JP4722561B2 - ヘテロ環状メルカプト化合物を含有するパーマネントヘア加工用薬剤 - Google Patents

ヘテロ環状メルカプト化合物を含有するパーマネントヘア加工用薬剤 Download PDF

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Description

本発明は、ヘテロ環状メルカプト化合物を含有するパーマネントヘア加工用薬剤ならびにこれを用いるパーマネントヘア加工方法に関する。
従来、毛髪のパーマネント加工(以下、パーマネントヘア加工ともいう。)には、チオグリコール酸、システイン、アセチルシステイン、これらの塩類などの一般にケラチン還元物質ともいわれる化合物が使用されてきた。これらの従来のケラチン還元物質ともいわれる化合物は、パーマネントヘア加工に際してアルカリ性条件下で実用的な性能を有するため、多くのパーマ液はpH9.5程度のアルカリ性に調整されている。しかし、アルカリ性に調整されたパーマ液は、毛髪や頭皮の損傷を引き起こすことが知られており、これら不都合を解決するために中性から弱酸性のpH領域(pH:3〜7.5、25℃)で使用可能なケラチン還元物質の開発が進められている。
例えば、アルコール部分に水酸基を有するチオグリコール酸エステルとしてチオグリコール酸のモノグリセロールエステルが開示されている(特許文献1)。しかし、チオグリコール酸モノグリセロールエステルは構造中の水酸基に由来すると推定される感作性の報告もあり実用には至っていない。
また、チオグリコール酸エステルでみられる皮膚障害を解決する目的でメルカプトグリコール酸アミド誘導体(特許文献2)及びメルカプト乳酸アミド誘導体(特許文献3)を用いることが開示されている。しかし、メルカプトカルボン酸アミドには、皮膚刺激性があることが既に知られており、メルカプトカルボン酸アミド誘導体でも同様の感作性が懸念され、更には精製不足や保存中に遊離する原料アミンによる感作性、皮膚刺激なども懸念されるという問題がある。
さらには、弱酸性で効果を発揮するとされるシステアミンが検討されている(特許文献4)。しかし、システアミンは、弱酸性から酸性でのウエーブ性能は充分では無く、更には、パーマネント加工処理後の毛髪が独特の臭気を有するなど課題が多い。
特開平08−291031号公報 特表2000−507272号公報 特表2003−528901号公報 特開平03−271214号公報
本発明は、特に皮膚への刺激が少ない中性から弱酸性のpH領域においても、パーマネントヘア加工が可能なパーマネントヘア加工用薬剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記パーマネントヘア加工用薬剤を用いるパーマネントヘア加工方法を提供することをも目的としている。
本発明者らは上記実情を鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定のヘテロ環状メルカプト化合物をケラチン還元物質として配合することにより、中性から弱酸性のpH領域においても高いウエーブ性能、ウエーブ伸ばしや縮毛矯正などの性能を有するパーマネントヘア加工用薬剤を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[10]の事項を含むものである。
[1]下記式(1)で示されるヘテロ環状メルカプト化合物を少なくとも1種含有することを特徴とするパーマネントヘア加工用薬剤;
Figure 0004722561
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基を表し、Xは、−O−、−S−、−NH−、−NR3−のいずれか
を表し、R3は、炭素数1〜5のアルキル基を表す。nは0〜2の整数を表し、nが2の
場合SH基はいずれの炭素原子に結合していてもよい。)。
[2]上記式(1)中、R1及びR2が、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、あるいは2以上のメチレン基がエーテル結合、チオエーテル結合またはアミン結合を介して結合している炭素数2〜5の置換アルキル基であることを特徴とする上記[1]に記載のパーマネントヘア加工用薬剤。
[3]上記式(1)中、R1及びR2が、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であることを特徴とする上記[1]に記載のパーマネントヘア加工用薬剤。
[4]上記式(1)中、Xが、−NH−または−NR3−であることを特徴とする上記
[1]〜[3]のいずれかに記載のパーマネントヘア加工用薬剤。
[5]上記式(1)中、Xが、−NH−であり、かつ、R1及びR2が、それぞれ独立に水素原子またはメチル基であることを特徴とする上記[1]に記載のパーマネントヘア加工用薬剤。
[6]上記式(1)中、Xが、−NR3−であり、かつ、R1及びR2が、それぞれ独立
に水素原子またはメチル基であることを特徴とする上記[1]に記載のパーマネントヘア加工用薬剤。
[7]上記式(1)で示される化合物が、0.2〜15質量%の量で含まれていることを特徴とする上記[1]〜[6]のいずれかに記載のパーマネントヘア加工用薬剤。
[8]pHが2.5〜8.5であることを特徴とする上記[1]〜[7]のいずれかに記載のパーマネントヘア加工用薬剤。
[9]さらに香料を含むことを特徴とする上記[1]〜[8]のいずれかに記載のパーマネントヘア加工用薬剤。
[10]上記[1]〜[9]のいずれかに記載のパーマネントヘア加工用薬剤を用いることを特徴とするパーマネントヘア加工方法。
本発明のパーマネントヘア加工用薬剤は、中性から弱酸性のpH領域においても優れたパーマネントヘア加工実用性能を有し、かつ、低濃度でも優れた加工実用性能を有するので、パーマネントヘア加工に極めて有用である。また、パーマネント加工処理後の毛髪の臭気も従来のシステアミン系のパーマネントヘア加工用薬剤と比較して大幅に改善されて
