JP4636525B2 - トランス−4−アミノ−1−シクロヘキサンカルボン酸エチルエステルの塩およびその製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、4−アミノ−1−シクロヘキサンカルボン酸(シス体およびトランス体の混合物)を原料とし、メチルエステル体(シス体およびトランス体の混合物)の塩酸塩を経由してNPYY5受容体拮抗活性を有する化合物を合成する方法が開示されている。
特許文献2には、シス−4−アミノ−1−シクロヘキサンカルボン酸を原料とし、シス−メチルエステル体の塩酸塩およびトランス−メチルエステル体のp−トルエンスルホン酸塩を経由してNPYY5受容体拮抗活性を有する化合物を合成する方法が開示されている。
これらの方法はいずれも原料としてシス体・トランス体の混合物またはシス体を用いているため、目的物がトランス体である場合にはトランス体への変換工程が必要であった。従って、工程数が長くなる、トランス体への変換工程を実施してもシス体を完全に除去することはできない、高温反応を必要とする、等の問題を有していた。
特許文献3および特許文献4には、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤が開示されているが、その中間体として化合物(I)の塩酸塩が開示されている。
非特許文献1には、化合物(I)の塩酸塩およびその製造方法が開示されている。この方法ではベンゼンおよびジエチルエーテル等の有機溶媒が使用されているが、これらの溶媒は毒性面および安全面から医薬品の大量合成法として用いるには問題があった。
非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4および非特許文献5にも同様に化合物(I)の塩酸塩が開示されている。
また、非特許文献6には、臭酸およびジメチルエーテルを用い、4−アミノ−1−シクロヘキサンカルボン酸エチルエステル体(シス体およびトランス体の混合物)からその臭酸塩を得る方法が開示されている。
(1)塩化水素を溶解させた有機溶媒中で式(I):
で示される化合物を処理することを特徴とする、式(I)記載の化合物の塩酸塩の製造方法、
(2)塩化水素を溶解させたエタノール中で式(I):
で示される化合物を処理し、濃縮した後にトルエンを添加することを特徴とする、式(I)記載の化合物の塩酸塩の製造方法、
(3)以下の工程
(工程1)式(I):
(工程2)得られた化合物を酸化する工程、および
(工程3)得られた化合物を加水分解する工程
を含むことを特徴とする、式(V)
(4)式(I)で示される化合物の塩が塩酸塩である、上記(3)記載の製造方法、
および
(5)式(I):
を提供する。
また、
(6)上記方法により得られた化合物(V)に、式(VI):
R2NH−Z (VI)
(式中、R2は水素または低級アルキル;Zは置換基を有していてもよい低級アルキル、置換基を有していてもよい低級アルケニル、置換基を有していてもよいアミノ、置換基を有していてもよい低級アルコキシ、置換基を有していてもよい炭化水素環式基または置換基を有していてもよいヘテロ環式基)
で示される化合物を反応させる工程を包含する、式(VII):
で示される化合物の製造方法を提供する。
Zにおける「置換基を有していてもよい低級アルキル」の置換基としては、例えば、(1)ハロゲン;(2)シアノ;(3)それぞれ下記に定義する置換基群βから選択される1以上の置換可能な基で置換されていてもよい(i)ヒドロキシ、(ii)低級アルコキシ、(iii)メルカプト、(iv)低級アルキルチオ、(v)アシル、(vi)アシルオキシ、(vii)カルボキシ、(viii)低級アルコキシカルボニル、(ix)イミノ、(x)カルバモイル、(xi)チオカルバモイル、(xii)低級アルキルカルバモイル、(xiii)低級アルキルチオカルバモイル、(xiv)アミノ、(xv)低級アルキルアミノもしくは(xvi)ヘテロ環カルボニルで示される基等が挙げられる。
