(上方へ進む流れ)により平衡化した。pHおよび導電率を確認し、カラムの流出液のパラメータが目標値、すなわちpH 9.1±0.2、導電率5±2 mS/cmからはずれている場合は洗浄を続けた。
pH 9.1±0.2、導電率30±2 mS/cmのHIC後r−hIL−18BP(ステップ(d)の結果)がこのステップの出発材料であった。これをカラムに充填し、試料の充填が終了したらカラムを2〜3 BVの平衡化緩衝液でフラッシュした。この画分を廃棄した。
次にこのカラムを、カラムの流出液のpHが4未満になるまで溶液Aで洗浄した。この画分を溶出勾配の第一部分(ACNの28%より前)と一緒にした。この画分は細胞培養不純物の若干の残留分を含有しているので廃棄する。
溶出は、下記に詳細に示すように溶出溶液Aと溶出溶液Bの組合せを用いて勾配方式で行った。
Figure 0004741504
r-hIL-18BPは溶液Bの約28〜32%で溶出し始め(上記の太字参照)、60分以内に完全に溶出した(Bの35%)。直ちにこの流出液を50 Mホウ酸ナトリウム、pH 9.1±0.2、導電率5±2 mS/cmで1:2の希釈によりpH 8.0±0.5にした。
この画分は精製r-hIL-18BPを含有した。
溶出勾配の終りにカラム再生を行った。その再生画分を吸光度グラフに従って回収した。この画分は、細胞培養不純物の残分および凝集塊形態のIL-18BPを含有する。
衛生化のために、このカラムを2〜3 BVの水で洗い流し、少なくとも3〜4 BVのNaOHでフラッシュし、次いでこの流れを1時間停止した。その後、カラムを3〜4 BVの精製水で洗い流した。
このカラムを少なくとも3 BVの保存液でフラッシュし、次のサイクルまで貯蔵した。
3.IL-18BP製剤から得られる宿主細胞タンパク質のクリアランスの概要
無血清細胞培地中に存在するCHO細胞由来の汚染物質に対してウサギ中で産生したポリクローナル抗血清を用いてELSAにより宿主細胞タンパク質の量を測定した。宿主細胞タンパク質の量は、精製IL-18BPに対する汚染タンパク質のppm(100万分の1)として表される。IL-18BPの量は、IL-18BPの精製した製剤中、すなわち逆相クロマトグラフィーによる最終精製ステップ後の280 nm(モル吸光係数ε=1.26)における光学濃度(OD)を求めることによって測定した。
この分析は、3回の独立した実験の枠中で行った。
Figure 0004741504
(実施例2、無血清CHO細胞上清由来の組換えヒトIL-18BPの精製のための改良プロトコール)
下記の修正を加えて実施例1を上記と同様に行った。すなわち、捕捉のステップは、Merckが譲り受けたFractogel(登録商標)TMAE HiCap(登録商標)上で行った。
ステップ(a)、すなわちキレーティングセファロースファストフローカラム上でのIMAC精製のステップでは、平衡化緩衝液に溶かした15 mM塩化アンモニウムを用いた追加的な洗浄のステップを付け加えた。
これに加えてステップ(a)では0.06 M酢酸アンモニウムを用いてpH 8.7で溶出を行った。
ステップ(d)では溶出は、溶出緩衝液50 mMホウ酸ナトリウム(pH 9.1±0.2)、0.10 M硫酸アンモニウムで開始した。
方法:IL-18BP比活性の判定
(in vitroバイオアッセイにおけるKg−1細胞による生物学的効力の判定)
r-hIL-18BP基準材料の生物学的キャラクタリゼーションは、それがr-hIL-18と特異的に結合してヒト急性骨髄性白血病細胞株Kg−1上でその生理活性を中和する能力の評価に基づいている。この細胞株は、用量に依存したヒトIL-18プラスヒトTNF-αに応答してIFN-γを産生し、それによってr-hIL-18BPはIFN-γの産生を抑制することができる。
簡潔に言えば、異なる濃度のr-hIL-18BPをすでに含有している96ウェルプレートに、固定濃度のr-hIL-18(ウェル中40 ng/mL)プラス固定濃度のr-hTNF-α(ウェル中10 ng/mL)の存在下において1ウェル当たり細胞1×105個でKg−1細胞を加えた。混ぜ合わせたこれら2種類の物質のそれぞれの濃度は、Kg−1細胞上でIFN-γ産生の準最大の誘導を与えることができた。37℃の5%CO2で24時間後、処理した細胞を凍結/融解のサイクルにかけるためにこのプレートを−20℃に置いてから、イムノアッセイを行って細胞上清中に存在するIFN-γの量を求めた。その細胞上清を回収し、ヒトIFN-γを特異的イムノアッセイ(ELISA h-IFN-γ、Duo Set R&D Systemsのキット)により測定した。この処理した細胞によって産生されるIFN-γの量は、キットと共に提供されるlog/log変換したS字形用量−応答(4PL)を当てはめたIFN-γ標準曲線上でyの値(O.D.)を補間し、こうしてxの値(IFN-γ濃度)を得ることにより計算した(GraphPad Prism)。r-hIL-18の固定濃度+r-hTNF-αの固定濃度により誘導されるIFN-γ産生量の50%(EC50)によって阻害することができるr-hIL-18BP基準材料(ST1P01/r-hIL-18BP)溶液の希釈度を、1単位(U)と定義した。
