JP4540197B2 - (e)−3−メチル−2−シクロペンタデセノンの製造法 - Google Patents

(e)−3−メチル−2−シクロペンタデセノンの製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は香粧品に使用される香料、さらに詳しくは麝香の鍵香気成分である光学活性な(R)-(-)-Musconeの合成中間体の製造法に関する。
【0002】
【従来技術】
近年、絶滅のおそれのある生物の保護を取り決めたワシントン条約により、麝香鹿も捕獲が禁止されたため、香料として歴史的に非常に重要な役割を果たしてきた麝香が入手できなくなりつつあり、その代替え品の開発が急務となっている。従って麝香の鍵香気成分である(R)-(-)-Muscone の製造法の開発が重要課題となり、数多くの研究報告がなされている。
【0003】
例えば、特開平6-192161号公報には(R)-(-)-Musconeの調製法が開示されている。即ち、(Z)-または(E)-3-メチル-2-シクロペンタデセノン(2)を出発物質として、不斉水素化触媒である光学活性なルテニウム−ホスフィン錯体を選択することにより高光学純度の(R)-(-)-Musconeを調製する方法が知られている(反応式-1)。
この反応式-1から(E)-または(Z)-体の純度に対応した純度を有する(R)-(-)-ムスコンが調製されることが理解でき、純度の高い(E)-または(Z)-3-メチル-2-シクロペンタデセノン(2)を調製できるならば、それは極めて有利であるということができる。
【0004】
【化3】
Figure 0004540197
【0005】
また、(R)-(-)-Musconeの合成中間体である3-メチル-2-シクロペンタデセノン(2)の調製法も数多く報告されている。その一つとして以下に示す2,15-ヘキサデカジオン(3)の分子内アルドール縮合反応による調製法が知られていた。即ち、臭化マグネシウム-N-メチルアニリド( PhN(Me)MgBr )のアルドール試薬を用いる方法(Helv. Chim. Acta. 1947, p.2,019-2,023)、イソブチルアルミニウムハイドライド−ピリジン系のアルドール試薬を用いる方法(辻等、Bull.Chem.Soc.Jpn. 1980, 53巻、p.1,417-1,420、特公昭61-11210号公報)、プロピル亜鉛クロライド(PrZnCl)を用いる方法(特開昭59-157047号公報)、および酸化チタン−酸化ナトリウム触媒系での高温度での水添加による反応方法(ミヒアエルヒュルマン、特開平3-81242号公報)などが知られていた。
しかしながらこれらの報告においては、反応式-2に示すように、反応生成物が目的化合物である3-メチル-2-シクロペンタデセノン{(E)-(2)}以外に二重結合位置異性体である3-メチル-3-シクロペンタデセノン(4)や3-メチレンシクロペンタデカノン(5)が副生するという欠点があった。
【0006】
【化4】
Figure 0004540197
【0007】
さらに、これらの報告には目的化合物である3-メチル-2-シクロペンタデセノン(2)の幾何異性体組成に関して、とくに記載されていない。そして、これらの方法を追試した結果(E)-体あるいは(Z)-体がいずれも70%台以下であることがわかった。この程度の純度の3-メチル-2-シクロペンタデセノン(2)を出発物質として常法によりR-(-)-Musconeを調製しても高光学純度のR-(-)-Musconeを得ることは不可能であり、高純度品とするためには、カラム精製などの分離精製を必要とすることとなり、工業的な製造法としては満足できるものではなかった。
【0008】
なお、(R)-(-)-Musconeの合成中間体である3-メチル-2-シクロペンタデセノン(2)の異なる調製法として、例えばMonatshefte fur Chemie 110, 245-247(1979)の報告がある。そこでは、3-ヒドロキシ3-メチルシクロペンタデカノン(1)をp-トルエンスルホン酸-1水和物の共存下脱水反応させ3-メチル-2-シクロペンタデセノンを調製したところ、(E)-体:(Z)-体が4:1である3-メチル-2-シクロペンタデセノンを調製できた、とされている。しかしながら、ここで開示された方法は工程数が多く、また高価な試薬を使用しなければならず、現実的な工業的製法というには問題点が多い。