以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態にかかるダイレクトドライブモータを用いたフロッグレッグアーム式搬送装置の斜視図である。図1において、4つのダイレクトドライブモータD1、D2、D3,D4を直列に連結している。一番下のダイレクトドライブモータD1のロータには、第1アームA1が連結され、第1アームA1の先端には第1リンクL1が枢動可能に連結されている。一方、その上のダイレクトドライブモータD2のロータには、第2アームA2が連結され、第2アームA2の先端には第2リンクL2が枢動可能に連結されている。更に上のダイレクトドライブモータD3のロータには、第1アームA1’が連結され、第1アームA1’の先端には第1リンクL1’が枢動可能に連結されている。更に、一番上のダイレクトドライブモータD4のロータには、第2アームA2’が連結され、第2アームA2’の先端には第2リンクL2’が枢動可能に連結されている。リンクL1,L2は、ウエハWを載置するテーブルTに、それぞれ枢動可能に連結されており、リンクL1’,L2’は、別なウエハWを載置するテーブルT’に、それぞれ枢動可能に連結されている。
図1より明らかであるが、ダイレクトドライブモータD1、D2のロータがそれぞれ同方向に回転すれば、テーブルTも同方向に回転し、かかるロータが逆方向に回転すれば、テーブルTは、ダイレクトドライブモータD1、D2に接近もしくは離隔するようになっている。従って、ダイレクトドライブモータD1、D2を任意の角度で回転させれば、テーブルTが届く範囲内で、任意の2次元位置にウエハWを搬送させることができる。一方、ダイレクトドライブモータD3、D4のロータがそれぞれ同方向に回転すれば、テーブルT’も同方向に回転し、かかるロータが逆方向に回転すれば、テーブルT’は、ダイレクトドライブモータD3、D4に接近もしくは離隔するようになっている。従って、ダイレクトドライブモータD3、D4を任意の角度で回転させれば、テーブルT’が届く範囲内で、任意の2次元位置にウエハWを搬送させることができる。
このように例えば半導体製造装置における真空槽内に配置されるウエハ搬送アーム、例えばスカラ型や図に示すフロッグレッグ型のように複数のアームを備えた装置では、特に複数の回転モータが必要となる。真空環境では外界との接触表面積を極力小さくすると同時に、スぺースを有効に活用するためにモータ等の取付穴はなるべく少なくする必要がある。また、ウエハWを水平にまっすぐに、振動を極力少なくして搬送するためには、アームの先端に作用するモーメントをロータ支持部で強固に保持する必要がある。そこで、ダイレクトドライブモータD1、D2、D3,D4を複数、ハウジング部分で同軸に連結し、連結部分はシールで密に接合(溶接、Oリング、金属ガスケット、等による密な接合)して、モータロータの配設された空間とハウジング外部空間とを離隔することも必要となる。
また、ウエハWを水平にまっすぐ、振動を少なく搬送するためにはアームA1、A2、A1’、A2’の先端に作用するモーメントを、ロータ支持部で強固に保持する必要がある。更に、又、真空環境での複数軸のアーム駆動の際には、電源投入時に現在のアームの回転位置を認識しないと真空槽の壁や、真空槽のシャッタにアームA1,A2、A1’、A2’等をぶつけてしまう可能性がある。このような要求に応じることができるダイレクトドライブモータを同軸に連結したモータシステムについて説明する。
本実施の形態は、表面磁石型の32極36スロットアウターロータ式ブラシレスタイプのダイレクトドライブモータを用いる。32極36スロットというスロットコンビネーションは、コギング力は小さいが径方向に磁気吸引力が発生し回転時の振動は大きいことが一般的に知られている8極9スロットというスロットコンビネーションの4倍の構成である。2n倍(nは整数)にしたことにより、径方向の磁気吸引力は相殺されるので、固定子と回転子の真円度や同軸度および機構部品の剛性を高めることなく回転時の振動を小さくでき、かつ、本来的にコギングが小さい構成であるので、非常に滑らかな回転が得られる。一方、このような非常に多極なモータとすることにより、機械角の周期に対する電気角の周期が多いので、位置決め制御性が良い。よって、本発明の如く、減速器を用いずにロボット装置を駆動するようなダイレクトドライブモータには好適である。また、総磁束量を下げることなく固定子連結部の肉厚と突極幅、および回転子のヨーク肉厚を狭くできるので、本発明の如く、薄型かつ大径幅狭のダイレクトドライブモータには好適である。
図2は、図1の構成をII-II線で切断して矢印方向に見た図である。図2を参照して、4軸のモータシステムの内部構造について詳細に説明する。まず、ダイレクトドライブモータD1について説明する。定盤Gに据え付けた円板10の中央開口10aに嵌合しボルト11により、中空円筒状の第1の本体12が相互に固定されている。第1の本体12は、その上端外周に縮径部12hを形成している。第1の本体12と類似の形状の第2の本体112は、その下端内周に大径部112hを形成している。縮径部12hを、大径部112hに嵌合することによって、第1の本体12と第2の本体112とは同軸に連結されている。本体12、112の中央は、ステータへの配線などを通すために用いることができる。第1の本体12,円板10及び第2の本体112によりハウジングを構成する。
第2の本体112の上面には、蓋部材101により中央開口を閉止された円板部材110が取り付けられている。円板部材110は、下面に隔壁13の上端をボルト止めしており、また外周に軸受ホルダ107を取り付けている。円板部材110,蓋部材101,軸受ホルダ107は、耐食性が高いオーステナイト系ステンレスを材料としている。軸受ホルダ107については後述する。
隔壁13は、非磁性体であるステンレス製であり、円板部材110に取り付けられた肉厚の円板部13aと、その周縁から軸線方向にダイレクトドライブモータD4、D3、D2,D1を貫くようにして延在する薄肉の円筒部13bとからなる。円板部13aの下面から延在するフランジ13cが、円筒部13bの上端にTIG溶接されている。すなわち、隔壁13は、ダイレクトドライブモータD1〜D4に共通に用いられる。
