JP4596099B2 - 膜形成用組成物および絶縁膜形成用材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性、低誘電性、クラック耐性に優れ、有機溶剤に可溶性のポリアリーレンエーテル系の重合体を含有する膜形成用組成物、およびこの組成物からなる絶縁膜形成材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子材料用途において、近年、高集積化、多機能化、高性能化に伴い、回路抵抗や配線間のコンデンサー容量が増大して、消費電力が増加するだけでなく、遅延時間も増大して、デバイスの信号スピードが低下したり、クロストークの大きな要因となっている。そのため、寄生抵抗や寄生容量を下げることが求められており、その解決策の一つとして、配線の周辺を低誘電の層間絶縁膜で被うことにより、寄生容量を下げてデバイスの高速化に対応しようとしている。また、LCD関連用途では、低誘電性に加え、さらに透明性の要求もある。
【0003】
この要求に適応する耐熱性の有機材料として、ポリイミドが広く知られているが、極性の高いイミド基を含むため、低誘電性、低吸水性の面、さらに着色するという問題があり、満足なものは得られていない。
一方、極性基を含まない高耐熱性の有機材料として、ポリフェニレンが知られている。このポリフェニレンは、耐熱性に優れるが、有機溶媒可溶性に劣るため、一般に側鎖に可溶性基を導入することが行われている。このようなポリフェニレンとしては、例えば米国特許第5,214,044号明細書、国際出願公開第96/28491号明細書(WO96/28491)、ヨーロッパ特許公開第629217号明細書(EP629217)などに記載されているポリマーを挙げることができる。
これらのポリマーは、基本的にポリパラフェニレン構造を主としており、屈曲性モノマーを一部共重合するなどしているものの、特定の有機溶媒にしか溶けず、また剛直分子に起因する高粘度溶液の問題もあり、加工性として、決して満足したものではない。
【0004】
さらに、耐溶剤性の付与、物理的耐熱性、機械的性質の改善などのために、ポリフェニレン系ポリマーの架橋についても検討され、従来から、アセチレン結合を利用した架橋反応が知られている。しかしながら、この構造を導入適用できるポリフェニレン(ポリアリーレン)構造や反応にも限界があり、また原料的にも特殊なアセチレン化合物を使用し、また硬化温度も高いという加工の汎用性に問題がある。
また、ポリアリーレンの加工性や溶解性を高めるため、ポリマー中にエーテル結合を導入することも検討されているが、得られるポリマーの耐熱性に問題がある。
このように、耐熱性、低誘電性、加工性を充分に満たし、さらに、耐溶剤性、物理的耐熱性、機械的性質を改善するための簡便なプロセスで適用性の広い硬化性を付与するポリマーの技術は極めて少ないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐熱性、低誘電性、クラック耐性に優れ、耐溶剤性、物理的耐熱性、機械的性質を改善できる熱硬化可能なポリアリーレンエーテル系の重合体を含有する膜形成用組成物、およびこの組成物からなる絶縁膜形成用材料を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記一般式(1)で表される繰り返し構造単位を有し、かつ構造単位中にアルキル基を有する重合体(以下「ポリアリーレンエーテル」ともいう)を含有してなる膜形成用組成物に関する。
【0007】
【化3】
【0008】
(式中、R1 は同一または異なりアルキル基を示し、a〜dは同一または異なり0〜4の整数、Xは芳香環を1〜3個有する2価の有機基を示す。)
また、上記一般式(1)におけるXとしては、下記一般式(2)で表される(A)〜(K)の群から選ばれた少なくとも1種の基であることが好ましい。
【0009】
【化4】
【0010】
(式中、R2 は同一または異なりアルキル基を示し、eは同一または異なり0〜4の整数、fは同一または異なり0〜3の整数、gは同一または異なり0〜2の整数を示す。)
ここで、上記一般式(2)において、Xがアルキル基を1以上有する基であることが好ましい。
また、上記一般式(2)において、Xがアルキル基を1以上有する基とXがアルキル基を有さない基の両方を含むものも好ましい。
次に、本発明は、上記膜形成用組成物からなることを特徴とする絶縁膜形成用材料に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の膜形成用組成物は、一般式(1)で表される繰り返し構造単位を、通常、50モル%以上、好ましくは70モル%以上有する重合体を含有する。50モル%未満では、得られる膜形成用組成物の耐熱性が劣るようになる。
本発明に用いられるポリアリーレンエーテルは、上記一般式(1)で表される繰り返し構造単位を有するように、フルオレン骨格と他の芳香族環骨格の共重合ポリマーであって、ポリマー中のどこかにアルキル基が導入されているポリマーである。このアルキル基は、ポリマーの架橋に関与し、耐熱性、強度を向上させることができる。
