JP4553402B2 - 多層プリント配線板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂基板を用いた多層プリント配線板に関し、特に、層間樹脂絶縁層と導体回路との密着性に優れ、ファインパターンを形成しやすく、高周波数帯域での信号伝搬性、はんだ耐熱性に優れ、さらには基板の反りや耐クラック特性にも優れる多層プリント配線板の製造方法についての提案である。
近年、パッケージ基板の分野では、信号の高周波数化に伴い、低誘電率、低誘電正接であることが求められており、このことに対応して基板の材料が従来型のセラミックスから樹脂へと変わりつつあるのが実情である。
このような背景の下で、樹脂基板を用いたプリント配線板が開発されてきた。例えば、特公平4−55555 号公報では、回路形成がされたガラスエポキシ基板にエポキシアクリレートを層間樹脂絶縁層として採用し、フォトリソグラフィーによりバイアホール用開口を設け、その開口内壁面を粗化し、その後、めっきレジストを設けてから無電解めっきを施すことにより、導体回路およびバイアホールを形成する方法を開示している。
しかしながら、エポキシアクリレートなどの樹脂からなる層間樹脂絶縁層は、金属である導体回路との密着性が悪いため、その絶縁層表面ならびに導体回路のいずれか少なくとも一方の表面を必ず粗化しなければならない。ところが、このことは、高周波数の信号を伝搬させた場合、信号は表皮効果により粗化された導体回路表面部分のみを伝搬するようになる。そのために、表面の凹凸によって信号にノイズが生じてしまうという問題があった。この問題は、セラミック基板に比べて高周波数の信号を伝搬できる低誘電率および低誘電正接をもつ樹脂基板を使用する場合に、特に顕著であった。
このような問題に対し、特開平7-45948号公報および特開平7-94865号公報では、セラミック基板や樹脂基板の片面にスピンコートなどで樹脂を塗布し、その樹脂層上に導体パターンとの密着性を向上させるための金属(クロム、ニッケル、チタン等)を設けると共に、その金属層上に銅薄膜層を設け、そしてその銅薄膜層上に導体回路を形成する技術を開示している。
しかしながら、これらの従来技術は、あくまでも基板の片面のみに樹脂および導体パターンを形成する技術である。このため、もしこれらの従来技術を樹脂基板にそのまま採用すると、ヒートサイクル時などに基板に反りが生じてしまい、導体回路と樹脂絶縁層との界面近傍でクラックが発生するという問題があった。
本発明は、多層プリント配線板用の樹脂基板が抱える上述した問題を解消するためになされたものであり、その主たる目的は、層間樹脂絶縁層と導体回路との密着性に優れ、ファインパターンを形成しやすく、高周波数帯域での信号伝搬性、はんだ耐熱性に優れ、さらには基板の反りや耐クラック特性にも優れる多層プリント配線板とその製造方法を提供することにある。
発明者らは、上記目的の実現に向け鋭意研究した結果、以下に示す内容を要旨構成とする本発明に想到した。すなわち、本発明は、
コア基板と、そのコア基板上に形成された下層の導体回路と、前記コア基板上及び前記下層の導体回路上に形成されているビルドアップ層とを備え、該ビルドアップ層が下層の層間樹脂絶縁層と、その下層の層間樹脂絶縁層上に形成された上層の導体回路と、その上層の導体回路を被覆した状態で前記下層の層間樹脂絶縁層上に形成された上層の層間樹脂絶縁層とを有する多層プリント配線板の製造方法において、
前記下層の層間樹脂絶縁層上に、無電解めっき膜と電解めっき膜とからなる上層の導体回路をセミアディティブ法により形成する工程と、
前記上層の導体回路の表面を粗化することなく、その上面にSnからなる金属層を形成する工程と、
前記下層の層間樹脂絶縁層上に前記上層の導体回路を被覆した状態で、下記構造式で示される1種の繰り返し単位からなるポリオレフィン系樹脂からなる上層の層間樹脂絶縁層を形成する工程と、
を含むことを特徴とする。
Figure 0004553402
本発明において、前記無電解めっき膜及び電解めっき膜は、銅から形成されていることが好ましい。
前記上層の導体回路の表面は平坦であることが好ましい。
また、前記上層の層間樹脂絶縁層は、熱硬化型ポリオレフィン樹脂または熱可塑型ポリオレフィン樹脂のいずれかにて構成されていることが好ましい。
なお、出願人は先に、特開平7−147483号として、セラミック基板や樹脂基板の片面に樹脂をスピンコートなどで塗布形成し、その樹脂層上に導体回路を形成し、この導体回路上にNi層等を形成する技術を提案したが、基板の片面にのみ樹脂層等を形成する技術であり、本発明とは異なるものである。
以上説明したように本発明の多層プリント配線板によれば、導体回路の密着強度を低下させることなく、導体回路を平坦化して高周波数帯域の信号伝搬性に優れるプリント配線板を提供することができる。また、導体回路を形成する金属イオンの樹脂絶縁層内へのマイグレーションの発生を抑制して、クラックの発生を抑制するとともに、層間絶縁性を確保することによって導体回路の密着性を改善し、配線の信頼性を向上させることができる。さらには配線のファイン化を実現できる。
