JP4668853B2 - 電子写真感光体、並びにこれを用いた画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真感光体、並びにこれを用いた画像形成装置及びプロセスカートリッジ Download PDF

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Description

本発明は、小粒径の球形トナーを使用した高画質な画像出力及び高速印刷が可能であり、トナーの再利用性及び低温定着性に優れ、低温低湿環境下でのクリーニング性に優れ、環境変動に強く、滑材を塗布することなく、長期間に亘って安定な画像出力が可能な電子写真感光体(以下、「感光体」、「静電潜像担持体」、「像担持体」と称することもある)、並びに該電子写真感光体を用いた画像形成装置及びプロセスカートリッジに関する。
近年、電子写真方式によるフルカラー画像形成が広く行われるようになってきている。それに伴って、画像の高画質化への要求が増大している。このような高画質化に対応する方策として、粒径が小さく粒径の揃った球形トナーが微小ドット再現性を著しく高めることが知られており、そのようなトナーの生産が重合法により可能となり、小粒径の球形トナーが一般的に使用されるようになってきている。
また、電子写真方式の画像形成装置中で感光体の転写残トナーをクリーニングする方法としてクリーニングブレードを感光体表面に当接させて行うブレードクリーニング法が広く使われている。特に印刷速度の速い高速機ではブレードクリーニングが最も適しているが、小粒径の球形トナーは、ブレードクリーニングによるクリーニング性に劣るという問題がある。この問題を解決するため、感光体上に滑材を塗布してクリーニング性を向上させることが行われているが、滑材を使用すると回収トナー中に滑材が混入してトナーの帯電性を劣化させるため、トナーの再利用が困難になるという問題がある。
また近年、環境負荷低減が市場の大きな要求であり、電子写真方式の画像形成装置では定着温度を下げることが望まれている。そのため、トナーのガラス転移温度を低くすることが有効である。このような小径かつ球形で粒径が揃っており、ガラス転移温度の低いトナーの製造方法として、活性水素基含有化合物と反応可能な変性ポリエステル系樹脂、着色剤、及び離型剤を水系媒体中に分散剤の存在下で分散せしめ、得られた分散液を架橋剤及び伸長剤の少なくともいずれかと反応させて、得られた分散液から溶媒を除去する方法が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、この提案の方法により製造されたトナーは、小径かつ球形で粒径が揃っているため、ブレードクリーニング性が悪く、特に低温低湿環境下でのクリーニング性が劣り、滑材の塗布無しでは安定した画像出力が困難であるという問題がある。
特開2003−202701号公報
本発明は、前記要望に応え、従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、小粒径の球形トナーを使用した高画質な画像出力及び高速印刷が可能であり、トナーの再利用性及び低温定着性に優れ、低温低湿環境下でのクリーニング性に優れ、環境変動に強く、滑材を塗布することなく、長期間に亘って安定な画像出力が可能な電子写真感光体、並びに該電子写真感光体を用いた画像形成装置、及びプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 最表面層が、少なくともアミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサンを含有してなり、
前記アミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサンが、下記構造式(1)で表されるポリオルガノシロキサンと、アクリル系単量体とをグラフト共重合させてなる共重合物であることを特徴とする電子写真感光体である。
ただし、前記構造式(1)中、R、R、R、及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、炭素数1〜20の炭化水素基及び炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基のいずれかを表す。Yは、ラジカル反応性基及びSH基の少なくともいずれかを有する有機基を表す。Yは、アミノ基を有する有機基を表す。Z及びZは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、及び下記構造式(1−1)で表される基のいずれかを表す。mは、10,000以下の正の整数である。n及びpは、それぞれ1以上の整数である。
ただし、前記構造式(1−1)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、炭素数1〜20の炭化水素基及び炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基のいずれかを表す。Rは、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、並びにラジカル反応性基及びSH基の少なくともいずれかを有する有機基のいずれかを表す。
<2> 構造式(1)で表されるポリオルガノシロキサン(A)と、アクリル系単量体(B)との質量比率(A:B)が、40:60〜80:20である前記<1>に記載の電子写真感光体である。
<3> アクリル系単量体が、下記構造式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル、並びに下記構造式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル及び該(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な単量体の混合物のいずれかである前記<1>から<2>のいずれかに記載の電子写真感光体である。
ただし、前記構造式(2)中、Rは、水素原子、及びメチル基のいずれかを表す。Rは、アルキル基、アルコキシ置換アルキル基、シクロアルキル基、及びアリール基のいずれかを表し、これらは置換基により更に置換されていてもよい。
<4> 混合物における、構造式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル(C)と、該(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な単量体(D)との質量比率(C:D)が、99.9:0.1〜70:30である前記<3>に記載の電子写真感光体である。
<5> 支持体と、該支持体上に少なくとも感光層を有してなり、該感光層が最表面層である前記<1>から<4>のいずれかに記載の電子写真感光体である。
<6> 支持体と、該支持体上に少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に有してなり、該電荷輸送層が、最表面層である前記<1>から<4>のいずれかに記載の電子写真感光体である。
<7> 支持体と、該支持体上に少なくとも感光層及び表面保護層をこの順に有してなり、該表面保護層が最表面層である前記<1>から<4>のいずれかに記載の電子写真感光体である。
<8> 表面保護層が、分子中に連鎖重合性官能基を1つ以上有する連鎖重合性電荷輸送性化合物と、3官能以上の連鎖重合性化合物とを連鎖重合させてなるアクリル硬化樹脂を含有する前記<7>に記載の電子写真感光体である。
<9> 前記<1>から<8>のいずれかに記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段と、前記電子写真感光体上の残留トナーを除去するクリーニング手段とを少なくとも有してなり、
前記トナーは、平均円形度が0.92〜1であり、体積平均粒径(Dv)が4〜8μmであり、かつ体積平均粒径(Dv)/個数平均粒径(Dn)が1.00〜1.40であることを特徴とする画像形成装置である。
<10> トナーが、活性水素基含有化合物と、該活性水素基含有化合物と反応可能な変性ポリエステル樹脂、着色剤、及び離型剤とを含むトナー材料を有機溶剤に溶解乃至分散させてトナー溶液を調製した後、該トナー溶液を水系媒体中に乳化乃至分散させて分散液を調製し、該水系媒体中で、前記活性水素基含有化合物と、前記変性ポリエステル樹脂とを反応させて、有機溶剤を除去して得られる前記<9>に記載の画像形成装置である。
<11> クリーニング手段が、電子写真感光体表面に当接されるクリーニングブレードである前記<9>から<10>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<12> 前記<1>から<8>のいずれかに記載の電子写真感光体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程と、前記電子写真感光体上の残留トナーを除去するクリーニング工程とを少なくとも含んでなり、
前記トナーは、平均円形度が0.92〜1であり、体積平均粒径(Dv)が4〜8μmであり、かつ体積平均粒径(Dv)/個数平均粒径(Dn)が1.00〜1.40であることを特徴とする画像形成方法である。
<13> トナーが、活性水素基含有化合物と、該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを含むトナー材料を有機溶剤に溶解乃至分散させてトナー溶液を調製した後、該トナー溶液を水系媒体中に乳化乃至分散させて分散液を調製し、該水系媒体中で、前記活性水素基含有化合物と、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体とを反応させて接着性基材を粒子状に生成させて得られる前記<12>に記載の画像形成方法である。
<14> クリーニング工程が、電子写真感光体表面に当接されるクリーニングブレードを用いて行われる前記<12>から<13>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<15> 前記<1>から<8>のいずれかに記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体表面を帯電させる帯電手段、前記電子写真感光体上に形成した静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段、及び前記電子写真感光体上の残留トナーを除去するクリーニング手段から選択される少なくとも1つを有し、画像形成装置本体に着脱可能であるプロセスカートリッジであって、
前記トナーは、平均円形度が0.92〜1であり、体積平均粒径(Dv)が4〜8μmであり、かつ体積平均粒径(Dv)/個数平均粒径(Dn)が1.00〜1.40であることを特徴とするプロセスカートリッジである。
<16> トナーが、活性水素基含有化合物と、該活性水素基含有化合物と反応可能な変性ポリエステル樹脂、着色剤、及び離型剤とを含むトナー材料を有機溶剤に溶解乃至分散させてトナー溶液を調製した後、該トナー溶液を水系媒体中に乳化乃至分散させて分散液を調製し、該水系媒体中で、前記活性水素基含有化合物と、前記変性ポリエステル樹脂とを反応させて、有機溶剤を除去して得られる前記<15>に記載のプロセスカートリッジである。
<17> クリーニング手段が、電子写真感光体表面に当接されるクリーニングブレードである前記<15>から<16>のいずれかに記載のプロセスカートリッジである。
本発明の電子写真感光体は、最表面層が、少なくともアミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサンを含有してなる。
前記アミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサンは、ポリオルガノシロキサンを主鎖とする構造体にアクリル重合樹脂部が側鎖として何箇所かグラフト重合した構造体であり、一つの重合体中に2種類の性質の異なる組成が混在する。また、部分的に架橋が生じて一次粒径が50〜100nmの粒子となっており、一つの粒子中に2種類の組成体が相分離して存在する特殊な構造を有している。
従来公知のアミン構造を有するアクリル変性ポリオルガノシロキサンは、アクリル重合樹脂部にアミン構造を導入したアクリル変性ポリオルガノシロキサンであり、粒子内の一部の特性改質には成功したものの、粒子全体の特性改質には限界があったと推測される。また、表面エネルギーの小さいポリオルガノシロキサン成分が粒子の表面側に存在する確率が高くなり、アクリル重合樹脂部は粒子内部に隠れる部分が多くなっていると推測され、その表面改質効果が小さかった。
これに対し、本発明のアミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサンは、組成割合が高く、かつ表面側に存在する確率の高いポリオルガノシロキサン構造部にアミノ基を含有させることによって、粒子表面全体の改質に成功したものである。このように改質されたアミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサンを有機感光体(OPC)表面に含有させると、クリーニングが困難であった小粒径かつ球状トナーを用いて一般にクリーニング性が劣化する低温低湿環境下でも良好なクリーニングが達成できる点については未だ解明できていないが、以下のように推測される。
トナーをブレードクリーニングするときにはブレード前にトナーのダムが形成されるのが好ましいが、その条件としてトナー同士の凝集力がトナーとOPC間の付着力より大きい領域で達成されると推測されるが、付着力はOPCとトナーが摩擦される時に発生する静電引力の影響を大きく受け、特にトナー粒径が小さい場合と低湿環境下で静電気が蓄積しやすい環境下では静電引力が大きくなると考える。これに、トナーが球状の場合には転がり易さの影響が加わり、更にブレードの低温下での弾性挙動の変化が加わり、低温低湿環境下でのブレードクリーニング性を困難にしていると予想される。従って、トナーとOPCの接触による静電気の発生を低下させることがクリーニング性向上に有効である。それぞれの表面抵抗を小さくすることはその防止に有効と考えられるが、トナー及びOPC両方に帯電機能が要求されるため、単に電気抵抗を下げる手法では高性能な画像形成が困難になる。そこで、2物体が摩擦されても帯電する量が少ないようにそれぞれの帯電序列を同じレベルに合わせれば摩擦帯電を防止できるのではないか考えられる。トナーは元々表面に帯電制御剤、外添剤、ワックス成分等が存在する樹脂粒子であり、非常に複雑な系となっている。そこで、OPC表面側に表面ポテンシャルを変化させる構造を導入することでトナーとの付着力低減が図れる可能性があると考える。今回、電子供与性基であるアミノ基をシリコーン主鎖に導入することで上記バランスが図られたと考えられる。
従って、トナーとの摩擦帯電性を調節できる構造としてのアミノ基をアクリル変性ポリオルガノシロキサンの主鎖構造部に導入し、粒子全体の特性改質を行ったこと、その微粒子を均一に感光体表面に導入し、摩擦係数低下と合わせて持続的な静電的特性改質をOPC表面に付与できたことにより、小粒径の球形トナーを使用した高画質な画像出力及び高速印刷が可能であり、トナーの再利用性及び低温定着性に優れ、低温低湿環境下でのクリーニング性に優れ、環境変動に強く、滑材を塗布することなく、長期間に亘って安定な画像出力が可能な電子写真感光体、並びに該電子写真感光体を用いた画像形成装置及びプロセスカートリッジが提供できたものと推測される。
本発明によると、従来における問題を解決することができ、小粒径の球形トナーを使用した高画質な画像出力及び高速印刷が可能であり、トナーの再利用性及び低温定着性に優れ、低温低湿環境下でのクリーニング性に優れ、環境変動に強く、滑材を塗布することなく、長期間に亘って安定な画像出力が可能な電子写真感光体及び該電子写真感光体の製造方法、並びに該電子写真感光体を用いた画像形成装置、及びプロセスカートリッジを提供することができる。
(電子写真感光体)
本発明の電子写真感光体は、最表面層が、少なくともアミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサンを含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
<アミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサン>
前記アミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサンは、下記構造式(1)で表されるポリオルガノシロキサンと、アクリル系単量体とをグラフト共重合させてなる共重合物である。
ただし、前記構造式(1)中、R、R、R、及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、炭素数1〜20の炭化水素基及び炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基のいずれかを表す。Yは、ラジカル反応性基及びSH基の少なくともいずれかを有する有機基を表す。Yは、アミノ基を有する有機基を表す。Z及びZは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、及び下記構造式(1−1)で表される基のいずれかを表す。mは、10,000以下の正の整数である。n及びpは、それぞれ1以上の整数である。
ただし、前記構造式(1−1)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、炭素数1〜20の炭化水素基及び炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基のいずれかを表す。Rは、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、並びにラジカル反応性基及びSH基の少なくともいずれかを有する有機基のいずれかを表す。
前記構造式(1)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、R、R、R、及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、炭素数1〜20の炭化水素基及び炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基のいずれかを表す。前記炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えばアルキル基、アリール基、などが挙げられる。
前記アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられる。
前記アリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などが挙げられる。
前記炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基としては、前記炭素数1〜20の炭化水素基の炭素原子に結合した水素原子の少なくとも1つをハロゲン原子で置換したものが挙げられる。前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられる。
前記構造式(1)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、Yはラジカル反応性基及びSH基の少なくともいずれかを有する有機基を表す。前記ラジカル反応性基としては、例えばビニル基、アリル基、γ−アクリロキシプロピル基、γ−メタクリロキシプロピル基、γ−メルカプトプロピル基などが挙げられる。
前記構造式(1)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、Yはアミノ基を有する有機基を表し、例えばγ−アミノプロピル基、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピル基、N−フェニル−γ−アミノプロピル基などが挙げられる。
前記構造式(1)で表されるポリオルガノシロキサンにおいて、Z及びZは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、及び下記構造式(1−1)で表される基のいずれかを表す。
