JP4566477B2 - 射出成形方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加圧流体導入装置、金型組立体及び射出成形方法に関し、より具体的には、射出成形装置に備えられた金型のキャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の内部に加圧流体を導入して中空部を有する射出成形品を成形するための加圧流体導入装置、かかる加圧流体導入装置を組み込んだ金型組立体、及び、かかる金型組立体を用いた射出成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ひけや反りのない優れた外観特性を有する射出成形品を成形するために、溶融した熱可塑性樹脂を射出成形する射出成形装置が、例えば、特開昭64−14012号公報や特開平6−91684号公報に開示されている。これらの特許公開公報に開示された射出成形装置にあっては、ガス注入ノズルが往復運動するように構成されている。例えば、特開昭64−14012号公報に開示された射出成形装置を用いた射出成形方法においては、この特許公開公報の図1に示されているように、溶融したプラスチック材料19を金型キャビティ13内に射出する。
次いで、金型キャビティ13内に射出されたプラスチック材料19内に加圧ガスを注入して、プラスチック材料19内にガス含有中空部25を形成する。その後、金型を開ける前にガス含有中空部25内の加圧ガスを大気に開放する。
【0003】
これらの特許公開公報に開示されている構成においては、ガス注入ノズルを前進端に位置せしめ、更には、キャビティ内に射出された溶融樹脂圧力に抗して前進端の位置を保持するための移動手段が備えられている。また、キャビティ内の熱可塑性樹脂内部に形成された中空部内の加圧ガスを型開きする前に完全に大気中に解放するために、ガス注入ノズルを移動手段の作動によって後進端まで移動させ、キャビティ内の成形品とガス注入ノズルの先端部との間の密閉を破っている。
【0004】
ノズル口を有する筒状のノズル体と、このノズル体の内面との間にガス通路となる空隙を残してノズル体中を軸方向に進退可能に設けられた軸芯とを備えたノズル装置が、例えば、特開平9−131747号公報から公知である。この特許公開公報に開示された射出成形技術においては、金型内の溶融樹脂中への加圧ガスの圧入と、圧入した加圧ガスの排出とをノズル口及びガス通路を介して行う。
そして、加圧ガスを圧入して中空部を形成した後、この圧入時の位置より軸芯を前進させて、中空部に通じる通孔を拡張形成し、この拡張形成した通孔を介して加圧ガスの排出を行う。
【0005】
更には、ガス注入ノズルと、金型に設けられそしてキャビティと外部とに連通したガイド部内で該ガス注入ノズルの先端部分を往復行程させ得るガス注入ノズル移動手段から成るガス注入装置であって、ガイド部内でのガス注入ノズルの先端部分の往復行程は、ガス注入ノズルの軸線を中心とした一方方向あるいは正逆方向への回転運動であるガス注入装置が、特開平7−47572号公報から公知である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述の移動手段は、外部の高圧の圧力源、例えば、高圧の油圧を必要とする構成となっている。従って、電動式の射出成形装置を用いて上述の射出成形を行う場合にあっても、移動手段として高圧の流体圧力発生源、例えば高圧の油圧発生装置を用意する必要があり、射出成形装置全体の製造コストが増大するといった問題がある。また、キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の高い圧力に対抗するために、移動手段には大きな軸力が要求され、移動手段が大きくなる等の不具合もある。
【0007】
また、特開平9−131747号に開示されたノズル装置においては、ノズル体中を軸方向に進退可能に設けられた軸芯を有する構成であるが故に、ノズル装置の構造が複雑になるといった問題を有する。
【0008】
更には、特開平7−47572号公報に開示されたガス注入装置においては、金型のキャビティ内に射出された溶融樹脂からガス注入ノズルの先端部分が受ける圧力は、ガス注入ノズルの軸線と略直角であり、ガス注入ノズルの先端部分に変形が生じ易いといった問題がある。
【0009】
従って、本発明の目的は、簡素な構造を有し、あるいは又、金型のキャビティ内に射出された溶融樹脂からガス注入ノズルの先端部分が受ける圧力によっても変形を生じ難い構造を有する加圧流体導入装置、かかる加圧流体導入装置を組み込んだ金型組立体、及び、かかる金型組立体を用いた射出成形方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る加圧流体導入装置は、
(A)先端に開口部を有する加圧流体導入ノズル、及び、
(B)該加圧流体導入ノズルを往復行程させるための移動装置、
から成り、
金型に設けられたキャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の内部に加圧流体を導入して中空部を有する射出成形品を成形するための加圧流体導入装置であって、
キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の内部に加圧流体導入ノズルを介して加圧流体を導入するとき、加圧流体導入ノズルは後進端に位置せしめられ、中空部内の加圧流体を大気中に解放する際、移動装置の作動によって、加圧流体導入ノズルは、少なくとも1回、前進及び後退させられることを特徴とする。