本発明にかかる多層プリント配線板の製造方法は、コア基板と、そのコア基板上に形成された下層の導体回路と、前記コア基板上及び前記下層の導体回路上に形成されているビルドアップ層とを備え、該ビルドアップ層が下層の層間樹脂絶縁層と、その下層の層間樹脂絶縁層上に形成された上層の導体回路と、その上層の導体回路を被覆した状態で前記下層の層間樹脂絶縁層上に形成された上層の層間樹脂絶縁層とを有する多層プリント配線板の製造方法において、
前記下層の層間樹脂絶縁層上に、無電解めっき膜と電解めっき膜とからなる上層の導体回路をセミアディティブ法により形成する工程と
前記上層の導体回路の表面を粗化することなく、その上面にSnからなる金属層を形成する工程と、
前記下層の層間樹脂絶縁層上に前記上層の導体回路を被覆した状態で、前記下層の層間樹脂絶縁層上に前記上層の導体回路を被覆した状態で、下記構造式で示される1種の繰り返し単位からなるポリオレフィン系樹脂からなる上層の層間樹脂絶縁層を形成する工程と、
を含む点に特徴がある。
Figure 0004553402
上記金属は、いずれも層間絶縁用樹脂との密着性に優れるものである。そのため、樹脂基板に反りが発生した場合でも導体回路と層間絶縁樹脂とが剥離しないという性質がある。しかも、樹脂基板の両面に対し、対称的にこのような構造が形成されるため、該基板のそり量そのものも小さくなり、それ故にヒートサイクル時でも導体回路と層間絶縁樹脂との界面近傍に発生するクラックを防止できるのである。
さらに、これらの金属による金属層を形成すると、導体回路表面には粗化層を設けなくとも、上層導体回路との必要な密着性を確保することができ、その結果、高周波帯域の信号を伝搬させても伝搬遅延が生じないという効果を奏する。
なお、導体回路をエッチングにより形成する場合には、前述した金属層は、エッチングレジストとして作用し、ファインパターンの形成に寄与する。
なお、上記金属層の厚みは、0.02μm〜0.2μmが望ましい。この理由は、0.02μm以上の厚さとすることにより、層間樹脂絶縁層と導体回路間の密着性を確保でき、かつ、0.2μm以下とすることにより、スパッタリングにて金属層を形成する際の応力が原因となって発生するクラックを防止できるだけでなく、導体回路形成後に不要となる導体回路間の金属層を容易にエッチング除去できるからである。
前記金属層上にはさらに、必要に応じて別の種類の金属層を形成してもよい。たとえば、層間樹脂絶縁層上にニッケル層を形成し、その上に銅層をもうけることにより、導体回路を形成する際のめっきの未析出を防止することができる。なお、これらの金属層は、無電解めっき、電解めっき、スパッタリング、蒸着、CVDなどの方法によって形成する。
本発明において用いる樹脂基板は、一般に、セラミック基板や金属基板と異なり、反りやすい上に放熱性も悪く、蓄熱を起因とする銅のマイグレーションも発生しやすい。この点、本発明では、金属層が銅導体回路からの銅イオンのマイグレーションを防止する障壁となって、多湿条件下でも層間の絶縁を確保することができる。
本発明における上記層間樹脂絶縁層は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂またはこれらの複合樹脂で構成することが望ましい。熱硬化性樹脂としては、熱硬化型ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミドトアジン樹脂などから選ばれる1種以上を用いることが望ましい。
熱可塑性樹脂としては、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリスチレン(PS)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)などのエンジニアリングプラスチックなどを用いることが望ましい。
本発明においては、上記層間樹脂絶縁層としてとくに、下記(1)〜(4)に示すような構造のポリオレフィン系樹脂を用いることが最も好ましい実施の形態である。
(1).下記構造式で示される1種の繰り返し単位からなる樹脂。
Figure 0004553402
(2).下記構造式で示される繰り返し単位のうちの異なる2種類以上が共重合したものからなる樹脂。
Figure 0004553402
(3).下記構造式で示される繰り返し単位を有し、その分子主鎖中には、二重結合、オキシド構造、ラクトン構造、モノもしくはポリシクロペンタジエン構造を有する樹脂。
Figure 0004553402
(4).前記(1),(2),(3)の群から選ばれる2種以上の樹脂を混合した混合樹脂、前記(1),(2),(3)の群から選ばれる樹脂と熱硬化性樹脂との混合樹脂、または前記(1),(2),(3)の群から選ばれる樹脂が互いに架橋した樹脂。なお、本発明で「樹脂」という場合は、いわゆる「ポリマー」および「オリゴマー」を包括する概念である。
以下に、上記(1)〜(4)の樹脂についてさらに詳しく説明する。
a.前記(1)〜(3)の樹脂において、繰り返し単位中のXとして採用されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基から選ばれる少なくとも1種以上であることが望ましい。
b.前記繰り返し単位中のXとして採用されるC2〜C3の不飽和炭化水素としては、CH2 =CH−、CH3 CH=CH−、CH2 =C(CH3 ) −、アセチレン基から選ばれる少なくとも1種以上であることが望ましい。