ただし、前記構造式(1−1)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、炭素数1〜20の炭化水素基及び炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基のいずれかを表す。Rは、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、並びにラジカル反応性基及びSH基の少なくともいずれかを有する有機基のいずれかを表す。
前記R、R、Rとしては、上記構造式(1)R、R、R、R、及びYと同様のものを用いることができる。
mは、10,000以下の正の整数であり、500〜8,000が好ましい。
n及びpは、それぞれ1以上の整数であり、1〜500が好ましい。
本発明のアミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサンは、新規化合物である。しかし、その基本骨格及び製造方法は従来公知の資料を参考にでき、例えば特公平7−5808号公報に記載されているポリオルガノシロキサン及びその製法を適用することができる。即ち、特公平7−5808号公報の一般式(I)のポリオルガノシロキサンの代わりに本発明の前記構造式(1)で表されるポリオルガノシロキサンを使用すること以外は、同様にして製造することができる。
まず、原料として環状ポリオルガノシロキサン、分子鎖両末端が水酸基で封鎖された液状ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端がアルコキシ基で封鎖された液状ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端がトリメチルシリル基で封鎖されたポリジメチルシロキサンとラジカル反応性基及びSH基の少なくともいずれかを有するシラン類に加えて、アミノ基を有するシラン類を加えて反応させることにより製造できる。これら原料の仕込み比を任意に変化することによって、アミノ基含有量の異なる前記構造式(1)で表されるポリオルガノシロキサンを合成することができる。
前記アミノ基を有するシラン化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、下記構造式で表される化合物が挙げられる。これらの中でも、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルジメトキシエチルシランが特に好ましい。
ただし、各式中のRはメチル基又はエチル基を表し、Meはメチル基を表す。
次に、得られた構造式(1)で表されるポリオルガノシロキサンは、アクリル系単量体と、乳化グラフト共重合させて、本発明のアミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサンが合成される。
得られるアミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサンは乳化剤を多く含むため、水やアルコール等で十分に洗浄してから使用される。乳化剤が残っていると電子写真感光体としての電荷輸送性に副作用をもたらし、残留電位が上昇したり、帯電性が低下してしまうので、十分に洗浄して使用することが好ましい。
−アクリル系単量体−
前記アクリル系単量体としては、前記構造式(1)で表されるポリオルガノシロキサンとグラフト共重合可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、下記構造式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル、並びに下記構造式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル及び該(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な単量体の混合物のいずれかであることが好ましい。
前記構造式(2)において、Rは、水素原子、及びメチル基のいずれかを表す。
は、アルキル基、アルコキシ置換アルキル基、シクロアルキル基、及びアリール基のいずれかを表し、これらは置換基により更に置換されていてもよい。
前記アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられる。
前記シクロアルキル基としては、例えばシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロへプタンなどが挙げられる。
前記アリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などが挙げられる。
前記構造式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、メチルメタクリレートが特に好ましい。
前記構造式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な単量体としては、例えば、多官能性単量体、エチレン性不飽和単量体などが挙げられる。
前記多官能性単量体としては、例えば複数の不飽和基を有する多官能性単量体、オキシラン基含有不飽和単量体、ヒドロキシル基含有不飽和単量体、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体、ポリアルキレンオキシド基含有不飽和単量体、多価アルコールと(メタ)アクリル酸との完全エステル、エチレン性不飽和アミド、エチレン性不飽和アミドのアルキロール又はアルコキシアルキル化物、アミノ基含有不飽和単量体、イミド基含有不飽和単量体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記複数の不飽和基を有する多官能性単量体としては、例えば1,3,5,7−テトラメチル−3,5,7−トリビニルシクロテトラシロキシプロピルメタクリレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレートなどが挙げられる。
前記オキシラン基含有不飽和単量体としては、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルアリルエーテルなどが挙げられる。
前記ヒドロキシル基含有不飽和単量体としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸などが挙げられる。
前記ポリアルキレンオキシド基含有不飽和単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸のエチレンオキシド、プロピレンオキシド付加物などが挙げられる。
前記多価アルコールと(メタ)アクリル酸との完全エステルとしては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多価アルコールと(メタ)アクリル酸との完全エステルなどが挙げられる。
前記エチレン性不飽和アミドとしては、例えばアクリルアミド、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
前記アミノ基含有不飽和単量体としては、例えばN,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記イミド基含有不飽和単量体としては、例えばアクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミドなどが挙げられる。
これらの中でも、アミド及びイミドの添加は、硬化による架橋樹脂層を形成する場合には、発生したラジカルを消費する酸素を還元する作用もあるので硬化速度を速めるには効果的である。また、ヘキサヒドロフタルイミドは架橋促進に優れている。
これらの多官能性単量体は、アミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサンにおけるポリマー間の架橋に関与することによって表面保護層に弾性、耐久性、耐熱性などを付与する効果を有している。
前記エチレン性不飽和単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、これらエチレン性不飽和単量体の1種以上と前記多官能性単量体の1種以上とを組み合わせて用いてもよい。
前記構造式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル及び該(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な単量体の混合物における、前記構造式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル(C)と、該(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な単量体(D)との質量比率(C:D)が、99.9:0.1〜70:30であることが好ましく、95:5〜80:20がより好ましい。前記(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な単量体の添加量が30質量%を超えると、アミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサンの強靭性や耐熱性が損なわれてしまうことがあり、0.1質量%未満であると、結着樹脂との相溶性が損なわれてしまうことがある。
前記構造式(1)で表されるポリオルガノシロキサン(A)と、前記アクリル系単量体(B)との質量比率(A:B)は、40:60〜80:20が好ましく、50:50〜75:25がより好ましい。前記構造式(1)で表されるポリオルガノシロキサンの使用割合が40質量%未満であると、ポリオルガノシロキサン構造由来の滑性付与機能が低下し、ブレードクリーニングしにくくなることがあり、80質量%を超えると、共重合物のガラス転移温度が低くなりすぎて液状化しやすくなり、感光体表面に粘着性が生じてしまい、異物付着等の問題を引き起こすことがある。
次に、前記アミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサンの製造方法について説明する。
前記構造式(1)で表されるポリオルガノシロキサンは、環状ポリオルガノシロキサン、分子鎖両末端が水酸基で封鎖された液状ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端がアルコキシ基で封鎖された液状ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端がトリメチルシリル基で封鎖されたポリジメチルシロキサンなどを、ラジカル反応性基及びSH基の少なくともいずれかを導入するためのシラン類或いはシラン類の加水分解生成物などを、アミノ基を有するシラン類或いはシラン類の加水分解生成物を、更に必要に応じて、本発明の目的を損なわない量の三官能性のトリアルコキシシラン又はその加水分解生成物などを用い、反応させることにより製造することができる。
また、前記構造式(1)で表されるポリオルガノシロキサンの別の製造方法について説明する。
まず、第1の方法は、原料として、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサンのような環状低分子シロキサンと、ラジカル反応性基又はSH基もしくはその両方を持つジアルコキシシラン化合物やその加水分解物とアミノ基を有するジアルコキシシラン化合物やその加水分解物を用い、強アルカリ性又は強酸性触媒の存在下に重合させることにより高分子量のポリオルガノシロキサンを得る方法である。このようにして得られた高分子量のポリオルガノシロキサンは、次工程の乳化グラフト共重合に供するため、適当な乳化剤の存在下に水性媒体中に乳化分散させる処理が施される。
次に、第2の方法は、原料として、例えば低分子ポリオルガノシロキサンと、ラジカル反応性基又はSH基もしくはその両方をもつジアルコキシシランやその加水分解物と、アミノ基を有するジアルコキシシラン化合物又はその加水分解物を用い、スルホン酸系界面活性剤や硫酸エステル系界面活性剤の存在下に、水性媒体中において乳化重合させる方法である。この乳化重合の場合、同様な原料を用い、アルキルトリメチルアンモニウムクロリドやアルキルベンジルアンモニウムクロリドなどのカチオン性界面活性剤により、水性媒体中に乳化分散させた後、適当量の水酸化カリウムや水酸化ナトリウムなどの強アルカリ性化合物を添加して重合させることもできる。
得られた前記構造式(1)で表されるポリオルガノシロキサンは、その分子量が小さいと、組成物から得られる成形体に持続性のある摺動性、耐摩耗性などを付与する効果が劣るようになるので、分子量ができるだけ大きい方が好ましい。このため、第1の方法においては、重合においてポリオルガノシロキサンを高分子量のものとしておき、これを乳化分散することが必要である。また、第2の方法においては、乳化重合後に施される熟成処理の際に、温度を低くすればポリオルガノシロキサンの分子量が大きくなるので、熟成温度は30℃以下が好ましく、15℃以下がより好ましい。
前記構造式(1)の成分と、前記構造式(2)の成分との乳化グラフト共重合は、前記構造式(1)の成分としてポリオルガノシロキサンの水性エマルジョンを用い、通常のラジカル開始剤を使用して、公知の乳化重合法によって行うことができる。
また、本発明のアミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサンにおいて、重合時に用いる乳化剤、凝集剤等の不純物の残留は電気特性を問題とする電子写真感光体においてはその電気特性を損なうおそれがあるため、必要に応じて精製して用いることが好ましい。前記精製法としては、酸、アルカリ水溶液、水、アルコール等で攪拌洗浄処理する方法、又はソックスレー抽出等による固液抽出法などが挙げられる。
前記アミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサンは、最表面層中で粒子状に分散していることが好ましい。前記アミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサンの最表面層中での平均粒径は10〜5,000nmが好ましく、50〜500nmがより好ましい。
前記アミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサンの最表面層中での平均粒径は、例えば、最表面層の断面の透過電子顕微鏡(TEM)観察より、測定することができる。
前記アミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサンの前記最表面層における含有量は、電子写真感光体の層構成などによって異なり一概には規定できないが、含有する層中において、0.2〜40質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。前記含有量が0.2質量%未満であると、感光層表面のシリコン濃度が不足し、クリーニング性が不良となることがあり、40質量%を超えると、感光層表面の機械特性が柔らかくなりすぎて摩耗しやすくなってしまうことがある。
<電子写真感光体の層構成>
本発明の電子写真感光体は、その層構成について特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、第1形態では、支持体と、該支持体上に少なくとも感光層を有してなり、該感光層が最表面層であり、
第2形態では、支持体と、該支持体上に少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に有してなり、該電荷輸送層が、最表面層であり、
第3形態では、支持体と、該支持体上に少なくとも感光層及び表面保護層をこの順に有してなり、該表面保護層が最表面層である。
したがって、前記最表面層としては、積層構造の感光層では電荷輸送層、又は表面保護層などが挙げられる。また、単層構造の感光層では、感光層、又は表面保護層などが挙げられる。
ここで、本発明の電子写真感光体の層構成について、図面に基づいて説明する。図1〜図4は、電子写真感光体の概略断面図である。
図1に示す態様においては、支持体1上に、電荷発生物質と電荷輸送物質を主成分とする感光層3が設けられている。
図2に示す態様においては、支持体1上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層5と、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層7とが、積層された構成をとっている。
図3に示す態様においては、支持体1上に、電荷発生物質と電荷輸送物質を主成分とする感光層3が設けられ、更に感光層上に表面保護層4が設けられている。
図4に示す態様においては、支持体1上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層5と、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層7とが感光層として積層された構成をとっており、更に電荷輸送層上に表面保護層4が設けられている。
なお、図1〜図4に示す電子写真感光体において、支持体と感光層(又は電荷発生層)の間に1層以上の下引き層を有していてもよい。また、図3及び図4において、感光層(又は電荷輸送層)と表面保護層との間に接着性を高めるために中間層を設けることもできる。本発明においては、これら構成の最表面層中又は最表面層中の表面側の一部に本発明の前記アミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサンが含有されている。
〔積層構造の感光層〕
前記積層構造の感光層は、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層と、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層とを有する。
−電荷発生層−
前記電荷発生層は、少なくとも電荷発生物質を含んでなり、バインダー樹脂、更に必要に応じてその他の成分を含んでなる。
前記電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
前記無機系材料としては、例えば、結晶セレン、アモルファス−セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物、アモルファス−シリコン等が挙げられる。アモルファス−シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
前記有機系材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系顔料、多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン系顔料、ナフトキノン系顔料、シアニン系顔料、アゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、アゾ顔料、フタロシアニン顔料が好ましく、下記構造式(A)で表されるアゾ顔料、及びチタニルフタロシアニン(特にCuKαの特性X線(波長1.514Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンやCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、かつ、前記7.3°のピークと9.4゜のピークの間にはピークを有さず、更に26.3°にピークを有さず、かつ一次粒子の平均粒子径が0.25μm以下のチタニルフタロシアニン結晶が特に好ましい。
ただし、前記構造式(A)中、Cp及びCpは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、カップラー残基を表す。R201及びR202は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基のいずれかを表す。Cp及びCpは、下記構造式(B)で表される。
ただし、前記構造式(B)中、R203は、水素原子、メチル基、エチル基等アルキル基、フェニル基等のアリール基を表す。R204、R205、R206、R207、及びR208は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、及び水酸基のいずれかを表す。Zは、置換もしくは無置換の芳香族炭素環、又は置換もしくは無置換の芳香族複素環を構成するのに必要な原子群を表す。
204、R205、R206、R207、及びR208における前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
