JP4567822B2 - 角型非水電解液二次電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、角型非水電解液二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、リチウムイオン二次電池に代表される非水電解液二次電池は、高エネルギー密度を有することから、一体型ビデオカメラ、CDプレーヤー、MDプレーヤー、パソコン、携帯情報データ端末機、携帯電話等のコードレスの携帯型電子機器の電源として注目されている。
【0003】
最近、角型非水電解液二次電池の需要が伸びており、小型・軽量化への要求が進む中で、例えば自動車内での保存や船舶等での輸送などにおける高温状態での保存特性の改良への要求がある。特に、角型二次電池において高温状態の保存は、電池の形状から外装缶の膨れが問題になっている。さらに、軽量化が進む中で外装缶を例えばアルミニウム等にすると、前記外装缶の膨れはより顕著になるという問題があった。
【0004】
ところで、従来、電池のサイクル特性や出力特性を高めるに非水電解液中に溶解される非水電解質としてイオン電導性の高いヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)を使用することが検討されている。しかしながら、角型非水電解液二次電池において電池諸特性を維持しつつ高温保存時のガス発生による二次電池の膨れやインピーダンスの増加を抑制することは未だ充分に満足する結果が得られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、サイクル特性等の諸特性を維持しつつ、高温保存時の膨れおよびインピーダンスの増加を抑制した角型非水電解液二次電池を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係わる角型非水電解液二次電池は、正極、負極、セパレータおよび非水電解液を備えた角型非水電解液二次電池であって、
前記非水電解液は、0.05〜0.3モル/Lの濃度のテトラフルオロホウ酸リチウムおよび0.75モル/L以上の濃度のヘキサフルオロリン酸リチウム電解質を含み、かつこの電解質の総濃度が1.3モル/L以下であり、
前記正極は、集電体と活物質層との間に導電性中間層を介在した構造を有し、前記導電性中間層は0.01〜10μmの粒度を持つカーボンブラック類からなる炭素質導電性粒子とゴム架橋体からなる結着剤とを含有し、通常の充電状態および放電状態で比抵抗が1Ω・cm以下の導電性を示し、過充電状態でその100倍以上の比抵抗を示すことを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わる角型非水電解液二次電池を詳細に説明する。
【0009】
この角型非水電解液二次電池は、正極、負極、セパレータおよび非水電解液を備える。
【0010】
次に、前記正極、負極、セパレータおよび非水電解液を説明する。
【0011】
1)正極
この正極は、活物質含有層を集電体に担持した構造を有する。
【0012】
前記活物質含有層は、例えば活物質と結着剤とを含有する。前記活物質としては、例えばLiCoO2、LiNiO2、LiMn24、LiCo(1-x)Nix2(xは0<x<1を示す)、LiCo(1-y)y2(Mは、Co,Ni以外の金属で、例えばIn,Sn等を示し、yは0<y<0.1を示す)等のリチウム−遷移金属複合酸化物を挙げることができる。これらのリチウム−遷移金属複合酸化物は,2種以上の混合物で用いることができる。
【0013】
前記集電体としては、例えばアルミニウム板、アルミニウムメッシュ材等を挙げることができる。
【0014】
前記正極は、集電体と活物質含有層の間に導電性中間層を配置した構造を有することが好ましい。
【0015】
前記導電性中間層は、通常の充電状態および放電状態では導体であり、使用に際しての電流が制限されないが、100%充電(満充電)を超えてさらに充電を続けた場合、高抵抗体になる性質を有する。例えば、通常の電池使用状態では比抵抗が1Ω・cm以下の導電性を示すが、過充電状態になると、その100倍以上の比抵抗を示す。
【0016】
前記導電性中間層は、例えば炭素質導電性粒子と結着剤とを含有することが好ましい。
【0017】
前記炭素質導電性粒子としては、例えばファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラック類、粉末状黒鉛、粉末状膨張黒鉛などのグラファイト類、炭素繊維粉砕物、黒鉛化炭素繊維粉砕物、等を挙げることができる。特に、カーボンブラック類は薄膜成形性に優れ、かつ通常の使用時における導電性が高く、さらに過充電時の抵抗増大機能が優れているため好適である。