c.前記繰り返し単位中のXとして採用されるオキシド基としては、エポキシ基、プロポキシ基が望ましく、ラクトン基としては、β−ラクトン基、γ−ラクトン基、δ−ラクトン基から選ばれる少なくとも1種以上であることが望ましい。
また、繰り返し単位中のXとしてC2〜C3の不飽和炭化水素、オキシド基、ラクトン基、水酸基を採用する理由は、反応性が高く、これらの反応活性基を含む樹脂(この場合はオリゴマー)同士を架橋しやすいからである。さらに、nを1〜10000 とする理由は、nが 10000を超えると溶剤不溶性となり、扱いにくくなるからである。
前記(3)の樹脂において、分子主鎖中の二重結合構造としては、下記構造式で示される繰り返し単位と、−(CH=CH)m −または−(CH2 −CH=CH−CH2 )m −の繰り返し単位が共重合したものがよい。ここで、mは1〜10000とする。
Figure 0004553402
この樹脂(3)において、分子主鎖のオキシド構造としては、エポキシ構造がよい。また、分子主鎖のラクトン構造としては、β−ラクトン、γ−ラクトン構造が望ましい。さらに、分子主鎖のモノ、ポリシクロペンタジエンとしては、シクロペンタジエンおよびビシクロペンタジエンから選ばれる構造を採用することが望ましい。
前記共重合は、繰り返し単位がABAB・・・のように交互共重合する場合、繰り返し単位がABAABAAAAB・・・のようにランダム共重合する場合、あるいはAAAABBB・・・のようなブロック共重合する場合がある。
次に、(4)の樹脂について説明する。この(4)の樹脂は、前記(1),(2),(3)の群から選ばれる2種以上の樹脂を混合した混合樹脂、前記(1),(2),(3)の群から選ばれる樹脂と熱硬化性樹脂との混合樹脂、または前記(1),(2),(3)の群から選ばれる樹脂が互いに架橋した樹脂である。
これらのうち、前記(1),(2),(3)の群から選ばれる2種以上の樹脂を混合する場合は、樹脂粉末を有機溶剤に溶解させるか、あるいは熱溶融させて混合する。
また、前記(1),(2),(3)の群から選ばれる樹脂と熱硬化性樹脂を混合する場合も樹脂粉末を有機溶剤に溶解させて混合する。この場合に混合する熱硬化性樹脂としては、熱硬化型ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン(BT)樹脂から選ばれる少なくとも1種以上を用いることが望ましい。
さらに、前記(1),(2),(3)の群から選ばれる樹脂を互いに架橋させる場合は、C2〜C3の不飽和炭化水素、オキシド基、ラクトン基、水酸基および分子主鎖中の二重結合、オキシド構造、ラクトン構造を架橋のための結合手とする。
なお、本発明で採用する熱硬化型ポリオレフィン樹脂の例としては、住友スリーエム製の商品名1592などを用いることができる。また、融点 200℃以上の熱可塑型ポリオレフィン樹脂の例としては、三井化学製の商品名TPX(融点 240℃)や出光石油化学製の商品名SPS(融点
270℃)などを用いることができる。なお、TPXは、前記繰り返し単位におけるXがイソブチル基の樹脂であり、SPSは、当該Xがフェニル基でシンジオタクティック構造の樹脂である。
このようなポリオレフィン系樹脂は、導体回路との密着性に優れるため、下層の導体回路表面を粗化する必要がないので、平坦な導体回路を形成することができる。
また、このポリオレフィン系樹脂は、誘電率が3以下、誘電正接が0.05以下でエポキシ樹脂のそれよりも低く、高周波数の信号でも伝搬遅延がない。しかも、このポリオレフィン系樹脂は、耐熱性がエポキシ樹脂に比べて遜色がなく、はんだ溶融温度でも導体回路の剥離がみられない。その上、破壊靱性値が大きいため、ヒートサイクル時に導体回路と層間樹脂絶縁層との境界を起点とするクラックを発生することがない。
次に、本発明の多層プリント配線板を製造する方法を多層プリント配線板の製造に適用した例について説明する。
(1)まず、樹脂基板の表面に下層の導体回路を形成した配線基板を作製する。樹脂基板としては、無機繊維を含む樹脂基板を用いることが望ましく、たとえば、ガラス布エポキシ基板、ガラス布ポリイミド基板、ガラス布ビスマレイド−トリアジン樹脂基板あるいはガラス布フッ素樹脂基板などのうちから選ばれるものが好適である。
前記下層の導体回路の形成は、樹脂基板の両面に銅箔を張った銅張積層板をエッチングすることにより行う。そして、この基板にドリルで貫通孔を穿け、貫通孔の壁面および銅箔表面に無電解めっきを施して導体を付与したスルーホールを形成する。ここで、上記無電解めっきの方法としては、銅めっきがよい。なお、フッ素樹脂基板のように、めっきのつきまわりが悪い基板については、有機金属ナトリウムからなる前処理液による処理、プラズマ処理などの表面改質を行う。
次に、厚付けのために電解めっきを行う。この電解めっきとしては銅めっきがよい。
なお、スルーホール内壁および電解めっき膜表面を粗化処理して層間絶縁層面としてもよい。粗化処理としては、黒化(酸化)−還元処理、有機酸と第二銅錯体の混合水溶液によるスプレー処理、あるいは銅−ニッケル−リン針状合金めっきによる処理などがある。
また、必要に応じてスルーホール内に導電ペーストを充填し、この導電ペーストを覆う導体層を無電解めっきもしくは電解めっきにて形成することもできる。
