本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態に係るカメラ装置として使用される携帯電話装置10を閉じた状態における平面図である。図2は本実施の形態に係る携帯電話装置10を閉じた状態(閉位置)における右側面図である。図3は本実施の形態に係る携帯電話装置10の筐体1Uをヒンジ2において回動及び傾動して開いた状態(開位置)における右側面図である。
図1に示すように、携帯電話装置10は、筐体1D、筐体1Uから構成される。そして各筐体はそれぞれ、略平行な2面を有する略直方体形状である。そして筐体1Dの一方端部と筐体1Uの一方端部はヒンジ2により連接されており、このヒンジ2により、筐体1Dと筐体1Uとは互いに対向した状態で相対的に移動することができるように構成されている。以下、筐体1Dの一方端部及び筐体1Uの一方端部を、それぞれ筐体1Dの回動端部30D及び筐体1Uの回動端部30Uと称する。
また、図2に示されるように携帯電話装置10が閉じた状態である場合に、筐体1Uと筐体1Dは互いに対向する面(閉塞面)をそれぞれ有する。そして図2又は図3に示されるように、筐体1Dにはその閉塞面と反対側の面は開放面となり、該開放面にLCD3(liquid crystal display,液晶表示ディスプレイ)が設置される。なお、筐体1Uについても、閉塞面と反対側の面は開放面となる。また、図示していないが、筐体1Uはその閉塞面に携帯電話装置10の入力手段であるダイヤルボタン他の押ボタンを有している。
筐体1Dの閉塞面かつ他方端部にはカメラとともに使用される撮像用レンズであるレンズ11Dが、筐体1Uの開放面かつ他方端部には同じく撮像用レンズであるレンズ11Uが、それぞれ固設される。以下、筐体1Dの他方端部及び筐体1Uの他方端部を、それぞれ筐体1Dのレンズ設置端部31D及び筐体1Uのレンズ設置端部31Uと称する。さらに筐体1Dの側面にはシャッターボタン5が設置されている。
ここで、筐体1D及び筐体1Uに対し、図2又は図3に示すような角度基準面を定義する。角度基準面とは筐体との相対的位置が変化することのない面であり、筐体ごとに定義される。ここでは、筐体1Dについては、上記閉塞面を角度基準面20Dとして定義し、筐体1Uについては、開放面を角度基準面20Uとして定義する。
次に、ヒンジ2について説明する。ヒンジ2は、筐体1Uが筐体1Dに対し回動可能になるよう設置される回動軸21を有する。該回動軸21は、筐体1Dの回動端部30Dにおいて、上記閉塞面に、垂直上方向(筐体1Dの厚み方向)を軸方向として設置される。このため、筐体1Uを該回動軸21に対して回動させることにより、その閉塞面を筐体1Dに向けたまま回動することができる。
またヒンジ2に対して、筐体1Uが上記回動軸方向に摺動可能になるよう構成される。このため筐体1Uは、筐体1Dに対し上記閉塞面に垂直方向に離れたり近づいたりすることができる。このようにすることにより、筐体1Uを回動軸21に対して回動させる際、少し浮かせて回動させることができる。
さらにヒンジ2は例えば曲がりバネである弾性体を備える。この弾性体の弾性力により、筐体1Uが回動軸21の周囲において揺動可能になるよう構成されるとともに、筐体1Uが筐体1Dに押しつけられる。このようにすることで、回動する際には揺動させることにより遊びを持たせるとともに、携帯電話装置10を閉じた状態及び開いた状態では、筐体1Uを筐体1Dに一定の力で押しつけられるようにしている。そして押しつけられることにより、携帯電話装置10を閉じた状態及び開いた状態において角度基準面20Dと角度基準面20Uとがなす角度を所定の角度として決定することができるようにしている。
すなわち、図2に示す携帯電話装置10が閉じた状態では、角度基準面20Uと角度基準面20Dとがなす角度が0°であるのに対し、図3に示す開いた状態では、角度基準面20Uと角度基準面20Dとがなす角度が180°ではなく所定の角度90°+θ(θ≠90°)とすることができる。なお、この角度は180°−(90°+θ)=90°−θであるということもできる。このように本実施の形態においては、携帯電話装置10が閉じた状態と開いた状態において角度基準面20Uと角度基準面20Dとがなす角度に所定の角度90°−θ(θ≠90°)の差をつけている。このように、筐体1Uは筐体1Dに対して傾動することができるようにしている。