すなわち、本発明に用いられるポリアリーレンエーテルは、分子鎖中のどこかにアルキル基が導入されていればよく、例えば、一般式(1)で表される繰り返し構造単位中の(a+b+c+d)が1を超えるものであってもよい。
また、一般式(1)を構成するXが一般式(2)で表される場合、一般式(2)中のe〜gのいずれもが0のものと、e〜gにいずれもが1を超えるものとの両方を含むもの、すなわちその平均値が1を超える場合であってもよい。
要は、本発明に用いられるポリアリーレンエーテルにおいて、ポリマー中のどこかにアルキル基が導入されていれば、これにより、ポリマーの架橋に関与し、得られる絶縁膜形成材料の耐熱性、強度が向上するのである。
【0012】
一般式(1)〜(2)において、R1 〜R2 のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基などの、炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。
本発明のポリアリーレンエーテルは、例えばビスフェノール化合物のアルカリ金属塩とジハロゲン化化合物のカップリング反応により得ることができる。
【0013】
ここで、ビスフェノール化合物としては、例えば9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−プロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,6−ジメチルフルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)―4,5−ジメチルフルオレン、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、エチルハイドロキノン、2,2′−ビフェノール、4,4′−ビフェノール、3,3′−ジメチル−4,4′−ジヒドロキシビフェニル、ビス(2−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エーテル、ビス(2−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルホン、4,4″−ジヒドロキシ−p−ターフェニル、4,4″−ジヒドロキシ−m−ターフェニル、4,4″−ジヒドロキシ−o−ターフェニル、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシフェナントレン、3,6−ジヒドロキシフェナントレンなどが挙げられる。
【0014】
なかでも、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−プロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブチルフェニル)フルオレン、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、4,4′−ビフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4,4″−ジヒドロキシ−p−ターフェニル、4,4″−ジヒドロキシ−m−ターフェニル、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレンが好ましい。
特に、アルキル基を有するビスフェノール化合物として、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−プロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブチルフェニル)フルオレン、メチルハイドロキノンなどが好ましい。
これらは、1種または2種以上を同時に使用しても良い。
【0015】
また、ジハロゲン化化合物としては、例えば9,9−ビス(4−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−クロロ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−クロロ−3−エチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−プロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ブロモフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−クロロフェニル)−3,6−ジメチルフルオレン、9,9−ビス(4−クロロフェニル)―4,5−ジメチルフルオレン、1,3−ジクロロベンゼン、1,3−ジブロモベンゼン、1,3−ジヨードベンゼン、1,3−ジフルオロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、1,4−ジブロモベンゼン、1,4−ジヨードベンゼン、1,4−ジフルオロベンゼン、2,4−ジクロロトルエン、2,5−ジクロロトルエン、2,4−ジブロモトルエン、2,5−ジブロモトルエン、2