JP4721567B2 - Wet friction clutch - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両のカップリングやデファレンシャル装置等に用いられる湿式摩擦クラッチに関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平10−329562号公報に図16のような駆動力伝達装置301が記載されている。
【0003】
駆動力伝達装置301は、回転ケース303、インナーシャフト305、メインクラッチ307、ボールカム309、プレッシャープレート311、カムリング313、パイロットクラッチ315、アーマチャ317、電磁石319などから構成されている。
【0004】
駆動力伝達装置301は4輪駆動車において2輪駆動走行時に切り離される後輪側のプロペラシャフトを分断して配置されており、回転ケース303は前側のプロペラシャフトに連結され、インナーシャフト305は後側のプロペラシャフトに連結されている。
【0005】
回転ケース303はメインクラッチ307が連結されている円筒部材321と、ロータ323から構成されており、ロータ323は電磁石319の磁路の一部を構成し、円筒部材321は磁路からの磁束の漏洩を防止するためにステンレス鋼で作られている。
【0006】
メインクラッチ307は、円筒部材321とインナーシャフト305との間に配置された多板クラッチであり、ボールカム309は、インナーシャフト305に移動自在に連結されたプレッシャープレート311とカムリング313との間に設けられている。
【0007】
パイロットクラッチ315は多板クラッチからなり、アーマチャ317とロータ323とに挟まれている。
【0008】
この駆動力伝達装置301では、ロータ323、パイロットクラッチ315、アーマチャ317等によって電磁石319の磁路が磁力線325のように形成されており、電磁石319を励磁すると、磁力線325によってアーマチャ317が吸引されるため、パイロットクラッチ315を押圧して締結させる。
【0009】
パイロットクラッチ315が締結されると、パイロットトルクが生じてボールカム309にエンジンの駆動力が掛かり、発生したカムスラスト力によってメインクラッチ307が押圧され、駆動力伝達装置301が連結されて後輪側に駆動力が伝達され、車両は4輪駆動状態になる。
【0010】
また、電磁石319の励磁を停止すると、パイロットクラッチ315が開放されてボールカム309のカムスラスト力が消失し、メインクラッチ307が開放されて駆動力伝達装置301の連結が解除され、後輪側が切り離されて車両は2輪駆動状態になる。
【0011】
多板クラッチからなるパイロットクラッチ315は、アウタプレート及びインナプレートの複数が交互に積層されることにより構成されている。また、アウタプレートは円筒部材321に係合するものであり、そのための係合突起が外周側に一定間隔で形成されている。インナプレートはカムリング313に係合するものであり、そのための係合突起が内周側に一定間隔で形成されている。
【0012】
パイロットクラッチ315は、電磁石319の磁力線325によってアーマチャ317が吸引されることにより、積層状態のアウタプレート及びインナプレートが密着して摩擦力が発生し、締結するものである。一方、パイロットクラッチ315が締結していないときには、アウタプレート及びインナプレートが相互に摺動するため、オイルによって潤滑する必要があり、回転ケース303内にはオイルが充填されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
パイロットクラッチ315では、電磁石319へ通電しない2輪駆動時においても、アウタプレート及びインナプレートが積層状態で摺動しているため、低温時などではオイルの粘性によって隣接しているクラッチ板の間で引きずりトルクが発生する恐れがある。この引きずりトルクがある程度以上になると、アウタプレート及びインナプレートが締結されたと同様な状態となり、パイロットクラッチ315にパイロットトルクが生じ、ボールカム309を介してメインクラッチ307に押圧力が作用して、後輪側に駆動力が伝達されてしまう恐れがある。
【0014】
このように必要のないときに後輪側に駆動力が伝達されてしまうと、駆動ロスとなって車両の走行性や燃費に影響を与えてしまう。
【0015】
そこで、本発明は、クラッチ板間の引きずりトルクを抑制することができ、不要時にクラッチ板が締結することがなく、車両の動力伝達機構(カップリング)等に適用した場合には、走行性に影響がなく、燃費を向上することのできる湿式摩擦クラッチを提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の湿式摩擦クラッチは、一側と他側の各トルク伝達部材の間に配置され電磁石の励磁によって締結される湿式摩擦クラッチであって、前記湿式摩擦クラッチは、相互に摺動するように重ね合わされ前記電磁石の励磁による磁路が形成される摺動部を有すると共に、前記磁路の短絡を防止するために周方向に一定間隔で形成された円弧状のギャップ部を有して軸方向交互に配置され、それぞれの係合突起を介して前記一側と他側の各トルク伝達部材に連結された外側と内側のクラッチ板からなり、隣接している前記外側と内側のクラッチ板の少なくとも一方の前記摺動面にオイルを導くオイル導入路が設けられ、前記オイル導入路は前記円弧状のギャップ部と連通して前記係合突起側に径方向に向けて非開放の先端部を有して設けられたオイル室に連通していることを特徴とする。
【0017】
この発明では、隣接しているクラッチ板の一方に設けたオイル導入路がオイル室に連通しているため、クラッチ板が回転すると、ワイゼンベルグ効果によってオイル導入路にオイルが供給され、クラッチ板の摺動部にオイルが導かれるため、隣接しているクラッチ板が導入されたオイルによって円滑に離される。このため、クラッチ板間の引きずりトルクを抑制することができる。
【0018】
従って、この発明の湿式摩擦クラッチを車両のカップリングやデファレンシャル装置のパイロットクラッチに用いた場合には、不用意に4輪駆動状態となることがなく、走行性を安定させることができると共に、駆動ロスが解消され燃費を向上することができる。
【0019】
なお、ワイゼンベルグ効果とは、回転部分に流体(オイル)が絡みついて巻き込むという物理的流体特性のことであり、ここでは、オイル室に連通したオイル導入路の端部がオイル室内で回転することにより、オイルが絡みつきオイル導入路に引き込まれることを指している。
【0025】
また、オイル導入路がクラッチ板の径方向に沿って設けられていることにより、周方向に沿ってオイル導入路を設けたものに比べると、差動回転時にオイル導入路と隣接するクラッチ板の摺動部と接する面積が広くとることができる。
【0026】
これは、クラッチ板の差動回転時におけるオイル導入路と摺動部との接する面積が、径方向寸法×回転角(回転移動量)によって求められるため、周方向に沿ってオイル導入路を設けたものに比べ、径方向に沿ってオイル導入路を設けたものの方が、径方向寸法を大きく設定できるので、前記面積を大きくすることができる。
【0027】
これにより、効果的にクラッチ板を離すことができ、引きずりトルクを抑制することができる。
【0030】
請求項2の発明は、請求項1に記載の発明であって、オイル導入路の縁部がクラッチ板の一般部の板厚よりも薄く設定して隣接するクラッチ板との間に隙間を形成したことを特徴とし、請求項1の構成と同様な作用・効果を得ることができる。
【0031】
また、オイル導入路の縁部がクラッチ板の一般部の板厚よりも薄く設定して隣接するクラッチ板との間に隙間を形成してあるため、オイル導入路の縁部と隣接するクラッチ板との間にオイルを貯留することができ、その分、クラッチ板間へのオイルの導入量を増やすことができる。また、隙間を形成したことにより、この隙間がクラッチ板間へオイルを導入するガイドとなり、クラッチ板間の摺動部へのオイルの導入が効果的に行われる。これにより、引きずりトルクをより一層抑制することができる。
【0041】
この発明においても、電磁石への通電によって発生した磁路が短絡することのない状態で、湿式摩擦クラッチのクラッチ板を締結することができる。
【0042】
この発明では、オイル導入路がクラッチ板のギャップ部と連通しているため、オイルをギャップ部へ確実に導入することができ、引きずりトルクを抑制することができる。