【0011】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る金型組立体は、
(A)キャビティ、及び、溶融熱可塑性樹脂をキャビティ内に射出するための溶融樹脂射出部を有する金型、
(B)先端に開口部を有する加圧流体導入ノズル、及び、
(C)該加圧流体導入ノズルを往復行程させるための移動装置、
を備え、
該キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の内部に加圧流体を導入して中空部を有する射出成形品を成形するための金型組立体であって、
キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の内部に加圧流体導入ノズルを介して加圧流体を導入するとき、加圧流体導入ノズルは後進端に位置せしめられ、
中空部内の加圧流体を大気中に解放する際、移動装置の作動によって、加圧流体導入ノズルは、少なくとも1回、前進及び後退させられることを特徴とする。
【0012】
上記の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る射出成形方法は、
(A)キャビティ、及び、溶融熱可塑性樹脂をキャビティ内に射出するための溶融樹脂射出部を有する金型、
(B)先端に開口部を有する加圧流体導入ノズル、及び、
(C)該加圧流体導入ノズルを往復行程させるための移動装置、
を備え、
該キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の内部に加圧流体を導入して中空部を有する射出成形品を成形するための金型組立体を用いて射出成形品を成形する射出成形方法であって、
(a)加圧流体導入ノズルを後進端に位置せしめた状態で、キャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を射出し、
(b)溶融熱可塑性樹脂の射出中、若しくは、射出完了後、加圧流体導入ノズルを後進端に位置せしめた状態で、キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の内部に加圧流体導入ノズルを介して加圧流体を導入し、以て、キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の内部に中空部を形成し、
(c)一定時間経過後、移動装置の作動によって、加圧流体導入ノズルを少なくとも1回、前進及び後退させて、加圧流体導入ノズルの先端とキャビティ内の熱可塑性樹脂との間に隙間を生じさせ、該隙間を介して中空部内の加圧流体を解放する、
各工程から成ることを特徴とする。
【0013】
本発明の第1の態様に係る加圧流体導入装置、金型組立体あるいは射出成形方法(以下、これらを総称して、単に、本発明の第1の態様と呼ぶ場合がある)において、加圧流体導入ノズルの前進及び後退の周期は、0.01Hz以上(1回の前進及び後退に要する時間が100秒以下)、好ましくは0.1Hz以上(1回の前進及び後退に要する時間が10秒以下)であることが望ましい。
【0014】
本発明の第1の態様において、加圧流体導入ノズルの後進端から前進端までの前進量及び前進端から後進端までの後退量は、0.01mm乃至2mm、好ましくは0.05mm乃至1mmであることが望ましい。前進量及び後退量が大きすぎると、加圧流体導入ノズル近傍の射出成形品に欠陥が生じる虞がある。加圧流体導入ノズルの前進及び後退は、少なくとも1回であればよく、2回以上であってもよい。
【0015】
本発明の第1の態様において、移動装置は、油圧シリンダーあるいは空気圧シリンダーから構成することができ、あるいは又、電動モータ(より具体的には、電動モータとラック・アンド・ピニオンの組合せ、あるいは、偏芯モータ)から構成することができ、あるいは又、圧電素子から構成することができる。キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の内部に加圧流体導入ノズルを介して加圧流体を導入するとき、加圧流体導入ノズルは後進端に位置せしめられるが故に、キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の高い圧力に対抗するような移動装置を設ける必要がなく、移動装置には大きな軸力が要求されず、小さな能力の移動装置を設ければよい。
【0016】
本発明の第1の態様に係る加圧流体導入装置あるいは金型組立体においては、加圧流体導入ノズルの少なくとも1回の前進及び後退によって生じる加圧流体導入ノズルの先端とキャビティ内の熱可塑性樹脂との間の隙間を介して中空部内の加圧流体を解放する。
【0017】
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る加圧流体導入装置は、
(A)先端に開口部を有する加圧流体導入ノズル、及び、
(B)該加圧流体導入ノズルを、その軸線(回転軸線と呼ぶ)を中心として回転させるための回転装置、
から成り、
金型に設けられたキャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の内部に加圧流体を導入して中空部を有する射出成形品を成形するための加圧流体導入装置であって、
キャビティ内に突出すべき加圧流体導入ノズルの先端部分は、キャビティ内に突出しない加圧流体導入ノズルの部分よりも細く、
中空部内の加圧流体を大気中に解放する際、回転装置の作動によって、加圧流体導入ノズルは回転させられることを特徴とする。
【0018】