(2)前記(1) で作製した配線基板の両面に樹脂絶縁層を形成する。この樹脂絶縁層は、多層プリント配線板の下層の層間樹脂絶縁層として機能する。この樹脂絶縁層は、未硬化液を塗布したり、フィルム状の樹脂を熱圧してラミネートすることにより形成される。
(3)次に、上記下層の層間樹脂絶縁層に、下層の導体回路との電気的接続を確保するための開口を設ける。この開口の穿設は、レーザ光や露光現像処理にて行う。このとき使用されるレーザ光は、炭酸ガスレーザ、紫外線レーザ、エキシマレーザなどがある。そして、レーザ光にて孔穿けしたのちは、デスミア処理を行う。デスミア処理は、クロム酸、過マンガン酸塩などの水溶液からなる酸化剤を使用して行うことができ、また酸素プラズマ、CF4
と酸素の混合プラズマやコロナ放電などで処理してもよい。また、低圧水銀ランプを用いて紫外線を照射することにより、表面改質することもできる。
特にCF4 と酸素の混合プラズマは、樹脂表面に、水酸基やカルボニル基などの親水性基を導入することができ、後のCVDやPVD処理がしやすいため、有利である。
(4)前記(3)で開口を設けた下層の層間樹脂絶縁層の表面に、第4A族から第1B族で第4〜第7周期の金属(ただし、Cuを除く)、AlおよびSnから選ばれる1種以上の金属からなる薄い金属層を、めっき法、PVD法あるいはCVD法にて形成する。
PVD法としては、スパッタリング、イオンビームスパタリングなどの蒸着法が有効である。また、CVD法としては、アリルシクロペンタジフェニルパラジウム、ジメチルゴールドアセチルアセテート、スズテトラメチルアクリロニトリル、ジコバルトオクタカルボニルアクリロニトリルなどの有機金属(MO)を供給材料とするPE−CVD(Plasma Enhanced CVD)などが好適である。
(5)次に、前記(4) で形成した金属層上に、次工程の無電解めっき膜と同種の金属層をスパッタリングなどによって形成する。これは、無電解めっき膜との親和性を改善するためである。具体的には、銅層をスパッタリングにより設けることが望ましい。
(6)次に、前記(5) で形成した金属層上に必要に応じて無電解めっきを施す。無電解めっきとしては銅めっきが最適である。また、無電解めっきの膜厚は、0.1〜5μmがよい。この理由は、後に行う電解めっきの導電層としての機能を損なうことなく、エッチング除去できるようにするためである。
この無電解めっきおよび/または前記の第4A族から第1B族で第4〜第7周期に属する金属 (ただし、Cuを除く) , Al, Snから選ばれる金属の少なくとも1種からなる薄い金属層が導体層となり、めっきリードとして機能する。
(7)前記(6) で形成した無電解めっき膜上にめっきレジストを形成する。このめっきレジストは、感光性ドライフィルムをラミネートして露光、現像処理して形成される。
(8)次に、(7)の処理を終えた無電解めっき膜上に第4A族から第1B族で第4〜第7周期の金属(ただし、Cuを除く),Al,Snから選ばれる少なくとも1種の金属からなる金属層を、上述しためっき法、PVD法あるいはCVD法にて形成する。
この工程での前記金属層の形成は、無電解めっき法によって形成することがとくに好ましい。
その後、前記無電解めっき膜および前記金属層をめっきリードとして、電気めっきを行い、導体回路の厚付け処理を行う。この処理における電気めっき膜の厚みは、5〜30μm程度がよい。
(9)その後、上記めっきレジストを剥離した後、そのめっきレジスト直下部分の無電解めっき膜と上記金属層をエッチング処理して除去し、独立した上層の導体回路を形成する。この工程で用いるエッチング液としては、硫酸−過酸化水素水溶液、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩水溶液、塩化第二鉄、塩化第二銅の水溶液、塩酸、硝酸、熱希硫酸などを使用することができる。
なお、このエッチング処理においては、前記金属層が、エッチングレジストとして機能し、L/S=15/15μmのような独立した導体回路の形成に役立つ。
(10) さらに必要に応じて、上記上層の導体回路の表面に、上掲の金属からなる厚みの薄い金属層を、めっき法、PVD法あるいはCVD法で形成し、さらに前記(2)〜(9)の工程を繰り返すことにより、上層の導体回路上に上層の層間樹脂絶縁層を形成し、更に上層の層間樹脂絶縁層上に最上層の導体回路を形成して多層化した両面プリント配線板を得る。
なお、以上の説明では、導体回路の形成方法としてセミアディティブ法を採用したが、フルアディティブ法を適用することもできる。このフルアディティブ法では、樹脂絶縁層表面にCVDあるいはPVD処理にて薄い金属層を形成した後、感光性ドライフィルムをラミネートするか、または液状の感光性樹脂を塗布し、露光、現像処理してめっきレジストを設け、無電解めっきにて厚付けを行い、導体回路を形成する。または、樹脂絶縁層表面にめっきレジストを形成した後、CVDあるいはPVD処理にて薄い金属層を設け、さらにめっきレジスト表面に付着したこの金属層を研磨などで除去するか、めっきレジストそのものを除去し、この金属層を触媒として無電解めっきを行い、導体回路を形成することもできる。
(実施例1)