,4−ジヨードトルエン、2,5−ジヨードトルエン、2,4−ジフルオロトルエン、2,5−ジフルオロトルエン、3,3′−ジクロロビフェニル、4,4′−ジクロロビフェニル、3,3′−ジブロモビフェニル、4,4′−ジブロモビフェニル、3,3′−ジヨードビフェニル、4,4′−ジヨードビフェニル、3,3′−ジフルオロビフェニル、4,4′−ジフルオロビフェニル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジクロロビフェニル、ビス(4−クロロフェニル)エーテル、ビス(4−ブロモフェニル)エーテル、ビス(4−ヨードフェニル)エーテル、ビス(4−フルオロフェニル)エーテル、ビス(2−クロロフェニル)ケトン、ビス(2−ブロモフェニル)ケトン、ビス(2−ヨードフェニル)ケトン、ビス(2−フルオロフェニル)ケトン、ビス(4−クロロフェニル)ケトン、ビス(4−ブロモフェニル)ケトン、ビス(4−ヨードフェニル)ケトン、ビス(4−フルオロフェニル)ケトン、ビス(2−クロロフェニル)スルホン、ビス(2−ブロモフェニル)スルホン、ビス(2−ヨードフェニル)スルホン、ビス(4−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−ブロモフェニル)スルホン、ビス(4−ヨードフェニル)スルホン、ビス(4−フルオロフェニル)スルホン、4,4″−ジクロロ−p−ターフェニル、4,4″−ジブロモ−p−ターフェニル、4,4″−ジヨード−p−ターフェニル、4,4″−ジフルオロ−p−ターフェニル、4,4″−ジクロロ−m−ターフェニル、4,4″−ジブロモ−m−ターフェニル、4,4″−ジヨード−m−ターフェニル、4,4″−ジフルオロ−m−ターフェニル、4,4″−ジクロロ−o−ターフェニル、4,4″−ジブロモ−o−ターフェニル、4,4″−ジヨード−o−ターフェニル、4,4″−ジフルオロ−o−ターフェニル、1,4−ジクロロナフタレン、1,4−ジブロモナフタレン、1,4−ジヨードナフタレン、1,4−ジフルオロナフタレン、1,6−ジクロロナフタレン、1,6−ジブロモナフタレン、1,6−ジヨードナフタレン、1,6−ジフルオロナフタレン、1,7−ジクロロナフタレン、1,7−ジブロモナフタレン、1,7−ジヨードナフタレン、2,6−ジクロロナフタレン、2,6−ジブロモナフタレン、2,6−ジヨードナフタレン、2,7−ジクロロナフタレン、2,7−ジブロモナフタレン、2,7−ジヨードナフタレン、9,10−ジクロロアントラセン、9,10−ジブロモアントラセン、9,10−ジヨードアントラセン、2,7−ジクロロフェナントレン、3,6−ジクロロフェナントレンなどが挙げられる。
【0016】
なかでも、9,9−ビス(4−クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−クロロ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−クロロ−3−エチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−プロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブチルフェニル)フルオレン、1,3−ジクロロベンゼン、1,3−ジブロモベンゼン、1,3−ジヨードベンゼン、1,3−ジフルオロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、1,4−ジブロモベンゼン、1,4−ジヨードベンゼン、1,4−ジフルオロベンゼン、2,4−ジクロロトルエン、2,5−ジクロロトルエン、2,4−ジブロモトルエン、2,5−ジブロモトルエン、2,4−ジヨードトルエン、2,5−ジヨードトルエン、2,4−ジフルオロトルエン、2,5−ジフルオロトルエン、3,3′−ジクロロビフェニル、4,4″−ジクロロビフェニル、3,3″−ジブロモビフェニル、4,4″−ジブロモビフェニル、3,3″−ジヨードビフェニル、4,4″−ジヨードビフェニル、ビス(4−クロロフェニル)エーテル、ビス(4−ブロモフェニル)エーテル、ビス(4−クロロフェニル)ケトン、ビス(4−ブロモフェニル)ケトン、ビス(4−フルオロフェニル)ケトンビス(4−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−ブロモフェニル)スルホン、4,4″−ジクロロ−p−ターフェニル、4,4″−ジブロモ−p−ターフェニル、4,4″−ジクロロ−m−ターフェニル、4,4″−ジブロモ−m−ターフェニル、1,4−ジクロロナフタレン、1,4−ジブロモナフタレン、9,10−ジクロロアントラセンが好ましい。
特に、アルキル基を有するジハロゲン化化合物として、2,4−ジクロロトルエン、2,5−ジクロロトルエン、2,4−ジブロモトルエン、2,5−ジブロモトルエン、2,4−ジヨードトルエン、2,5−ジヨードトルエン、2,4−ジフルオロトルエン、2,5−ジフルオロトルエンなどが好ましい。
これらは、1種または2種以上を同時に使用しても良い。
【0017】