10回の独立したアッセイを行い、その10個の用量−応答曲線のそれぞれをIFN-γの産生%をy軸上に、またST1P01/r-hIL-18BPの希釈度をx軸上に記録することによりグラフを描いた。まず、各実験で得られるr-hIL-18BPの用量−応答曲線を、IFN-γの最低値および最高値をそれぞれ0%および100%に等しいと仮定することにより正規化した。
最も高いIFN-γ値は、r-hIL-18BP不在下でのr-hIL-18プラスr-hTNF-αを合わせた濃度によって与えられ、一方最も低い値は、試験したr-hIL-18BPのより高い濃度によって与えられた。次いで可変勾配アルゴリズムを用いたS字形用量−応答(4PL)を適用して正規化された値を補間し、各実験についてEC50を求めた。
基準材料の力価を各アッセイにおいて次のように計算した。
力価(U/mL)=応答の50%における希釈度の逆数×事前希釈度
ST1P01/r-hIL-18BPの最終力価は、各実験で得られる10個の力価を平均することによって計算した。
図2は、10回の独立した実験で得られたin vitroバイオアッセイにおけるKg−1によるST1P01/r-hIL-18BPの用量−応答曲線を示す。
0%に等しいIFN-γの最低値および100%に等しいIFN-γの最高値をそれぞれ仮定することによってこれらの曲線を正規化した。最も高いIFN-γ値は、r-hIL-18BP不在下でのr-hIL-18プラスr-hTNF-αを合わせた濃度によって与えられ、一方最も低い値は、試験したr-hIL-18BPの最も高い濃度によって与えられた。次いで可変勾配アルゴリズムを用いたS字形用量−応答(4PL)を適用して正規化された値を補間し、GraphPad Prismにより各実験についてEC50を求めた。
それぞれの独立した実験で得られたST1P01/r-hIL-18BPに対する個々の力価を、その標準偏差、変動係数(%)、および95%信頼限界と共に下記に記録する。
Figure 0004741504
基準材料ST1P01/r-hIL-18BPの平均推定効力は895869 U/mLに等しく、CV%は17.6という結果になった。
KG-1細胞in vitroバイオアッセイ
このアッセイは、96/ウェルプレート中で実施する。
Figure 0004741504
行BおよびC−r-hIL-18BP用量応答曲線の段階希釈1:1.5。
S1、S2、およびS3=用量応答−曲線の直線部分に当たる2種類の異なる濃度の試料(1試料当たり2回の繰返し)、例えばS11=濃度1の試料1、S12=濃度2の試料1。
プレート上の記録した試料位置は例である。
・行B〜Cのウェル2から12に、培地(56℃の熱で30分間不活性化した20%FBSを補足したIMDMを500 mL、3 mMの2−メルカプトエタノールを5 mL、2 mMのI−グルタミンを5 mL、およびPen/Strepを5 mL、10,000 U/mL/10.000 μg/mL)50 μLを加える。
・行B〜Cの第一ウェルに、1500 ng/mL(ウェル中300 ng/mL)のr-hIL-18BP基準材料150 μLを加える。
・マルチチャンネルピペットを用いて列1中のウェルから列9のウェル(行B〜C)まで100 μLを移し、列9中のウェルから過剰の100 μL を廃棄することによって連続的に1:1.5希釈を実施する。
・行Dの列1〜2中のウェルに、用量応答−曲線の直線部分に当たる2種類の濃度のうちの一方で調製したr-hIL-18BP試料(例えばそのウェル中の120 ng/mLに相当する600 ng/mLのS11)50 μLを加える(2回の繰返し)。
注記:報告したプレート内での試料位置は一例として提供するものである。
・第二(S12)試料の濃度について(4)を繰り返す。
・列12中のものを除き行B〜Cすべてのウェルに、また試料を含有するウェル(例えば列1〜2、行D〜E)に、200 ng/mL(ウェル中40 ng/mL)のr-hIL-18を50 μL加える。
・列11中のものを除き行B〜Cすべてのウェルに、また試料を含有するウェル(例えば列1〜2、行D〜E)に、50 ng/mL(ウェル中10 ng/mL)のr-r-hTNF-αを50 μL加える。
・行B〜Cの列11および12中のウェルに培地50 μLを加える。
・行Aのウェル(対照細胞のウェル)のすべてに培地150 μLを加える。
・96ウェルプレートのすべてのウェルに、1 mL当たり細胞1×108個でKg−1細胞懸濁液100 μLを加える。
注記:ウェル中の最終体積は250 μLであり、r-hIL-18BPの最終希釈度は1:5である。細胞懸濁液は20〜24×106個未満の細胞を含有するT75フラスコから調製する(培地15 mL)。
・このプレートを37℃の5%CO2で24時間インキュベートする。
・プレートをインキュベーターから取り出し、その細胞上清中に存在するIFN-γの量を測定するためにイムノアッセイを実施するまで−20℃に置く。
・細胞上清を回収し、ヒトIFN-γを特異的イムノアッセイ(ELISA h-IFN-γ、Duo Set R&D Systemsのキット)により測定した。
