JP4637698B2 - 偏光板一体型光学補償フィルムおよび液晶表示装置 - Google Patents
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Description
(1)少なくとも、第1偏光膜と、第2位相差膜と、第1位相差膜と、液晶層を一対の基板で挟んだ液晶セルとが該順で配置され、かつ、第2偏光膜を含み、黒表示時に前記液晶層の液晶分子が前記一対の基板の表面に対して平行に配向する液晶表示装置であって、前記第1位相差膜の厚み方向のレターデーション値が−10nm〜150nmであり、第1位相差膜の面内レターデーション値が50nm以下であり、第2位相差膜の厚み方向のレターデーション値が0nm〜−100nmであり、第2位相差膜の面内レターデーション値が50nm〜330nmであり、前記第2位相差膜が下記式(1)で表される分極率異方性Δαが2.5×10 -24 cm 3 〜30×10 -24 cm 3 である置換基を有し、脂肪酸アシル基と芳香族アシル基とを含む混合酸エステルからなり、アシル基の総置換度PAが1.5〜3.0であり、芳香族アシル基の置換度が0.1〜1.1であるセルロースアシレートフィルムであって、前記芳香族アシル基が、下記一般式(I)で表されることを特徴とするセルロースアシレートフィルムからなり、前記第1偏光膜の透過軸が黒表示時の液晶分子の遅相軸方向と平行であって、前記第2位相差膜の遅相軸が、前記第1偏光膜の透過軸に実質的に直交である液晶表示装置。
式(1) Δα=αx−(αy+αz)/2
(式(1)中、αx、αyおよびαzは、それぞれ、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値であり、αx≧αy≧αzを満足する)
一般式(I)
(2)前記第1偏光膜および/または前記第2偏光膜の、少なくとも前記液晶層に近い側の片面に、保護膜が設けられており、該保護膜の厚み方向のレターデーション値が40nm〜−40nmである、(1)に記載の液晶表示装置。
(3)前記第1偏光膜および/または前記第2偏光膜の、少なくとも前記液晶層に近い側の片面に、保護膜が設けられており、該保護膜の厚み方向のレターデーション値が20nm〜−20nmである、(1)に記載の液晶表示装置。
(4)前記第1偏光膜および/または前記第2偏光膜の、少なくとも前記液晶層に近い側の片面に、保護膜が設けられており、該保護膜の厚みが60μm以下である、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
(5)前記第1偏光膜および/または前記第2偏光膜の、少なくとも前記液晶層に近い側の片面に、保護膜が設けられており、該保護膜がセルロースアシレートフィルムまたはノルボルネン系フィルムである(1)〜(4)のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
(6)前記第2位相差膜が、前記第1偏光膜に隣接している、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
(7)前記液晶セルの一対の基板のうち視認側と反対側の基板により近い位置に、前記第1位相差膜および前記第2位相差膜が、配置されている(1)〜(6)のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
(8)第2位相差膜が延伸処理されたセルロースアシレートフィルムからなる、(1)〜(7)のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
特に、本発明では、分極率異方性Δαが2.5×10-24cm 3 〜30×10-24cm 3 である置換基を含むセルロースアシレートフィルムを第2位相差領域に用いる。該セルロースアシレートフィルムは、セルロースアシレートの置換基の種類や水酸基へのアシル置換度の調整や、作製条件の調整により、第2位相差領域に要求される光学特性を一層のみで満たすことができる。従って、該セルロースアシレートフィルムを用いることにより、簡易な構成で視野角特性の改善された液晶表示装置を作製することができる。また、当該フィルムは、偏光膜の保護膜として要求される性能を有するので、偏光膜の表面に形成することで、保護膜として機能させることができ、より簡易な構成で、視野角特性の改善された液晶表示装置を作製することができる。
また、本発明における各種の「基」は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において置換基を有していてもよい。
[液晶表示装置]
図2に示す液晶表示装置は、第1偏光膜8と、第1位相差領域10と、第2位相差領域12と、第1基板14と、液晶層16と、第2基板18と、第2偏光膜21とを有する。第1偏光膜8および第2偏光膜21は、それぞれ保護膜7aと7bおよび20aと20bによって挟持されている。
図2に示す液晶表示装置では、第1偏光膜8が二枚の保護膜7aおよび7bに挟持された構成を示しているが、保護膜7bはなくてもよい。また、偏光膜21も二枚の保護膜20aおよび20bに挟持されているが、液晶層16に近い側の保護膜20aはなくてもよい。なお、図2の態様では、第1位相差領域10および第2位相差領域12は、液晶セルの位置を基準にして、液晶セルと視認側の偏光膜との間に配置されていてもよいし、液晶セルと背面側の偏光膜との間に配置されていてもよい。本実施形態では、いずれの構成においても、第2位相差領域12が液晶セルにより近くなるように配置する。
図2および図3の態様において、第2位相差領域12は分極率異方性が大きい置換基を含むセルロースアシレートを含むフィルム(セルロースアシレートフィルム)からなる。置換基の種類や置換率の制御、Re値やRth値を低減する添加剤の利用、フィルムの作製条件調整により、第2位相差領域として要求される前記光学特性を一層(位相差膜(Z2))のみで示すことができる。詳細については別途記載する。また、かかる位相差膜(Z2)は、偏光膜の保護膜として要求される性能を満足し得るので、図2の態様では、保護膜7bがなくても、偏光膜8と、第1位相差領域10と、第2位相差領域12とを一体的に作製することで、高温湿度下等、過酷な環境下に置かれた場合にも、偏光膜8が劣化して、表示特性が低下するのを軽減することができる。また、図3の態様では、偏光膜8と第2位相差領域12とを一体的に作製することで、保護膜7bがなくても、高温湿度下等、過酷な環境下に置かれた場合にも、偏光膜8が劣化して、表示特性が低下するのを軽減することができる。
