JP4527850B2 - 駐車・方向転換の支援装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車庫入れ(駐車など)を容易にする駐車・方向転換の支援装に関し、殊に簡単な構成で確実に車庫入れ(駐車など)の支援を行うことのできる駐車・方向転換の支援装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の車庫入れは、経験の浅いドライバにとっては困難なことであり、よく車両を壁にぶつけたりあるいは擦ったり、また車庫入れに長時間を要したりすることがある。このため、従来より車庫入れを容易にする車庫入れ支援装置などが種々提案されている。
例えば、特開昭63−191987号公報には、目的の駐車空間に自動車が車庫入れ又は縦列駐車することができるか否かを判定し報知する車庫入れ又は縦列駐車ガイド装置が開示されている。この車庫入れ又は縦列駐車ガイド装置は、(1) 超音波などにより自動車の側方の物体までの距離を検出する側方距離センサ手段と、(2) 自動車の移動距離を検出する移動距離センサ手段と、(3) 目的の駐車空間の間口に平行に自動車を移動させた状態下で側方距離センサ手段と移動距離センサ手段によって駐車空間の間口L及び奥行きDを計測する計測手段と、(4) 間口L、奥行きD、自動車長v及び自動車幅wに基づいて目的の駐車空間に車庫入れ又は縦列駐車可能か否かを判定する判定手段と、(5) 判定結果を報知する報知手段とを具備する。
【0003】
また、特開平5−322592号公報には、ステアリングセンサを用いることなく、所定の誘導路線に沿って車両を車庫に導く車両の車庫誘導装置が開示されている。この車両の車庫誘導装置は、(1) 車庫に対する誘導すべき車両の座標位置を測定する座標計測手段と、(2) 車両の移動距離を測定する移動距離測定手段と、(3) ドライバに対して運転操作の指示を伝達する表示手段と、(4) 車庫への誘導路線を算出する誘導路線算出手段と、(5) ドライバにステアリングを中立位置に設定する指令を表示手段を介して与える第1の誘導制御手段と、(6) ドライバにステアリングを左にいっぱいに切る指令などを表示手段に表示させる第2の誘導制御手段とを具備する。そして、ドライバは、表示手段の指令に基づいてステアリングの中立位置の設定もしくは右あるいは左いっぱいにステアリングを切る運転操作などを行う。
【0004】
また、特開平10−264840号公報には、運転者の運転操作特性を考慮しつつ、音声と表示により運手操作を指示して駐車経路に沿って駐車地点まで誘導する駐車補助装置が開示されている。この駐車補助装置は、(1) 車両の周囲環境を検出する環境検出手段と、(2) 車両の周囲環境に基づいて駐車位置とその駐車位置までの経路を演算する位置経路演算手段と、(3) 音声及び表示により運転操作を指示して駐車経路に沿って駐車位置まで車両を誘導する誘導手段とを備えた駐車誘導装置において、(4) 運転者の運転特性を検出する特性検出手段と、(5) 運転者の運転操作特性に応じて誘導手段の操作誘導タイミングを補正するタイミング補正手段とを備える。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開昭63−191987号公報に記載の車庫入れ・縦列駐車ガイド装置は、駐車(車庫入れ)しようとしている場所は、駐車(車庫入れ)するのに必要なスペースがあるか否かを判断するものであり、駐車の際のステアリング操作を支援して駐車を容易にするものではない。また、特開平5−322592号公報に記載の車両の車庫誘導装置は、車庫入口に対する車両の座標並びに姿勢角を計測するために高価なセンサを必要とすると共に、誘導路線を算出するための複雑な処理を必要とする。さらに、特開平10−264840号公報の駐車誘導装置は、環境検出手段としてCCDカメラ及びレーザレーダなどの高価なセンサを多く必要とすると共に、車両周囲の地図を作成するなどの複雑な処理を必要とする。また、走行中に舵角の調整が必要となる。
【0006】
そこで、本発明は、簡単な構成で確実に車庫入れ(駐車など)の支援を行うことのできる駐車・方向転換の支援装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決した本発明は、少なくとも車両の一側面側に位置する障害物までの距離が所定値以内にあるか否かを検出する障害物センサと、車両の移動距離を検出する距離センサと、車両が車庫の前方を横切ったときにハンドルを他側面側に所定量切る位置などを報知する駐車・方向転換の支援装置とした。
【0008】