注記 測定されるO.D.値がIFN-γ標準曲線上で定量化可能なことを確実にするために、加えられるr-hIL-18BPの濃度によっては、必要に応じて細胞上清試料の1倍を超える希釈を実施する。
ELISAは、キットと共に提供される一般的なプロトコールに従い、軽微な改変を加えて行った。
・洗浄ステップの回数は、3回から4回、また最後については4回から5回に増した。
・ブロッキング緩衝液は、PBSに溶かした1%BSA(スクロースとNaN3のどちらも加えない)を加えることによって調製。
・希釈剤試薬は、トリス緩衝塩類液の代わりにPBSに溶かした0.1%BSAおよび0.05%トゥイーン−20を加えることによって調製。
処理済み細胞によって産生されたIFN-γの量は、log/log変換し、可変勾配アルゴリズムを用いたS字形用量−応答によって補間したIFN-γ標準曲線(キットと共に提供される)上で計算した(GraphPad Prism)。
(IL-18BP比活性の計算)
IL-18BPの比活性は、式
Figure 0004741504
に従って計算される。
結果
以下の表は、この実施例中で記載した精製方法に沿った幾つかのパラメータに対して得られた結果を示す。
Figure 0004741504
Figure 0004741504
Figure 0004741504
Figure 0004741504
精製IL−18BP(「バルクIL−18BP」)をもたらす本発明の好ましい精製方法に関する概略図である。 10回の独立した実験のin vitroバイオアッセイにおけるKg−1でのIL−18BP基準材料の用量−応答曲線を示す図である。

Claims (17)

  1. 精製IL-18結合タンパク質(IL-18BP)の産生方法であって、IL-18BPを含む、尿又は細胞培養上清から選択される液体を、4−メルカプト−エチル−ピリジン(MEP)樹脂上での疎水性電荷誘起クロマトグラフィーのステップにかけることを含んで成る、方法。
  2. 固定化金属イオンアフィニティクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、および逆相クロマトグラフィーから選択されるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記金属イオンアフィニティクロマトグラフィーをキレート樹脂上で実施する、請求項2に記載の方法。
  4. 前記イオン交換クロマトグラフィーが陽イオン交換クロマトグラフィーである、請求項2に記載の方法。
  5. 前記陽イオン交換クロマトグラフィーをカルボキシメチル(CM)樹脂上で実施する、請求項4に記載の方法。
  6. 前記疎水性相互作用クロマトグラフィーをフェニル樹脂上で実施する、請求項2に記載の方法。
  7. 逆相クロマトグラフィーの前記ステップを高分子逆相マトリックス上で実施する、請求項2に記載の方法。
  8. 前記高分子逆相マトリックスが逆相Source 30 RPCである、請求項7に記載の方法。
  9. (a)前記液体を金属イオンアフィニティクロマトグラフィーにかけるステップ、
    (b)前記金属イオンアフィニティクロマトグラフィーの溶出液を疎水性電荷誘起クロマトグラフィーにかけるステップ、
    (c)前記疎水性電荷誘起クロマトグラフィーの溶出液を陽イオン交換クロマトグラフィーにかけるステップ、
    (d)前記陽イオン交換クロマトグラフィーのフロースルーを疎水性相互作用クロマトグラフィーにかけるステップ、および
    (e)前記疎水性相互作用クロマトグラフィーの溶出液を逆相クロマトグラフィーにかけるステップ
    を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 1回または複数回の限外濾過のステップをさらに含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 1回または複数回のウィルス除去の濾過ステップをさらに含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 初期捕捉のステップを含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記捕捉のステップを強陰イオン交換クロマトグラフィーによって実施する、請求項12に記載の方法。
  14. 前記捕捉のステップを第四アンモニウム(Q)樹脂上で実施する、請求項13に記載の方法。
  15. 前記捕捉のステップをTMAE樹脂上で実施する、請求項13に記載の方法。
  16. 前記IL-18BPがヒトの組換えIL-18BPである請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記液体が無血清細胞培養上清である請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
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