JP4684379B2 - コポリマー混合物を含有する水性分散液、及び結合剤へのその使用 - Google Patents

コポリマー混合物を含有する水性分散液、及び結合剤へのその使用 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種架橋剤により硬化され得る水性コポリマー分散液、この分散液の製造方法、及びその結合剤への使用に関する。
【0002】
【従来の技術】
コポリマーをベースとする分散液が、水希釈性ラッカー及びコーチング組成物に使用できることは、各種文献で公知である。例えば、EP−A−225,612及びDE−A−3,543,361には、カルボキシル基を含有するモノマーを二重合段階の一方にのみ使用する二段階重合工程により製造されるポリマー分散液を物理乾燥することが記載されている。
これらの分散液から製造されるコポリマーが良好な耐水性を示すよう、その製造にアンモニアが使用される。他の中和剤の添加は、コーチング及びそれから作られるフィルムの耐水性を損なう。ヒドロキシル基を含有するモノマーは、耐水性に関して不利な効果を持つので、使用されない。
【0003】
多層コーチングの製造方法が、例えばEP−A−363,723、DE−A−4,009,858、DE−A−4,009,931、EP−A−521,919、DE−A−4,009,932及びEP−A−365,775に記載されている。まず、下塗りが塗布され、それからポリマーフィルムが形成される。次いで、仕上げ塗りが塗布され、続いて該下塗り及び仕上げ塗りが一緒に焼き付けされる。二段解工程でアミノプラスト樹脂を適宜組み合わせて製造されるコポリマー分散液が、この下塗り又は仕上げ塗りに使われる。フィルムのより厚いコーチングと良好な視覚特性は、特定のコポリマー分散液を使用することにより得られる。しかし、これらのすべての分散液の欠点は、親水性コポリマー成分における高比率のカルボキシル官能性モノマーである。
JP−A−80/82166には、二段解工程により製造されるポリアクリレート分散液が記載されている。カルボキシル基を含有する出発材料を、この製造の両工程で使用する。これは、比較的低い固形分を生ずる。得られるコポリマーは、低い耐水性を示す。
US4,151,143には、二段解工程により製造されるポリアクリレート分散液が記載され、第一段階は、有機溶液中で製造され、その後分散され、第二段階として、第一段階の存在下に乳化重合が行われる。得られる生成物は高分子量を有するが、コーチング組成物に使用すると、不十分なフィルム形成を示し、全体に、通例の二次分散液のものと異なる性質を示す。
【0004】
EP−A−557,844には、外部乳化剤の添加により安定化され、かつ親水性ポリイソシアネートと、カルボキシル基を実質的に持たないエマルションコポリマーとをベースとする二成分ポリウレンタンコーチングが記載されている。該ポリマーの高分子量及び添加した乳化剤の永久的親水性のために、これらの組成物は、いまだに、耐水性、顔料濡れ及びいくつかの用途でのフィルムの外観に関して不完全である。
EP−A−358,975には、良好な特性を示す水性二成分ポリウレタン組成物が記載されている。しかし、いくつかの用途では、固形分、耐水性、加工時間又は塗布の安定性の向上が必要である。
DE−A−4,439,669、DE−A−4,322,242及びJP−A−41,245には、特定のモノマーを含有するコポリマーをベースとし、二段階過程により製造することができる水性二成分ポリウレンタン組成物が記載されている。これらの特定モノマーは、そこから製造されるコーチングの特性を改善するように規定されているが、著しくコスト高な生成物になるので、経済的に使用する可能性が限定される。
【0005】
ポリマー分散液の分野での多数の特許出願から、ラッカー又はコーチングになされる増大する要求を満たすために、改善生成物への継続した要求があることは明らかである。特に、分散液には、反応性基のために適当な架橋剤により低温(好ましくは室温)で硬化して、高品質コーチングを形成できることが要求される。
経済及び適用技術の点から有利な分散液は、分散液として及びラッカー内において、高固形分と優秀な貯蔵安定性を有するものである。例えばきわめて良好な顔料着色の能力がこれらの系に必要であり、そして、必要とするすぐれたフィルム外観に顕著な影響を持つ。ラッカーフィルムは、きわめて良好な耐溶剤性、水及び環境上の効果を示さねばならない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、できる限り多くの用途に使用でき、できる限り多くの市販の架橋剤と良好な適合性を有する水性分散液を提供することにある。さらに、本発明の目的は、分散液の簡易かつ経済的な製造方法、すなわち、コスト高で時間のかかる蒸留段階を必要とせず、そして別個の製造が必要な他の成分を必要としない製造する方法を提供することにある。本発明の他の目的は、12%未満の溶媒含有量を有し、容易に入手でき、かつできる限り高価でない原料から調製したときに、所望の特性の得られる分散液を提供することにある。
意外にも、これらの目的は、以下に説明する本発明の特別に選択されたコポリマー及びその製造方法により達成し得る。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
I) Ia) アルコール部分にC1〜C18炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物及び/又はビニルエステルを30〜85重量%、並びに
Ib) ヒドロキシ官能性モノマーを〜45重量%
含むヒドロキシ官能性疎水性コポリマー、
II) IIa) アルコール部分にC1〜C18炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル化合物及び/又はビニルエステルを4〜20重量%、
IIb) ヒドロキシ官能性モノマーを〜15重量%、並びに
IIc) 酸官能性モノマーを0.8〜3.0重量%
含むヒドロキシ及びカルボキシ官能性の親水性−疎水性コポリマー、並びに
III) 必要に応じ