本発明において、第1位相差領域は、後述する第2位相差領域とはRe値およびRth値が異なる領域をいう。このような第1の位相差領域は、一の位相差膜(Z1)から構成されていてもよいし、他の光学フィルムとの積層体であってもよい。
第1位相差領域のRth値が−10nm〜150nmであることが好ましく、30nm〜110nmであることがより好ましく、45〜90nmであることがさらに好ましい。
第1位相差領域のRe値は、50nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましく、10nm以下であることがさらに好ましい。
なお、液晶表示装置が有する偏光膜(2つの偏光膜を有する場合はより近い位置に配置される偏光膜)を保護する保護膜に光学的な異方性がある場合、保護膜と第1位相差領域との合計が、前記範囲の光学特性を示すのも好ましい。
本発明における第2位相差領域は、下記式(1)で表される分極率異方性Δαが2.5×10-24cm 3 〜30×10-24cm 3 である置換基を有するセルロースアシレートフィルムからなり、レターデーションが下記式(a)および式(b)を満たし、かつ、セルロースアシレートフィルムの長手方向に実質的に直交または平行な遅相軸を有する。
式(1) Δα=αx−(αy+αz)/2
(式(1)中、αx、αyおよびαzは、それぞれ、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値であり、αx≧αy≧αzを満足する)
式(a) 50nm ≦ |Re(590)| ≦ 330nm
式(b) −100nm ≦ Rth(590) ≦ 0
(式(a)および式(b)中、Re(λ)は、波長λnmにおける正面レターデーション値(単位:nm)であり、Rth(λ)は、波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(単位:nm)である。)
以下、発明の第2位相差領域について詳細に説明する。
また、Re値が90〜300nmであるのが好ましく、130〜280nmであるのがより好ましい。
セルロースシレートに分極率異方性が大きい置換基を導入し、かつ他の置換基および置換度を調整することで、膜厚方向に屈折率が最大となる光学補償フィルムが得られる。特に本発明においては、β−グルコース環に置換された分極率異方性が大きい置換基が、延伸処理時にβ−グルコース環主鎖に対して直交し、かつ立体障害等の作用により膜厚方向に屈折率が最大になる方向に配向することが好ましい。その結果フィルム面内においては、延伸軸方向よりも延伸直行方向に遅相軸が発現し、かつフィルム面内の遅相軸方向よりも、膜厚方向の屈折率がさらに大きくなることで、Rth値が負に大きく発現する光学補償フィルムが得られる。さらには、分極率異方性の大きい置換基の置換度、分光吸収のλmaxにより、セルロースアシレートフィルムの屈折率楕円体が変化し、延伸処理と組み合わせることで広範囲に光学性能を制御することが可能となる。
本発明に用いるセルロースアシレートの置換基の末端間距離および分極率異方性ΔαはGaussian03(Revision B.03、米ガウシアン社ソフトウェア)を用いて計算した。
末端間距離はB3LYP/6−31G*レベルの計算で構造最適化した後、最も離れた原子間の距離として算出した。
分極率異方性ΔαはB3LYP/6−31G*レベルで最適化された構造を用いて、3LYP/6−311+G**レベルで分極率を計算し、得られた分極率テンソルを対角化した後、対角成分より算出した。
本発明における置換基の末端間距離および分極率異方性の計算においては、セルロースアシレートの構成単位であるβ−グルコース環上の3角水酸基に連結する置換基を、水酸基の酸素原子を含む部分構造にて計算して求めた。
本発明に用いるセルロースアシレートの置換基の分極率異方性Δαは下記数式(1)により定義される。
式(1)
Δα=αx−(αy+αz)/2
(式(1)中、αx、αyおよびαzは、それぞれ、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値であり、αx≧αy≧αzを満足する)
分極率異方性は、フィルム延伸時の延伸直交方向への屈折率発現性と関係がある。すなわち、分極率異方性が小さい場合には延伸方向に遅相軸が発現し、大きい場合には延伸直交方向に遅相軸が発現する。本発明のRth値が負の値を有する光学補償フィルムを得る目的においては、Δαは2.5×10-24cm 3 〜30×10-24cm 3 であり、好ましくは4×10-24cm 3 〜25×10-24cm 3 であり、特に好ましくは5×10-24cm 3 〜20×10-24cm 3 である。
本明細書において、特に述べない限り、分極率異方性が大きい置換基とは、Δαが上記範囲内であることを示している。
また、可能な場合は、置換基同士が結合して環を形成してもよい。
置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基およびウレイド基が好ましく、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基およびカルボンアミド基がより好ましく、ハロゲン原子、シアノ基、アルキル基、アルコキシ基およびアリールオキシ基がさらに好ましく、ハロゲン原子、アルキル基およびアルコキシ基が最も好ましい。
上記アルキル基は、環状構造または分岐を有していてもよい。アルキル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることがさらに好ましく、1〜4であることが最も好ましい。アルキル基の例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基および2−エチルヘキシル基が含まれる。
上記アルコキシ基は、環状構造あるいは分岐を有していてもよい。アルコキシ基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることがさらに好ましく、1〜4であることが最も好ましい。アルコキシ基は、さらに別のアルコキシ基で置換されていてもよい。アルコキシ基の例には、メトキシ基、エトキシ基、2−メトキシエトキシ基、2−メトキシ−2−エトキシエトキシ基、ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基およびオクチルオキシ基が含まれる。