円筒部13bの下端は、TIG溶接にて封止可能にホルダ15に接合され、ホルダ15は、円板10にボルト16により固定されている。ここで、円筒部13bの溶接部を略同一厚さとすることにより、片側への部品にのみ熱が逃げることを抑制し、嵌合部を均一に溶接できる構造となっている。ホルダ15と円板10の接触面には、シール部材を填め込む溝加工が施してあり、シール部材ORを溝に填め込んだ後にホルダ15と円板10をボルト16により締結することにより、締結部分を大気側から分離隔絶している。隔壁13は耐食性が高く、特に磁性の少ないオーステナイト系ステンレスのSUS316を材料としており、ホルダ15は隔壁13との溶接性から同じくSUS316を材料としている。
更に、円板部材110と隔壁13,及び隔壁13とホルダ15とは気密的に接合され、且つホルダ15と円板10、及び円板10と定盤Gとは、それぞれO−リングORによって気密されている。従って、円板10と、円板部材110と、隔壁13とで囲われる内部空間は、その外部から気密されている。尚、隔壁13は必ずしも非磁性体である必要はない。又、O−リングORを用いて気密する代わりに、電子ビーム溶接やレーザビーム溶接などで部材間を気密してもも良い。
円板10の外周上面において、軸受ホルダ17が一体的に形成されている。軸受ホルダ17には、真空中で用いられる4点接触式玉軸受19の外輪が嵌合的に取り付けられ、ボルト20により固定されている。一方、軸受19の内輪は、第1外側ロータ部材21を内包嵌合した2重円筒状の円筒状部材23に嵌合し、第1外側ロータ部材21を共締めするボルト22により固定されている。すなわち、第1外側ロータ部材21は、アームA1(図1)を支持する円筒状部材23により、隔壁13に対して回転自在に支持されている。尚、第1外側ロータ部材21と円筒状部材23とで、外側ロータを構成する。
円板10および軸受ホルダ17は、耐食性が高いオーステナイト系ステンレスを材料としており、円板10は、チャンバである定盤Gとの嵌合固定およびシール装置を兼ねており、その下面に、O−リングORを填め込む溝10bが設けられている。
軸受19は、ラジアル、アキシアル、モーメント荷重を1個の軸受で負荷できる4点接触玉軸受である。この形式の軸受を用いることにより、ダイレクトドライブモータD1の軸受は1個で済むため、本発明の4軸同軸モータシステムを薄型化できる。軸受19は、内外輪とも耐食性が高くかつ焼入れによる硬化が得られるマルテンサイト系ステンレスを材料とし。転動体はセラミックボール、潤滑剤は真空であっても固化しない真空用のグリスを用いている。
尚、軸受19は内輪と外輪に金や銀などの軟質金属をプレーティングして、真空中でもアウトガス放出のない金属潤滑としたものを用いてもよく、また4点接触式玉軸受であるので、アームA1からの第1外側ロータ部材21がチルトする方向のモーメントを受けることができるが、4点接触式に限らず、クロスローラ、クロスボール、クロステーパ軸受も用いることができ、予圧状態で用いても良いし、潤滑性向上のためフッ素系被膜処理(DFO)を行っても良い。
第1外側ロータ部材21は、永久磁石21aと、磁路を形成するため磁性体から成る円環状のヨーク21bと、永久磁石21aとヨーク21bを機械的に締結するための非磁性体からなるくさび(不図示)によって構成されている。永久磁石21aは、32極の構成でN極、S極の磁石が各16個交互に磁性金属からなり、極ごとに分割されたセグメント形式であり、その個々の形状は扇形である。内径と外径の円弧中心は同一であるが、円周方向端面の接線交点を永久磁石21a寄りとすることで、くさびをヨーク21b外径側からねじで締め上げることにより永久磁石21aをヨーク21bに締結している。このような構成とすることにより、接着剤など、アウトガスを発生する固定部材を用いることなく永久磁石を締結できる。永久磁石21aはエネルギー積の高いネオジウム(Nd−Fe−B)系磁石であり、耐食性を高めるためにニッケルコーティングを施してある。ヨーク21bは高い磁性を有する低炭素鋼を材料とし、加工成型後に、防錆および耐食性を高め、かつ軸受交換時の磨耗を防ぐためにニッケルめっきを施している。
隔壁13の半径方向内側において、第1外側ロータ部材21の内周面に対向するようにして、第1ステータ29が配置されている。第1ステータ29は、本体12の中央で半径方向に延在したフランジ部12aの円筒状に変形した下部に取り付けられており、電磁鋼板の積層材で形成され、各突極には絶縁処理としてボビンを嵌め込んだ後にモータコイルが集中巻されている。第1ステータ29の外径は隔壁13の内径と略同一もしくは小さい寸法としている。
第1ステータ29に隣接且つ平行して、第1内側ロータ30が配置されている。第1内側ロータ30は、本体12の外周面にボルト固定されたレゾルバホルダ32に対して、玉軸受33により回転自在に支持されている。第1内側ロータ30の外周面には、バックヨーク30bを介して永久磁石30aが取り付けられている。永久磁石30aは、第1外側ロータ部材21の永久磁石21aと同様に32極の構成でN極、S極の磁石が各16個交互に磁性金属からなっている。従って、第1内側ロータ30は、第1ステータ29によって駆動される第1外側ロータ部材21に同期して連れ回されるようになっている。
第1内側ロータ30を回転自在に支持する軸受33は、ラジアル、アキシアル、モーメント荷重を1個の軸受で負荷できる4点接触玉軸受である。この形式の軸受を用いることにより、1個の軸受で済むため、ダイレクトドライブモータD1を薄型化できる。隔壁13の内部は大気環境であるため、一般的な軸受鋼と鉱油を基油としたグリス潤滑を用いた軸受を適用できる。
隔壁13内部は大気環境であるため、永久磁石30aはバックヨーク30bに接着固定してある。永久磁石30aはエネルギー積の高いネオジウム(Nd−Fe−B)系磁石であり、錆による減磁を防ぐためにニッケルコーティングを施してある。ヨーク30bは高い磁性を有する低炭素鋼を材料とし、加工成形後に防錆のためにクロメートめっきを施している。
第1内側ロータ30の内周には、回転角度を計測する検出器として、レゾルバロータ34a及び34bを組みつけており、それに対向する形で、レゾルバホルダ32の外周に、レゾルバステータ35,36を取り付けているが、本実施の形態では、高分解能のインクリメンタルレゾルバステータ35と、1回転のいずれの位置にロータがあるかを検出できるアブソリュートレゾルバステータ36とを2層に配置している。このため電源投入時にも、アブソリュートレゾルバロータ34bの回転角度がわかり、原点復帰が不要であり、また、コイルに対する磁石の電気的位相角度がわかるため、ダイレクトドライブモータD1の駆動電流制御に使用する回転角度検出が、極検出センサを用いることなく可能となっている。
レゾルバホルダ32と第1内側ロータ30は、モータの界磁およびモータコイルからの電磁ノイズが角度検出器であるレゾルバステータ35,36に伝達されないように、磁性体である炭素鋼を材料とし、加工成型後に防錆のためにクロメートめっきを施している。