置換基群αとは(1)ハロゲン;(2)オキソ;(3)シアノ;(4)ニトロ;(5)低級アルキルもしくはヒドロキシで置換されていてもよいイミノ;(6)それぞれ置換基群βから選択される1以上の置換可能な基で置換されていてもよい(i)ヒドロキシ、(ii)低級アルキル、(iii)低級アルケニル、(iv)低級アルコキシ、(v)カルボキシ、(vi)低級アルコキシカルボニル、(vii)アシル、(viii)アシルオキシ、(ix)イミノ、(x)メルカプト、(xi)低級アルキルチオ、(xii)カルバモイル、(xiii)低級アルキルカルバモイル、(xiv)シクロアルキルカルバモイル、(xv)チオカルバモイル、(xvi)低級アルキルチオカルバモイル、(xvii)低級アルキルスルフィニル、(xviii)低級アルキルスルホニル、(xix)スルファモイル、(xx)低級アルキルスルファモイルおよび(xxi)シクロアルキルスルファモイル;(7)それぞれ置換基群β、低級アルキル、低級アルコキシ低級アルキル、保護されていてもよいヒドロキシ低級アルキル、ハロゲノ低級アルキル、低級アルキルスルホニルおよび/またはアリールスルホニルで置換されていてもよい、(i)シクロアルキル、(ii)シクロアルケニル、(iii)シクロアルキルオキシ、(iv)アミノおよび(v)アルキレンジオキシ;並びに(8)それぞれ置換基群β、低級アルキル、ハロゲノ低級アルキルおよび/またはオキソで置換されていてもよい(i)フェニル、(ii)ナフチル、(iii)フェノキシ、(iv)フェニル低級アルコキシ、(v)フェニルチオ、(vi)フェニル低級アルキルチオ、(vii)フェニルアゾ、(viii)ヘテロ環式基、(ix)ヘテロ環オキシ、(x)ヘテロ環チオ、(xi)ヘテロ環カルボニルおよび(xii)ヘテロ環スルホニルからなる群である。
置換基群βとはハロゲン、保護されていてもよいヒドロキシ、メルカプト、低級アルコキシ、低級アルケニル、アミノ、低級アルキルアミノ、低級アルコキシカルボニルアミノ、低級アルキルチオ、アシル、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル、カルバモイル、シアノ、シクロアルキル、フェニル、フェノキシ、低級アルキルフェニル、低級アルコキシフェニル、ハロゲノフェニル、ナフチルおよびヘテロ環式基からなる群である。
「置換基を有していてもよい低級アルケニル」の置換基としては、ハロゲン、低級アルコキシ、低級アルケニル、アミノ、低級アルキルアミノ、低級アルコキシカルボニルアミノ、低級アルキルチオ、アシル、カルボキシ、低級アルコキシカルボニル、カルバモイル、シアノ、シクロアルキル、フェニル、低級アルキルフェニル、低級アルコキシフェニル、ナフチルおよび/またはヘテロ環式基等が挙げられる。
「アシル」とは(1)炭素数1〜10、さらに好ましくは炭素数1〜6、最も好ましくは炭素数1〜4の直鎖もしくは分枝状のアルキルカルボニルもしくはアルケニルカルボニル、(2)炭素数4〜9、好ましくは炭素数4〜7のシクロアルキルカルボニルおよび(3)炭素数7〜11のアリールカルボニルを包含する。具体的には、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、アクリロイル、プロピオロイル、メタクリロイル、クロトノイル、シクロプロピルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル、シクロオクチルカルボニルおよびベンゾイル等を包含する。
「アシルオキシ」のアシル部分も上記と同様である。
「保護されていてもよいヒドロキシ」、「保護されていてもよいヒドロキシ低級アルキル」の保護基としては、通常用いられるヒドロキシ保護基すべてを包含する。例えばアシル(アセチル、トリクロロアセチル、ベンゾイル等)、低級アルコキシカルボニル(t−ブトキシカルボニル等)、低級アルキルスルホニル(メタンスルホニル等)、低級アルコキシ低級アルキル(メトキシメチル等)、トリアルキルシリル(t−ブチルジメチルシリル等)等が挙げられる。
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を包含する。特にフッ素および塩素が好ましい。
