JP4727914B2 - Nb3Sn超電導線材およびその製造方法 - Google Patents

Nb3Sn超電導線材およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、チューブ法や粉末法によって製造されるNb3Sn超電導線材およびその製造方法に関するものであり、特に核磁気共鳴(NMR)分析装置、MRI診断装置、核融合炉、加速器等に用いられる超電導マグネットの構成素材として有用なNb3Sn超電導線材およびこうした超電導線材を製造するための方法に関するものである。
超電導物質によって実現される永久電流現象を利用し、電力を消費せずに大電流を流し、超電導線材をコイル状にして磁場を発生させる超電導マグネットは、上記各種用途に適用されている。そして上記の様な超電導マグネットの構成素材としては、従来からNb3Sn超電導線材が代表的なものとして使用されている。
上記のようなNb3Sn超電導線材を製造する方法は、これまで様々提案されているが、最も代表的な方法としては、いわゆるブロンズ法と呼ばれる複合加工法である。このブロンズ法では、Cu−Sn基合金(ブロンズ)マトリックス中に複数のNb基合金芯材を埋設し、伸線加工することによって上記Nb基合金芯材をフィラメントとなし、このフィラメントを複数本束ねて線材群とし、この線材群を安定化のための銅(安定化銅)に埋設して伸線加工する。そして得られた線材を600〜800℃で熱処理(拡散熱処理)することにより、Nb基合金フィラメントとマトリックスとの界面にNb3Sn化合物相を生成する方法である。しかしながら、この方法では、ブロンズ中に固溶できるSn濃度には限界があり(Sn含有量で15.8質量%)、生成されるNb3Sn相の厚さを現状より更に厚くしてより高い磁場を実現することは困難な状況下にある。
Nb3Sn超電導線材を製造する方法としては、上記ブロンズ法の他に、チューブ法や粉末法も知られている。このうちチューブ法では、NbまたはNb基合金からなる管状体内にSnまたはSn基合金からなる棒状部材を挿入すると共に、この管状体の1本または複数本を安定化銅内に配置して複合部材を構成し、これを伸線加工および熱処理することによって、前記管状体(チューブ)の内面にNb3Sn相を形成するものである。
このチューブ法では、Sn量に制約がないのでSn量をできるだけ多くすることができ、生成されるNb3Sn相も比較的厚くできるので、超電導特性を更に向上できることが期待できる。また、この方法によって得られる線材では、非超電導部分をできるだけ少なくすることができ、超電導部分の面積率を高くすることができるので、線材面積当たりの電流密度(臨界電流密度)を非常に高いものとすることができるという有用性がある。
一方、粉末法は、高い臨界電流密度を実現できる方法として知られている。この粉末法における一つの手法として、NbとSnの中間化合物粉末を芯材(コア粉末)としてNbまたはNb基合金製の管状体内に充填すると共に、この管状体を安定化銅内に配置して複合部材とし、これを伸線加工および熱処理を行なうことにより、芯材と管状体の界面にNb3Sn相を生成する、いわゆるECN法が知られている(例えば、非特許文献1参照)。
また、新しい粉末法として、TaとSnを高温で溶融拡散反応させそれを粉砕して作製したTa−Sn合金粉末を芯材とし、これをNbまたはNb基合金製の管体内に充填し、更にこれを安定化銅内に配置して細径化した後、熱処理することによって、粉末中のSnと管状体中のNbとを反応させてNb3Sn相を形成する方法(溶融拡散法)も知られている。この方法では、Sn量の制限がなく、上記ブロンズ法およびECN法よりも厚いNb3Sn相が生成可能であるため、高磁場特性が優れた超電導線材が得られることが示されている(例えば、特許文献1参照)。
上記のようにチューブ法、ECN法および溶融拡散法では、図1に示すようにNbまたはNb基合金からなる管状体1内に、Snを含む金属若しくは合金、或は粉末を芯材2として挿入若しくは充填すると共に、前記管状体1を安定化銅3内に配置して伸線加工および熱処理することによって、前記芯材から管状体1へのSnの供給を確保し、この管状体1の内面にNb3Sn相を生成させる方法であり、これによって高磁場電流密度の超電導線材を実現するものである。尚、安定化銅1は、Nb3Sn超電導線材の安定化材として配置されるものであり、例えば無酸素銅からなるものである。また、管状体1の素材としては、純Nbの他、0.5〜10質量%程度のTa,Ti,Hf,Zr等を含むNb基合金が用いられている。
