JP4587683B2 - 投薬器 - Google Patents

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Description

本発明は、患者等の息の吸い込みによって粉体状の薬粉を肺等の粘膜に投与するのに使用する投薬器に関する。
従来よりこの種の投薬器が種々提案されている。特許文献1は、その一例としての投薬器を開示する。
上記文献の投薬器100は、図3に示すように、投薬器本体101とこの投薬器本体101の外周に摺動自在で、且つ、回転自在に配置されたハウジング102とから構成されている。投薬器本体101内には薬粉収容室104が形成されており、この薬粉収容室104は多数の小孔103aを有する隔壁103で仕切されることによって前室104aと後室104bに区画されている。
投薬器本体101の前端側には薬粉収容室104の前室104aが開口する吸入口105が形成され、投薬器本体101の後端側には薬粉収容室104の後室104bの全面が開口する開口部106が形成されている。後室104b内には開口部106に臨むようにリブ107が突設されている。ハウジング102は、投薬器本体101の開口部106を覆い、この開口部106を覆った位置にカプセル投入口108が形成されている。
上記構成において、カプセル投入口108より薬粉(図示せず)が収容されたカプセル110を挿入する。カプセル110を挿入すると、カプセル110の前キャップ110aが薬粉収容室104に突出する状態で保持される。次に、投薬器本体101に対しハウジング102を回転する。すると、カプセル110の前キャップ110aにリブ107が衝突して前キャップ110aが後キャップ110bより離脱してカプセル110内の薬粉(図示せず)が薬粉収容室104に開放される。次に、患者が投薬器本体101の前端側を口に銜えて吸引する。すると、薬粉収容室104内が減圧され、この減圧によって薬粉が患者の口より吸引され、吸引された薬粉が例えば肺の粘膜に付着される。又、鼻より吸引する場合には、投薬器本体101の前端側を鼻に押し込んで吸引し、吸引された薬粉が例えば鼻の粘膜に付着される。尚、薬粉収容室104に落下したカプセル110の前キャップ110aは、隔壁103によって前室104aに移動することが阻止されるため、患者が前キャップ110aを吸引することがない。
特開平1−27750号公報
ところで、粉粒体の薬粉は、容易に凝縮する性質を有するために凝縮塊として存在する可能性が高い。そして、上記従来例では、凝縮塊として存在する薬粉を薬粉収容室104の減圧によって患者の口から吸引することになる。そのため、十分に微細化された状態で吸引されないために、薬粉が肺等の最深部にまで到達しない可能性が高いという問題がある。
本発明は前述した事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、薬粉を肺等の最深部にまで到達させることができる吸引投薬器を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、一端側が開口された本体摺動孔を有するハウジングと、このハウジングの前記本体摺動孔に収容される収納位置と前記本体摺動孔より離脱される離脱位置との間で摺動自在に設けられた投薬器本体とを有し、この投薬器本体内には薬粉を収容する薬粉収容室と、この薬粉収容室に設けられ外部とを連通し、且つ、収納位置では前記ハウジングにより閉塞されつつ、離脱位置では大気に開放される位置に配置された通気孔と、前記薬粉収容室と外部とを連通し、且つ、収納位置では前記ハウジングにより閉塞される位置に配置された吸入口とを設け、前記ハウジングの前記本体摺動孔の内周面と前記投薬器本体の外周面との間にはシール部材を設け、このシール部材の位置よりも引き抜き方向の後方位置に前記通気孔を配置したことを趣旨とする。
また、請求項2に記載の発明は、一端側が開口された本体摺動孔を有するハウジングと、このハウジングの前記本体摺動孔に収容される収納位置と前記本体摺動孔より離脱される離脱位置との間で摺動自在に設けられた投薬器本体とを有し、この投薬器本体内には薬粉を収容する薬粉収容室と、この薬粉収容室に設けられ外部とを連通し、且つ、収納位置では前記ハウジングにより閉塞される位置に配置されつつ、離脱位置では大気に開放される通気孔と、前記薬粉収容室と外部とを連通し、且つ、収納位置では前記ハウジングで閉塞されずに開放される位置に配置された吸入口とを設け、前記ハウジングの前記本体摺動孔の内周面と前記投薬器本体の外周面との間にはシール部材を設け、このシール部材の位置よりも引き抜き方向の後方位置に前記通気孔を配置したことを趣旨とする。