前記アルキル基としては、例えばトリフルオロメチル基、メチル基、エチル基などが挙げられる。
前記アルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基などが挙げられる。
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記バインダー樹脂としては、上述のバインダー樹脂の他に、電荷輸送機能を有する高分子電荷輸送物質、例えば、(1)アリールアミン骨格やベンジジン骨格やヒドラゾン骨格やカルバゾール骨格やスチルベン骨格やピラゾリン骨格等を有するポリカーボネート、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリシロキサン、アクリル樹脂などの高分子材料、(2)ポリシラン骨格を有する高分子材料などを用いることができる。
前記(1)の具体的な例としては、特開平01−001728号公報、特開平01−009964号公報、特開平01−013061号公報、特開平01−019049号公報、特開平01−241559号公報、特開平04−011627号公報、特開平04−175337号公報、特開平04−183719号公報、特開平04−225014号公報、特開平04−230767号公報、特開平04−320420号公報、特開平05−232727号公報、特開平05−310904号公報、特開平06−234836号公報、特開平06−234837号公報、特開平06−234838号公報、特開平06−234839号公報、特開平06−234840号公報、特開平06−234841号公報、特開平06−239049号公報、特開平06−236050号公報、特開平06−236051号公報、特開平06−295077号公報、特開平07−056374号公報、特開平08−176293号公報、特開平08−208820号公報、特開平08−211640号公報、特開平08−253568号公報、特開平08−269183号公報、特開平09−062019号公報、特開平09−043883号公報、特開平09−71642号公報、特開平09−87376号公報、特開平09−104746号公報、特開平09−110974号公報、特開平09−110976号公報、特開平09−157378号公報、特開平09−221544号公報、特開平09−227669号公報、特開平09−235367号公報、特開平09−241369号公報、特開平09−268226号公報、特開平09−272735号公報、特開平09−302084号公報、特開平09−302085号公報、特開平09−328539号公報等に記載の電荷輸送性高分子材料が挙げられる。
また、前記(2)のポリシラン骨格を有する高分子材料の具体例としては、例えば、特開昭63−285552号公報、特開平05−19497号公報、特開平05−70595号公報、特開平10−73944号公報等に記載のポリシリレン重合体が例示される。
また、前記電荷発生層には、低分子電荷輸送物質を含有させることができる。
前記低分子電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
前記電子輸送物質としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記正孔輸送物質としては、例えば、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記電荷発生層を形成する方法としては、真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。
前記真空薄膜作製法としては、例えば、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられる。
前記キャスティング法としては、前記無機系もしくは有機系電荷発生物質、必要に応じてバインダー樹脂を、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。また、必要に応じて、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のレベリング剤を添加することができる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行うことができる。
前記電荷発生層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01〜5μmが好ましく、0.05〜2μmがより好ましい。
−電荷輸送層−
前記電荷輸送層は、帯電電荷を保持させ、かつ、露光により電荷発生層で発生分離した電荷を移動させて保持していた帯電電荷と結合させることを目的とする層である。帯電電荷を保持させる目的を達成するためには、電気抵抗が高いことが要求される。また、保持していた帯電電荷で高い表面電位を得る目的を達成するためには、誘電率が小さく、かつ電荷移動性が良いことが要求される。
前記電荷輸送層が最表面層である場合には、該電荷輸送層中に本発明のアミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサンを含有する。
前記電荷輸送層は、電荷輸送物質を適当な結着樹脂中に分散させた層や電荷輸送機能を発現する構造を有する高分子電荷輸送物質からなる層や電荷輸送機能を発現する構造を有するモノマーを他のモノマー成分と共に三次元に架橋硬化させた樹脂層等が適用される。
前記電荷輸送物質としては、正孔輸送物質、電子輸送物質、高分子電荷輸送物質などが挙げられる。
前記電子輸送物質(電子受容性物質)としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記正孔輸送物質(電子供与性物質)としては、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール又はその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメート又はその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物又はその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などが挙げられる。
前記電荷輸送物質の含有量は、前記結着樹脂100質量部に対し、20〜300質量部が好ましく、40〜150質量部がより好ましい。
また、高分子電荷輸送物質としては、以下のような構造を有するものが挙げられる。
(a)カルバゾール環を有する重合体としては、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、特開昭50−82056号公報、特開昭54−9632号公報、特開昭54−11737号公報、特開平4−175337号公報、特開平4−183719号公報、特開平6−234841号公報に記載の化合物などが挙げられる。
(b)ヒドラゾン構造を有する重合体としては、例えば、特開昭57−78402号公報、特開昭61−20953号公報、特開昭61−296358号公報、特開平1−134456号公報、特開平1−179164号公報、特開平3−180851号公報、特開平3−180852号公報、特開平3−50555号公報、特開平5−310904号公報、特開平6−234840号公報に記載の化合物などが挙げられる。
(c)ポリシリレン重合体としては、例えば、特開昭63−285552号公報、特開平1−88461号公報、特開平4−264130号公報、特開平4−264131号公報、特開平4−264132号公報、特開平4−264133号公報、特開平4−289867号公報に記載の化合物などが挙げられる。
(d)トリアリールアミン構造を有する重合体としては、例えば、N,N−ビス(4−メチルフェニル)−4−アミノポリスチレン、特開平1−134457号公報、特開平2−282264号公報、特開平2−304456号公報、特開平4−133065号公報、特開平4−133066号公報、特開平5−40350号公報、特開平5−202135号公報に記載の化合物などが挙げられる。
(e)その他の重合体としては、例えば、ニトロピレンのホルムアルデヒド縮重合体、特開昭51−73888号公報、特開昭56−150749号公報、特開平6−234836号公報、特開平6−234837号公報に記載の化合物などが挙げられる。
また、前記高分子電荷輸送物質としては、上記以外にも、例えば、トリアリールアミン構造を有するポリカーボネート樹脂、トリアリールアミン構造を有するポリウレタン樹脂、トリアリールアミン構造を有するポリエステル樹脂、トリアリールアミン構造を有するポリエーテル樹脂、などが挙げられる。前記高分子電荷輸送物質としては、例えば、特開昭64−1728号公報、特開昭64−13061号公報、特開昭64−19049号公報、特開平4−11627号公報、特開平4−225014号公報、特開平4−230767号公報、特開平4−320420号公報、特開平5−232727号公報、特開平7−56374号公報、特開平9−127713号公報、特開平9−222740号公報、特開平9−265197号公報、特開平9−211877号公報、特開平9−304956号公報、などに記載の化合物が挙げられる。
また、電子供与性基を有する重合体としては、上記重合体だけでなく、公知の単量体との共重合体、ブロック重合体、グラフト重合体、スターポリマー、更には、例えば、特開平3−109406号公報に開示されているような電子供与性基を有する架橋重合体などを用いることもできる。
また、前記電荷輸送層としては、電荷輸送機能を発現する構造を有するモノマーを他のモノマー成分と共に三次元に架橋硬化させた樹脂層としては、種々の架橋反応を利用した架橋樹脂層が適用できる。例えば、イソシアネート基と水酸基との縮合反応を利用するもの、シラノール基と水酸基との縮合反応を利用するもの、アクリル基等のラジカル連鎖重合反応を利用するもの等が挙げられるが架橋反応の種類は従来公知のいずれであってもよい。
前記電荷輸送層は、これらの電荷輸送物質及びバインダー樹脂を適当な溶剤に溶解乃至分散し、これを塗布し、乾燥することにより形成できる。前記電荷輸送層には、更に必要に応じて、前記電荷輸送物質及びバインダー樹脂以外に、可塑剤、酸化防止剤、レベリング剤等などの添加剤を適量添加することもできる。
前記電荷輸送層の塗工に用いられる溶媒としては前記電荷発生層と同様なものが使用できるが、電荷輸送物質及び結着樹脂を良好に溶解するものが適している。これらの溶剤は単独で使用しても2種以上混合して使用してもよい。また、電荷輸送層の形成には電荷発生層35と同様な塗工法が可能である。
また、必要により可塑剤、レベリング剤を添加することもできる。
前記可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、前記結着樹脂100質量部に対して0〜30質量部程度が適当である。
前記レベリング剤としては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は、結着樹脂100質量部に対して0〜1質量部程度が適当である。
前記電荷輸送層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、5〜40μmが好ましく、10〜30μmがより好ましい。
〔単層構造の感光層〕
前記単層構造の感光層は、電荷発生物質、電荷輸送物質、及び結着樹脂をテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶剤に溶解乃至分散した塗布液を塗布し、乾燥することによって形成できる。なお、必要により可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
前記塗布は、浸漬塗工法、スプレーコート、ビードコート、リングコートなどが挙げられる。
前記単層構造の感光層が最表面層である場合には、該感光層中に本発明のアミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサンを含有する。
前記結着樹脂としては、前記電荷輸送層で挙げた結着樹脂のほかに、前記電荷発生層で挙げた結着樹脂を混合して用いてもよく、高分子電荷輸送物質も良好に使用できる。前記結着樹脂100質量部に対する電荷発生物質の含有量は5〜40質量部が好ましい。電荷輸送物質の含有量は0〜190質量部が好ましく、50〜150質量部がより好ましい。
前記単層構成の感光層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5〜40μmが好ましい。
〔表面保護層〕
前記表面保護層は、感光体の感光層の機能を保持しながら耐摩耗性を向上させるため、感光層上に設けられた最表面層であり、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば(1)感光層に用いられる結着樹脂の単独層からなる表面保護層、(2)感光層と同じ組成物中に無機フィラーを分散させた層からなる表面保護層、(3)電荷輸送能を有する三次元架橋樹脂層からなる表面保護層、などが挙げられる。
これらの中でも、前記(1)の結着樹脂の単独層からなる表面保護層は、電荷輸送物質を含まないことから、感光体の残留電位が発生しやすいので好ましくない。また、表面保護層の厚みが2μm以下の薄膜とすることもできるが、本発明の前記アミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサンを表面保護層に分散含有させることが必要であり、あまり薄い層の場合は、持続性等の低下を招くので好ましくない。
これに対し、前記(2)の感光層と同じ組成物中にフィラーを分散させた表面保護層、及び前記(3)の電荷輸送能を有する三次元架橋樹脂からなる表面保護層は、本発明の前記アミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサンを良好に含有させることができるので好適である。
本発明の電子写真感光体が最表面層としての表面保護層を有する場合には、該表面保護層中に本発明のアミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサンを含有する。
前記(2)の表面保護層に使用されるフィラーとしては、有機フィラーと、無機フィラーとに大別できる。
前記有機フィラー材料としては、例えばポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、a−カーボン粉末等が挙げられる。
前記無機フィラー材料としては、例えば銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、チタン酸カリウムなどが挙げられる。これらの中でも、フィラーの硬度の点から、無機材料を用いることが有利であり、特に金属酸化物が良好である。
また、高画質化に対して、表面保護層のバルク抵抗の制御は重要となり、抵抗が低すぎる場合は、画像流れを引き起こしやすく、抵抗が高い場合は露光部電位などの上昇が問題となる。これらの問題に対しては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化錫が有効に使用できる。
前記フィラーの平均一次粒径は、0.01〜0.5μmであることが好ましい。前記フィラーの平均一次粒径が0.01μm未満であると、耐摩耗性の低下、分散性の低下等を引き起こすことがあり、0.5μmを超えると、分散液中においてフィラーの沈降が促進されたり、トナーのフィルミングが発生することがある。
前記表面保護層中のフィラー材料濃度は、高いほど耐摩耗性が高いので良好であるが、高すぎる場合には残留電位の上昇、保護層の書き込み光透過率が低下し、副作用を生じる場合がある。従って、概ね全固形分に対して、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
前記フィラーは、少なくとも一種の表面処理剤で表面処理させることが可能であり、そうすることがフィラーの分散性の面から好ましい。フィラーの分散性の低下は残留電位の上昇だけでなく、塗膜の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、更には耐摩耗性の低下をも引き起こすため、高耐久化あるいは高画質化を妨げる大きな問題に発展する可能性がある。表面処理剤としては、従来用いられている表面処理剤すべてを使用することができるが、フィラーの絶縁性を維持できる表面処理剤が好ましい。例えば、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、高級脂肪酸等、あるいはこれらとシランカップリング剤との混合処理や、Al、TiO、ZrO、シリコーン、ステアリン酸アルミニウム等、あるいはそれらの混合処理がフィラーの分散性及び画像ボケの点からより好ましい。シランカップリング剤による処理は、画像ボケの影響が強くなるが、上記の表面処理剤とシランカップリング剤との混合処理を施すことによりその影響を抑制できる場合がある。
表面処理量については、用いるフィラーの平均一次粒径によって異なり一概には規定できないが、3〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。前記表面処理量が3質量%未満であると、フィラーの分散効果が得られないことがあり、30質量%を超えると、残留電位の著しい上昇を引き起こすことがある。これらフィラー材料は単独もしくは2種類以上混合して用いられる。
前記(3)の電荷輸送能を有する三次元架橋樹脂層は、重合可能な反応性基を有する電荷輸送物質とそれと架橋反応しうるモノマー成分や樹脂成分とを熱硬化反応や光硬化反応等を利用して三次元に架橋させた層であり、溶剤に不溶となるまで巨大分子化した樹脂層である。
前記三次元架橋樹脂層として、電荷輸送能を有するアクリル硬化樹脂層を含有する場合には、本発明の前記アミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサンの分散性が良く、分散による表面保護層の機械的特性を低下させることなく、低温低湿下でのクリーニング性の向上を達成でき、耐久性に優れる電子写真感光体の提供が可能になる。
前記アクリル硬化樹脂は、(A)分子中に連鎖重合性官能基を1つ以上有する連鎖重合性電荷輸送性化合物と、(B)3官能以上の連鎖重合性化合物とを少なくとも含む塗布物を加熱、光照射、電子線照射又は放射線照射等のラジカル反応開始手段により反応させて、三次元に架橋させた樹脂である。
−(A)成分の連鎖重合性電荷輸送性化合物−
前記(A)成分の化合物としては、電荷輸送性構造体に連鎖重合性官能基が置換したものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記連鎖重合性電荷輸送性化合物における連鎖重合性官能基としては、例えばビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基、α−塩化アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、α−シアノエチレン基、α−シアノアクリロイルオキシ基、α−シアノフェニレン基、メタクリロイルアミノ基、環状カルボニル、オキシラン等が挙げられる。これらの中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が特に好ましい。
前記(A)成分の連鎖重合性電荷輸送性化合物における電荷輸送性構造体の具体例としては以下のものが挙げられ、前記(A)成分は以下の構造体に連鎖重合性官能基が置換したものである。
例えば、ポリ−N−カルバゾール又はその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメート又はその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物又はその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、オキサゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、又は下記構造式(2)で示される化合物がある。
ただし、前記構造式(2)中、Rはメチル基、エチル基、2−ヒドロキシエチル基又は2−クロルエチル基を表し、Rはメチル基、エチル基、ベンジル基又はフェニル基を表し、Rは水素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基又はニトロ基を表す。