いる。
以下、本発明について具体的に説明する。
<ヘテロ環状メルカプト化合物>
本発明に用いることのできるヘテロ環状メルカプト化合物は、下記式(1)
Figure 0004722561
で示される化合物である。
式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立して水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜5のアルキル基を表し、Xは、−O−、−S−、−NH−、−NR3−のい
ずれかを表し、R3は、炭素数1〜5のアルキル基を表す。nは0〜2の整数を表し、n
が2の場合SH基はいずれの炭素原子に結合していてもよい。
具体的には、R1及びR2は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、あるいは2以上のメチレン基がエーテル結合、チオエーテル結合またはアミン結合を介して結合している炭素数2〜5の置換アルキル基であることが好ましい。
より具体的には、R1及びR2は、同一でも異なってもよく、水素原子、またはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基などの炭素数1〜5のアルキル基であることが工業的な製造の点で好ましく、さらに水溶性を向上する目的では、R1及びR2は、同一でも異なってもよく、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−プロポキシエチル基、2−メチルアミノエチル基、2−エチルアミノエチル基、2−メチルチオエチル基、2−エチルチオエチル基及び2−プロピルチオエチル基などの総炭素数2〜5の置換アルキル基であってもよい。
これらのうち、より好ましくは、R1及びR2は、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、さらに好ましくは、それぞれ独立して水素原子またはメチル基である。
Xは、通常、−O−、−S−、−NH−、−NR3−のいずれかであり、R3は、炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましい。工業的な製造の点からは、R3は、メチル基
、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基であることがより好ましく、これらの中では、メチル基またはエチル基であることがさらに好ましい。
具体的には、Xが、−O−、−S−、−NH−、−NCH3−及び−NCH2CH3−で
あると、水溶液として使用されることの多いパーマ液への溶解度が比較的高く、液調製の点で好ましい。さらに、これらの中では、−NH−、−NCH3−及び−NCH2CH3
がより好ましい。
なお、nは0〜2の整数を表し、nが2の場合SH基はいずれの炭素原子に結合してい
てもよいが、工業的製造の容易さから、nは0(ヘテロ環を構成する5位の炭素原子にSH基が直接結合)か1であることが好ましい。
このようなヘテロ環状メルカプト化合物の例としては、イミダゾリジン環、オキサゾリジン環、あるいはチアゾリジン環を基本骨格として有する化合物が挙げられる。
イミダゾリジン環を基本骨格として有する化合物としては、具体的には、例えば、5−メルカプトヒダントイン、1−メチル−5−メルカプトヒダントイン、1−エチル−5−メルカプトヒダントイン、1−プロピル−5−メルカプトヒダントイン、1−イソプロピル−5−メルカプトヒダントイン、1−ノルマルブチル−5−メルカプトヒダントイン、1−イソブチル−5−メルカプトヒダントイン、1−tert−ブチル−5−メルカプトヒダントイン、3−メチル−5−メルカプトヒダントイン、3−エチル−5−メルカプトヒダントイン、3−プロピル−5−メルカプトヒダントイン、3−イソプロピル−5−メルカプトヒダントイン、3−ノルマルブチル−5−メルカプトヒダントイン、3−イソブチル−5−メルカプトヒダントイン、3−tert−ブチル−5−メルカプトヒダントイン、1−メチル−3−メチル−5−メルカプトヒダントイン、
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オキサゾリジン環を基本骨格として有する化合物の例としては、具体的には、例えば、5−メルカプトオキサゾリジン−2,4−ジオン、5−メルカプト−3−メチルオキサゾリジン−2,4−ジオン、5−メルカプト−3−エチルオキサゾリジン−2,4−ジオン、5−メルカプト−5−メチルオキサゾリジン−2,4−ジオン、5−メルカプト−3,5−ジメチルオキサゾリジン−2,4−ジオン、5−メルカプトメチルオキサゾリジン−2,4−ジオン、5−メルカプトメチル−3,5−ジメチルオキサゾリジン−2,4−ジオンなどが挙げられる。
チアゾリジン環を基本骨格として有する化合物の例としては、具体的には、例えば、5−メルカプトチアゾリジン−2,4−ジオン、5−メルカプト−3−メチルチアゾリジン−2,4−ジオン、5−メルカプト−3−エチルチアゾリジン−2,4−ジオン、5−メルカプト−5−メチルチアゾリジン−2,4−ジオン、5−メルカプト−3,5−ジメチルチアゾリジン−2,4−ジオン、5−メルカプトメチルチアゾリジン−2,4−ジオン、5−メルカプトメチル−3,5−ジメチルチアゾリジン−2,4−ジオンなどが挙げられる。
これらの中では、5−メルカプトヒダントイン、1−メチル−5−メルカプトヒダントイン、1−エチル−5−メルカプトヒダントイン、3−メチル−5−メルカプトヒダントイン、3−エチル−5−メルカプトヒダントイン、1−メチル−3−メチル−5−メルカプトヒダントイン、1−エチル−3−メチル−5−メルカプトヒダントイン、1−メチル−3−エチル−5−メルカプトヒダントイン、1−エチル−3−エチル−5−メルカプトヒダントイン、5−メルカプト−5−メチルヒダントイン、1−メチル−5−メルカプト