【0018】
前記炭素質導電性粒子の粒度は、特に限定されないが、前記導電性中間層の薄膜化および過充電時における前記導電性中間層の高抵抗体化の観点から0.01〜10μm、より好ましくは0.04〜1μmの粒度にすることが望ましい。
【0019】
前記結着剤としては、例えばフッ素系樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂のような熱可塑性エラストマー系樹脂、またはフッ素ゴムのようなゴム系樹脂を用いることができる。具体的には、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリエチレン、ポリアクリロニトリル、ニトリルゴム、ポリブタジエン、ブチルゴム、ポリスチレン、スチレン−ブタジエンゴム、水添スチレン−ブタジエンゴム、多硫化ゴム、ニトロセルロース、シアノエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース党が挙げられる。これらの結着剤の中でエラストマー、ゴム架橋体または極性基を導入した変成体は、前記集電体と前記活物質層との密着性の向上および過充電時の抵抗増大効果の向上の観点から好適である。
【0020】
前記導電性中間層は、前記結着剤が前記炭素質導電性粒子に対して10重量%以上、100重量%未満配合されることが好ましい。前記結着剤の配合量を10重量%未満にすると、前記集電体に対する導電性中間層の密着性が低下する恐れがある。一方、前記結着剤の配合量が100重量%以上にすると導電性中間層の導電性が損なわれ、比抵抗が1Ω・cm以上になり、常用の正極の内部抵抗が高くなったり、過充電時の抵抗増大効果も低減される。より好ましい前記炭素質導電性粒子に対する前記結着剤の配合量は、20〜70重量%である。
【0021】
前記導電性中間層は、0.1〜30μm、より好ましくは0.5〜10μmの厚さを有することが望ましい。前記導電性中間層の厚さを0.1μm未満にすると、前記集電体と前記活物質層とが直接接合するバイパス部分が局所的に形成され、過充電時の導電性中間層部分の抵抗増大による電流遮断効果が不十分になる恐れがある。一方、前記導電性中間層の厚さが30μmを超えると、正極に占める前記導電性中間層の割合が増大し、活物質含有層の比率が相対的に低下して容量の低減化を生じる恐れがある。
【0022】
前記導電性中間層は、前記集電体に対して1〜30g/m2、より好ましくは1.5〜10g/m2にすることが望ましい。
【0023】
前述した導電性中間層を有する正極は、例えば次のような方法により作製することができる。
【0024】
まず、アルミニウム薄膜のような集電体に炭素質導電性粒子と結着剤とを含む分散剤をグラビアロールコータ、ブレードコータ、ロールコータ、バーコータ等により塗布し、乾燥して導電性中間層を形成する。つづいて、前記導電性中間層上に活物質および結着剤を含むペーストを塗布し、乾燥することにより活物質含有層を形成して正極を作製する。このような導電性中間層の形成工程においては、塗布、乾燥時に結着剤が表面に集合する、いわゆる膜張りの生成を回避して結着剤と炭素質導電性粒子が均一に分散させることが好ましい。
【0025】
2)負極
この負極は、特に限定されないが、金属リチウム、リチウム合金、または充放電時にリチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出、もしくはインターカレート・ディインターカレートするグラファイト、コークス、カーボン、ポリアセン等の炭素質材料を含むペーストを銅箔のような集電体に保持させたものを用いることができる。
【0026】
3)非水電解液
この非水電解液は、電解質を非水溶媒で溶解した組成を有する。
【0027】
前記電解質は、0.05〜0.3モル/Lの濃度のテトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)、0.75モル/L以上の濃度のヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)を含み、かつこれらの総濃度が1.3モル/L以下である特徴を有する。
【0028】
前記LiBF4の量を0.05モル/L未満にすると、高温保存時のガス発生やインピーダンスの増加を抑制することが困難になる。一方、前記LiBF4の量が0.3モル/Lを超えると、サイクル特性や出力特性が低下する恐れがある。
【0029】