請求項1の発明によれば、ハウジングに対し収納位置に位置する投薬器本体を引き抜き方向に移動すると、投薬器本体の薬粉収容室内が徐々に減圧され、投薬器本体の通気孔が大気に開放される位置まで引き抜くと、大気が通気孔から薬粉収容室内に急激に流入し、急激に流入する流入空気圧で薬粉の凝縮塊が粉砕されて微粒子の粉粒体に分解される。そして、患者が口や鼻より投薬器本体の吸入口を吸引すると、微粒子化した薬粉が患者の口より吸引される。従って、薬粉を肺等の最深部にまで到達させることができる。又、薬粉収容室内を減圧とし、急激に流入する流入空気圧で薬粉の凝縮塊を粉砕して微粒子の粉粒体に分解するため、薬粉収容室内の薬粉を外部に飛散させることなく粉砕できる。更に、投薬器本体の吸入口は、収容位置ではハウジングによって閉塞されているので、投薬器本体をハウジングより引き抜く際に、吸入口を塞ぐような処理や作業を行う必要がない。
また、投薬器本体の引き抜き過程において、ハウジングと投薬器本体との隙間より大気が侵入するのをシール部材で確実に阻止できるため、投薬器本体の薬粉収容室内が十分に減圧され、通気孔に大気に開放された際に非常に激しい流入空気圧を発生させることができる。従って、薬粉の凝縮塊を確実に粉砕して微粒子化できる。
請求項2の発明によれば、吸入孔を塞いだ状態として、ハウジングに対し収納位置に位置する投薬器本体を引き抜き方向に移動すると、投薬器本体の薬粉収容室内が徐々に減圧され、投薬器本体の通気孔が大気に開放される位置まで引き抜くと、大気が通気孔から薬粉収容室内に急激に流入し、急激に流入する流入空気圧で薬粉の凝縮塊が粉砕されて微粒子の粉粒体に分解される。そして、患者が口や鼻より投薬器本体の吸入口を吸引すると、微粒子化した薬粉が患者の口より吸引される。従って、薬粉を肺等の最深部にまで到達させることができる。又、薬粉収容室内を減圧とし、急激に流入する流入空気圧で薬粉の凝縮塊を粉砕して微粒子の粉粒体に分解するため、薬粉収容室内の薬粉を外部に飛散させることなく粉砕できる。
また、投薬器本体の引き抜き過程において、ハウジングと投薬器本体との隙間より大気が侵入するのをシール部材で確実に阻止できるため、投薬器本体の薬粉収容室内が十分に減圧され、通気孔に大気に開放された際に非常に激しい流入空気圧を発生させることができる。従って、薬粉の凝縮塊を確実に粉砕して微粒子化できる。
(第1実施形態)
以下、本発明を具現化した第1実施形態について図面を参照して説明する。
図1は患者の口から薬粉を投与する投薬器1の断面図である。図1において、投薬器1は、一端側が開口された本体摺動孔2aを有する円筒状のハウジング2と、このハウジング2の本体摺動孔2aに収容される収納位置(図1の位置)と本体摺動孔2aより離脱される離脱位置との間で摺動自在に設けられた投薬器本体3とから構成されている。
ハウジング2は、例えば合成樹脂材にて形成され、円筒形状を有する。投薬器本体3は、例えば合成樹脂材の2部材を組み合わせて円柱形状に形成され、内部に薬粉収容室4が形成されている。薬粉収容室4は、軸方向に沿って細長い円柱形状を有し、粉粒体の薬粉(図示せず)が収容されている。投薬器本体3の外周面には周溝(図示せず)が形成され、この周溝に一部填り込むようにしてシール部材5が固定されている。このシール部材5によってハウジング2の本体摺動孔2aの内面と投薬器本体3の外周面との間がシールされている。
又、投薬器本体3には、薬粉収容室4と外部とを連通する通気孔6と吸引口7がそれぞれ設けられている。通気孔6は、投薬器本体3の収納位置ではハウジング2により閉塞される位置、より詳細にはシール部材5の位置よりも引き抜き方向Aの後方位置に配置されている。吸入口7は投薬器本体3の引き抜き方向Aの後端面部3aに配置されている。この吸入口7が形成された投薬器本体3の後端側は、患者が口に銜えやすい所望の寸法に設定されている。
上記投薬器1の使用方法を説明する。投薬器本体3の薬粉収容室4には、投薬を受ける患者に対し所定の薬粉が収容されているものとする。図1に示すように、収納位置に位置する投薬器本体3を引き抜き方向Aに移動する。すると、投薬器本体3の薬粉収容室4内が徐々に減圧され、投薬器本体3の通気孔6が大気に開放される位置まで引き抜くと、大気が通気孔6から薬粉収容室4内に急激に流入し、急激に流入する流入空気圧で薬粉の凝縮塊が粉砕されて微粒子の粉粒体に分解される。そして、患者が投薬器本体3の後端側を口に銜えて吸引口7を吸引する。すると、外部の空気が通気孔6から薬粉収容室4に流入し、この流入した空気に乗って微粒子化した薬粉が吸入口7より患者の口に吸引される。このように微細化された薬粉が患者の口より吸引されるため、薬粉を肺等の最深部にまで到達させることができる。