−5−メチルヒダントイン、5−メルカプトメチルヒダントイン、1−メチル−5−メルカプトメチルヒダントイン、3−メチル−5−メルカプトメチルヒダントイン、1−メチル−3−メチル−5−メルカプトメチルヒダントイン;
5−メルカプトオキサゾリジン−2,4−ジオン、5−メルカプト−3−メチルオキサゾリジン−2,4−ジオン;
5−メルカプトチアゾリジン−2,4−ジオン、5−メルカプト−3−メチルチアゾリジン−2,4−ジオン、5−メルカプト−3−エチルチアゾリジン−2,4−ジオン、5−メルカプト−5−メチルチアゾリジン−2,4−ジオン、5−メルカプト−3,5−ジメチルチアゾリジン−2,4−ジオン、5−メルカプトメチルチアゾリジン−2,4−ジオン、5−メルカプトメチル−3,5−ジメチルチアゾリジン−2,4−ジオン;がパーマ性能および工業的な製造の観点から好ましい。
これらの化合物は、既知の方法に準じて製造可能である。
例えば、上記ヘテロ環状メルカプト化合物のうち、ヘテロ環を構成する5位の炭素原子に直接メルカプト基が結合した化合物(上記式(1)において、nが0の場合)は、それぞれ市販のヒダントイン類、オキサゾリジン類、チアゾリジン類と、臭素などのハロゲンとを、ジオキサンなどの溶媒を用いて反応させて、それぞれのハロゲン化物を合成し(詳細は特開平07−278116号公報に記載がある。)、得られたハロゲン化物に低温下で硫化水素ガスを吹き込むことにより得られる。
一方、ヘテロ環を構成する5位の炭素原子にメチレン基またはエチレン基を介してメルカプト基が結合したメルカプト化合物、あるいは、ヘテロ環を構成する5位の炭素原子にメチン基を介してメルカプト基とメチル基が結合したメルカプト化合物(上記式(1)において、nが1または2の場合)は、市販のハロゲン化アルデヒド類あるいはハロゲン化ケトン類とシアン酸ナトリウムとを反応させてハロゲン化物を合成し(詳細は特開2004−043309号公報に記載がある。)、得られたハロゲン化物を極性溶媒中で硫化ナトリウムあるいは水硫化ナトリウムと反応させることにより合成できる。
このようなヘテロ環状メルカプト化合物を、パーマネントヘア加工用薬剤に配合すると、毛髪に影響を与えない低pHで作用するとともに、低濃度であっても高いウエーブ効率、ウエーブ伸ばしや縮毛矯正などの性能を発揮し、皮膚に対する影響も少ない。その理由は明確ではないが、上記へテロ環状メルカプト化合物は、複素環を有しているために酸化されやすく、これまで使用されていたメルカプト化合物では、実質的に使用できなかった弱酸性から中性領域でも、実用性能的に充分な機能を発揮するものと推測される。
<パーマネントヘア加工用薬剤>
本発明のパーマネントヘア加工用薬剤は、上記ヘテロ環状メルカプト化合物を少なくとも1種含有することを特徴としている。すなわち、上述したヘテロ環状メルカプト化合物を1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
具体的には、本発明のパーマネントヘア加工用薬剤は、上記式(1)で示されるヘテロ環状メルカプト化合物を通常0.2〜15質量%、より好ましくは1〜10質量%の量で含有する。該へテロ環状メルカプト化合物の含有量が、上記の範囲内にあると、毛髪や皮膚へのダメージが少なく、ウエーブ効率を高く保持することができる。ヘテロ環状メルカプト化合物の含有量が0.2質量%未満では、パーマネントヘア加工用薬剤としての性能がほとんど発揮できない場合がある。一方、15質量%を超えると毛髪の極端な縮毛が起こったり、キューティクルの部分剥離が促進されることで毛髪ダメージが大きくなることがあるので好ましくない。
本発明のパーマネント加工用薬剤には、ケラチン還元物質として、式(1)で示される
ヘテロ環状メルカプト化合物を単独で使用することも可能であるが、本発明の効果を損なわない範囲で、ケラチン還元物質として従来から使用されているチオグリコール酸、チオ乳酸、システイン、アセチルシステイン、システアミン、アシルシステアミン及びこれらの塩類、または亜硫酸塩などと併用することも可能である。
また、本発明のパーマネントヘア加工用薬剤には、上記ヘテロ環状メルカプト化合物の臭気をマスキングしてより一層の改善を図る目的で、上記へテロ環状メルカプト化合物に加えてさらに公知の香料を配合してもよい。
香料としては、(A)炭化水素類、(B)アルコール類、(C)フェノール類、(D)アルデヒド類及び/又はアセタール類、(E)ケトン類及び/又はケタール類、(F)エーテル類、(G)合成ムスク類、(H)酸類、(I)ラクトン類、(J)エステル類、(K)含窒素及び/又は含硫及び/又は含ハロゲン化合物、(L)天然香料からなる群から選ばれる少なくとも1種の香料が挙げられる。
具体的には、特開2003−137758号公報に開示されたものが例示される。
(A)炭化水素類は、炭素と水素で構成された揮発性有機化合物であれば特に限定されることはなく、脂肪族炭化水素類、脂環式炭化水素類、テルペン系炭化水素類、芳香族炭化水素類などが例示され、具体的には1,3,5−ウンデカトリエン、p−サイメン、α−ピネン、2,6,6−トリメチル−1−クロトニルシクロヘキサン、7−メチル−3−メチレン−1,6−オクタジエン、p−エチルスチレン、α−p−ジメチルスチレン、スチレン、デカリン、デカン、テトラデカン、テトラリン、ドデカン、トリデカン、トリデセン、ナフタレン、ノナン、ノネン、ノルボルナン、ノルボルネン、ヘキサデカン、ヘキサン、ヘプタデカジエン、ヘプタデカン、ヘプタデセン、ヘプタン、ペンタデカンなどが例示される。