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る金型組立体は、
(A)キャビティ、及び、溶融熱可塑性樹脂をキャビティ内に射出するための溶融樹脂射出部を有する金型、
(B)先端に開口部を有する加圧流体導入ノズル、及び、
(C)該加圧流体導入ノズルを、その軸線(回転軸線)を中心として回転させるための回転装置、
を備え、
該キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の内部に加圧流体を導入して中空部を有する射出成形品を成形するための金型組立体であって、
キャビティ内に突出した加圧流体導入ノズルの先端部分は、キャビティ内に突出していない加圧流体導入ノズルの部分よりも細く、
中空部内の加圧流体を大気中に解放する際、回転装置の作動によって、加圧流体導入ノズルは回転させられることを特徴とする。
【0019】
上記の目的を達成するための本発明の第2の態様に係る射出成形方法は、
(A)キャビティ、及び、溶融熱可塑性樹脂をキャビティ内に射出するための溶融樹脂射出部を有する金型、
(B)先端に開口部を有する加圧流体導入ノズル、及び、
(C)該加圧流体導入ノズルを、その軸線(回転軸線)を中心として回転させるための回転装置、
を備え、
キャビティ内に突出した加圧流体導入ノズルの先端部分は、キャビティ内に突出していない加圧流体導入ノズルの部分よりも細く、
該キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の内部に加圧流体を導入して中空部を有する射出成形品を成形するための金型組立体を用いて射出成形品を成形する射出成形方法であって、
(a)キャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を射出し、
(b)溶融熱可塑性樹脂の射出中、若しくは、射出完了後、キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の内部に加圧流体導入ノズルを介して加圧流体を導入し、以て、キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の内部に中空部を形成し、
(c)一定時間経過後、回転装置の作動によって加圧流体導入ノズルを回転させ、加圧流体導入ノズルの先端部分とキャビティ内の熱可塑性樹脂との間に隙間を生じさせ、該隙間を介して中空部内の加圧流体を解放する、
各工程から成ることを特徴とする。
【0020】
本発明の第2の態様に係る加圧流体導入装置、金型組立体あるいは射出成形方法(以下、これらを総称して、単に、本発明の第2の態様と呼ぶ場合がある)にあっては、加圧流体導入ノズルの前記先端部分の軸線は、加圧流体導入ノズルの軸線(回転軸線)と一致していない構成とすることもできる。以下に説明する本発明の第2の態様においては、この構成を包含する。
【0021】
本発明の第2の態様にあっては、加圧流体導入ノズルの軸線と略平行な方向に開口部から加圧流体を吐出する構成とすることが、加圧流体導入ノズルの構造の簡素化といった観点から好ましい。
【0022】
本発明の第2の態様にあっては、加圧流体導入ノズルの回転速度は1rpm以上であることが好ましいが、これに限定するものではない。また、加圧流体導入ノズルの軸線(回転軸線)から加圧流体導入ノズルの先端部分の軸線までの距離(偏心量と呼ぶ場合がある)は、0mm以上1mm以下、好ましくは0.01mm以上0.5mm以下、より好ましくは0.03mm以上0.3mm以下であることが、中空部内の加圧流体を確実に大気中に解放するといった観点、加圧流体ノズルへの負荷の観点から、望ましい。
【0023】
本発明の第2の態様にあっては、加圧流体導入ノズルの回転角度を、180度以上、好ましくは360度以上とすることが、中空部内の加圧流体を確実に大気中に解放するといった観点から、望ましい。加圧流体導入ノズルの回転方向は、回転軸線を中心とした一方方向あるいは正逆方向とすることができる。
【0024】
本発明の第2の態様において、回転装置は、油圧シリンダーあるいは空気圧シリンダーから構成することができ、あるいは又、電動モータから構成することができる。加圧流体導入ノズルは、回転軸線と平行な方向に移動、変位することはない。従って、キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の内部に加圧流体導入ノズルを介して加圧流体を導入するとき、キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の高い圧力に対抗する移動装置を必要としない。
【0025】
本発明の第2の態様に係る加圧流体導入装置あるいは金型組立体においては、加圧流体導入ノズルの回転によって生じる加圧流体導入ノズルの先端部分とキャビティ内の熱可塑性樹脂との間の隙間を介して中空部内の加圧流体を解放する。
【0026】
本発明の第1の態様若しくは本発明の第2の態様において、加圧流体導入ノズルの先端部分には、キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の侵入を防止するための逆止弁を配設することが望ましいが、キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂が侵入しないような開口部の径であれば、逆止弁の配設を不要とすることもできる。また、加圧流体導入ノズルを、特開平4−31015号公報に開示されている加熱装置によって加熱することも、加圧流体導入ノズルの熱可塑性樹脂による閉塞を防止し、そして、加圧流体の導入を確実に行うために、有効である。具体的には、加圧流体導入ノズルの外壁にリング状のヒーターを取り付ければよい。