【0044】
【発明の実施の形態】
[参考例]
図1〜4によって、本発明の参考例を組み込んだリアデフ(デファレンシャル装置)1の説明をする。
【0045】
図1は本発明に係る電磁クラッチを組み込んだリアデフ(リアデファレンシャル装置)の断面図を示している。図2は本発明の参考例の湿式摩擦クラッチのクラッチ板(インナープレート)を示す正面図、図3は図2のA−A線に該当する部分に沿った図1の断面図を示し、図4は図2のB−B線に該当する部分に沿った図1の断面図を示している。
【0046】
また、左右の方向はリアデフ1を用いた車両及び図1での左右の方向であり、符号のない部材等は図示されていない。
【0047】
この車両は4輪駆動車であり、リアデフ1は2輪駆動走行時に切り離される後輪側に配置されている。
【0048】
図1のように、リアデフ1は、回転ケース3、デフケース5、ベベルギア式の差動機構7、クラッチ機構9、その一部を構成するロータ11などから構成されている。
【0049】
リアデフ1はデフキャリアに収容されており、このデフキャリアにはオイルが充填され、その下部にはオイル溜まりが設けられている。
【0050】
回転ケース3は、リングギア13と円筒部材15から構成されており、円筒部材15はプレスで加工され、リングギア13に溶接されている。
【0051】
リングギア13は大径と小径のボ−ルベアリング17,19によってデフケース5上に支持されている。また、リングギア13はヘリカルギアであり、後輪側プロペラシャフトに連結された相手側ヘリカルギアと噛み合っている。
【0052】
図1のように、回転ケース3はリングギア13によるトルク伝達だけを行って、部材の支持機能から開放されたフローティング構造になっている。
【0053】
また、リングギア13は、その捻れ角によって、車両の前進走行時には回転ケース3に右方向の噛み合いスラスト力を与え、後進走行時には左方向の噛み合いスラスト力を与える。
【0054】
ボ−ルベアリング17のアウターレース21はリングギア13の段差部23によって左方向に位置決めされており、インナーレース25は受圧部材27とデフケース5の段差部28とによって右方向に位置決めされている。
【0055】
また、ボ−ルベアリング19のアウターレース29はリングギア13の段差部31によって右方向に位置決めされており、インナーレース33はデフケース5の左ボス部35に装着されたスナップリング37によって左方向に位置決めされている。スナップリング37は、充分な位置決め機能を持ちながら、ある程度以上のスラスト力を受けると破壊するように、適度な強度が与えられている。
【0056】
差動機構7は、複数本のピニオンシャフト39、ピニオンギア41、左右のサイドギア43,45などから構成されている。
【0057】
各ピニオンシャフト39はデフケース5の回転中心軸から放射状に配置されており、それぞれの先端はデフケース5の係合孔47に係合し、スプリングピン49によって抜け止めを施されている。
【0058】
ピニオンギア41はピニオンシャフト39上に支承されており、デフケース5とピニオンギア41との間には、ピニオンギア41の遠心力及びサイドギア43,45との噛み合い反力を受ける球面ワッシャ51が配置されている。
【0059】
サイドギア43,45はそれぞれピニオンギア41と噛み合っており、各サイドギア43,45とデフケース5との間には、サイドギア43,45の噛み合い反力を受けるスラストワッシャ53がそれぞれ配置されている。
【0060】
サイドギア43,45は左右のドライブシャフトにそれぞれスプライン連結されており、各ドライブシャフトはデフケース5の左右のボス部35,55とデフキャリアから外部に貫通し、継ぎ手を介して左右の後輪に連結されている。
【0061】
デフケース5は、左のボス部35をボ−ルベアリング74によってデフキャリアに支承され、右のボス部55をボ−ルベアリング75とコア73を介してデフキャリアに支承されている。
【0062】
リングギア13を回転させるエンジン(原動機)の駆動力は、下記のように、クラッチ機構9が連結されるとデフケース5に伝達される。デフケース5の回転はピニオンシャフト39からピニオンギア41を介して各サイドギア43,45に配分され、さらにドライブシャフトから左右の後輪側に伝達されて車両が4輪駆動状態になり、悪路の脱出性と走破性、発進性、加速性、車体の安定性などが大きく向上する。
【0063】
また、悪路などで後輪間に駆動抵抗差が生じると、エンジンの駆動力はピニオンギア41の自転によって左右の後輪に差動配分される。
【0064】
クラッチ機構9は、電磁石57、ロータ11、多板式のメインクラッチ59及びパイロットクラッチ(本参考例の湿式摩擦クラッチ)61、カムリング63、ボールカム65(カム機構)、プレッシャープレート67、リターンスプリング69、アーマチャ71、コントローラなどから構成されている。
【0065】
電磁石57のコア73はデフキャリアに固定されており、そのリード線は外部に引き出され、コントローラに接続されている。
【0066】
ロータ11は磁性材料で作られており、スナップリング77によってデフケースの右ボス部55外周に固定され、軸方向に位置決めされている。また、ロータ11は回転ケース3の右側壁部材を兼ねている。
【0067】
メインクラッチ59は、回転ケース3(円筒部材15)とデフケース5の間に配置されている。そのアウタプレート79は円筒部材15の内周に設けられたスプライン部81に連結されており、インナプレート83はデフケース5の外周に設けられたスプライン部85に連結されている。
【0068】
パイロットクラッチ61は円筒部材15とカムリング63の間に配置されている。そのアウタプレート(クラッチ板)87は円筒部材15のスプライン部81に連結されており、インナプレート(クラッチ板)89はカムリング63の外周に設けられたスプライン部91に連結されている。
【0069】
また、スプライン部81は、円筒部材15をプレス加工するとき同時に加工されており、円筒部材15の右端部まで貫通している。
【0070】
アウタプレート87とインナプレート89は軸方向交互に配置されており、アーマチャ71にはインナプレート89が対向している。
【0071】
ボールカム65はカムリング63とプレッシャープレート67との間に配置されている。プレッシャープレート67はデフケース5のスプライン部85に連結されており、下記のように、ボールカム65のカムスラスト力を受けてメインクラッチ59を押圧する。
【0072】
カムリング63とロータ11との間には、ボールカム65のカム反力を受けるスラストベアリング93が配置されている。
【0073】
リターンスプリング69は、プレッシャープレート67とデフケース5との間に配置され、プレッシャープレート67をメインクラッチ59の連結解除方向に付勢している。
【0074】
アーマチャ71はリング状に形成されており、プレッシャープレート67とパイロットクラッチ61との間で軸方向移動自在に配置されている。また、アーマチャ71の内周はプレッシャープレート67の段差部94によってセンターリングされている。
【0075】
ロータ11、パイロットクラッチ61のアウタプレート87とインナプレート89、アーマチャ71によって電磁石57の磁路が構成されており、電磁石57を励磁するとこの磁路上に磁束ループ95が形成される。
【0076】
また、ロータ11と電磁石57のコア73との間には磁路の一部になる所定間隔のエアギャップ97,99が設けられている。ロータ11は、径方向の外側部分101と内側部分103とからなり、外側部分101と内側部分103とがブリッジ部107によって連結されている。ブリッジ部107は磁力の短絡防止効果を高めるために、軸方向の両側に凹部を形成し、薄くしてある。
【0077】
また、ロータ11とパイロットクラッチ61との間には、パイロットクラッチ61とロータ11との当たりを改善するワッシャ109が配置されている。このワッシャ109は、3個の爪111をロータ11の外周に形成された凹部113に折り込んで、ロータ11に取り付けられている。
【0078】
また、パイロットクラッチ61のアウタプレート87の内周とカムリング63との間、インナプレート89の外周と回転ケース3との間、及び回転ケース3とアーマチャ71の外周との間には、デフキャリアに充填されたオイルに浸され、パイロットクラッチ61、ボールカム65、メインクラッチ59などの潤滑性と冷却性を向上しているオイル室115,117,119が形成されており、これらオイル室115,117,119によって磁力の短絡防止効果がさらに向上している。