上記アリールオキシ基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがより好ましい。アリールオキシ基の例には、フェノキシ基およびナフトキシ基が含まれる。
上記アシル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましい。アシル基の例には、ホルミル基、アセチル基およびベンゾイル基が含まれる。
上記カルボンアミド基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。カルボンアミド基の例には、アセトアミド基およびベンズアミド基が含まれる。
上記スルホンアミド基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基およびp−トルエンスルホンアミド基が含まれる。
上記ウレイド基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。
上記アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル基が含まれる。
上記アリールオキシカルボニル基の炭素原子数は、7〜20であることが好ましく、7〜12であることがさらに好ましい。アリールオキシカルボニル基の例には、フェノキシカルボニル基が含まれる。
上記アラルキルオキシカルボニル基の炭素原子数は、8〜20であることが好ましく、8〜12であることがさらに好ましい。アラルキルオキシカルボニル基の例には、ベンジルオキシカルボニル基が含まれる。
上記カルバモイル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。カルバモイル基の例には、無置換のカルバモイル基およびN−メチルカルバモイル基が含まれる。
上記スルファモイル基の炭素原子数は、20以下であることが好ましく、12以下であることがさらに好ましい。スルファモイル基の例には、スルファモイル基およびN−メチルスルファモイル基が含まれる。
上記アシルオキシ基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アシルオキシ基の例には、アセトキシ基およびベンゾイルオキシ基が含まれる。
上記アルキニル基の炭素原子数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アルキニル基の例には、チエニル基が含まれる。
上記アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。
上記アリールスルホニル基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。
上記アルキルオキシスルホニル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。上記アリールオキシスルホニル基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。
上記アルキルスルホニルオキシ基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。上記アリールオキシスルホニル基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。
本発明の第2位相差領域に用いるセルロース混合酸エステル化合物の製造方法としては、(1)セルロース脂肪酸モノエステルまたはジエステルを一旦製造したのち、残りの水酸基に前記一般式(I)で表される芳香族アシル基を導入する方法、(2)セルロースに直接に、脂肪族カルボン酸と芳香族カルボン酸の混合酸無水物を反応させる方法、などがあげられる。(1)においては、セルロース脂肪酸エステルまたはジエステルの製造方法自体は周知の方法であるが、これにさらに芳香族アシル基を導入する後段の反応は、該芳香族アシル基の種類によって異なり、反応温度は、好ましくは0〜100℃、より好ましくは20〜50℃で、反応時間は、好ましくは30分以上、より好ましくは30〜300分で行われる。また(2)の混合酸無水物を用いる方法も、反応条件は混合酸無水物の種類によって変わるが、反応温度は、好ましくは0〜100℃、より好ましくは20〜50℃、反応時間は、好ましくは30〜300分、より好ましくは60〜200分である。上記のいずれの反応も、反応を無溶媒または溶媒中のいずれで行ってもよいが、好ましくは溶媒を用いて行われる。溶媒としてはジクロロメタン、クロロホルム、ジオキサンなどを用いることができる。
特に、本発明の第2位相差領域におけるセルロースアシレートは、アシル基の総置換度PAが1.5〜3.0であり、芳香族アシル基の置換度が0.1〜1.0であることが好ましい。
以下に一般式(I)で表される芳香族アシル基の具体例を示すが、本発明はこれに限定するものではない。
本発明に使用するセルロースアシレートフィルムはレターデーション発現剤(特に、Reを発現させるためのもの)を加えてもよい。レターデーション発現剤としては、例えば、特開2002−296421号公報または特開2002−363343号公報に記載されている化合物を用いることができる。レターデーション発現剤の含量は、セルロースアシレートフィルムの重量(固形分)の、0.01〜30重%であることが好ましく、0.1%〜25重量%がさらに好ましく、0.1〜20重量%が最も好ましい。
本発明で採用するセルロースアシレートフィルムは所望の厚み方向のレターデーション(特に、Rth)を実現するために、レターデーション低下剤(特に、Rth低下剤)を用いてもよい。レターデーション低下剤としては、例えば、特開平11−246704号公報、特開2001−247717号公報、または、特開2005−113113号公報に記載されている化合物を用いることができる。レターデーション低下剤の含量は、セルロースアシレートフィルムの重量(固形分)の、0.01〜30重%であることが好ましい。
本発明で採用するセルロースアシレートフィルムは波長分散調整剤を添加してもよい。波長分散剤の具体例としては、例えばベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノ基を含む化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられるが、本発明はこれら化合物だけに限定されるものではない。
Q1−Q2−OH