さらに、(E)-体と(Z)-体に関する数値の根拠となるスペクトルデータが不充分であるので、上記報告内容に基づき追試してみた結果、調製された目的化合物である3-メチル-2-シクロペンタデセノン(2)の(E)-体:(Z)-体は28:72であることがわかった。なお、(E)-体であるか、あるいは(Z)-体であるかの構造決定は辻等(Bull.Chem.Soc.Jpn. 1980, 53巻、p.1,417-1,420)が行った方法を根拠にして(E)-体と(Z)-体との構造決定を行った。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の課題は、幾何異性体の一方である(E)-体の組成比が高く、かつ二重結合位置選択性が高い3-メチル-2-シクロペンタデセノン(2)の調製方法を提供することである。また、(R)-(-)-Musconeの合成中間体を安価に製造できる方法を提供することでもある。しかも、従来からの調製法に比べて、(R)-(-)-Musconeを工業的観点からの問題点も少なく、安価で経済的に調製することをよりを可能ならしめるものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記事情にかんがみ本発明者は鋭意検討を加えた結果, 3-ヒドロキシ-3-メチルシクロペンタデカノン(1)をTiCln(OR)4-nで表されるアルコキシチタン化合物(式中、Rは炭素数が1ないし4のアルキル基、nは0,1,2,3の何れかを示す)の存在下脱水することにより、反応式−2に記載されている二重結合位置異性体{(4)および(5)}の副生もなく、かつ3-メチル-2-シクロペンタデセノン{(E)-(2)}体が約80%以上という選択合成に成功し本発明を完成した。
【0011】
さらに、2,15-ヘキサデカジオン(3)を分子内アルドール付加反応させることにより3-ヒドロキシ-3-メチルシクロペンタデカノン(1)を調製することができ、この工程を採用することによりとくに価格が安く、経済的に3-ヒドロキシ-3-メチルシクロペンタデカノン(1)を製造することに成功し本発明を完成した。
【0012】
即ち本発明は、
(1)3-ヒドロキシ-3-メチルシクロペンタデカノンをTiCln(OR)4-nで表されるアルコキシチタン化合物(式中、Rは炭素数が1ないし4のアルキル基、nは0,1,2,3の何れかを示す)の存在下、脱水反応させることを特徴とする式-1で表される(E)-3-メチル-2-シクロペンタデセノンの製造法、
【化5】
式-1
Figure 0004540197
(2)2,15-ヘキサデカジオンを四塩化チタンおよびトリアルキルアミンの存在下、分子内アルドール付加反応を行い3-ヒドロキシ-3-メチルシクロペンタデカノンを調製し、ついで該化合物をTiCln(OR)4-nで表されるアルコキシチタン化合物(式中、Rは炭素数が1ないし4のアルキル基、nは0,1,2,3の何れかを示す)の存在Ti(OR)4またはTiCl2(OR)2で表されるアルコキシチタン化合物の何れか一方あるいは両方の存在下脱水反応させることを特徴とする上記式-1で表される(E)-3-メチル-2-シクロペンタデセノンの製造法、
(3)アルコキシチタン化合物がTi(OR)4で表されるテトラアルコキシチタン化合物である(E)-3-メチル-2-シクロペンタデセノンの製造法、
(4)(E)-体が80%以上である(E)-3-メチル-2-シクロペンタデセノンの製造法、
を提供するものである。
【0013】
以下本発明の詳細を説明する。
本発明で用いる3-ヒドロキシ-3-メチル-シクロペンタデカノン(1)自体は既に公知のものである。この化合物は公知の方法により調製可能であるが、とくに下記の方法を採用すると、目的化合物を安価で経済的に調製でき有利である。
即ち、反応式-3に示すように2,15-ヘキサデカジオン(3)を四塩化チタンと3級アミンとを用いて分子内アルドール付加反応を行うことにより、選択的に3-ヒドロキシ-3-メチルシクロペンタデカノン(1)を調製することができる。
【0014】
【化6】
Figure 0004540197
【0015】
原料2,15-ヘキサデカジオン(3)の調製は特開平6-192161号公報に記載されている方法によることができる。即ち反応式-4に記載されているように、1,10-ジブロモデカンを原料として2分子のアセト酢酸エステルを反応させ、ついで該生成物を加水分解、脱炭酸する方法により調製した。
【0016】
【化7】