W.L.Neijmeijer他、J.Less-common Metals,vol.160(1990)p.161 特開平11−250749号公報 特許請求の範囲等
上記チューブ法、ECN法および溶融拡散法では、従来からのブロンズ法に比べて高い臨界電流密度が達成されているのであるが、これらの方法を実施するための構成素材は、Cu(安定化銅)、NbまたはNb基合金(管状体)、SnまたはSn基合金(棒状部材)、更にはSnを主成分として含む粉末(コア粉末)等が使用されており、これらの素材は変形抵抗差が非常に大きなものとなる。従って、これらの素材から構成される複合部材では、均一加工が非常に困難であり、加工途中で管状体が破れたり、線材の断線が生じたりすることがある。
断線に至らずに線材が得られたとしても、管状体の厚みが均一でなく非常に薄くなったり、管状体の一部に亀裂が生じたりすることもある。このような状態で、Nb3Sn相生成のための熱処理を施すと、芯材中のSnの拡散によって管状体の厚さよりも厚いNb3Sn相が生成されてしまい、そこからSnが安定化銅に直接拡散して安定化銅が汚染されてしまうことになる。その結果、線材の熱的、電磁気的な安定化性が損なわれてしまうという問題がある。
また、均一加工ができた場合であっても、熱処理によって生成されるNb3Sn相を厚くし過ぎて、管状体の厚みを超えてしまうと、Snが安定化銅を汚染してしまうことがあった。
こうした事態を回避するために、従来では、管状体の厚みをできるだけ厚くして複合部材を構成するのが一般的に行なわれている。こうした構成を採用すれば、上記の様な安定化銅の汚染は回避できるのであるが、線材断面内での非超電導部分の割合が増加してしまい、線材の臨界電流密度を低下させてしまうことになる。また、管状体内部に配置する芯材として粉末を充填した場合には、この粉末充填部分には空隙ができることもあり、これが線材の強度を低下させることもある。
本発明はこうした従来技術における課題を解決する為になされたものであって、その目的は、構成素材の変形抵抗の違いに起因する割れや断線を防止し、超電導マグネットの素材としての良好な超電導特性を発揮し、強度的にも十分なNb3Sn超電導線材、およびそのような超電導線材を製造するための有用な方法を提供することにある。
上記課題を解決することのできた本発明方法とは、NbまたはNb基合金からなる管状体中に、Ta,NbおよびTiの少なくとも1種の金属と、Snと、Cuとを成分として含む合金粉末、金属間化合物粉末または混合粉末を充填し、この管状体の1本または複数本を安定化銅母材中に配置した複合部材を、伸線加工および熱処理することによって、前記管状体の内面にNb3Sn相を形成するNb3Sn超電導線材の製造方法において、前記管状体の外周部に、Ta,Ti,W,MoおよびVよりなる群から選択される1種または2種以上の金属または合金からなる中間層を配置すると共に、伸線加工前における中間層の厚みをt、管状体の厚みをTとしたとき、これらが下記(1)式を満足するものである点に要旨を有するものである。
0.05≦t/T≦0.5 …(1)
また前記安定化銅母材と中間層の間に、両者の密着性を高める金属からなるバッファー層を介在させることも有用であり、こうした構成を採用することによって、安定化銅母材による安定化効果をより向上させると共に、中間層を配置することによる効果をより確実なものとすることができる。
上記方法によって、製造された超電導線材は、本発明の目的に適う特性を発揮するものとなる。
本発明は以上の様に構成されており、構成素材の変形抵抗の違いに起因する割れや断線を防止し、超電導マグネットの素材としての良好な超電導特性を発揮し、強度的にも十分なNb3Sn超電導線材が実現できた。
本発明者らは、上記目的を達成する為に様々な角度から検討した。その結果、管状体の外周部に、Ta,Ti,W,MoおよびVよりなる群から選択される1種または2種以上の金属または合金からなる中間層を配置する構成とすれば、上記目的が見事に達成されることを見出し、本発明を完成した。本発明の構成を図面に基づいて、更に詳細に説明する。