(一般式(101)中、Q1は含窒素芳香族ヘテロ環を表し、Q2は芳香族環を表す。)
Q1で表される含窒素芳香族ヘテロ環はさらに置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。また、置換基が複数ある場合にはそれぞれが縮環してさらに環を形成してもよい。
芳香族炭化水素環として好ましくは、炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、さらに好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。さらに好ましくはベンゼン環である。
芳香族ヘテロ環として好ましくは窒素原子あるいは硫黄原子を含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、チオフェン環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアゾール環、トリアジン環、インドール環、インダゾール環、プリン環、チアゾリン環、チアゾール環、チアジアゾール環、オキサゾリン環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、プテリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、フェナジン環、テトラゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンゾトリアゾール環、テトラザインデン環などが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン環、トリアジン環、キノリン環である。
Q2で表される芳香族環として好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくはナフタレン環、ベンゼン環であり、特に好ましくはベンゼン環である。Q2はさらに置換基を有してもよく、後述の置換基Tが好ましい。
置換基Tとしては、例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。)、置換または未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基などが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えば、フェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、アセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えば、フェニルオキシカルボニル基などが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、カルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えば、フェニルチオ基などが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、メシル基、トシル基などが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、メタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、ウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えば、ジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えば、イミダゾリル環、ピリジル環、キノリル環、フリル環、ピペリジル環、モルホリノ環、ベンゾオキサゾリル環、ベンズイミダゾリル環、ベンズチアゾリル環などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基はさらに置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(101−A)
R1およびR3としてより好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、さらに好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、アリールオキシ基、ハロゲン原子であり、よりさらに好ましくは水素原子、炭素1〜12アルキル基であり、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキル基(好ましくは炭素数4〜12)である。
一般式(102)
Q21またはQ22で表される芳香族炭化水素環として好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、さらに好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。)さらに好ましくはベンゼン環である。
Q21またはQ22で表される芳香族ヘテロ環として好ましくは酸素原子、窒素原子または硫黄原子の少なくとも1つ含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン環、ピロール環、チオフェン環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアゾール環、トリアジン環、インドール環、インダゾール環、プリン環、チアゾリン環、チアゾール環、チアジアゾール環、オキサゾリン環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キナゾリン環、シンノリン環、プテリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、フェナジン環、テトラゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンゾトリアゾール環、テトラザインデン環などが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン環、トリアジン環、キノリン環である。
Q21またはQ22さらに置換基を有してもよく、上述の置換基Tが好ましいが、置換基にカルボン酸やスルホン酸、4級アンモニウム塩を含むことはない。また、可能な場合には置換基同士が連結して環構造を形成してもよい。