次に、レンズ11Dとレンズ11Uについて説明する。レンズ11Dはカメラのレンズであり、カメラ光軸である光軸50Dを有している。そして、光軸50Dの周囲に、水平画角51Dが定義される。カメラは該水平画角51Dで示される撮像範囲内の物体について撮像することができる。レンズ11Uについても同様であり、光軸50Uを有し、水平画角51Uが定義される。
そして、上述したようにレンズ11Dは筐体1Dに固設されているため、光軸50Dは筐体1Dに対して常に同じ方向を向く。この方向は、角度基準面20Dと光軸50Dとの角度により定義することができる。本実施の形態では、図2又は図3に示すように、該角度を90°としている。
レンズ11Uについても筐体1Uに固設されているため、光軸50Uは筐体1Uに対して常に同じ方向を向く。この方向は、角度基準面20Uと光軸50Uとの角度により定義することができる。本実施の形態では、図2又は図3に示すように、該角度をθとしている。
以上のようにして、光軸50Dと光軸50Uとが、それぞれ角度基準面20Dと角度基準面20Uに対して所定の角度(光軸−基準面角度)で固定されている。さらに、携帯電話装置10が閉じた状態では、角度基準面20Dと角度基準面20Uのなす角度(基準面−基準面角度)が0°となるようにしているので、光軸50Dと光軸50Uとがなす角度(光軸−光軸角度)φは90°−θとなる。一方、携帯電話装置10が開いた状態では、基準面−基準面角度が90°−θとなるようにしているので、光軸−光軸角度φは0°となる。すなわち、光軸50Dと光軸50Uとは同じ向きを向くことになる。
このようにして、基準面−基準面角度を開いた状態と閉じた状態とで異ならせ、かつ光軸−基準面角度が不変となるよう固定することにより、携帯電話装置10が開いた状態では光軸−光軸角度を90°−θ(θ≠90°)、携帯電話装置10が開いた状態では光軸−光軸角度を0°、というように、基準面−基準面角度の相異量90°−θに応じて異ならせている。換言すれば、携帯電話装置10が開いた状態での基準面−基準面角度(各筐体の法線がなす角度に等しい)と、携帯電話装置10が閉じた状態での光軸−光軸角度と、が略等しい角度になるようにしている。
そしてまた、筐体1Uは筐体1Dに比べその長辺方向の長さが短くなるよう構成されることにより、携帯電話装置10を閉じた状態においても、図2に示すように、水平画角51Dにより示される撮像範囲(画角領域)内に筐体1Dに対して筐体1Uが相対的に移動する領域が重ならないよう構成される。また、上述のように、筐体1Dの回動端部30Dと筐体1Uの回動端部30Uがヒンジ2により接続され、レンズ11Dとレンズ11Uはそれぞれ筐体1Dのレンズ設置端部31Dと筐体1Uのレンズ設置端部31Uに設置される。このため、携帯電話装置10を開いた状態におけるレンズ11Dとレンズ11Uの間の距離a[cm]と、携帯電話装置10を閉じた状態におけるレンズ11Dとレンズ11Uの間の距離b[cm]とを比較すると、aがbに比べ大きい値となる。すなわち、携帯電話装置10を開いた状態においてはレンズ11Dとレンズ11Uが離隔し、携帯電話装置10を閉じた状態においてはレンズ11Dとレンズ11Uが接近している。なお、aとbの具体的な値については、筐体1D及び筐体1Uの長さ、回動軸21の筐体1D及び筐体1Uに対する設置位置、レンズ11Dの筐体1Dに対する設置位置、レンズ11Uの筐体1Uに対する設置位置に応じて変化する。
以上の構成を有する携帯電話装置10における処理について、以下説明する。
図4は、携帯電話装置10の機能ブロック図である。同図に示すように、携帯電話装置10は、カメラ機能部12D、カメラ機能部12U、カメラ制御部13、制御部14、入力部15、出力部16、通信部17、記憶部18を含んで構成される。
カメラ機能部12D及びカメラ機能部12Uは、レンズ11D及びレンズ11Uとそれぞれ接続される。また、入力部15はシャッターボタン5と接続され、出力部16はLCD3と接続される。
カメラ機能部12D及びカメラ機能部12Uは、それぞれレンズ11D及びレンズ11Uを撮像用レンズとして使用して写真を撮ることができるカメラ機能を含んでいる。該カメラ機能における焦点合わせ機構には、オートフォーカス若しくはパンフォーカスのいずれを採用してもよい。