(B)アルコール類は、水酸基を持つ揮発性有機化合物であれば特に限定されることはなく、脂肪族アルコール類、脂環式アルコール類、テルペン系アルコール類、芳香族アルコール類などが例示され、具体的には10−ウンデセノール、α−フェンキルアルコール、イソボルネオール、ジヒドロミルセノール、ネロール、ネロリドール、バクダノール(2−エチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテン−1−オール)、2−メチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテニル)−2−ブテノール、2−メチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテン−1−オール、3−メチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−ペンタン−2−オール、3−メチル−5−フェニルペンタノール、β,γ−ヘキセノール、トランス−2−ヘキセノール、シス−p−メンタン−7−オール、パラメトキシフェネチルアルコールなどが例示される。
(C)フェノール類は、フェノール性の化合物及びその誘導体であって香りを有する有機化合物であれば特に限定されることはなく、例えば1価、2価、3価のフェノール性化合物、ポリフェノール類、又はこれらの化合物のエーテル誘導体などが例示され、具体的にはp−クレゾール、イソオイゲノール、エストラゴール、オイゲノール、ヒノキチオール、メトキシベンゼン、レゾルシノールジメチルエーテル、ショウガオールなどが例示される。
(D)アルデヒド類及び/又はアセタール類は、アルデヒド基及び/又はアセタール基を分子内にもつ揮発性有機化合物であれば特に限定されることはなく、脂肪族アルデヒドやアセタール、テルペン系アルデヒドやアセタール、芳香族アルデヒドやアセタールなどが例示され、たとえば10−ウンデセナール、2,4−ジメチル−4,4a,5,9b−テトラヒドロインデノ[1,2d]−1,3−ジオキシン、2,4−デカジエナール、2,
6−ノナジエナール、2−ブチル−4,4,6−トリメチル−1,3−ジオキサン、2−ヘキシル−5−メチル−1,3−ジオキソラン、2−メチルウンデカナール、2−メチルウンデカナールジメチルアセタール、メチルデカナール、メチルノニルアセトアルデヒドジメチルアセタール、メチルバニリン、メトキシジシクロペンタジエンカルボキシアルデヒド、メトキシシトロネラールなどが例示される。
(E)ケトン類及び/又はケタール類は、ケトン基及び/又はケタール基を分子内にもつ揮発性有機化合物であれば特に限定されることはなく、脂肪族ケトンやケタール、テルペン系ケトンやケタール、芳香族ケトンやケタールなどが例示され、具体的には2−sec−ブチルシクロヘキサノン、シス−ジャスモン、ジヒドロカルボン、ジヒドロジャスモン、メチルイオノン、メチルシクロペンテノロン、メチルヘプテノン、メントン、ラズベリーケトン、メチルα−フリルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイリトン、メチルセドリロン、メチルテトラヒドロフラノン、4−(1−エトキシビニル)−3,3,5,5−テトラメチルシクロヘキサノンなどが例示される。
(F)エーテル類は、分子内にエーテル基を有する揮発性有機化合物であれば特に限定されることはなく、脂肪族エーテル、テルペン系エーテル、芳香族エーテルなどが例示され、たとえば1,4−シネオール、1,8−シネオール、ネロールオキサイド、フェニルエチルメチルエーテル、マドロックス、リナロールオキサイド、13−オキサビシクロ[10.3.0]ペンタデカン、n−デシルビニルエーテル、tert−ブチルハイドロキノンジメチルエーテル、ジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテルなどが例示される。
(G)合成ムスク類は、ムスク香或いはムスク類似香を有する有機化合物であれば特に限定されることはなく、たとえば10−オキサヘキサデカノリド、11−オキサヘキサデカノリド、12−オキサヘキサデカノリド、アンブレットリド、アンブレトン、エギザルトリド、エギザルトン、ガラクソリド、シクロヘキサデカノリド、シクロペンタデカノリド、シクロペンタデカノン、シベトン、セルボリド、セレストリド、トナリド、ファントリド、ペンタリド、ホルミルエチルテトラメチルテトラリン、ムスクチベテン、ムスコン、モスケン、ムスクアンブレット、ベルサリドなどが例示される。
(H)酸類は、分子内にカルボキシル基を有する有機化合物であれば特に限定されることはなく、たとえばフェニルアセチックアシッド、2−エチルブチリックアシッド、2−エチルヘキサノイックアシッド、2−デセノイックアシッド、2−ヘキセノイックアシッド、2−メチル−2−ペンテノイックアシッド、2−メチルブチリックアシッド、2−メチルヘプタノイックアシッド、4−ペンテノイックアシド、4−メチルペンタノイックアシッド、アセチックアシッド、イソバレリックアシッド、イソブチリックアシッド、ベンゾイックアシッド、マリックアシッド、マレイックアシッド、マロニックアシッドなどが例示される。
(I)ラクトン類は、分子内にラクトン基を有する揮発性有機化合物であれば特に限定されることはなく、脂肪族ラクトン、テルペン系ラクトン、芳香族ラクトンなどが例示され、たとえば6−メチルクマリン、α−アンゲリカラクトン、γ−n−ブチロラクトン、γ−ウンデカラクトン、γ−オクタラクトン、γ−デカラクトン、γ−ノナラクトン、γ−バレロラクトン、γ−ヘキサラクトン、γ−ヘプタラクトン、δ−2−デセノラクトン、δ−ウンデカラクトン、δ−オクタラクトン、δ−デカラクトン、δ−テトラデカラクトン、δ−ドデカラクトン、δ−トリデカラクトン、δ−ノナラクトン、δ−ヘキサラクトン、ε−デカラクトン、ε−ドデカラクトンなどが例示される。
(J)エステル類は、分子内にエステル基を有する揮発性有機化合物であれば特に限定