【0079】
このように、電磁石57、パイロットクラッチ61及びアーマチャ71によって、この参考例の電磁クラッチが構成されている。
【0080】
パイロットクラッチ61は3枚のアウタプレート87と4枚のインナプレート89とが交互に積層されることにより構成されており、この積層状態でロータ11(電磁石57)とアーマチャ71との間に配置されている。これにより、パイロットクラッチ61は電磁石57とアーマチャ71とに挟まれるように設けられている。
【0081】
図2〜4に示すように、アウタプレート87の外径側には、円筒部材15のスプライン部89と係合する係合突起135が形成される一方、インナプレート89の内径側には、カムリング63のスプライン部91と係合する係合突起137が形成されている。
【0082】
また、アウタプレート87及びインナプレート89には、磁路の短絡を防止するギャップ部131,133がそれぞれ形成されている。ギャップ部131,133は円弧状となっており、これらのクラッチ板87,89の周方向に一定間隔で形成されている。なお、図2ではインナプレート89を示しているが、アウタプレート87のギャップ部131はインナプレート89のギャップ部133と対向した位置に略同形状に形成されるものである。
【0083】
これにより図3に示すように前述の磁束ループ95が、ロータ11、パイロットクラッチ61のアウタプレート87とインナプレート89、アーマチャ71に形成される。
【0084】
一方、パイロットクラッチ61のインナプレート89には図2に示すように、オイル導入路141が形成されている。オイル導入路141はギャップ部133の間に位置するように周方向に複数個設けられる。
【0085】
また、オイル導入路141は、外径側に延び、図4に示すように、その端部をオイル室117,119に連通しており、この参考例では、オイル導入路141はインナプレート89の外径側がオイル室117,119に、内径側がオイル室115に連通するように形成されている。
【0086】
このようなオイル導入路141をインナプレート89に形成することにより、アウタプレート87が回転するとワイゼンベルグ効果によって,インナプレート89と回転ケース3との間のオイル室117に存在しているオイルがオイル導入路141からアウタプレート87及びインナプレート89の摺動部にオイルを導入することができる。そして、摺動部に導入されたオイルは、隣接しているアウタプレート87及びインナプレート89を離すように作用する。このため、隣接しているアウタプレート87及びインナプレート89の間の引きずりトルクを抑制することができる。
【0087】
コントローラは、路面状態、車両の発進、加速、旋回のような走行条件及び操舵条件などに応じて電磁石57の励磁、励磁電流の制御、励磁停止を行う。
【0088】
電磁石57が励磁されると、アーマチャ71が吸引され、ロータ11との間でパイロットクラッチ61を押圧し締結させる。
【0089】
パイロットクラッチ61が締結されると、パイロットクラッチ61によって回転ケース3に連結されたカムリング63と、デフケース5側のプレッシャープレート67とを介してボールカム65にエンジンの駆動力が掛かる。ボールカム65はこの駆動力を増幅しながらカムスラスト力に変換し、プレッシャープレート67を移動させ、受圧部材27との間でメインクラッチ59を押圧して締結させる。
【0090】
こうしてクラッチ機構9が連結されると、上記のように、リングギア13の回転はデフケース5に伝達され、その回転は差動機構7によって左右の後輪に配分され、車両が4輪駆動状態になる。
【0091】
このとき、電磁石57の励磁電流を制御すると、パイロットクラッチ61の滑りが変化してボールカム65のカムスラスト力が変わり、後輪側に伝達される駆動力が制御される。
【0092】
このような駆動力の制御を、例えば、旋回時に行うと旋回性と車体の安定性とを大きく向上させることができる。
【0093】
また、電磁石57の励磁を停止すると、パイロットクラッチ61が開放されてボールカム65のカムスラスト力が消失し、リターンスプリング69の付勢力によってプレッシャープレート67が右方に戻り、メインクラッチ59が開放されてクラッチ機構9の連結が解除され、車両は前輪駆動の2輪駆動状態になる。
【0094】
左右のドライブシャフトがそれぞれ貫通するデフケース5のボス部35,55内周には螺旋状のオイル溝が設けられている。また、デフケース5には、メインクラッチ59と対応する部分に多数の開口が設けられており、回転ケース3には、パイロットクラッチ61と対応する部分に開口121,121が設けられている。
【0095】
また、回転ケース3(円筒部材15)の右端部側に配置されたパイロットクラッチ61とアーマチャ71の付近には、上記のオイル室115,117,119が設けられている。
【0096】
回転ケース3の下部は、デフキャリアに設けられているオイル溜まりに浸されており、このオイルはオイル室115,117,119からパイロットクラッチ61、アーマチャ71とプレッシャープレート67との摺動部、ボールカム65、スラストベアリング93、メインクラッチ59、ボールベアリング17などに移動し、これらを潤滑・冷却する。
【0097】
また、オイルはデフケース5の回転に伴って螺旋状のオイル溝から内部に流入して差動機構7の各ギアの噛み合い部、球面ワッシャ51を潤滑・冷却し、さらに遠心力を受けて上記の開口からメインクラッチ59側に流出し、メインクラッチ59、ボ−ルベアリング17、ボールカム65、パイロットクラッチ61、スラストベアリング93などを潤滑・冷却し、オイル室115,117,119と開口121,121から流出してオイル溜まりに戻る。
【0098】
また、ボ−ルベアリング17,19はリングギア13の回転によって跳ね掛けられたオイルによっても潤滑・冷却される。
【0099】
また、電磁石57は、オイルによって冷却され特性が安定すると共に、電磁石57の熱によってオイル溜まりのオイルと周辺のパイロットクラッチ61やボールカム65などが加温され、暖められたオイルが循環し、上記の各構成部材を暖めて、それぞれの機能を安定させる。
【0100】
また、エンジンとリアデフ1との間で、例えば、ギアボックスや軸受けが焼き付きを起こしたような場合、後輪の走行回転によって回転ケース3のリングギア13が相手側ヘリカルギアより先行回転する状態になる。
【0101】
この状態では、リングギア13と相手側ヘリカルギアの間で伝達されるトルクの方向が後進走行と同じ方向になるから、上記のように、ヘリカルギアの噛み合いによって回転ケース3を左方へ移動させるスラスト力が生じる。
【0102】
また、上記のように、ボールベアリング19の位置決めをするスナップリング37は強度が適度に調整されているから、ボールベアリング19を介してこのスラスト力を受けるとスナップリング37が破壊され、回転ケース3が左に移動し、この移動によってパイロットクラッチ61のアウタプレート87が円筒部材15のスプライン部81から外れる。
【0103】
アウタプレート87がスプライン部81から外れると、パイロットクラッチ61を開放したときと同様に、ボールカム65のカムスラスト力が消失してメインクラッチ59が開放され、後輪側が切り離される。
【0104】
従って、4輪駆動状態で走行中にエンジン側で焼き付きが生じても、自動的に後輪側が切り離されるから、後輪の回転が焼き付き個所に伝わることを抑制するため、故障モードが改善される。
【0105】
また、クラッチ機構9の連結が解除されているとき(2輪駆動状態)、パイロットクラッチ61のインナプレート89、プレッシャープレート67、アーマチャ71、カムリング63(ボールカム65)、スラストベアリング93、ロータ11はデフケース5と共に回転し、パイロットクラッチ61のアウタプレート87は回転ケース3と共に回転する。
【0106】
このような構成では、アーマチャ71に対向してアウタプレート87を配置すると、2輪駆動走行中にアウタプレート87からアーマチャ71に摩擦によって駆動力が伝達され、後輪側が連れ回り状態になり、その駆動ロスによってエンジンの燃費に影響を与える恐れがあるが、リアデフ1では、上記のように、パイロットクラッチ61のインナプレート89がアーマチャ71と対向して配置されており、摩擦による駆動力の伝達が生じないから、後輪の連れ回リア駆動ロスによる燃費への影響が防止される。