図2は本発明を実施するために構成される複合部材の一構成例を示す断面図であり、その基本的な構成は前記図1と類似し、対応する部分には同一参照符号を付してある。図2に示した本発明の構成では、管状部1の外周部に、中間層4が形成されることになる。この中間層4は、Ta,Ti,W,MoおよびVよりなる群から選択される1種または2種以上の金属または合金からなるものである。
こうした金属からなる中間層4は、NbまたはNb基合金からなる管状体1よりも機械的強度が優れたものになって、伸線途中での加工性を向上させ、均一な加工を容易にできることになる。また、仮に伸線加工時に、管状体1が破損することがあっても、その外周に中間層4が存在することによって、それ以上の破壊の進行を防止することができる。しかも、この中間層4を配置することによって、反応後の線材の強度も高めることができることになる。
中間層4として用いる成分のうち、特に好ましいのはTaであり、このTaはそれ自体の抵抗値も低く、また安定化材としての機能も発揮することになる。またTaはSn成分と反応することがないので、仮に管状体1の全てが反応したとしても、Snによる安定化銅の汚染を防止することができる。
また、中間層4は上記のような作用を発揮するので、中間層4と安定化銅(安定化銅母材)3を合計した厚さを、従来の安定化銅3だけの厚さよりも薄くすることができるので、それだけ非超電導部分の割合を少なくすることができる。尚、中間層4は最終的に管状となればよく、例えば薄肉のシート状部材を重ね巻きしたり(後記実施例参照)、またそれらを溶接することによって管状にしたものを採用できる。
図2に示した複合部材に対して伸線加工および拡散熱処理を行なうことによって希望する特性を発揮する超電導線材が得られるのであるが、複合部材における管状体1の数は1本に限らず、例えば、7本若しくはそれ以上で構成して多芯化することもできる。こうした多芯化に際しては、(1)図2に示した複合部材を伸線加工してから束ねて安定化銅3(例えば銅チューブ)内に配置し、或は(2)中間層までを形成した(即ち、図2に示した安定化銅3を成形せず)管状体を伸線加工してから束ねて安定化銅内に配置し、その後更に伸線加工および拡散熱処理を行なえばよい。
本発明の線材(複合部材)においては、中間層4の厚みをt、管状体1の厚みをTとしたとき(いずれも伸線加工前)、これらが上記(1)式を満足するものであることが好ましい。t/Tが0.05未満になると、中間層4の線材全体に対する強度への貢献度が少なくなって、目的とする効果が有効に発揮されない。また、t/Tが0.5を超えると、非超電導部分が多くなり過ぎて、超電導線材における臨界電流密度が低下してしまうことになる。
ところで、前記中間層4を構成する金属のうち、Ta,WおよびMoは、NbまたはNb基合金からなる管状体1よりも安定化銅3との密着性に劣り、銅による安定化効果を減少させることがある。こうした不都合を回避する手段として、例えば図3(基本的な構成は前記図2に同じ)に示すように、安定化銅3と中間層4の間に、両者の密着性を高める金属からなるバッファー層5を介在させることも有用である。このバッファー層5は、加工工程或はNb3Sn層を生成する熱処理において安定化銅および中間層4と反応して両者の密着性を向上させる。その結果として、安定化銅3による安定化効果をより向上させると共に、中間層4を配置させることによる効果をより確実なものとすることができる。
こうしたバッファー層5を構成する金属としては、RhやNi等が挙げられる。またバッファー層5よる上記効果を発揮させるためには、伸線加工前の厚さが1μm以上であることが好ましいが、厚過ぎると被覆に長時間を要するので、10μm程度までとするのが良い。
こうしたバッファー層5を安定化銅3と中間層4の間に介在させる構成としては、例えば図3に示したような単芯線の場合には、安定化銅3の内面または中間層4の外周面に、電気めっきや蒸着法によってバッファー層5を形成すればよいが、多芯線の場合には、安定化銅3の内面にバッファー層5を形成すれば良い。
尚、前記図2に示した構成において、芯材としては、SnまたはSn基合金からなる棒状部材、或はSnを主成分として含む合金粉末、金属間化合物粉末または混合粉末のいずれも採用できるが、このうち棒状部材として用いるSn基合金としては、Sn含有量が80質量%以上のSn基合金であることが好ましい。このSn含有量が80質量%未満となると、Sn量が少ないために生成されるNb3Snの結晶性が悪くなって臨界電流密度(Jc)が低下する。また、こうしたSn合金において、含まれることのある他の成分としては、Ti,Ta,Hf,Zr等が挙げられる。