上記ビスフェノール化合物とジハロゲン化化合物の使用割合は、ビスフェノール化合物とジハロゲン化化合物の総量を100モル%として、ビスフェノール化合物が30〜60モル%、好ましくは45〜55モル%、ジハロゲン化化合物が70〜40モル%、好ましくは55〜45モル%である。ビスフェノール化合物の使用割合が30モル%未満、または60モル%を超えると、ポリマーの分子量が上昇しにくく、塗膜の塗布性が劣る場合がある。
【0018】
本発明のポリアリーレンエーテルの合成方法として、ビスフェノール化合物とジハロゲン化化合物をアルカリ金属化合物などの触媒の存在下で、溶剤中で加熱することにより得られる。
【0019】
この際使用するアルカリ金属化合物としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化リチウム、金属ナトリウム、金属カリウム、金属リチウムなどを挙げることができる。
これらは、1種または2種以上を同時に使用しても良い。
アルカリ金属化合物の使用量は、ビスフェノール化合物に対して、通常、100〜400モル%、好ましくは100〜250モル%である。
また、反応を促進させるため、金属銅、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅、ヨウ化第一銅、ヨウ化第二銅、硫酸第一銅、硫酸第二銅、酢酸第一銅、酢酸第二銅、ギ酸第一銅、ギ酸第二銅などの助触媒を使用しても良い。
この助触媒の使用量は、ビスフェノール化合物に対し、通常、1〜50モル%、好ましくは1〜30モル%である。
【0020】
反応に使用する溶剤としては、例えばピリジン、キノリン、ベンゾフェノン、ジフェニルエーテル、ジアルコキシベンゼン(アルコキシル基の炭素数は1〜4)、トリアルコキシベンゼン(アルコキシル基の炭素数は1〜4)、ジフェニルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、ジエチルスルホキシド、ジエチルスルホン、ジイソプロピルスルホン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、スルホラン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどを使用することができる。
これらは、1種または2種以上を同時に使用しても良い。
【0021】
ポリアリーレンエーテルを合成する際の反応濃度としては、モノマーの重量を基準として、2〜50重量%、反応温度としては50〜250℃である。
また、ポリアリーレンエーテル合成時に生じる金属塩や未反応モノマーを除去するため、反応溶液をろ過することや反応溶液をポリアリーレンエーテルに対して貧溶剤である溶媒によって再沈殿することが好ましい。
【0022】
このようにして得られるポリアリーレンエーテルのGPC法による重量平均分子量は、通常、500〜100,000、好ましくは1,000〜100,000である。
【0023】
本発明の膜形成用組成物は、ポリアリーレンエーテルを有機溶剤に溶解させてなる。
本発明に使用する有機溶剤としては、例えばn−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、i−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、i−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;
ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンセン、i−プロピルベンセン、ジエチルベンゼン、i−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−i−プロピルベンセン、n−アミルナフタレン、トリメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒;
【0024】
メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、ヘプタノール−3、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチルヘプタノール−4、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェニルメチルカルビノール、ジアセトンアルコール、クレゾールなどのモノアルコール系溶媒;
【0025】
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ペンタンジオール−2,4、2−メチルペンタンジオール−2,4、ヘキサンジオール−2,5、ヘプタンジオール−2,4、2−エチルヘキサンジオール−1,3、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール系溶媒;
アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、アセトフェノン、フェンチョンなどのケトン系溶媒;
【0026】