IIIa) ヒドロキシ及び/又は非官能性(メタ)アクリル酸エステルあるいは芳香族ビニル化合物を0〜16重量%
含むヒドロキシ官能性疎水性コポリマー
を含むコポリマーA)であって、
i) 前記%は、成分I)、II)及びIII)の総重量に基づき、
ii) Ia)、Ib)、IIa)、IIb)、IIc)及びIIIa)の合計は、これらの成分の重量に基づいて100%であり、
iii) コポリマーA)は、固形分に基づいて10〜28mgKOH/g物質の酸価を有し、
iv) モノマーII)中のモノマーIIc)の重量%は、25重量%未満であり、かつ
v) コポリマーII)中のヒドロキシ官能性モノマーIIb)の重量%は、コポリマーI)中のヒドロキシ官能性モノマーIb)の重量%よりも高い
前記コポリマーA)の水性の溶液又は分散液に関する。
【0008】
本発明は、また、
a) 70〜95%有機溶液内で、30〜85重量%のモノマーIa) と5〜45重量%のモノマーIb) との混合物をラジカル共重合して、本質的にカルボキシル基を有さない疎水性ヒドロキシ官能性コポリマーI)を生成し、
b) 続いて、
4〜20重量%のモノマーIIa)、4〜15重量%のモノマーIIb)及び0.8〜3.0重量%のモノマーIIc)をラジカル共重合して、親水性−疎水性ヒドロキシ及びカルボキシ官能性コポリマーII) を生成し、
c) 続いて、必要に応じ
0〜16重量%のモノマーIIIa) をラジカル共重合して、ヒドロキシ官能性疎水性コポリマーIII)を形成し、
d) 70〜130%のカルボキシル基を中和し、そして
e) コポリマーA)を水に溶解又は分散させ、
ここで、モノマーの%を、コポリマーA)が60〜90重量%のコポリマーI)と10〜40重量%のコポリマーII) とを含有するように選択することからなる、コポリマーA)の水性の分散液又は溶液の製造方法に関する。
最後に、本発明は、コポリマーA)50〜90重量%と、アミノプラスト樹脂、ブロックポリイソシアネート、及び遊離イソシアネート基を含有するポリイソシアネートから選択される少なくとも1種の架橋剤5〜50重量%とからなる結合剤組成物、並びに化学架橋ラッカー及びコーチングを調製するためのその使用に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】
好ましいコポリマーA)は、
i) コポリマーII) 中のモノマーIIa)の重量%が25〜65重量%であり、
ii) コポリマーII) 中のモノマーIIb)の重量%が25〜65重量%であり、
iii)コポリマー混合物A)中のコポリマーI)の重量%が60〜90重量%、より好ましくは80重量%より大きく90重量%以下であり、
iv) コポリマー混合物A)中のコポリマーII) の重量%が10〜40重量%、より好ましくは10重量%以上20重量%未満であり、かつ
v) コポリマーA)中のカルボキシル基の少なくとも70%、好ましくは少なくとも90重量%は、塩型で存在する。
【0010】
さらに好ましくは、コポリマーII) 中のカルボキシ官能性モノマーIIc)の重量%が6〜18重量%であり、そして固形分に基づいて15〜20mgKOH/g物質の酸価を生じる。さらに、すべてのカルボキシル基を塩型に変換した後に7.9〜10.0のpHが得られるように、過剰の中和剤が存在することが好ましい。
【0011】
特に好ましいコポリマーA)は、
コポリマーI)が、
Ia) アルコール部分にC1〜C18脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル及び/又は芳香族ビニル化合物を40〜80重量%、並びに
Ib) ヒドロキシ官能性(メタ)アクリル酸エステルを7.5〜35重量%
含み、
コポリマーII)が、
IIa) アルコール部分にC1〜C18脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル及び/又は芳香族ビニル化合物を4〜10重量%、
IIb) ヒドロキシ官能性(メタ)アクリル酸エステルを6〜12重量%、及び
IIc) 酸官能性モノマーを1.5〜2.5重量%
含み、並びに
コポリマーIII)が、
IIIa) ヒドロキシ及び非官能性(メタ)アクリル酸エステルあるいは芳香族ビニル化合物を0〜16重量%
含み、ここで、該カルボキシ官能性モノマーは、コポリマーA)が固形分に基づいて12mgKOH/g物質より大きく25mgKOH/g物質未満の酸価を有し、90%より大のカルボキシル基が塩型で存在するような量にて使用されるものである。
【0012】
別の好適な実施態様では、コポリマーA)は、30〜95重量%の疎水性水不混和性不鹸化溶媒i)と5〜70重量%の水混和性又は水溶性不鹸化溶媒ii) との溶媒混合物を、水性コポリマーの重量に基づいて12重量%未満含有する。
本発明の目的が、EP−A−758,007に記載採用されたヒドロキシ官能性ポリエーテルの不存在下で得られたことは意外である。これらのポリエーテルの省略は、本発明に従う分散液の製法を極めて簡易化する。
これらのポリエーテルが必要とされないことは、コポリマーA)が、好ましくは30〜95重量%、より好ましくは50〜85重量%の疎水性水不混和性不鹸化溶媒i)と好ましくは5〜70重量%、より好ましくは15〜50重量%の水混和性又は水溶性不鹸化溶媒ii) との特定溶媒混合物中で調製されることを考慮すると、さらに一層意外なことである。
【0013】
疎水性水不混和性不鹸化溶媒i)の例には、キシレン、トルエン、溶剤ナフサ及び市販の炭化水素混合物、例えばアイソパル(Isopar)溶剤、テラピン(Terapin) 溶剤、クリスタル(crystal) 油、及びホワイトスピリットが挙げられる。水混和性又は水溶性不鹸化溶媒ii) の例には、ブチルグリコール、メトキシプロパノール、ブチルジグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エチルグリコール、プロピルグリコール、及びメチルジグリコールが挙げられる。コポリマーA)の調製は、好ましくは、水の不存在下、すなわち有機溶媒内のみで行われる。