カメラ制御部13はカメラ機能部12D及びカメラ機能部12Uを制御するとともに、カメラ機能部12D及びカメラ機能部12Uで撮影した画像(静止画及び動画を含む)を受け取って、後述する画像処理を行う。そして該画像処理された画像を、制御部14に出力する。また、カメラ機能部12D及びカメラ機能部12Uの電源を投入したり、電源を切断したり、といった電源制御処理も行う。
制御部14、入力部15、出力部16、通信部17は、携帯電話装置10が携帯電話として機能するための各種処理を行う。具体的には、通信部17は移動体通信システムの基地局装置との間で信号の送受信を行う。入力部15は、図示しないダイヤルボタンによりユーザが押下したボタンに応じた信号を制御部14に出力したり、図示しないマイクから入力された音声を符号化された信号として制御部14に出力したり、図示しないPCインターフェイスから入力されたデータ信号を制御部14に出力したり、シャッターボタン5から入力されたシャッター押下信号を制御部14に出力したり、といった制御部14への入力信号のインターフェイス処理を行う。出力部16は、制御部14からの指示信号に従ってLCD3に対して所定の画像信号を出力したり、制御部14からの指示信号に従って図示しないスピーカに音声信号を出力したり、制御部14からの指示信号に従って図示しないPCインターフェイスにデータ信号を出力したり、といった制御部14からの出力信号のインターフェイス処理を行う。そして制御部14は、上記各機能部を制御するとともに、上記各機能部から入力される信号に所定の処理を行って他の機能部に出力する信号処理を行う。
また、記憶部18は、制御部14及びカメラ制御部13のワークメモリとして機能する他、画像、メール、電話番号等、携帯電話装置10において記憶される各種データを記憶する。そして記憶部18は、制御部14及びカメラ制御部13により読み出し及び書き込み可能に構成される。
ここで、入力部15は、携帯電話装置10が開いた状態であるか、閉じた状態であるか、そのどちらでもない状態か、を示す情報を取得することができるように構成される。具体的には、ヒンジ2において所定のセンサを備えておくことができる。そして該センサが、携帯電話装置10の状態を検知し、状態信号として入力部15に対して出力する。
以下、本実施の形態における撮像処理について、説明する。
本撮像処理は、ノーマル撮影モード、ステレオ撮影モード、パノラマ撮影モードを択一的に切替えつつ行われる。以下、各撮影モードについて説明する。
ノーマル撮影モードでは、1つのカメラにより撮影が行われる。このため、カメラ機能部12Uとカメラ機能部12Dのうち、いずれか一方のみを使用して撮影が行われる。ここではカメラ機能部12Dを使用して撮影を行うものとする。
まず、ユーザは携帯電話装置10のLCD3に表示されるメニュー画面(不図示)においてカメラ使用モードを選択する。該カメラ使用モードは、「1つのカメラで撮影を行う」モード又は「2つのカメラで撮影を行う」モードのいずれかである。ユーザがノーマル撮影モードでの撮影をしたいと考える場合には、ユーザは「1つのカメラで撮影を行う」モードを選択する。そして選択されたカメラ使用モードは記憶部18に記憶される。そして実際に撮影が行われる際には、メニュー画面においてカメラによる撮影を行うことを選択すると、制御部14は記憶部18に記憶されるカメラ使用モードを確認し、該カメラ使用モードが「1つのカメラで撮影を行う」モードを示している場合に、ノーマル撮影モードであると判断する。そして、ノーマル撮影モードでカメラによる撮影を行うことが選択された旨のモード通知信号をカメラ制御部13に出力し、カメラ制御部13は、カメラ機能部12Dの電源を投入する。そしてカメラ制御部13は、カメラ機能部12Dから出力される撮像結果である画像を、制御部14に出力する。該画像を受け取った制御部14は、LCD3にカメラ機能部12Dが撮像した映像をリアルタイム表示する。このようにして、LCD3はファインダとして機能する。
そして、シャッターボタン5が押されると、押されたことを示すシャッター押下信号が入力部15、制御部14を介してカメラ制御部13に出力される。すると、カメラ制御部13はカメラ機能部12Dを制御し、写真撮影を行う。このとき撮影される画像である写真は、水平画角51Dの範囲内の物体を写した画像となる。
