JP4736170B2 - リクライニング装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、傾動規制のためのストッパ部材への負荷の一部を外側リング部材に伝達させるようにしたリクライニング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用シートに例をとれば、該シートのシートクッションに対するシートバックの傾きを調整し、着座者に快適感を与えるシートリクライニング装置は知られ、その代表例は、シートクッション側のロアアームに固定された外歯(又は内歯)部材と、シートバック側のアッパアームに固定されかつ外歯部材の外歯と噛合う内歯(又は外歯)を有する内歯部材(但し、内歯と外歯の歯数は異なる)と、外歯部材と内歯部材の外周部に配されたリング部材と、内歯部材を外歯部材に対して偏心させかつ操作部材からの回転トルクを受ける入力軸部材と、内歯部材と外歯部材のボス部間に配されかつ一方の部材を他方の部材側に強制させるクサビ状部材とスプリングとを有する構成のものである。
【0003】
上記構成のものは、入力軸部材の回転が該入力軸部材に軸支された内歯(又は外歯)部材を外歯(又は内歯)部材に対し揺動させ、ロアアームに対するアッパアームの傾き角を変えている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述した如きシートリクライニング装置は、シートバックの最大前傾と最大後傾の位置を決めるためストッパ部材を必要とするが、このストッパ部材は、これ迄、ロアアームとアッパアームとの間に配される(特開平11−70027号公報)。たとえば、ストッパ部材はロアアームに設けたピンと、ピンを受けるようアッパアームに設けた対の受け部材から構成される。
【0005】
このようにストッパ部材は、外歯部材と内歯部材から離れた位置にありかつロアアームとアッパアームの組付誤差の影響を受けることから、シートバックの傾動規制の精度が必ずしも高くない。
加えて、電動駆動の場合、ストッパ部材への当接力或いは電動モータの慣性力により両歯部材が開こうとする不具合を生じる。
【0006】
それ故、本発明は、前述した従来技術の不具合を解消させることを解決すべき課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述した課題を解決するために、内歯部材と外歯部材との間に両部材の相対的回転を規制するストッパ部材を設け、さらに、ストッパ部材への当接力の少なくとも一部をリング部材に伝達させる部材を設ける技術手段を採用する。
【0008】
この手段の採用は、リング部材のストッパ部材への当接力の一部を分散させ得るので、歯の噛合いを円滑に維持しかつ傾き角を精度良く決め得る。
【0009】
本発明によれば、外歯(又は内歯)部材がロアアームにかつ、内歯(又は外歯)部材がアッパアームに固定されるに適し、外歯(又は内歯)部材と内歯(又は外歯)部材の各歯の歯数を異にしかつ偏心して配され、内歯と外歯との噛合いを一方を他方に対して揺動させながら変えていくリクライニング装置において、両歯のための歯部材間に両歯部材の相対的回転を規制するストッパ部材を有し、該ストッパ部材が、アッパアームに固定される歯部材の外周部に径方向に延在しかつ離間して設けたストッパ片、及びロアアームに固定される歯部材の側面から突出してストッパ片に当接する突部を含み、該突部の突出端に凸部をさらに設けるとともに、両歯部材の外周部に配され且つロアアームに固定される歯部材に固定されるリング部材に前記凸部と係合する孔を設けたリクライニング装置が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1に示すように、車両用のシート1は、シートクッション2と、シートバック3と、シートクッション2に対するシートバック3の傾きを調整させるシートリクライニング装置4とを備える。
シート1の昇降は、一端をシートクッション2に支持した対の平行リンク組合体を含むリフター5により行い、又、シート1の前後方向の位置決めは、フロアに固定されるロアレール6と、該ロアレール6に対し摺動自在に配されかつ平行リンクの他端を支持するアッパレール7を含むシート摺動装置8により行う。
リフター5およびシート摺動装置8は常用手段が用いられる。
【0011】