前記構造式(2)で表される化合物としては、例えば9−エチルカルバゾール−3−カルボアルデヒド1−メチル−1−フェニルヒドラゾン、9−エチルカルバゾール−3−カルボアルデヒド1−ベンジル−1−フェニルヒドラゾン、9−エチルカルバゾール−3−カルボアルデヒド1、1−ジフェニルヒドラゾンなどが挙げられる。
ただし、前記構造式(4)中、Arはナフタレン環、アントラセン環、ピレン環及びそれらの置換体あるいはピリジン環、フラン環、チオフェン環を表し、Rはアルキル基、フェニル基又はベンジル基を表す。
前記構造式(4)で表される化合物としては、例えば4−ジエチルアミノスチリル−β−カルボアルデヒド1−メチル−1−フェニルヒドラゾン、4−メトキシナフタレン−1−カルボアルデヒド1−ベンジル−1−フェニルヒドラゾンなどが挙げられる。
ただし、前記構造式(5)中、Rはアルキル基、ベンジル基、フェニル基又はナフチル基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、ジアラルキルアミノ基又はジアリールアミノ基を表し、nは1〜4の整数を表し、nが2以上のときはRは同じであっても異なっていてもよい。Rは水素原子又はメトキシ基を表す。
前記構造式(5)で表される化合物としては、例えば4−メトキシベンズアルデヒド1−メチル−1−フェニルヒドラゾン、2、4−ジメトキシベンズアルデヒド1−ベンジル−1−フェニルヒドラゾン、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド1、1−ジフェニルヒドラゾン、4−メトキシベンズアルデヒド1−(4−メトキシ)フェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド1−ベンジル−1−フェニルヒドラゾン、4−ジベンジルアミノベンズアルデヒド1、1−ジフェニルヒドラゾンなどが挙げられる。
ただし、前記構造式(6)中、Rは炭素数1〜11のアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基又は複素環基を表し、R、Rはそれぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、クロルアルキル基又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表し、また、RとRは互いに結合し窒素を含む複素環を形成していてもよい。Rは同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表す。
前記構造式(6)で表される化合物としては、例えば1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、トリス(4−ジエチルアミノフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、2,2’−ジメチル−4,4’−ビス(ジエチルアミノ)−トリフェニルメタンなどが挙げられる。
ただし、前記構造式(7)中、Rは水素原子又はハロゲン原子を表し、Arは置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基、アントリル基又はカルバゾリル基を表す。
前記構造式(7)で表される化合物としては、例えば9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、9−ブロム−10−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセンなどが挙げられる。
ただし、前記構造式(8)中、Rは水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜4のアルコキシ基又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Arは、下記構造式(9)、又は構造式(10)を表す。
ただし、前記構造式(9)及び(10)中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基又はジアルキルアミノ基を表し、nは1又は2であって、nが2のときはRは同一でも異なっていてもよく、R、Rは水素原子、炭素数1〜4の置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいベンジル基を表す。
前記構造式(8)で表される化合物としては、例えば9−(4−ジメチルアミノベンジリデン)フルオレン、3−(9−フルオレニリデン)−9−エチルカルバゾールなどが挙げられる。
ただし、前記構造式(11)中、Rはカルバゾリル基、ピリジル基、チエニル基、インドリル基、フリル基あるいはそれぞれ置換もしくは非置換のフェニル基、スチリル基、ナフチル基、又はアントリル基であって、これらの置換基がジアルキルアミノ基、アルキル基、アルコキシ基、カルボキシ基又はそのエステル、ハロゲン原子、シアノ基、アラルキルアミノ基、N−アルキル−N−アラルキルアミノ基、アミノ基、ニトロ基及びアセチルアミノ基からなる選択される基を表す。
前記構造式(11)で表される化合物としては、例えば1、2−ビス(4−ジエチルアミノスチリル)ベンゼン、1、2−ビス(2、4−ジメトキシスチリル)ベンゼンなどが挙げられる。
ただし、前記構造式(12)中、Rは低級アルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、又はベンジル基を表し、R、Rは水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基あるいは低級アルキル基又はベンジル基で置換されたアミノ基を表し、nは1又は2の整数を表す。
前記構造式(12)で表される化合物としては、例えば3−スチリル−9−エチルカルバゾール、3−(4−メトキシスチリル)−9−エチルカルバゾールなどが挙げられる。
ただし、前記構造式(13)中、Rは水素原子、アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表す。R及びRは置換基を有していてもよいアリール基を表し、Rは水素原子、低級アルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基を表す。また、Arは置換基を有していてもよいフェニル基又はナフチル基を表す。
前記構造式(13)で表される化合物としては、例えば4−ジフェニルアミノスチルベン、4−ジベンジルアミノスチルベン、4−ジトリルアミノスチルベン、1−(4−ジフェニルアミノスチリル)ナフタレン、1−(4−ジフェニルアミノスチリル)ナフタレンなどが挙げられる。
ただし、前記構造式(14)中、nは0又は1の整数、Rは水素原子、アルキル基又は置換基を有していてもよいフェニル基を表し、Ar1は置換もしくは未置換のアリール基を表し、Rは置換アルキル基を含むアルキル基、あるいは置換基を有していてもよいアリール基を表し、Aは、下記構造式(15)で表される基、9−アントリル基又は置換基を有していてもよいカルバゾリル基を表し、ここでRは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子又は下記構造式(16)で表される基を表し、mが2以上の時Rは同一でも異なってもよい。また、nが0の時、AとRは共同で環を形成してもよい。
ただし、前記構造式(15)及び(16)中、R及びRは置換基を有していてもよいアリール基を示し、R及びRは同じでも異なっていてもよい。Rは環を形成してもよい。
前記構造式(14)で表される化合物としては、例えば4’−ジフェニルアミノ−α−フェニルスチルベン、4’−ビス(4−メチルフェニル)アミノ−α−フェニルスチルベンなどが挙げられる。
ただし、前記構造式(17)中、R、R及びRは水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子又はジアルキルアミノ基を表し、nは0又は1を表す。
前記構造式(17)で表される化合物としては、例えば1−フェニル−3−(4−ジエチルアミノスチリル)−5−(4−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリンなどが挙げられる。
ただし、前記構造式(18)中、R及びRは置換アルキル基を含むアルキル基、又は置換もしくは未置換のアリール基を表し、Aは置換アミノ基、置換もしくは未置換のアリール基、又はアリル基を表す。
前記構造式(18)で表される化合物としては、例えば2、5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−N、N−ジフェニルアミノ−5−(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4−ジメチルアミノフェニル)−5−(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどが挙げられる。
ただし、前記構造式(19)中、Xは水素原子、低級アルキル基又はハロゲン原子を表し、Rは置換アルキル基を含むアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表し、Aは置換アミノ基又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。
前記構造式(19)で表される化合物としては、例えば2−N、N−ジフェニルアミノ−5−(N−エチルカルバゾール−3−イル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4−ジエチルアミノフェニル)−5−(N−エチルカルバゾール−3−イル)−1,3,4−オキサジアゾールなどが挙げられる。
ただし、前記構造式(20)中、Rは低級アルキル基、低級アルコキシ基、又はハロゲン原子を表す。R、及びRは同じでも異なっていてもよく、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、又はハロゲン原子を表す。l、m、及びnは0〜4の整数を表す。
前記構造式(20)で表されるベンジジン化合物としては、例えばN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン、3,3’−ジメチル−N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミンなどが挙げられる。
ただし、前記構造式(21)中、R、R及びRは水素原子、アミノ基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アリールオキシ基、メチレンジオキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基、ハロゲン原子又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。Rは水素原子、アルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキル基又はハロゲン原子を表す。ただし、R、R、R及びRは、すべて水素原子である場合は除く。また、k、l、m及びnは、1、2、3又は4の整数であり、それぞれが2、3又は4の整数の時は、前記R、R、R及びRは同じでも異なっていてもよい。
前記構造式(21)で表されるビフェニリルアミン化合物としては、例えば4’−メトキシ−N,N−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4−アミン、4’−メチル−N,N−ビス(4−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4−アミン、4’−メトキシ−N,N−ビス(4−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4−アミン、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4−アミンなどが挙げられる。
ただし、前記構造式(22)中、Arは置換基を有してもよい炭素数18個以下の縮合多環式炭化水素基を表す。R及びRは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基を表し、それぞれ同じでも異なっていてもよい。nは1又は2の整数を表す。
前記構造式(22)で表されるトリアリールアミン化合物としては、例えばN,N−ジフェニル−ピレン−1−アミン、N,N−ジ−p−トリル−ピレン−1−アミン、N,N−ジ−p−トリル−1−ナフチルアミン、N,N−ジ(p−トリル)−1−フェナントリルアミン、9,9−ジメチル−2−(ジ−p−トリルアミノ)フルオレン、N,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−フェナントレン−9,10−ジアミン、N,N,N’N’−テトラキス(3−メチルフェニル)−m−フェニレンジアミンなどが挙げられる。
ただし、前記構造式(23)中、Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、Aは、下記構造式(24)で表される基である。
ただし、前記構造式(23)中、Ar’は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、R及びRは置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基である。
前記構造式(23)で表されるジオレフィン芳香族化合物としては、例えば1,4−ビス(4−ジフェニルアミノスチリル)ベンゼン、1,4−ビス[4−ジ(p−トリル)アミノスチリル]ベンゼンなどが挙げられる。
ただし、前記構造式(25)中、Arは置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。Rは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、又は置換基を有していてもよいアリール基を表す。nは0又は1、mは1又は2であって、n=0、m=1の場合、ArとRは共同で環を形成してもよい。
前記構造式(25)で表されるスチリルピレン化合物としては、例えば1−(4−ジフェニルアミノスチリル)ピレン、1−(N,N−ジ−p−トリル−4−アミノスチリル)ピレンなどが挙げられる。
なお、その他の電子輸送材料としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−インデノ4H−インデノ[1,2−b]チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイドなどが挙げられる。更に、下記構造式(26)、(27)、(28)又は(29)で表される電子輸送物質を好適に使用することができる。
ただし、前記構造式(26)中、R、R及びRは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基を表し、それぞれ同じでも異なっていてもよい。
ただし、前記構造式(27)中、R、Rは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基を表し、それぞれ同じでも異なっていてもよい。
ただし、前記構造式(28)中、R、R及びRは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、置換基を有していてもよいフェニル基を表し、それぞれ同じでも異なっていてもよい。
ただし、前記構造式(29)中、Rは置換基を有してもよいアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基を示し、Rは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又は−O−R(ただし、Rは、置換基を有してもよいアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基を示す)を表す。
以上に示した前記(A)成分の連鎖重合性電荷輸送性化合物における電荷輸送性構造体の具体例の中でも、より好ましい構造体として、構造式(14)、構造式(20)、構造式(21)のものが挙げられる。
また、前記(A)成分の連鎖重合性電荷輸送性化合物における電荷輸送性構造体としては、下記構造式(i)で表される化合物も挙げられる。
ただし、前記構造式(i)中、Ar〜Arは置換基を有していてもいいアルキレン基、置換基を有していてもよい二価のアリーレン基を表し、同一でも異なっていてもよい。R、Rはアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子を表す。X〜Xは酸素原子、硫黄原子、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよい二価のアリーレン基、又はそれらを組み合わせた二価基を表す。Z〜Zは連鎖重合性官能基を表す。n1〜n4は0〜5の整数を表す。なお、少なくとも1つの連鎖重合性官能基を含まなければならない。m1、m2は0〜4の整数を表す。
また更に、前記(A)成分の連鎖重合性電荷輸送性化合物における電荷輸送性構造体としては、下記構造式(ii)で表される化合物が挙げられる。
ただし、前記構造式(ii)中、Ar〜ArとR、Rは、上記構造式(i)と同じ意味を表す。R〜R10は、メチル基又は水素原子を表す。n1〜n4は0〜5の整数を表す。但し、少なくとも1つの連鎖重合性官能基を含まなければならない。m1、m2は0〜4の整数を表す。
更に、前記(A)成分の連鎖重合性電荷輸送性化合物としては、例えば特開2005−227761号公報、特開2004−212959号公報、特開2004−258346号公報、特開2001−175016号公報に記載の電荷輸送性構造を有する連鎖重合性化合物を用いることもできる。
−(B)3官能以上の連鎖重合性化合物−
前記(B)成分の三官能以上の連鎖重合性化合物とは、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾール等の正孔輸送性構造;例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基、ニトロ基を有する電子吸引性芳香族環等の電子輸送構造(又は電子輸送構造を示す基)を有しておらず、かつ連鎖重合性官能基を3個以上有するモノマーを意味する。
前記(B)成分の連鎖重合性化合物における連鎖重合性官能基としては、前記(A)成分について記載したものと同様のものを用いることができる。
前記(B)成分の三官能以上の連鎖重合性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTB)、トリメチロールプロパントリメタクリレートトリメチロールプロパンアルキレン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性(以下、「EO変性」と称することもある)トリアクリレート、トリメチロールプロパプロピレンオキシ変性(以下、「PO変性」と称することもある)トリアクリレート、トリメチロールプロパンカプロラクトン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTB)、グリセロールトリアクリレート、グリセロールエピクロロヒドリン変性(以下、「ECH変性」と称することもある)トリアクリレート、グリセロールEO変性トリアクリレート、グリセロールPO変性トリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHB)、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTB)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、リン酸EO変性トリアクリレート、2,2,5,5−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記(B)成分の化合物を添加することにより、前記硬化物を含有する層の三次元架橋結合密度がより高くなる。このことにより、耐摩耗性が更に優れる感光体を得ることが可能となる。前記(B)成分としては、前記硬化物を含有する層中に緻密な架橋結合を形成するために、該モノマー中の官能基数に対する分子量の割合(分子量/官能基数)は250以下が好ましい。また、この割合が250より大きい場合、保護層は柔らかく耐摩耗性が幾分低下するため、上記例示したモノマー等中、EO、PO、カプロラクトン等の変性基を有するモノマーにおいては、極端に長い変性基を有するものを単独で使用することは好ましくはない。