「ハロゲノフェニル」、「ハロゲノ低級アルキル」のハロゲン部分は上記「ハロゲン」と同様である。
「低級アルキレン」とは、メチレンが1〜6個、好ましくは2個〜6個、さらに好ましくは3〜6個連続した2価の基を包含し、具体的にはメチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレンおよびヘキサメチレン等が挙げられる。特に好ましくはテトラメチレンである。
「アルキレンジオキシ」の低級アルキレン部分は上記「低級アルキレン」と同様であり、好ましくはメチレンジオキシまたはエチレンジオキシである。
「シクロアルキル」とは、炭素数3〜8、好ましくは5または6の環状のアルキルを包含する。具体的には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチルおよびシクロオクチル等が挙げられる。
「シクロアルケニル」とは、上記シクロアルキルの環中の任意の位置に1以上の二重結合を有しているものを包含し、具体的にはシクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニルおよびシクロヘキサジエニル等が挙げられる。
「ビシクロアルキル」とは、2つの環が2個またはそれ以上の原子を共有している炭素数5〜8の脂肪族環から水素を1つ除いてできる基を包含する。具体的にはビシクロ[2.1.0]ペンチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチルおよびビシクロ[3.2.1]オクチル等が挙げられる。
「アリール」とは、単環または多環の芳香族炭素環式基であり、フェニル、ナフチル、アントリルおよびフェナントリル等を包含する。また、他の非芳香族炭化水素環式基と縮合しているアリールも包含し、具体的にはインダニル、インデニル、ビフェニリル、アセナフチル、テトラヒドロナフチルおよびフルオレニル等が挙げられる。特にフェニルが好ましい。
「置換基を有していてもよい炭化水素環式基」の置換基としては、上記置換基群αやβから選択される1以上の基等が挙げられ、任意の位置が置換されていてもよい。
「アリールスルホニル」のアリール部分は上記「アリール」と同様である。
ヘテロ環以外の環と縮合している縮合ヘテロ環式基(例えばベンゾチアゾリル等)は、いずれの環に結合手を有していてもよい。
Zにおけるヘテロ環式基としてはイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、イソチアゾリル、ベンゾピラニル、モルホリノ、ピリジル、キノリルおよびピリミジル等が好ましい。
「置換基を有していてもよいヘテロ環式基」の置換基は上記「炭化水素環式基」が置換されている場合の置換基と同様のものが例示される。
「ヘテロ環オキシ」、「ヘテロ環チオ」、「ヘテロ環カルボニル」、「ヘテロ環スルホニル」のヘテロ環部分は上記「ヘテロ環式基」と同様である。
まず、有機溶媒および目的の塩に対応する酸を混合し、氷冷下〜加熱下、好ましくは約10℃〜50℃、さらに好ましくは約20℃〜40℃付近で化合物(I)を添加する。化合物(I)を溶解させた有機溶媒に酸を添加して反応させてもよい。
酸の使用量は化合物(I)1モルに対して約1.0〜2.0モル当量、好ましくは約1モル当量である。
有機溶媒としては例えばトルエン、酢酸エチル、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジメチルホルムアミドまたはアルコール等を使用すればよく、好ましくはトルエン、酢酸エチルまたはアセトンである。
溶媒の使用量は、反応が可能な溶液またはスラリーを形成し得る任意の量とすればよい。例えば、反応材料の総体積に対して1〜10倍の体積の溶媒が好ましく使用され得る。
添加後、必要であればさらに有機溶媒を適当量追加し、氷冷下〜室温下、好ましくは氷冷下で約5分〜10時間、好ましくは約1時間〜3時間程度反応させる。こうして得られた反応液を濾過し、得られた結晶を必要に応じて洗浄、乾燥すればよい。