この構成において、車両の一側面側に車庫入れ(方向転換)しようとする車庫(方向転換スペース)が位置する。なお、一側面側は、車両の右側又は左側のいずれかの側である。また、他側面側は、一側面側とは逆側である。ハンドル(ステアリングホイール)を切る位置は、障害物センサ及び距離センサの検出値に基づいて報知手段が報知する。発明の実施の形態では、「車両が車庫の前方を横切ったときにハンドルを他側面側に所定量切る位置」は位置P1であり、「その状態で所定距離進んだときにハンドルを前記一側面側に所定量切る位置」は位置P2である。ドライバは、報知された位置でハンドルを他側面側及び一側面側に切り車庫入れ(方向転換)を行う。なお、一側面側にハンドルを切る操作は、他側面側に切ってあるハンドルを一側面側に切る操作であるので、ハンドルの切り返しに該当する。ハンドルを切る所定量は適宜定めることができるが、例えば、ドライバに覚えやすく再現性がよいという観点から、中立状態を基準に1回転、1回転半などとしたり、その車両における最大量とすることができる。その車両における最大量とした場合は、小回りの点からも好ましい。
ちなみに、ハンドルを切る位置は、車両の大きさや種類、障害物センサの取り付け位置などにより異なってくる。したがって、ハンドルを切る位置は、実験やシミュレーションなどで定める。ハンドルを切る量についても同様である。
【0009】
なお、前記構成において、報知手段がビープ音により前記ハンドルを切る位置を知らせるのが好ましい。更には、前記ハンドルを切る位置が近づくとビープ音の休止間隔を変化させることにより当該位置が近づいたことを知らせるのが好ましい。
休止間隔の変化は、後述する発明の実施の形態のように、ビープ音が断続音から徐々に連続音になるような変化でもよいし(断続→連続)、あるいは、ビープ音が断続音から徐々に鳴り止むようになる変化でもよい(断続→停止)。いずれにしても、ビープ音の変化によりハンドルを切る位置が近づいたことを知らせることができる。
【0010】
また、前記構成において、報知手段がビープ音により前記ハンドルを切る量を知らせるのが好ましい。更には、前記ハンドルを切る量が所定量に近づくとビープ音の休止間隔を変化させることにより当該所定量が近づいたことを知らせるのが好ましい。
休止間隔の変化は、後述する発明の実施の形態のように、ビープ音が断続音から徐々に鳴り止むようになる変化でもよいし(断続→停止)、ビープ音が断続音から徐々に連続音になるような変化でもよい(断続→連続)。いずれにしても、ビープ音の変化によりハンドルを切る量が所定量に近づいたことを知らせることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の駐車・方向転換の支援装置(車庫入れ支援装置の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
≪第1実施形態≫
先ず、第1実施形態の車庫入れ支援装置を説明する。
図1は、車庫入れ支援装置のブロック構成図を車庫入れ支援装置が搭載される車両と共に示した図である。なお、図1に破線で示す軌跡は、車庫入れを行う際の車両(左前輪)の動きを概略的に示したものである。
【0013】
図1に示すように、第1実施形態の車庫入れ支援装置1は、障害物センサ10、距離センサ20、ハンドルリミットスイッチ30、報知手段40及び作動スイッチ50などから構成され、車両Cに搭載される。なお、第1実施形態では、車両Cを車庫入れするための車庫スペース(駐車するための駐車スペース)が実際にあるか否かは、ドライバが判断する。また、車両Cは4輪操舵システムを搭載し、車庫入れなどの低車速時には、自動的に小回り性能のよい逆位相操舵(後輪を前輪とは逆の方向に操舵する)が行なわれる。
【0014】
障害物センサ10は、超音波を発振し反射波を受信するセンシング部及びデータ処理部から構成され、車両Cの左側(一側面側)に位置する障害物(壁w)と車両C(左側)までの距離が所定値以内にあるか否かを検出する。障害物センサ10は、車両Cの前部フェンダの左側に取り付けられ、車両Cの中心線cに直交する方向に超音波を発振する。なお、車両Cの左側の障害物を検出するのは、我が国では車両Cは左側通行であり、車庫Gを左に見て車庫入れを行う場合が多いからという理由による。ちなみに、この障害物センサ10は、センシング部と障害物までの距離を測定して測定距離に対応した信号を出力するものでもよいが、本実施形態では、車両Cの左側(センシング部取り付け位置)と障害物までの距離が近い場合(所定値以内にある場合)にHレベル信号を出力し、距離が遠い場合(所定値以内でない場合)にLレベル信号を出力するものである。所定値は、例えば2m程度の値が設定される。障害物センサ10の出力信号は、報知手段40に送信される。なお、障害物は、超音波を反射することができ、後述する移動距離測定の基準になるものであれば、壁wでなくとも、塀や垣根やガードレール、1本の柱(車庫の門柱)や樹木などでもよい。