Figure 0004540197
【0017】
反応式-5に表される2,15-ヘキサデカジオンの分子内アルドール付加反応における反応条件は以下の通りである。
【0018】
【化8】
Figure 0004540197
【0019】
四塩化チタンの使用量に関しては基質(3)に対してモル%で100%ないし400%となるよう使用され、望ましくは200%ないし280%の範囲である。三級アミンとしては経済的理由からトリエチルアミンやトリ-n-ブチルアミンを初めとする一般式R3Nで表されるものが有利に使用されるが、勿論一般式:R1R2R3N, やR1(R2)2Nで表されるものも使用可能である。ここで、R1、R2、R3はメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基などの炭素数が1ないし4の低級アルキル基を示す。
これら3級アミン類の使用量としては 四塩化チタンに対してモル%で50%ないし200%が好ましく、望ましくは80%ないし150%である。
【0020】
使用溶剤としては、ヘプタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素溶剤、 シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素溶剤、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素溶剤、塩化メチレンを初めとするハロゲン化炭化水素溶剤が好ましく使用される。
溶剤の使用量としては、反応効率を考慮して、通常、基質(3)/溶剤を重量量/重量比で1/100ないし1/1000とすることが好ましく、さらには1/300ないし1/600とすることがより好ましい。
【0021】
なお反応温度に関して、通常−30℃ないし80℃で行うことが可能であるが、望ましくは室温付近(15ないし30℃)の温和な条件を用いることが好ましく、その結果高い収率を達成できる。
【0022】
本発明の特徴の一つが3-ヒドロキシ-3-メチル-シクロペンタデカノン(1)の脱水反応時に共存させる化合物である。即ち、TiCln(OR)4-nで表されるアルコキシチタン化合物(式中、Rは炭素数が1ないし4のアルキル基、nは0,1,2,3の何れかを示す)を採用する。ここで、Rはメチル基、エチル基、イソプロピル基、プロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基などが好ましい。アルコキシチタン化合物の具体例としては、Ti(OR)4、TiCl(OR)3、TiCl2(OR)2などが挙げられる。より好ましい化合物は、Ti(OR)4、TiCl2(OR)2であり、さらに好ましい化合物はTi(OR)4である。これらアルコキシチタン化合物は1種でもよいが2種以上の化合物を併用してもよい。
これら 化合物は公知のものである。これら 化合物の使用量として、基質(1)に対してモル%で50%ないし1000%が使用され、望ましくは100%ないし300%である。
【0023】
使用溶剤としてはトルエンなどの芳香族炭化水素が好ましく使用されるが、その他ヘキサンなどの脂環式炭化水素溶剤、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキシメタンなどの含酸素炭化水素溶剤が好ましく使用される。
溶剤の使用量としては任意に使用可能であるが、通常、基質(3)に対して重量/重量比で5ないし100倍が使用され、望ましくは10ないし100倍である。
【0024】
なお反応温度に関して、通常−30℃ないし80℃で行うことが可能であるが、望ましくは室温付近(15ないし30℃)の温和な条件である。
【0025】
この脱水反応により得られた3-メチル-2-シクロペンタデセノン(2)は表-1に示されるように、驚くべきことに二重結合位置異性体(4)は全く生成せず、かつ目的化合物である(2)の立体構造に関しては、(E)-体が約90%という高い選択性で得られることが判明した。(実施例を参照)
【0026】
【表1】
Figure 0004540197
【0027】
【発明の効果】
本発明により目的生成物の幾何異性体のうちで((E)-体)の量割合が多く、しかも二重結合の位置選択性も大きい3-メチル-2-シクロペンタデセノンを得ることを可能とした。つまり、本発明により2重結合位置異性体{(4)および(5)}の副生もなく、かつ(E)-体が約80%以上という高純度の(E)-3-メチル-2-シクロペンタデセノンを調製することができた。しかも、とくに高価な化学物質を使用することもなく、さらに温和な反応条件を採用してでのことである。