一方、芯材として用いる粉末(コア粉末)としては、従来から用いられているNb−Sn金属間化合物粉末(ECN法)や、Ta−Sn合金粉末(溶融拡散法)を用いることができるが、Ta,NbおよびTiのうちの少なくとも1種の金属とSnとを成分として含むものであれば、その形態が合金粉末、金属間化合粉末または混合粉末のいずれでも用いることができる。この粉末中に含まれる成分のうち主成分となるSnは、周囲に配置されるNbやNb基合金(管状体1)と反応してNb3Sn相を形成することになるが、Ta,NbおよびTi等の成分は、Nb3Sn相の形成を促進し、或はそれ自体がSnと反応して、超電導体となるという作用を発揮する。
こうしたコア粉末中のSn成分の含有量は、10〜98質量%程度であることが好ましく、Sn含有量が10質量%未満なるとNb3Sn相が薄くなり、超電導特性が劣化し、98質量%を超えると相対的に添加元素が少なくあり、Nb3Snの特性が劣化する。またこのコア粉末には、必要によって0.5〜20質量%程度のCu成分を含有させることも有効である。このCu成分は、拡散熱処理温度を低減する作用を発揮する。即ち、従来の粉末法における最適反応温度(拡散熱処理温度)は、900〜925℃であるが、900℃以上で熱処理するとNb3Sn相の結晶粒が大きくなり過ぎて、超電導特性が劣化することがあるが、コア粉末中にCu成分を含有させることによって、最適熱処理温度を下げることができ、その結果、結晶粒が微細化され、Nb3Sn超電導線材における高特性が実現できる。
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
Ta粉末:Sn粉末=6:5(モル比)で混合した混合粉末中に、2質量%のCu粉末を添加したものを、950℃で10時間熱処理して粉砕し、更に同様の熱処理および粉砕した粉末をコア粉末として調製した。
下記表1に示す各外径を持ち、内径:30mm、長さ:100mmのNb−7.5質量%Ta合金からなる各種円筒(管状体)中に、上記で調製したコア粉末を充填し、その外周部に厚さ:0.2mmのTaシートを下記表1に示す回数巻いて、夫々内径:58mm、外径:65mmの銅ビレット中に挿入した。このビレットを静水圧押出し装置で押出し伸線した後、引抜き加工によって、対辺長:12mmの六角材に加工した。この六角材の19本を、内径:61mm、外径:68mmの銅ビレット(安定化銅)中に配置し、再び静水圧押出し、減面加工によって線径:1mmまで伸線し、引き続き、750℃にて100時間熱処理(拡散熱処理)して超電導線材とした。尚、下記表1には、管状体の厚さTおよびTaシート(中間層)の厚さt、並びにこれらの比(t/T)についても示した。
Figure 0004727914
得られた各超電導線材について、温度:4.2K、外部磁場17Tにおける臨界電流を線材の横断面で除して得られる臨界電流密度(Jc)、4.2Kにおける座残留抵抗比(RRR)および0.2%耐力(YS)の測定を行なった。このとき、中間層を設けない以外は、上記と同様にして作製した超電導線材(上記表1のNo.8)の上記各特性についても調査した。測定された各特性と前記比(t/T)の関係を、図4〜6に夫々示す。
これらの結果から、次のように考察できる。まずNo.1のものでは、t/Tの値が大きくなって非超電導部の割合が増大しているので、臨界電流密度(Jc)が300A/mm2程度に減少している(図4)。また、No.7,8においては、臨界電流密度(Jc)が500A/mm2に近いものもあるが、100A/mm2や200A/mm2と低いものもある等、特性上のばらつきが大きいことが分かる(図4)。
No.1,8のものでは、臨界電流密度(Jc)が低いものが相対的に座残留抵抗値RRRも低くなっており(図4、5)、安定化銅部のEDX成分分析結果から、Snによる汚染が認められた。また、t/Tが0.014であるNo.7のものでも、その頻度はNo.1,7のものに比べて少なく改善が認められたが、やはりSnによる安定化銅の汚染が認められた。
これらに対し、No.2〜7のものでは、座残留抵抗比RRRは、いずれも300以上となっており(図5)、Snによる安定化銅の汚染も認められず、正常に加工されていることが確認できた。また、0.2%耐力(YS)は、いずれも200MPaを超えており、線材自体の機械的特性が著しく改善されていることが分かる(図6)。