されることはなく、脂肪族エステル、テルペン系エステル、芳香族エステルなどが例示され、たとえば1−エチニルシクロヘキシルアセテート、アフェルマート(α,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルホルメート)、ジメチルスクシネート、ジメチルフェニルエチルカルビニルアセテート、ジメチルフタレート、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、ジメチルベンジルカルビニルイソブチレート、ジメチルベンジルカルビニルブチレート、ジメチルベンジルカルビニルプロピオネート、2,2,6−トリメチルシクロヘキサンカルボン酸エチルエステル、ジヒドロジャスモン酸メチル、ローズフェノンなどが例示される。
(K)含窒素及び/又は含硫黄及び/又は含ハロゲン化合物は、窒素、硫黄、ハロゲンを分子中に含有する有香性有機化合物であれば特に限定されることはなく、たとえば2−tert−ブチルキノリン、2−イソブチルキノリン、ゲラニルニトリル、シトロネリルニトリル、2−ナフチルメルカプタン、2−ペンチルピリジン、2−メチル−3−ブタンチオール、2−メチル−3−フランチオール、リモネンチオ−ル、アリルイソチオシアネ−ト、アリルメルカプタン、イソプロピルメルカプタン、カプサイシン、キニーネ、チアルジン、ノナノイルバニリルアミド、パラジクロルベンゼン、ブロモスチロ−ル、ベンジルイソチオシアネ−ト、ベンジルサイアナイド、メチオナール、メチオノール、メルカプトアセチックアシッドなどが例示される
(L)天然香料は、特に限定されることなく、たとえばアーモンドオイル、アンゲリカオイル、イランイランオイル、ウィンターグリーンオイル、エレミオイル、オークモスアブソリュート、オレンジオイル、カモミルオイル、キャラウェイオイル、グァイヤックウッドオイル、コスタスオイル、サイプレスオイル、サンダルウッドオイル、シストラブダナムオイル、シダーウッドオイル、スィートフェンネルオイル、スペアミントオイル、セージオイル、タイムオイル、タンジーオイル、チュベローズアブソリュート、トルーバルサム、ナツメグオイル、ネロリビガラードオイル、バジルオイル、ヒソップオイル、ヒノキオイル、ブチュオイル、ベイオイル、ペパーミントオイル、ボアドローズオイル、マジョラムオイル、ミモザアブソリュート、ムスクトンキンチンキ、メースオイル、ユーカリオイル、ライムオイル、ラベンダーオイル、ルーオイル、レモンオイル、ローズマリーオイルなどが例示される。これらの天然素材は、精油、レジノイド、バルサム、アブソリュート、コンクリート、チンキなど様々な形状で用いることもできる。
これらの香料は、ヘテロ環状メルカプト化合物などに由来する臭気のマスキング性にすぐれるとともに、香気の変質が少なく、長期間に渡る経時安定性に優れている。これらの香料は、目的、消費者の嗜好に合わせて、多種を併用してもよく、複数併用するとさらに好ましいマスキング効果が得られる。
本発明では、これらの香料は臭気がマスキングできる量で含まれていれば特に制限されるものではないが、通常、上記ヘテロ環状メルカプト化合物の量に対して、0.01〜50質量%の量で含まれていることが望ましい。
さらに、本発明のパーマネントヘア加工用薬剤には、毛髪の加工性能および使用感を向上させる目的で公知慣用の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で配合してもよい。
添加剤としては、界面活性剤、起泡洗浄助剤、過脂肪剤、増粘剤、粘度調整剤、不透明化剤、紫外線吸収剤、防腐剤、抗フケ剤、殺菌防腐剤、毛髪保護剤、湿潤剤、乳化剤、浸透促進剤、緩衝剤、pH調整剤、キレート剤、染料、安定化剤、パール剤等が挙げられる。また、必要に応じて、美容成分、その他、化粧料において汎用の他の成分を配合してもよい。
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤として、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム
、ラウロイルメチルアラニンナトリウム;
両面界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、イミダゾリン系活性剤、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン;
カチオン界面活性剤としては、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム;
非イオン性界面活性剤としては、アルキルアルカノールアミドなどが挙げられる。
増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸塩、ペクチン、トラガントガム、ポリビニルピロリドンなどの高分子化合物;ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコールなどの高級アルコール;
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ウンデシル酸、イソステアリン酸などの脂肪酸;
カオリンなどが挙げられる。
湿潤剤あるいは乳化剤としては、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、植物抽出エキス、ビタミン類、ヒアルロン酸塩、コンドロイチン硫酸塩、上述したカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤や、
ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルエーテルなどのエーテル型非イオン界面活性剤;
ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイルなどのシリコーン誘導体などが挙げられる。
浸透促進剤としては、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、グリセリン、エチルカルビトール、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール、尿素、2−メチルピロリドンなどが挙げられる。
緩衝剤としては、無機緩衝剤のほか、アルギニン、リジンなどの塩基性アミノ酸を含む緩衝剤、クエン酸塩などの有機酸類が挙げられる。
pH調整剤としては、塩酸、リン酸などの無機酸、あるいはリン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等の無機酸塩;
クエン酸、リンゴ酸、乳酸、コハク酸、シュウ酸などの有機酸、あるいはそのナトリウム塩;
アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムなどのアルカリ剤が挙げられる。
キレート剤としては、エデト酸およびその金属塩などが挙げられる。
その他の添加剤としては、パラフィン、流動パラフィン、ミツロウ、スクワラン、ホホバ油、オリーブ油、エステル油、トリグリセリド、ワセリン、ラノリンなどの油剤;
コラーゲンやケラチンなどの加水分解物およびその誘導体などの毛髪保護成分;が挙げられる。
本発明のパーマネントヘア加工用薬剤は、前記式(1)で表されるヘテロ環状メルカプト化合物を単独で、あるいは必要に応じて上述した他の成分と共に、溶剤に溶解、分散、乳化、懸濁させて得ることができる。
溶剤としては、水、アルコール類、エーテル類が好ましく、一般的な使用法を考慮して水がより好ましい。通常、溶剤は、溶剤以外の成分の合計量を100質量%から差し引いた残部の量で用いられる。
なお、本発明のパーマネントヘア加工用薬剤は、使用前に予め調製しておいてもよいし、使用する直前に複数の薬剤を混合して調製する用事調製によって得てもよい。
たとえば、用事調製の場合には、上記式(1)で表されるヘテロ環状メルカプト化合物以外の成分を含む薬剤を調製しておき、この薬剤に、該ヘテロ環状メルカプト化合物を膨潤剤や浸透促進剤などの添加剤で希釈した溶液を混合、溶解する方式が挙げられる。
本発明のパーマネントヘア加工用薬剤は、アルカリ側で使用できることは言うまでも無いが、これまでのケラチン還元物質が使用されているpHよりも低い、中性から弱酸性のpH領域で使用可能であり、該pH領域では、より優れたウエーブ形成効果を示す。
したがって、該パーマネントヘア加工用薬剤のpHについては特に制限はないが、好ましくはpH2.5〜9.0であり、更に好ましくはpH4.0〜8.0であり、最も好ましくはpH4.0〜7.5である(ここで、pHはKCL補給型複合電極(横河電機株式
会社 PH82-21-J)を用いて、温度23℃の条件で測定したものである。)。
パーマネントヘア加工用薬剤のpHが上記範囲にあると皮膚刺激性も少なく、毛髪の損傷などを引き起こす原因となりにくい。なお、上記範囲内に薬剤のpHを制御するには、例えば上述したpH調整剤を薬剤に添加するなどすればよい。
本発明のパーマネントヘア加工用薬剤は、上記式(1)で表されるヘテロ環状メルカプト化合物を含む限り、特にその形態に制限は無いが、例えば、液状、泡状、ゲル状、クリーム状、ペーストにして使用できる。そして、その形態によって液タイプ、スプレータイプ、エアゾールタイプ、クリームタイプ、ゲルタイプなど、種々のタイプの薬剤として使用できる。
<パーマネントヘア加工方法>
本発明のパーマネントヘア加工方法は、上述したパーマネントヘア加工用薬剤を使用する限り特に限定されず、該パーマネントヘア加工用薬剤の使用方法も特に制限されるものではない。
たとえば、本発明のパーマネントヘア加工方法の例としては、下記(1)〜(4)の工程を含む方法が挙げられる。なお、パーマネントヘア加工とは、毛髪に対するパーマネントウエーブ形成処理、毛髪のウエーブのばし処理および縮毛矯正処理を含めた、毛髪のパーマネント加工処理全般を意味する。
(1)上記式(1)で表されるヘテロ環状メルカプト化合物を含むパーマネントヘア加工用第1液で毛髪を湿らせた後、該毛髪を、毛髪に型付けをするためのロッドで巻き込む。また、水で湿らせた毛髪をロッドに巻き付けてから上記パーマネントヘア加工用第1液を湿潤しても良い。なお、縮毛矯正の際には、ロッドは使用しない。
(2)薬液を湿潤した後、室温にて放置する。その際、30℃から40℃程度の温度に加温することが好ましい。
(3)酸化剤を含有する組成物(パーマネントヘア加工用第2液)を毛髪に湿潤させ、上
記ヘテロ環状メルカプト化合物を酸化し、毛髪の形状を固定する。
(4)形状を固定した毛髪からロッドを取り外し、毛髪を洗浄、シャンプー処理をし、乾燥する。
なお、(3)で使用する酸化剤としては、一般的に使用される臭素酸ナトリウムの3〜8質量%程度の水溶液や過酸化水素、過ホウ酸ナトリウムなどの希釈液が使用できる。
本発明のパーマネントヘア加工方法は、上記したパーマネントヘア加工用薬剤を使用しているので、皮膚に対する影響も少なく、感作性も弱く、さらには毛髪のウエーブ効率にも優れている。
以下に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の例中において特に言及しない限り、「%」および「部」は質量基準である。
[合成例1]
<5−メルカプトヒダントインの合成>
ヒダントイン100g(1mol、純正化学株式会社製)を、ジオキサン500ml(純正化学株式会社製)および臭素160g(1mol、純正化学株式会社製)と室温で混合し、60℃に徐々に昇温した。60℃に昇温後45分間撹拌した。室温に冷却後、溶媒を留去し、さらに減圧下で乾燥して5−ブロモヒダントイン粗結晶を得た。