化合物(I)の塩酸塩を製造する場合、塩酸を用いることも可能であるが、上記有機溶媒中に塩化水素ガスを吹き込み、塩化水素入り有機溶媒を調整して上記の通り反応させることが好ましい。化合物(I)を溶解させた有機溶媒に塩化水素ガスを吹き込んだ後、上記と同様にして反応させることも可能である。好ましい有機溶媒は酢酸エチルである。
本法は溶媒の濃縮操作が不要であり、非常に簡便な操作で高収率で目的とする塩を得ることができる。また、上記塩酸塩の製法は無水系で行うため、ロスが少なく効率良く目的とする塩が得られる。
まず、塩化水素ガスを溶解させた有機溶媒に化合物(I)を添加し、氷冷下〜加熱下、好ましくは室温付近で約10分〜20時間、好ましくは約1時間〜5時間程度反応させる。
塩化水素ガスの使用量は化合物(I)1モルに対して約1.0〜2.0モル当量、好ましくは約1モル当量である。
有機溶媒としてはアルコール、特にエタノールが好ましい。溶媒の使用量は、反応が可能な溶液またはスラリーを形成し得る任意の量とすればよい。例えば、反応材料の総体積に対して1〜10倍の体積の溶媒が好ましく使用され得る。
得られた反応液を減圧濃縮等により濃縮し、トルエン、酢酸エチル、アセトニトリル、キシレン等の非水系溶媒を添加し、必要であれば再度濃縮する。氷冷下〜加熱下、好ましくは室温付近で約5分〜20時間、好ましくは約20分〜1時間程度反応させて得られた反応液を濾過する。こうして得られた結晶は洗浄後、乾燥すればよい。
所望により塩基存在下で化合物(I)の塩に化合物(II)を反応させて化合物(III)を得る。
塩基としては、任意の塩基が使用可能である。アルキルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、ジメチルアニリン等が例示されるが、好ましくはトリエチルアミンである。塩基の使用量は化合物(I)1モルに対して、好ましくは、約2.0〜3.0モル当量である。
化合物(II)の使用量は、化合物(I)1モルに対して、好ましくは、約1.0〜1.5モル当量である。
反応溶媒としては、反応が可能な程度にまで反応材料を溶解もしくは懸濁することができ、反応が可能な溶液またはスラリーを形成し得る任意の溶媒が使用可能である。例えば酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミドおよびトルエン等が例示されるが、好ましくはトルエン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミドである。特に、トルエンを使用した場合には中間体を単離することなく反応を進めることが可能である。
溶媒の使用量は、反応が可能な溶液またはスラリーを形成し得る任意の量が使用可能である。例えば、反応材料の総体積に対して1〜10倍の体積の溶媒が好ましく使用され得る。より好ましくは、反応材料の重量をx(g)としたときに3x(ml)の溶媒である。
反応温度は、特に制限されないが通常約−10〜50℃、好ましくは約5〜10℃である。
反応時間は、特に制限されないが通常、約1時間〜5日間、好ましくは1時間〜2日間、さらに好ましくは約1〜3時間である。
得られた生成物は、単離もしくは精製してもよく、単離もしくは精製せずにそのまま後の工程に供してもよい。単離もしくは精製せずにそのまま次の工程に用いれば、次の工程まで連続して作業を行える点で有利である。
化合物(III)を酸化して化合物(IV)を得る。
酸化剤は任意のものを使用することができるが、好ましくは過酸化水素水、過酢酸(触媒としてアニウムモリブデン酸アンモ4水和物((NH4)6Mo7O24 4H2O)、タングステン酸ナトリウムまたはその水和物)およびm−クロロ過安息香酸等が例示されるが、好ましくは過酸化水素(水触媒としてモリブデン酸アンモニウム4水和物((NH4)6Mo7O24 4H2O))である。
触媒の使用量は化合物(III)の1モルに対して、好ましくは、約0.01〜0.05モル当量である。過酸化物の使用量は、化合物(III)の1モルに対して、好ましくは、約1.0〜2.0モル当量である。