水希釈性コポリマーを記載したDE−A−3,022,824は、水不混和性溶媒は、結合剤組成物の水希釈性を損なうと述べているので、本発明のようにしてコポリマーA)を調製できることは予期されなかった。したがって、この文献は、これらの溶媒の添加を排除する。その証拠に、上記した溶媒i)を使用した実施例が一つもない。
【0014】
コポリマーA)は、まず、モノマーIa) とIb) と共重合してコポリマーI)を形成し、ここで、コポリマー分散液A)におけるコポリマーI)の量は、60〜90、好ましくは80〜90重量%であり、コポリマー分散液A)におけるコポリマーII) の割合は、10〜40重量%、好ましくは10重量%以上20重量%未満である。
【0015】
カルボキシル官能性モノマーは、コポリマーI)の調製に使用されない。本発明の目的を達成するために、疎水性コポリマーI)がまず調製されること、続いて疎水性−親水性コポリマーII) がその場で調製されること、そして続いて適宜、疎水性コポリマーIII)がその場で調製されることがきわめて重要である。
他の手順、例えば、まず、親水性コポリマーを製造しそれから疎水性コポリマーを製造する、あるいは、コポリマーI)及びII) の部分製造を交互に行う、あるいはコポリマーI)及びII) を別個に製造し、それからこれらを混合することは、不充分な品質をもたらす。
【0016】
(メタ)アクリル酸エステルIa) は、1〜18、好ましくは1〜8個の炭素原子を持つ、直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基を持つものから選択される。適当なモノマーIa) の例には、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソ−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、スチレン、ビニルトルエン、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、α−メチルスチレン、及びこれらと他のモノマーとの混合物が挙げられる。適宜、ビニルエステルを、これらの(メタ)アクリル酸エステルと組み合わせて使用してもよい。コポリマーA)中のモノマーIa) の量は、30〜85重量%、好ましくは40〜80重量%である。好ましいモノマーIa) は、スチレン、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、及びこれらのモノマーの混合物である。
【0017】
適当なヒドロキシ官能性モノマーIb) には、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、及びヒドロキシブチルメタクリレートが挙げられる。コポリマーA)中のモノマーIb) の量は、5〜45、好ましくは7.5〜35重量%である。好ましいモノマーI b)は、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート及びヒドロキシプロピルアクリレートである。
【0018】
コポリマーI)の製造は、Ia) 及びIb) のモノマー混合物の有機溶液中、好ましくは前記溶媒混合物中でのラジカル開始共重合により行われる。好適な開始剤には、ジ−tert- ブチルペルオキシド、tert- ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサエートのような有機過酸化物、及びアゾ化合物が挙げられる。この開始剤は、0.5〜6.5、好ましくは2.0〜4.5重量%の量にて使用される。共重合は、モノマー添加工程として一般に90〜180℃にて行われる。
【0019】
コポリマーI)を形成するためのモノマーIa) 及びIb) の共重合に続き、コポリマーII) を形成するためのモノマーIIa)、IIb)及びIIc)の共重合がコポリマーI)の存在下で行われる。
適当な疎水性モノマーIIa)は、Ia) で記載したモノマーである。好ましいモノマーIIa)は、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、スチレン、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート及びこれらのモノマーの混合物である。
コポリマーA)中のモノマーIIa)の量は、4〜20、好ましくは4〜10重量%である。コポリマーII) 中の疎水性モノマーIIa)の量は、25〜65、好ましくは30〜60重量%である。
【0020】
適当なモノマー及び好ましいモノマーIIb)は、Ib) で記載したモノマーである。コポリマーA)中のモノマーIIb)の量は、4〜15、好ましくは6〜12重量%である。コポリマーII) 中のヒドロキシ官能性モノマーIIb)の量は、25〜65、好ましくは35〜55重量%であり、ただし、コポリマーII) 中のヒドロキシ官能性モノマーIIb)の量は、コポリマーI)中のヒドロキシ官能性モノマーIb) の量より高くなければならない。コポリマーII) 中のヒドロキシ官能性モノマーIIb)の量(重量%)は、コポリマーI)中のヒドロキシ官能性モノマーIb) の量よりも、好ましくは少なくとも25%高く、より好ましくは少なくとも50%高い。
【0021】
コポリマーII) における架橋サイトの増分は、ヒドロキシル基の含量が低いときでさえ、得られるコーチングの有利な特性、例えば耐水性及び耐溶剤性を生ずる。これは、結合剤組成物にとって有利な効果を持つ。
適当なモノマーIIc)の例には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸(無水物)、及び他のカルボキシ官能性共重合性モノマーが挙げられる。アクリル酸又はメタクリル酸が好ましい。モノマーIIc)の量は、0.8〜3.0重量%、好ましくは1.5重量%以上2.5重量%未満である。コポリマーII) におけるモノマーIIc)の量は、コポリマーII) が顕著な親水−疎水特性を有するように、25重量%未満、好ましくは6〜18重量%である。
【0022】
