JP4590088B2 - フレキシブル基板素片、及び、多層フレキシブル配線板 - Google Patents

フレキシブル基板素片、及び、多層フレキシブル配線板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はフレキシブル基板の技術分野にかかり、特に、多層フレキシブル配線板を製造する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、所望の回路パターンを印刷したフレキシブル基板は多用されており、近年では、単層構造のフレキシブル基板素片を複数枚接続して成る多層フレキシブル配線板が用いられている。
【0003】
図14を用いて従来技術の多層フレキシブル配線板を作成する工程を説明する。
図14(a)の符号110と、符号120と、符号130はそれぞれ単層構造の第一、第二、第三のフレキシブル基板素片を示している。
【0004】
第一、第二、第三のフレキシブル基板素片110、120、130は、ベースフィルム111、121、131と、ベースフィルム111、121、131表面に配置された金属配線115、125、135と、ベースフィルム111、121、131の金属配線115、125、135の形成された面に配置されたカバーフィルム116、126、136とをそれぞれ有している。
【0005】
これらのベースフィルム111、121、131と、カバーフィルム116、126、136には、それぞれ金属配線115、125、135の位置する部分に開口113、123、133、119、129、139がそれぞれ形成されており、カバーフィルム116、126、136の開口119、129、139底面には金属配線115、125、135がそれぞれ露出している。
【0006】
これらのうち、第一のフレキシブル基板素片110の、ベースフィルム111の開口113の底面には、金属配線115が露出している。
他方、第二、第三のフレキシブル基板素片120、130のベースフィルム121、131の開口123、133内には、金属配線125、135の表面に形成されたバンプ124、134が配置されており、そのバンプ124、134の先端部分がベースフィルム121、131の表面から突き出されている。
これらのバンプ124、134のベースフィルム121、131より突き出された部分の表面には、半田メッキ被膜127、137が形成されている。
【0007】
このような第一、第二、第三のフレキシブル基板素片110、120、130を接続し、多層フレキシブル配線板とするには、先ず、図14(a)に示したように、第一のフレキシブル基板素片110をカバーフィルム116を上側に向けて配置し、第一のフレキシブル基板素片110の上方に、第二、第三のフレキシブル基板素片120、130をそれぞれバンプ124、134が形成された側の面を下に向けて配置する。
【0008】
次いで、互いに向かい合うバンプ124、134とカバーフィルム116、126の開口119、129とを互いに位置合わせし、バンプ124、134の先端部分を開口119、129内に挿入する。
【0009】
この状態で、全体を押圧しながら加熱すると、半田メッキ被膜127、137が溶融する。溶融した半田メッキ被膜127、137は、金属配線115、125とバンプ124、134の両方に接触した状態で固化するので、半田メッキ被膜127、137を介して金属配線115、125とバンプ124、134とが接続され、各フレキシブル基板素片110、120、130が半田メッキ被膜127、137を介して電気的に接続される。
【0010】
図14(b)の符号100は、第一、第二、第三のフレキシブル基板素片110、120、130が接続されて成る多層フレキシブル配線板を示している。
この多層フレキシブル配線板100では、最上層に位置する第三のフレキシブル基板素片130のカバーフィルム136の開口139内と、最下層に位置する第一のフレキシブル基板素片110のベースフィルム111の開口113内には、それぞれ金属配線115、135が露出しており、金属配線115、135が露出した部分をランドとして用い、他の電気部品との接続に用いることができる。
【0011】
このように、単純な構造のフレキシブル基板素片110、120、130を複数枚接続させることで、複雑な構造の多層フレキシブル配線板100を容易に作成することができる。
【0012】
しかしながら、上記のような多層フレキシブル配線板100を、他の電気部品と半田金属を介して接続させるような場合、接続に用いる半田金属を溶融させるために、全体をリフロー炉内で加熱する必要があるが、加熱の工程で、各フレキシブル基板素片110、120、130を電気的に接続する半田メッキ被膜127、137が再溶融し、開口119、129内で広がってしまうことがある。
【0013】
特に、多層フレキシブル配線板100中のバンプ124、134の高さにばらつきがあり、図14(b)に示したように、高さの低いバンプ134が金属配線125に当接されない部分150では、溶融した半田メッキ被膜137が開口129内で広がると、バンプ134と半田メッキ被膜137との接触が維持されなくなり、接続不良が生じる場合がある。
【0014】
また、フレキシブル基板素片のバンプを他のフレキシブル基板素片の金属配線に当接させた状態で、超音波を印加すれば、バンプと金属配線の当接した部分が接合されるので、半田メッキ被膜を介さずに、フレキシブル基板素片を電気的に接続することができる。
【0015】
しかしながら、超音波を用いる方法では、一回の超音波接続で、一組のフレキシブル基板素片を接続することしかできないので、例えば、三枚のフレキシブル基板素片を張り合わせるような場合では、先ず、一枚目のフレキシブル基板素片と二枚目のフレキシブル基板素片とを重ね合わせ、超音波接続を行った後、更に、三枚目のフレキシブル基板素片を重ね合わせ、再び超音波接続を行う必要がある。