この発明により得られた(E)-3-メチル-2-シクロペンタデセノンを原料として、香料として非常に重要な光学活性な(R)-(-)-ムスコンの製造が経済的に可能となった。
【0028】
【実施例】
以下、実施例および参考例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものでない。
なお、使用した分析機器は次ぎの通りである。
NMR : Varian Unity-plus 300
IR : JASCO FT/IR-8000
【0029】
【参考例1】
3-ヒドロキシ-3-メチルシクロペンタデカノン(1)の調製
アルゴン気流下、2リットル二口フラスコにあらかじめ塩化メチレン溶媒(1200ml)を入れ、これに23ないし27℃で2,15ヘキサデカジオン(3)(3.8g, 15mmol)とトリn-ブチルアミン(10.83g, 58.5mmol)の塩化メチレン(132ml)混合溶液および四塩化チタン(5.43ml, 49.5mmol)の塩化メチレン(144ml)溶液を、マイクロフィーダーを用いて約一時間かけて併注滴下(同時滴下)した。さらに同温度で30分間攪拌した。
反応混合液に水を加えて攪拌後、減圧濃縮した。残査をエーテル抽出し、有機層を水洗、飽和食塩水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=8:1)により生成し、無色透明の3-ヒドロキシ-3-メチルシクロペンタデカノン(1)を1.44g (収率:38%wt)を得た。
得られた(1)のスペクトルデータは下記の値を示した。
【0030】
IR ( Neat, NaCl); 3484, 2930, 2855, 1703, 1460, 1408, 1372 cm-1
1H NMR [300 MHz; δ(CDCl3)]; 1.09-1.57(20H,m), 1.17 (3H,s), 1.61-1.72 (1H.m), 1.72-1.84 (1H,m),2.33-2.40 (1H.m) 2.43(1H, d J=16.8Hz), 2.51(0.5H, dd,, J=16.4, 5.6Hz), 2.53 (0.5H,dd, J=16.4,5.4Hz), 2.81 (1H,d, J =17.1Hz), 3.80-4.09 (1H,brs)
13C NMR [75 MHz; δ(CDCl3)]; 22.51, 23.68, 25.65, 26.11, 26.37, 26.50, 26.61, 26.67, 27.52, 27.70, 27.91, 41.17, 43.49, 50.70, 72.29, 213.94,.
【0031】
【実施例1】
(E)-3-メチル-2-シクロペンタデセノン{(E)-(2)}の調製-1
温度計、コンデンサー、攪拌器のついた200mlの4口フラスコにアルゴン気流下、参考例-1で調製した3-ヒドロキシ-3-メチルシクロペンタデカノン(1)(1.28g, 5mmol)のトルエン溶液(50ml)に室温(20ないし25℃)でオルトチタン酸テトライソブチル(13.8ml, 40.0mmol)を滴下し、同温度で14時間攪拌した。反応混合物に冷水を注ぎ冷やした酢酸エチルで抽出した。同じく冷やした飽和食塩水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去した後、生成物{(E)-(2) : Z-(2)} =91:9)を1.2g得た。
この生成物をカラムクロマトグラフィーで精製し、精製された(E)-3-メチル-2-シクロペンタデセノン{(E)-(2)}のスペクトルデータは下記の値を示した。
【0032】
1H NMR [300 MHz; δ(CDCl3)]; 1.16-1.40 (15H,m), 1.44-1.70 (5H,m), 1.87 (3H.d, J=1.5Hz), 2.34-2.43 (2H,m), 2.73-2.76(2H.m), 6.08- 6.12 (1H, m)
13C NMR [75 MHz; δ(CDCl3)]; 23.85 23.94 25.16 25.48 26.19 26.38 26.63 26.80 26.95 26.99 27.05 31.76 43.60 125.02 158.63 202.06.