又、薬粉収容室4内を減圧とし、急激に流入する流入空気圧で薬粉の凝縮塊を粉砕して微粒子の粉粒体に分解するため、薬粉収容室4内の薬粉を外部に飛散させることなく粉砕できる。
更に、投薬器本体3の吸入口7は、収納位置ではハウジング2によって閉塞されているので、投薬器本体3をハウジング2より引き抜く際に、吸入口7を塞ぐような処理や作業を行う必要がない。
上記第1実施形態では、ハウジング2の本体摺動孔2aの内周面と投薬器本体3の外周面との間にはシール部材5を設け、このシール部材5の位置よりも引き抜き方向Aの後方位置に通気孔6を配置したので、投薬器本体3の引き抜き過程において、ハウジング2と投薬器本体3との隙間より大気が侵入するのをシール部材5で確実に阻止できるため、投薬器本体3の薬粉収容室4内が十分に減圧され、通気孔6に大気に開放された際に非常に激しい流入空気圧を発生させることができる。従って、薬粉の凝縮塊を確実に粉砕して微粒子化できる。
(第2実施形態)
以下、本発明を具現化した第2実施形態について図面を参照して説明する。
図2は患者の口から薬粉を投与する投薬器11の断面図である。図2において、投薬器11は、一端側が開口された本体摺動孔12aを有する円筒状のハウジング12と、このハウジング12の本体摺動孔12aに収容される収納位置(図1の位置)と本体摺動孔12aより離脱される離脱位置との間で摺動自在に設けられた投薬器本体13とから構成されている。
ハウジング2は、例えば合成樹脂材にて形成され、円筒形状を有する。投薬器本体13は、例えば可撓性を有する合成樹脂材の2部材を組み合わせて円柱形状に形成され、内部に薬粉収容室14が形成されている。薬粉収容室14は、軸方向に沿って細長いスペースであり、粉粒体の薬粉(図示せず)が収容されている。投薬器本体14の外周面には周溝(図示せず)が形成され、この周溝に一部填り込むようにしてシール部材15が固定されている。このシール部材15によってハウジング12の本体摺動孔12aの内面と投薬器本体13の外周面との間がシールされている。又、シール部材15は、投薬器本体13の引き抜き方向Aに対し出来るだけ後端側に設けられている。これにより、投薬器本体13の実質引き抜きストロークS(収納位置から離脱位置への摺動に際して、投薬器本体13のシール部材15がハウジング12の本体摺動孔12aの内面を摺動する距離)をできるだけ長くなるよう設定されている。
又、投薬器本体13には、薬粉収容室14と外部とを連通する通気孔16と吸入口17がそれぞれ設けられている。通気孔16は、投薬器本体13の収納位置ではハウジング12により閉塞される位置、より詳細にはシール部材15の位置よりも引き抜き方向Aの後方位置に配置されている。吸入口17は投薬器本体13の引き抜く方向Aの先端面部13bに配置されており、この吸入口17によってハウジング12の収容位置でも薬粉収容室14が大気に開口されている。そして、吸入口17が形成された投薬器本体13の先端側は、患者が口に銜えやすい所望の寸法に設定されている。
上記投薬器11の使用方法を説明する。投薬器本体13の薬粉収容室14には、投薬の投与を受ける患者に対し所定の薬粉が収容されているものとする。図2に示すように、投薬器本体13の先端側を圧縮変形させたり、閉塞栓(図示せず)をしたりして吸入口17を塞いだ状態とする、この状態で、収納位置に位置する投薬器本体13を引き抜き方向Aに移動する。すると、投薬器本体13の薬粉収容室14内が徐々に減圧され、投薬器本体13の通気孔16が大気に開放される位置まで引き抜くと、大気が通気孔16から薬粉収容室14内に急激に流入し、急激に流入する流入空気圧で薬粉の凝縮塊が粉砕されて微粒子の粉粒体に分解される。そして、吸入口17を塞いだ状態を開放した後、患者が投薬器本体13の先端側を口に銜えて吸入口17を吸引する。すると、外部の空気が通気孔16から薬粉収容室14に流入し、この流入した空気に乗って微粒子化した薬粉が吸入口17より患者の口に吸引される。このように微細化された薬粉が患者の口より吸引されるため、薬粉を肺等の最深部にまで到達させることができる。
又、薬粉収容室14内を減圧とし、急激に流入する流入空気圧で薬粉の凝縮塊を粉砕して微粒子の粉粒体に分解するため、薬粉収容室14内の薬粉を外部に飛散させることなく粉砕できる。