前記(B)成分の化合物を含有する割合は、使用されるプロセスによって要求される電気特性や耐摩耗性が異なり、一概に規定することはできないが、硬化物全量に対し20〜80質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましい。実質的には、塗工液固形分中の(B)成分の割合に依存する。(B)成分が20質量%未満では(B)成分を添加する効果が少なく、また、80質量%を超えると電荷輸送性化合物の含有量が低下し、電気的特性の劣化が生じることがある。両特性及び効果のバランスを考慮すると30〜70質量%の範囲が最も好ましい。
以上少なくとも(A)成分と(B)成分を架橋反応させて得られアクリル硬化樹脂には、単官能のアクリルモノマーや2官能のアクリルモノマーやレベリング剤や酸化防止剤等の添加剤が添加されていてもよい。
また、架橋反応を促進させるための重合開始剤及びその反応解劣残渣が含有されていてもよい。架橋反応を紫外線照射により行うことは、硬度の高い、耐摩耗性に優れる表面保護層を形成する上で有効である。この場合、光重合開始剤を添加して架橋反応させる。
前記光重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アセトフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、その他の光重合開始剤、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アセトフェノン系光重合開始剤又はケタール系光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1,2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−メチル−2−モルフォリノ(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシムなどが挙げられる。
前記ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどが挙げられる。
前記ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、2−ベンゾイルナフタレン、4−ベンゾイルビフェニル、4−ベンゾイルフェニールエーテル、アクリル化ベンゾフェノン、1,4−ベンゾイルベンゼンなどが挙げられる。
前記チオキサントン系光重合開始剤としては、例えば、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントンなどが挙げられる、
前記その他の光重合開始剤としては、例えば、エチルアントラキノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシエステル、9,10−フェナントレン、アクリジン系化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物などが挙げられる。
なお、光重合促進効果を有する化合物を単独又は上記光重合開始剤と併用して用いることもできる。例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、などが挙げられる。
前記光重合開始剤を添加することにより、前記硬化物を形成する際の連鎖重合反応が膜全体により均一に進行する。このことにより、表面粗度がより小さい感光体を得ることができる。
前記光重合開始剤の含有量は、連鎖重合性を有する化合物の総量に対し、0.5〜40質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。前記含有量が0.5質量%未満であると、硬化物を有する膜の形成が不均一となり、局所的に耐摩耗性が低下することがある。また、40質量%を超えると電気特性の劣化が現れることがある。
−光照射によるアクリル樹脂硬化層の形成方法−
前記アクリル樹脂硬化層は、上記(A)成分と、上記(B)成分、本発明のアミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサン、及び光重合開始剤を含む塗工液を作製し、その塗工液を感光体表面に塗工した後、光照射を行い、重合させることで形成される。
前記塗工液は、必要に応じて溶媒により希釈して塗布される。前記溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系;テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテル等のエーテル系;ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン系;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ系などが挙げられる。これらの溶媒は単独又は2種以上を混合して用いてもよい。溶媒による希釈率は組成物の溶解性、塗工法、目的とする厚みにより変わり、任意である。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行うことができる。塗工液を作製する場合は、(A)、(B)成分のいずれかが液体である場合には、これに他の成分を溶解して塗布することも可能である。
塗工液には、前述の(A)、(B)成分、本発明のアミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサン、及び光重合開始剤以外に、塗工時の粘度調整、保護層の応力緩和、低表面エネルギー化や摩擦係数低減などの機能付与の目的で一官能の連鎖重合性モノマー、二官能の連鎖重合性モノマー、機能性モノマー、又は連鎖重合性オリゴマーを併用することができる。
これらの連鎖重合性モノマー及びオリゴマーとしては、特に制限はなく、公知のものが利用できる。
前記一官能のラジカルモノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソブチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、セチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ステアリルアクリレート、スチレンモノマーなどが挙げられる。
前記二官能の連鎖重合性モノマーとしては、例えば、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートビスフェノールB−EO変性ジアクリレート、ビスフェノールF−EO変性ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられる。
前記機能性モノマーとしては、例えば、オクタフルオロペンチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、2−パーフルオロイソノニルエチルアクリレートなどのフッ素原子を置換したもの;特公平5−60503号公報及び特公平6−45770号公報記載のシロキサン繰り返し単位;20〜70のアクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、メタクリロイルポリジメチルシロキサンエチル、アクリロイルポリジメチルシロキサンプロピル、アクリロイルポリジメチルシロキサンブチル、ジアクリロイルポリジメチルシロキサンジエチル等のポリシロキサン基を有するモノマーなどが挙げられる。
前記連鎖重合性オリゴマーとしては、例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系オリゴマーが挙げられる。
ただし、前記一官能及び二官能の連鎖重合性モノマーや連鎖重合性オリゴマーを多量に含有させると硬化組成体の三次元架橋結合密度が実質的に低下し、特性の低下を招くため、これらのモノマーやオリゴマーの含有量は、前記(B)成分に対し50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
更に、塗工液には必要に応じて各種可塑剤(応力緩和や接着性向上の目的)、レベリング剤、ラジカル反応性を有しない低分子電荷輸送物質などの添加剤が含有できる。これらの添加剤は公知のものが使用可能であり、可塑剤としてはジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂に使用されているものが利用可能で、その使用量は塗工液の総固形分に対し20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。また、レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが利用でき、その使用量は塗工液の総固形分に対し3質量%以下が好ましい。
塗工液を塗布後、場合によっては乾燥工程を入れ、光照射により硬化を行う。光照射としては主に紫外光に発光波長をもつ高圧水銀灯やメタルハライドランプなどのUV照射光源が利用できるが、連鎖重合性含有物や光重合開始剤の吸収波長に合わせ可視光光源の選択も可能である。照射光量は50mW/cm以上、2000mW/cm以下が好ましい。前記照射光量が50mW/cm未満であると、硬化反応に時間を要することがあり、2000mW/cmを超えると、反応の進行が不均一となり、表面保護層表面に局部的な皺が発生したり、多数の未反応残基、反応停止末端が生ずる。また、急激な架橋により内部応力が大きくなり、クラックや膜剥がれの原因となる。また、光照射時に窒素置換をして酸素による重合阻害を防止してもよい。また、光照射は、連続して行ってもよく、間欠的に複数回に分けて照射してもよい。
光照射の類似手段として電子線照射を用いることもできる。しかし、反応速度制御の容易さ、装置の簡便さから光のエネルギーを用いたものが好ましい。電子線照射の場合は、光重合開始剤を使用しなくてもよい。
光照射により硬化させた後、80〜150℃でアニールを行い、電子写真感光体として使用される。アニール時間は、1分間〜60分間程度である。
前記表面保護層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2〜20μmが好ましく、4〜10μmがより好ましい。前記厚みが2μm未満であると、アミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサンの添加量が少なくなり、特性の持続性が低減することがあり、20μmを超えると、表面保護層の硬化時の体積収縮によって下層との剥離が生じやすくなることがある。
−支持体−
前記支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金等の金属;酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物を蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等の板及びそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも支持体として用いることができる。
また、前記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものについても、支持体として用いることができる。
前記導電性粉体としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック;アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀等の金属粉;導電性酸化スズ、ITO等の金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂としては、例えばポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルトルエン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などが挙げられる。
前記導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
更に、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、支持体として良好に用いることができる。
−中間層−
本発明の電子写真感光体においては、電荷輸送層と保護層の間、又は感光層と保護層の間に、保護層への電荷輸送層成分混入を抑える又は両層間の接着性を改善する目的で中間層を設けることが可能である。
前記中間層としては保護層塗工液に対し不溶性又は難溶性であるものが適しており、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。前記中間層の形成法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、一般に用いられる塗工法が採用される。なお、前記中間層の厚みは0.05〜2μmが好ましい。
−下引き層−
本発明の電子写真感光体においては、支持体と感光層との間に下引き層を設けることができる。該下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。該樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、前記下引き層には、モアレ防止、残留電位の低減等を図るため、例えば、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物の微粉末顔料を添加することができる。
前記下引き層には、Alを陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作製法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。
前記下引き層は、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。
前記下引き層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0〜5μmが好ましい。
本発明の電子写真感光体においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、前記感光層、前記表面保護層、前記電荷輸送層、前記電荷発生層、前記下引き層、前記中間層等の各層に酸化防止剤を添加することができる。
前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系化合物、パラフェニレンジアミン類、ハイドロキノン類、有機硫黄化合物類、有機燐化合物類、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記フェノール系化合物としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコ−ルエステル、トコフェロール類、などが挙げられる。
前記パラフェニレンジアミン類としては、例えば、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミン、などが挙げられる。
前記ハイドロキノン類としては、例えば、2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノン、などが挙げられる。
前記有機硫黄化合物類としては、例えば、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネート、などが挙げられる。
前記有機燐化合物類としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィン、などが挙げられる。
なお、これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品を容易に入手できる。
前記酸化防止剤の添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、添加する層の総質量に対し0.01〜10質量%が好ましい。
(画像形成方法及び画像形成装置)
本発明の画像形成装置は、電子写真感光体と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段と、クリーニング手段を少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
本発明の画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程と、クリーニング工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、除電工程、リサイクル工程、制御工程等を含む。
本発明の画像形成方法は、本発明の画像形成装置により好適に実施することができ、前記静電潜像形成工程は前記静電潜像形成手段により行うことができ、前記現像工程は前記現像手段により行うことができ、前記転写工程は前記転写手段により行うことができ、前記定着工程は前記定着手段により行うことができ、前記クリーニング工程は前記クリーニング手段により行うことができ、前記その他の工程は前記その他の手段により行うことができる。
−静電潜像形成工程及び静電潜像形成手段−
前記静電潜像形成工程は、電子写真感光体上に静電潜像を形成する工程である。
前記電子写真感光体としては、本発明の前記電子写真感光体を用いる。
前記静電潜像の形成は、例えば、前記電子写真感光体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、前記静電潜像形成手段により行うことができる。前記静電潜像形成手段は、例えば、前記電子写真感光体の表面を一様に帯電させる帯電器と、前記電子写真感光体の表面を像様に露光する露光器とを少なくとも備える。
前記帯電は、例えば、前記帯電器を用いて前記電子写真感光体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器、などが挙げられる。
前記露光は、例えば、前記露光器を用いて前記電子写真感光体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光器としては、前記帯電器により帯電された前記電子写真感光体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッター光学系、などの各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記電子写真感光体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
また、像露光は、画像形成装置を複写機やプリンターとして使用する場合には、原稿からの反射光や透過光を感光体に照射すること、或いはセンサで原稿を読み取り信号化し、この信号に従ってレーザービームの走査、LEDアレイの駆動、又は液晶シャッターアレイの駆動を行い感光体に光を照射することなどにより行われる。
−現像工程及び現像手段−
前記現像工程は、前記静電潜像を、トナー乃至現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程である。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像をトナー乃至現像剤を用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、例えば、トナー乃至現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、トナー乃至現像剤を収容し、前記静電潜像にトナー乃至現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられる。
前記トナーとしては、解像度が高く精細な画像出力のためには、小粒径の球形トナーを使用するのが好ましい。即ち、トナーの平均円形度が0.92〜1であり、体積平均粒径(Dv)が4〜8μmであり、かつ体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40であることが好ましい。このようなトナーと電子写真感光体との組み合わせにより、高精細な画像出力が可能で滑材塗布機構の無い小型であり、かつトナーの再利用ができる画像形成装置の提供が可能になる。