図2と図4を参照してシートリクライニング装置4の構成を説明する。シートクッション2のロアアーム23に固定される外歯(又は内歯)部材9は円板からなり、環状半抜き加工された部分11の外周面に外歯10が形成される。半抜き加工環状部分11の半径方向外方であって外歯部材9の外周面に複数個の離間した半抜き加工した矩形の突部12を形成し、さらに、突部12中央から側外方へと延在する円筒状又は矩形の凸部13を形成する。凸部13も突部12同様に、好ましくは半抜きプレス加工により成形される。
【0012】
外歯(又は内歯)部材9と対向する円板状にしてかつシートバック3側のアッパアーム24に固定される内歯(又は外歯)部材14は、半抜き加工された環状部分15、環状部分15の内周面に形成された内歯16、環状部分15の径方向外方の外周面より半径方向外方に離間して延在する複数個のストッパ片17を有す。
【0013】
両歯部材9,14の外周部をリング部材18により常法に従って覆う。本例のリング部材18は、凸部13が挿入される孔19を有する。本例では、孔19をリング部材18の側面にプレス加工により形成されたくぼみ部20の中央部に形成し、孔19を凸部13の根元部に係合させている。
【0014】
図2乃至図4を参照して、シートリクライニング装置4の組付け状態を説明する。
操作部材(図示なし)からの入力を受ける入力軸部材21のボス部に公知のクサビ状部材22とスプリング25を介して外歯(又は内歯)部材9を支持する。
内歯(又は外歯)部材14をその歯数とは異なる歯数を有する外歯(又は内歯)部材9と噛み合わせかつ入力軸部材21と外歯(又は内歯)部材9とは偏心した形で配する。この結果、両歯10,16の噛み合い状態は図3に示す状態となる。ストッパ片17は外歯(又は内歯)部材9の突部12間に位置する。
【0015】
両歯部材9,14の相対的位置関係を維持するリング部材18を両歯部材9,14の外周部に配し、かつその孔19に凸部13を係合させる。
【0016】
入力軸部材21に回転トルクが入力されると、該入力軸部材21の軸心とは同心の内歯(又は外歯)部材14が外歯(又は内歯)部材9の軸心まわりに揺動し、両歯10,16の歯数差に応じて減速しながら外歯(又は内歯)部材9に対する相対回転を作り、ロアアーム23に対してアッパアームを傾動させる。
その結果、回転トルクの入力方向に応じてシートバック3がシートクッション2に対し、前傾又は後傾することになる。
【0017】
その傾動範囲は、ストッパ片17の突部12への当接により規制される。ストッパ片17の突部12への当接力(ストッパ力)は、突部12から外歯(又は内歯)部材9およびロアアーム23に伝達されるが、同時に、凸部13を介してその当接力の少なくとも一部がリング部材18に伝達される。
【0018】
以上から明らかなように、ストッパ片17と突部12とからなるストッパ部材を両歯部材9,14間に設けているが、凸部13によりストッパ力の少なくとも一部をリング部材18に伝達させているので、両歯部材9,14間の相対的回転は保障される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例のシートリクライニング装置を用いたシートの正面図である。
【図2】本発明の一例のシートリクライニング装置の分解斜視図である。
【図3】図2に示す例の正面図である。
【図4】図3の矢視 IV−IV よりみた断面図である。
【符号の説明】
2 シートクッション
3 シートバック
4 シートリクライニング装置
9 外歯部材
10 外歯
12 突部
13 凸部
14 内歯部材
16 内歯
17 ストッパ片
18 リング部材
19 孔
20 入力軸部材
22 クサビ状部材
23 ロアアーム
24 アッパアーム
Claims (1)
- 外歯(又は内歯)部材がロアアームにかつ、内歯(又は外歯)部材がアッパアームに固定されるに適し、外歯(又は内歯)部材と内歯(又は外歯)部材の各歯の歯数を異にしかつ偏心して配され、内歯と外歯との噛合いを一方を他方に対して揺動させながら変えていくリクライニング装置において、
両歯のための歯部材間に両歯部材の相対的回転を規制するストッパ部材を有し、
該ストッパ部材が、アッパアームに固定される歯部材の外周部に径方向に延在しかつ離間して設けたストッパ片、及びロアアームに固定される歯部材の側面から突出してストッパ片に当接する突部を含み、
該突部の突出端に凸部をさらに設けるとともに、両歯部材の外周部に配され且つロアアームに固定される歯部材に固定されるリング部材に前記凸部と係合する孔を設けたリクライニング装置。
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