【0016】
このように、超音波接続を複数回に分けて行うと、工程が複雑になるだけでは無く、超音波が繰り返し印加されることによって、対向するバンプと金属配線の位置ずれが生じたり、得られる多層フレキシブル配線板に歪みなどの変形が生じる場合がある。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来技術の不都合を解決するために創作されたものであり、その目的は、接続信頼性が高く、変形などの歪みも無い多層フレキシブル配線板を作成することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項記載の発明は、第二のベースフィルムと、前記第二のベースフィルム表面に配置された第二の金属配線と、前記第二のベースフィルムの裏面に配置され、前記第二の金属配線と電気的に接続された第三の金属配線と、前記第二のベースフィルムの表面に位置し、前記第二の金属配線の位置する部分に開口が形成された第二のカバーフィルムと、前記第二のベースフィルムの裏面に位置し、前記第三の金属配線の位置する部分に開口が形成された第三のカバーフィルムとを有するフレキシブル基板素片であって、前記第二、第三のカバーフィルムの一方、又は、両方に形成された前記開口には、導電性粒子と、熱硬化性樹脂とを有し、前記第二の金属配線、又は、前記第三の金属配線と電気的に接続された導電性接着剤が配置されたフレキシブル基板素片である。
請求項記載の発明は、第四の金属配線と、前記第四の金属配線に形成された第二のバンプとを有するフレキシブル基板素片を少なくとも2枚と、第二のベースフィルムと、前記第二のベースフィルム表面に配置された第二の金属配線と、前記第二のベースフィルムの裏面に配置され、前記第二の金属配線と電気的に接続された第三の金属配線と、前記第二のベースフィルムの表面に位置し、前記第二の金属配線の位置する部分に開口が形成された第二のカバーフィルムと、前記第二のベースフィルムの裏面に位置し、前記第三の金属配線の位置する部分に開口が形成された第三のカバーフィルムとを有するフレキシブル基板素片であって、前記第二、第三のカバーフィルムの一方、又は、両方に形成された前記開口には、導電性粒子と、熱硬化性樹脂とを有し、前記第二の金属配線、又は、前記第三の金属配線と電気的に接続された導電性接着剤が配置されたフレキシブル基板素片を少なくとも1枚有し、前記第二、第三のカバーフィルムの開口内には前記第二のバンプの先端部分がそれぞれ配置され、前記第二、第三のカバーフィルムの開口内に配置された前記導電性接着剤が、前記金属配線と前記バンプの両方に電気的に接続された状態で硬化された多層フレキシブル配線板である。
【0019】
本発明は上記のように構成されており、開口内に配置された導電性接着剤は、第一の金属配線の開口の位置する部分と電気的に接続されているので、他のフレキシブル基板素片のバンプ(第二のバンプ)の先端部分を第一のカバーフィルムの開口内に挿入した状態で、全体を押圧しながら加熱すると、開口内の導電性接着剤が加熱によって軟化し、第二のバンプの先端部分が軟化した導電性接着剤に潜り込み、導電性接着剤を介して第二のバンプと第一の金属配線の開口の位置する部分とが接続される。
【0020】
従って、第二のバンプの高さにばらつきがあり、第二のバンプの導電性接着剤に潜り込んだ先端部分が、第一の金属配線に当接されない場合でも、導電性接着剤を介して第二のバンプと第一の金属配線とが電気的に接続されるので、本発明のフレキシブル基板素片を他のフレキシブル基板素片とを接続させて得られる多層フレキシブル配線板には、接続不良の部分が生じない。
【0021】
導電性接着剤は熱硬化性樹脂を有しており、導電性接着剤を第二のバンプと第一の金属配線の両方に接触した状態で加熱によって硬化させれば、硬化された導電性接着剤によって第二のバンプが固定されるので、第二のバンプの位置ずれが防止される。
【0022】
このように、本発明のフレキシブル基板素片と他のフレキシブル基板素片とは、加熱押圧によって接続されるので、三枚以上のフレキシブル基板素片を接続させる場合に、各フレキシブル基板素片同士の電気的接続を複数回に分けて行う必要が無く、一回の加熱押圧で接続することができるので、得られる多層フレキシブル配線板に歪みや変形が生じ難い。
【0023】
第一のカバーフィルムの開口の容積をVa、第二のバンプの開口内に挿入される部分の体積をVb、開口内に位置する導電性接着剤の体積をVcとした場合に、導電性接着剤の体積Vcが下記式(1)で示される範囲にあることが好ましい。
式(1):Vc≦Va−Vb
開口内の導電性接着剤の体積が上記式(1)に示す範囲にある場合には、バンプの先端部分を開口内に挿入した場合に、導電性接着剤が開口の外へ溢れないので、他の金属配線がその開口に隣接配置されている場合でも、金属配線の開口に位置する部分と、他の金属配線とが短絡することが無い。
【0024】
また、上記の加熱押圧の工程の際に、他のフレキシブル基板素片のベースフィルムと第一のカバーフィルムとを密着させておけば、加熱によって第一のカバーフィルムが接着性を発現するので、本発明のフレキシブル基板素片と他のフレキシブル基板素片は、第一のカバーフィルムを介して機械的にも接続される。
【0025】
また、本発明のフレキシブル基板素片には、2つの金属配線(第二、第三の金属配線)を有するものが含まれており、このようなフレキシブル基板素片と他のフレキシブル配線板とを接続すれば、金属配線の数がより多い多層フレキシブル配線板を得ることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明を図面を用いて説明する。