これらの結果から明らかなように、管状体の外周部に中間層を設けると共に、中間層の厚みtと安定化銅の厚みTの比(t/T)の値を適切に制御することによって(特にt/Tの値を0.1以上にすることによって)、より確実にRRRやYSを改善できることが分かる。また、臨界電流密度(Jc)に関しては、t/Tの増加と共に減少する傾向があるが(図4)、t/Tが0.5であっても減少率は30%程度であり、0.3になると20%程度に抑えられていることが分かる。
下記表2に示す各外径を持ち、内径:30mm、長さ:100mmのNbからなる各種円筒(管状体)中に、外径:29.5mm、内径:26mm、長さ:100mmの銅パイプを挿入し、更にその内側に直径:25.5mm、長さ:100mmのSn−0.2質量%Ti棒を挿入し、前記管状体の外周部に厚さ:0.2mmのTaシートを下記表2に示す回数巻いて、内面に厚さ5μmのRhを電気めっき法により被覆した内径:58mm、外径:65mmの銅ビレット中に挿入した。このビレットを静水圧押出し装置で押出し伸線した後、引抜き加工によって、対辺長:12mmの六角材に加工した。この六角材の19本を、内径:61mm、外径:68mmの銅ビレット(安定化銅)中に配置し、再び押出し、伸線により線径:1mmまで加工した。この線材に、300℃×48時間と700℃×100時間の熱処理を施して超電導線材とした。尚、下記表2には、管状体の厚さTおよびTaシート(中間層)の厚さt、並びにこれらの比(t/T)についても示した。
Figure 0004727914
得られた各超電導線材について、実施例1と同様にして臨界電流密度(Jc)、座残留抵抗比(RRR)および0.2%耐力(YS)の測定を行なった。このとき、中間層を設けない以外は、上記と同様にして作製した超電導線材(上記表2のNo.16)の上記各特性についても調査した。測定された各特性と前記比(t/T)の関係を、図7〜9に夫々示す。
これらの結果から明らかなように、本発明をチューブ法に適用した場合においても、実施例1の場合と同様の効果が発揮されていることが分かる。
従来のチューブ法および粉末法の構成を示す概略説明である。 本発明を実施するための一構成例を示す概略説明図である。 本発明を実施するための他の構成例を示す概略説明図である。 実施例1で得られた超電導線材におけるt/Tと臨界電流密度(Jc)との関係を示すグラフである。 実施例1で得られた超電導線材におけるt/Tと座残留抵抗比(RRR)との関係を示すグラフである。 実施例1で得られた超電導線材におけるt/Tと臨界電流密度0.2%耐力(YS)との関係を示すグラフである。 実施例2で得られた超電導線材におけるt/Tと臨界電流密度(Jc)との関係を示すグラフである。 実施例2で得られた超電導線材におけるt/Tと座残留抵抗比(RRR)との関係を示すグラフである。 実施例2で得られた超電導線材におけるt/Tと臨界電流密度0.2%耐力(YS)との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 管状体
2 芯材
3 安定化銅
4 中間層
5 バッファー層

Claims (3)

  1. NbまたはNb基合金からなる管状体中に、Ta,NbおよびTiの少なくとも1種の金属と、Snと、Cuとを成分として含む合金粉末、金属間化合物粉末または混合粉末を充填し、この管状体の1本または複数本を安定化銅母材中に配置した複合部材を、伸線加工および熱処理することによって、前記管状体の内面にNb3Sn相を形成するNb3Sn超電導線材の製造方法において、前記管状体の外周部に、Ta,Ti,W,MoおよびVよりなる群から選択される1種または2種以上の金属または合金からなる中間層を配置すると共に、伸線加工前における中間層の厚みをt、管状体の厚みをTとしたとき、これらが下記(1)式を満足するものであることを特徴とするNb3Sn超電導線材の製造方法。
    0.05≦t/T≦0.5 …(1)
  2. 前記安定化銅母材と中間層の間に、両者の密着性を高める金属からなるバッファー層を介在させる請求項に記載の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の方法によって製造されたものであるNb3Sn超電導線材。
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