【0027】
本発明の第1の態様において、金型組立体における加圧流体導入ノズル取付位置は、金型のキャビティを構成する面(金型のキャビティ面と呼ぶ)近傍であってもよいし、溶融樹脂射出部内であってもよいし、スプルー部やランナー部内であってもよい。加圧流体導入ノズルを金型のキャビティ面近傍に取り付ける場合、加圧流体導入ノズルが後進端に位置するときの加圧流体導入ノズルの先端は、キャビティ内に位置していてもよいし、金型のキャビティ面と略同じ面内に位置していてもよい。また、この場合、加圧流体導入ノズルの先端部分と金型との間のクリアランスは、出来る限り小さいことが好ましく、具体的には、10μm〜20μm程度とすることが望ましい。
【0028】
本発明の第1の態様において、加圧流体導入ノズルの軸線(移動方向軸線と呼ぶ場合がある)と垂直な方向に切断したときの加圧流体導入ノズルの先端部分の断面形状は、円形、楕円形、卵形、多角形、頂点の部分に丸みを持たせた多角形等、任意の形状とすることができるが、中でも、円形若しくは多角形であることが好ましい。加圧流体導入ノズルの往復行程は、加圧流体導入ノズルの軸線と平行な直線運動である。
【0029】
本発明の第2の態様において、キャビティ内に突出した加圧流体導入ノズルの先端部分の軸線(以下、先端部分軸線と呼ぶ場合がある)と垂直な方向に切断したときの加圧流体導入ノズルの先端部分の断面形状、及び、キャビティ内に突出していない加圧流体導入ノズルの部分の軸線(以下、回転軸線と呼ぶ)と垂直な方向に切断したときの加圧流体導入ノズルの該部分の断面形状は、円形、楕円形、卵形、多角形、頂点の部分に丸みを持たせた多角形等、任意の形状とすることができる。特に偏心量が0mmの場合、回転装置の作動によって加圧流体導入ノズルが回転させられたとき、加圧流体導入ノズルの先端部分と射出成形品との間に隙間が形成され、中空部内の加圧流体を大気中に確実に解放できるといった観点から、先端部分軸線と垂直な方向に切断したときの加圧流体導入ノズルの先端部分の断面形状は、円形以外の形状、例えば、楕円形、卵形、多角形、頂点の部分に丸みを持たせた多角形等とすることが好ましい。一方、偏心量が0mmを越えている場合、円形若しくは多角形であることが好ましい。先端部分軸線は、先端部分の断面形状の重心点を通る直線である。かかる断面形状が、例えば円形の場合、先端部分軸線は円形の断面形状の中心を通る直線である。また、回転軸線は、キャビティ内に突出していない加圧流体導入ノズルの部分の断面形状の重心点を通る直線である。かかる断面形状が、例えば円形の場合、回転軸線は円形の断面形状の中心を通る直線である。尚、開口部の中心と、先端部分軸線とは、一致していてもよいし、不一致でもよい。
【0030】
溶融樹脂射出部の構造は、周知の如何なる構造とすることもできる。
【0031】
本発明の第1の態様若しくは第2の態様に係る射出成形方法において、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂への加圧流体の導入開始時期は、溶融熱可塑性樹脂のキャビティ内への射出開始後であればよく、溶融熱可塑性樹脂のキャビティ内への射出中、射出完了と同時、あるいは、射出が完了して一定時間が経過した後とすることができる。キャビティ内に射出される溶融熱可塑性樹脂の量は、キャビティ内を溶融熱可塑性樹脂で完全に満たす量であってもよいし、完全には満たさない量であってもよい。
【0032】
本発明にて用いられる熱可塑性樹脂には、特に制約はなく、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリスチレン樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂等のスチレン系樹脂;PMMA樹脂等のメタクリル系樹脂;ポリオキシメチレン(ポリアセタール)樹脂;ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミドMXD等のポリアミド系樹脂;変性ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂等のポリエステル系樹脂;液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂、又は、これらの熱可塑性樹脂の少なくとも2種類以上の樹脂から成るポリマーアロイを挙げることができる。これらの熱可塑性樹脂には、剛性に代表される機械的特性、寸法安定性等を成形品に付与するために、例えば、ガラス繊維、ガラスフレーク、カーボン繊維、ウォラストナイト、ホウ酸アルミニウムウィスカー繊維、チタン酸カリウムウィスカー繊維、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー繊維、珪酸カルシウムウィスカー繊維及び硫酸カルシウムウィスカー繊維から成る群から選択された少なくとも1種の材料から構成された無機繊維が含有されていてもよい。また、例えば安定剤、離型剤、紫外線吸収剤の有効発現量を熱可塑性樹脂に配合してもよい。
【0033】
導入する加圧流体として、窒素ガス、炭酸ガス、空気、ヘリウムガス等常温でガス状の物質を使用することができるし、水等の液体や高圧下で液化したガスも使用可能である。
【0034】