図1(a)〜(e)、図2(a)〜(f)はそれぞれ本発明のフレキシブル基板素片の第一例、第二例の製造工程図である。
【0027】
図1(a)の符号20と、図2(a)の符号25は、それぞれベースフィルム(第一のベースフィルム)11、31と、ベースフィルム11、31表面に密着配置された金属配線15、35(第一の金属配線)とから成る積層体を示している。
【0028】
これらの積層体20、25のベースフィルム11、31には、それぞれ金属配線15、35の位置する部分に、金属配線15、35の幅よりも径の小さい開口13、33が形成されている。
【0029】
これらのうち、図2(a)に示したベースフィルム31の開口33の底面には、金属配線35が露出している。ここでは、厚さ12μmの銅箔をエッチングし、残った厚さ12μmの部分からその金属配線35を構成した。他方、図1(a)に示したベースフィルム11の開口13内には、金属配線15の表面に形成されたバンプ14(第一のバンプ)が配置されている。
【0030】
ここでは、厚さ50μmの銅箔表面にレジスト層を形成し、所定形状のマスクを通してレジスト層に紫外線を照射し、レジスト層を所定形状にパターニングした後、パターニングされたレジスト膜が配置されていない部分の銅箔を深さ38μmだけエッチングした後、このエッチング工程で残った12μmの部分を更にエッチングにより分離し、二回のエッチングの工程で残った厚さ12μの部分を金属配線15とした。また、最初のエッチング工程でレジスト膜によって保護され、2回目のエッチング工程でもエッチングされなかった厚さ50μmの部分をバンプとした。
【0031】
これらの積層体20、25を用いて本発明のフレキシブル基板素片を作成するには、先ず、剥離フィルム17、37表面に熱硬化性樹脂が含有された絶縁性の接着剤から成るカバーフィルム16、36を形成して、剥離フィルム17、37とカバーフィルム16、36とから成る接着フィルム12、32を作成し、この接着フィルム12、32のカバーフィルム16、36を、積層体20、25の金属配線15、35の形成された側の表面に密着させる。
【0032】
この状態で、全体を押圧しながらカバーフィルム16、36に含まれる熱硬化性樹脂の硬化温度よりも低い温度で加熱すると、カバーフィルム16、36が軟化し、押圧によって金属配線15、35間の間隙が絶縁性の接着剤から成るカバーフィルム16、36で充填される(図1(b)、図2(b))。
【0033】
次いで、接着フィルム12、32の剥離フィルム17、37表面の金属配線15、35が位置する部分の所望位置にレーザー光を照射し、接着フィルム12、32の剥離フィルム17、37とカバーフィルム16、36に開口を形成する。
【0034】
図1(c)の符号23と、図2(c)の符号28は、剥離フィルム17に形成された開口をそれぞれ示しており、図1(c)の符号19と、図2(c)の符号39はカバーフィルム16、36に形成された開口をそれぞれ示している。各開口23、28、19、39の直径は、金属配線15、35の幅よりも小さくされており、カバーフィルム16、36の開口19、39の底面には金属配線15、35のみが露出している。ここでは、直径が100μmの開口23、28、19、39をそれぞれ形成した。
【0035】
次に、導電性粒子と、熱硬化性樹脂と、有機溶剤とを混合して導電性接着剤を用意する。ここでは、導電性粒子として銀粒子を、熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂を主成分とし、カバーフィルム16、36に用いた熱硬化性樹脂よりも硬化温度の低いものを用い、導電性粒子80重量部に対して、熱硬化性樹脂を20重量部と、有機溶剤であるトルエン30重量部とを添加し、これらを十分に混合して導電性接着剤とした。
【0036】
次いで、この導電性接着剤をスクイジーを用いて図1(c)、図2(c)に示した状態の剥離フィルム17、37の表面に押し広げると、剥離フィルム17、37の開口23、28とカバーフィルム16、36の開口19、39内にそれぞれ導電性接着剤が充填される(スクリーン印刷)。
【0037】
図1(d)、図2(d)の符号18、38は、それぞれカバーフィルム16、36と剥離フィルム17、37の開口19、23、28、39内に充填された導電性接着剤を示しており、これらの導電性接着剤18、38は、カバーフィルム16、36の開口19、39底面に位置する金属配線15、35の表面に密着している。この状態では、導電性接着剤18、38の一部は剥離フィルム17、37表面に残留している。
【0038】
剥離フィルム17、37とカバーフィルム16、36との接着力は、カバーフィルム16、36とベースフィルム11、31との接着力に比べて小さいので、図1(d)、図2(d)に示した状態で、剥離フィルム17、37を剥離すると、剥離フィルム17、37がカバーフィルム16、36から剥離され、カバーフィルム16、36がベースフィルム11、31表面に貼付された状態で残る。
【0039】
このとき、剥離フィルム17、37の開口23、28内に充填された導電性接着剤18、38と、剥離フィルム17、37表面に残留する導電性接着剤18、38は、剥離フィルム17、37と共に除去され、カバーフィルム16、36の開口19、39内に充填された導電性接着剤18、38のみが残る。
【0040】
この状態では、カバーフィルム16、36の開口19、39内に残った導電性接着剤18、38の表面の高さと、カバーフィルム16、36の表面の高さは略等しくなっており、それらの開口19、39内の導電性接着剤18、38の体積が、各開口19、39の容積と略等しくなっている。
【0041】
図1(e)、図2(e)はその状態を示しており、ベースフィルム11、31上に残った接着フィルム12、32のカバーフィルム16、36が後述する本発明第一例、第二例のフレキシブル基板素片のカバーフィルム(第一のカバーフィルム)となる。