本実施の形態に用いている高分解能の可変リラクタンス形レゾルバにおいて、インクリメンタルレゾルバロータ34aは、一定のピッチを有する複数のスロツト歯列を有し、インクリメンタルレゾルバステータ35の外周面には、回転軸と平行に各磁極でインクリメンタルレゾルバロータ34aに対して位相をずらした歯が設けられており、コイルが各磁極に巻回されている。第1内側ロータ30と一体でインクリメンタルレゾルバロータ34aが回転すると、インクリメンタルレゾルバステータ35の磁極との間のリラクタンスが変化し、インクリメンタルレゾルバロータ34aの1回転でリラクタンス変化の基本波成分がn周期となるようにして、そのリラクタンス変化を検出して、図3に例を示すレゾルバ制御回路によりデジタル化し、位置信号として利用することでインクリメンタルレゾルバロータ34a即ち第1内側ロータ30の回転角度(又は回転速度)を検出するようになっている。レゾルバロータ34a、34bと、レゾルバステータ35,36とで検出器を構成する。
本実施の形態によれば、第1外側ロータ部材21に対して、磁気カップリング作用により第1内側ロータ30が同速で回転し、すなわち連れ回るので、第1外側ロータ部材21の回転角を隔壁13越しに検出することができる。また、本実施の形態では、モータを形成する部品やハウジングを用いることなくレゾルバ単体で軸受33を有しており、従ってハウジングに組み込む前に、レゾルバ単体での偏芯調整やレゾルバコイルの位置調整などの精度調整が行えるので、ハウジングや両フランジに調整用の穴や切り欠きを別途設ける必要がない。
次に、ダイレクトドライブモータD2について説明するが、ここでは第1の本体12がハウジングを構成する。上述したダイレクトドライブモータD1の円筒状部材23は、ダイレクトドライブモータD2に重合する位置まで上方に延在しており、その内周面に、真空中で用いられる4点接触式玉軸受19’の外輪が嵌合的に取り付けられ、ボルト20’により固定されている。一方、軸受19’の内輪は、二重円筒状のリング状部材23’の周面に嵌合し、第2外側ロータ部材21’を共締めするボルト22’により固定されている。すなわち、第2外側ロータ部材21’は、アームA2(図1)を支持するリング状部材23’により、隔壁13に対して回転自在に支持されている。尚、第2外側ロータ部材21’とリング状部材23’とで、外側ロータを構成する。
軸受19’は、ラジアル、アキシアル、モーメント荷重を1個の軸受で負荷できる4点接触玉軸受である。この形式の軸受を用いることにより、ダイレクトドライブモータD2の軸受は1個で済むため、本発明の4軸同軸モータを薄型化できる。内外輪とも耐食性が高くかつ焼入れによる硬化が得られるマルテンサイト系ステンレスを材料とし。転動体はセラミックボール、潤滑剤は真空であっても固化しない真空用のグリスを用いている。
尚、軸受19’は内輪と外輪に金や銀などの軟質金属をプレーティングして、真空中でもアウトガス放出のない金属潤滑としたものを用いてもよく、また4点接触式玉軸受であるので、アームA1からの第2外側ロータ部材21’がチルトする方向のモーメントを受けることができるが、4点接触式に限らず、クロスローラ、クロスボール、クロステーパ軸受も用いることができ、予圧状態で用いても良いし、潤滑性向上のためフッ素系被膜処理(DFO)を行っても良い。
また、リング状部材23’は、軸受19’の内輪を嵌合固定する面を有している。4点接触玉軸受19’は非常に薄肉の軸受であり、組みつけられる部材の精度や線膨張係数の差異により回転精度や摩擦トルクが大きな影響を受ける。よって本実施の形態の場合は、回転輪である軸受19’の内輪を、加工精度を出しやすくかつ線膨張係数が軸受の軌道輪材質と略同一であるリング状部材23’に締まり嵌めあるいは中間嵌めとし、固定輪である軸受19’の外輪を、円筒状部材23の内周にすきま嵌めとすることで、軸受19’の回転精度の低下や温度上昇による摩擦トルクの上昇を防ぐ構成となっている。
第2外側ロータ部材21’は、永久磁石21a’と、磁路を形成するため磁性体から成る円環状のヨーク21b’と、永久磁石21a’とヨーク21b’を機械的に締結するための非磁性体からなるくさび(不図示)によって構成されている。永久磁石21a’は、32極の構成でN極、S極の磁石が各16個交互に磁性金属からなり、極ごとに分割されたセグメント形式であり、その個々の形状は扇形である。内径と外径の円弧中心は同一であるが、円周方向端面の接線交点を永久磁石21a’寄りとすることで、くさびをヨーク21b’外径側からねじで締め上げることにより永久磁石21a’をヨーク21b’に締結している。このような構成とすることにより、接着剤など、アウトガスを発生する固定部材を用いることなく永久磁石を締結できる。永久磁石21a’はエネルギー積の高いネオジウム(Nd−Fe−B)系磁石であり、耐食性を高めるためにニッケルコーティングを施してある。ヨーク21b’は高い磁性を有する低炭素鋼を材料とし、加工成型後に、防錆および耐食性を高め、かつ軸受交換時の磨耗を防ぐためにニッケルめっきを施している。
隔壁13の半径方向内側において、第2外側ロータ部材21’の内周面に対向するようにして、第2ステータ29’が配置されている。第2ステータ29’は、第1の本体12の中央で半径方向に延在したフランジ部12aの円筒状に変形した上部に取り付けられており、電磁鋼板の積層材で形成され、各突極には絶縁処理としてボビンを嵌め込んだ後にモータコイルが集中巻されている。第2ステータ29’の外径は隔壁13の内径と略同一もしくは小さい寸法としている。
第2ステータ29’の半径方向内側に、第2内側ロータ30’が配置されている。第2内側ロータ30’は、第1の本体12の外周面にボルト固定されたレゾルバホルダ32’に対して、玉軸受33’により回転自在に支持されている。第2内側ロータ30’の外周面には、バックヨーク30b’を介して永久磁石30a’が取り付けられている。永久磁石30a’は、第2外側ロータ部材21’の永久磁石21a’と同様に32極の構成でN極、S極の磁石が各16個交互に磁性金属からなっている。従って、第2内側ロータ30’は、第2ステータ29’によって第2外側ロータ部材21’に同期して回転駆動されるようになっている。
第2内側ロータ30’を回転自在に支持する軸受33’は、ラジアル、アキシアル、モーメント荷重を1個の軸受で負荷できる4点接触玉軸受である。この形式の軸受を用いることにより、1個の軸受で済むため、ダイレクトドライブモータD2を薄型化できる。隔壁13の内部は大気環境であるため、一般的な軸受鋼と鉱油を基油としたグリス潤滑を用いた軸受を適用できる。