そしてカメラ制御部13は、撮影された画像を制御部14に出力し、制御部14は記憶部18に該画像を一時記憶するとともに、出力部16に出力し、出力部16はLCD3において該画像を表示する。そして、ユーザの選択により、撮影された画像を記憶部18への保存する処理、撮影された画像をメールに添付して送信する処理、などの各種処理が行われる。
次に、ステレオ撮影モードについて説明する。ステレオ撮影モードでは、2つのカメラを使用してステレオ撮影が行われる。
ここで、ステレオ撮影の仕組みについて説明する。人間は2つの目でそれぞれ物を見ることにより、立体的に物を見ることができる。そこで、ある程度(人間の目の間の距離程度)離れたところから撮影した2つの画像を、同時にそれぞれの目で見ることにより、人間は該2つの画像を立体的な画像であると感じることができる。ステレオ撮影では、この原理を利用して立体的に見える画像を撮影する。具体的には、同じ向きの光軸を有し、ある程度の距離離れた2つのカメラにおいて同時に画像を撮影する。このようにして撮影された2つの画像は、2つのカメラに距離があるために、該距離に応じた相違のある画像となる。そして人間が、撮影された2つの画像のそれぞれを、それぞれ一方の目で見ることにより、人間は該2つの画像を立体的な画像であると感じることができるのである。
なお、2つのカメラ間の距離(基線長。ステレオベースとも称する)の50倍前後のところにある被写体を写した画像が最もステレオ表示に適しているとされる。本実施の形態では基線長がa[cm]となるので、50×a[cm]程度の距離の被写体を撮影すると、最適なステレオ効果を得ることができる。
本実施の形態に係るステレオ撮影モードでは、カメラ機能部12Uとカメラ機能部12Dとをともに利用して撮影が行われる。
まず、ユーザは携帯電話装置10を開いた状態とする。携帯電話装置10が開いた状態となったことは、上述のセンサが取得し、入力部15に状態信号として通知され、制御部14に出力される。そして制御部14は、状態信号により通知された状態を状態情報として記憶部18に記憶する。
一方、ユーザは携帯電話装置10のLCD3に表示されるメニュー画面(不図示)においてカメラ使用モードを選択する。ユーザがステレオ撮影モードでの撮影をしたいと考える場合には、ユーザは「2つのカメラで撮影を行う」モードを選択する。そして選択されたカメラ使用モードは記憶部18に記憶される。そして実際に撮影が行われる際には、メニュー画面においてカメラによる撮影を行うことを選択すると、制御部14は記憶部18に記憶されるカメラ使用モードを確認し、該カメラ使用モードが「2つのカメラで撮影を行う」モードを示している場合に、記憶部18に記憶される状態情報を確認する。そして状態情報が開いた状態となっていれば、ステレオ撮影モードであると判断し、ステレオ撮影モードでカメラによる撮影を行うことが選択された旨のモード通知信号をカメラ制御部13に出力する。該モード通知信号を入力されたカメラ制御部13は、カメラ機能部12D及びカメラ機能部12Uの電源を投入する。そしてカメラ制御部13は、カメラ機能部12Dから出力される撮像結果である画像を、制御部14に出力する。該画像を受け取った制御部14は、LCD3にカメラ機能部12Dが撮像した映像をリアルタイム表示する。このようにして、LCD3はファインダとして機能する。
なお、このときのLCD3の表示を立体表示としてもよい。この場合には、カメラ制御部13は、カメラ機能部12D及びカメラ機能部12Uからそれぞれ出力される撮像結果である画像を、制御部14に出力する。該画像を受け取った制御部14は、後述する視差バリア等の3D表示機能を使用して、立体的にリアルタイム表示する。