【0042】
次に、全体を加熱乾燥炉を通過させ、導電性接着剤18、38に含まれる熱硬化性樹脂の硬化温度より低い温度(ここでは80℃)で所定時間加熱乾燥する。
この導電性接着剤18、38には塗布工程を容易にするために、有機溶剤が多量に添加されており、この有機溶媒が加熱乾燥によって蒸発すると導電性接着剤18、38の表面が凹み、その体積がカバーフィルム16、36の開口19、39の容積よりも小さくなる。
【0043】
図1(f)、図2(f)の符号10、30は、加熱乾燥された後の状態の、本発明第一例、第二例のフレキシブル基板素片を示している。
次に、上記のような第一例、第二例のフレキシブル基板素片10、30と他のフレキシブル基板素片とを接続し、多層フレキシブル配線板を作成する工程を説明する。
【0044】
図3(a)の符号70は、導電性接着剤を有しない従来技術のフレキシブル基板素片を示しており、このフレキシブル基板素片70は、ベースフィルム71と、ベースフィルム71表面に配置された金属配線75(第四の金属配線)と、ベースフィルム71の金属配線75が形成された面に配置されたカバーフィルム76とを有している。
【0045】
これらのベースフィルム71とカバーフィルム76とはそれぞれポリイミド樹脂から成り、金属配線75の位置する部分にそれぞれ開口73、79が形成されている。
【0046】
これらのうち、カバーフィルム76に形成された開口79の底面には、金属配線75が露出している。他方、ベースフィルム71の開口73内には、金属配線75表面に直立するバンプ74(第二のバンプ)が配置されており、そのバンプ74の先端はベースフィルム71表面から突き出されている。
【0047】
符号70で示すフレキシブル基板素片と本発明第一例、第二例のフレキシブル基板素片10、30とを接続するには、先ず、本発明第二例のフレキシブル基板素片30を、導電性接着剤38の配置された開口39を上側に向けて配置し、第二例のフレキシブル基板素片30の上方に、一枚目、二枚目、三枚目の第一例のフレキシブル基板素片10を、それぞれバンプ14が突き出された面を下側に、導電性接着剤18が配置された開口19を上側に向けて配置し、更に最上層に位置する部分に符号70に示すフレキシブル基板素片を、バンプ74が形成された面を下側に、開口79底面に金属配線75が露出する面を上側に向けて配置する。
【0048】
次いで、互いに向かい合うバンプ14、74と開口19、39をそれぞれ位置合わせをし(図3(a))、バンプ14、74の先端部分を対向する開口19、39に挿入し、カバーフィルム16、36とベースフィルム11、71とを互いに密着させる。
【0049】
このとき、開口19、39内に位置する導電性接着剤18、38は、バンプ14、74の先端部分周囲に押し退けられるが、導電性接着剤18、38の体積は開口19、39の容積よりも小さいので、導電性接着剤18、38が開口19、39から溢れ出ず、開口19、39内に留まる。
【0050】
この状態では、導電性接着剤18、38は開口19、39内で金属配線15、35とバンプ14、74の両方に接触しているので、この導電性接着剤18、38を介してバンプ14、74と金属配線15、36が電気的に接続される。
【0051】
次に、全体をカバーフィルム16、36に含まれる熱硬化性樹脂の硬化温度以上の温度に加熱しながら押圧すると、バンプ14、74と金属配線15、35との接続を維持した状態で導電性接着剤18、38が硬化する。ここでは180℃、1時間の条件で加熱押圧を行った。
【0052】
また、第一例、第二例のフレキシブル基板素片10、30のカバーフィルム16、36を構成する接着剤は、加熱されると接着性を発現するので、これらのカバーフィルム16、36を介して各フレキシブル基板素片10、30、70が貼り合わされる。
【0053】
従って、5枚のフレキシブル基板素片10、30、70が一回の加熱押圧の工程で貼り合わされ、本発明第一例の多層フレキシブル配線板1となる(図3(b))。第一例の多層フレキシブル配線板1では、各フレキシブル基板素片10、30、70がカバーフィルム16、36を介して機械的に接続されているだけでは無く、硬化した導電性接着剤18、38によって電気的にも接続されている。
【0054】
また、導電性接着剤18、38は絶縁性を有するカバーフィルム16、36の開口19、39内にのみ存しているので、開口19、39の位置する部分にある金属配線15、35、75と、その金属配線15、35、75と隣接する金属配線15、35、75とが短絡することが無い。
【0055】
第一例の多層フレキシブル配線板1の最下層に位置するフレキシブル基板素片30のベースフィルム31の開口33底面と、最上層に位置するフレキシブル基板素片70のカバーフィルム76の開口79の底面には、それぞれ金属配線35、75が露出している。
【0056】
次に、本発明第一例の多層フレキシブル配線板1に半導体素子などの電気部品を搭載する工程について説明する。
図4の符号91は、集積回路素子等の半導体素子を示している。この半導体素子91は素子本体92と、素子本体92の表面に直立して設けられた導電性バンプ93とを有しており、この導電性バンプ93の表面には半田メッキ被膜94が形成されている。
【0057】
この半導体素子91を第一例の多層フレキシブル配線板1に搭載するには、先ず、第一例の多層フレキシブル配線板1の最上層に位置するフレキシブル基板素片70のカバーフィルム76と、半導体素子91の導電性バンプ93が設けられた面とを向かい合わせて配置し、カバーフィルム76の開口79と、半導体素子91の導電性バンプ93とが互いに向かい合うよう位置合わせした後(図4(a))、導電性バンプ93表面に形成された半田メッキ被膜94を開口79底面に露出する金属配線75表面に当接する。
【0058】