【0107】
また、ロータ11を回転ケース3側に支持すると、2輪駆動走行中に、デフケース5側のカムリング63と回転ケース3側のロータ11の相対回転がスラストベアリング93に掛かり、耐久性に影響を与える恐れがあるが、ロータ11をデフケース5上で支持したリアデフ1では、スラストベアリング93がこのような相対回転から開放され、耐久性への影響が防止される。
【0108】
こうして、リアデフ1が構成されている。
【0109】
上記のように、パイロットクラッチ61のインナプレート89に、インナープレート89とアウタープレート87の摺動部に対してオイルを導くオイル導入路141が設けられ、前記オイル導入路141が、オイル室117,119に連通しているため、インナープレート89が回転すると、ワイゼンベルグ効果によってオイル導入路141にオイルが供給され、前記摺動部にオイルが導かれるため、インナープレート89とアウタープレート87とが導入されたオイルによって円滑に離される。このため、引きずりトルクを抑制することができる。
【0110】
引きずりトルクを抑制できることから、パイロットクラッチ61にパイロットトルクが発生することがなく、パイロットトルクによるボールカム65を介したメインクラッチ59の不用意な締結を防止することができる。このようにメインクラッチ59の不用意な締結がないため、2輪駆動時に4輪駆動となることがない。このため、走行性が安定すると共に、駆動ロスを解消し燃費を向上することができる。
【0111】
また、メインクラッチ59を締結させるための押圧状態が不要時に発生しないため、メインクラッチ59の温度上昇を抑えることができ、メインクラッチ59の耐久性を向上させることができる。
【0112】
また、メインクラッチ59の耐久性が向上するため、メインクラッチ59として軽量で安価な材料を用いることができる。
【0113】
なお、ワイゼンベルグ効果とは、回転部分に流体(オイル)が絡みついて巻き込むという物理的流体特性のことであり、ここでは、オイル室117,119に連通したオイル導入路の端部がオイル室117,119内で回転することにより、オイルが絡みつきオイル導入路に引き込まれることを指している。
【0114】
また、特にこの参考例では、オイル導入路141がインナープレート89の径方向に沿って設けられていることにより、周方向に沿ってオイル導入路を設けたものに比べると、差動回転時にオイル導入路141と隣接するアウタープレート87の摺動部と接する面積が広くとることができる。
【0115】
これは、インナープレート89とアウタープレート87との差動回転時におけるオイル導入路141と摺動部との接する面積Sが、径方向寸法L×回転角θ(回転移動量)によって求められるため、周方向に沿ってオイル導入路141を設けたもの(径方向寸法L1)に比べ、径方向に沿ってオイル導入路141を設けたもの(径方向寸法L2)の方が、径方向寸法を大きくL1<L2)設定できる分、面積Sを大きく(S1<S2)することができるということである。
【0116】
ここで、仮想のインナープレート89の一部を示した図5と共に具体的に説明する。もし仮に、図5(a)に示すような周方向に沿ってオイル導入路141’を設けたものがあったとする。このとき、オイル導入路の径方向寸法をL1とし、インナープレート89とアウタプレート87との相対回転角度がθだとすると、オイル導入路141’と摺動部との接する面積S1は、図中斜線部で示す領域(面積S1)となる。
【0117】
一方、図5(b)に示すように径方向に沿ってオイル導入路141を設けた参考例のインナープレート89の場合は、オイル導入路の径方向寸法がL2,相対回転角度がθだとすると、オイル導入路141と摺動部との接する面積S2は、図中斜線部で示す領域(面積S2)となり、周方向に沿ってオイル導入路141’を設けた領域(面積S1)よりも遙かに広範囲に渡っていることが図からも明らかである。
【0118】
これにより、効果的にクラッチ板を離すことができ、引きずりトルクを抑制することができる。
【0119】
また、オイル導入路141がインナープレート89とアウタープレート87の外径側のオイル室117,119から内径側のオイル室115に連通していることにより、オイル導入路141の外径側のオイル室117,119からワイゼンベルグ効果によってオイル導入路141にオイルを引き込み、アウタープレート87の摺動部にオイルを導入しつつ、余分なオイルを内径側のオイル室115に排出することができる。これにより、オイル導入路141のオイルの流れが円滑に行われインナープレート89とアウタープレート87とをより円滑に引き離すことができ、引きずりトルクを抑制することができる。
【0120】
また、オイル導入路141をギャップ部133,133の間に設けているため、クラッチ板の剛性を確保することができる。
【0121】
なお、この参考例では、オイル導入路141をインナープレート89に設けた例を示したが、これに限らず、オイル導入路141をアウタープレート87に設けたり、インナープレート89とアウタープレート87との双方に設けるようにしても良い。
【0122】
図14及び図15は、本発明の湿式摩擦クラッチをパイロットクラッチ61に適用した電磁クラッチの性能を比較したグラフである。
【0123】
図14はパイロットクラッチ61の引きずりトルクの性能を示すものであり、実線Aがオイル導入路をインナプレート89及びアウタプレート87の双方に設けた場合、鎖線Bがオイル導入路をインナプレート89にだけ設けた場合、破線Cがオイル導入路を設けていない従来の場合を示している。
【0124】
このように、実線A及び鎖線Bのいずれも従来の破線Cに比べて引きずりトルクが小さくなっている事がわかる。
【0125】
また、図15はメインクラッチ59の温度変化をプロットしたものであり、各線A,B,Cは109と同様である。
【0126】
このように、実線A及び鎖線Bは共に従来の破線Cよりも温度上昇が小さくなっており、パイロットクラッチ61の引きずりトルクに基づいたメインクラッチ59の不要時における押圧の発生が抑制されていることが分かる。
【0127】
[第1実施形態]
図6〜9によって第1実施形態を説明する。
【0128】
図6は本発明の第1実施形態の湿式摩擦クラッチのクラッチ板(アウタープレート)を示す正面図、図7は図6のC−C線に該当する部分に沿った図1の断面図を示している。
【0129】
この第1実施形態は、前述の参考例とオイル導入路の形状が異なる例を示すもので、その他の部分に付いて同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0130】
図6及び図7はパイロットクラッチ61のアウタプレート87を示すものであり、外径側には、円筒部材15のスプライン部81と係合する係合突起135が形成されている。また、電磁石57の磁路の短絡を防止する円弧状のギャップ部131が周方向に一定間隔で形成されている。
【0131】
一部のギャップ部131には、オイル導入路143が連通状態で形成されている。オイル導入路143はギャップ部131から径方向の外側に向かって延びており、その延設先端部は、インナプレート89の摺動部よりも外側に位置している。すなわち、破線で示す145はインナプレート89の摺動部の先端であり、オイル導入路143はこの摺動部先端145の外側まで延びて、オイル室117,119に連通している。
【0132】
また、図8及び図9に拡大して示すように、オイル導入路143がインナプレート89(またはアウタプレート87)の厚さ方向を貫通するように形成されるが、いずれもその縁部がインナープレート89の一般部の板厚よりも薄く設定して隣接するアウタープレート87との間に隙間が形成されている。このように、オイル導入路143の縁部と隣接するアウタープレート87との間に隙間を形成することにより、オイルを隙間部分に貯留することができ、その分、インナプレート89及びアウタプレート87の間へのオイルの導入量を増やすことができる。また、隙間を形成したことによりこの隙間がインナープレート89とアウタープレート87との間へオイルを導入するガイドとなり、インナープレート89とアウタープレート87との間へのオイルの導入が効果的に行われる。これにより、引きずりトルクをより一層抑制することができる。
【0133】