隔壁13内部は大気環境であるため、永久磁石30a’はバックヨーク30b’に接着固定してある。永久磁石30a’はエネルギー積の高いネオジウム(Nd−Fe−B)系磁石であり、錆による減磁を防ぐためにニッケルコーティングを施してある。ヨーク30b’は高い磁性を有する低炭素鋼を材料とし、加工成形後に防錆のためにクロメートめっきを施している。
第2内側ロータ30’の内周には、回転角度を計測する検出器として、レゾルバロータ34b’を組みつけており、それに対向する形で、レゾルバホルダ32’の外周に、レゾルバステータ35’,36’を取り付けているが、本実施の形態では、高分解能のインクリメンタルレゾルバステータ35’と、1回転のいずれの位置にロータがあるかを検出できるアブソリュートレゾルバステータ36’とを2層に配置している。このため電源投入時にも、アブソリュートレゾルバロータ34’の回転角度がわかり、原点復帰が不要であり、また、コイルに対する磁石の電気的位相角度がわかるため、ダイレクトドライブモータD2の相対回転角度を、極検出センサを用いることなく可能となっている。
レゾルバホルダ32’と第2内側ロータ30’は、モータの界磁およびモータコイルからの電磁ノイズが角度検出器であるレゾルバステータ35’,36’に伝達されないように、磁性体である炭素鋼を材料とし、加工成型後に防錆のためにクロメートめっきを施している。
本実施の形態によれば、第2外側ロータ部材21’に対して、磁気カップリング作用により第2内側ロータ30’が同速で回転し、すなわち連れ回るので、第2外側ロータ部材21’の回転角を隔壁13越しに検出することができる。また、本実施の形態では、モータを形成する部品やハウジングを用いることなくレゾルバ単体で軸受33’を有しており、従ってハウジングに組み込む前に、レゾルバ単体での偏芯調整やレゾルバコイルの位置調整などの精度調整が行えるので、ハウジングや両フランジに調整用の穴や切り欠きを別途設ける必要がない。
本実施の形態に用いている高分解能の可変リラクタンス形レゾルバにおいて、インクリメンタルレゾルバロータ34a’は、一定のピッチを有する複数のスロツト歯列を有し、インクリメンタルレゾルバステータ35’の外周面には、回転軸と平行に各磁極でインクリメンタルレゾルバロータ34a’に対して位相をずらした歯が設けられており、コイルが各磁極に巻回されている。第1内側ロータ30と一体でインクリメンタルレゾルバロータ34a’が回転すると、インクリメンタルレゾルバステータ35’の磁極との間のリラクタンスが変化し、インクリメンタルレゾルバロータ34a’の1回転でリラクタンス変化の基本波成分がn周期となるようにして、そのリラクタンス変化を検出して、図3に例を示すレゾルバ制御回路によりデジタル化し、位置信号として利用することでインクリメンタルレゾルバロータ34a’即ち第1内側ロータ30の回転角度(又は回転速度)を検出するようになっている。レゾルバロータ34a’、34b’と、レゾルバステータ35’,36’とで検出器を構成する。
尚、フランジ部12aを中心として第1ステータ29と第2ステータ29’を上下に配置し、その半径方向内側にレゾルバを配置している。また、第1の本体12は中空構造となっており、フランジ部12aには中央に連通する径方向の通し穴12dが少なくとも1つ設けてあり、ここを介してモータ配線を第1の本体12の中央に引き出す構造となっている。一方、第1の本体12の両端部にはそれぞれ少なくとも1つの切り欠き12e、12eが設けてあり、これらを介してレゾルバの配線を第1の本体12の中央に引き出す構造となっている。このような構造とすることで、ハウジング側から順に、ダイレクトモータD1のレゾルバ、ステータ29、ダイレクトモータD2のステータ29’、そのレゾルバの順で配置することが可能となり、2軸でありながら容易にステータとレゾルバの角度調整が行える。そこで、基準となる外側ロータを回転駆動する設備を別に用意しておけば、その設備にステータとレゾルバを組み込んだ第1の本体12をセットすることにより、高精度にステータに対するレゾルバの角度調整ができるので、コンミテーションずれによる角度位置決め精度の低下を防ぎ、かつ、本発明の4軸同軸モータに対する駆動制御回路の互換性を高めることができる。
図4は、ダイレクトドライブモータD1、D2の駆動回路を示すブロック図である。外部のコンピュータからモータ回転指令が入力されたとき、ダイレクトドライブモータD1用のモータ制御回路DMC1及びダイレクトドライブモータD2用のモータ制御回路DMC2は、それぞれ、そのCPUから3層アンプ(AMP)に駆動信号を出力し、3層アンプ(AMP)からダイレクトドライブモータD1、D2に駆動電流が供給される。それによりダイレクトドライブモータD1、D1の外側ロータ部材21,21’が独立して回転し、アームA1,A2(図1)を移動させるようになっている。外側ロータ部材21,21’が回転すると、上述のようにして回転角度を検出したレゾルバステータ35,36,35’、36’からレゾルバ信号が出力されるので、それをレゾルバデジタル変換器(RDC)でデジタル変換した後に入力したCPUは、外側ロータ部材21,21’が指令位置に到達したか否かを判断し、指令位置に到達すれば、3層アンプ(AMP)への駆動信号を停止することで外側ロータ部材21,21’の回転を停止させる。これにより外側ロータ部材21,21’のサーボ制御が可能となる。
真空環境での複数軸のアーム駆動の際には、電源投入時に現在のアームA1及びA2の回転位置を認識しないと真空槽の壁や、真空槽のシャッタにアームA1等をぶつけてしまう可能性があるが、本実施の形態では、回転軸の1回転の絶対位置を検出するアブソリュートレゾルバステータ36及び36’と、より分解能の細かい回転位置を検出するインクリメンタルレゾルバステータ35及び35’からなる可変リラクタンス型レゾルバを採用しているので、外側ロータ部材21、21’即ちアームA1,A2の回転位置制御を高精度に行える。
尚、ここでは内側ロータ30の回転検出にレゾルバを採用したが、検出器を隔壁13の内部の大気側に配置できるため、一般に高精度位置決めに使用するサーボモータにおいては高精度で滑らかに駆動するための位置検出手段として採用されている光学式エンコーダや、磁気抵抗素子を使用した磁気式エンコーダ等も使用できる。