この状態で、全体を押圧しながら加熱すると、半田メッキ被膜94が溶融し、溶融した半田メッキ被膜94を介して導電性バンプ93と、金属配線75とが接続され、半導体素子91と多層フレキシブル配線板1とが電気的に接続される。
【0059】
このとき、第一例の多層フレキシブル配線板1の導電性接着剤18、38と、カバーフィルム16、16は、加熱によって再溶融せずに硬化した状態が維持されるので、各フレキシブル基板素片10、30、70の機械的、電気的接続が維持される。
【0060】
図4(b)は多層フレキシブル配線板に半導体素子91が搭載された状態を示しており、半導体素子91と多層フレキシブル配線板1とは、半田メッキ被膜94を介して電気的にも機械的にも接続されている。
【0061】
以上は、符号70に示すフレキシブル基板素片と、本発明第二例のフレキシブル基板素片30の間に、本発明第一例のフレキシブル基板素片10を複数枚配置し、多層フレキシブル配線板1を作成する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものでは無い。
【0062】
例えば、図5に示したように、最下層に位置する第二例のフレキシブル基板素片30と、最上層に位置する符号70に示すフレキシブル基板素片の間に、第一例のフレキシブル基板素片10を1枚だけ配置した状態で、上記図3(a)、(b)に示した工程で、三枚のフレキシブル基板素片10、30、70から成る多層フレキシブル配線板(本発明第二例の多層フレキシブル配線板2)を作成しても良い。
【0063】
この場合も、最下層、もしくは最上層に位置するフレキシブル基板素片30、70の開口33、79底面に露出する金属配線75、35に、他の電気部品のバンプを当接させ、第二例の多層フレキシブル配線板2に、電気部品を搭載することができる。
【0064】
また、これとは逆に、第二例のフレキシブル基板素片30と第一のフレキシブル基板素片70との間に3枚以上の第一例のフレキシブル基板素片10を配置し、5枚以上のフレキシブル基板素片から成る多層フレキシブル配線板を得ることもできる。
【0065】
以上は、本発明のフレキシブル基板素片として、それぞれ金属配線15、35(第一の金属配線)を一つ有するフレキシブル基板素片(第一例、第二例のフレキシブル基板素片10、30)について説明したが、本発明はこれに限定されるものでは無い。例えば、2つ以上の金属配線を有するフレキシブル基板素片も本発明には含まれる。
【0066】
図6の符号40は、本発明の第三例のフレキシブル基板素片を示しており、このフレキシブル基板素片40は、ポリイミドから成るベースフィルム41(第二のベースフィルム)と、ベースフィルム41の表面と裏面にそれぞれ形成された2つの金属配線45、55(第二、第三の金属配線)と、ベースフィルム41の表面と裏面にそれぞれ配置された2つのカバーフィルム46、56(第二、第三のカバーフィルム)とを有している。
【0067】
ベースフィルム41には、2つの金属配線45、55が相対して位置する部分に、スルーホール47が形成されている。このスルーホール47内には、導電性接着剤57が充填されており、ベースフィルム41の表面と裏面にそれぞれ配置された2つの金属配線15、35のうち、スルーホール47の位置する部分はこの導電性接着剤57にそれぞれ接触している。従って、スルーホール47内の導電性接着剤57を介して2つの金属配線45、55が電気的に接続されている。
【0068】
ベースフィルム41の表面に位置するカバーフィルム46には、ベースフィルム41表面の金属配線45が位置する部分に開口49が形成されている。また、ベースフィルム41の裏面に位置するカバーフィルム56にも同様に、ベースフィルム41の裏面の金属配線55が位置する部分に開口59が形成されている。
【0069】
これらのカバーフィルム46、56は、上述した本発明第一例、第二例のフレキシブル基板素片10、30のカバーフィルム(第一のカバーフィルム)16、36と同じ工程で作成されており、カバーフィルム46、56の開口49、59内には、図1(d)〜(f)、図2(d)〜(f)に示した工程で、開口49、59の容積よりも少ない体積の導電性接着剤48、58が配置されている。
【0070】
図7の符号3は上述した第三例のフレキシブル基板素片40を用いて作成した多層フレキシブル配線板の一例(本発明第三例の多層フレキシブル配線板)を示している。
第三例の多層フレキシブル配線板3は、2枚の本発明第一例のフレキシブル基板素片10と、2枚の符号70に示すフレキシブル基板素片と、1枚の本発明第三例のフレキシブル基板素片40とを有しており、各フレキシブル基板素片10、40、70が図3(a)、(b)に示した工程で互いに接続されている。
【0071】
第三のフレキシブル基板素片40の2つのカバーフィルム46、56にそれぞれ形成された開口49、59には、それぞれ別の第一例のフレキシブル基板素片10のバンプ14の先端部分が挿入されており、これらの第一例のフレキシブル基板素片10の導電性接着剤18が配置された開口19内には、それぞれ別の符号70に示すフレキシブル基板素片のバンプ74が挿入されている。
【0072】
このように、第三例の多層フレキシブル配線板3は、5枚のフレキシブル基板素片10、40、70からなるが、第三例のフレキシブル基板素片40が2つの金属配線45、55を有しているため、第三例の多層フレキシブル配線板3の金属配線15、45、55、75は6層になっている。
従って、第三例のフレキシブル基板素片を用いれば、第一例、第二例のフレキシブル基板素片のみを用いた場合に比べて、多層フレキシブル配線板の金属配線の数をより多くすることができる。
【0073】