また、図9(a)では、オイル導入路143の縁部とインナプレート89の外面89aとが斜面部153によって連設されている。オイルはこの斜面部153を流動してオイル導入路143に入るため、オイルをインナプレート89とアウタプレート87との摺動部に円滑に導入することができ、これにより、引きずりトルクを抑制することができる。
【0134】
図9(b)は、オイル導入路143の異なる形状の例を示すもので、両端のエッジ部155が円弧状となっている。このようにオイル導入路143のエッジ部155を円弧状とすることにより(特にこの実施形態では、縁部を板厚方向に円弧状に打ち抜いて形成している)、オイルが円滑に流動することができる。このため、インナプレート89とアウタプレート87との摺動部にオイルを円滑に導入することができ、引きずりトルクを抑制することができる。
【0135】
このようなアウタプレート87のオイル導入路143では、オイル室117のオイルをインナプレート89との摺動部に導くため、アウタプレート87及びインナプレート89を離すことができる。
【0136】
また、特にこの実施形態では、オイル導入路143がギャップ部131と連通しているため、オイルをギャップ部131へ導入することができ、オイル導入量を増やすことができ、その分、アウタプレート87及びインナプレート89を確実に離すことができる。これにより、引きずりトルクを抑制することができ、不用意に4輪駆動状態となることがなく、走行性が安定すると共に、駆動ロスを解消し、燃費を向上することができ、しかも、メインクラッチ59の温度上昇を抑えることができ、その耐久性を向上させることができる。
【0137】
また、図6のアウタプレート87と図2に示す構造のインナプレート89等と組み合わせて用いることができる。図2のインナプレート89には、複数のオイル導入路141が径方向に沿って形成されており、インナプレート89からもオイルをアウタプレート87との摺動部に導入することができる。このようにインナプレート89及びアウタプレート87の双方からオイルを導入する構造では、多量のオイルを導入することができ、インナプレート89及びアウタプレート87を円滑に離すことができる。このため、引きずりトルクを抑制することができる。
【0138】
[第2実施形態]
図10及び図11は、第2実施形態を示しており、図10は本発明の第2実施形態の湿式摩擦クラッチのクラッチ板(インナープレート)を示す正面図、図11は図10のD−D線に該当する部分に沿った図1の断面図を示している。
【0139】
この第2実施形態は、前述の参考例および第1実施形態とオイル導入路の形状が異なる例を示すもので、その他の部分に付いて同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0140】
この第2実施形態では、図10に示すように、パイロットクラッチ61のインナプレート89にオイル導入路149が形成されたものであり、インナープレート87にオイル導入路143を形成した前述の第1実施形態の変形例である。
【0141】
従って、オイル導入路149の断面形状を前述のオイル導入路143と同様にのすれば、前述の第1実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
【0142】
オイル導入路149はインナプレート89に形成した一部のギャップ部133と連通するように形成されている。また、オイル導入路149はギャップ部133から内径側に延びるように形成されている。このような方向に延びることにより、アウタプレート87の摺動部に対して確実にオイルを導入することができる。
【0143】
また、図6のアウタープレート87と組み合わせてパイロットクラッチ61を構成することもでき、この場合の断面図を図12に示す。
【0144】
これにより、パイロットクラッチ61のアウタープレート87に設けたオイル導入路143とインナプレート89に設けたオイル導入路149により、外径側のオイル室117,119と、内径側のオイル室115に連通していることにより、オイル導入路143の外径側のオイル室117,119からワイゼンベルグ効果によってオイル導入路143にオイルを引き込み、アウタープレート87の摺動部にオイルを導入すると共にギャップ部131,133を介してオイル導入路149にオイルを供給し、オイル導入路149にてインナープレート89の摺動部にオイルを導入し、余分なオイルを内径側のオイル室115に排出することができる。これにより、オイル導入路143,149のオイルの流れが円滑に行われインナープレート89とアウタープレート87とをより円滑に引き離すことができ、引きずりトルクを抑制することができる。
【0145】
[他の参考例]
図13は他の参考例の湿式摩擦クラッチのクラッチ板(インナープレート)を示す正面図である。なお、この他の参考例は、前述の参考例、第1、第2実施形態とオイル導入路の形状が異なる例を示すもので、その他の部分に付いて同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0146】
図13はパイロットクラッチ61のインナプレート89を示すものであり、周方向に一定間隔で形成されているギャップ部133の間に、オイル導入溝147が周方向に複数形成されている。
【0147】
オイル導入溝147はインナプレート89の外径側から内径側に連通するように形成されている。また、オイル導入路147はギャップ部133の一部を一体に形成した十字形となっており、このため、径方向に延びると共に、周方向にも延びている。また、オイル導入路147はアウタプレート87がインナプレート89と摺動する摺動部よりも外側に延びている。このようなオイル導入路147では、オイル室117のオイルをアウタプレート87との摺動部に導くため、アウタプレート87及びインナプレート89を離すことができる。このため、引きずりトルクを抑制することができる。
【0148】
特に、オイル導入路147が周方向にも延びているため、オイルの導入量を増やすことができ、その分、アウタプレート87及びインナプレート89を確実に離すことが可能となっている。
【0149】
この参考例においては、図5のアウタプレート87との組み合わせによってパイロットクラッチ61を構成することも可能である。図6のアウタプレート87では、オイル導入路143がギャップ部131と連通するように形成されており、このアウタプレート87を組み合わせることにより、インナプレート89及びアウタプレート87の双方からオイルをこれらの間に導入することができ、多量のオイルを導入することができるため、インナプレート89及びアウタプレート87を円滑に離すことができる。
【0150】
【発明の効果】
請求項1の発明では、クラッチ板の一方に設けたオイル導入路にワイゼンベルグ効果によってオイルが引き込まれ、クラッチ板の摺動部にオイルが導かれるため、隣接しているクラッチ板を円滑に離すことができ、クラッチ板間の引きずりトルクを抑制することができる。従って、車両が不用意に4輪駆動状態となることがなく、走行性を安定させることができると共に、駆動ロスを解消し、燃費を向上することができる。
【0152】
また、この発明では、オイル導入路がクラッチ板の径方向に沿って設けられていることにより、周方向に沿ってオイル導入路を設けたものに比べると、差動回転時にオイル導入路と隣接するクラッチ板の摺動部と接する面積が広くとることができる。
また、この発明では、オイル導入路がクラッチ板のギャップ部と連通することにより、オイルをギャップ部へ確実に導入することができる。
【0153】
これにより、効果的にクラッチ板を離すことができ、引きずりトルクを抑制することができる。
【0155】
請求項2の発明では、請求項1と同様な効果を有するのに加えて、オイルを隙間部分に貯留することができ、その分、クラッチ板間へのオイルの導入量を増やすことができる。また、隙間を形成したことにより、この隙間がクラッチ板間へオイルを導入するガイドとなり、クラッチ板間の摺動面へのオイルの導入が効果的に行われる。これにより、引きずりトルクをより一層抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参考例が組み込まれたリアデフの断面図である。
【図2】 参考例のインナプレートの正面図である。
【図3】 図2のA−A線に沿った図1の要部の拡大断面図である。
【図4】 図2のB−B線に沿った図1の要部の拡大断面図である。
【図5】 オイル導入路と摺動部との接する面積の説明図。