一般に、トナーの粒子径は小さければ小さいほど、高解像で高画質の画像を得るために有利になるが、転写性やクリーニング性については逆に不利となる。体積平均粒径が前記範囲より小さい場合は、2成分現像剤では現像装置における長期の撹拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させたり、一成分現像剤として用いた場合は、現像ローラへのトナーのフィルミングやトナーを薄層化するためのブレード等の部材へのトナー融着を発生させやすくなる。逆に、トナーの粒子径が前記範囲よりも大きい場合は、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなると共に、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなる場合が多い。また、比(Dv/Dn)が1.4よりも大きい場合も同様である。また、比(Dv/Dn)が1.0に近づくと、トナーの挙動の均一化、安定化、帯電量の均一化の面から好ましい。
また、平均円形度が0.92未満であると、球形からあまりにも離れた不定形のトナーでは、満足した転写性やチリのない高画質画像が得られない。なお、形状の計測方法としては粒子を含む懸濁液を平板上の撮像部検知帯に通過させ、CCDカメラで光学的に粒子画像を検知し、解析する光学的検知帯の手法が使用され、この手法で得られる投影面積の等しい相当円の周囲長を実在粒子の周囲長で除した値である平均円形度が評価値として適当である。一方、平均円形度が1に近いほど転写性に優れ、チリのない高画質画像が得られるが、通常は感光体上のクリーニング不良が発生し、感光体上への滑材塗布が必要になるが、本願の電子写真感光体と組み合わせることで滑材塗布無しでのクリーニングが低温低湿環境下でも可能になり、上記トナーの粒径と形状から得られる高転写性、高画質画像を保持すると共にトナーリユースに対応でき、滑材塗布装置の無い小型の画像形成装置を提供できるようになる。
これら数値範囲の境界に明瞭で特性の大きな変曲点が存在するわけではないが、高画質と、滑材の塗布無しでのブレードクリーニング性との両立を図るためには有効な範囲である。
また、前記トナーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、エステル伸張重合法により製造されたトナー母体となる樹脂微粒子のガラス転移温度(Tg)が50〜90℃のものが用いられる。ここで、前記エステル伸張重合法では、トナーは、活性水素基含有化合物と、該活性水素基含有化合物と反応可能な変性ポリエステル樹脂、着色剤、及び離型剤とを含むトナー材料を有機溶剤に溶解乃至分散させてトナー溶液を調製した後、該トナー溶液を水系媒体中に乳化乃至分散させて分散液を調製し、該水系媒体中で、前記活性水素基含有化合物と、前記変性ポリエステル樹脂とを反応させて、有機溶剤を除去して得られる。
前記変性ポリエステル系樹脂としては、例えばポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基等と多価イソシアネート化合物(PIC)とを反応させた、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーなどが挙げられる。そして、このポリエステルプレポリマーとアミン類等との反応により分子鎖が架橋及び/又は伸長されて得られる変性ポリエステル樹脂は、低温定着性を維持しながらホットオフセット性を向上させることができる。
前記多価イソシアネート化合物(PIC)としては、例えば脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート等);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等);イソシアネート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタム等でブロックしたもの、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、5/1〜1/1が好ましく、4/1〜1.2/1がより好ましく、2.5/1〜1.5/1が更に好ましい。
前記イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、1個以上が好ましく、平均1.5〜3個がより好ましく、平均1.8〜2.5個が更に好ましい。
前記ポリエステルプレポリマーと反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
前記2価アミン化合物(B1)としては、例えば芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン等);脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等)などが挙げられる。
前記3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。
前記アミノアルコール(B3)としては、例えばエタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。
前記アミノメルカプタン(B4)としては、例えばアミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
前記アミノ酸(B5)としては、例えばアミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。
前記B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、例えば前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)の中でも、B1及びB1と少量のB2の混合物が特に好ましい。
前記アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、1/2〜2/1が好ましく、1.5/1〜1/1.5がより好ましく、1.2/1〜1/1.2が更に好ましい。
上記のようエステル伸張重合法によるトナーの製造方法によれば、小粒径かつ球形状トナーを環境負荷少なく、低コストで作製することができる。
このようにエステル伸張法による重合トナーと前記電子写真感光体との組み合わせにより、高精細な画像出力が可能で滑材塗布機構の無い小型であり、トナーリユースができ、定着温度が低く、定着加熱のために使用される電力の小さい省電力型の画像形成装置を提供できる。
これは、エステル伸張重合法により得られるガラス転移の温度の低いトナーと通常はブレードクリーニングしにくい該トナーを本願の電子写真感光体と組み合わせることにより達成されるものである。
前記現像器は、通常乾式現像方式が用いられる。また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、トナー乃至現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
前記現像器内では、例えば、トナーとキャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記電子写真感光体近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成するトナーの一部は、電気的な吸引力によって該電子写真感光体の表面に移動する。その結果、前記静電潜像がトナーにより現像されて該電子写真感光体の表面にトナーによる可視像が形成される。
前記現像器に収容させる現像剤は、トナーを含む現像剤であるが、該現像剤としては一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。該トナーとしては、普通に用いられるものを使用することができる。
−転写工程及び転写手段−
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、前記トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記電子写真感光体を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記電子写真感光体上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は、1つであってもよいし、2以上であってもよい。
前記転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、などが挙げられる。
なお、記録媒体としては、代表的には普通紙であるが、現像後の未定着像を転写可能なものなら、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、OHP用のPETベース等も用いることができる。
−定着工程及び定着手段−
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着装置を用いて定着させる工程であり、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組合せ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組合せ、などが挙げられる。
前記加熱加圧手段における加熱は、通常、80〜200℃が好ましい。
なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着工程及び定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
−クリーニング工程及びクリーニング手段−
前記クリーニング工程は、前記電子写真感光体上をクリーニング手段を用いてクリーニングするクリーニング工程である。
前記クリーニング手段としては、例えば、クリーニングブレード、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ、等が挙げられる。
前記電子写真感光体と小粒径の球形トナーの組み合わせにおいてその付着力低減化によりいずれのクリーニング方式においてもクリーニング可能であるが、クリーニング装置の小型化、簡易化、耐久性及び高速印刷対応性を考慮するとクリーニングブレードを感光体に直接当接させる方式がもっとも好ましい。このクリーニングブレード方式と前記電子写真感光体と前記小粒径球形トナーの組み合わせにより、高精細な画像出力が可能で滑材塗布機構の無い小型であり、トナーリユースができ、定着温度が低く、定着加熱のために使用される電力の小さい省電力型の高速印刷対応の画像形成装置を提供できる。
上記クリーニング手段として、クリーニングブレードとその他のクリーニング手段の併用としてもよい。
また、クリーニングブレードの当接圧や当接角度及びクリーニングブレードの素材や形状は、従来公知の条件、材料、形状が適宜使用できる。一般的に当接圧を上げた方がクリーニング性は良くなるが、感光体やブレードの摩耗が大きくなる傾向にある。従って、画像形成装置の仕様に合わせて適宜調節される。
より好ましいクリーニングブレードとしては、従来公知の弾性ゴムブレードが使用される。弾性ゴムブレードでは15〜30℃の温度範囲での反撥弾性率が5〜15%が好ましく、30〜45℃の温度範囲での反撥弾性率が10〜20%が好ましく、JIS A硬度(Hs)が77度以上、85度以下の弾性ブレードを使用するのが好ましい。
なお、これらのクリーニングブレードを2つ使用してクリーニングすることもできる。
前記除電工程は、前記電子写真感光体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記電子写真感光体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記トナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。
前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
前記制御手段は、前記各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
ここで、本発明の画像形成装置の一の態様について、図5を参照しながら説明する。
図5は、本発明の画像形成装置を説明するための概略図であり、後に示すような変形例も本発明の範疇に属するものである。
電子写真感光体201としては、本発明の電子写真感光体が用いられ、この感光体201はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。なお、図5中204は、イレーサである。
感光体201を平均的に帯電させる帯電手段としては、帯電チャージャ203が用いられる。この帯電チャージャとしては、コロトロンデバイス、スコロトロンデバイス、固体放電素子、針電極デバイス、ローラ帯電デバイス、導電性ブラシデバイス等が用いられ、公知の方式が使用可能である。
本発明では、接触帯電方式又は非接触近接配置帯電方式のような帯電手段からの近接放電により感光体組成物が分解する様な帯電手段を用いた場合に特に有効である。ここで、接触帯電方式とは、感光体に帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電ブレード等が直接接触する帯電方式である。また、近接帯電方式とは、例えば、帯電ローラが感光体表面と帯電手段との間に200μm以下の空隙を有するように非接触状態で近接配置したタイプのものである。この空隙は、大きすぎた場合には帯電が不安定になりやすく、また、小さすぎた場合には、感光体に残留したトナーが存在する場合に、帯電部材表面が汚染されてしまう可能性がある。したがって、空隙は10〜200μmが好ましく、10〜100μmがより好ましい。
次に、均一に帯電された感光体201上に静電潜像を形成するために画像露光部205が用いられる。この光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルター等の各種フィルターを用いることもできる。
次に、感光体201上に形成された静電潜像を可視化するために現像ユニット206が用いられる。現像方式としては、乾式トナーを用いた一成分現像法、二成分現像法、湿式トナーを用いた湿式現像法がある。感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行うと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また、正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。
次に、感光体201上で可視化されたトナー像を記録媒体209上に転写するために転写チャージャ210が用いられる。また、転写をより良好に行うために転写前チャージャ207を用いてもよい。これらの転写手段としては、転写チャージャ、バイアスローラを用いる静電転写方式、粘着転写法、圧力転写法等の機械転写方式、磁気転写方式が利用可能である。静電転写方式としては、前記帯電手段が利用可能である。
次に、記録媒体209を感光体201より分離する手段として分離チャージャ211、分離爪212が用いられる。その他分離手段としては、静電吸着誘導分離、側端ベルト分離、先端グリップ搬送、曲率分離等が用いられる。分離チャージャ211としては、前記帯電手段が利用可能である。
次に、転写後感光体201上に残されたトナーをクリーニングするためにファーブラシ214、クリーニングブレード215が用いられる。また、クリーニングをより効率的に行うためにクリーニング前チャージャ213を用いてもよい。その他クリーニング手段としては、ウェブ方式、マグネットブラシ方式等があるが、それぞれ単独又は複数の方式を一緒に用いてもよい。次に、必要に応じて感光体上の潜像を取り除く目的で除電手段が用いられる。除電手段としては除電ランプ202、除電チャージャが用いられ、それぞれ前記露光光源、帯電手段が利用できる。その他、感光体に近接していない原稿読み取り、給紙、定着、排紙等のプロセスは公知のものが使用できる。
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する一の態様について、図6を参照しながら説明する。図6に示す画像形成装置100は、前記電子写真感光体としての感光体ドラム10(以下、「感光体10」と称することがある)と、前記帯電手段としての帯電ローラ20と、前記露光手段としての露光装置30と、前記現像手段としての現像装置40と、中間転写体50と、クリーニングブレードを有する前記クリーニング手段としてのクリーニング装置60と、前記除電手段としての除電ランプ70とを備える。
中間転写体50は、無端ベルトであり、その内側に配置されこれを張架する3つのローラ51によって、矢印方向に移動可能に設計されている。3つのローラ51の一部は、中間転写体50へ所定の転写バイアス(一次転写バイアス)を印加可能な転写バイアスローラとしても機能する。中間転写体50には、その近傍にクリーニングブレードを有するクリーニング装置90が配置されており、また、最終転写材としての転写紙95に現像像(トナー像)を転写(二次転写)するための転写バイアスを印加可能な前記転写手段としての転写ローラ80が対向して配置されている。中間転写体50の周囲には、中間転写体50上のトナー像に電荷を付与するためのコロナ帯電器58が、該中間転写体50の回転方向において、感光体10と中間転写体50との接触部と、中間転写体50と転写紙95との接触部との間に配置されている。
現像装置40は、前記現像剤担持体としての現像ベルト41と、現像ベルト41の周囲に併設したブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cとから構成されている。なお、ブラック現像ユニット45Kは、現像剤収容部42Kと現像剤供給ローラ43Kと現像ローラ44Kとを備えており、イエロー現像ユニット45Yは、現像剤収容部42Yと現像剤供給ローラ43Yと現像ローラ44Yとを備えており、マゼンタ現像ユニット45Mは、現像剤収容部42Mと現像剤供給ローラ43Mと現像ローラ44Mとを備えており、シアン現像ユニット45Cは、現像剤収容部42Cと現像剤供給ローラ43Cと現像ローラ44Cとを備えている。また、現像ベルト41は、無端ベルトであり、複数のベルトローラに回転可能に張架され、一部が感光体10と接触している。
図6に示す画像形成装置100において、例えば、帯電ローラ20が感光体ドラム10を一様に帯電させる。露光装置30が感光ドラム10上に像様に露光を行い、静電潜像を形成する。感光ドラム10上に形成された静電潜像を、現像装置40からトナーを供給して現像して可視像(トナー像)を形成する。該可視像(トナー像)が、ローラ51から印加された電圧により中間転写体50上に転写(一次転写)され、更に転写紙95上に転写(二次転写)される。その結果、転写紙95上には転写像が形成される。なお、感光体10上の残存トナーは、クリーニング装置60により除去され、感光体10における帯電は除電ランプ70により一旦、除去される。
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の態様について、図7を参照しながら説明する。図7に示す画像形成装置100は、図6に示す画像形成装置100において、現像ベルト41を備えてなく、感光体10の周囲に、ブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cが直接対向して配置されていること以外は、図6に示す画像形成装置100と同様の構成を有し、同様の作用効果を示す。なお、図7においては、図6におけるものと同じものは同符号で示した。
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の態様について、図8を参照しながら説明する。図8に示すタンデム画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置である。前記タンデム画像形成装置は、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備えている。