温度13℃で硫化水素ガス(住友精化株式会社製)を充分に飽和させたジオキサン720gに撹拌しながら、上記5−ブロモヒダントイン粗結晶をジオキサン600gに溶解した液を滴下ロートより、13℃に温度を保ちながら滴下した。反応液を13℃に保持し24時間撹拌した。反応液に析出している粉末を桐山ロートでろ集、除去した。ろ液を減圧下にて濃縮して油状物質165gを取得した。油状物質に精製水(蒸留後にイオン交換した水)800gを加えて、40℃に加温しながら溶解した。溶液を氷浴にてゆっくりと5℃まで冷却し結晶を析出させた。析出した結晶を桐山ロートでろ集し、5−メルカプトヒダントインの白色結晶23g(0.17mol、原料ヒダントインより算出した収率は17%)を得た。
[合成例2]
<5−メルカプト−1−メチルヒダントインの合成>
1−メチルヒダントイン114g(1mol、純正化学株式会社製)をジオキサン1000ml(純正化学株式会社製)に溶解した後に、トリフルオロホウ素・エーテル錯体0.1g(東京化成株式会社製)を加えて撹拌しながら70℃に昇温した。臭素160g(1mol、純正化学株式会社製)を70℃で約60分間かけて滴下した。滴下完了後、減圧下に溶媒を留去し、5−ブロモ−1−メチルヒダントイン粗結晶を得た。
温度14℃で硫化水素ガス(住友精化株式会社製)を充分に飽和させたジオキサン1000gに撹拌しながら、上記5−ブロモ−1−メチルヒダントイン粗結晶をジオキサン350gに溶解した液を滴下ロートより、14℃に温度を保ちながら滴下した。反応液を14℃に保持し36時間撹拌した。反応液に析出している粉末を桐山ロートでろ集、除去した。ろ液を減圧下にて濃縮して黄白色粉末235gを得た。黄白色粉末に精製水500gを加えて、60℃に加温しながら溶解した。溶液を氷浴にてゆっくりと5℃まで冷却し結晶を析出させた。析出した結晶を桐山ロートでろ集した。ろ集した結晶をメタノール200mLに入れて10分間、撹拌後、桐山ロートで結晶をろ集し、5−メルカプト−1−メチルヒダントインの白色結晶20g(0.14mol、原料1−メチルヒダントインより算出した収率は14%)を得た。
[合成例3]
<5−メチル−5−メルカプトメチルヒダントインの合成>
2000mLの4つ口フラスコに撹拌翼、温度計、pHコントローラー付きのpH電極、原料供給ポンプをセットし、本反応装置内にα−クロロアセトン154g(94%含量、1.56mol、東京化成株式会社製)を加えて液温が15℃以下となるように反応装置を氷浴にて冷却した。この原料液に20%シアン化ナトリウム水溶液514g(NaCNとして102.9g、2.10mol、純正化学株式会社製)を原料供給ポンプから供給した。この時、反応液中のpHが6〜7となるようにpHコントローラーで制御されたポンプから18%塩酸水溶液を液中に供給した。シアン化ナトリウム水溶液の供給に約1時間を要したが、この間、反応液中の温度が16〜18℃を保つように反応装置を冷却した。
原料の供給が終了してから16〜18℃を保持し、約30分間撹拌し、熟成させた。得られた反応液をそのまま、次の反応に使用した。
5000mLの4つ口フラスコに撹拌翼、温度計、上記原料供給ポンプを反応液供給ポンプとしてセットし、本反応装置内に炭酸水素アンモニウム1032g(13.1mol、純正化学株式会社製)と精製水822gを加え、40℃にて30分間撹拌した。炭酸水素アンモニウムのスラリー液に上記の反応液(氷浴により10℃以下に保つ)を、ポンプを使って約4時間かけて供給した。供給完了後、得られた反応液を40℃に保持し、2時間撹拌した。反応終了時の反応液pHは、7.15であった。反応終了後、氷冷しながら反応液に20%塩酸を20℃以下を保ちながら添加し、pH3とした。pH調整した反応液を減圧下に約半分量に濃縮することで白色の結晶が生成した。
得られた白色結晶を桐山ロートでろ集し、5−クロロメチル−5−メチルヒダントイン127g(0.78mol、収率50%)を得た。
得られた5−クロロメチル−5−メチルヒダントイン50g(0.31mol)に、精製水138g、70%水硫化ナトリウム246g(3.1mol)を加えて懸濁状態とした。撹拌しながら反応容器を100℃に加熱し、100℃で3時間撹拌した。
反応液を25℃まで冷却し、反応器下部からグラスフィルター付きのガラス管より窒素を吹き込みながらpH3となるまで95%硫酸を加えた。酸性化処理した後に反応液を半量以下に濃縮し、生成した結晶をろ集して5−メチル−5−メルカプトメチルヒダントイン粗結晶を得た。
得られた粗結晶をアンモニア水に溶解して10%溶液とした。この溶液を電解槽の陰極側にセットし、陽極側に3%硫酸を加えた。陰極側には銀電極、陽極側には白金電極を使用して、両セル間をイオン交換樹脂(旭硝子社製 セレミオン膜)により隔離した。電解槽全体を約15℃以下に保つように冷却しながら電極間に15V加電圧したところ1.5Aの初期電流値を示していた。通電を約15時間実施した。陰極液を減圧下に濃縮し、5−メチル−5−メルカプトメチルヒダントイン粉末37g(粉末中の純度92%、収率68%)を得た。
[実施例1]
<パーマネントヘア加工用第1液の調製>
精製水(蒸留後にイオン交換フィルターを通した水)80gにプロピレングリコール10g、エデト酸二ナトリウム0.2g、ポリオキシエチレンステアリルエーテル1gを加えて均一になるように撹拌した。撹拌しながら、合成例1で得られた5−メルカプトヒダントイン2.9g(22mmol)をパスツールピペットにて少しずつ加えた。暫く撹拌した後に、この混合液を所望のpH(pH4.0,6.0及び7.0)となるようにモノ
エタノールアミンにて調整した。混合液を充分に撹拌した後でpHを再度調整した。その際、pH調整後の液量が、100gとなるように精製水を加えて撹拌し、パーマネントヘア加工用第1液を得た。
最終のpH測定結果を表1の括弧内に示す。
<パーマネントヘア加工用第2液の調製>