前記LiPF6の量を0.75モル/L未満にすると、イオン伝導度が低くなって、サイクル特性や出力特性が低下するばかりか、容量が低下する恐れがある。
【0030】
前記LiBF4とLiPF6との総濃度が1.3モル/Lを超えると、過充電時に電池が異常に発熱した際リチウムと電解液との反応が起こりやすくなり、電池の発熱が増大して安全性が低下する恐れがある。
【0031】
前記非水溶媒としては、特に制限されないが、前記導電性中間層を過充電時に高抵抗体化させる観点から、環状炭酸エステルを含有することが好ましい。この環状炭酸エステルとしては、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、バレロラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−ジオキソラン、スルホラン等を挙げることができる。特に、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートが好適である。
【0032】
前記環状炭酸エステル類と併用される非水溶媒としては、エーテル類、ケトン類、ニトリル類、アミド類、スルホン系化合物、鎖状カーボネート類、鎖状エステル類、芳香族炭化水素類等から選ばれる1種または2種以上の混合物を挙げることができる。これらのうちでエーテル類、ケトン類、鎖状カーボネート類、鎖状エステル類が好ましい。
【0033】
前記環状炭酸エステル類と併用される非水溶媒を具体的に例示すると、ジメトキシエタン、アニソール、1,4−ジオキサン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロヘキサン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸エチル等を挙げることができる。
【0034】
前記セパレータとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンのような合成樹脂からなる多孔性フィルムが用いられる。
【0035】
前記非水電解液は、一般的に溶液の形態で用いられるが、固体状、例えばゾル状、ゲル状等、または固体状と溶液状の混合形態であってもよい。
【0036】
前述したように正極として集電体と活物質層との間に導電性中間層を介在させると、過充電時における電池の安全性を確保することが可能になる。ただし、導電性中間層を有する正極を用いると、高温保存時においてインピーダンスの増大が大きくなって電池特性を低下させる恐れがある。特定の電解質を特定の量で含有する前記非水電解液を用いることによって、インピーダンスの増大を抑制して電池特性の低下を防ぐことができる。
【0037】
次に、本発明に係わる角型非水電解液二次電池を図1を参照して説明する。
【0038】
金属からなる有底矩形筒状をなし、例えばアルミニウムから作られる外装缶1は、例えば正極端子を兼ね、底部内面に絶縁フィルム2が配置されている。発電要素である電極体3は、前記外装缶1内に収納されている。前記電極体3は、負極4とセパレータ5と正極6とを前記正極6が最外周に位置するように渦巻状に捲回した後、扁平状にプレス成形することにより作製したものである。中心付近にリード取出穴を有する例えば合成樹脂からなるスペーサ7は、前記外装缶1内の前記電極体3上に配置されている。
【0039】
金属製蓋体8は、前記外装缶1の上端開口部に例えばレーザ溶接により気密に接合されている。前記蓋体8の中心付近には、負極端子の取出し穴9が開口されている。負極端子10は、前記蓋体8の穴9にガラス製または樹脂製の絶縁材11を介してハーメティックシールされている。前記負極端子10の下端面には、リード12が接続され、かつこのリード12の他端は前記電極体3の負極4に接続されている。
【0040】
上部側絶縁紙13は、前記蓋体8の外表面全体に被覆されている。スリット14を有する下部側絶縁紙15は、前記外装缶1の底面に配置されている。二つ折りされたPTC素子(Positive Temperature Coefficient)16は、一方の面が前記外装缶1の底面と前記下部側絶縁紙15の間に介装され、かつ他方の面が前記スリット14を通して前記絶縁紙15の外側に延出されている。外装チューブ17は、前記外装缶1の側面から上下面の絶縁紙13、15の周辺まで延出するように配置され、前記上部側絶縁紙13および下部側絶縁紙15を前記外装缶1に固定している。このような外装チューブ17の配置により、外部に延出された前記PTC素子16の他方の面が前記下部側絶縁紙15の底面に向けて折り曲げられる。
【0041】