(1)コア基板としては、BT(ビズマレイミドトリアジン)樹脂からなる厚さ0.8mmの基板1の両面に18μmの銅箔2がラミネートされているBTレジン銅張積層板(三菱ガス化学製、商品名:HL830-0.8T12D)を用いた(図1(a)参照)。まず、この銅張積層板をドリル削孔して貫通孔を穿け(図1(b)参照)、次いでパラジウム−スズコロイドを付着させ、下記組成の無電解めっき水溶液で下記条件にて無電解めっきを施し、基板全面に0.7μmの無電解めっき膜を形成した。
〔無電解めっき水溶液〕
EDTA 150g/l
硫酸銅 20g/l
HCHO 30ml/l
NaOH 40g/l
α、α’−ビピリジル 80mg/l
PEG 0.1g/l
〔無電解めっき条件〕
70℃の液温度で30分
さらに、下記組成の電解めっき水溶液で下記条件にて電解銅めっきを施し、厚さ15μmの電解銅めっき膜からなる下層の導体回路2およびスルーホール3を形成した(図1(c)参照)。
〔電解めっき水溶液〕
硫酸 180 g/l
硫酸銅 80 g/l
添加剤(アトテックジャパン製、商品名:カパラシドGL)
1 ml/l
〔電解めっき条件〕
電流密度 1A/dm2
時間 30分
温度 室温
(2)こうして下層の導体回路(スルーホール3を含む)を形成した基板1を、水洗し、乾燥した後、酸化浴(黒化浴)として、NaOH(20g/l)、NaClO2(50g/l)、Na3PO4(15.0g/l)の水溶液を用い、還元浴として、NaOH(2.7g/l)、NaBH4(1.0g/l)の水溶液を用いた酸化還元処理に供し、下層の導体回路2(スルーホール3を含む)の全表面に粗化層4を設けた(図1(d)参照)。
(3)次に、銅粒子を含む導電ペースト5をスクリーン印刷により、スルーホール3内に充填し、乾燥、硬化させた。そして、下層の導体回路2上面の粗化層4およびスルーホール3からはみ出した導電ペースト5を、#400のベルト研磨紙(三共理化学製)を用いたベルトサンダー研磨により除去し、さらにこのベルトサンダー研磨による傷を取り除くためのバフ研磨を行い、基板表面を平坦化した(図1(e)参照)。
(4)前記(3)で平坦化した基板表面に、常法に従ってパラジウムコロイド触媒を付与してから無電解めっきを施すことにより、厚さ0.6μmの無電解銅めっき膜6を形成した(図1(f)参照)。
(5)ついで、以下の条件で電解銅めっきを施し、厚さ15μmの電解銅めっき膜7を形成し(図2(a)参照)、上層の導体回路9となる部分の厚付け、およびスルーホール3に充填された導電ペースト5を覆う導体層(ふためっき層)10となる部分を形成した(図2(b)参照)

〔電解めっき水溶液〕
硫酸 180 g/l
硫酸銅 80 g/l
添加剤(アトテックジャパン製、商品名:カパラシドGL)
1 ml/l
〔電解めっき条件〕
電流密度 1A/dm2
時間 30分
温度 室温
(6) 上層の導体回路9および導体層10となる部分を形成した基板の両面に、市販の感光性ドライフィルムを張りつけ、マスクを載置して、100mJ/cm2で露光、0.8%炭酸水素ナトリウムで現像処理し、厚さ15μmのエッチングレジスト8を形成した(図2(a)参照)。
(7)そして、エッチングレジスト8を形成していない部分のめっき膜を、硫酸と過酸化水素の混合液を用いるエッチングにて溶解除去し、さらに、めっきレジスト8を5%KOHで剥離除去して、独立した上層の導体回路9および導電ぺースト5を覆うスルーホール被覆導体層(以下、この導体層のことを単に「ふためっき層」という。)10を形成した(図2(b)参照)。
(8)次に、上層の導体回路9およびふためっき層10の側面を含む全表面にCu−Ni−P合金からなる厚さ2.5μmの粗化層(凹凸層)11を形成し、さらにこの粗化層11の表面に厚さ0.3μmのSn層を設けた(図2(c)参照、Sn層については図示しない)。
その形成方法は以下のようである。即ち、基板を酸性脱脂してソフトエッチングし、次いで、塩化パラジウムと有機酸からなる触媒溶液で処理して、Pd触媒を付与し、この触媒を活性化した後、硫酸銅8g/l、硫酸ニッケル0.6g/l、クエン酸15g/l、次亜リン酸ナトリウム29g/l、ホウ酸31g/l、界面活性剤(日信化学工業製、サーフィノール465)0.1g/lの水溶液からなるpH=9の無電解めっき浴にてめっきを施し、導体回路9およびふためっき層10の全表面にCu−Ni−P合金の粗化層11を設けた。ついで、ホウフッ化スズ0.1mol/l、チオ尿素1.0mol/lの水溶液を用い、温度50℃、pH=1.2の条件でCu−Snの置換反応により、粗化層11の表面に、厚さ0.3μmのSn層を設けた(Sn層については図示しない)。
(9)基板の両面に、厚さ50μmの熱硬化型ポリオレフィン樹脂シート(住友3M製、商品名:1592)を温度50〜180℃まで昇温しながら圧力10kg/cm2で加熱プレスして積層し、ポリオレフィン系樹脂からなる上層の層間樹脂絶縁層12を設けた(図2(d)参照)。
(10)次に、波長10.4μmのCO2ガスレーザにて、ポリオレフィン系樹脂からなる上層の樹脂絶縁層12に直径80μmのバイアホール用開口13を設けた。さらに、CF4および酸素混合気体のプラズマ処理により、デスミアおよびポリオレフィン系樹脂絶縁層表面の改質を行った。この改質により、表面には、OH基やカルボニル基、COOH基などの親水性基が確認された(図2(e)参照)。
なお、酸素プラズマ処理条件は、電力800W、500mTorr、20分間である。