一般式(102−A)
一般式(102−B)
R10として好ましくはアルキル基であり、より好ましくは炭素数5〜20のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数5〜12のアルキル基(n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、ベンジル基、などが挙げられる。)であり、特に好ましくは、炭素数6〜12のアルキル基(2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、ベンジル基)である。
以下に一般式(102)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
一般式(103)
Q31またはQ32で表される芳香族環は芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、さらに他の環と縮合環を形成してもよい。
Q31およびQ32はさらに置換基を有してもよく、上述の置換基Tが好ましい。
一般式(103−A)
なお、前述した様に、分極率異方性Δαが大きい置換基を含むセルロースアシレートを含むフィルムのみで前記第2位相差領域に要求される光学特性を満たすこともできるが、本発明には、前記第2位相差領域が、他の複屈折性フィルムや他の位相差膜を含む態様も含まれる。
本発明の偏光板は、偏光膜の片面または両面に保護膜を設けてもよい。
本発明における偏光膜用の保護膜としては、可視光領域に吸収が無く、光透過率が80%以上であり、複屈折性に基づくレターデーションが小さいものが好ましい。
具体的には、保護膜のうち、液晶層に近い側の保護膜の、面内のレターデーション値(Re)は、0〜30nmが好ましく、0〜15nmがより好ましく、0〜5nmが最も好ましい。さらに、保護膜のうち、液晶層に近い側の保護膜の、厚み方向のレターデーション値(Rth)は、−40nm〜40nmが好ましく、−20nm〜20nmがより好ましく、−10nm〜10nmが最も好ましい。保護膜は、上記のような特性を有するフィルムであれば特に定めることなく好適に用いることができるが、偏光膜の耐久性の観点からはセルロースアシレートおよびノルボルネン系のフィルムがより好ましい。
セルロースアシレートフィルムのRthを小さくする方法として、特開平11−246704号公報、特開2001−247717号公報に記載の方法等を採用できる。また、セルロースアシレートフィルムの厚みを小さくすることによっても、Rthを小さくすることができる。
本発明において、第1偏光膜用および/または第2偏光膜用保護膜としてのセルロースシレートフィルムの厚みは、10〜60μmであるのが好ましく、20〜45μmであることがさらに好ましい。
本発明は、偏光膜と光学補償機能を有する第2位相差領域(位相差膜(Z2))が一体化されて作製された、より好ましくは、偏光膜と、光学補償機能を有する第1位相差領域および第2位相差領域が一体化されて作製された、偏光板一体型補償フィルムに関する。
本発明の偏光板一体型光学補償フィルムを用いることで、より簡易な構成で、液晶表示装置の視野角特性を改善できる。また、本発明の偏光板一体型光学補償フィルムは、ロールツーロールで長尺状に作製し、その後所望の大きさに裁断して、液晶表示装置に組み込むことができるので、簡易な工程で作製可能であり、液晶表示装置の生産性の改善にも寄与する。
偏光膜は、該偏光膜の長手方向に平行な吸収軸を有し、位相差膜(Z2)は、分極率異方性大きい置換基を有するセルロースアシレートフィルムからなり、レターデーションが上述した式(a)および式(b)を満たし、かつ、該位相差膜(Z2)の長手方向に実質的に直交または平行な遅相軸を有する。
さらに好ましくは、偏光膜と第2位相差領域(位相差膜(Z2))との間に、第1位相差領域(例えば、位相差膜(Z1))を有する。
本実施形態の偏光板一体型光学補償フィルムは、偏光膜としての機能のみならず、前記第1位相差領域および第2位相差領域としての光学特性を満足する位相差層をそれぞれ有する。本実施形態の偏光板一体型光学補償フィルムは、偏光膜と位相差膜(Z2)との光学的軸合わせが容易であり、例えば、ロールツーロールで長尺状に作製され、所定の大きさに裁断された後、液晶表示装置(例えば、上述の図2の構成の液晶表示装置)に用いられる。
一枚のガラス基板上に、図1に示す様に、隣接する電極間の距離が20μmとなるように電極(図1中、画素電極2および表示電極3)を配設し、その上にポリイミド膜を配向膜として設け、ラビング処理を行なった。図1中に示す方向4に、ラビング処理を行なった。別に用意した一枚のガラス基板の一方の表面にポリイミド膜を設け、ラビング処理を行なって配向膜とした。二枚のガラス基板を、配向膜同士を対向させて、基板の間隔(ギャップ:d)を3.9μmとし、二枚のガラス基板のラビング方向が平行となるようにして重ねて貼り合わせ、次いで屈折率異方性(Δn)が0.0769および誘電率異方性(Δε)が正の4.5であるネマチック液晶組成物を封入した。液晶層のd・Δnの値は300nmであった。
ITO電極付ガラス基板上ポリイミド膜を配向膜として設け、ラビング処理を行なった。この基板を2枚製作し、配向膜同士を対向させて、基板の間隔(ギャップ;d)を1.9μmとし、二枚のガラス基板のラビング方向が平行となるようにして重ねて貼り合わせ、次いで屈折率異方性(Δn)が0.15および自発分極(Ps)が12nCcm-2である強誘電性液晶組成物を封入した。液晶層のd・Δnの値は280nmであった。
(セルロースアシレート溶液の調製)
表1に記載の組成物を耐圧性のミキシングタンクに投入して攪拌し、セルロースアシレート溶液を調製した。得られた溶液は絶対濾過精度0.01mmの濾紙(#63、東洋濾紙(株)製)で濾過し、さらに絶対濾過精度2.5μmの濾紙(FH025、ポール社製)にて濾過して所望のセルロースアシレート溶液を得た。
表1中、単位は質量部で示している。また、TPPはトリフェニルフォスフェートを、BDPはビフェニルジフェニルフォスフェートを、それぞれ示している。さらに、芳香族アシル基の番号は、上記一般式(I)で表される基の例示化合物として挙げた番号である。PAは、アシル基の総置換度を示している。
別の耐圧性のミキシングタンクに表2に記載の化合物を投入して攪拌し、添加剤溶液を調製した。得られた溶液はポールフィルター(30μm)を用いて濾過して所望の添加剤溶液を得た。
表2中、単位は、質量部で示している。