次に、ダイレクトドライブモータD4について説明する。第2の本体112に取り付けられた円板部材110に対し、取り外し可能にボルト止めされた軸受ホルダ107には、真空中で用いられる4点接触式玉軸受119の外輪が嵌合的に取り付けられ、ボルト120により固定されている。一方、軸受119の内輪は、第1外側ロータ部材121を内包嵌合した2重円筒状の円筒状部材123に嵌合し、第1外側ロータ部材121を共締めするボルト122により固定されている。すなわち、第1外側ロータ部材121は、アームA2’(図1)を支持する円筒状部材123により、隔壁113に対して回転自在に支持されている。尚、第1外側ロータ部材121と円筒状部材123とで、外側ロータを構成する。
軸受ホルダ107は、耐食性が高いオーステナイト系ステンレスを材料としている。軸受119は、ラジアル、アキシアル、モーメント荷重を1個の軸受で負荷できる4点接触玉軸受である。この形式の軸受を用いることにより、ダイレクトドライブモータD4の軸受は1個で済むため、本発明の4軸同軸モータシステムを薄型化できる。軸受119は、内外輪とも耐食性が高くかつ焼入れによる硬化が得られるマルテンサイト系ステンレスを材料とし。転動体はセラミックボール、潤滑剤は真空であっても固化しない真空用のグリスを用いている。
尚、軸受119は内輪と外輪に金や銀などの軟質金属をプレーティングして、真空中でもアウトガス放出のない金属潤滑としたものを用いてもよく、また4点接触式玉軸受であるので、アームA2’からの第1外側ロータ部材121がチルトする方向のモーメントを受けることができるが、4点接触式に限らず、クロスローラ、クロスボール、クロステーパ軸受も用いることができ、予圧状態で用いても良いし、潤滑性向上のためフッ素系被膜処理(DFO)を行っても良い。
第1外側ロータ部材121は、永久磁石121aと、磁路を形成するため磁性体から成る円環状のヨーク121bと、永久磁石121aとヨーク121bを機械的に締結するための非磁性体からなるくさび(不図示)によって構成されている。永久磁石121aは、32極の構成でN極、S極の磁石が各16個交互に磁性金属からなり、極ごとに分割されたセグメント形式であり、その個々の形状は扇形である。内径と外径の円弧中心は同一であるが、円周方向端面の接線交点を永久磁石121a寄りとすることで、くさびをヨーク121b外径側からねじで締め上げることにより永久磁石121aをヨーク121bに締結している。このような構成とすることにより、接着剤など、アウトガスを発生する固定部材を用いることなく永久磁石を締結できる。永久磁石121aはエネルギー積の高いネオジウム(Nd−Fe−B)系磁石であり、耐食性を高めるためにニッケルコーティングを施してある。ヨーク121bは高い磁性を有する低炭素鋼を材料とし、加工成型後に、防錆および耐食性を高め、かつ軸受交換時の磨耗を防ぐためにニッケルめっきを施している。
隔壁113の半径方向内側において、第1外側ロータ部材121の内周面に対向するようにして、第1ステータ129が配置されている。第1ステータ129は、本体112の中央で半径方向に延在したフランジ部112aの円筒状に変形した下部に取り付けられており、電磁鋼板の積層材で形成され、各突極には絶縁処理としてボビンを嵌め込んだ後にモータコイルが集中巻されている。第1ステータ129の外径は隔壁13の内径と略同一もしくは小さい寸法としている。
第1ステータ129に隣接且つ平行して、第1内側ロータ130が配置されている。第1内側ロータ130は、第2の本体112の外周面にボルト固定されたレゾルバホルダ132に対して、玉軸受133により回転自在に支持されている。第1内側ロータ130の外周面には、バックヨーク130bを介して永久磁石130aが取り付けられている。永久磁石130aは、第1外側ロータ部材121の永久磁石121aと同様に32極の構成でN極、S極の磁石が各16個交互に磁性金属からなっている。従って、第1内側ロータ130は、第1ステータ129によって駆動される第1外側ロータ部材121に同期して連れ回されるようになっている。
第1内側ロータ130を回転自在に支持する軸受133は、ラジアル、アキシアル、モーメント荷重を1個の軸受で負荷できる4点接触玉軸受である。この形式の軸受を用いることにより、1個の軸受で済むため、ダイレクトドライブモータD4を薄型化できる。隔壁13の内部は大気環境であるため、一般的な軸受鋼と鉱油を基油としたグリス潤滑を用いた軸受を適用できる。
隔壁13内部は大気環境であるため、永久磁石130aはバックヨーク130bに接着固定してある。永久磁石130aはエネルギー積の高いネオジウム(Nd−Fe−B)系磁石であり、錆による減磁を防ぐためにニッケルコーティングを施してある。ヨーク130bは高い磁性を有する低炭素鋼を材料とし、加工成形後に防錆のためにクロメートめっきを施している。
第1内側ロータ130の内周には、回転角度を計測する検出器として、レゾルバロータ134a、134bを組みつけており、それに対向する形で、レゾルバホルダ132の外周に、レゾルバステータ135,136を取り付けているが、本実施の形態では、高分解能のインクリメンタルレゾルバステータ135と、1回転のいずれの位置にロータがあるかを検出できるアブソリュートレゾルバステータ136とを2層に配置している。このため電源投入時にも、アブソリュートレゾルバロータ134bの回転角度がわかり、原点復帰が不要であり、また、コイルに対する磁石の電気的位相角度がわかるため、ダイレクトドライブモータD4の駆動電流制御に使用する回転角度検出が、極検出センサを用いることなく可能となっている。
レゾルバホルダ132と第1内側ロータ130は、モータの界磁およびモータコイルからの電磁ノイズが角度検出器であるレゾルバステータ135,136に伝達されないように、磁性体である炭素鋼を材料とし、加工成型後に防錆のためにクロメートめっきを施している。
本実施の形態に用いている高分解能の可変リラクタンス形レゾルバにおいて、インクリメンタルレゾルバロータ134aは、一定のピッチを有する複数のスロツト歯列を有し、インクリメンタルレゾルバステータ135の外周面には、回転軸と平行に各磁極でインクリメンタルレゾルバロータ134aに対して位相をずらした歯が設けられており、コイルが各磁極に巻回されている。第1内側ロータ130と一体でインクリメンタルレゾルバロータ134aが回転すると、インクリメンタルレゾルバステータ135の磁極との間のリラクタンスが変化し、インクリメンタルレゾルバロータ134aの1回転でリラクタンス変化の基本波成分がn周期となるようにして、そのリラクタンス変化を検出して、図3に例を示すレゾルバ制御回路によりデジタル化し、位置信号として利用することでインクリメンタルレゾルバロータ134a即ち第1内側ロータ130の回転角度(又は回転速度)を検出するようになっている。レゾルバロータ134a、134bと、レゾルバステータ135,136とで検出器を構成する。