複写装置本体150には、無端ベルト状の中間転写体50が中央部に設けられている。そして、中間転写体50は、支持ローラ14、15及び16に張架され、図8中、時計回りに回転可能とされている。支持ローラ15の近傍には、中間転写体50上の残留トナーを除去するための中間転写体クリーニング装置17が配置されている。支持ローラ14と支持ローラ15とにより張架された中間転写体50には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成手段18が対向して並置されたタンデム型現像器120が配置されている。タンデム型現像器120の近傍には、露光装置21が配置されている。中間転写体50における、タンデム型現像器120が配置された側とは反対側には、二次転写装置22が配置されている。二次転写装置22においては、無端ベルトである二次転写ベルト24が一対のローラ23に張架されており、二次転写ベルト24上を搬送される転写紙と中間転写体50とは互いに接触可能である。二次転写装置22の近傍には定着装置25が配置されている。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26と、これに押圧されて配置された加圧ローラ27とを備えている。
なお、前記タンデム画像形成装置においては、二次転写装置22及び定着装置25の近傍に、転写紙の両面に画像形成を行うために該転写紙を反転させるためのシート反転装置28が配置されている。
次に、前記タンデム画像形成装置を用いたフルカラー画像の形成(カラーコピー)について説明する。即ち、先ず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に原稿をセットするか、あるいは原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。
スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした時は直ちに、スキャナ300が駆動し、第1走行体33及び第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33により、光源からの光が照射されると共に原稿面からの反射光を第2走行体34におけるミラーで反射し、結像レンズ35を通して読取りセンサ36で受光されてカラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報とされる。
そして、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各画像情報は、前記タンデム画像形成装置における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)にそれぞれ伝達され、各画像形成手段において、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各トナー画像が形成される。即ち、前記タンデム画像形成装置における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)は、図9に示すように、それぞれ、感光体10(ブラック用感光体10K、イエロー用感光体10Y、マゼンタ用感光体10M及びシアン用感光体10C)と、該感光体を一様に帯電させる帯電器60と、各カラー画像情報に基づいて各カラー画像対応画像様に前記感光体を露光(図9中、L)し、該感光体上に各カラー画像に対応する静電潜像を形成する露光器と、該静電潜像を各カラートナー(ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナー)を用いて現像して各カラートナーによるトナー像を形成する現像器61と、該トナー像を中間転写体50上に転写させるための転写帯電器62と、感光体クリーニング装置63と、除電器64とを備えており、それぞれのカラーの画像情報に基づいて各単色の画像(ブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像)を形成可能である。こうして形成された該ブラック画像、該イエロー画像、該マゼンタ画像及び該シアン画像は、支持ローラ14、15及び16により回転移動される中間転写体50上にそれぞれ、ブラック用感光体10K上に形成されたブラック画像、イエロー用感光体10Y上に形成されたイエロー画像、マゼンタ用感光体10M上に形成されたマゼンタ画像及びシアン用感光体10C上に形成されたシアン画像が、順次転写(一次転写)される。そして、中間転写体50上に前記ブラック画像、前記イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像が重ね合わされて合成カラー画像(カラー転写像)が形成される。
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の1つからシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して給紙路146に送出し、搬送ローラ147で搬送して複写機本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。あるいは、給紙ローラ142を回転して手差しトレイ54上のシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。なお、レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、シートの紙粉除去のためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。そして、中間転写体50上に合成された合成カラー画像(カラー転写像)にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させ、中間転写体50と二次転写装置22との間にシート(記録紙)を送出させ、二次転写装置22により該合成カラー画像(カラー転写像)を該シート(記録紙)上に転写(二次転写)することにより、該シート(記録紙)上にカラー画像が転写され形成される。なお、画像転写後の中間転写体50上の残留トナーは、中間転写体クリーニング装置17によりクリーニングされる。
カラー画像が転写され形成された前記シート(記録紙)は、二次転写装置22により搬送されて、定着装置25へと送出され、定着装置25において、熱と圧力とにより前記合成カラー画像(カラー転写像)が該シート(記録紙)上に定着される。その後、該シート(記録紙)は、切換爪55で切り換えて排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされ、あるいは、切換爪55で切り換えてシート反転装置28により反転されて再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録した後、排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。
(プロセスカートリッジ)
本発明のプロセスカートリッジは、本発明の前記電子写真感光体と、該電子写真感光体上に形成した静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段とを少なくとも有し、更に必要に応じて、帯電手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び除電手段などのその他の手段を有してなる。
前記現像手段としては、トナー乃至現像剤を収容する現像剤収容器と、該現像剤収容器内に収容されたトナー乃至現像剤を担持しかつ搬送する現像剤担持体とを、少なくとも有してなり、更に、担持させるトナー層厚を規制するための層厚規制部材等を有していてもよい。
本発明のプロセスカートリッジは、各種画像形成装置に着脱可能に備えることができ、上述した本発明の画像形成装置に着脱可能に備えることが好ましい。
ここで、前記プロセスカートリッジは、例えば、図10に示すように、感光体316を内蔵し、帯電手段317、露光手段319、現像手段320、クリーニング手段318、転写手段(不図示)、除電手段(不図示)を含み、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
次に、図10に示すプロセスカートリッジによる画像形成プロセスについて示すと、感光体316は、矢印方向に回転しながら、帯電手段317による帯電、露光手段319による露光により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像手段320でトナー現像され、該トナー現像は転写手段(不図示)により、記録媒体に転写され、プリントアウトされる。次いで、像転写後の感光体表面は、クリーニング手段318によりクリーニングされ、更に除電手段(不図示)により除電されて、再び、以上の操作を繰り返すものである。
本発明の画像形成装置としては、前記電子写真感光体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このユニットを装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。また、帯電器、像露光器、現像器、転写分離器、及びクリーニング器から選択される少なくとも1つを電子写真感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジを形成し、装置本体に着脱可能な単一ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱可能な構成としてもよい。
本発明の画像形成方法、画像形成装置、及びプロセスカートリッジは、電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンター及びレーザー製版等の電子写真応用分野にも広く用いることができるものである。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(合成例1)
<アミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサン(P−1)の合成>
−ポリオルガノシロキサンの合成−
オクタメチルシクロテトラシロキサン1,500質量部、ビニルジメトキシメチルシラン8.8質量部、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン16.6質量部、及びイオン交換水1,500質量部を混合した。これに、ラウリル硫酸ナトリウム15質量部、及びドデシルベンゼンスルホン酸10質量部を添加してから、ホモミキサーで攪拌して乳化した後、圧力3,000barのホモジナイザーに2回通して安定なエマルジョンを作製した。
次に、得られたエマルジョンをフラスコ内に仕込み70℃で12時間加熱し、25℃まで冷却して24時間熟成した。その後、炭酸ナトリウムを用いてエマルジョンのpHを7に調整し、4時間窒素ガスを吹き込んでから水蒸気蒸留して揮発性のシロキサンを留去した。次いで、イオン交換水を加えて不揮発分を45質量%に調整し、ポリシロキサンのエマルジョンを合成した。
−共重合エマルジョンの合成−
攪拌機、コンデンサー、温度計、及び窒素ガス導入口を備えた2Lの三ッ口フラスコ内に、上記で得られたポリシロキサンのエマルジョンを778質量部(シロキサン分350質量部)、及びイオン交換水322質量部を仕込み、窒素ガス気流下、フラスコ内を30℃に調整した後、t−ブチルヒドロパーオキサイド1.0質量部、L−アスコルビン酸0.5質量部、及び硫酸第一鉄7水和物0.002質量部を加えた。
次に、フラスコ内温度を30℃に保ちながら、メチルメタクリレート112.4質量部、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート7.5質量部、及びアクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド30質量部を5時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間攪拌を続けて反応を完結させた。得られた共重合エマルジョンの固形分濃度は39.6質量%であった。
次いで、得られたエマルジョン1,000質量部を攪拌機付きフラスコ内に仕込み、80℃に加熱し、これに、硫酸ナトリウム70質量部をイオン交換水280質量部に溶解した溶液を加え、アミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサンを析出させて、濾過し、水洗し、メタノール洗浄を繰り返し、80℃で乾燥して、アミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサン(P−1)を得た。
(合成例2〜11)
−アミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサン(P−2〜P−11)の合成−
合成例1において、ポリオルガノシロキサンの組成と、グラフト共重合用モノマーの組成を、下記表1に示すように変えた以外は、合成例1と同様にして、アミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサン(P−2〜P−11)を合成した。
*質量比率(C:D):メチルメタクリレート(C)と、該メチルメタクリレートと共重合可能な単量体(D)との質量比率
(実施例1)
−電子写真感光体の作製−
アルミニウム(Al)製支持体(外径30mm)に、下記組成の下引き層塗工液を浸漬法で塗工し、乾燥後の厚みが3.5μmの下引き層を形成した。
−下引き層塗工液−
・アルキッド樹脂(ベッコゾール1307−60−EL、大日本インキ化学工業株式会社製)・・・6質量部
・メラミン樹脂(スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業株式会社製)・・・4質量部
・酸化チタン(CR−EL、石原産業株式会社製)・・・40質量部
・メチルエチルケトン(MEK)・・・50質量部
次に、下引き層上に、下記組成の電荷発生層塗工液を浸漬法で塗工し、加熱し、乾燥させて、乾燥後の厚みが0.2μmの電荷発生層を形成した。
−電荷発生層塗工液−
・下記構造式で表されるビスアゾ顔料・・・2.5質量部
・ポリビニルブチラール(XYHL、UCC社製)・・・0.5質量部
・シクロヘキサノン・・・200質量部
・メチルエチルケトン・・・80質量部
次に、電荷発生層上に、下記組成の電荷輸送層塗工液を浸積法で塗工し、加熱し、乾燥させて、乾燥後の厚みが25μmの電荷輸送層を形成した。
−電荷輸送層塗工液−
・ビスフェノールZ型ポリカーボネート・・・10質量部
・下記構造式で表される低分子電荷輸送物質・・・10質量部
・テトラヒドロフラン・・・79質量部
・アミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサン(合成例1のP−1)・・・1質量部
・1質量%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液(KF50−100CS、信越化学工業株式会社製)・・・0.2質量部
以上のようにしてアミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサンを最表面の電荷輸送層中に分散させた電子写真感光体を作製した。この電荷輸送層中においてアミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサンは粒子状に分散されており、断面の透過電子顕微鏡(TEM)観察より、平均粒径は200nmであった。
(実施例2)
−電子写真感光体の作製−
実施例1において、電荷輸送層塗工液中のアミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサン(合成例1のP−1)の代わりに、アミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサン(合成例10のP−10)を用いた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(実施例3)
−電子写真感光体の作製−
実施例1と同様にして、アルミニウム(Al)製支持体(外径30mm)上に、下引き層、及び電荷発生層を塗設した。
次に、電荷発生層上に、下記組成の電荷輸送層塗工液を浸積法で塗工し、加熱し、乾燥させて、乾燥後の厚み22μmの電荷輸送層を形成した。
−電荷輸送層塗工液−
・ビスフェノールZ型ポリカーボネート・・・10質量部
・下記構造式で表される低分子電荷輸送物質・・・10質量部
・テトラヒドロフラン・・・80質量部
・1質量%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液(KF50−100CS、信越化学工業株式会社製)・・・0.2質量部
次に、得られた電荷輸送層上に、下記組成の表面保護層塗工液をスプレー塗工し、メタルハライドランプ、照射強度:500mW/cm、照射時間:200秒間の条件で光照射を行い、130℃で30分間乾燥して、厚み3.0μmのアクリル硬化性表面保護層を設けた。
−表面保護層塗工液−
・トリメチロールプロパントリアクリレート(KAYARAD TMPTA、日本化薬株式会社製、分子量=382、官能基数=3官能、分子量/官能基数=99)・・・10質量部
・アクリル酸4−{2−[4−(ジ−パラ−トリルアミノ)フェニル]−1−フェニルビニル}フェニルエステル・・・9質量部
・光重合開始剤としてのフェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキサイド(イルガキュア819、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)・・・2質量部
・アミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサン(合成例1のP−1)・・・1質量部
・テトラヒドロフラン・・・100質量部
以上により、実施例3の電子写真感光体を作製した。アクリル硬化性表面保護層中のアミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサンは粒子状に分散されており、断面の透過電子顕微鏡(TEM)観察より、平均粒径は70nmであった。
(実施例4)
−電子写真感光体の作製−
実施例3において、下記組成の表面保護層塗工液を用いた以外は、実施例3と同様にして、電子写真感光体を作製した。
−表面保護層塗工液−
・トリメチロールプロパントリアクリレート(KAYARAD TMPTA、日本化薬株式会社製、分子量=382、官能基数=3官能、分子量/官能基数=99)・・・10質量部
・アクリル酸4’−(ジ−パラ−トリルアミノ)ビフェニル−4−イルエステル・・・10質量部
・光重合開始剤としての1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)・・・2質量部
・アミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサン(合成例1のP−1)・・・1質量部
・テトラヒドロフラン・・・100質量部
以上により、実施例4の電子写真感光体を作製した。アクリル硬化性表面保護層中のアミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサンは粒子状に分散されており、断面の透過電子顕微鏡(TEM)観察より、平均粒径は150nmであった。
(実施例5〜13)
−電子写真感光体の作製−
実施例4において、表面保護層塗工液中のアミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサン(合成例1のP−1)を、下記表2に示すように合成例2〜10で得られたP−2〜P−10に変えた以外は、実施例4と同様にして、実施例5〜13の各電子写真感光体を作製した。
アクリル硬化性表面保護層中のアミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサンは粒子状に分散されており、断面の透過電子顕微鏡(TEM)観察より、平均粒径を求めた。結果を表2に示す。
(比較例1)
−電子写真感光体の作製−
実施例1において、電荷輸送層塗工液中にアミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサン(合成例1のP−1)を添加しない以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(比較例2)
−電子写真感光体の作製−
実施例2において、電荷輸送層塗工液中のアミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサン(合成例10のP−10)を添加しない以外は、実施例2と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(比較例3)