成形品の成形にあたって、射出成形時の溶融熱可塑性樹脂の量、温度、圧力あるいは射出速度、導入すべき加圧流体の量、圧力あるいは速度、金型の冷却時間等、種々の条件は、使用する樹脂の種類、金型の形状等に依存して、適宜選択、制御する必要があり、一義的に定めることはできない。
【0035】
本発明の第1の態様においては、キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の内部に加圧流体導入ノズルを介して加圧流体を導入するとき、加圧流体導入ノズルは後進端に位置せしめられ、中空部内の加圧流体を大気中に解放する際、加圧流体導入ノズルを移動装置の作動によって前進及び後退させればよいので、キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の高い圧力に対抗して加圧流体導入ノズルを保持するための手段(例えば、従来の射出成形装置における大きな軸力を有する移動手段としての流体圧力発生源等)が不要となり、加圧流体導入装置の構造の簡素化を図ることができる。
【0036】
本発明の第2の態様においては、加圧流体導入ノズルは前後動することが無く、中空部内の加圧流体を大気中に解放する際、加圧流体導入ノズルを回転装置の作動によって回転させればよいので、キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の高い圧力に対抗して加圧流体導入ノズルを保持するための手段(例えば、従来の射出成形装置における大きな軸力を有する移動手段としての流体圧力発生源等)が不要となり、加圧流体導入装置の構造の簡素化を図ることができる。
【0037】
【実施例】
以下、図面を参照して、実施例に基づき本発明を説明する。
【0038】
(実施例1)
実施例1は、本発明の第1の態様に係る加圧流体導入装置、金型組立体及び射出成形方法に関する。実施例1の金型組立体を含む射出成形装置の概念図を図1に示す。
【0039】
実施例1の金型組立体は、金型10、並びに、加圧流体導入ノズル21と移動装置30から構成された加圧流体導入装置20を備えている。金型10は、固定金型部11と可動金型部12から構成され、型締めされたとき、キャビティ13が形成される。金型10には、溶融熱可塑性樹脂をキャビティ13内に射出するための溶融樹脂射出部(ゲート部14)が設けられている。図1に示したゲート部14は、ダイレクト構造を有し、ランナー部及びスプルー部(これらを参照番号15で示す)を介して射出用シリンダー16と連通している。尚、ゲート部14の構造は、ダイレクト構造に限定するものではない。
【0040】
加圧流体導入ノズル21は、先端22に開口部23を有する。また、先端部分に逆止弁(図示せず)が配置されている。金型組立体における加圧流体導入ノズル21の取付位置は、図1に示す例においては、金型のキャビティ面近傍である。加圧流体導入ノズル21が後進端に位置するときの加圧流体導入ノズル21の先端22は、キャビティ13内に位置する。加圧流体導入ノズル21の移動方向軸線と垂直な方向に切断したときの加圧流体導入ノズル21の先端部分の断面形状が直径7mmの円形の加圧流体導入ノズル21を使用した。加圧流体導入ノズル21は、配管を介して加圧流体源に接続されている。尚、配管及び加圧流体源の図示は省略した。加圧流体導入ノズル21を往復行程させるための移動装置30は、シリンダー部31及びピストン部32から成る油圧シリンダーから構成されている。ピストン部32の先端に加圧流体導入ノズル21の後端が取り付けられている。シリンダー部31は適切な方法で可動金型部12に取り付けられている。シリンダー部31には、図示しない油圧システムから油が送り込まれ、あるいは又、シリンダー部31から油が排出され、ピストン部32が往復運動する。
尚、加圧流体導入ノズル21を前進運動させるときに移動装置30が生成する圧力が約2×106Paとなるような油圧シリンダーから移動装置30を構成した。また、加圧流体導入ノズル21の前進及び後退の周期を0.5Hz(1回の前進及び後退に要する時間が2秒)とし、中空部内の加圧流体を大気中に解放する際、移動装置の作動によって、加圧流体導入ノズルは、2回、前進及び後退させられる設定とした。
【0041】
以下、金型10等の模式的な断面図である図2及び図3、並びに、加圧流体導入ノズル21及びその近傍の可動金型部12、キャビティ13の一部を模式的に示す図4及び図5を参照して、実施例1の射出成形方法を説明する。尚、図2及び図3においては、射出用シリンダー16の図示を省略した。
【0042】
[工程−100]
先ず、図1に示すように、固定金型部11と可動金型部12とを型締めし、加圧流体導入ノズル21の先端22がキャビティ13内に突出した状態とする。シリンダー部31内におけるピストン部32、及び、加圧流体導入ノズル21は、後進端に位置する。
【0043】
[工程−110]
そして、熱可塑性樹脂を射出用シリンダー16内で可塑化・溶融、計量した後、射出用シリンダー16からランナー部及びスプルー部15、ゲート部14を介して、キャビティ13内に溶融熱可塑性樹脂40を射出した(図2参照)。射出条件を、以下の表1に例示する。尚、使用熱可塑性樹脂をポリプロピレン樹脂とした。また、キャビティ13内に射出した溶融熱可塑性樹脂40の体積を、キャビティ13を完全には満たさない体積とした。尚、加圧流体導入ノズル21は後進端に位置している。
【0044】
[表1]
溶融熱可塑性樹脂射出量:25cm3
溶融熱可塑性樹脂温度 :210゜C
金型温度 :40゜C
射出時間 :2.5秒間
【0045】