そして、シャッターボタン5が押されると、押されたことを示すシャッター押下信号が入力部15、制御部14を介してカメラ制御部13に出力される。すると、カメラ制御部13はカメラ機能部12D及びカメラ機能部12Uを制御し、同時に写真撮影を行う。このようにしてカメラ制御部13は、各撮像用レンズであるレンズ11Dとレンズ11Uにおいて同時に撮影を行うことにより2つの画像を取得する同時撮影手段として機能する。このとき撮影される画像である2枚の写真は、図3に示す水平画角51Dと水平画角51Uの範囲内の物体をそれぞれ写した画像となる。このとき、上述のように携帯電話装置10が開いた状態では光軸50Dと光軸50Uは同じ向きとなるようになっている。また、光軸50Dと光軸50Uはa[cm]の距離をおいて設置され、a[cm]で表される距離はほぼ人間の目の間の距離となっている。このため、カメラ機能部12D及びカメラ機能部12Uで撮影された2枚の写真はステレオ画像を構成する。換言すれば、携帯電話10を開いた状態においては、光軸50Dと光軸50Uが同じ向きとなるようにし、しかも光軸50Dと光軸50Uが離隔するようにしていることにより、ステレオ画像が撮影可能となっている。
そしてカメラ制御部13は、撮影されたステレオ画像を制御部14に出力し、制御部14は記憶部18に該ステレオ画像を一時記憶するとともに、出力部16に出力し、出力部16はLCD3において該ステレオ画像を表示する。
ここで、LCD3は例えば視差バリア機能を備えた3D表示可能な液晶であってもよい。この場合には、制御部14は、撮影されたステレオ画像である2枚の写真がLCD3に備えられる視差バリア機能により立体的に見えるように表示するよう、出力部16を介してLCD3を制御することとしてもよい。
そして、ユーザの選択により、撮影されたステレオ画像を記憶部18へ保存する処理、撮影されたステレオ画像をメールに添付して送信する処理、などの各種処理が行われる。
次に、パノラマ撮影モードについて説明する。パノラマ撮影モードでも、2つのカメラを使用してパノラマ撮影が行われる。
ここで、パノラマ撮影の仕組みについて説明する。パノラマ撮影とは、カメラを水平に回しながら、全景(360°)のうち、1つのカメラを動かさずに撮影した画像より広い範囲を撮影することである。なお、カメラを回すことによってもパノラマ撮影を行うことができるし、異なる方向を撮影した画像を合成して1つの画像を取得することによってもパノラマ撮影を行うことができる。
本実施の形態に係るパノラマ撮影モードでは、カメラ機能部12Uとカメラ機能部12Dとをともに利用し、各カメラ機能部において撮影された画像を合成して1つの画像を取得することにより、パノラマ撮影が行われる。
まず、ユーザは携帯電話装置10を閉じた状態とする。携帯電話装置10が閉じた状態となったことは、上述のセンサが取得し、入力部15に状態信号として通知され、制御部14に出力される。そして制御部14は、状態信号により通知された状態を状態情報として記憶部18に記憶する。
一方、ユーザは携帯電話装置10のLCD3に表示されるメニュー画面(不図示)においてカメラ使用モードを選択する。ユーザがパノラマ撮影モードでの撮影をしたいと考える場合には、ユーザは「2つのカメラで撮影を行う」モードを選択する。そして選択されたカメラ使用モードは記憶部18に記憶される。そして実際に撮影が行われる際には、メニュー画面においてカメラによる撮影を行うことを選択すると、制御部14は記憶部18に記憶されるカメラ使用モードを確認し、該カメラ使用モードが「2つのカメラで撮影を行う」モードを示している場合に、記憶部18に記憶される状態情報を確認する。そして状態情報が閉じた状態となっていれば、パノラマ撮影モードであると判断し、パノラマ撮影モードでカメラによる撮影を行うことが選択された旨のモード通知信号をカメラ制御部13に出力する。該モード通知信号を入力されたカメラ制御部13は、カメラ機能部12D及びカメラ機能部12Uの電源を投入する。そしてカメラ制御部13は、カメラ機能部12Dから出力される撮像結果である画像を、制御部14に出力する。該画像を受け取った制御部14は、LCD3にカメラ機能部12Dが撮像した映像をリアルタイム表示する。このようにして、LCD3はファインダとして機能する。
なお、このときのLCD3の表示をパノラマ表示としてもよい。この場合には、カメラ制御部13は、カメラ機能部12D及びカメラ機能部12Uからそれぞれ出力される撮像結果である画像を合成してパノラマ画像を生成し、制御部14に出力する。該パノラマ画像を受け取った制御部14は、パノラマ画像としてリアルタイム表示する。このときの表示は後に説明する図5(b)のようになる。