上記セルロースアシレート溶液を30℃に加温し、流延ギーサー(特開平11−314233号公報に記載)を通してバンド長60mの鏡面ステンレス支持体上に流延した。流延スピードは20m/分とした。流延部から50cm手前で、流延して回転してきた自己支持性のあるセルロースアシレートフィルムをバンドから剥ぎ取った。
剥ぎ取ったフィルムの端部をテンターのクリップで挟み、幅方向に延伸した。テンターゾーンの給気温度は140℃とし、所定の延伸倍率で延伸処理を行なった。
延伸処理したフィルムをテンターから離脱し、端部を切り取ったあと、乾燥処理を行なった。乾燥温度は所定の光学性能を実現するように120℃〜140℃の間で調製した。このようにして得られたフィルムを表3に示した。
得られたフィルムから40×50mmの大きさのサンプルを切り出し、自動複屈折計KOBRA21ADHを用いて測定した。遅相軸の検出は上記のレターデーション値の測定の際に得られる配向角から決定した。結果を表3に示した。表3中、軸方向TDは横方向を、MDは縦方向を示している。また、各主成分の使用量は質量部で示している。
(位相差膜(Z1)の作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、下記の組成を有するセルロースアセテート溶液を調製した。
セルロースアセテート溶液の組成
酢化度60.9%のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部
メタノール(第2溶媒) 54質量部
1−ブタノール(第3溶媒) 11質量部
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、下記の組成を有するセルロースアセテート溶液Aを調製した。
バンド上で流延したフィルムを剥離した後、テンターで両端を保持しながら乾燥させた。残留溶剤量が約20%のところでテンターから離脱させ、クリップ跡のある両端を切り落とした後、複数のロールからなる乾燥部で100〜135℃の温度範囲で乾燥させて巻き取った。このようにして得た保護膜の膜厚は80μmであった。
ヨウ素水溶液中で連続して染色した厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムを搬送方向に5倍延伸し、乾燥して長さ500mの偏光膜を得た。この偏光膜の一方の面に、ケン化処理したセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製、Re=2nm、Rth=45nm、厚さ80μm)を、もう一方の面に、ケン化処理した第1位相差領域1を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて連続して貼り合わせた。さらに前述の第2位相差領域1を、接着剤を用いて、第1位相差領域1の上に連続して貼り合わせて長さ500mの長尺状の偏光板一体型光学補償フィルム1を作製した。偏光膜の吸収軸はフィルム長手方向に対して平行であり、第2位相差領域1の遅相軸はフィルム長手方向に対して直交していた。
このロール状の偏光板一体型光学補償フィルム1の任意の部分から裁断し、20cm×20cmの大きさの積層偏光板1を10枚得た。なお、裁断は一方の辺が偏光膜の吸収軸と平行になるように行った。
上述と同様にして長さ500mの偏光膜を得た。この偏光膜の一方の面に、ケン化処理したフジタックTD80UFを、もう一方の面に、ケン化処理した第1位相差領域1を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて連続して貼り合わせた。さらに前述の第2位相差領域2を、接着剤を用いて、第1位相差領域1の上に連続して貼り合わせ、長さ500mの長尺状の偏光板一体型光学補償フィルム2を作製した。偏光膜の吸収軸はフィルム長手方向に対して平行であり、第2位相差領域2の遅相軸はフィルム長手方向に対して直交していた。
このロール状の偏光板一体型光学補償フィルム2の任意の部分から同様に裁断し、20cm×20cmの大きさの積層偏光板2を20枚得た。
上述と同様にして得た長尺状の偏光膜の両面に、ケン化処理したフジタックTD80UFを、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて連続して貼り合わせた。さらに前述の第2位相差領域3の2枚を、接着剤を用いて、この上に連続して貼り合わせて長尺状の偏光板一体型光学補償フィルム3を作製した。偏光膜の吸収軸はフィルム長手方向に対して平行であり、第2位相差領域3の遅相軸はフィルム長手方向に対して直交していた。
このロール状の偏光板一体型光学補償フィルム3の任意の部分から同様に裁断し、20cm×20cmの大きさの積層偏光板3を10枚得た。
上述と同様にして得た長尺状の偏光膜の一方の面に、ケン化処理したフジタックTD80UFを、もう一方の面にケン化処理した第2位相差領域4を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて連続して貼り合わせた。さらに前述の第1位相差領域1を、接着剤を用いて、第2位相差領域4の上に連続して貼り合わせて長尺状の偏光板一体型光学補償フィルム4を作製した。偏光膜の吸収軸はフィルム長手方向に対して平行であり、第2位相差領域4の遅相軸はフィルム長手方向に対して平行になっていた。
このロール状の偏光板一体型光学補償フィルム4の任意の部分から同様に裁断し、20cm×20cmの大きさの積層偏光板4を10枚得た。
上述と同様にして得た長尺状の偏光膜の一方の面に、ケン化処理したフジタックTD80UFを、もう一方の面にケン化処理した第2位相差領域5を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて連続して貼り合わせた。さらに前述の第1位相差領域1を、接着剤を用いて、第2位相差領域5の上に連続して貼り合わせて長尺状の偏光板一体型光学補償フィルム5を作製した。偏光膜の吸収軸はフィルム長手方向に対して平行であり、第2位相差領域5の遅相軸はフィルム長手方向に対して平行になっていた。
このロール状の偏光板一体型光学補償フィルム5の任意の部分から同様に裁断し、20cm×20cmの大きさの積層偏光板5を10枚得た。