キャビティ13内に射出された溶融熱可塑性樹脂40の圧力によっても、加圧流体導入ノズル21の位置に変位は生じない。また、溶融熱可塑性樹脂が加圧流体導入ノズル21の先端部から侵入するが、逆止弁(図示せず)によって、逆止弁よりも上流への溶融熱可塑性樹脂の侵入は防止される。更には、加圧流体導入ノズル21の先端部分と可動金型部12との間のクリアランスは、10μm〜20μm程度であるが故に、このクリアランスから溶融熱可塑性樹脂が外部に漏れる虞はない。
【0046】
[工程−120]
溶融熱可塑性樹脂40のキャビティ13内への射出完了と同時に、キャビティ13内に射出された溶融熱可塑性樹脂40の内部に加圧流体導入ノズル21を介して加圧流体(具体的には、窒素ガス)を導入し始めた。これによって、キャビティ13内に射出された溶融熱可塑性樹脂40の内部に中空部41が形成される(図3及び図4の(A)参照)。加圧流体の導入条件を、以下の表2に例示する。尚、加圧流体導入ノズル21は後進端に位置している。
【0047】
[表2]
導入時の加圧流体圧力:1×107Pa
加圧流体計量 :100cm3
加圧流体保持期間 :加圧流体導入開始から20秒間
最終加圧流体圧力 :2×107Pa
【0048】
[工程−130]
射出開始から25秒経過後に、移動装置30を作動させることによって、具体的には、図示しない油圧システムからシリンダー部31に油を送り込むことによって、ピストン部32を前進させ、加圧流体導入ノズル21を前進させ、前進端に位置せしめた(図4の(B)参照)。引き続き、シリンダー部31から油を排出することによって、ピストン部32を後退させ、加圧流体導入ノズル21を後退させ、後進端に位置せしめた(図5参照)。この動作を2回繰り返した。加圧流体導入ノズル21の後進端から前進端までの前進量及び前進端から後進端までの後退量(以下、移動距離と呼ぶ)を0.5mmとした。これによって、加圧流体導入ノズル21の先端22とキャビティ13内の熱可塑性樹脂40Aとの間に隙間42を生じさせ、この隙間42を介して中空部41内の加圧流体を大気中に解放した。
【0049】
[工程−140]
射出開始から35秒が経過した後、型開きを行い、金型から成形品を取り出す。こうして、金型10に設けられたキャビティ13内に射出された溶融熱可塑性樹脂の内部に加圧流体を導入して、中空部41を有する射出成形品を成形することができた。得られた射出成形品に、目立った圧痕は認められなかった。また、中空部41内の加圧流体を確実に大気中に解放することができた。
【0050】
尚、油圧シリンダーを空気圧シリンダーに交換して、実施例1と同様の射出成形を行ったが、実施例1と同様の射出成形品が得られた。更には、油圧シリンダーを電動モータとラック・アンド・ピニオンの組合せ(加圧流体導入ノズル21の前進及び後退の周期:0.1Hz、移動距離:0.1mm)から構成された移動装置に交換して、実施例1と同様の射出成形を行ったが、実施例1と同様の射出成形品が得られた。また、中空部内の加圧流体を確実に大気中に解放することができた。更には、油圧シリンダーを圧電素子(駆動周波数1Hz、移動距離0.1mm)に交換して、実施例1と同様の射出成形を行ったが、実施例1と同様の射出成形品が得られた。また、中空部内の加圧流体を確実に大気中に解放することができた。
【0051】
(比較例1)
移動距離を5mmに変更した点を除き、実施例1と同じ金型組立体を使用し、実施例1と同じ条件で射出成形を行った。その結果、中空部内の加圧流体を確実に大気中に解放することができたものの、得られた射出成形品の加圧流体導入ノズル21近傍の部分の表面が白化し、亀裂が生じていた。
【0052】
(実施例2)
実施例2は、本発明の第2の態様に係る加圧流体導入装置、金型組立体及び射出成形方法に関する。実施例2の金型組立体を含む射出成形装置の概念図を図6に示し、加圧流体導入ノズル及びその近傍の可動金型部、キャビティの一部を模式的に図7の(A)に示し、加圧流体導入ノズルの模式的な正面図を図7の(B)に示す。
【0053】
実施例2の金型組立体は、金型10、並びに、加圧流体導入ノズル51と回転装置60から構成された加圧流体導入装置50を備えている。金型10は、実質的に、実施例1にて説明した金型と同様の構成とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【0054】
実施例2における金型組立体において、加圧流体導入ノズル51の取付位置は、金型10のキャビティ面近傍である。加圧流体導入ノズル51は、先端52に開口部53を有する。また、先端部分に逆止弁(図示せず)が配置されている。
回転装置60は、加圧流体導入ノズル51を、その軸線(回転軸線であり、図7の(A)において、参照符号L0で示す)を中心として回転させる。キャビティ13内に突出した加圧流体導入ノズル51の先端部分54は、キャビティ13内に突出しない加圧流体導入ノズル51の部分55よりも細く、且つ、加圧流体導入ノズル51の先端部分54の軸線(先端部分軸線であり、図7の(A)において、参照符号L1で示す)は、回転軸線L0と一致していない。回転軸線L0から先端部分軸線L1までの距離(偏心量)Lを、0.05mmとした。また、先端部分軸線L1と垂直な方向に切断したときの加圧流体導入ノズル51の先端部分54の外形断面形状を、直径3mmの円形とした。先端部分軸線L1は、かかる円形の中心を通過する。一方、回転軸線L0と垂直な方向に切断したときの加圧流体導入ノズル51の部分55の外形断面形状を、直径7mmの円形とした。回転軸線L0は、かかる円形の中心を通過する。開口部53の中心と先端部分軸線L1とを一致させた。加圧流体導入ノズル51の部分55の先端面56を平面とし、金型のキャビティ面と略一致するような構成とした。この加圧流体導入ノズル51におっては、回転軸線L0と略平行な方向に開口部53から加圧流体(具体的には、窒素ガス)を吐出する。