【0033】
【実施例2】
(E)-3-メチル-2シクロペンタデセノン{(E)-(2)}の調製-2
実施例-1におけるオルトチタン酸テトライソブチルをオルトチタン酸テトライソプロピルに置き換えた以外は全く実施例-1と同じに反応を行い、生成物{(E)-(2) : Z-(2)} =88:12)を1.15gを得た。
【0034】
【試験例1】
3-メチル-2-シクロペンタデセノン{(E)-体と(Z)-体との混合物}の調製
Monatshefte fur Chemie 110, 245-247(1979)記載の方法により標記化合物を調製した。
3-ヒドロキシ3-メチルシクロペンタデカノン(42mg, 0.17mmol)のジクロロメタン(0.5ml)溶液に室温でp-トルエンスルホン酸-1水和物(13mg, 0.07mmol)を加え、同温度で3時間攪拌した。反応混合物を冷水に滴下し、冷やした酢酸エチルで抽出した。冷やした飽和食塩水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去した後、生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/エチルエーテル=20:1)により精製し、目的化合物(13mg, 85%)を得た。目的化合物は(E)-体:
Z-体 =28:72であった。
目的化合物のZ-体のスペクトルデータは下記の値を示した。
【0035】
1H NMR [300 MHz; δ(CDCl3)]; 1.16-1.40 (15H,m), 1.44-1.70 (5H,m), 2.14(3H,d, J=1.2Hz), 2.16-2.21 (2H,m), 2.34-2.43(2H.m), 6.15 (1H, d, J=1.2Hz)
13C NMR [75 MHz; δ(CDCl3)]; 25.16 25.47 25.64 26.36 26.55 26.67 26.70 26.75 26.86 27.13 40.03 44.46 123.72 158.94 202.38
【0036】
【参考例2】
(R)-(-)-ムスコンの調製
100mlのオートクレーブをアルゴン置換した後、メタノール(10ml)、RuCl4{(S)-Tol-BINAP}2NEt3 (10mg. 0.0056mmol)および実施例-1で調製した(E)-3-メチル-2-シクロペンタデセノン{(E)-(2)}(0.6g, 2.53mmol)を入れ、水素圧3,000Kpaで30℃7時間反応させた。反応終了後、メタノールを留去し、目的化合物を得た。必要に応じ得られた目的化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー{ヘキサン:酢酸エチル=10:1(V/V)}にて精製を行い、(R)-(-)-ムスコン(0.57g:99%e.e.)を得た。

Claims (4)

  1. 3-ヒドロキシ-3-メチルシクロペンタデカノンをTiCln(OR)4-nで表されるアルコキシチタン化合物(式中、Rは炭素数が1ないし4のアルキル基、nは0,1,2,3の何れかを示す)の存在下、脱水反応させることを特徴とする式-1で表される(E)-3-メチル-2-シクロペンタデセノンの製造法。
    【化1】
    式-1
    Figure 0004540197
  2. 2,15-ヘキサデカジオンを四塩化チタンおよびトリアルキルアミンの存在下、分子内アルドール付加反応を行い3-ヒドロキシ-3-メチルシクロペンタデカノンを調製し、ついで該化合物をTiCln(OR)4-nで表されるアルコキシチタン化合物(式中、Rは炭素数が1ないし4のアルキル基、nは0,1,2,3の何れかを示す)の存在下脱水反応させることを特徴とする式-1で表される(E)-3-メチル-2-シクロペンタデセノンの製造法。
    【化2】
    式-1
    Figure 0004540197
  3. アルコキシチタン化合物がTi(OR)4で表される化合物である請求項1または2記載の(E)-3-メチル-2-シクロペンタデセノンの製造法。
  4. (E)-体が80%以上である請求項1ないし3から選ばれた一つの請求項記載の(E)-3-メチル-2-シクロペンタデセノンの製造法。
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