少なくとも1種の鹸化しない親水性溶媒と、少なくとも1種の鹸化しない疎水性水不混和性溶媒とを含有する混合物を使用し、かつ、少なくとも70%、好ましくは90%より大の中和度を使用すると、コポリマーII) における疎水性モノマー、ヒドロキシ官能性モノマー及び親水性カルボキシ官能性モノマーの選択混合物は、得られるコーチングの特性に優秀なレベルをもたらす。
ヒドロキシ官能性モノマーは、以下の式:
【0023】
【数1】
Figure 0004684379
【0024】
で計算することのできるコポリマーA)の理論ヒドロキシル価(OHno.)が、固形分に基づいて25mgKOH/g物質より大きく250mgKOH/g物質未満、好ましくは50mgKOH/g物質より大きく175mgKOH/g物質未満であるような量にて使用される。
カルボキシ官能性モノマーは、以下の式:
【0025】
【数2】
Figure 0004684379
【0026】
で計算することのできるコポリマーA)の酸価(acid no.)が、固形分に基づいて、8mgKOH/g物質より大きく33mgKOH/g物質未満、好ましくは12mgKOH/g物質より大きく25mgKOH/g物質未満、さらに好ましくは15mgKOH/g物質より大きく20mgKOH/g物質未満であるような量にて使用される。
【0027】
現場でのコポリマーII) の製造に続いて、必要に応じ、コポリマーIII)を形成するためのモノマーIIIa) の共重合が、コポリマーII) 及びI)の存在下で行われる。コポリマーA)中のコポリマーIII)の量は、16重量%未満、好ましくは1〜13重量%である。
適当な疎水性モノマーIIIa) は、Ia) 及びI b)で記載したものであり、非官能性及びヒドロキシ官能性モノマーの混合物が好ましい。
【0028】
有機アミン又は水溶性無機塩基を、コポリマーII) 中に導入されたカルボキシル基の中和のために使用することができる。N−メチルピロリドン、トリエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジメチルイソプロパノールアミン、及びメチルジエタノールアミンが好ましい。ジエチルエタノールアミン、ブタノールアミン、モルホリン、2−アミノメチル−2−メチルプロパノール及びイソホロンジアミンもまた好適である。アンモニアは、あまり適当でないが、他の中和剤と組み合わせて使用することができる。中和剤は、70〜130%、好ましくは90%より大のカルボキシル基を中和するような量が添加される。中和剤の量は、すべてのカルボキシル基が塩型に転換された後に、遊離の中和剤がまだ存在するのに充分な量であることが好ましい。これは、100%より大の中和度に相当し、分散液の安定性、ラッカー安定性、顔料濡れ及び得られるコーチングの外観を著しく改善する。
【0029】
水性分散液のpHは、6.0〜11.0、好ましい7.9〜10.0である。固形分は、35%より大、好ましくは≧40%である。
有機溶媒は、最終分散液が、12重量%未満、好ましくは9重量%未満の溶媒を含有するような量にて使用される。特に低含量の溶媒を所望なら、該溶媒の少なくとも一部を蒸留により除去してもよい。
【0030】
水性コポリマーA)は、架橋剤樹脂並びに適宜の顔料及びラッカー化学から公知の他の添加剤と組み合わせて、ラッカー又はコーチング組成物内に又は組成物として使用される。他の結合剤又は分散液、例えばポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリエポキシド、又はポリアクリレートをベースとするものもまた使用することができる。
【0031】
該組成物は、50〜95、好ましくは65〜90重量%のコポリマーA)を適宜、他の結合剤又は分散液との混合物にて、及び5〜50、好ましくは10〜35重量%の架橋樹脂又は異なる架橋樹脂の混合物とともに含有する。
適当な架橋樹脂の例には、アミド−及びアミンホルムアミド樹脂、フェノール樹脂、アルデヒド及びケトン樹脂(例えばフェノール−ホルムアルデヒド樹脂)、レゾール、フラン樹脂、尿素樹脂、カルバミド酸エステル樹脂、トリアジン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾ−グアニジン樹脂、シアナミド樹脂及びアニリン樹脂、例えば「Lackkunstharze」、H.Wagner及びH.F.Sarx著、Carl Hanser Verlag Munich 、1971に記載のものが挙げられる。
【0032】
架橋樹脂としてブロックポリイソシアネート、例えばイソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナト−シクロヘキサン、ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)−メタン及び1,3−ジイソシアナトベンゼンをベースとするもの;ビウレット又はイソシアヌレート基を含有し、かつ1,6−ジイソシアナトヘキサン、イソホロンジイソシアネート及びビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)−メタンから調製されるラッカーポリイソシアネートをベースとするもの;ウレタン基を含有し、かつ2,4−及び/又は2,6−ジイソシアナトトルエンあるいはイソホロンジイソシアネートと、低分子量ポリヒドロキシル化合物(例えばトリメチロールプロパン、異性プロパンジオール又はブタンジオール及びこれらのタイプとポリヒドロキル化合物との混合物)とから調製されるラッカーポリイソシアネートをベースとするものが挙げられる。
これらのブロックポリイソシアネートために好適なブロッキング剤の例には、メタノール、エタノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコールのような一価アルコール;アセトキシム、メチルエチルケトキシムのようなオキシム;α−カプロラクタムのようなラクタム;フェノール;並びにジイソプロピルアミン、ジメチルピラゾールのようなアミンが挙げられる。
【0033】
コポリマーA)の親水性改質は、一般に、架橋樹脂が水に不溶又は分散すれば、架橋樹脂の分散性を確保するのに充分である。水に溶け又は水に分散するブロックポリイソシアネートは、例えばカルボキレート及び/又はポリエチレンオキシド基を用いた改質により得られる。