−電子写真感光体の作製−
実施例3において、表面保護層塗工液中のアミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサン(合成例1のP−1)を添加しない以外は、実施例3と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(比較例4)
−電子写真感光体の作製−
実施例4において、表面保護層塗工液中のアミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサン(合成例1のP−1)を添加しない以外は、実施例4と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(比較例5)
−電子写真感光体の作製−
実施例1において、電荷輸送層塗工液中のアミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサン(合成例1のP−1)の代わりに、合成例1のポリオルガノシロキサンの合成において3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン8.8質量部を添加しないで合成したアミノ基を含まないアクリル変性ポリオルガノシロキサンを用いた以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(比較例6)
−電子写真感光体の作製−
実施例2において、電荷輸送層塗工液中のアミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサン(合成例10のP−10)の代わりに、合成例10のポリオルガノシロキサンの合成において3−アミノプロピルジメトキシエチルシラン33.2質量部を添加しないで合成したアミノ基を含まないアクリル変性ポリオルガノシロキサンを用いた以外は、実施例2と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(比較例7)
−電子写真感光体の作製−
実施例3において、表面保護層塗工液中のアミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサン(合成例1のP−1)の代わりに、合成例1でポリオルガノシロキサンの合成に3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン8.8質量部を添加しないで合成したアミノ基を含まないアクリル変性ポリオルガノシロキサンを用いた以外は、実施例3と同様にして、電子写真感光体を作製した。
(比較例8)
−電子写真感光体の作製−
実施例4において、表面保護層塗工液中のアミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサン(合成例1のP−1)の代わりに、合成例1でポリオルガノシロキサンの合成に3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン8.8質量部を添加しないで合成したアミノ基を含まないアクリル変性ポリオルガノシロキサンを用いた以外は、実施例4と同様にして、電子写真感光体を作製した。
<評価>
得られた各電子写真感光体について、下記のトナーを現像装置に充填し、初期濃度が0.2になるように現像装置によりトナーを電子写真感光体表面に均一に付着させた。その後、ポリウレタン架橋により成形されたウレタンゴム製ブレードを当接角78度、当接圧0.25N/cmで押し当てながら感光体を79.5回転/分のスピードで回転させて、1分間後に感光体上に残ったトナーをスコッチテープ(住友スリーエム株式会社製)で白紙に移し、そのときの濃度をマクベス反射濃度計RD514型で測定した。
この濃度測定を常温常湿環境下(25℃、50RH%)、及び低温低湿環境下(10℃、15RH%)で実施した。結果を表3に示す。
−トナー−
特開2003−202701号公報の実施例1に記載の方法(エステル伸張重合法)により製造したトナーを用いた。このトナーは、体積平均粒径(Dv)=6.03μm、個数平均粒径(Dn)=5.52μm、Dv/Dn=1.09、平均円形度=0.951であった。
表3の結果から、実施例1〜13では、常温常湿環境下、及び低温低湿環境下でも良好なクリーニング性を示すことが認められた。
これに対し、比較例3〜8のように主鎖にアミノ基を有さない従来のアクリル変性ポリオルガノシロキサン含有有機感光体(OPC)の場合は、常温常湿下では良好な特性を示すが、低温低湿下では全くクリーニングできなくなってしまう。また、比較例1〜2のようにアクリル変性ポリオルガノシロキサンを全く含有しない場合は、常温常湿下でもクリーニングできないことが認められた。
(実施例14)
<単層型感光体の作製>
アルミニウム(Al)製支持体(外径30mm)に、下記組成の感光層塗工液を浸漬法で塗工し、乾燥後の厚みが25μmの感光層を形成した。
−感光層塗工液−
・無金属フタロシアニン(Fastogen Blue8120B、大日本インキ化学工業株式会社製)・・・2質量部
・下記構造式で表される低分子電荷輸送物質・・・24質量部
・ジフェノキノン化合物(2,6−ジメチル−2’,6’−ジ−tert−ブチル−ジフェノキノン)・・・20質量部
・アミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサン(合成例11のP−11)・・・8.7質量部
・ビスフェノールZ型ポリカーボネート・・・41質量部
・テトラヒドロフラン・・・306質量部
・シクロヘキサノン・・・76質量部
・1質量%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液(KF50−100CS、信越化学工業株式会社製)・・・0.2質量部
以上のようにしてアミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサンを最表面の感光層中に分散させた電子写真感光体を作製した。この感光層中においてアミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサンは粒子状に分散されており、断面の透過電子顕微鏡(TEM)観察より、平均粒径は180nmであった。
得られた感光体について、上記と同様にしてクリーニング性を評価したところ、常温常湿環境下(25℃、50RH%)で0.01の濃度、低温低湿環境下(10℃、15RH%)で0.02の濃度を示し、両環境下で優れたクリーニング性を示した。
(実施例15〜27及び比較例9〜17)
−画像形成及び評価−
カラーレーザープリンター(株式会社リコー製、IPSiO CX8800)を用い、下記の条件で画像形成を行った。次に、以下のようにして、性能評価を行った。結果を表4に示す。
〔画像形成条件〕
・帯電装置:近接非接触帯電ローラ方式
・露光装置:655nmレーザービーム走査方式
・現像装置:エステル伸張重合法により作製したトナーを使用した二成分現像方式、トナーの平均円形度=0.98、トナーの体積平均粒径(Dv)=6.1μm、Dv/Dn=1.12
・転写装置:直接転写方式
・クリーニング装置:ブレードクリーニング方式
・印刷速度:カラー毎分28枚、モノクロ毎分32枚
・滑材塗布機構を外し、実施例1〜13及び比較例1〜8で得られた各電子写真感光体を同プリンターの各ステーションのプロセスカートリッジにセットした。
・常温常湿環境下(25℃、50RH%)と、低温低湿環境下(10℃、15RH%)とでテストチャートの画像出力を行った。
<クリーニング性>
○:クリーニング可能で判別可能な画像出力ができた。
×:クリーニングできずに汚れた画像出力になった。
また、クリーニング性が○のものについては、以下のようにして、1,200dpiでの1ドットの再現性と、1万枚印刷後の感光体厚み変化量を常温常湿環境下(25℃、50RH%)で測定した。
<1ドットの再現性>
1ドットの再現性は、100個のドットを観察し、95個以上が明瞭に印刷されている場合を◎、90個以上の場合を○、90個未満の場合を×とした。
<感光体の厚み変化量>
感光体の厚みは、渦電流式接触型膜厚計を使用し、画像出力前と画像出力後で同じ個所の10点平均厚みを測定し、その差を感光体厚み変化量とした。なお、厚み変化が大きいということは感光体の削れ量が大きいことを表し、耐摩耗性が弱いことを意味する。
表4の結果から、実施例15〜27の画像形成装置は、広い環境条件範囲で高解像度な画像出力が滑材塗布無しで可能であり、特にアクリル硬化樹脂を表面保護層に使用した実施例3〜13の電子写真感光体を使用した場合は、画像出力による摩耗量が少なく、長期に使用でき、それを用いる画像形成装置は感光体交換の少ないメンテナンス容易な画像形成装置の提供が可能となる。
また、カラー毎分28枚、モノクロ毎分33枚という印刷速度の速い画像形成装置での良好な画像出力が維持されていることから、高速印刷性に優れることがわかる。
これに対し、表面保護層の有無に関係なく、アミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサンを表面保護層に含有しない比較例1〜8の感光体を使用した場合は、低温低湿下での滑材塗布無しでのクリーニングができなくなり、広い環境条件下で使用できる画像形成装置の実用化ができないことがわかった。
(比較例17)
−画像形成及び評価−
実施例15において、従来の粉砕法で製造した下記の特性のトナーを現像装置のブラックステーションに詰め替えて使用した以外は、実施例15と同様にして、モノクロ印刷による1ドット再現性を上記と同様にして評価したところ、×であった。
<トナー>
・平均円形度=0.93
・体積平均粒径(Dv)=8.5μm
・体積平均粒径(Dv)/個数平均粒径(Dn)=1.10
(比較例18)
―画像形成及び評価−
実施例15において、従来の重合法で製造した下記の特性のトナーを現像装置のブラックステーションに詰め替えて使用した以外は、実施例15と同様にして、モノクロ印刷による1ドット再現性を上記と同様にして評価したところ、×であった。
<トナー>
・平均円形度=0.902
・体積平均粒径(Dv)=15.34μm
・体積平均粒径(Dv)/個数平均粒径(Dn)=1.48
本発明の電子写真感光体を用いた画像形成方法、画像形成装置、及びプロセスカートリッジは、小粒径の球形トナーを使用した高画質な画像出力及び高速印刷が可能であり、トナーの再利用性及び低温定着性に優れ、低温低湿環境下でのクリーニング性に優れ、環境変動に強く、滑材を塗布することなく、長期間に亘って安定な画像出力が可能であるので、例えば直接又は間接電子写真多色画像現像方式を用いたフルカラー複写機、フルカラーレーザープリンター、及びフルカラー普通紙ファックス等に幅広く使用される。
図1は、本発明の単層構造の電子写真感光体の層構成の一例を示す概略断面図である。 図2は、本発明の単層構造の電子写真感光体の層構成の他の一例を示す概略断面図である。 図3は、本発明の積層構造の電子写真感光体の層構成の一例を示す概略断面図である。 図4は、本発明の積層構造の電子写真感光体の層構成の他の一例を示す概略断面図である。 図5は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。 図6は、本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略説明図である。 図7は、本発明の画像形成装置の更に他の一例を示す概略説明図である。 図8は、本発明の画像形成装置(タンデム型カラー画像形成装置)の一例を示す概略説明図である。 図9は、図8に示す画像形成装置における一部拡大概略説明図である。 図10は、本発明のプロセスカートリッジの一例を示す概略図である。
符号の説明
1 支持体
3 感光層
4 表面保護層
5 電荷発生層
7 電荷輸送層
10 感光体(感光体ドラム)
10K ブラック用感光体
10Y イエロー用感光体
10M マゼンタ用感光体
10C シアン用感光体
14 支持ローラ
15 支持ローラ
16 支持ローラ
17 中間転写クリーニング装置
18 画像形成手段
20 帯電ローラ
21 露光装置
22 二次転写装置
23 ローラ
24 二次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ベルト
28 シート反転装置
30 露光装置
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
40 現像装置
41 現像ベルト
42K 現像剤収容部
42Y 現像剤収容部
42M 現像剤収容部
42C 現像剤収容部
43K 現像剤供給ローラ
43Y 現像剤供給ローラ
43M 現像剤供給ローラ
43C 現像剤供給ローラ
44K 現像ローラ
44Y 現像ローラ
44M 現像ローラ
44C 現像ローラ
45K ブラック用現像器
45Y イエロー用現像器
45M マゼンタ用現像器
45C シアン用現像器
49 レジストローラ
50 中間転写体
51 ローラ
52 分離ローラ
53 手差し給紙路
54 手差しトレイ
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排出トレイ
58 コロナ帯電器
60 クリーニング装置
61 現像器
62 転写帯電器
63 感光体クリーニング装置
64 除電器
70 除電ランプ
71 クリーニングブレード
72 支持部材
80 転写ローラ
90 クリーニング装置
95 転写紙
100 画像形成装置
101 感光体
102 帯電手段
103 露光手段
104 現像手段
105 記録媒体
107 クリーニング手段
108 転写手段
120 タンデム型現像器
130 原稿台
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
150 画像形成装置本体
160 帯電装置
200 給紙テーブル
201 感光体
202 除電ランプ
203 帯電チャージャ
204 イレーサ
205 画像露光部
206 現像ユニット
207 転写前チャージャ
208 レジストローラ
209 記録媒体
210 転写チャージャ
211 分離チャージャ
212 分離爪
213 クリーニング前チャージャ
214 ファーブラシ
215 クリーニングブレード
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置(ADF)

Claims (12)

  1. 最表面層が、少なくともアミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサンを含有してなり、
    前記アミノ基含有アクリル変性ポリオルガノシロキサンが、下記構造式(1)で表されるポリオルガノシロキサンと、アクリル系単量体とをグラフト共重合させてなる共重合物であることを特徴とする電子写真感光体。
    ただし、前記構造式(1)中、R、R、R、及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、炭素数1〜20の炭化水素基及び炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基のいずれかを表す。Yは、ラジカル反応性基及びSH基の少なくともいずれかを有する有機基を表す。Yは、アミノ基を有する有機基を表す。Z及びZは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、及び下記構造式(1−1)で表される基のいずれかを表す。mは、10,000以下の正の整数である。n及びpは、それぞれ1以上の整数である。
    ただし、前記構造式(1−1)中、R及びRは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、炭素数1〜20の炭化水素基及び炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基のいずれかを表す。Rは、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、並びにラジカル反応性基及びSH基の少なくともいずれかを有する有機基のいずれかを表す。
  2. 構造式(1)で表されるポリオルガノシロキサン(A)と、アクリル系単量体(B)との質量比率(A:B)が、40:60〜80:20である請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. アクリル系単量体が、下記構造式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル、並びに下記構造式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル及び該(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な単量体の混合物のいずれかである請求項1から2のいずれかに記載の電子写真感光体。
    ただし、前記構造式(2)中、Rは、水素原子、及びメチル基のいずれかを表す。Rは、アルキル基、アルコキシ置換アルキル基、シクロアルキル基、及びアリール基のいずれかを表し、これらは置換基により更に置換されていてもよい。
  4. 混合物における、構造式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル(C)と、該(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な単量体(D)との質量比率(C:D)が、99.9:0.1〜70:30である請求項3に記載の電子写真感光体。
  5. 支持体と、該支持体上に少なくとも感光層を有してなり、該感光層が最表面層である請求項1から4のいずれかに記載の電子写真感光体。
  6. 支持体と、該支持体上に少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層をこの順に有してなり、該電荷輸送層が、最表面層である請求項1から4のいずれかに記載の電子写真感光体。
  7. 支持体と、該支持体上に少なくとも感光層及び表面保護層をこの順に有してなり、該表面保護層が最表面層である請求項1から4のいずれかに記載の電子写真感光体。
  8. 表面保護層が、分子中に連鎖重合性官能基を1つ以上有する連鎖重合性電荷輸送性化合物と、3官能以上の連鎖重合性化合物とを連鎖重合させてなるアクリル硬化樹脂を含有する請求項7に記載の電子写真感光体。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段と、前記電子写真感光体上の残留トナーを除去するクリーニング手段とを少なくとも有してなり、
    前記トナーは、平均円形度が0.92〜1であり、体積平均粒径(Dv)が4〜8μmであり、かつ体積平均粒径(Dv)/個数平均粒径(Dn)が1.00〜1.40であることを特徴とする画像形成装置。
  10. トナーが、活性水素基含有化合物と、該活性水素基含有化合物と反応可能な変性ポリエステル樹脂、着色剤、及び離型剤とを含むトナー材料を有機溶剤に溶解乃至分散させてトナー溶液を調製した後、該トナー溶液を水系媒体中に乳化乃至分散させて分散液を調製し、該水系媒体中で、前記活性水素基含有化合物と、前記変性ポリエステル樹脂とを反応させて、有機溶剤を除去して得られる請求項9に記載の画像形成装置。
  11. クリーニング手段が、電子写真感光体表面に当接されるクリーニングブレードである請求項9から10のいずれかに記載の画像形成装置。
  12. 請求項1から8のいずれかに記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体表面を帯電させる帯電手段、前記電子写真感光体上に形成した静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段、及び前記電子写真感光体上の残留トナーを除去するクリーニング手段から選択される少なくとも1つを有し、画像形成装置本体に着脱可能であるプロセスカートリッジであって、
    前記トナーは、平均円形度が0.92〜1であり、体積平均粒径(Dv)が4〜8μmであり、かつ体積平均粒径(Dv)/個数平均粒径(Dn)が1.00〜1.40であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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