【図6】 第1実施形態のアウタプレートの正面図である。
【図7】 図6のC−C線に沿った図1の要部の拡大断面図である。
【図8】 第1実施形態の要部の拡大図である。
【図9】 第1実施形態の要部の拡大断面図である。
【図10】 第2実施形態のインナプレートの正面図である。
【図11】 図10のD−D線に沿った図1の要部の拡大断面図である。
【図12】 第1実施形態と第2実施形態を組み合わせた図1の要部の拡大断面図である。
【図13】 他の参考例のインナプレートの正面図である。
【図14】 引きずりトルクを示す特性図である。
【図15】 メインクラッチの温度変化を示す特性図である。
【図16】 従来の構造を用いたカップリングの断面図である。
【符号の説明】
87 アウタプレート
89 インナプレート
115,117,119 オイル室
131,133 ギャップ部
141,143,147,149,151 オイル導入路[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a wet friction clutch used in a vehicle coupling or a differential device.ToRelated.
[0002]
[Prior art]
Japanese Patent Application Laid-Open No. 10-329562 describes a driving
[0003]
The driving
[0004]
The driving
[0005]
The rotating
[0006]
The
[0007]
The
[0008]
In this driving
[0009]
When the
[0010]
When the excitation of the
[0011]
The
[0012]
In the
[0013]
[Problems to be solved by the invention]
In the
[0014]
If the driving force is transmitted to the rear wheel when it is not necessary in this way, a driving loss occurs, which affects the running performance and fuel consumption of the vehicle.
[0015]
Therefore, the present invention can suppress the drag torque between the clutch plates, and the clutch plates are not fastened when not needed. When applied to a vehicle power transmission mechanism (coupling) or the like, Wet friction clutch that has no effect and can improve fuel efficiencyHThe purpose is to provide.
[0016]
[Means for Solving the Problems]
The wet friction clutch of the invention of claim 1 is disposed between the torque transmission members on one side and the other side.Fastened by electromagnet excitationA wet friction clutch, wherein the wet friction clutches are overlapped to slide relative to each other.In addition to having a sliding portion in which a magnetic path is formed by excitation of the electromagnet, and having arc-shaped gap portions formed at regular intervals in the circumferential direction to prevent short-circuiting of the magnetic path, the axial direction is alternated Arranged on the outer side and the inner side that are connected to the torque transmission members on the one side and the other side via the respective engaging projections.Consists of clutch plates and adjacentOutside and insideAt least one of the clutch platesOn the sliding surfaceAn oil introduction path for guiding the oil is provided, and the oil introduction pathIs provided in communication with the arc-shaped gap portion and having a non-opening tip portion in the radial direction on the engagement projection side.It is characterized by communicating with the oil chamber.
[0017]
In this invention, since the oil introduction path provided in one of the adjacent clutch plates communicates with the oil chamber, when the clutch plate rotates, oil is supplied to the oil introduction path by the Weisenberg effect, and the clutch plate slides. Since the oil is guided to the moving part, the adjacent clutch plate is smoothly separated by the introduced oil. For this reason, the drag torque between the clutch plates can be suppressed.
[0018]
Therefore, when the wet friction clutch of the present invention is used as a vehicle coupling or a pilot clutch of a differential device, the four-wheel drive state is not inadvertently brought about, and traveling performance can be stabilized and driving can be performed. Loss is eliminated and fuel consumption can be improved.
[0019]
The Weisenberg effect is a physical fluid characteristic in which fluid (oil) is entangled and wound around a rotating part. Here, the end of the oil introduction path communicating with the oil chamber rotates in the oil chamber. This means that the oil is entangled and drawn into the oil introduction path.