(11)次に、上記ポリオレフィン系樹脂からなる上層の層間樹脂絶縁層12の表面にNiをターゲットにして、気圧0.6Pa、温度80℃、電力200W、時間5分間の条件でスパッタリングを行い、Ni薄膜を形成した。このとき、形成されたNi金属層の厚さは0.1μmであった。さらに、図3(a)に示すように、最下層のNi金属層上に、同様の条件にて厚さ0.1μmの銅層をスパッタリングで形成した。なお、スパッタリングのための装置は、日本真空技術株式会社製のSV−4540を使用した。
(12) そして、前記(11)の処理を終えた基板に対して、前記(1)の無電解めっきを施し、厚さ0.7μmの無電解めっき膜14を形成した(図3(a)参照)。
(13)前記(12)で無電解めっき膜14を形成した基板の両面に、市販の感光性ドライフィルムを張りつけ、フォトマスクフィルムを載置して、100mJ/cm2で露光、0.8%炭酸ナトリウムで現像処理し、厚さ15μmのめっきレジスト16を設けた(図3(b)参照)。
(14)前記(1)の電解めっきを施して、厚さ15μmの電解めっき膜15を形成し、上層の導体回路9部分の厚付け、およびバイアホール17部分のめっき充填を行った。
さらに、塩化ニッケル30g/l、次亜リン酸ナトリウム10g/l、クエン酸ナトリウム10g/lの水溶液からなるpH=5の無電解ニッケルめっき液に1分間浸漬して、図3(c)に示すように、めっきレジスト16の開口部上部に、厚さ0.1μmのニッケルめっき層19を形成した。
(15) そしてさらに、めっきレジスト16を5%KOHで剥離除去した後、そのめっきレジスト16下のNi膜および無電解めっき膜14を硝酸および硫酸/過酸化水素混合液を用いるエッチングにて溶解除去することによって、Ni膜、無電解銅めっき膜14および電解銅めっき膜15からなる厚さ16μmの上層の導体回路(バイアホール17を含む)が形成されるとともに、その上層の導体回路の上面に厚さ0.1μmのニッケルめっき層19が形成された(図3(d)参照)。
(16) さらに、前記(9)〜(15)の工程を繰り返すことにより、上層の導体回路上に上層の層間樹脂絶縁層を形成した後、その上層の層間樹脂絶縁層上に最上層の導体回路9を形成し、更に、最上層の導体回路9の上面にニッケルめっき層19を形成して多層化した多層プリント配線板を得た。
その後さらに、この多層プリント配線板の表面に(11)の条件でスパッタリングを行って、図4(a)に示すように、最上層の導体回路の側面および上面にニッケル層を形成した。
(17)一方、DMDGに溶解させた60重量%のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製)のエポキシ基50%をアクリル化した感光性付与のオリゴマー(分子量4000)を46.67g、メチルエチルケトンに溶解させた80重量%のビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル製、エピコート1001)15.0g、イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-CN)1.6g、感光性モノマーである多価アクリルモノマー(日本化薬製、R604)3g、同じく多価アクリルモノマー(共栄社化学製、DPE6A)1.5g、分散系消泡剤(サンノプコ社製、S−65)0.71gを混合し、さらにこの混合物に対して光開始剤としてのベンゾフェノン(関東化学製)を2g、光増感剤としてのミヒラーケトン(関東化学製)を0.2g加えて、粘度を25℃で2.0Pa・sに調整したソルダーレジスト組成物を得た。
なお、粘度測定は、B型粘度計(東京計器、DVL-B型)で60rpmの場合はローターNo.4、6rpmの場合はローターNo.3によった。
(18)前記(16)で得られた多層プリント配線基板を、垂直に立てた状態でロールコーターの一対の塗布用ロール間に挟み、ソルダーレジスト組成物を20μmの厚さで塗布した。
(19)次いで、70℃で30分間の乾燥処理を行った後、1000mJ/cm2の紫外線で露光し、DMTG現像処理した。さらに、80℃で1時間、100℃で1時間、120℃で1時間、150℃で3時間の条件で加熱処理し、バイアホール、ランド、格子状の電源層の上面の一部が開口した(開口径200μm)ソルダーレジスト層(厚み20μm)18を形成した。
(20)次に、その基板を、シアン化金カリウム2g/l、塩化アンモニウム75g/l、クエン酸ナトリウム50g/l、次亜リン酸ナトリウム10g/lの水溶液からなる無電解金めっき液に93℃の条件で23秒間浸漬して、ニッケル層上に厚さ0.03μmの金めっき層20を形成した。
(21) そして、ソルダーレジスト層18の開口部に、はんだペーストを印刷して
200℃でリフローすることによりはんだバンプ21を形成し、はんだバンプ21を有するプリント配線板を製造した(図4(b)参照)。
(実施例2)
本実施例では、ポリオレフィン系樹脂として、三井化学製のTPX(商品名)を使用し、実施例1と同じ酸素プラズマ条件にてデスミア処理し、次いで低圧水銀ランプにて紫外線を30〜60秒照射して表面改質を行うことにより、OH基およびカルボニル基を導入した。本実施例ではさらに、Pdを、気圧0.6Pa、温度100℃、電力200W、時間2分間の条件でポリオレフィン系樹脂絶縁層および導体回路表面に厚さ0.1μmで付着させたこと以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。