本実施の形態によれば、第1外側ロータ部材121に対して、磁気カップリング作用により第1内側ロータ130が同速で回転し、すなわち連れ回るので、第1外側ロータ部材121の回転角を隔壁13越しに検出することができる。また、本実施の形態では、モータを形成する部品やハウジングを用いることなくレゾルバ単体で軸受133を有しており、従ってハウジングに組み込む前に、レゾルバ単体での偏芯調整やレゾルバコイルの位置調整などの精度調整が行えるので、ハウジングや両フランジに調整用の穴や切り欠きを別途設ける必要がない。
次に、ダイレクトドライブモータD3について説明するが、ここでは第2の本体112がハウジングを構成する。上述したダイレクトドライブモータD4の円筒状部材123は、ダイレクトドライブモータD3に重合する位置まで下方に延在しており、その内周面に、真空中で用いられる4点接触式玉軸受119’の外輪が嵌合的に取り付けられ、ボルト120’により固定されている。一方、軸受119’の内輪は、二重円筒状のリング状部材123’の周面に嵌合し、第2外側ロータ部材121’を共締めするボルト122’により固定されている。すなわち、第2外側ロータ部材121’は、アームA1’(図1)を支持するリング状部材123’により、隔壁13に対して回転自在に支持されている。尚、第2外側ロータ部材121’とリング状部材123’とで、外側ロータを構成する。
軸受119’は、ラジアル、アキシアル、モーメント荷重を1個の軸受で負荷できる4点接触玉軸受である。この形式の軸受を用いることにより、ダイレクトドライブモータD3の軸受は1個で済むため、本発明の4軸同軸モータを薄型化できる。内外輪とも耐食性が高くかつ焼入れによる硬化が得られるマルテンサイト系ステンレスを材料とし。転動体はセラミックボール、潤滑剤は真空であっても固化しない真空用のグリスを用いている。
尚、軸受119’は内輪と外輪に金や銀などの軟質金属をプレーティングして、真空中でもアウトガス放出のない金属潤滑としたものを用いてもよく、また4点接触式玉軸受であるので、アームA1’からの第2外側ロータ部材121’がチルトする方向のモーメントを受けることができるが、4点接触式に限らず、クロスローラ、クロスボール、クロステーパ軸受も用いることができ、予圧状態で用いても良いし、潤滑性向上のためフッ素系被膜処理(DFO)を行っても良い。
第2外側ロータ部材121’は、永久磁石121a’と、磁路を形成するため磁性体から成る円環状のヨーク121b’と、永久磁石121a’とヨーク121b’を機械的に締結するための非磁性体からなるくさび(不図示)によって構成されている。永久磁石121a’は、32極の構成でN極、S極の磁石が各16個交互に磁性金属からなり、極ごとに分割されたセグメント形式であり、その個々の形状は扇形である。内径と外径の円弧中心は同一であるが、円周方向端面の接線交点を永久磁石121a’寄りとすることで、くさびをヨーク121b’外径側からねじで締め上げることにより永久磁石121a’をヨーク121b’に締結している。このような構成とすることにより、接着剤など、アウトガスを発生する固定部材を用いることなく永久磁石を締結できる。永久磁石121a’はエネルギー積の高いネオジウム(Nd−Fe−B)系磁石であり、耐食性を高めるためにニッケルコーティングを施してある。ヨーク121b’は高い磁性を有する低炭素鋼を材料とし、加工成型後に、防錆および耐食性を高め、かつ軸受交換時の磨耗を防ぐためにニッケルめっきを施している。
隔壁13の半径方向内側において、第2外側ロータ部材121’の内周面に対向するようにして、第2ステータ129’が配置されている。第2ステータ129’は、第2の本体112の中央で半径方向に延在したフランジ部112aの円筒状に変形した上部に取り付けられており、電磁鋼板の積層材で形成され、各突極には絶縁処理としてボビンを嵌め込んだ後にモータコイルが集中巻されている。第2ステータ129’の外径は隔壁13の内径と略同一もしくは小さい寸法としている。
第2ステータ129’の半径方向内側に、第2内側ロータ130’が配置されている。第2内側ロータ130’は、第2の本体112の外周面にボルト固定されたレゾルバホルダ132’に対して、玉軸受133’により回転自在に支持されている。第2内側ロータ130’の外周面には、バックヨーク130b’を介して永久磁石130a’が取り付けられている。永久磁石130a’は、第2外側ロータ部材121’の永久磁石121a’と同様に32極の構成でN極、S極の磁石が各16個交互に磁性金属からなっている。従って、第2内側ロータ130’は、第2ステータ129’によって第2外側ロータ部材121’に同期して回転駆動されるようになっている。
第2内側ロータ30’を回転自在に支持する軸受33’は、ラジアル、アキシアル、モーメント荷重を1個の軸受で負荷できる4点接触玉軸受である。この形式の軸受を用いることにより、1個の軸受で済むため、ダイレクトドライブモータD3を薄型化できる。隔壁13の内部は大気環境であるため、一般的な軸受鋼と鉱油を基油としたグリス潤滑を用いた軸受を適用できる。
隔壁13内部は大気環境であるため、永久磁石130a’はバックヨーク130b’に接着固定してある。永久磁石130a’はエネルギー積の高いネオジウム(Nd−Fe−B)系磁石であり、錆による減磁を防ぐためにニッケルコーティングを施してある。ヨーク130b’は高い磁性を有する低炭素鋼を材料とし、加工成形後に防錆のためにクロメートめっきを施している。
第2内側ロータ130’の内周には、回転角度を計測する検出器として、レゾルバロータ134a’、134b’を組みつけており、それに対向する形で、レゾルバホルダ132’の外周に、レゾルバステータ135’,136’を取り付けているが、本実施の形態では、高分解能のインクリメンタルレゾルバステータ135’と、1回転のいずれの位置にロータがあるかを検出できるアブソリュートレゾルバステータ136’とを2層に配置している。このため電源投入時にも、検出ロータ134’の回転角度がわかり、原点復帰が不要であり、また、コイルに対する磁石の電気的位相角度がわかるため、ダイレクトドライブモータD3の相対回転角度を、極検出センサを用いることなく可能となっている。
レゾルバホルダ132’と第2内側ロータ130’は、モータの界磁およびモータコイルからの電磁ノイズが角度検出器であるレゾルバステータ135’,136’に伝達されないように、磁性体である炭素鋼を材料とし、加工成型後に防錆のためにクロメートめっきを施している。