第三例のフレキシブル基板素片40との接続に用いられるフレキシブル基板素片は、バンプを有していれば良く、例えば、図8に示したように、第三例のフレキシブル基板素片40と、他の例のフレキシブル基板素片70のみを用いて多層フレキシブル配線板(本発明第四例の多層フレキシブル配線板)4を作成しても良い。
【0074】
また、以上は、カバーフィルム16、36、46、56の開口19、39、49、59内にのみ導電性接着剤18、38、48、58を配置する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものでは無く、例えば、ベースフィルムの開口内にも同様の導電性接着剤を配置しても良い。
【0075】
図13の符号60は本発明第四例のフレキシブル基板素片を示しており、このフレキシブル基板素片60は、本発明第一例、第二例のフレキシブル基板素片10、30と同じベースフィルム(第一のベースフィルム)61、金属配線(第一の金属配線)65、カバーフィルム(第一のカバーフィルム)66を有している。
【0076】
これらベースフィルム61、カバーフィルム66には、それぞれ金属配線65が位置する部分に開口63、69が形成されている。これらの開口63、69内には、本発明第一例〜第三例のフレキシブル基板素片10、30、40に用いたものと同じ導電性接着剤68がそれぞれ配置されており、導電性接着剤68は開口63、69底面に位置する金属配線65にそれぞれ接触している。また、これらの導電性接着剤68の体積は、カバーフィルム66、ベースフィルム61の各開港63、69の容積よりも少なくされている。
【0077】
第四例のフレキシブル基板素片60には、上記第三例のフレキシブル基板素片30と同様に、その両面に位置する開口63、69に他のフレキシブル基板素片のバンプを挿入させることができる。
【0078】
以上は、本発明のフレキシブル基板素片10、30、40との接続に用いられる従来技術のフレキシブル基板素片70として、金属配線(第四の金属配線)35の一方の表面のみにバンプ(第二のバンプ)が形成されたものを用いる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものでは無い。
【0079】
図9の符号80は本発明のフレキシブル基板素片10、30、40との接続に用いられる従来技術のフレキシブル基板素片の他の例を示している。符号80に示すフレキシブル基板素片は、ベースフィルム81と、ベースフィルム81の一表面に配置された金属配線(第四の金属配線)85と、ベースフィルム81の金属配線85が形成された面に位置するカバーフィルム86とを有している。
【0080】
これらのベースフィルム81とカバーフィルム86には、それぞれ金属配線85の位置する部分に開口83、89が形成されている。これらのうち、ベースフィルム81の開口83内には、金属配線85の表面に形成されたバンプ(第二のバンプ)84が配置されており、そのバンプ84の先端部分がベースフィルム81の表面から突き出されている。また、カバーフィルム86の開口89内には、金属配線85の裏面に形成されたバンプ88(第二のバンプ)が配置されており、そのバンプ88の先端部分がカバーフィルム86表面より突き出されている。
【0081】
図10の符号5は、1枚の符号80に示す従来技術のフレキシブル基板素片と、二枚の第二例のフレキシブル基板素片30とを用いて、図3(a)、(b)の工程で作成された本発明第五例の多層フレキシブル配線板を示しており、二枚の第二例のフレキシブル基板素片30のうち、一方の第二例のフレキシブル基板素片30が最下層に配置され、他方の第二例のフレキシブル基板素片30が最上層に配置されている。
【0082】
最下層に配置された第二例のフレキシブル基板素片30の導電性接着剤38が配置された開口39には、符号80に示すフレキシブル基板素片の金属配線85の表面に形成されたバンプ84が挿入されている。また、符号80に示すフレキシブル基板素片の金属配線85裏面に形成されたバンプ88は、他の第二例のフレキシブル基板素片30の導電性接着剤38が配置された開口39に挿入されている。
【0083】
第五例の多層フレキシブル配線板5では、それぞれ最下層と最上層に位置する第二例のフレキシブル基板素片30のベースフィルム31の開口33底面に金属配線35がそれぞれ露出しており、この金属配線35の露出した部分を介して第五例の多層フレキシブル配線板5と他の電気部品とを接続することができる。
【0084】
以上は、符号80に示す従来技術のフレキシブル基板素片と、本発明第二例のフレキシブル基板素片30のみから成る多層フレキシブル配線板5について説明したが、本発明はこれに限定されるものでは無く、例えば、符号80に示すフレキシブル基板素片と本発明第一例、第二例のフレキシブル基板素片10、30とを有する多層フレキシブル配線板や、符号80に示すフレキシブル基板素片と、本発明第一例〜第三例のフレキシブル基板素片10、30、40を有する多層フレキシブル配線板も本発明には含まれる。
【0085】
これらのうち、図11の符号6は、1枚の符号80に示すフレキシブル基板素片を1枚と、それぞれ2枚の本発明第一例、第二例のフレキシブル基板素片10、30とを、図3(a)、(b)に示す工程で接続して作成した本発明第六例の多層フレキシブル配線板を示している。
【0086】
第六例の多層フレキシブル配線板6では、一枚目の第二例のフレキシブル基板素片30の導電性接着剤38が配置された開口39に、一枚目の第一例のフレキシブル基板素片10のバンプ14の先端部分が挿入され、一枚目の第一例のフレキシブル基板素片10の導電性接着剤18が配置された開口19に、符号80に示すフレキシブル基板素片の金属配線85表面に形成されたバンプ84の先端部分が挿入されている。また、符号80に示すフレキシブル基板素片の金属配線85裏面に形成されたバンプ88の先端部分が、二枚目の第一例のフレキシブル基板素片10の導電性接着剤18が配置された開口19内に挿入され、二枚目の第一の基板素片10のバンプ14先端部分が、二枚目の第二例のフレキシブル基板素片30の導電性接着剤38が配置された開口39内に挿入されている。