そして、シャッターボタン5が押されると、押されたことを示すシャッター押下信号が入力部15、制御部14を介してカメラ制御部13に出力される。すると、カメラ制御部13はカメラ機能部12D及びカメラ機能部12Uを制御し、同時に写真撮影を行う。このようにしてカメラ制御部13は、各撮像用レンズであるレンズ11Dとレンズ11Uにおいて同時に撮影を行うことにより2つの画像を取得する同時撮影手段として機能する。このとき撮影される画像である2枚の写真は、図2に示す水平画角51Dと水平画角51Uの範囲内の物体をそれぞれ写した画像となる。このとき、上述のように携帯電話装置10が開いた状態では光軸50Dと光軸50Dは90°−θ(θ≠90°)となるようになっている。また、光軸50Dと光軸50Uはb[cm]の距離をおいて設置され、b[cm]で表される距離はできるだけ光軸50Dと光軸50Uを近づけた距離となっている。このため、カメラ機能部12D及びカメラ機能部12Uで撮影された2枚の写真はほぼ同じ位置から90°−θだけ異なる方向を向いて撮影された写真となっている。
そしてカメラ制御部13は、撮影された画像を合成することにより、パノラマ画像を取得する。該パノラマ画像の例を図5に示す。同図(a)はノーマル撮影モードで撮影することにより得られる画像の例、同図(b)はパノラマ撮影モードで撮影することにより得られるパノラマ画像の例、である。ノーマル撮影モードで撮影することにより得られる画像に比べ、パノラマ撮影モードで撮影することにより得られるパノラマ画像は横長になっている。パノラマ撮影モードでは、2つのカメラにより90°−θだけ異なった方向の写真を撮影している。このため、2つのカメラにより撮影できる範囲(水平画角の範囲)は1つのカメラで撮影する場合に比べ、90°−θだけ広がっている。一方、縦方向の画角は1つのカメラで撮影する場合と同じである。このため、2つのカメラにより撮影された写真の重複部分を合成することにより、広がった角度に対応する分だけ横長な画像となるのである。換言すれば、携帯電話10を閉じた状態においては、光軸50Dと光軸50Uが少し異なる向きとなるようにし、しかも光軸50Dと光軸50Uが接近するようにしていることにより、パノラマ画像が撮影可能となっている。
そしてカメラ制御部13は、取得したパノラマ画像を制御部14に出力し、制御部14は記憶部18に該パノラマ画像を一時記憶するとともに、出力部16に出力し、出力部16はLCD3において該パノラマ画像を表示する。そして、ユーザの選択により、撮影されたパノラマ画像を記憶部18へ保存する処理、撮影されたパノラマ画像をメールに添付して送信する処理、などの各種処理が行われる。
以上説明した処理を、携帯電話装置10における処理のフローチャートを参照しながらより具体的に説明する。
図6は、携帯電話装置10における処理のフローチャートを示す処理フロー図である。同図に示すように、まずユーザが入力部15から入力することにより、カメラモードがONとなる(S100)。該カメラモードがONになっている間、携帯電話装置10は、携帯電話及びカメラ装置として機能する。すると、制御部14は携帯電話装置10の状態を判断する(S102)。具体的には、制御部14が記憶部18に記憶される状態情報を確認し、該状態情報が「閉じた状態」「開いた状態」「どちらでもない状態」のいずれを示しているかを判断する(S102)。このように、制御部14は、携帯電話装置10が「閉じた状態」「開いた状態」「どちらでもない状態」のいずれの状態にあるかを判断する判断手段として機能する。そして「開いた状態」を示していると判断される場合には、ステレオ撮影(S400)処理を開始する。一方、状態情報が「閉じた状態」を示していると判断された場合には、記憶部18に記憶されるカメラ使用モードを確認する。そしてカメラ撮影モードが「1つのカメラで撮影を行う」モード、「2つのカメラで撮影を行う」モードのいずれであるかを判断する。そして「1つのカメラで撮影を行う」モードである場合には、ノーマル撮影モードであると判断し(S104)、「2つのカメラで撮影を行う」モードである場合には、パノラマ撮影モードであると判断する(S104)。このようにして制御部14は、携帯電話装置10の状態に応じて、2つの画像に基づいてステレオ画像を生成するか、パノラマ画像を生成するか、或いは1つの画像のみを撮影するか、を決定する画像生成方法決定手段として機能し、それぞれの撮影処理を開始する(S200,S300)。