反応溶媒としては、反応が可能な程度にまで反応材料を溶解もしくは懸濁することができ、反応が可能な溶液またはスラリーを形成し得る任意の溶媒が使用可能である。トルエン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミドおよび酢酸エチル等が例示されるが、好ましくはトルエン、酢酸エチル、ジメチルホルムアミドである。
溶媒の使用量は、反応が可能な溶液またはスラリーを形成し得る任意の量が使用可能である。例えば、反応材料の総体積に対して1〜10倍の体積の溶媒が好ましく使用され得る。より好ましくは、反応材料の総重量(g)に対して3倍の体積(ml)の溶媒である。
反応温度は、特に制限されないが通常約0〜100℃、好ましくは約20〜80℃である。
反応時間は、特に制限されないが通常、約1時間〜5日間、好ましくは1時間〜2日間、好ましくは約2〜8時間である。
得られた生成物は、単離もしくは精製してもよく、単離もしくは精製せずにそのまま後の工程に供してもよい。単離もしくは精製せずにそのまま次の工程に用いれば、次の工程まで連続して作業を行える点で有利である。
化合物(IV)を加水分解して化合物(V)を得る。本工程は常法により行えばよいが、例えば化合物(IV)を水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド等の塩基および水と反応させればよい。塩基の使用量は、化合物(IV)1モルに対して、好ましくは約2.0〜3.0モル当量である。
反応溶媒としては、反応が可能な程度にまで反応材料を溶解もしくは懸濁することができ、反応が可能な溶液またはスラリーを形成し得る任意の溶媒が使用可能であり、好ましくは水である。
溶媒の使用量は、反応が可能な溶液またはスラリーを形成し得る任意の量が使用可能である。例えば、反応材料の総体積に対して1〜10倍の体積の溶媒が好ましく使用され得る。
反応温度は、好ましくは0〜40℃である。
反応時間は、好ましくは約1時間〜5日間であり、より好ましくは約2時間〜24時間である。
化合物(V)に化合物(VI)を反応させることにより化合物(VII)を得ることができる。当該反応は、例えば上記特許文献1等に記載のアミド化反応に準じて行えばよい。
例えば、化合物(V)と化合物(VI)の酸ハロゲン化物(例えば塩化チオニル、オキサリルクロリドまたはオキシ塩化リン等を用いる)、酸無水物、活性化エステル等の活性化体を適当な溶媒中、約0℃〜100℃で約3分〜10時間程度反応させる。溶媒としてはテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、トルエン、ベンゼン、キシレン、シクロヘキサン、へキサン、クロロホルム、酢酸エチル、酢酸ブチル、ペンタン、ヘプタン、ジオキサン、アセトン、アセトニトリル、水およびそれらの混合溶媒等が使用可能であり、好ましくはトルエンまたはテトラヒドロフランである。また必要であれば塩基(好ましくはトリエチルアミンまたはピリジン等)、塩化チオニル、酸ハロゲン化物(例えば塩化チオニル、オキサリルクロリドまたはオキシ塩化リン等)、酸無水物、活性化エステル等の活性化剤を用いてもよい。
別法として、化合物(V)および化合物(VI)を適当な溶媒(例えばテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、トルエン、ベンゼン、キシレン、シクロヘキサン、へキサン、クロロホルム、酢酸エチル、酢酸ブチル、ペンタン、ヘプタン、ジオキサン、アセトン、アセトニトリル、水およびそれらの混合溶媒等)中、縮合剤存在下、約0℃〜100℃で約3分〜10時間程度反応させても目的化合物を得ることができる。縮合剤としては例えば1,1−カルボニルジイミダゾール、ジシクロヘキシルカルボジイミドまたは水溶性カルボジイミド(1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)等が使用できる。