[0025]
In addition, since the oil introduction path is provided along the radial direction of the clutch plate, the clutch plate adjacent to the oil introduction path at the time of differential rotation can be compared with the case where the oil introduction path is provided along the circumferential direction. The area in contact with the sliding portion can be widened.
[0026]
This is because the area of contact between the oil introduction path and the sliding portion during differential rotation of the clutch plate is determined by the radial dimension × rotation angle (rotational movement amount), so an oil introduction path is provided along the circumferential direction. Compared to the above, the one provided with the oil introduction path along the radial direction can set the radial dimension larger, so that the area can be increased.
[0027]
Thereby, the clutch plate can be effectively released, and the drag torque can be suppressed.
[0030]
Claim2The invention of claim1The invention is described, wherein the edge of the oil introduction path is set to be thinner than the plate thickness of the general portion of the clutch plate, and a gap is formed between adjacent clutch plates,1'sThe same operation and effect as the configuration can be obtained.
[0031]
Also, since the edge of the oil introduction path is set to be thinner than the plate thickness of the general part of the clutch plate and a gap is formed between the adjacent clutch plates, the clutch plate adjacent to the edge of the oil introduction path Oil can be stored between the two and the amount of oil introduced between the clutch plates can be increased accordingly. Further, since the gap is formed, the gap serves as a guide for introducing oil between the clutch plates, and the oil is effectively introduced into the sliding portion between the clutch plates. Thereby, drag torque can be further suppressed.
[0041]
Also in this invention, the clutch plate of the wet friction clutch can be fastened in a state where the magnetic path generated by energizing the electromagnet is not short-circuited.
[0042]
In this invention, since the oil introduction path communicates with the gap portion of the clutch plate, the oil can be reliably introduced into the gap portion, and drag torque can be suppressed.
[0044]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
[Reference example]
1-4, the present inventionReference exampleThe rear differential (differential device) 1 incorporating the above will be described.
[0045]
FIG. 1 shows the present invention.Pertaining toA sectional view of a rear differential (rear differential device) incorporating an electromagnetic clutch is shown. FIG. 2 illustrates the present invention.Reference example3 is a front view showing a clutch plate (inner plate) of the wet friction clutch, FIG. 3 is a cross-sectional view of FIG. 1 taken along the line AA of FIG. 2, and FIG. 4 is a cross-sectional view of FIG. FIG. 2 shows a cross-sectional view of FIG. 1 along the part corresponding to the line.
[0046]
AlsoThe left and right directions are the vehicle using the rear differential 1 and the left and right directions in FIG. 1, and members without reference numerals are not shown.
[0047]
This vehicle is a four-wheel drive vehicle, and the rear differential 1 is disposed on the rear wheel side that is disconnected during two-wheel drive traveling.
[0048]
As shown in FIG. 1, the rear differential 1 includes a rotary case 3, a differential case 5, a bevel gear
[0049]
The rear differential 1 is accommodated in a differential carrier, the differential carrier is filled with oil, and an oil reservoir is provided in the lower part thereof.
[0050]
The rotating case 3 includes a
[0051]
The
[0052]
As shown in FIG. 1, the rotating case 3 has a floating structure in which only torque transmission by the
[0053]
Also, the
[0054]
The
[0055]
The
[0056]
The
[0057]
Each
[0058]
The pinion gear 41 is supported on the
[0059]
The side gears 43 and 45 are in mesh with the pinion gear 41, and thrust
[0060]
The side gears 43 and 45 are spline-connected to the left and right drive shafts, respectively, and each drive shaft penetrates to the outside from the left and
[0061]
In the differential case 5, the
[0062]
The driving force of the engine (prime mover) that rotates the
[0063]
Further, when a driving resistance difference occurs between the rear wheels on a rough road or the like, the driving force of the engine is differentially distributed to the left and right rear wheels by the rotation of the pinion gear 41.
[0064]
The clutch mechanism 9 includes an
[0065]
The
[0066]
The
[0067]
The main clutch 59 is disposed between the rotary case 3 (cylindrical member 15) and the differential case 5. The
[0068]
The
[0069]
Further, the
[0070]
The
[0071]
The
[0072]
A
[0073]
The
[0074]
The
[0075]
The
[0076]
In addition, air gaps 97 and 99 having a predetermined interval are provided between the
[0077]
A
[0078]
Further, there is a differential carrier between the inner periphery of the
[0079]
Thus, the
[0080]
The
[0081]
As shown in FIGS. 2 to 4, an
[0082]
The
[0083]
As a result, the aforementioned
[0084]
On the other hand, an
[0085]
The
[0086]
By forming such an
[0087]
The controller performs excitation of the
[0088]
When the
[0089]
When the
[0090]
When the clutch mechanism 9 is thus connected, the rotation of the
[0091]
At this time, when the excitation current of the
[0092]
When such driving force control is performed during turning, for example, turning performance and vehicle stability can be greatly improved.
[0093]
When the excitation of the
[0094]
A spiral oil groove is provided on the inner periphery of the
[0095]
The
[0096]
The lower part of the rotating case 3 is immersed in an oil reservoir provided in the differential carrier, and this oil flows from the
[0097]
The oil flows into the inside of the spiral oil groove as the differential case 5 rotates, lubricates and cools the meshing portions of the gears of the
[0098]
The
[0099]
In addition, the
[0100]
Further, for example, when the gear box or the bearing is seized between the engine and the rear differential 1, the
[0101]
In this state, the direction of the torque transmitted between the
[0102]
Further, as described above, since the strength of the
[0103]
When the
[0104]
Therefore, even if seizure occurs on the engine side during traveling in the four-wheel drive state, the rear wheel side is automatically separated, so that the failure mode is improved to prevent the rotation of the rear wheels from being transmitted to the seizing part. .
[0105]
When the clutch mechanism 9 is disengaged (two-wheel drive state), the
[0106]
In such a configuration, when the
[0107]
Further, when the
[0108]
Thus, the rear differential 1 is configured.
[0109]
As described above, the
[0110]
Since the drag torque can be suppressed, pilot torque is not generated in the
[0111]
In addition, since a pressing state for fastening the main clutch 59 does not occur when it is unnecessary, an increase in temperature of the main clutch 59 can be suppressed, and durability of the main clutch 59 can be improved.
[0112]
Further, since the durability of the main clutch 59 is improved, a light and inexpensive material can be used for the
[0113]
The Weisenberg effect is a physical fluid characteristic in which a fluid (oil) is entangled and wound around a rotating portion. Here, the end of the oil introduction path communicating with the
[0114]
Also especially thisReference exampleThen, since the
[0115]
This is because the area S where the
[0116]
Here, it demonstrates concretely with FIG. 5 which showed some virtual
[0117]
On the other hand, as shown in FIG. 5B, the
[0118]
Thereby, the clutch plate can be effectively released, and the drag torque can be suppressed.