なお、状態情報の確認とカメラ使用モードの確認はいずれを先に行ってもよいが、カメラ使用モードの確認を先に行う場合には、開いた状態でもノーマル撮影を行うことができるようになる。一方、状態情報の確認を先に行う場合には、開いた状態を検知するだけでステレオ撮影モードを開始することができるようになる。また、状態情報が「どちらでもない状態」を示している場合には、撮影を行わない(撮影を行うことを制限する)こととしてもよい。
ノーマル撮影モードについて説明する。図7はノーマル撮影モードでの撮影処理の処理フロー図である。まず、ノーマル撮影モードであることは制御部14からカメラ制御部13に通知され、カメラ制御部13はカメラ機能部12Dの電源を投入する(S202)。一方、制御部14はLCD3に表示する画像をノーマル表示モードに設定する(S204)。ノーマル表示モードでは、図5(a)のように、画像はフル画面で表示されるようになる。そしてカメラ機能部12Dはレンズ11Dを介して被写体画像を取り込み(S206)、カメラ制御部13に順次出力し、さらにカメラ制御部13は制御部14に順次出力する。制御部14は出力された被写体画像をLCD3にノーマル表示モードで順次表示する(S210)。このときカメラ機能部12Dにより取り込まれる被写体画像は動画としてLCD3にリアルタイム表示される。そしてシャッターボタン5が押下される(S212)と、押されたことを示すシャッター押下信号が入力部15、制御部14を介してカメラ制御部13に出力される。すると、カメラ制御部13はカメラ機能部12Dを、レンズ11Dを介して画像を取り込む(S216)よう制御し、取り込まれた画像を制御部14に対して出力する。このときカメラ機能部12Dにより取り込まれる画像は静止画である。
次にパノラマ撮影モードについて説明する。図8はパノラマ撮影モードでの撮影処理の処理フロー図である。まず、パノラマ撮影モードであることは制御部14からカメラ制御部13に通知され、カメラ制御部13はカメラ機能部12D及びカメラ機能部12Uの電源を投入する(S302)。一方、制御部14はLCD3に表示する画像をパノラマ表示モードに設定する(S304)。パノラマ表示モードでは、図5(b)のように、画像が横長に表示されるようになる。そしてカメラ機能部12D及びカメラ機能部12Uはレンズ11Dを介して被写体画像をそれぞれ取り込み(S306)、さらにカメラ制御部13はカメラ機能部12D及びカメラ機能部12Uでそれぞれ取り込まれた画像を合成してパノラマ画像とし(S308)、制御部14に順次出力する。制御部14は出力されたパノラマ画像をLCD3にパノラマ表示モードで順次表示する(S310)。このときカメラ制御部13により合成されるパノラマ画像は動画としてLCD3にリアルタイム表示される。そしてシャッターボタン5が押下される(S312)と、押されたことを示すシャッター押下信号が入力部15、制御部14を介してカメラ制御部13に出力される。すると、カメラ制御部13はカメラ機能部12D及びカメラ機能部12Uを、それぞれレンズ11D及びレンズ11Uを介して画像を取り込む(S316)よう制御し、取り込まれた画像を合成してパノラマ画像とし、制御部14に対して出力する。このとき合成されるパノラマ画像は静止画である。
次にステレオ撮影モードについて説明する。図9はステレオ撮影モードでの撮影処理の処理フロー図である。まず、ステレオ撮影モードであることは制御部14からカメラ制御部13に通知され、カメラ制御部13はカメラ機能部12D及びカメラ機能部12Uの電源を投入する(S402)。一方、制御部14はLCD3に表示する画像をステレオ表示モードに設定する(S404)。ステレオ表示モードでは、上述したように、LCD3は例えば視差バリアを使用して、ステレオ画像として撮影された2枚の画像を、立体視可能な画像として表示する。そしてカメラ機能部12D及びカメラ機能部12Uはレンズ11Dを介して被写体画像をそれぞれ取り込み(S406)、さらにカメラ制御部13は取り込まれた画像を制御部14に順次出力する。そして制御部14は出力された画像をステレオ画像として合成取得し(S408)、LCD3にステレオ表示モードで順次表示する(S410)。このとき制御部14により合成取得されるステレオ画像は動画としてLCD3にリアルタイム表示される。そしてシャッターボタン5が押下される(S412)と、押されたことを示すシャッター押下信号が入力部15、制御部14を介してカメラ制御部13に出力される。このとき、制御部14はヒンジ2において、筐体1Dと筐体1Uの位置関係を固定する(S414)。