【0087】
第六例の多層フレキシブル配線板6では、それぞれ最下層と最上層に位置する第二例のフレキシブル基板素片30のベースフィルム31の開口33底面に金属配線35が露出している。
【0088】
また、図12の符号7は、符号80に示す従来技術のフレキシブル基板素片と、符号70に示す従来技術のフレキシブル基板素片と、本発明第一例〜第三例のフレキシブル基板素片10、30、40とをそれぞれ一枚ずつ有し、これらのフレキシブル基板素片10、30、40、70、80が図3(a)、(b)の工程で接続されてなる本発明第七例の多層フレキシブル配線板を示している。
【0089】
第七例の多層フレキシブル配線板7の最下層には、第二例のフレキシブル基板素片30が配置されており、第二例のフレキシブル基板素片30の導電性接着剤38が配置された開口39内に、第一例のフレキシブル基板素片10のバンプ14先端部分が挿入され、第一例のフレキシブル基板素片10の導電性接着剤18が配置された開口19には、符号80に示すフレキシブル基板素片の金属配線85表面に形成されたバンプ84の先端部分が挿入されている。また、符号80に示すフレキシブル基板素片の金属配線85裏面に形成されたバンプ88の先端部分が第三例のフレキシブル基板素片40の2つのカバーフィルム46、56のうち、一方のカバーフィルム46に形成された開口49内に配置されており、更に、第三例のフレキシブル基板素片40の他方のカバーフィルム56の開口59には、符号70に示すフレキシブル基板素片のバンプ74が挿入されている。
【0090】
第七例の多層フレキシブル配線板7では、最上層に位置し、符号70に示されるフレキシブル基板素片のカバーフィルム76の開口79と、最下層に位置する第二例のフレキシブル基板素片30のベースフィルム31の開口33には、それぞれの底面に金属配線35、75が露出している。
【0091】
以上に述べたように、本発明の第一例〜第四例のフレキシブル基板素片10、30、40、60を用いれば、信頼性の高い多層フレキシブル配線板を得ることができる。また、以上に述べた本発明第一〜第七の多層フレキシブル配線板1〜7以外にも、本発明のフレキシブル基板素片と従来技術のフレキシブル基板素片を組み合わせることによって種々の形状の多層フレキシブル配線板を得ることができる。
【0092】
以上は、スクリーン印刷法によってカバーフィルム16、36、46、56の開口19、39、49、59内に導電性接着剤18、38、48、58した後、加熱乾燥で導電性接着剤18、38、48、58の有機溶剤を蒸発させ、各開口19、39、49、59の容積よりも少ない体積の導電性接着剤18、38、48、58を配置する方法について説明したが、本発明はこれに限定されるものでは無く、例えば、カバーフィルムの各開口内に、ディスペンサーを用いて導電性接着剤を直接注入しても良い。
【0093】
この場合は、剥離フィルムを用いて余分な導電性接着剤を除去する必要が無く、また、注入する導電性接着剤の体積を、開口の容積より少なくすれば、導電性接着剤の有機溶剤を蒸発させる工程も不要になる。
【0094】
また、以上はカバーフィルムを加熱によって接着性を発現する接着剤で構成する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものでは無く、接着剤を用いずに、例えば、ベースフィルムと同様のポリイミド樹脂等を用いてカバーフィルムを作成しても良い。
【0095】
上記のように接着性を有しないカバーフィルムを有するフレキシブル基板素片を他のフレキシブル基板素片と接続させる場合は、これらのフレキシブル基板素片の間に接着性を有する樹脂フィルムを配置した状態で、全体を加熱押圧すれば、その樹脂フィルムを介してフレキシブル基板素片同士を機械的に接続することが可能である。
【0096】
また、カバーフィルムの開口の形成方法も、レーザーによる方法に限定されるものでは無く、例えば、所望形状にパターニングされたマスクフィルムをカバーフィルムの表面に貼付し、化学的エッチングを行い、開口を形成しても良い。
【0097】
導電性接着剤に用いられる導電性粒子も銀粒子に限定されるものではなく、例えば、銀−鉛合金粉末、銅粉末、カーボン粉末、グラファイト粉末等種々のものを用いることができる。
【0098】
導電性接着剤に用いる熱硬化性の樹脂はエポキシ樹脂に限定されず、例えば、エポキシ−アクリル混合樹脂等種々のものを用いることができる。
カバーフィルムに用いる熱硬化性樹脂もエポキシ樹脂に限定されることは無く、アクリル樹脂、アクリル−エポキシ混合樹脂等種々のものを用いることができる。また、カバーフィルムに用いる熱硬化性樹脂としては、160℃以上200℃の温度範囲で1時間程度加熱を行った場合に硬化するものを用いることが好ましい。
【0099】
いずれの場合も、熱硬化性樹脂と硬化剤とを併用することができ、導電性接着剤やカバーフィルムに用いることのできる硬化剤としては各種イミダゾール、酸無水物、三級アミン等種々のものを用いることのできる。また、導電性接着剤やカバーフィルムには、カップリング剤、老化防止剤、充填剤などの種々の添加剤を添加することができる。
【0100】
導電性接着剤に用いられる有機溶剤は、トルエンに限定されるものでは無く、例えば、MEK(メチルエチルケトン)等、種々のものを用いることができる。
導電性接着剤に含まれる有機溶剤と熱硬化性樹脂の配合比率は、熱硬化性樹脂3重量部に対して有機溶剤が7重量部以下、又は、熱硬化性樹脂6重量部に対して有機溶剤が4重量部以上の割合にあることが好ましい。