上述と同様にして得た長尺状の偏光膜の一方の面に、ケン化処理したフジタックTD80UFを、もう一方の面にケン化処理した第2位相差領域6を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて連続して貼り合わせた。さらに前述のフジタックTD80UF(第一位相差領域に相当する)を、接着剤を用いて、第2位相差領域6の上に連続して貼り合わせて長尺状の偏光板一体型光学補償フィルム6を作製した。偏光膜の吸収軸はフィルム長手方向に対して平行であり、第2位相差領域6の遅相軸はフィルム長手方向に対して平行になっていた。
このロール状の偏光板一体型光学補償フィルム6の任意の部分から同様に裁断し、20cm×20cmの大きさの積層偏光板6を20枚得た。
同様にして偏光膜を製作し、市販のセルロースアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の片面に貼り付けた。さらに同様にして前記製作の厚さ60μmの保護膜1を偏光膜のもう片面に貼り付け偏光板Aを形成した。
<偏光板Bの作製>
同様にして偏光膜を製作し、市販のセルロースアセテートフィルム(フジタックT40UZ、富士写真フイルム(株)製、Re=1nm、Rth=35nm、厚さ40μm)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて偏光膜の両面に貼り付け偏光板Bを形成した。
<液晶表示装置1の作製>
作製したIPSモード液晶セルの一方に、上記で作製した偏光板一体型光学補償フィルム1をその吸収軸を液晶セルのラビング方向(黒表示時の液晶分子の遅相軸方向)と直交にして(偏光膜の透過軸が黒表示時の液晶分子の遅相軸方向と平行であるようにして)、第2位相差領域が液晶セル側になるように貼り付けた。続いて、液晶セルのもう一方の側に20cm×20cmの大きさで、一方の辺が偏光膜の吸収軸と平行になるように裁断した市販の偏光板(HLC2−5618、(株)サンリッツ製)を偏光板一体型光学補償フィルム1とクロスニコルの配置で貼り付け、液晶表示装置1を作製した。
さらに作製した液晶表示装置の漏れ光を測定した。測定はまず、暗室内に設置されたシャーカステン上に、偏光板を貼り合わせない状態で上記IPSモード液晶セルを置き、液晶セルのラビング方向を基準として左方向に45度の方位で、且つ液晶セル法線方向から方向60°の方向に1m離れたところに設置された輝度計で輝度1を測定した。
次いで、上記と同じシャーカステン上に上記液晶表示装置1を同様に配置して、暗表示の状態で同様に輝度2を測定し、これを輝度1に対する100分率で表したものを漏れ光とした。測定した漏れ光の、良品10台の平均値は0.17%であった。
<液晶表示装置2の作製>
作製したIPSモード液晶セルの一方に、上記で作製した偏光板一体型光学補償フィルム2をその吸収軸が液晶セルのラビング方向(黒表示時の液晶分子の遅相軸方向)と直交するように、第2位相差領域が液晶セル側になるように貼り付けた。続いて、上記で製作した偏光板Bを偏光板一体型光学補償フィルム2とクロスニコルの配置で貼り付け、液晶表示装置2を作製した。このように作製した10台の液晶表示装置2のうちの不良品の発生台数は0台であった。さらに、実施例1と同様な方法で漏れ光を測定したところ、良品10台の平均値は0.12%であった。
<液晶表示装置3の作製>
作製したIPSモード液晶セルの一方に、上記で作製した偏光板一体型光学補償フィルム2をその吸収軸が液晶セルのラビング方向(黒表示時の液晶分子の遅相軸方向)と直交するように、第2位相差領域が液晶セル側になるように貼り付けた。続いて、上記で製作した偏光板Aを偏光板一体型光学補償フィルム2とクロスニコルの配置で貼り付け、液晶表示装置3を作製した。このように作製した10台の液晶表示装置3のうちの不良品の発生台数は0台であった。さらに、実施例1と同様な方法で漏れ光を測定したところ、良品10台の平均値は0.04%であった。
<液晶表示装置4の作製>
作製したIPSモード液晶セルの一方に、上記で作製した偏光板一体型光学補償フィルム3をその吸収軸が液晶セルのラビング方向(黒表示時の液晶分子の遅相軸方向)と直交するように、第2位相差領域が液晶セル側になるように貼り付けた。続いて、上記で製作した偏光板Aを偏光板一体型光学補償フィルム3とクロスニコルの配置で貼り付け、液晶表示装置4を作製した。このように作製した10台の液晶表示装置4のうちの不良品の発生台数は0台であった。さらに、実施例1と同様な方法で漏れ光を測定したところ、良品10台の平均値は0.05%であった。
<液晶表示装置5の作製>
作製したIPSモード液晶セルの一方に、上記で作製した偏光板一体型光学補償フィルム4をその吸収軸が液晶セルのラビング方向(黒表示時の液晶分子の遅相軸方向)と直交するように、第1位相差領域が液晶セル側になるように貼り付けた。続いて、市販の偏光板(HLC2−5618、(株)サンリッツ製)を偏光板一体型光学補償フィルム4とクロスニコルの配置で貼り付け、液晶表示装置5を作製した。このように作製した10台の液晶表示装置5のうちの不良品の発生台数は0台であった。さらに、実施例1と同様な方法で漏れ光を測定したところ、良品10台の平均値は0.10%であった。
<液晶表示装置6の作製>
作製したIPSモード液晶セルの一方に、上記で作製した偏光板一体型光学補償フィルム5をその吸収軸が液晶セルのラビング方向(黒表示時の液晶分子の遅相軸方向)と直交するように、第1位相差領域が液晶セル側になるように貼り付けた。続いて、上記で製作した偏光板Aを偏光板一体型光学補償フィルム5とクロスニコルの配置で貼り付け、液晶表示装置6を作製した。このように作製した10台の液晶表示装置6のうちの不良品の発生台数は0台であった。さらに、実施例1と同様な方法で漏れ光を測定したところ、良品10台の平均値は0.05%であった。
<液晶表示装置7の作製>
作製したIPSモード液晶セルの一方に、上記で作製した偏光板一体型光学補償フィルム6をその吸収軸が液晶セルのラビング方向(黒表示時の液晶分子の遅相軸方向)と直交するように、第1位相差領域が液晶セル側になるように貼り付けた。続いて、上記で製作した偏光板Aを偏光板一体型光学補償フィルム6とクロスニコルの配置で貼り付け、液晶表示装置7を作製した。このように作製した10台の液晶表示装置7のうちの不良品の発生台数は0台であった。さらに、実施例1と同様な方法で漏れ光を測定したところ、良品10台の平均値は0.05%であった。
<液晶表示装置8の作製>