以上説明した本発明に係わる角型非水電解二次電池は、正極、負極、セパレータおよび非水電解液を備え、前記非水電解液が0.05〜0.3モル/Lの濃度のテトラフルオロホウ酸リチウム、0.75モル/L以上の濃度のヘキサフルオロリン酸リチウム電解質を含み、かつこの電解質の総濃度が1.3モル/L以下であるため、サイクル特性等の諸特性を維持しつつ、高温保存時の膨れおよびインピーダンスの増加を抑制することができる。
【0042】
特に、集電体と活物質層との間に導電性中間層が介在された構造を有する正極を用いることによって、電流上昇による前記導電性中間層が高抵抗体に変化して電流の低減、遮断させることができる。その結果、過充電時における電池の安全性を確保することが可能になる。
【0043】
【実施例】
以下、本発明の実施例を前述した図1に示すような角型非水電解液二次電池を参照して詳細に説明する。
【0044】
参照例1、2および比較例1,2)
<正極の作製>
まず、活物質としての平均粒径5μmのLiCoO2粉末89重量部、導電フィラーとしてのグラファイト粉末(ロンザ社製商品名;KS6)8重量部および結着剤としてのポリフッ化ビニリデン樹脂(呉羽化学社製商品名;#1100)3重量部をN−メチルピロリドン25重量部にデイゾルバーおよびビーズミルを用いて攪拌、混合して活物質含有ペーストを調製した。このペーストを前記集電体であるAl箔両面にそれぞれ塗工した後、乾燥させ、さらにプレス、スリット加工を施して厚さ180μmのリール状正極を作製した。
【0045】
<負極の作製>
まず、グラファイト(ロザン社製商品名;KS15)100重量部にスチレン/ブタジエンラテックス(旭化成社製商品名;L1571、固形分48重量%)4.2重量部、カルボキシメチルセルロース(第一製薬社製商品名;BSH12)の水溶液(固形分1重量%)130重量部および水20重量部を添加し、混合してペーストを調製した。つづいて、このペーストを厚さ10μm、幅570mmのCu箔に塗布し、乾燥した後、プレス、スリット加工を施して厚さ160μmのリール状負極を作製した。
【0046】
次いで、前記正負極の間にポリエチレン製微多孔膜を挟んだ後、捲回機により渦巻き状に捲回し、つづいて、この円筒状物を10kg/cm2の圧力で圧縮して偏平状電極体(発電要素)を作製した。ひきつづき、外装缶内に前記偏平状電極体を挿入し、下記表1に示す組成の非水電解液を注入した後、前記外装缶の開口部に封口体をレーザ溶接することにより前述した図1に示す構造の4種の角型非水電解液二次電池(リチウムイオン二次電池)を組立てた。
【0047】
得られた参照例1、2および比較例1,2の二次電池について、以下に説明する試験による3サイクル目の外装缶の厚さ変化およびインピーダンスの変化を測定した。
【0048】
すなわち、1サイクル目は20℃で充電を0.5CmA定電流の後、4.2V定電圧で6時間行い、つづいて放電を1CmA定電流で、放電終止電圧3.0Vの条件で行った。2サイクル目は、20℃で充電を1CmA定電流の後、4.2V定電圧で3時間行い、つづいて放電を1CmA定電流で、放電終止電圧3.0Vの条件で行った。3サイクル目は、20℃で充電を1CmA定電流の後、4.2V定電圧で3時間行い、充電のまま85℃の恒温槽に保存し24時間後の外装缶の厚さ変化とおよびインピーダンスの変化を測定した。ここで、1CmAとは満充電の電池を1時間で放電し得る電流を意味する。よって、0.5CmAは1CmAの0.5倍、電流量としては1/2となる。
【0049】
また、前記各二次電池について、満充電から1CmAで最大12Vまで充電し、電池がガス噴出、発火しない場合は8時間通電しつづける過充電試験、満充電から1CmAで最大32Vまで充電し、電池がガス噴出、発火しない場合は8時間通電しつづける過充電試験を行った。さらに、前記各二次電池について、20℃にて、充放電電流1CmAで、4.2V〜3.0Vの繰り返しを300回行った時の初期容量に対する容量維持率(サイクル特性)を測定した。
【0050】
これらの結果を下記表1に示す。
【0051】
【表1】
Figure 0004567822
【0052】
前記表1から明らかなように参照例1,2の二次電池は、比較例1の二次電池に比べて、優れたサイクル特性を有し、かつ85℃保存後の外装缶の厚さ変化およびインピーダンスの増加量が小さく、優れた特性を有することがわかる。
【0053】
また、参照例1、2および比較例1の二次電池は過充電試験において満充電から1CmAで最大12Vに充電した結果は良好であるものの、満充電から1CmAで最大32Vに充電する過酷な過充電試験では漏液等の発生頻度が高くなる。
【0054】
また、比較例2の二次電池は85℃保存後の特性が優れているものの、過充電試験による性能が劣ることがわかる。