(実施例3)
本実施例では、ポリオレフィン系樹脂として、出光石油化学製のSPS(商品名)を使用し、Tiを、気圧0.6Pa、温度100℃、電力200W、時間5分間の条件でポリオレフィン系樹脂絶縁層および導体回路に厚さ0.1μmで付着させたこと以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。
(実施例4)
本実施例は、NiにかえてCr、Sn、Mo、W、Feをスパッタリングしたこと以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。なお、スパッタリングは、気圧0.6Pa、温度100℃、電力200W、時間2分間の条件でポリオレフィン系樹脂絶縁層表面および導体回路に厚さ0.1μmで付着させた。
(比較例1)
(1)本比較例は、層間樹脂絶縁層を構成するポリオレフィン系樹脂にかえて下記に示す方法で調製したクレゾールノボラック型アクリレートを使用し、後述する(2)〜(10)の方法で導体回路を形成したこと以外は、実施例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。
(a).クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製、分子量2500)の25%アクリル化物を35重量部、感光性モノマー(東亜合成製、アロニックスM315)3.15重量部、消泡剤(サンノプコ製、S−65)0.5重量部、NMPを3.6重量部を攪拌混合した。
(b).ポリエーテルスルフォン(PES)12重量部、エポキシ樹脂粒子(三洋化成製、ポリマーポール)の平均粒径1.0μmのものを7.2重量部、平均粒径0.5μmのものを3.09重量部を混合した後、さらにNMP30重量部を添加し、ビーズミルで攪拌混合した。
(c).イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-CN)2重量部、光開始剤(チバガイギー製、イルガキュアI−907)2重量部、光増感剤(日本化薬製、DETX−S)0.2重量部、NMP1.5重量部を攪拌混合した。これらを混合して無電解めっき用接着剤を得た。
(2)前記(1)で得た無電解めっき用接着剤を、実施例1の(1)〜(8)で調製した基板上にロールコータで塗布し、水平状態で20分間放置してから60℃で30分の乾燥を行い、さらに無電解めっき用接着剤をロールコータを用いて塗布し、水平状態で20分間放置してから60℃で30分の乾燥を行い、厚さ40μmの接着剤層を形成した。
(3)前記(2)で接着剤層を形成した基板の両面に、85μmφの黒円が印刷されたフォトマスクフィルムを密着させ、超高圧水銀灯により500mJ/cm2で露光した。これをDMDG溶液でスプレー現像することにより、接着剤層に85μmφのバイアホールとなる開口を形成した。さらに、当該基板を超高圧水銀灯により3000mJ/cm2で露光し、100℃で1時間、その後150℃で5時間の加熱処理をすることにより、フォトマスクフィルムに相当する寸法精度に優れた開口(バイアホール形成用開口)を有する厚さ35μmの層間絶縁材層(接着剤層)を形成した。なお、バイアホールとなる開口には、スズめっき層を部分的に露出させた。
(4)露光した基板をDMTG(トリエチレングリジメチルエーテル)溶液でスプレー現像することにより、接着剤層に100μmφのバイアホールとなる開口を形成した。さらに、当該基板を超高圧水銀灯にて3000mJ/cm2で露光し、100℃で1時間、その後150℃で5時間にて加熱処理することにより、フォトマスクフィルムに相当する寸法精度に優れ、開口(バイアホール形成用開口)を有する厚さ50μmの接着剤層を形成した。なお、バイアホールとなる開口には、粗化層を部分的に露出させる。
(5)バイアホール形成用開口を形成した基板を、クロム酸に2分間浸漬し、接着剤層表面に存在するエポキシ樹脂粒子を溶解除去して、当該接着剤層の表面を粗化し、その後、中和溶液(シプレイ社製)に浸漬してから水洗した。
(6)粗面化処理(粗化深さ5μm)を行った基板に対し、パラジウム触媒(アトテック製)を付与することにより、接着剤層およびバイアホール用開口の表面に触媒核を付与した。
(7)以下に示す組成の無電解銅めっき浴中に基板を浸漬し、粗面全体に厚さ0.6μmの無電解銅めっき膜を形成した。このとき、めっき膜が薄いため無電解めっき膜表面に凹凸が観察された。
〔無電解めっき水溶液〕
EDTA 150g/l
硫酸銅 20g/l
HCHO 30ml/l
NaOH 40g/l
α、α’−ビピリジル 80mg/l
PEG 0.1g/l
〔無電解めっき条件〕
70℃の液温度で30分
(8)市販の感光性ドライフィルムを無電解銅めっき膜に張り付け、マスクを載置して、100mJ/cm2で露光、0.8%炭酸ナトリウムで現像処理し、厚さ15μmのめっきレジストを設けた。
(9)次いで、10〜35℃の水で基板を水洗した後、以下の条件にて電解銅めっきを施し、厚さ15μmの電解銅めっき膜を形成した。