上述したようにヒンジ2には弾性体が備えられており、該弾性体の弾性力により筐体1Uが筐体1Dに押しつけられている。しかし、ステレオ撮影の場合には少しでもカメラの位置がずれると立体視できない画像となるため、より強固に固定しておくことが要求される。このため例えば電磁石、支え棒等、図示しない固定手段を使用してより強固に固定する。なお、この固定により少し基準面−基準面角度が変わってしまう場合には、光軸−基準面角度は、固定後の角度に基づいて決定されることが望ましい。
次に、カメラ制御部13はカメラ機能部12D及びカメラ機能部12Uを、それぞれレンズ11D及びレンズ11Uを介して画像を取り込む(S416)よう制御し、制御部14に対して出力する。そして制御部14は取り込まれた画像を合成してステレオ画像を取得する。このとき合成されるステレオ画像は静止画である。そしてヒンジ2の固定を解除する(S418)。
以上のようにして制御部14に取り込まれた各画像は、記憶部18に保存される(S106)。そして撮影を継続するか否かを、ユーザが図示しないメニュー画面にて選択した結果を取得することにより制御部14が判断し(S108)、撮影を継続する場合には状態確認(S102)に戻り再度撮影処理を行い、撮影を継続しない場合には撮影処理を終了する。このとき、カメラ機能部12D及びカメラ機能部12Uの電源を切断することが望ましい。
以上の構成及び処理により、カメラの設置される筐体に対して撮影用レンズを回動可能とすることなく、1つの携帯電話装置10においてステレオ撮影とパノラマ撮影の撮り分けが実現できる。すなわち、撮影用レンズの光軸を筐体に対して動かさない状態で、筐体を開閉するだけでステレオ撮影とパノラマ撮影の撮り分けが実現できるので、撮影用レンズの光軸を筐体に対して動かすための機構を設けることなく、筐体の開閉により容易にステレオ撮影とパノラマ撮影を撮り分けることができる。また、このように撮影用レンズの光軸を筐体に対して動かすための機構が不要になるので、携帯電話装置10を小型化することができる。
また、ステレオ撮影の際には2つの筐体の長さに応じた距離、パノラマ撮影の際には筐体と水平画角が重ならない範囲でできるだけ近い距離、に2つのレンズを置くことができるので、撮像用レンズ間の距離をステレオ撮影とパノラマ撮影にそれぞれ適した距離とすることができる。
さらに、携帯電話装置の状態に応じて撮影方法を決定することができるので、例えば開いた状態でパノラマ撮影を行い、閉じた状態でステレオ撮影を行うなど、ユーザがそれぞれの状態に適していない撮影モードで撮影を行わないようにすることができるので、ステレオ撮影とパノラマ撮影とを好適に行うことができる。
なお、以上の処理はいわゆるリボルバ型携帯電話を例に取り説明したが、例えばスライド型携帯電話を使用することとしてもよい。スライド型携帯電話の場合にも筐体は2つあり、回動軸の代わりにスライド機構が設置される。そして一方筐体が他方筐体に対してスライドすることにより携帯電話を長くした状態と、短くした状態を得ることができる。このとき、短くした状態と長くした状態で、各筐体に定義される角度基準面のなす角度が同じにならないよう、構成することにより、各筐体の端部に固設されたレンズを使用してステレオ撮影とパノラマ撮影を取り分けることができるようになる。
また、カメラ機能部12D及びカメラ機能部12Uの焦点合わせ機構としてオートフォーカスを使用する場合には、ステレオ撮影モード、パノラマ撮影モードにおいて水平画角内の一番近くにある物体に自動的にピントを合わせるための回路を備えることとしてもよい。このようにすれば、2つのカメラを使用する場合にもそれぞれのカメラのピントを適切に合わせることができる。
1D,1U 筐体、2 ヒンジ、5 シャッターボタン、10 携帯電話装置、11D,11U レンズ、12D,12U カメラ機能部、13 カメラ制御部、14 制御部、15 入力部、16 出力部、17 通信部、18 記憶部、20D,20U 角度基準面、21 回動軸、30D,30U 回動端部、31D,31U レンズ設置端部、50D,50U 光軸、51D,51U 水平画角