【0055】
加圧流体導入ノズル51は、配管を介して加圧流体源に接続されている。尚、配管及び加圧流体源の図示は省略した。加圧流体導入ノズル51を回転させるための回転装置60は、シリンダー部61及びピストン部62から成る空気圧シリンダーから構成されている。ピストン部62の先端にラック(図示せず)が取り付けられ、加圧流体導入ノズル51の後端にはピニオン(図示せず)が取り付けられている。シリンダー部61及び加圧流体導入ノズル51は適切な方法で可動金型部12に取り付けられている。シリンダー部61には、図示しない空気圧システムから圧縮空気が送り込まれ、あるいは又、シリンダー部61から圧縮空気が排出され、ピストン部62が往復運動する。ラック・アンド・ピニオンによって、かかるピストン部62の往復運動が、加圧流体導入ノズル51の回転運動(あるいは回動運動)に変換される。尚、加圧流体導入ノズル51を回転運動させるときに回転装置60が生成する圧力が約2×106Paとなるような空気圧シリンダーから回転装置60を構成した。また、加圧流体導入ノズル51の回転数を6rpmとし、中空部内の加圧流体を大気中に解放する際、回転装置60の作動によって、加圧流体導入ノズル51は、2回、回転させられる設定とした。
【0056】
以下、加圧流体導入ノズル51及びその近傍の可動金型部12、キャビティ13の一部を模式的に示す図8及び図9を参照して、実施例2の射出成形方法を説明する。
【0057】
[工程−200]
先ず、図6に示すように、固定金型部11と可動金型部12とを型締めし、加圧流体導入ノズル51の先端部分54がキャビティ13内に突出した状態とする。
【0058】
[工程−210]
そして、熱可塑性樹脂を射出用シリンダー16内で可塑化・溶融、計量した後、射出用シリンダー16からランナー部及びスプルー部15、ゲート部14を介して、キャビティ13内に溶融熱可塑性樹脂40を射出した(図8の(A)参照)。実施例1と同じ熱可塑性樹脂を使用し、射出条件を表1に例示したと同じ条件とした。また、キャビティ13内に射出した溶融熱可塑性樹脂40の体積を、キャビティ13を完全には満たさない体積とした。
【0059】
キャビティ13内に射出された溶融熱可塑性樹脂40の圧力によっても、加圧流体導入ノズル51の位置に変位は生じない。また、溶融熱可塑性樹脂が加圧流体導入ノズル51の先端部から侵入するが、逆止弁(図示せず)によって、逆止弁よりも上流への溶融熱可塑性樹脂の侵入は防止される。また、加圧流体導入ノズル51の先端部分と可動金型部12との間のクリアランスは、10μm〜20μm程度であるが故に、このクリアランスから溶融熱可塑性樹脂が外部に漏れる虞はない。
【0060】
[工程−220]
溶融熱可塑性樹脂40のキャビティ13内への射出完了と同時に、キャビティ13内に射出された溶融熱可塑性樹脂40の内部に加圧流体導入ノズル51を介して加圧流体(具体的には、窒素ガス)を導入し始めた。これによって、キャビティ13内に射出された溶融熱可塑性樹脂40の内部に中空部41が形成される(図8の(B)参照)。加圧流体の導入条件を、表2に例示したと同じとした。
【0061】
[工程−230]
射出開始から40秒経過後に、回転装置60を作動させることによって、具体的には、図示しない空気圧システムからシリンダー部31に圧縮空気を送り込むことによって、ピストン部62を前進させ、加圧流体導入ノズル51を回転させた(図9参照)。尚、図9においては、加圧流体導入ノズル51が180度回転した状態を示す。加圧流体導入ノズル51を2回転させた。これによって、加圧流体導入ノズル51の先端部分54とキャビティ13内の熱可塑性樹脂40Aとの間に隙間42を生じさせ、この隙間42を介して中空部41内の加圧流体を大気中に解放した。
【0062】
[工程−240]
射出開始から60秒が経過した後、型開きを行い、金型から成形品を取り出す。こうして、金型10に設けられたキャビティ13内に射出された溶融熱可塑性樹脂の内部に加圧流体を導入して、中空部41を有する射出成形品を成形することができた。得られた射出成形品に、目立った圧痕は認められなかった。また、中空部41内の加圧流体を確実に大気中に解放することができた。
【0063】
尚、空気圧シリンダーを油圧シリンダーに交換して、実施例2と同様の射出成形を行ったが、実施例2と同様の射出成形品が得られた。更には、空気圧シリンダーとラック・アンド・ピニオンの組合せを電動モータとラック・アンド・ピニオンの組合せ(加圧流体導入ノズル51の回転数:60rpm、回転軸線L0から先端部分軸線L1までの距離(偏心量)L:0.05mm)から構成された回転装置に交換して、実施例2と同様の射出成形を行ったが、実施例2と同様の射出成形品が得られた。また、中空部内の加圧流体を確実に大気中に解放することができた。
【0064】
また、先端部分軸線L1と垂直な方向に切断したときの加圧流体導入ノズルの先端部分の外形断面形状を、長軸5.0mm、短軸4.8mmの楕円とし、回転軸線L0と垂直な方向に切断したときの加圧流体導入ノズルの部分の外形断面形状を直径7mmの円形とした加圧流体導入ノズルに交換した。尚、回転軸線L0から先端部分軸線L1までの距離(偏心量)Lを0mmとした。そして、実施例2と同様の射出成形を行ったが、実施例2と同様の射出成形品が得られた。また、中空部内の加圧流体を確実に大気中に解放することができた。
【0065】