〔電解めっき水溶液〕
硫酸銅 180g/l
硫酸銅 80g/l
添加剤(アトテックジャパン製、商品名:カパラシドGL)
1ml/l
〔電解めっき条件〕
電流密度 1A/dm2
時間 30分
温度 室温
(10)そして、めっきレジストを5%KOHで剥離除去した後、そのめっきレジスト下の無電解めっき膜を硫酸と過酸化水素の混合液を用いるエッチングにて溶解除去し、無電解銅めっき膜と電解銅めっき膜からなる厚さ15μmの導体回路(バイアホールを含む)を形成することにより、多層プリント配線板を得た(図5(a)参照)。
その後、実施例1と同様に処理して、はんだバンプを有するプリント配線板を製造した(図5(b)参照) 。
(比較例2)
本比較例は、実施例1と同様であるが、ポリオレフィン系樹脂を片面にのみ積層した。
(参考例1)
基板として窒化アルミニウム基板を使用したこと以外は、比較例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。
(参考例2)
基板として銅板を使用したこと以外は、比較例1と同様にして多層プリント配線板を製造した。
このようにして製造した実施例、比較例および参考例にかかる多層プリント配線板について、ピール強度を測定した。
さらに、配線板を−55℃〜125℃で500サイクル試験した。
加えて、ICチップを実装した後、相対湿度100%雰囲気下で、室温で1000時間駆動した後のマイグレーションの有無を評価した。マイグレーションの有無は、層間導通の有無で判断した。また、製造できる最小のL/Sを調べ、これらの結果を表1に示す。
Figure 0004553402
表1に示す結果から明らかなように、本発明の実施例にかかる配線板は、層間樹脂絶縁層に粗化面を設けていないにもかかわらず、充分なピール強度が確保されていた。これに対し、比較例1の配線板は、粗化面を設けているにもかかわらず、それのピール強度は1.0kg/cmと低かった。
また、本発明の実施例にかかる配線板は、放熱性が悪いにも関わらず、Ni、Pdなどの金属により銅の拡散が抑制されているので、マイグレーションもなく層間絶縁が確保されていた。
一方、比較例2から理解できるように、片面にのみポリオレフィン系樹脂層、Ni層および銅めっき層、銅めっき層のNi層を設けても、クラックを抑制することはできない。また、比較例1では、両面にビルドアップ層が形成されているが、クラックを抑制できない。
即ち、樹脂基板の両面にビルドアップ層が形成され、かつ、導体回路の表面に設けられた、周期律表の第IVa族から第Ib族で第4〜第7周期の金属であってCuを除いた金属から選ばれる少なくとも1種以上の金属層が形成されることにより、本発明の効果を奏することがわかる。
また、本発明では、L/S=15/15μmの微細な配線を形成することができる。
なお、参考例から明らかなように、基板として金属板やセラミック基板を使用した場合には、クラックやマイグレーションはそもそも発生せず、本発明は、樹脂基板に発生する特有の問題を解決したものと言える。
(a)〜(f) は、実施例1の多層プリント配線板を製造する工程の一部を示す図である。 (a)〜(e) は、実施例1の多層プリント配線板を製造する工程の一部を示す図である。 (a)〜(d) は、実施例1の多層プリント配線板を製造する工程の一部を示す図である。 (a),(b) は、実施例1の多層プリント配線板を製造する工程の一部を示す図である。 (a),(b) は、比較例1の多層プリント配線板を製造する工程の一部を示す図である。
符号の説明
1 基板
2 銅箔
3 スルーホール
4,11 粗化層
5 樹脂充填材
6,14 無電解めっき膜
7,15 電解めっき膜
8 エッチングレジスト
9 導体回路
10 導体層(ふためっき層)
12 層間樹脂絶縁層
13 バイアホール用開口
16 めっきレジスト
17 バイアホール
18 ソルダーレジスト層
19 ニッケルめっき層
20 金めっき層
21 はんだバンプ(はんだ体)

Claims (2)

  1. コア基板と、そのコア基板上に形成された下層の導体回路と、前記コア基板上及び前記下層の導体回路上に形成されているビルドアップ層とを備え、該ビルドアップ層が下層の層間樹脂絶縁層と、その下層の層間樹脂絶縁層上に形成された上層の導体回路と、その上層の導体回路を被覆した状態で前記下層の層間樹脂絶縁層上に形成された上層の層間樹脂絶縁層とを有する多層プリント配線板の製造方法において、
    前記下層の層間樹脂絶縁層上に、無電解めっき膜と電解めっき膜とからなる上層の導体回路をセミアディティブ法により形成する工程と、
    前記上層の導体回路の表面を粗化することなく、その上面にSnからなる金属層を形成する工程と、
    前記下層の層間樹脂絶縁層上に前記上層の導体回路を被覆した状態で、下記構造式で示される1種の繰り返し単位からなるポリオレフィン系樹脂からなる上層の層間樹脂絶縁層を形成する工程と、
    を含むことを特徴とする多層プリント配線板の製造方法。
    Figure 0004553402
  2. 前記上層の導体回路は、その表面が平坦となるように形成される請求項に記載の多層プリント配線板の製造方法。
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