【0055】
(実施例3〜7および比較例3〜5)
<正極の作製>
次の方法により作製した正極を用い、かつ下記表2に示す組成の非水電解液をを用いた以外、実施例1と同様な方法により前述した図1に示す構造の8種の角型非水電解液二次電池(リチウムイオン二次電池)を組立てた。
【0056】
(実施例1〜5および比較例3〜5)
<正極の作製>
次の方法により作製した正極を用い、かつ下記表2に示す組成の非水電解液を用いた以外、参照例1と同様な方法により前述した図1に示す構造の8種の角型非水電解液二次電池(リチウムイオン二次電池)を組立てた。
【0057】
次いで、活物質としての平均粒径3μmのLiCoO2粉末89重量部、導電フィラーとしてのグラファイト粉末(ロンザ社製商品名;KS6)8重量部および結着剤としてのポリフッ化ビニリデン樹脂(呉羽化学社製商品名;#1100)3重量部をN−メチルピロリドン25重量部にデイゾルバーおよびビーズミルを用いて攪拌、混合して活物質含有ペーストを調製した。このペーストを前記集電体であるAl箔両面に被覆された導電性中間層にそれぞれ塗工した後、乾燥させ、さらにプレス、スリット加工を施して厚さ180μmの正極を作製した。
【0058】
得られた実施例1〜5および比較例3〜5の二次電池について、参照例1と同様な手法により3サイクル目の外装缶の厚さ変化およびインピーダンスの変化を測定した。
【0059】
また、前記各二次電池について、満充電から1CmAで最大32Vまで充電し、電池がガス噴出、発火しない場合は8時間通電しつづける過充電試験を行った。さらに、前記各二次電池について、20℃にて、充放電電流1CmAで、4.2V〜3.0Vの繰り返しを300回行った時の初期容量に対する容量維持率(サイクル特性)を測定した。
【0060】
これらの結果を下記表2に示す。
【0061】
【表2】
Figure 0004567822
【0062】
前記表2から明らかなように実施例1〜5の二次電池は、比較例4の二次電池に比べて、優れたサイクル特性を有し、かつ比較例3の二次電池に比べて85℃保存後の外装缶の厚さ変化およびインピーダンスの増加量が小さく、優れた特性を有することがわかる。一方、比較例5の二次電池は実施例1〜5の二次電池と同等のサイクル特性および85℃保存後の外装缶の厚さ変化が小さいものの、過酷な過充電試験において30個中5個の二次電池がガス噴出を生じ、安全性の点問題がある。
【0063】
また、導電性中間層を有する正極を備えた実施例1〜5の二次電池は導電性中間層を介在させない正極を備えた参照例1,2の二次電池に比べて満充電から1CmAで最大32Vに充電する過酷な過充電試験において良好な特性を示すことがわかる。
【0064】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によればサイクル特性等の諸特性を維持しつつ、高温保存時の膨れおよびインピーダンスの増加を抑制した高温状態での使用の耐えうる高信頼性の角型非水電解液二次電池を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる非水電解液二次電池の一例である角型リチウムイオン二次電池を示す部分切欠斜視図。
【符号の説明】
1…外装缶、
3…電極体、
4…負極、
5…セパレータ、
6…正極
8…蓋体、
14…PTC素子。

Claims (3)

  1. 正極、負極、セパレータおよび非水電解液を備えた角型非水電解液二次電池であって、
    前記非水電解液は、0.05〜0.3モル/Lの濃度のテトラフルオロホウ酸リチウムおよび0.75モル/L以上の濃度のヘキサフルオロリン酸リチウム電解質を含み、かつこの電解質の総濃度が1.3モル/L以下であり、
    前記正極は、集電体と活物質層との間に導電性中間層を介在した構造を有し、前記導電性中間層は0.01〜10μmの粒度を持つカーボンブラック類からなる炭素質導電性粒子とゴム架橋体からなる結着剤とを含有し、通常の充電状態および放電状態で比抵抗が1Ω・cm以下の導電性を示し、過充電状態でその100倍以上の比抵抗を示すことを特徴とする角型非水電解液二次電池。
  2. 前記カーボンブラック類がアセチレンブラック、ファーネスブラック、またはケッチェンブラックであり、前記ゴム架橋体がスチレン−ブタジエンゴムまたは水添スチレン−ブタジエンゴムであることを特徴とする請求項1記載の角型非水電解液二次電池。
  3. 前記導電性中間層は0.1〜30μmの厚さを有することを特徴とする請求項1記載の角型非水電解液二次電池。
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