【0034】
遊離イソシアネート基を含有し、かつ脂肪族、脂環式、芳香脂肪族及び/又は芳香族イソシアネートをベースとする低粘性、疎水性又は親水性ポリイソシアネートもまた、架橋樹脂として好適である。これらのポリイソシアネートは、一般に23℃における粘度が10〜3500mPa.sである。必要であれば、粘度をこの範囲内の値まで下げるために、少量の不活性溶媒との混合物として使用することができる。
これらのポリイソシアネートは、例えば準化学量論量(sub-stoichiometric)の一水酸基の親水性ポリエーテルアルコールとの反応により、親水性にされる。この種の親水性ポリイソシアネートの調製は、例えばEP−A−540,985に記載されている。市販の乳化剤を添加することにより、ポリイソシアネートに疎水性を付与することも可能である。
別種の架橋樹脂との混合物もまた、本発明に使用してもよい。
【0035】
好適な実施態様では、親水性ポリイソシアネートと低粘度疎水性ポリイソシアネートとの混合物を、本発明の分散液と組み合わせて、室温にて反応性の水性二成分系に使用してもよい。好ましい混合物は、ヘキサメチレンジイソシアネートをベースとする親水性ポリイソシアネート30〜90重量%と、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート及び/又はビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)−メタンをベースとする疎水性ポリイソシアネート10〜70重量%とを含有する。ヘキサメチレンジイソシアネートをベースとし、かつイソシアヌレート、ビウレット、アロファネート及び/又はウレトジオン基を含有する低粘度疎水性ポリイソシアネート10〜65重量%と、イソホロンジイソシアネートをベースとする親水性ポリイソシアネート35〜90重量%とを含有する混合物もまた適当である。
「低粘度」なる用語は、23℃における粘度10〜1500mPa.sを意味する。
【0036】
別の好適な実施態様では、遊離イソシアネート基を含有する親水性ポリイソシアネートとアミノ架橋樹脂(好ましくは遊離アミノ基を含有しない)との混合物が、コポリマー分散液A)と組み合わされ、そして好ましくは60〜120℃で硬化される。これらの混合物は、好ましくは遊離イソシアネート基を含有するポリイソシアネート25〜68重量%とアミノ架橋樹脂32〜75重量%を含有する。
コーチング組成物が、一成分系としての加工を意図する場合であっても、ラッカー技術で公知の添加剤を、水性結合剤組成物の製造前、中又は後に、個々の成分と混合することにより添加することができる。これらの添加剤の例には、消泡剤、増粘剤、顔料、分散剤、触媒、皮張り防止剤、沈降防止剤及び乳化剤が挙げられる。
【0037】
本発明のコーチング組成物は、高レベルの特性を要求する水性ペイント、ワニス及びコーチング組成物採用される用途の全分野、例えば鉱物系ビルディング表面用コーチング、木材及び用材系製品のコーチング及びシーラント、金属表面のコーチング、アスファルト又はビチューメンに基づく道路の被覆及びコーチング、並びにプラスチックのコーチング及びシーラントに適する。
本発明の結合剤ビヒクル組み合わせを用いて製造されるラッカー又はコーチング媒体には、単発適用及び大量生産適用に採用され得る単層コートラッカー(例えば、工業ラッカーコーチング、自動車のオリジナルラッカーコーチング及びその修理用ラッカーコーチングの分野)の他に、プライマー、プライマーサーフェーサー及び着色又は透明被覆ラッカーを含む。
【0038】
本発明の水性コポリマーA)は、室温〜140℃の温度で金属表面又はプラスチックをコートするために、好ましくはポリイソシアネートとの組合せ、より好ましくは親水性及び疎水性ポリイソシアネートの混合物と組み合せて、あるいは110〜180℃で金属表面をコートするために、アミノ架橋樹脂と組み合せて、単層コーチングの形態で又は被覆ラッカーとして使用される。
【0039】
該コーチング組成物は、各種の吹付方法、例えば圧縮空気、無気又は静電吹付方法により、一又は場合により二成分吹付装置を用いて塗布することができる。該ラッカー及びコーチング組成物を、他の方法、例えば刷毛塗り、ロール塗り又はドクターブレードにより塗布することもできる。
【0040】
【実施例】
実施例1
253gの溶剤ナフサ及び88gのブチルグリコールを、攪拌機、コンデンサー及びヒーターを具備した6L反応容器に入れ、155℃に加熱した。次いで、125gのスチレン、125gのメチルメタクリレート、720gのブチルアクリレート、275gのブチルメタクリレート及び765gのヒドロキシプロピルメタクリレートを含有する混合物I)を、3時間にわたって添加した。その後、75gのブチルアクリレート、185gのヒドロキシプロピルメタクリレート、25gのメチルメタクリレート、13gのブチルメタクリレート及び56gのアクリル酸を含有する混合物II)を、1.5時間にわたって添加した。混合物I)の添加で始まるのと平行して、100gの溶剤ナフサに溶かした98gのジ−tert- ブチルペルオキシドを5時間にわたって添加した。145℃にてさらに2時間の攪拌後、このバッチを100℃まで冷却し、71gのジメチルエタノールアミンを添加後、生成物を2500gの蒸留水に分散させた。固形分45%、酸価18.5(100%固形分)及びOH価155(100%固形分)を有するコポリマーA1)の水性分散液が得られた。
【0041】
実施例2
151gのブチルグリコール及び221gの溶剤ナフサを、攪拌機、コンデンサー及びヒーターを具備した6L反応容器に秤量して入れ、145℃に加熱した。次いで、915gのメチルメタクリレート、603gのブチルメタクリレート及び445gのヒドロキシエチルメタクリレートを含有する混合物I)を、3時間にわたって添加した。その後、143gのメチルメタクリレート、85gのブチルアクリレート、163gのヒドロキシエチルメタクリレート及び60gのアクリル酸を含有する混合物II)を、1.5時間にわたって添加した。混合物I)の添加で始まるのと平行して、87.5gのジ−tert- ブチルペルオキシド及び70gのブチルグリコールを5時間にわたって添加した。145℃にてさらに2時間の攪拌後、このバッチを100℃まで冷却し、78gのジメチルエタノールアミンを添加(中和度105%)した後、生成物を2800gの蒸留水に分散させた。固形分43%、酸価19.3(100%固形分)及びOH価109(100%固形分)を有する水性コポリマーA2)が得られた。