作製した強誘電性液晶セルの一方に、上記で作製した偏光板一体型光学補償フィルム6をその吸収軸が液晶セルに直流電圧を印加した場合の液晶の配向方向(黒表示時の液晶分子の遅相軸方向)と直交するように、第1位相差領域が液晶セル側になるように貼り付けた。続いて、製作した偏光板Aを偏光板一体型光学補償フィルム6とクロスニコルの配置で貼り付け、液晶表示装置7を作製した。このように作製した10台の液晶表示装置7のうちの不良品の発生台数は0台であった。さらに、実施例1と同様な方法で漏れ光を測定したところ、良品10台の平均値は0.05%であった。
ヨウ素水溶液中で連続して染色した厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムを搬送方向に5倍延伸し、乾燥して長さ500mの偏光膜を得た。この偏光膜の両面に、ケン化処理したセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)を貼合して、20cm×20cmの大きさに10枚裁断した。なお、裁断は一方の辺が偏光膜の吸収軸と平行になるように行った。さらにロール状の第2位相差領域3の任意の部分から裁断し、20cm×20cmの大きさの位相差板23Aを10枚得た。なお、裁断は一方の辺が第2位相差領域3の遅相軸と平行になるように行った。位相差板23Aの遅相軸と偏光板の吸収軸が直交になるようにして位相差板と偏光板を貼り合せ、偏光板一体型光学補償フィルム7とし、これを10枚作製した。
作製したIPSモード液晶セルの一方に、上記で作製した偏光板一体型光学補償フィルム7をその吸収軸が液晶セルのラビング方向(黒表示時の液晶分子の遅相軸方向)と直交するように、第2位相差領域が液晶セル側になるように貼り付けた。続いて、液晶セルのもう一方の側に上記で作製した偏光板Aをクロスニコルの配置で貼り付け、液晶表示装置9を作製した。
上記液晶表示装置9を10台作製し、実施例4と同様にして調べた不良品の発生台数は3台であった。さらに、左斜め方向60°方向での漏れ光を測定したところ、良品7台の平均値は0.09%であった。この結果から、一旦長尺状の偏光板一体型光学補償フィルムとし、その後、裁断して作製したほうが、偏光板と位相差版とを各々裁断した後、積層して作製するよりも、不良品の発生が極めて少ないことがわかった。
<液晶表示装置10の作製>
同様に作製したIPSモード液晶セルの両方に、20cm×20cmの大きさで、一方の辺が偏光膜の吸収軸と平行になるように裁断した市販の偏光板(HLC2−5618、(株)サンリッツ製)をクロスニコルの配置で貼り付け、液晶表示装置10を作製した。 上記液晶表示装置10を10台作製し、実施例1と同様にして調べた不良品の発生台数は0台であった。さらに、実施例1と同様な方法で漏れ光を測定したところ、良品10台の平均値は0.55%であった。
2 画素電極
3 表示電極
4 ラビング方向
5a、5b 黒表示時の液晶化合物のダイレクター
6a、6b 白表示時の液晶化合物のダイレクター
7a,7b 第1偏光膜用保護膜
8 第1偏光膜
9 第1偏光膜の偏光透過軸
10 第1位相差領域
12 第2位相差領域
13 第2位相差領域の遅相軸
14 第1基板
15 第1基板ラビング方向
16 液晶層
17 液晶分子の遅相軸方向
18 第2基板
19 第2基板ラビング方向
20a、20b 第2偏光膜用保護膜
21 第2偏光膜
22 第2偏光膜偏光透過軸
Claims (8)
- 少なくとも、第1偏光膜と、第2位相差膜と、第1位相差膜と、液晶層を一対の基板で挟んだ液晶セルとが該順で配置され、かつ、第2偏光膜を含み、黒表示時に前記液晶層の液晶分子が前記一対の基板の表面に対して平行に配向する液晶表示装置であって、
前記第1位相差膜の厚み方向のレターデーション値が−10nm〜150nmであり、第1位相差膜の面内レターデーション値が50nm以下であり、第2位相差膜の厚み方向のレターデーション値が0nm〜−100nmであり、第2位相差膜の面内レターデーション値が50nm〜330nmであり、
前記第2位相差膜が下記式(1)で表される分極率異方性Δαが2.5×10 -24 cm 3 〜30×10 -24 cm 3 である置換基を有し、脂肪酸アシル基と芳香族アシル基とを含む混合酸エステルからなり、アシル基の総置換度PAが1.5〜3.0であり、芳香族アシル基の置換度が0.1〜1.1であるセルロースアシレートフィルムであって、前記芳香族アシル基が、下記一般式(I)で表されることを特徴とするセルロースアシレートフィルムからなり、前記第1偏光膜の透過軸が黒表示時の液晶分子の遅相軸方向と平行であって、前記第2位相差膜の遅相軸が、前記第1偏光膜の透過軸に実質的に直交である液晶表示装置。
式(1) Δα=αx−(αy+αz)/2
(式(1)中、αx、αyおよびαzは、それぞれ、分極率テンソルを対角化後に得られる固有値であり、αx≧αy≧αzを満足する)
一般式(I)
- 前記第1偏光膜および/または前記第2偏光膜の、少なくとも前記液晶層に近い側の片面に、保護膜が設けられており、該保護膜の厚み方向のレターデーション値が40nm〜−40nmである、請求項1に記載の液晶表示装置。
- 前記第1偏光膜および/または前記第2偏光膜の、少なくとも前記液晶層に近い側の片面に、保護膜が設けられており、該保護膜の厚み方向のレターデーション値が20nm〜−20nmである、請求項1に記載の液晶表示装置。
- 前記第1偏光膜および/または前記第2偏光膜の、少なくとも前記液晶層に近い側の片面に、保護膜が設けられており、該保護膜の厚みが60μm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
- 前記第1偏光膜および/または前記第2偏光膜の、少なくとも前記液晶層に近い側の片面に、保護膜が設けられており、該保護膜がセルロースアシレートフィルムまたはノルボルネン系フィルムである請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
- 前記第2位相差膜が、前記第1偏光膜に隣接している、請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
- 前記液晶セルの一対の基板のうち視認側と反対側の基板により近い位置に、前記第1位相差膜および前記第2位相差膜が、配置されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
- 第2位相差膜が延伸処理されたセルロースアシレートフィルムからなる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
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