上記第2実施形態では、ハウジング12の本体摺動孔12aの内周面と投薬器本体13の外周面との間にはシール部材15を設け、このシール部材15の位置よりも引き抜き方向Aの後方位置に通気孔16を配置したので、投薬器本体13の引き抜き過程において、ハウジング12と投薬器本体13との隙間より大気が侵入するのをシール部材15で確実に阻止できるため、投薬器本体13の薬粉収容室14内が十分に減圧され、通気孔16に大気に開放された際に非常に激しい流入空気圧を発生させることができる。従って、薬粉の凝縮塊を確実に粉砕して微粒子化できる。
上記第2実施形態では、シール部材15は、投薬器本体3の引き抜き方向Aに対し出来るだけ後端側に設けられており、投薬器本体13の実質引き抜きストロークSをできるだけ長くなるよう設定されている。従って、投薬器本体13の薬粉収容室14内が十分に減圧され、通気孔16に大気に開放された際に非常に激しい流入空気圧を発生させることができる。従って、薬粉の凝縮塊を確実に粉砕して微粒子化できる。又、このシール部材15の構成に加えて、吸入口17が投薬器本体13の引き抜き方向Aの先端側に配置されているので、通気孔16と吸入口17との配置位置が薬粉収容室14の離間した位置にできる。従って、患者の吸引に際して、通気孔16から吸引された空気が薬粉収容室14の全域を通過しつつ吸引口17より排出されるため、薬粉収容室14内のあらゆる位置に存在する薬粉が吸引流に乗ってスムーズに吸入口17より吸引される。
尚、第1及び第2実施形態では、患者等が口から吸引する投薬器1,11を説明したが、患者等が鼻から吸入する投薬器にも同様に適用できる。鼻から吸入する投薬器の場合には吸引口7,17が形成される投薬器本体3,13の後端側又は先端側は、鼻に密着したり、鼻に入れたりすることができる寸法に設定される。
尚、この発明は、次のような別の実施形態に具現化することができる。以下の別の実施形態において上記実施形態と同様な作用及び効果を得ることができる。
(1)上記第1及び第2実施形態において、投薬器本体3,13には1つの通気孔6,16のみ形成するような構成とした。これに対し、複数の通気孔を形成するような構成にしても良い。このような構成とすることにより、薬粉収容室4,14内に流入する空気流を、薬粉の凝縮塊を粉砕するに際して好適な方向及び圧力に調整できるという効果が得られる。
本発明の第1実施形態を示し、投薬器の断面図である。 本発明の第2実施形態を示し、投薬器の断面図である。 従来の投薬器の断面図である。
符号の説明
1,11 投薬器
2,12 ハウジング
2a,12a 本体摺動孔
3,13 投薬器本体
4,14 薬粉収容室
5,15 シール部材
6,16 通気孔
7,17 吸入口

Claims (2)

  1. 一端側が開口された本体摺動孔を有するハウジングと、このハウジングの前記本体摺動孔に収容される収納位置と前記本体摺動孔より離脱される離脱位置との間で摺動自在に設けられた投薬器本体とを有し、この投薬器本体内には薬粉を収容する薬粉収容室と、この薬粉収容室に設けられ外部とを連通し、且つ、収納位置では前記ハウジングにより閉塞されつつ、離脱位置では大気に開放される位置に配置された通気孔と、前記薬粉収容室と外部とを連通し、且つ、収納位置では前記ハウジングにより閉塞される位置に配置された吸入口とを設け
    前記ハウジングの前記本体摺動孔の内周面と前記投薬器本体の外周面との間にはシール部材を設け、このシール部材の位置よりも引き抜き方向の後方位置に前記通気孔を配置したことを特徴とする投薬器。
  2. 一端側が開口された本体摺動孔を有するハウジングと、このハウジングの前記本体摺動孔に収容される収納位置と前記本体摺動孔より離脱される離脱位置との間で摺動自在に設けられた投薬器本体とを有し、この投薬器本体内には薬粉を収容する薬粉収容室と、この薬粉収容室に設けられ外部とを連通し、且つ、収納位置では前記ハウジングにより閉塞される位置に配置されつつ、離脱位置では大気に開放される通気孔と、前記薬粉収容室と外部とを連通し、且つ、収納位置では前記ハウジングで閉塞されずに開放される位置に配置された吸入口とを設け
    前記ハウジングの前記本体摺動孔の内周面と前記投薬器本体の外周面との間にはシール部材を設け、このシール部材の位置よりも引き抜き方向の後方位置に前記通気孔を配置したことを特徴とする投薬器。
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