コポリマーA2)中のコポリマーI)の量は、81.32%であり、コポリマーII)の量は、18.68%であった。コポリマーII)は、50.55重量%の疎水性モノマーIIa)、36.14%のヒドロキシ官能性モノマーIIb)及び13.30%のカルボキシ官能性モノマーIIc)を含有した。コポリマーA2)中のカルボキシ官能性モノマーの含有量は、2.48重量%であり、コポリマーII)中のヒドロキシ官能性モノマーの含有量は、コポリマーI)中より59.48%高かった。
【0042】
実施例3
186gのブチルグリコール及び186gの溶剤ナフサを、攪拌機、コンデンサー及びヒーターを具備した6L反応容器に秤量して入れ、143℃に加熱した。次いで、750gのメチルメタクリレート、125gのスチレン、445gのヒドロキシエチルメタクリレート、538gのブチルアクリレート及び87gのブチルメタクリレートを含有する混合物I)を、3時間にわたって添加した。その後、128gのメチルメタクリレート、180gのヒドロキシエチルメタクリレート、100gのブチルアクリレート、及び60gのアクリル酸を含有する混合物II)を、1.5時間にわたって添加した。混合物I)の添加で始まるのと平行して、ブチルグリコールと溶剤ナフサとの1:1混合物70gに溶かした88gのジ−tert- ブチルペルオキシドを5時間にわたって添加した。145℃にてさらに2時間の攪拌後、このバッチを100℃まで冷却し、76gのジメチルエタノールアミンを添加後、生成物を2700gの蒸留水に分散させた。固形分44%、粘度800mPa.s(23℃、剪断速度40-1)、pH8.1(10%水中)及び中和度105%を有するコポリマーA3)が得られた。該分散液は、容易に濾過され、かつ微細分割(平均粒子径約105nm)できたので、高品質ラッカー用途に極めて適当であった。
【0043】
比較例4
モノマー混合物I)及びII)を同時に添加した以外は、実施例3を繰り返した。中和剤及び水を添加した後、非常に粗い粒子を含有する不安定な分散液が得られ、これは、迅速に二層に別れ、ラッカー用途に不適当であった。
【0044】
比較例5
モノマー混合物I)及びII)を同時に添加し、かつアクリル酸の量を二倍にするとともにメチルメタクリレートの相当量を減らした以外は、実施例3を繰り返した。中和剤(中和度105%)及び水を添加した後、安定な分散液を得た。しかし、固形分は31%しかなかった。酸価は39(100%固形分)であり、OH価は109(100%固形分)であった。
比較例5で得られた分散液を応用例10で使用すると、著しく減少したラッカー固形分を得た(53%の代わりに44%)。得られる無欠点コーチング厚みは極めて小さく、光沢などの外観特性は、著しく減少した〔20°/60°光沢:分散液A3)を使用したときの74/95とは対照的に52/78〕。
比較例5で得られた分散液を応用例11で使用すると、ポットライフが減少した〔分散液A3)を使用した時の6時間以上の代わりに約4時間〕。比較例5の分散液を使用すると、乾燥フィルムの耐水性は、分散液A3)に比べて減少し、すなわち、水で飽和した綿棒で72時間接触後、白化及び該フィルムの軟化開始が認識できたのに対し、分散液A3)に基づくフィルムの場合には、何の変化も確認できなかった。
【0045】
比較例6
最初に親水性−疎水性モノマー混合物II)を添加し、次いで疎水性モノマー混合物I)を添加した以外は、実施例3を繰り返した。固形分36%、酸価19.2(100%固形分)、OH価109(100%固形分)、pH8.1(10%水中)及び中和度105%を有する、水に分散したコポリマーが得られた。該分散液は、粗粒(平均粒子径約250nm)を含有し、濾過するのが困難であり、かつ極めて低い固形分を有した。この分散液をコーチング組成物に使用すると、低固形分を有し、かつ実施例3の分散液と比べて極めて低い光沢値を示すコーチングが得られた。さらに、いくつかの架橋樹脂との相溶性が低下し、一部艶のないフィルム及びコーチングが得られた。
【0046】
以下の架橋樹脂を応用例で使用した。
ポリイソシアネートI
イソシアヌレート基を含有し、かつヘキサメチレンジイソシアネートをベースとする低分子量疎水性ポリイソシアネート、23℃での粘度:約1200mPa.s.、NCO含有量:約23.5%。
アミノ架橋樹脂II
Cymel 327(Cytec製);市販のメラミン樹脂
ポリイソシアネートIII
遊離イソシアネート基を含有し、かつヘキサメチレンジイソシアネートイソシアヌレート及びモノヒドロキシ官能性ポリエチレングリコールポリエーテルをベースとする親水性改質ポリイソシアネート、23℃での粘度:約3500mPa.s.、NCO含有量:約17%。
ポリイソシアネートIV
遊離イソシアネート基を含有し、かつイソホロンジイソシアネートイソシアヌレート及びモノヒドロキシ官能性ポリエチレングリコールポリエーテルをベースとする親水性改質ポリイソシアネート、メトキシプロピルアセテート/キシレン(1:1)の70%溶液として存在、23℃での粘度:約500mPa.s.、NCO含有量:約9.5%。
ポリイソシアネートV
ヘキサメチレンジイソシアネートイソシアヌレートをベースとするブロックポリイソシアネート架橋剤の40%水性分散液、ブタンオキシムをブロッッキング剤として含有した(Bayhydur BL5140、Bayer社)。
【0047】
応用例7
142gの分散液A1)を33gの水(成分A)で希釈し、45gのポリイソシアネート架橋剤1、4.4gのTinuvin 1130(50%ブチルグリコールアセテート溶液、Ciba Geigy社)、2.2gのTinuvin292(50%ブチルグリコールアセテート溶液、Ciba Geigy社)、1.1gのBaysilon OL 44(10%ブチルグリコールアセテート溶液、Bayer社)及び22.8gのブチルジグリコールアセテートを含有する成分B)とともに、溶解機を用いて混合した。