エチルエーテル、i−プロピルエーテル、n−ブチルエーテル、n−ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;
【0027】
ジエチルカーボネート、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチルなどのエステル系溶媒;
【0028】
N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドンなどの含窒素系溶媒;硫化ジメチル、硫化ジエチル、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−プロパンスルトンなどの含硫黄系溶媒などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は、1種あるいは2種以上を混合して使用することができる。
【0029】
その他の添加剤
本発明で得られる膜形成用組成物には、さらにコロイド状シリカ、コロイド状アルミナ、有機ポリマー、界面活性剤、シランカップリング剤などの成分を添加してもよい。
コロイド状シリカとは、例えば高純度の無水ケイ酸を前記親水性有機溶媒に分散した分散液であり、通常、平均粒径が5〜30mμ、好ましくは10〜20mμ、固形分濃度が10〜40重量%程度のものである。このような、コロイド状シリカとしては、例えば、日産化学工業(株)製、メタノールシリカゾルおよびイソプロパノールシリカゾル;触媒化成工業(株)製、オスカルなどが挙げられる。
コロイド状アルミナとしては、日産化学工業(株)製のアルミナゾル520、同100、同200;川研ファインケミカル(株)製のアルミナクリアーゾル、アルミナゾル10、同132などが挙げられる。
有機ポリマーとしては、例えば、糖鎖構造を有する化合物、ビニルアミド系重合体、(メタ)アクリル系重合体、芳香族ビニル化合物、デンドリマー、ポリイミド、ポリアミック酸、ポリアリーレン、ポリアミド、ポリキノキサリン、ポリオキサジアゾール、フッ素系重合体、ポリアルキレンオキサイド構造を有する化合物などを挙げることができる。
【0030】
ポリアルキレンオキサイド構造を有する化合物としては、ポリメチレンオキサイド構造、ポリエチレンオキサイド構造、ポリプロピレンオキサイド構造、ポリテトラメチレンオキサイド構造、ポリブチレンオキシド構造などが挙げられる。具体的には、ポリオキシメチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエテチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、アルキルフェノールホルマリン縮合物の酸化エチレン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルなどのエーテル型化合物、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アルカノールアミド硫酸塩などのエーテルエステル型化合物、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどのエーテルエステル型化合物などを挙げることができる。
【0031】
ポリオキシチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーとしては、下記のようなブロック構造を有する化合物が挙げられる。
−(A)n−(B)m−
−(A)n−(B)m−(A)l-
〔式中、Aは−CH2 CH2 O−で表される基を、Bは−CH2 CH(CH3 )O−で表される基を示し、nは1〜90、mは10〜99、lは0〜90の数を示す。〕
これらの中で、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルなどのエーテル型化合物をより好ましい例として挙げることができる。
これらは、1種あるいは2種以上を同時に使用しても良い。
【0032】
界面活性剤としては、例えばノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられ、さらには、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、ポリ(メタ)アクリレート系界面活性剤などを挙げることができ、好ましくはフッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤を挙げることができる。
【0033】