[0119]
Further, the
[0120]
Moreover, since the
[0121]
In addition, thisReference exampleIn the above example, the
[0122]
14 and 15 are graphs comparing the performance of an electromagnetic clutch in which the wet friction clutch of the present invention is applied to the
[0123]
FIG. 14 shows the performance of the drag torque of the
[0124]
Thus, it can be seen that both the solid line A and the chain line B have a smaller drag torque than the conventional broken line C.
[0125]
FIG. 15 is a plot of changes in the temperature of the
[0126]
Thus, both the solid line A and the chain line B have a smaller temperature rise than the conventional broken line C, and the occurrence of pressing when the main clutch 59 is not required based on the drag torque of the
[0127]
[No.1Embodiment]
6 through 91An embodiment will be described.
[0128]
FIG.1The front view which shows the clutch board (outer plate) of the wet friction clutch of embodiment, FIG. 7: has shown sectional drawing of FIG. 1 along the part applicable to CC line of FIG.
[0129]
This first1The embodiment is,in frontDescriptiveReference exampleAnd the oil introduction path have different shapes. The other parts are denoted by the same reference numerals, and redundant description is omitted.
[0130]
6 and 7 show the
[0131]
In some of the
[0132]
8 and 9, the
[0133]
In FIG. 9A, the edge portion of the
[0134]
FIG. 9B shows an example of a different shape of the
[0135]
In such an
[0136]
Particularly in this embodiment, since the
[0137]
Further, the
[0138]
[No.2Embodiment]
10 and 11 show the first2FIG. 10 shows an embodiment of the present invention.2The front view which shows the clutch board (inner plate) of the wet friction clutch of embodiment, FIG. 11: has shown sectional drawing of FIG. 1 along the part applicable to the DD line of FIG.
[0139]
This first2The embodiment is,in frontDescriptiveReference exampleAnd second1An example in which the shape of the oil introduction path is different from that of the embodiment is shown, and the same reference numerals are given to the other parts, and the overlapping description is omitted.
[0140]
This first2In the embodiment, as shown in FIG. 10, the
[0141]
Therefore, if the cross-sectional shape of the
[0142]
The
[0143]
Moreover, the
[0144]
Thus, the
[0145]
[Other reference examples]
FIG.Moisture of other reference examplesIt is a front view which shows the clutch board (inner plate) of a type | formula friction clutch. In addition, thisOther reference examplesThe aboveReference example, first and second embodimentsAnd the oil introduction path have different shapes. The other parts are denoted by the same reference numerals, and redundant description is omitted.
[0146]
FIG. 13 shows an
[0147]
The
[0148]
In particular, since the
[0149]
thisReference exampleIn this case, the
[0150]
【The invention's effect】
In the first aspect of the present invention, the oil is drawn into the oil introduction path provided on one side of the clutch plate by the Weisenberg effect, and the oil is guided to the sliding portion of the clutch plate, so that the adjacent clutch plates are separated smoothly. And drag torque between the clutch plates can be suppressed. Therefore, the vehicle is not inadvertently brought into the four-wheel drive state, the running performance can be stabilized, the driving loss can be eliminated, and the fuel consumption can be improved.
[0152]
Also thisIn the inventionTheSince the oil introduction path is provided along the radial direction of the clutch plate, the sliding of the clutch plate adjacent to the oil introduction path is different during differential rotation compared to the case where the oil introduction path is provided along the circumferential direction. The area in contact with the part can be widened.
In the present invention, the oil introduction path communicates with the gap portion of the clutch plate, so that the oil can be reliably introduced into the gap portion.
[0153]
Thereby, the clutch plate can be effectively released, and the drag torque can be suppressed.
[0155]
Claim2In the invention of claim1 andIn addition to having the same effect, oil can be stored in the gap portion, and the amount of oil introduced between the clutch plates can be increased accordingly. Further, since the gap is formed, the gap serves as a guide for introducing oil between the clutch plates, and the oil is effectively introduced into the sliding surface between the clutch plates. Thereby, drag torque can be further suppressed.
[Brief description of the drawings]
[Figure 1]Reference exampleIt is sectional drawing of the rear differential in which was incorporated.
[Figure 2]Reference exampleIt is a front view of an inner plate.
3 is an enlarged cross-sectional view of a main part of FIG. 1 taken along line AA of FIG.
4 is an enlarged cross-sectional view of a main part of FIG. 1 taken along the line BB of FIG. 2;
FIG. 5 is an explanatory diagram of an area where an oil introduction path and a sliding portion are in contact with each other.
FIG. 61It is a front view of the outer plate of an embodiment.
7 is an enlarged cross-sectional view of a main part of FIG. 1 taken along the line CC of FIG. 6;
FIG. 81It is an enlarged view of the principal part of embodiment.
FIG. 91It is an expanded sectional view of the important section of an embodiment.
FIG. 102It is a front view of the inner plate of an embodiment.
11 is an enlarged cross-sectional view of the main part of FIG. 1 taken along the line DD of FIG. 10;
FIG. 121Embodiment and first2It is an expanded sectional view of the principal part of FIG. 1 which combined embodiment.
FIG. 13Other reference examplesIt is a front view of an inner plate.
FIG. 14 is a characteristic diagram showing drag torque.
FIG. 15 is a characteristic diagram showing a temperature change of the main clutch.
FIG. 16 is a cross-sectional view of a coupling using a conventional structure.
[Explanation of symbols]
87 Outer plate
89 Inner plate
115, 117, 119 Oil chamber
131, 133 Gap part
141, 143, 147, 149, 151 Oil introduction path
Claims (2)
前記湿式摩擦クラッチは、相互に摺動するように重ね合わされ前記電磁石の励磁による磁路が形成される摺動部を有すると共に、前記磁路の短絡を防止するために周方向に一定間隔で形成された円弧状のギャップ部を有して軸方向交互に配置され、それぞれの係合突起を介して前記一側と他側の各トルク伝達部材に連結された外側と内側のクラッチ板からなり、隣接している前記外側と内側のクラッチ板の少なくとも一方の前記摺動面にオイルを導くオイル導入路が設けられ、
前記オイル導入路は前記円弧状のギャップ部と連通して前記係合突起側に径方向に向けて非開放の先端部を有して設けられたオイル室に連通していることを特徴とする湿式摩擦クラッチ。A wet friction clutch disposed between the torque transmission member on one side and the other side and fastened by excitation of an electromagnet ,
The wet friction clutch has a sliding portion that is overlapped so as to slide relative to each other and forms a magnetic path by excitation of the electromagnet, and is formed at regular intervals in the circumferential direction to prevent a short circuit of the magnetic path. The outer and inner clutch plates connected to each of the torque transmission members on the one side and the other side through the respective engaging projections . oil introduction passage for guiding oIL is provided on at least one of the sliding surfaces of the outer and inner clutch plates that are adjacent,
The oil introduction path communicates with the arc-shaped gap portion and communicates with an oil chamber provided with a non-opening tip portion in the radial direction on the engagement projection side. Wet friction clutch.
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