以上、本発明を、好ましい実施例に基づき説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例にて説明した金型組立体の構造、実施例にて使用した熱可塑性樹脂、射出成形条件等は例示であり、適宜変更することができる。実施例においては、加圧流体導入装置を可動金型部12に配設したが、固定金型部11に配設することもできる。また、金型組立体における加圧流体導入ノズル21,51の取付位置を、溶融樹脂射出部(ゲート部14)内とすることもできるし、スプルー部やランナー部内とすることもできる。また、実施例1においては、加圧流体導入ノズル21の先端22をキャビティ13内に位置させたが、後進端に位置するとき、加圧流体導入ノズル21の先端22を金型のキャビティ面と略同じ面内に位置させてもよい。実施例1においては、後退方向に加圧流体導入ノズル21を付勢する付勢手段(例えばバネ)を更に備えている構成とすることもできる。
【0066】
【発明の効果】
本発明においては、キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の高い圧力に対抗して加圧流体導入ノズルを保持するための手段が不要となり、加圧流体導入装置の構造の簡素化を図ることができる。その結果、射出成形装置全体の製造コストが増大するといった問題を解決することができ、最終的に射出成形品の製造コストの上昇を抑えることができる。また、加圧流体導入ノズルの構造が極めて簡素であり、故障が発生し難いし、金型のキャビティ内に射出された溶融樹脂からガス注入ノズルの先端部分が受ける圧力によっても、ガス注入ノズルの先端部分に変形を生じ難い。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の金型組立体を含む射出成形装置の概念図である。
【図2】実施例1の射出成形方法を説明するための金型組立体の概念図である。
【図3】図2に引き続き、実施例1の射出成形方法を説明するための金型組立体の概念図である。
【図4】実施例1の射出成形方法を説明するための、加圧流体導入ノズル及びその近傍の可動金型部、キャビティの一部を模式的に示す図である。
【図5】図4に引き続き、実施例1の射出成形方法を説明するための、加圧流体導入ノズル及びその近傍の可動金型部、キャビティの一部を模式的に示す図である。
【図6】実施例2の金型組立体を含む射出成形装置の概念図である。
【図7】実施例2における加圧流体導入ノズル及びその近傍の可動金型部、キャビティの一部を模式的に示す図、並びに、加圧流体導入ノズルの模式的な正面図である。
【図8】実施例2の射出成形方法を説明するための、加圧流体導入装置及びその近傍の可動金型部、キャビティの一部を模式的に示す図である。
【図9】図8に引き続き、実施例2の射出成形方法を説明するための、加圧流体導入装置及びその近傍の可動金型部、キャビティの一部を模式的に示す図である。
【符号の説明】
10・・・金型、11・・・固定金型部、12・・・可動金型部、13・・・キャビティ、14・・・ゲート部、15・・・ランナー部及びスプルー部、16・・・射出用シリンダー、20,50・・・加圧流体導入装置、21,51・・・加圧流体導入ノズル、22,52・・・先端、23,53・・・開口部、54・・・キャビティ内に突出した加圧流体導入ノズルの先端部分、55・・・キャビティ内に突出しない加圧流体導入ノズルの部分、30・・・移動装置、60・・・回転装置、31,61・・・シリンダー部、32,62・・・ピストン部、40・・・溶融熱可塑性樹脂、40A・・・熱可塑性樹脂、41・・・中空部、42・・・隙間
Claims (4)
- (A)キャビティ、及び、溶融熱可塑性樹脂をキャビティ内に射出するための溶融樹脂射出部を有する金型、
(B)先端に開口部を有する加圧流体導入ノズル、及び、
(C)該加圧流体導入ノズルを往復動させるための移動装置、
を備え、
該キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の内部に加圧流体を導入して中空部を有する射出成形品を成形するための金型組立体を用いて射出成形品を成形する射出成形方法であって、
(a)加圧流体導入ノズルを後進端に位置せしめた状態で、キャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を射出し、
(b)溶融熱可塑性樹脂の射出中、若しくは、射出完了後、加圧流体導入ノズルを後進端に位置せしめた状態で、キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の内部に加圧流体導入ノズルを介して加圧流体を導入し、以て、キャビティ内に射出された溶融熱可塑性樹脂の内部に中空部を形成し、
(c)一定時間経過後、移動装置の作動によって、加圧流体導入ノズルを少なくとも1回、前進及び後退させて、加圧流体導入ノズルの先端とキャビティ内の熱可塑性樹脂との間に隙間を生じさせ、該隙間を介して中空部内の加圧流体を解放する、
各工程から成り、
加圧流体導入ノズルの後進端から前進端までの前進量及び前進端から後進端までの後退量は0.01mm乃至2mmであることを特徴とする射出成形方法。 - 移動装置は、油圧シリンダーあるいは空気圧シリンダーから成ることを特徴とする請求項1に記載の射出成形方法。
- 移動装置は、電動モータから成ることを特徴とする請求項1に記載の射出成形方法。
- 移動装置は、圧電素子から成ることを特徴とする請求項1に記載の射出成形方法。
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