フッ素系界面活性剤としては、例えば1,1,2,2−テトラフロロオクチル(1,1,2,2−テトラフロロプロピル)エーテル、1,1,2,2−テトラフロロオクチルヘキシルエーテル、オクタエチレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフロロブチル)エーテル、ヘキサエチレングリコール(1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロペンチル)エーテル、オクタプロピレングリコールジ(1,1,2,2−テトラフロロブチル)エーテル、ヘキサプロピレングリコールジ(1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロペンチル)エーテル、パーフロロドデシルスルホン酸ナトリウム、1,1,2,2,8,8,9,9,10,10−デカフロロドデカン、1,1,2,2,3,3−ヘキサフロロデカン、N−[3−(パーフルオロオクタンスルホンアミド)プロピル]−N,N′−ジメチル−N−カルボキシメチレンアンモニウムベタイン、パーフルオロアルキルスルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル−N−エチルスルホニルグリシン塩、リン酸ビス(N−パーフルオロオクチルスルホニル−N−エチルアミノエチル)、モノパーフルオロアルキルエチルリン酸エステルなどの末端、主鎖および側鎖の少なくとも何れかの部位にフルオロアルキルまたはフルオロアルキレン基を有する化合物からなるフッ素系界面活性剤を挙げることができる。
【0034】
また、市販品としては、メガファックF142D、同F172、同F173、同F183〔以上、大日本インキ化学工業(株)製〕、エフトップEF301、同303、同352〔新秋田化成(株)製〕、フロラードFC−430、同FC−431〔住友スリーエム(株)製〕、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106〔旭硝子(株)製〕、BM−1000、BM−1100〔裕商(株)製〕、NBX−15〔(株)ネオス〕などの名称で市販されているフッ素系界面活性剤を挙げることができる。これらの中でも、上記メガファックF172、BM−1000、BM−1100、NBX−15が特に好ましい。
【0035】
シリコーン系界面活性剤としては、例えばSH7PA、SH21PA、SH30PA、ST94PA〔いずれも東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製〕などを用いることができる。これらの中でも、上記SH28PA、SH30PAに相当する下記一般式(3)で表される重合体が特に好ましい。
【0036】
【化5】
【0037】
(式中、R3 は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、n′は1〜20の整数であり、q,rはそれぞれ独立に2〜100の整数である。)
界面活性剤の使用量は、本発明で用いられるポリアリーレンエーテル100重量部に対して、通常、0.0001〜10重量部である。
【0038】
シランカップリング剤としては、例えばアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、グリシジルプロピルトリメトキシシラン、グリシジルプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができる。
【0039】
本発明の膜形成用組成物の全固形分濃度は、好ましくは、2〜30重量%であり、使用目的に応じて適宜調整される。組成物の全固形分濃度が2〜30重量%であると、塗膜の膜厚が適当な範囲となり、保存安定性もより優れるものである。
【0040】
本発明の膜形成用組成物を、シリコンウエハ、SiO2 ウエハ、SiNウエハなどの基材に塗布する際には、スピンコート、浸漬法、ロールコート法、スプレー法などの塗装手段が用いられる。
【0041】
この際の膜厚は、乾燥膜厚として、1回塗りで厚さ0.05〜1.5μm程度、2回塗りでは厚さ0.1〜3μm程度の塗膜を形成することができる。その後、常温で乾燥するか、あるいは80〜600℃程度の温度で、通常、5〜240分程度加熱して乾燥することにより、ガラス質または巨大高分子の絶縁膜(絶縁膜形成材料)を形成することができる。
この際の加熱方法としては、ホットプレート、オーブン、ファーネスなどを使用することが出来、加熱雰囲気としては、大気下、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気、真空下、酸素濃度をコントロールした減圧下などで行うことができる。
【0042】
このようにして得られる層間絶縁膜(絶縁膜形成材料)は、絶縁性に優れ、塗布膜の均一性、比誘電率特性、塗膜の耐クラック性に優れることから、LSI、システムLSI、DRAM、SDRAM、RDRAM、D−RDRAMなどの半導体素子用層間絶縁膜や層間絶縁膜のエッチングストッパー、半導体素子の表面コート膜などの保護膜、多層レジストを用いた半導体作製工程の中間層、多層配線基板の層間絶縁膜、液晶表示素子用の保護膜や絶縁膜などの用途に有用である。
【0043】
【実施例】
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
なお、実施例および比較例中の部および%は、特記しない限り、それぞれ重量部および重量%であることを示している。また、実施例中における膜形成用組成物の評価は、次のようにして測定したものである。
【0044】
重量平均分子量(Mw)
