JP4711182B2 - リニアモータ電機子およびリニアモータ - Google Patents

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本発明は、例えば半導体製造関連のステッパ駆動装置や工作機のテーブル送り装置等、超精密位置決め・高推力が要求される用途に適するリニアモータ電機子およびリニアモータに関する。
従来、半導体製造関連のステッパ駆動装置や工作機のテーブル送り装置等、超精密位置決め・高推力が要求される用途に適するリニアモータは、図7のようになっている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
図7は従来のリニアモータの全体構成を示す斜視図であって、後述する本発明と共通な図となっている。
図7において、1はリニアモータ、2は固定子、3は界磁ヨーク、4は永久磁石、5は可動子、6はベースである。
リニアモータ1は固定子2と可動子5で構成されている。このうち、一方の固定子2は平板状の界磁ヨーク3と、界磁ヨーク3上に交互に極性が異なるように配置した複数の永久磁石4とからなる界磁を構成している。また、他方の可動子5は永久磁石4と磁気的空隙を介して対向配置され、ベース6と後述する電機子巻線とからなる電機子を構成している。
図8は図7のA−A線に沿う従来のリニアモータを示す正断面図、図9は図7の可動子を構成する電機子を矢視C方向から見た側面図、図10は図9の電機子のB−B線に沿う平断面図、図11は図10のD部の詳細図を示している。
図8〜図11において、6aは凹部、7は電機子巻線、7aおよび7bは成形コイル、8は結線基板、9はモールド樹脂、10はセンターブロックである。
電機子巻線7は集中巻にした複数個のコイル群を平板状に成形してなる成形コイル7aおよび7bを2列に並べて整列する構成にしており、この電機子巻線を構成する複数の各成形コイル7aおよび7b間および電機子外部間を結線基板8により電気的に接続すると共に、その両面に長手方向に沿って固定している。それから、結線基板8上に整列された電機子巻線7の一端をベース6の凹部6aに固着するようにしている。
このような構成において、成形コイル7aおよび7bの位置決めにあたっては、結線基板8上に予め設けられたセンターブロック10の周囲に複数の成形コイル7a、7bをはめ込み、結線基板8との間でハンダ付けを行うことにより実施している。それから、結線を行った結線基板8をベース6の凹部6aにはめ込み、結線基板8の固定および絶縁保護を行うためにベース6と結線基板8の外周にモールド樹脂9を充填して固着する。本図の例では、電機子は1枚の結線基板8、12個のセンターブロック10、6個の成形コイル7a、6個の成形コイル7bで構成しており、この時、成形コイル7aと成形コイル7bは、推力リップル低減を図ることを目的としてδ=α×nの量だけ位置をずらして配置している。
但し、αはコイル位置のずらし量で、基本電気角60°の位相差に相当し、コイルピッチをA(mm)とすると、α=A/4で表わされる。また、nは自然数である。
このように構成され電機子に、電気的相対位置に応じた3相交流電流を成形コイル7aと成形コイル7bに流すことにより、図示しない永久磁石の作る磁界と作用して、電機子に対して図示しない界磁ヨークに推力が発生する。
特開2001−231246号公報 特開2004−88844号公報
ところが、従来技術は、リニアモータ電機子の大きさに対するモールド樹脂の量、すなわち、電機子の単位体積あたりのモールド樹脂の重量比(密度)が相対的に多くなると、リニアモータ電機子自身の固有振動数を高くすることが出来ないという問題があった。そのため、実稼動時に発振したりして、安定した高速位置決め制御を行うことが非常に困難である。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、縦弾性係数/密度比の高い複数の非金属製支柱や連結バーを採用したり、また断面形状が同一である複数の非鉄金属製支柱や連結バーを採用することで、リニアモータ電機子自身の固有振動数が高く、安定した高速位置決め制御を行うことができるリニアモータ電機子およびリニアモータを提供することを目的とする。