また、ベースフィルム31の開口33に露出する金属配線35の表面や、バンプ14の先端部分に、金やニッケル等から成る金属被膜を形成しても良い。
【0101】
また、本発明のフレキシブル基板素片10、30、70に用いるベースフィルム11、31、41、金属配線15、35、45、55、カバーフィルム16、36、46、56はそれぞれ可撓性を有しているので、これらのベースフィルム11、31、41、金属配線15、35、45、55、カバーフィルム16、36、46.56から成る本発明のフレキシブル基板素片10、30、40はそれぞれ可撓性を有している。
【0102】
従って、本発明のフレキシブル基板素片10、30、40のみからなる多層フレキシブル配線板や、可撓性を有する他のフレキシブル基板素片70、80と、本発明のフレキシブル基板素片10、30、40とから成る多層フレキシブル配線板は可撓性を有する。
【0103】
また、以上は、50μmの厚さの銅箔をエッチングし、金属配線15とバンプ14とを一体成形する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものでは無い。例えば、金属配線、若しくは、金属箔の表面に電解メッキ法によりバンプを形成しても良い。
【0104】
【発明の効果】
複数のフレキシブル基板素片を一度の加熱押圧の工程で接続し、多層フレキシブル配線板を得ることができる。また、本発明の多層フレキシブル配線板は、リフロー炉内で再加熱した場合も、各フレキシブル基板素片の電気的接続が破壊されることが無く、接続信頼性が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(f):本発明の第一例のフレキシブル基板素片の製造工程図
【図2】(a)〜(f):本発明の第二例のフレキシブル基板素片の製造工程図
【図3】(a)、(b):本発明第一例の多層フレキシブル配線板の製造工程図
【図4】(a)、(b):本発明第一例の多層フレキシブル配線板に半導体素子を搭載する工程を説明するための図
【図5】本発明第二例の多層フレキシブル配線板を説明するための図
【図6】本発明の第三例のフレキシブル基板素片を説明するための図
【図7】本発明第三例の多層フレキシブル配線板を説明するための図
【図8】本発明第四例の多層フレキシブル配線板を説明するための図
【図9】本発明のフレキシブル基板素片との接続に用いられる従来技術のフレキシブル基板素片の他の例を説明するための図
【図10】本発明第五例の多層フレキシブル配線板を説明するための図
【図11】本発明第六例の多層フレキシブル配線板を説明するための図
【図12】本発明第七例の多層フレキシブル配線板を説明するための図
【図13】本発明第四例のフレキシブル基板素片を説明するための図
【図14】(a)、(b):従来技術の多層フレキシブル配線板を製造する工程を説明するための図
【符号の説明】
1〜7……多層フレキシブル配線板(本発明第一例〜第七例の多層フレキシブル配線板)
10、30、40、60……フレキシブル基板素片(本発明第一例〜第四例のフレキシブル基板素片)
11、31、61……第一のベースフィルム
13、33、63……第一のベースフィルムの開口
16、36、66……第一のカバーフィルム
18、38、48、58、68……導電性接着剤
19、39、69……第一のカバーフィルムの開口
15、35、65……第一の金属配線
41……第二のベースフィルム
45……第二の金属配線
46……第二のカバーフィルム
49……第二のカバーフィルムの開口
55……第三の金属配線
56……第三のカバーフィルム
59……第三のカバーフィルムの開口

Claims (2)

  1. 第二のベースフィルムと、前記第二のベースフィルム表面に配置された第二の金属配線と、前記第二のベースフィルムの裏面に配置され、前記第二の金属配線と電気的に接続された第三の金属配線と、
    前記第二のベースフィルムの表面に位置し、前記第二の金属配線の位置する部分に開口が形成された第二のカバーフィルムと、
    前記第二のベースフィルムの裏面に位置し、前記第三の金属配線の位置する部分に開口が形成された第三のカバーフィルムとを有するフレキシブル基板素片であって、
    前記第二、第三のカバーフィルムの一方、又は、両方に形成された前記開口には、導電性粒子と、熱硬化性樹脂とを有し、前記第二の金属配線、又は、前記第三の金属配線と電気的に接続された導電性接着剤が配置されたフレキシブル基板素片。
  2. 四の金属配線と、前記第四の金属配線に形成された第二のバンプとを有するフレキシブル基板素片を少なくとも2枚と、
    第二のベースフィルムと、前記第二のベースフィルム表面に配置された第二の金属配線と、前記第二のベースフィルムの裏面に配置され、前記第二の金属配線と電気的に接続された第三の金属配線と、
    前記第二のベースフィルムの表面に位置し、前記第二の金属配線の位置する部分に開口が形成された第二のカバーフィルムと、
    前記第二のベースフィルムの裏面に位置し、前記第三の金属配線の位置する部分に開口が形成された第三のカバーフィルムとを有するフレキシブル基板素片であって、
    前記第二、第三のカバーフィルムの一方、又は、両方に形成された前記開口には、導電性粒子と、熱硬化性樹脂とを有し、前記第二の金属配線、又は、前記第三の金属配線と電気的に接続された導電性接着剤が配置されたフレキシブル基板素片を少なくとも1枚有し、
    前記第二、第三のカバーフィルムの開口内には前記第二のバンプの先端部分がそれぞれ配置され、
    前記第二、第三のカバーフィルムの開口内に配置された前記導電性接着剤が、前記金属配線と前記バンプの両方に電気的に接続された状態で硬化された多層フレキシブル配線板。
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