下記条件によるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した。
試料:テトラヒドロフランを溶媒として使用し、ポリマー1gを、100ccのテトラヒドロフランに溶解して調製した。
標準ポリスチレン:米国プレッシャーケミカル社製の標準ポリスチレンを使用した。
装置:米国ウオーターズ社製の高温高速ゲル浸透クロマトグラム(モデル150−C ALC/GPC)
カラム:昭和電工(株)製のSHODEX A−80M(長さ50cm)
測定温度:40℃
流速:1cc/分
【0045】
比誘電率
8インチシリコンウエハ上に、スピンコート法を用いて組成物試料を塗布し、ホットプレート上で80℃で1分間、350℃で2分間基板を乾燥し、さらに450℃の窒素雰囲気のホットプレート中で5分基板を焼成した。得られた基板上にアルミニウムを蒸着し、比誘電率評価用基板を作製した。比誘電率は、横川・ヒューレットパッカード(株)製のHP16451B電極およびHP4284AプレシジョンLCRメーター用いて、10kHzにおける容量値から算出した。
【0046】
クラック耐性
8インチシリコンウエハ上に、スピンコート法を用いて組成物試料を塗布し、ホットプレート上で80℃で1分間、350℃で2分間基板を乾燥し、さらに450℃の窒素雰囲気のホットプレート中で5分基板を焼成した。この際の最終的な塗膜の膜厚は5μmとした。得られた塗膜付き基板を純水中に10分間浸漬し、塗膜の外観を35万ルクスの表面観察用ランプで観察し、下記基準で評価した。
○;塗膜表面にクラックが認められない。
×;塗膜表面にクラックが認められる。
【0047】
1%重量減少温度(Td1)
8インチシリコンウエハ上に、スピンコート法を用いて組成物試料を塗布し、ホットプレート上で80℃で1分間、350℃で2分間基板を乾燥し、さらに450℃の窒素雰囲気のホットプレート中で5分基板を焼成した。この基板から塗膜を剥離し、TG法により、窒素雰囲気中、昇温速度10℃/分の条件で測定した。
【0048】
合成例1
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン35.04gと50%水酸化ナトリウム水溶液16.00gをジメチルアセトアミド100gと共にフラスコに入れ、窒素雰囲気下で140℃で5時間加熱を行った。この際、発生する水蒸気を系外に除去した。この溶液に2,4−ジクロロトルエン16.03gと塩化第一銅2.2gを加え、160℃で8時間反応を行った。反応液を冷却したのち、溶液中の不溶物をろ過で除去し、メタノール中に再沈殿を行った。この沈殿物をイオン交換水で十分洗浄したのち、沈殿物をシクロヘキサノンに溶解させ、不溶物を除去したのち、アセトン中に再沈殿させた。この沈殿物を60℃の真空オーブン中で24時間乾燥させることで、重合体(1)を得た。
この重合体の重量平均分子量は、2,300であった。
【0049】
合成例2
合成例1において、2,4−ジクロロトルエン16.03gの代わりに4,4′−ジクロロ−3,3′−ジメチルビフェニル25.12gを用いた以外は、合成例1と同様にして重合体(2)を得た。
この重合体の重量平均分子量は、2,450であった。
【0050】
合成例3
合成例1において、2,4−ジクロロトルエン16.03gの代わりに、ビス(4−クロロ−3−メチルフェニル)エーテル26.72gを用いた以外は、合成例1と同様にして重合体(3)を得た。
この重合体の重量平均分子量は、1,750であった。
【0051】
合成例4
合成例1において、2,4−ジクロロトルエン16.03gの代わりに、ビス(4−クロロ−3−メチルフェニル)ケトン27.92gを用いた以外は、合成例1と同様にして重合体(4)を得た。
この重合体の重量平均分子量は、1,950であった。
【0052】
合成例5
合成例1において、2,4−ジクロロトルエン16.03gの代わりに、ビス(4−クロロ−3−メチルフェニル)ケトン27.92gを用いた以外は、合成例1と同様にして重合体(5)を得た。
この重合体の重量平均分子量は、1,850であった。
【0053】
合成例6
合成例1において、2,4−ジクロロトルエン16.03gの代わりに、ビス(4−クロロ−3−メチルフェニル)スルホン31.52gを用いた以外は、合成例1と同様にして重合体(6)を得た。
この重合体の重量平均分子量は、2,200であった。
【0054】
合成例7
合成例1において、2,4−ジクロロトルエン16.03gの代わりに、2,4−ジクロロトルエン8.02gと1,4−ジクロロベンゼン7.35gを用いた以外は、合成例1と同様にして重合体(7)を得た。
この重合体の重量平均分子量は、1,750であった。
【0055】
合成例8
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン37.8gと炭酸カリウム37.8gをジメチルアセトアミド350gと共にフラスコに入れ、窒素雰囲気下で150℃で2時間加熱を行った。この際、発生する水蒸気を系外に除去した。この溶液にビス(4−フルオロフェニル)ケトン21.8gを添加し、165℃で10時間反応を行った。反応液を冷却したのち、溶液中の不溶物をろ過で除去し、メタノール中に再沈殿を行った。この沈殿物をイオン交換水で十分洗浄したのち、沈殿物をシクロヘキサノンに溶解させ、不溶物を除去したのち、メタノール中に再沈殿させた。この沈殿物を60℃の真空オーブン中で24時間乾燥させることで、重合体(8)を得た。