本実施の形態によれば、第2外側ロータ部材121’に対して、磁気カップリング作用により第2内側ロータ130’が同速で回転し、すなわち連れ回るので、第2外側ロータ部材121’の回転角を隔壁13越しに検出することができる。また、本実施の形態では、モータを形成する部品やハウジングを用いることなくレゾルバ単体で軸受133’を有しており、従ってハウジングに組み込む前に、レゾルバ単体での偏芯調整やレゾルバコイルの位置調整などの精度調整が行えるので、ハウジングや両フランジに調整用の穴や切り欠きを別途設ける必要がない。
本実施の形態に用いている高分解能の可変リラクタンス形レゾルバにおいて、インクリメンタルレゾルバロータ134a’は、一定のピッチを有する複数のスロツト歯列を有し、インクリメンタルレゾルバステータ135’の磁極の外周面には、回転軸と平行に各磁極でインクリメンタルレゾルバロータ134a’に対して位相をずらした歯が設けられており、コイルが各磁極に巻回されている。第2内側ロータ130’と一体でインクリメンタルレゾルバロータ134a’が回転すると、インクリメンタルレゾルバステータ135’の磁極との間のリラクタンスが変化し、インクリメンタルレゾルバロータ134a’の1回転でリラクタンス変化の基本波成分がn周期となるようにして、そのリラクタンス変化を検出して、図3に例を示すレゾルバ制御回路によりデジタル化し、位置信号として利用することでインクリメンタルレゾルバロータ134a’即ち第2内側ロータ130’の回転角度(又は回転速度)を検出するようになっている。レゾルバロータ134a’、134b’と、レゾルバステータ135’,136’とで検出器を構成する。
尚、フランジ部112aを中心として第1ステータ129と第2ステータ129’を上下に配置し、その半径方向内側にレゾルバを配置している。また、第2の本体112は中空構造となっており、フランジ部112aには中央に連通する径方向の通し穴112dが少なくとも1つ設けてあり、ここを介してモータ配線を第2の本体112の中央に引き出す構造となっている。一方、第2の本体112の両端部にはそれぞれ少なくとも1つの切り欠き112e、112eが設けてあり、これらを介してレゾルバの配線を第2の本体112の中央に引き出す構造となっている。このような構造とすることで、ハウジング側から順に、ダイレクトモータD4のレゾルバ、ステータ129、ダイレクトモータD3のステータ129’、そのレゾルバの順で配置することが可能となり、2軸でありながら容易にステータとレゾルバの角度調整が行える。そこで、基準となる外側ロータを回転駆動する設備を別に用意しておけば、その設備にステータとレゾルバを組み込んだ第2の本体112をセットすることにより、高精度にステータに対するレゾルバの角度調整ができるので、コンミテーションずれによる角度位置決め精度の低下を防ぎ、かつ、本発明の4軸同軸モータに対する駆動制御回路の互換性を高めることができる。
図4は、ダイレクトドライブモータD1、D2の駆動回路を示すブロック図である。外部のコンピュータからモータ回転指令が入力されたとき、ダイレクトドライブモータD3用のモータ制御回路DMC1及びダイレクトドライブモータD4用のモータ制御回路DMC2は、それぞれ、そのCPUから3層アンプ(AMP)に駆動信号を出力し、3層アンプ(AMP)からダイレクトドライブモータD3、D4に駆動電流が供給される。それによりダイレクトドライブモータD3、D4の外側ロータ部材121,121’が独立して回転し、アームA1’,A2’(図1)を移動させるようになっている。外側ロータ部材121,121’が回転すると、上述のようにして回転角度を検出したレゾルバステータ135,136,135’、136’からレゾルバ信号が出力されるので、それをレゾルバデジタル変換器(RDC)でデジタル変換した後に入力したCPUは、外側ロータ部材121,121’が指令位置に到達したか否かを判断し、指令位置に到達すれば、3層アンプ(AMP)への駆動信号を停止することで外側ロータ部材121,121’の回転を停止させる。これにより外側ロータ部材121,121’のサーボ制御が可能となる。
真空環境での複数軸のアーム駆動の際には、電源投入時に現在のアームA1’及びA2’の回転位置を認識しないと真空槽の壁や、真空槽のシャッタにアームA1’等をぶつけてしまう可能性があるが、本実施の形態では、回転軸の1回転の絶対位置を検出するアブソリュートレゾルバステータ136及び136’と、より分解能の細かい回転位置を検出するインクリメンタルレゾルバステータ135、135’からなる可変リラクタンス型レゾルバを採用しているので、外側ロータ部材121、121’即ちアームA1’,A2’の回転位置制御を高精度に行える。
尚、ここでは内側ロータ130の回転検出にレゾルバを採用したが、検出器を隔壁13の内部の大気側に配置できるため、一般に高精度位置決めに使用するサーボモータにおいては高精度で滑らかに駆動するための位置検出手段として採用されている光学式エンコーダや、磁気抵抗素子を使用した磁気式エンコーダ等も使用できる。
本実施の形態にかかるモータシステムの上端部に最も近い(第1の)ダイレクトドライブモータD4の外側ロータを構成する円筒状部材123は、ハウジング(ここでは円筒部材110)に取り外し可能に取り付けられている軸受ホルダ107に対して軸受119により支持されており、かつ円筒部材110における軸受ホルダ107の取付座面の外径部110aは、薄肉円筒部13bより半径方向内に位置している。従って、軸受ホルダ107を取り外せば、ダイレクトドライブモータD4の円筒状部材123と共に、軸受119’により支持されているダイレクトドライブモータD3の円筒状部材123’を、外側ロータ部材121及び121’と一体的に隔壁13から抜き去ることができ、次いでダイレクトドライブモータD2及びD1を抜き去ることができるので、それにより点検や取り外しを容易に行えるため、メンテナンス性も向上する。更に、軸受ホルダ107のみを取り外せばよいので、隔壁構造を取り外す必要がなく、再組立の際にリークチェックなどが不要となり、組立性が向上する。