0.1M塩化水素/エタノール溶液(380ml、38mmol)に化合物(I)3.25g(19.0mmol)を加え、室温で約2時間攪拌後、反応溶液を17gまで減圧濃縮した。濃縮液にトルエン49mLを加え、濃縮液が24gとなるまで減圧濃縮した。室温下30分間攪拌後、ろ過し、結晶はトルエン49mLで洗浄した。得られた結晶を減圧乾燥し、化合物(I)塩酸塩を3.85g(収率97.6%)得た。
4mol/LでHClガスを吹き込んで溶解させた塩化水素入り酢酸エチル15.3mLと酢酸エチル15mLを混合した溶液に、化合物(I)10.00g(58.4mmol)を攪拌しながら23℃から39℃で9分かけて滴下し、酢酸エチルを20mL追加してさらに氷冷で1時間攪拌した。この混合物を濾過し、得られた結晶を酢酸エチル20mLで洗浄後、減圧加熱乾燥して化合物(I)塩酸塩11.82g(収率97.4%)を得た。
13% 塩化水素/エタノール溶液36.03gとエタノール150mLに化合物(I)20.00g(116.8mmol)を加え、室温で10分間攪拌後不溶物を除去し、反応溶液を86gまで減圧濃縮した。濃縮液にアセトニトリル350mLを加え室温下1.5時間攪拌後、ろ過し、結晶はアセトニトリル150mLで洗浄した。得られた結晶を減圧乾燥し、化合物(I)塩酸塩を16.07g(収率66.2%)得た。
化合物(I)10.00g(58.4mmol)とトルエン30mLを混合した溶液に、35%塩酸6.39gを攪拌しながら22℃から35℃で11分かけて滴下し、さらに室温で1時間攪拌した。この混合物を濾過し、得られた結晶をトルエン20mLで洗浄後、減圧加熱乾燥して化合物(I)塩酸塩7.20g(収率59.4%)を得た。
化合物(I)10.00g(58.4mmol)とアセトン30mLを混合した溶液に、35%塩酸6.39gを攪拌しながら21℃から32℃で10分かけて滴下し、さらに室温で1時間攪拌した。この混合物を濾過し、得られた結晶をアセトン20mLで洗浄後、減圧加熱乾燥して化合物(I)塩酸塩5.17g(収率42.6%)を得た。
化合物(I)10.00g(58.4mmol)と酢酸エチル30mLを混合した溶液に、35%塩酸6.39gを攪拌しながら21℃から34℃で10分かけて滴下し、さらに室温で1時間攪拌した。この混合物を濾過し、得られた結晶を酢酸エチル20mLで洗浄後、減圧加熱乾燥して化合物(I)塩酸塩6.69g(収率55.2%)を得た。
化合物(I)10.00g(58.4mmol)と酢酸エチル30mLを混合した溶液に、35%塩酸6.39gを攪拌しながら22℃から39℃で11分かけて滴下し、室温で1時間攪拌した。酢酸エチルを25mL追加した後、減圧濃縮を行った。酢酸エチルを40mL加えての減圧濃縮を3回実施した後、この混合物を濾過し、得られた結晶を酢酸エチル20mLで洗浄後、減圧加熱乾燥して化合物(I)塩酸塩11.59g(収率95.6%)を得た。
化合物(I)10.00g(58.4mmol)とトルエン30mLを混合した溶液に、35%塩酸6.39gを攪拌しながら23℃から36℃で5分かけて滴下し、室温で1時間攪拌した。減圧濃縮を行った後、トルエン40mLを加えて減圧濃縮をさらに3回実施した。この混合物を濾過し、得られた結晶をトルエン20mLで洗浄後、減圧加熱乾燥して化合物(I)塩酸塩9.85g(収率81.2%)を得た。
メタンスルホン酸5.89g(58.4mmol)とトルエン30mLを混合した溶液に、化合物(I)10.00gを攪拌しながら20℃から37℃で15分かけて滴下し、トルエンを20mL追加した後さらに氷冷で1時間攪拌した。この混合物を濾過し、得られた結晶をトルエン20mLで洗浄後、減圧加熱乾燥して化合物(I)メタンスルホン酸塩15.34g(収率98.3%)を得た。
p−トルエンスルホン酸1水和物11.66gとトルエン30mLを混合した溶液に、化合物(I)10.00g(58.4mmol)を攪拌しながら21℃から38℃で12分かけて滴下し、トルエンを20mL追加した後さらに氷冷で1時間攪拌した。この混合物を濾過し、得られた結晶をトルエン20mLで洗浄後、減圧加熱乾燥して化合物(I)p−トルエンスルホン酸塩20.01g(収率99.8%)を得た。