この重合体の重量平均分子量は、60,300であった。
【0056】
合成例9
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)フルオレン40.6gと炭酸カリウム38.8gをジメチルアセトアミド350gと共にフラスコに入れ、窒素雰囲気下で150℃で2時間加熱を行った。この際、発生する水蒸気を系外に除去した。この溶液にビス(4−フルオロフェニル)ケトン21.8gを添加し、165℃で10時間反応を行った。反応液を冷却したのち、溶液中の不溶物をろ過で除去し、メタノール中に再沈殿を行った。この沈殿物をイオン交換水で十分洗浄したのち、沈殿物をシクロヘキサノンに溶解させ、不溶物を除去したのち、メタノール中に再沈殿させた。この沈殿物を60℃の真空オーブン中で24時間乾燥させることで、重合体(9)を得た。
この重合体の重量平均分子量は、50,000であった。
【0057】
合成例10
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン17.5gと9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン18.9g50%水酸化ナトリウム水溶液16.00gをジメチルアセトアミド100gと共にフラスコに入れ、窒素雰囲気下で140℃で5時間加熱を行った。この際、発生する水蒸気を系外に除去した。この溶液に4,4’−ジブロモビフェニル15.6gと塩化第一銅2.2gを加え、160℃で8時間反応を行った。反応液を冷却したのち、溶液中の不溶物をろ過で除去し、メタノール中に再沈殿を行った。この沈殿物をイオン交換水で十分洗浄したのち、沈殿物をシクロヘキサノンに溶解させ、不溶物を除去したのち、アセトン中に再沈殿させた。この沈殿物を60℃の真空オーブン中で24時間乾燥させることで、重合体(10)を得た。
この重合体の重量平均分子量は、10,300であった。
【0058】
比較合成例1
合成例1において、2,4−ジクロロトルエン16.03gの代わりに、1,3−ジクロロベンゼン14.70gを用いた以外は、合成例1と同様にして重合体(11)を得た。
この重合体の重量平均分子量は、2,650であった。
【0059】
比較合成例2
メチルトリメトキシシラン77.04gと酢酸2gを、イソプロピルアルコール290gに溶解させたのち、スリーワンモーターで攪拌させ、溶液温度を60℃に安定させた。次に、イオン交換水84gを1時間かけて溶液に添加した。その後、60℃で2時間反応させたのち、反応液(1)(縮合物)を得た。
このようにして得られた縮合物の重量平均分子量は、1,500であった。
【0060】
実施例1
合成例1で得られた重合体(1)2gをシクロヘキサノン18gに溶解させ0.2μm孔径のポリテトラフルオロエチレン(テフロン)製フィルターでろ過を行い、本発明の膜形成用組成物を得た。
得られた組成物をスピンコート法でシリコンウエハ上に塗布した。
塗膜の比誘電率を測定したところ、2.89と比誘電率3以下の塗膜が得られた。塗膜は5μmの膜厚でもクラックが生じておらず、高いクラック耐性を示した。また、塗膜の1%重量減少温度を測定したところ、492℃と優れた耐熱性を示した。
【0061】
実施例2〜10
実施例1と同様にして、表1〜2に示す組成で評価を行った。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】
比較例1
比較合成例1で得られた重合体(11)を使用した以外は、実施例1と同様にして評価を行った。
塗膜は、2.95の比誘電率と5μmの耐クラック性を示したが、1%重量減少温度は365℃で耐熱性に劣るものであった。
【0065】
比較例2
比較合成例2で得られた反応液(1)のみを用いた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。
塗膜は、2.98の比誘電率と1%重量減少温度455℃を示したが、5μmの塗膜でクラックが生じておりクラック耐性に劣るものであった。
【0066】
【発明の効果】
本発明によれば、特定の構造のポリアリーレンエーテルを含有する組成物を使用することにより、耐熱性、低誘電性、クラック耐性などのバランスに優れた膜形成用組成物(層間絶縁膜用材料)を提供することが可能である。
Claims (4)
- 一般式(2)において、Xがアルキル基を1以上有する基である請求項1記載の膜形成用組成物。
- 一般式(2)において、Xがアルキル基を1以上有する基とXがアルキル基を有さない基の両方を含む請求項1記載の膜形成用組成物。
- 請求項1〜3いずれか1項記載の膜形成用組成物からなることを特徴とする絶縁膜形成用材料。
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