臭素酸ナトリウム5g及び精製水95gを混合してパーマネントヘア加工用第2液を得た。
<パーマネント加工処理>
中国人毛髪(長さ約20cm、50本)を湿った状態でスパイラルカーラー(内径:13.5mm)に巻き付け、空調室(温度35℃)で35℃に加温した上記パーマネントヘア加工用第1液をピペットを用いて、均一に毛髪に塗布した。その後、毛髪から第1液が滴らない程度に軽く拭き取った。処理後の毛髪を35℃にて20分間放置した。
次いで、処理毛髪に上記パーマネントヘア加工用第2液を湿潤させて、35℃のもと、10分間放置した。第2液による処理が完了後、処理毛髪をカーラーから外した。処理毛髪を35℃の水中にて洗浄後、毛束の一端をクリップなどで固定して吊した状態で自然乾燥した。
ウエーブ効率は、フレグランスジャーナル臨時増刊(1984年、No.5、421ページ)記載の方法に従い、スパイラルロッド法により評価した。
すなわち、得られたパーマネント加工処理毛髪の採寸を行い、下記ウエーブ効率計算式によりウエーブ効率を算出した。
ウエーブ効率(%)=(ロッドの波長)÷(平均波長L)×100
但し、平均波長L=(l1+l2)÷(n1+n2
1,l2:スパイラルカーラーの1番目と最後の山を除いた、左右の波の山の
距離
1,n2:スパイラルカーラーの左右の波の山の数
その結果を表1に示す。
[実施例2]
5−メルカプトヒダントインの代わりに、合成例2で得られた5−メルカプト−1−メチルヒダントイン3.2g(22mmol)を使用した以外は、実施例1と同様にして、パーマネントヘア加工用第1液の調製を行い、ウエーブ効率を測定した。その結果を表1に示す。
[実施例3]
5−メルカプトヒダントインの代わりに、合成例3で得られた5−メチル−5−メルカプトメチルヒダントイン3.5g(22mmol)を使用した以外は、実施例1と同様にして、パーマネントヘア加工用第1液の調製を行い、ウエーブ効率を測定した。その結果を表1に示す。
[比較例1]
5−メルカプトヒダントインの代わりにシステイン2.66g(22mmol、純正化学)を使用した以外は実施例1と同様にして、パーマネントヘア加工用第1液の調製を行い、ウエーブ効率を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 0004722561
[試験例1]
上記実施例1〜3及び比較例1で調製したパーマネントヘア加工用第1剤(目標pH値4.0及び7.0の液)について、20〜30歳台の女性パネラー6名にて臭気の官能評価を行った。
官能評価は、比較例1のシステインを含む第1剤の臭気を基準とし、これに対して改善されたと感じた人数をもとに下記の基準で評価した。
官能評価 0:6人のパネラー全てが改善していないと感じた
官能評価 1:6人のパネラーのうち、1−2名が臭気改善効果を認めた。
官能評価 2:6人のパネラーのうち、3−4名が臭気改善効果を認めた。
官能評価 3:6人のパネラーのうち、5−6名が臭気改善効果を認めた。
その結果を表2に示す。
Figure 0004722561
表2より、本発明のヘテロ環状メルカプト化合物を含有するパーマネントヘア加工用薬剤は、中性から酸性領域のpH領域においても、汎用されているシステインパーマよりも安定したウエーブ効率が得られ、かつ、臭気も大幅に改善されていることがわかる。

Claims (9)

  1. 下記式(1)で示されるヘテロ環状メルカプト化合物を少なくとも1種含有することを特徴とするパーマネントヘア加工用薬剤;
    Figure 0004722561
    (式中、R1及びR2は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、あるいは2以上のメチレン基がエーテル結合、チオエーテル結合またはアミン結合を介して結合している炭素数2〜5の置換アルキル基を表し、Xは、−O−、−S−、−NH−、−NR3−のいずれかを表し、R3は、炭素数1〜5のアルキル基を表す。nは0〜2の整数を表し、nが2の場合SH基はいずれの炭素原子に結合していてもよい。)。
  2. 上記式(1)中、R1及びR2が、それぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であることを特徴とする請求項1に記載のパーマネントヘア加工用薬剤。
  3. 上記式(1)中、Xが、−NH−または−NR3−であることを特徴とする請求項1または2に記載のパーマネントヘア加工用薬剤。
  4. 上記式(1)中、Xが、−NH−であり、かつ、R1及びR2が、それぞれ独立に水素原子またはメチル基であることを特徴とする請求項1に記載のパーマネントヘア加工用薬剤。
  5. 上記式(1)中、Xが、−NR3−であり、かつ、R1及びR2が、それぞれ独立に水素原子またはメチル基であることを特徴とする請求項1に記載のパーマネントヘア加工用薬剤。
  6. 上記式(1)で示される化合物が、0.2〜15質量%の量で含まれていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のパーマネントヘア加工用薬剤。
  7. pHが2.5〜8.5であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のパーマネントヘア加工用薬剤。
  8. さらに香料を含むことを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のパーマネントヘア加工用薬剤。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載のパーマネントヘア加工用薬剤を用いることを特徴とするパーマネントヘア加工方法。
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