上記問題を解決するため、請求項1に記載の発明は、リニアモータ電機子に係り、結線基板の両側に複数個のコイル群を平板状に成形してなる成形コイルを2列に並べて整列させた電機子巻線と、前記結線基板上に整列された電機子巻線の一端を固着するベースとより構成される電機子を備えており、前記電機子巻線の各列における成形コイルの間に、非金属材料または同一断面形状の非鉄金属材料からなる複数の支柱を設けると共に、前記支柱を以下の式で表わされるピッチPで配置するようにしたことを特徴としている。
P=A×N+α×n
但し、Aはコイルピッチ、Nは同一列中の各支柱間に入るコイル数で0を除く自然数、αは各電機子巻線列のコイル位置の基本ずらし量であって、推力リップル低減のための電気角60°に相当し(α=A/4)、nは自然数である。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載のリニアモータ電機子において、前記複数の支柱の一端を前記ベースに固定すると共に、他端に該支柱を連結するための連結バーを設けて固定したことを特徴としている。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載のリニアモータ電機子と、前記電機子の両側に磁気的空隙を介して対向配置された界磁ヨークと、前記界磁ヨーク上に交互に極性が異なるように並べて配置した複数の永久磁石とより構成される界磁を備え、前記界磁と前記電機子の何れか一方を固定子に、他方を可動子として相対的に走行するようにしたリニアモータを特徴としている。
請求項1、2に記載の発明によると、縦弾性係数/密度比の高い材料より形成された支柱、連結バーの採用により、結線基板部の位置決め固定、絶縁確保および保護の目的により用いているモールド樹脂の量を、リニアモータ電機子の大きさに対して従来よりも相対的に少なくし、リニアモータ電機子自身の固有振動数を高くすることが出来る。
その結果、安定した高速位置決め制御を行うことが出来る。
また、特に、非鉄金属製の支柱を用いる場合は非金属製の支柱の場合に比べて渦電流損等の問題が生じるが、支柱の断面形状を同一にすることで、渦電流損を低減することが出来る。
以下、本発明の実施例を図に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の第1実施例を示すリニアモータ電機子であって、(a)は図7のA−A線に沿う正断面図に相当し、(b)は(a)の側面図、図2は図1(b)の電機子のB−B線に沿う平断面図、図3は図2のD部の詳細図を示したものである。なお、本発明の構成要素が従来技術と同じものについては、同一符号を付してその説明を省略し、異なる点のみ説明する。
本発明が従来技術と異なる点は以下のとおりである。
すなわち、電機子巻線7の各列における成形コイル7a、7bの間に、非金属材料からなる複数の支柱11a、11b、11cを設けると共に、該支柱を以下の式で表わされるピッチPで配置するようにした点である。
P=A×N+α×n
但し、Aはコイルピッチ、Nは同一列中の各支柱間に入るコイル数で0を除く自然数、αは各電機子巻線列のコイル位置の基本ずらし量であって、推力リップル低減のための電気角60°に相当し(α=A/4)、nは自然数である。
また、成形コイル7a、7bを電気結線するための結線基板8は軸方向に二分割されており、2枚の結線基板8の一方の側面および両基板間に該支柱を配置するように設けている。ここで、図1(b)は2枚の結線基板8が支柱11bで仕切られた状態となっており、この場合、隣り合うコイルのコイルピッチBは、B=A+α×nで表わされる。
また、複数の支柱11a、11b、11cの一端をベース6に固定すると共に、他端に該支柱を連結するための連結バー12を設けて固定する点である。
なお、複数の支柱11a、11b、11cは、例えば、設計上密度に対する縦弾性係数の比が30(GPa/(g/cm))以上の機械的特性を有する、セラミックが好ましく、各支柱の断面形状は必ずしも一定でなくても構わない。
次に、リニアモータの組立について説明する。
本実施例では、2枚の結線基板8、12個のセンターブロック10、6個の成形コイル7a、6個の成形コイル7bで構成しており、成形コイル7aと成形コイル7bは、まず、2枚の結線基板8上を用意し、結線基板8上に予め設けられたセンターブロック10の周囲に平板状に成形された複数の成形コイル7a、7bをはめ込み、各コイルと結線基板8をハンダ付けした後、結線を行った2枚の結線基板8の軸方向に並べ、2枚の結線基板8の一方の側面および両基板間に金属製部材からなる支柱11a、支柱11b、支柱11cを配置するようにし、結線基板8と支柱11a、11b、11cをベース6の凹部6aにはめ込む。それから、支柱11a、11b、11cの先端に連結バー12を固定し、ベース6と結線基板8の外周の間にモールド樹脂9を充填して固定する。