得られた二成分ポリウレタン組成物は、固形分45%、NCO:OH当量比約1.5:1、及びポットライフ6時間以上を有し、その間粘度はほぼ一定であった。
【0048】
透明ラッカーをアルミニウム板及びガラス板に、スプレー塗布を用いて塗布した。80℃10分間の予備乾燥の後、130℃30分間で硬化させた。乾燥フィルムの以下の特性を測定した。
光沢(ガードナー20°): 85
DOI値: 90
耐溶剤性1): 0/0/0/3
耐水性: きわめて良好
2%硫酸抵抗: きわめて良好
水凝縮試験
(DIN50017)244時間: きわめて良好
1)キシレン/エトキシプロピルアセテート/エチルアセテート/アセトンに1分間浸漬。その後のフィルムの評価:0=変化無し(最良値)〜5=剥がれ(最悪値)。
【0049】
応用例8
254gの分散液A2)、42gの水および170gの二酸化チタン(Bayertitan R−KB−4、Bayer社)を粉砕し、1.1gの市販増粘剤、15.4gのポリイソシアネート架橋剤I)、およびポリイソシアネート架橋剤III)の80%メトキシプロピルアセテート溶液20.3gとともに、溶解機を用いて混合した。続いて、この生成物を水で希釈してDIN4カップ中28秒の粘度にした;該コーチング組成物の固形分は、約52%であった。該コーチング組成物のポットライフは、約6時間であった。
塗布後、該コーチングは、30分間、ダスト乾燥され、2時間30分後不粘着となり、高光沢フィルムを形成した。硬化後の機械的特性は良好(振子硬度120秒、カッピング(cupping)指数9mmより大)であった。鋼板への付着性は、耐キシレン及びアセトン性同様、優秀であった。「ウエッジ」、すなわち厚みの序々に増したフィルム調製したとき、気泡形成の限界は、140μmより大であり、これは、フィルム欠点無しに極めて厚い厚みが得られたことを意味する。したがって、例えば吹きつけ塗布間のオーバーラップのために、厚すぎるコーチング厚が得られる理由で、通常はコートできない物でさえ、容易にコートすることができる。
【0050】
応用例9
56.9gの分散液A1)、12.8gのアミノ架橋樹脂II、0.8gのTinuvin(50%ブチルジグリコール溶液、Ciba Geigy社)、1.5gのTinuvin 1130(50%ブチルジグリコール溶液、CibaGeigy社)、1gのBaysilon OL44(10%ブチルジグリコール溶液、Bayer社)、0.3gのByk 333(25%水溶液、BykChemie社)及び0.2gのByk 345(Byk Chemie社)を混合し、固形分を40%に調整した。この透明コーチング組成物を脱脂金属板に塗布し、60℃10分間予備乾燥後、160℃20分間焼き付けした。
透明で高光沢のコーチングフィルム(ガードナー20°光沢:89;DOI:100)が得られ、これは、良好な機械的特性(ケーニッヒ振子硬度−DIN 53157:192秒、カッピング指数−DIN53156:6mm)及び、樹脂(tree gum)、ブレーキ液、膵液(pancreatic juice)及び苛性ソーダに暴露したときに良好な耐薬品性を示した。
【0051】
応用例10
350gの分散液A3)、8gのSurfynol 104(Air products社)、48gの水、及び300gの二酸化チタン(BayertitanR−KB−4、Bayer社)を振盪機内で粉砕した。粉砕された材料を30gの分散液A3)、33gのアミノ架橋樹脂II、160gのポリイソシアネート架橋剤V、6gのAcrysol RM8(20%エタノール溶液、Rohm&Haas社)及び10gのByk011(Byk Chemie社)と混合し、水で、23℃DIN4 粘度カップ中約30秒の粘度に調節した。該コーチング組成物の固形分は、約53%であった。脱脂鋼板に塗布後、該コーチング組成物を160℃20分間焼き付けした。乾燥コート厚は約35μmであった。20°/60°光沢は、74/95であった。機械的特性は良好(カッピング押し込み6mm、振子硬度148秒)であった。耐溶剤性(メチルエチルケトンを含浸した綿棒を用いた摩擦試験、100ダブルラブでも成果無し)も良好であった。保存寿命は6カ月以上であった。
【0052】
応用例11
分散液A3)と、ポリイソシアネート架橋剤I)及びIV)の1:1混合物とを溶解機内で混合し、水でDIN4粘度カップ中約30秒の粘度に調節した。選ばれたNCO:OH当量比は、1.4:1であった。該混合物のポットライフは、6時間以上であった。コーチングをガラス板に塗布し、室温で硬化させた。乾燥コート厚みは、約45μmであった。該コーチングは、高光沢(ガードナー20°光沢:82)を有し、約3時間で乾いて透明な不粘着コーチングを得た。振子硬度は、1日後95秒であり、そして7日後130秒であった。耐アセトン及びキシレン性は、耐水性同様、良好であった。
【0053】
実施例12
186gの溶剤ナフサ及び186gのブチルグリコールを、攪拌機、コンデンサー及びヒーターを具備した6L反応容器に入れ、143℃に加熱した。次いで、750gのメチルメタクリレート、125gのスチレン、415gのヒドロキシエチルメタクリレート、493gのブチルアクリレート及び87gのブチルメタクリレートを含有する混合物I)を、3時間にわたって添加した。その後、128gのメチルメタクリレート、180gのヒドロキシエチルメタクリレート、100gのブチルアクリレート、及び60gのアクリル酸を含有する混合物II)を、1.5時間にわたって添加した。その後、30gのヒドロキシルメタクリレート及び45gのブチルアクリレートを含有する混合物III)を15分間にわたって添加した。混合物I)の添加で始まるのと平行して、35gのブチルグリコールと35gの溶剤ナフサに溶かした88gのジ−tert- ブチルペルオキシドを5時間にわたって添加した。143℃にてさらに2時間の攪拌後、このバッチを100℃まで冷却し、76gのジメチルエタノールアミンを添加した後、生成物を2500gの水に分散させた。固形分45%、酸価18.9(100%固体)及びOH価109(100%固体)を有する水性コポリマーA12)が得られた。