本実施の形態のハウジングは、第1の本体12と第2の本体112とが軸線方向に、任意の位相で連結可能とされており、すなわち隣接する2つのダイレクトドライブモータD1,D2及びD3,D4において共通に用いられる単位ごとに取り外し可能にボルトで固定されている。第1の本体12は、円板10側から順に、ダイレクトドライブモータD1の角度検出器、ダイレクトドライブモータD1の固定子(ステータ)、ダイレクトドライブモータD2の固定子、ダイレクトドライブモータD2の角度検出器の順で、及び第2の本体112は、第1の本体12側から順に、ダイレクトドライブモータD3軸の角度検出器、ダイレクトドライブモータD3軸の固定子、ダイレクトドライブモータD4の固定子、ダイレクトドライブモータD4の角度検出器の順で配置することが可能となり、各軸とも容易に固定子に対する角度検出器の角度調整が行える。そこで、基準となるモータ回転子を回転駆動する設備を別に用意しておけば、その設備にモータ固定子と回転検出器を組み込んだ第1の本体又は第2の本体をセットすることにより、個別にモータ固定子に対する角度検出器の角度調整が高精度にできるので、コンミテーションずれによる角度位置決め精度の低下を防ぎ、組み付け後の調整が容易もしくは不要であり、かつ本発明4軸同軸モータに対する駆動制御回路の互換性を高めることができる
以上の実施の形態では、表面磁石型の32極36スロットアウターロータ式ブラシレスモータを用いた例を用いて説明したが、この形式のモータに限定されるものではなく、ブラシレスモータであれば適用できるものであり、他の磁極形式、例えば永久磁石埋め込み型であっても良いし、他のスロットコンビネーションでも良いし、あるいはインナロータ型であっても良い。
また、各軸の干渉対策として、軸方向に隣接する軸同士の回転子の極数およびスロット数が異なる構成としても良い。例えば、4軸同軸の場合は、第一軸が32極36スロット、第二軸が24極27スロット、4軸同軸の場合は、第一軸および第三軸が32極36スロット、第二軸および第四軸が24極27スロットといった構成にすれば、各軸の磁界による回転子および磁気カップリング装置への回転方向の推力発生といった相互干渉を防ぐことができる。
また、ロータの永久磁石は、ネオジウム(Nd−Fe−B)系磁石を用い、耐食性を高めるためのコーティングとして、ニッケルコーティングを施した例を用いて説明したが、この材質、表面処理に限定されるものではなく、使用される環境などによって適宜変更されるものであり、例えばべークアウト時の温度条件によっては高温減磁しにくいサマリウム・コバルト(Sm・Co)系の磁石を用いるべきであり、超真空中で使用されるのであればアウトガス遮断性の高い窒化チタンコーティングを施すべきである。
また、ヨークは、低炭素鋼を材料とし、ニッケルめっきを施した例を用いて説明したが、この材質、表面処理に限定されるものではなく、使用される環境などによって適宜変更されるものであり、特に表面処理に関しては、超真空中で使用されるのであればピンホールの少ないカニゼンめっきやクリーンエスめっき、窒化チタンコーティング等を施すべきである。
また、永久磁石をヨークに締結する方法は、非磁性のくさびをヨーク外径側からねじで締め上げる例を用いて説明したが、使用される環境などによって適宜変更されるものであり、環境によっては接着でも良いし、他の締結方法でも良い。
また、軸受19,19’、119,119’は真空用グリス潤滑の4点接触玉軸受を用いた例を説明したが、この形式、材質、潤滑方法に限定されるものではなく、使用される環境、荷重条件、回転速度などによって適宜変更されるものであり、クロスローラ軸受であっても良いし、4軸同軸モータの場合、さらに機械的な剛性を高めるために、別な軸受で支持する構造としても良いし、高速回転する場合など、多点接触軸受を用いることができない場合は各軸の回転子を支持する軸受および別な軸受を深溝玉軸受やアンギュラ軸受として予圧をかける構造としても良いし、超真空中で使用される場合は、軌道輪に金や銀などの軟質金属をプレーティングしたような、ガス放出のない金属潤滑としたものを用いても良い。
また、磁気カップリングとして機能する内側ロータとして、永久磁石とバックヨークを用いた形式で説明したが、永久磁石とバックヨークの材質および形状はこれに限定されるものではない。例えば、レゾルバの質量と軸受の摩擦トルクによっては、外側ロータと同極数でなくても良いし、同幅でなくても良い。永久磁石を用いない突極でも良い。
また、角度検出器としてレゾルバを用いた例で説明したが、製造コストや分解能によって適宜変更されるものであり、例えば光学式のロータリエンコーダでも良い。
また、角度検出器の回転側を回転自在に支持する軸受33,33’、133,133’として、グリス潤滑の4点接触玉軸受を用いた例を説明したが、この形式、潤滑方法に限定されるものではなく、設置スぺースや摩擦トルク、回転速度などによって適宜変更されるものであり、高速回転や摩擦トルクの低減など、多点接触軸受を用いることができない場合は、アンギュラ軸受や深溝玉軸受を各軸ごとに2個配置して、予圧をかける構造としても良い。
また、その他の隔壁の外、中に配置される構造部品および隔壁の材質、形状、製造方法は、製造コストや使用される環境、荷重条件、構成などによって適宜変更されるものである。
以上述べたモータシステムは、各軸のロータや、ステータや、レゾルバに用いた磁気カップリングから漏れる磁束によって、互いのロータや回転検出器に用いた磁気カップリングに回転方向の推力を発生させないように、互いの磁界を遮蔽するための磁気シールドを各軸のロータ間に配設したり、各軸のロータ、ステータ、レゾルバから発生する電磁界によって互いのレゾルバに干渉しないように、互いの電磁界を遮蔽するための磁気シールドを配設したり、軸方向に隣接する軸同士のロータの極数やステータのスロット数を変えたりすることによって、各軸相互に発生する磁気的干渉を防止しているので、各軸の軸方向長さと、各軸の軸方向距離を短くすることができる。よって、4軸同軸、4軸同軸といった多軸同軸モータシステムでありながら、全体の軸長を抑えた構成が可能である。特に、4軸同軸といった多軸構成のダイレクトドライブモータを用いたシステムにおいては、チャンバ構造を大きく変えることなく高精度な位置決めが出来るフロッグレッグアーム式ロボットを2台設置できるので、装置全体の性能および稼働率を高めることができる。尚、4軸以上のモータシステムにも用いることができることは言うまでもない。
以上、本発明を実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。例えば、本実施の形態のダイレクトドライブモータは、真空雰囲気に限らず、大気外の雰囲気で使用することができる。例えば、半導体製造工程の場合、真空排気後に真空槽内部にエッチング用の反応性ガスが導入されることがあるが、本実施の形態のダイレクトドライブモータでは、隔壁により内部と外部とが遮蔽されているため、モータコイルや絶縁材等がエッチングされてしまうおそれもない。