次に動作について説明する。
このように構成されたリニアモータ電機子に、電気的相対位置に応じた3相交流電流を成形コイル7aと成形コイル7bに流すことにより、図示しない永久磁石の作る磁界と作用して、電機子に対して図示しない界磁ヨークに推力が発生する。
本発明の第1実施例は上記構成にしたので、縦弾性係数/密度比の高い材料より形成された支柱、連結バーの採用により、結線基板部の位置決め固定、絶縁確保および保護の目的により用いているモールド樹脂の量を、リニアモータ電機子の大きさに対して従来よりも相対的に少なくし、リニアモータ電機子自身の固有振動数を高くすることが出来、その結果安定した高速位置決め制御を行うことが出来る。
次に、本発明の第2実施例について説明する。
図4は本発明の第2実施例を示すリニアモータ電機子であって、図7の矢視C方向から見た側面図、図5は図4の電機子のB−B線に沿う平断面図、図6は図5のD部の詳細図を示したものである。
第2実施例が第1実施例と異なる点は以下のとおりである。
すなわち、電機子巻線8の各列における成形コイル7a、7bの間に、非鉄金属材料(例えばアルミ合金)からなる同一の断面形状を有した複数の支柱11a、支柱11b、支柱11cを設ける点である。
なお、成形コイル間に配置される支柱のピッチP、および支柱の他端を連結バーにより固定する点は同じである。また、組立方法、動作については第1実施例と同じなので、説明を省略する。
本発明の第2実施例は上記構成にしたので、支柱が非金属製の場合は、渦電流損等の問題はないが、非鉄金属製の場合は渦電流損等の問題が生じる。支柱の断面形状を同一にすることで、渦電流損を低減することが出来る。
本発明の第1実施例を示すリニアモータ電機子であって、(a)は図7のA−A線に沿う正断面図に相当し、(b)は(a)の側面図に相当するもの、 図1(b)の電機子のB−B線に沿う平断面図、 図2のD部の詳細図を示したもの。 本発明の第2実施例を示すリニアモータ電機子であって、図7の矢視C方向から見た側面図、 図4の電機子のB−B線に沿う平断面図、 図5のD部の詳細図を示したもの、 従来および本発明と共通なリニアモータの全体構成を示す斜視図、 図7のA−A線に沿う従来のリニアモータを示す正断面図、 図7の可動子を構成する電機子を矢視C方向から見た側面図、 図9の電機子のB−B線に沿う平断面図、 図10のD部の詳細図を示したもの
1 リニアモータ、
2 固定子、
3 界磁ヨーク、
4 永久磁石、
5 可動子、
6 ベース、
7 電機子巻線、
7a、7b 成形コイル、
8 結線基板、
9 モールド樹脂、
10 センターブロック、
11a、11b、11c 支柱、
12 連結バー、
P 支柱のピッチ(P=A×N+α×n)、
A コイルピッチ、
N 各支柱間に配置されるコイル数(自然数)、
α コイル位置の基本ズラシ量(α=A/4)

Claims (3)

  1. 結線基板の両側に複数個のコイル群を平板状に成形してなる成形コイルを2列に並べて整列させた電機子巻線と、前記結線基板上に整列された電機子巻線の一端を固着するベースとより構成される電機子を備えており、
    前記電機子巻線の各列における成形コイルの間に、非金属材料または同一断面形状の非鉄金属材料からなる複数の支柱を設けると共に、前記支柱を以下の式で表わされるピッチPで配置するようにしたことを特徴とするリニアモータ電機子。
    P=A×N+α×n
    但し、Aはコイルピッチ、Nは同一列中の各支柱間に入るコイル数で0を除く自然数、αは各電機子巻線列のコイル位置の基本ずらし量であって、推力リップル低減のための電気角60°に相当し(α=A/4)、nは自然数である。
  2. 前記複数の支柱の一端を前記ベースに固定すると共に、他端に該支柱を連結するための連結バーを設けて固定したことを特徴とする請求項1に記載のリニアモータ電機子
  3. 請求項1または2記載のリニアモータ電機子と、
    前記電機子の両側に磁気的空隙を介して対向配置された界磁ヨークと、前記界磁ヨーク上に交互に極性が異なるように並べて配置した複数の永久磁石とより構成される界磁を備え、
    前記界磁と前記電機子の何れか一方を固定子に、他方を可動子として相対的に走行するようにしたことを特徴とするリニアモータ。
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