硬化後、コポリマーA12)を用いて作られたコーチングは、全体のモノマー組成が同一のコポリマーA3)のものと同様の良好な特性を示したが、しかし、コポリマーA12)の粘度は、貯蔵の間、一層安定であった。より長期間の貯蔵後でさえ、該分散液は、粘度に変化がなかった。一方、コポリマーA3)は、粘度が若干変化した。これらの変更は、多くの分散液で公知であるが、コーチング特性に負の効果を持たない。
【0054】
比較例13
溶剤ナフサ又はブチルグリコールの代わりにメトキシプロピルアセテートを用いた以外は、実施例3を繰り返した。
得られた水性コポリマーA13)は、多くの気泡及びゲル粒子を含有し、濾過できなかったので、高品質コーチング用途には不適であった。さらに、50℃での貯蔵の間、酸価の顕著な増加が観測された。これは、メトキシプロピルアセテート溶媒の鹸化によった。これは、pH低下をもたらし、ラッカー及びコーチングの特性を損なった。
【0055】
以上、本発明を説明の目的で詳細に説明したが、それは単にそのためだけにあり、当業者により、特許請求の範囲の除き、本発明の精神及び範囲を逸脱せずに改変をなし得ることが理解されるべきである。

Claims (5)

  1. I) Ia) アルコール部分にC1〜C18炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル及び/又はスチレン、ビニルトルエン及びα−メチルスチレンからなる群から選択される芳香族ビニル化合物を30〜85重量%、並びに
    Ib) ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート及びヒドロキシブチルメタクリレートからなる群から選択されるヒドロキシ官能性モノマーを5〜45重量%
    含むヒドロキシ官能性コポリマー、
    II) IIa) 上記Ia)に記載の(メタ)アクリル酸エステル及び/又は芳香族ビニル化合物を4〜20重量%、
    IIb) 上記Ib)に記載のヒドロキシ官能性モノマーを4〜15重量%、並びに
    IIc) アクリル酸、メタクリル酸及びマレイン酸(無水物)からなる群から選択される酸官能性モノマーを0.8〜3.0重量%
    含むヒドロキシ及びカルボキシ官能性コポリマー、並びに
    III) 必要に応じ
    IIIa) 上記Ia)に記載の(メタ)アクリル酸エステル及び/又は芳香族ビニル化合物及び上記Ib)に記載のヒドロキシ官能性モノマーを0〜16重量%
    含むヒドロキシ官能性コポリマー
    を含むコポリマーA)であって、
    i) 前記%は、成分I)、II)及びIII)の総重量に基づき、
    ii) Ia)、Ib)、IIa)、IIb)、IIc)及びIIIa)の合計は、これらの成分の重量に基づいて100%であり、
    iii) コポリマーA)は、固形分に基づいて10〜28mgKOH/g物質の酸価を有し、
    iv) モノマーII)中のモノマーIIc)の重量%は、25重量%未満であり、かつ
    v) コポリマーII)中のヒドロキシ官能性モノマーIIb)の重量%は、コポリマーI)中のヒドロキシ官能性モノマーIb)の重量%よりも高い
    前記コポリマーA)を含む水性の溶液又は分散液。
  2. i) コポリマーII)中のモノマーIIa)の重量%が25〜65重量%であり、
    ii) コポリマーII)中のモノマーIIb)の重量%が25〜65重量%であり、
    iii) コポリマー混合物A)中のコポリマーI)の重量%が60〜90重量%であり、
    iv) コポリマー混合物A)中のコポリマーII)の重量%が10〜40重量%であり、かつ
    v) コポリマーA)中のカルボキシル基の少なくとも70%が塩型で存在する、
    請求項1に記載の水性コポリマー溶液又は分散液。
  3. コポリマーI)が、
    Ia) アルコール部分にC1〜C18脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル及び/又は芳香族ビニル化合物を40〜80重量%、並びに
    Ib) ヒドロキシ官能性(メタ)アクリル酸エステルを7.5〜35重量%
    含み、
    コポリマーII)が、
    IIa) アルコール部分にC1〜C18脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル及び/又は芳香族ビニル化合物を4〜10重量%、
    IIb) ヒドロキシ官能性(メタ)アクリル酸エステルを6〜12重量%、並びに
    IIc) 酸官能性モノマーを1.5重量%以上2.5重量%未満
    含み、並びに
    コポリマーIII)が、
    IIIa) (メタ)アクリル酸エステル及び/又は芳香族ビニル化合物及びヒドロキシ官能性モノマーを0〜16重量%
    含み、ここで、該酸官能性モノマーは、コポリマーA)が固形分に基づいて12mgKOH/g物質より大きく25mgKOH/g物質未満の酸価を有し、かつ90%より大のカルボキシル基が塩型で存在するような量にて使用される、請求項1に記載の水性コポリマー溶液又は分散液。
  4. i) コポリマーA)中のコポリマーI)の重量%が80重量%より大きく90重量%までであり、
    ii) コポリマーA)中のコポリマーII)の重量%が10重量%以上20重量%未満であり、
    iii) コポリマーII)中の酸官能性モノマーIIc)の重量%が6〜18重量%であり、
    iv) コポリマーA)は、固形分に基づいて15〜20mgKOH/g物質の酸価を有し、かつ
    v) コポリマーA)中のカルボキシル基の100%が塩型で存在し、コポリマーA)がpH7.9〜10.0を有するのに充分な追加の中和剤が存在する、
    請求項1に記載の水性コポリマー溶液又は分散液。
  5. コポリマーA)中のコポリマーIII)の重量%が、3〜13重量%である、請求項1に記載の水性コポリマー溶液又は分散液。
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