97%硫酸3.10gとトルエン30mLを混合した溶液に、化合物(I)10.00g(58.4mmol)を攪拌しながら22℃から38℃で11分かけて滴下し、トルエンを20mL追加した後さらに氷冷で1時間攪拌した。この混合物を濾過し、得られた結晶をトルエン20mLで洗浄後、減圧加熱乾燥して化合物(I)硫酸塩12.85g(収率99.9%)を得た。
酢酸3.68gとトルエン30mLを混合した溶液に、化合物(I)10.00g(58.4mmol)を攪拌しながら19℃から39℃で11分かけて滴下し、トルエンを20mL追加した後さらに氷冷で1時間攪拌した。この混合物を濾過し、得られた結晶をトルエン20mLで洗浄後、減圧加熱乾燥して化合物(I)酢酸塩12.96g(収率95.9%)を得た。
酢酸3.68gと酢酸エチル50mLを混合した溶液に、化合物(I)10.00g(58.4mmol)を攪拌しながら20℃から39℃で9分かけて滴下し、氷冷で1時間攪拌した。この混合物を濾過し、得られた結晶を酢酸エチル20mLで洗浄後、減圧加熱乾燥して化合物(I)酢酸塩12.71g(収率94.1%)を得た。
化合物(I)10.00g(58.4mmol)とアセトン30mLを混合した溶液に、酢酸3.68gを攪拌しながら20℃から37℃で5分かけて滴下し、氷冷で2.5時間攪拌した。この混合物を濾過し、得られた結晶をアセトン20mLで洗浄後、減圧乾燥して化合物(I)酢酸塩12.57g(収率93.1%)を得た。
98%ギ酸2.88gとトルエン30mLを混合した溶液に、化合物(I)10.00g(58.4mmol)を攪拌しながら19℃から36℃で7分かけて滴下し、トルエンを20mL追加した後さらに氷冷で1時間攪拌した。この混合物を濾過し、得られた結晶をトルエン20mLで洗浄後、減圧加熱乾燥して化合物(I)ギ酸塩12.32g(収率97.1%)を得た。
化合物(I)10.00g(58.4mmol)とアセトン30mLを混合した溶液に、ギ酸3.68gを攪拌しながら21℃から39℃で8分かけて滴下し、氷冷で1時間攪拌した。この混合物を濾過し、得られた結晶をアセトン20mLで洗浄後、減圧加熱乾燥して化合物(I)ギ酸塩12.32g(収率97.1%)を得た。
化合物(I)の塩酸塩6.00gにトルエン15mL、化合物(II−1)4.47gを加え2℃に冷却した後、トリエチルアミン6.72gを2℃から10℃の間で14分かけて滴下した。この混合物を0℃から10℃で60分間攪拌し、水道水12mLを加えた。この混合物に0.5M 硫酸水14.68gを10℃から18℃で滴下し、pHを5.6とした。40℃まで昇温し、塩化ナトリウム1.2gを加えた後、分液することによって上層28.1gを得た(化合物(III−1)トルエン溶液)。七モリブデン酸六アンモニウム四水和物1.07gと35%過酸化水素水4.21gを混合した溶液に上記化合物(III−1)トルエン溶液を40℃から55℃で26分かけて滴下し、40℃付近で210分間攪拌した。この混合物に8%亜硫酸ナトリウム水48mLを34℃から49℃で9分かけて滴下し、残存過酸化物を除去した後トルエン24mLを追加し分液して上層49.41gを得た(化合物(IV−1)トルエン溶液)。この化合物(IV−1)トルエン溶液に水51mLを加えた後、48%水酸化ナトリウム水溶液6.02gを添加し、55℃付近で60分間攪拌した。この混合物を分液し、水層を40℃まで冷却した後、10%硫酸水36.67gを40℃から42℃で滴下することによってpHを2.5とし、中和晶析させた。この混合物を3℃付近で30分攪拌した後、反応混合物を濾過し、濾物を42mLの水道水で洗浄した。未乾晶を取り出し、減圧下加熱(50℃)乾燥し、6.01gの化合物(V−1)を得た(収率79.0% アミノエチルエステル塩酸塩基準)。得られた化合物(V−1)は特許文献2に記載の化合物13と同一物質であった。
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