【0015】
距離センサ20は、車輪の動きをパルスにより検知するセンシング部及びデータ処理部から構成され、車両Cの移動距離を測定するものである。センシング部は車両Cの左前輪WFLに取り付けられ、ホール素子による電磁気的性質を利用して左前輪WFLの動きを計測する。なお、左前輪WFLが1回転するとセンシング部は50パルスをカウントするようになっている。ちなみに、この車両Cの左前輪WFLの外周は203cmであり、データ処理部は、センシング部が1パルスをカウントすると左前輪WFLは4.06cm回転した、つまり車両Cが4.06cm移動したと認識する。距離センサ20の出力信号(移動距離)は、報知手段40に送信される。但し、この距離センサ20が移動距離の測定を開始するのは、報知手段40からの移動距離測定要求があった場合である(距離センサ20からはパルス信号だけが送信され報知手段40で移動距離を測定する構成としてもよい)。
この距離センサ20は、車両CがABS(アンチロックブレーキシステム)を搭載していれば、ABSの構成要素である車輪速センサをセンシング部として使用することができる。また、トランスミッションの出力軸の回転をパルスセンサで計測する通常の車速センサをセンシング部として使用することもできる。
【0016】
ハンドルリミットスイッチ30は、マイクロスイッチなどから構成され、ハンドルHを左方向に最大量(所定量)切った際、及びハンドルHを右方向に最大量(所定量)切った際に、ON信号を出力するものである。ハンドルリミットスイッチ30のON信号(出力信号)は、報知手段40に送信される。
【0017】
次に、報知手段40は、ビープ音源41、データ処理部42及び入出力インタフェイスなどから構成され、ドライバに車両CのハンドルHを切るタイミング及びハンドルHが最大量(所定量)切られたことをビープ音で通知する。ビープ音源41は、データ処理部からのビープ信号(パルス信号)に基づいて、ドライバに聞こえるようにビープ音を発生する。この際、データ処理部42は、障害物センサ10、距離センサ20及びハンドルリミットスイッチ30の出力信号を入力して、どのようなビープ音をいつ発生するかを決定する(データ処理部42は、車庫入れ支援装置1の主制御手段としての役割を果たす)。
【0018】
第1実施形態では、ビープ音は、「ビ、ビ」と2回鳴る場合〔ビープ2回〕と、「ビ、ビ、ビ」と3回鳴る場合〔ビープ3回〕の2種類がある。
【0019】
〔ビープ2回〕は、車両Cの移動距離が目標移動距離に達したことを知らせるビープ音である。報知手段40は、距離センサ20からの出力信号(移動距離)を入力し、該移動距離が、記憶している目標移動距離に達したときにビープ音〔ビープ2回〕を出力する。
【0020】
一方、〔ビープ3回〕は、ハンドルHが最大量(所定量)切られたことを知らせるビープ音である。報知手段40は、ハンドルリミットスイッチ30からのON信号を入力したときにビープ音〔ビープ3回〕を出力する。
【0021】
なお、第1実施形態では、目標移動距離は第1〜第3目標移動距離の3種類がある。報知手段40のデータ処理部42は、次の基準により記憶している各目標移動距離を選択する。
【0022】
第1目標移動距離; 最初の移動距離の測定の際に、データ処理部42が選択する目標移動距離である。最初の移動距離の測定は、障害物センサ10の出力信号がLレベルからHレベルに切り替わった時点から開始される(報知手段40は、距離センサ20に対して移動距離測定要求を出力する)。最初の移動距離の測定は、直進時のものである。
第2目標移動距離; 2度目の移動距離の測定の際に、データ処理部42が選択する目標移動距離である。2度目の移動距離の測定は、車両Cの移動距離が第1目標移動距離に達し、かつハンドルHが最大量(所定量)切られた時点から開始される(報知手段40は、距離センサ20に対して移動距離測定要求を出力する)。2度目の移動距離の測定は、前進右旋回時のものである(位置P1〜位置P2)。
第3目標移動距離; 3度目の移動距離の測定の際に、データ処理部42が選択する目標移動距離である。3度目の移動距離の測定は、車両Cの移動距離が第2目標移動距離に達し、かつハンドルHが最大量(所定量)切られた時点から開始される(報知手段40は、距離センサ20に対して移動距離測定要求を出力する)。3度目の移動距離の測定は、後進左旋回時のものである(位置P2〜位置P3)。
【0023】
作動スイッチ50は、ドライバの操作によりON状態とOFF状態が交互に切り替わるトグルスイッチなどから構成され、車両Cの図示しないセンターコンソールなどに設けられる。作動スイッチ50は、ON状態で車庫入れ支援装置1が起動し、ドライバに対する支援を開始する。一方、OFF状態では、車庫入れ支援装置1は停止する。作動スイッチ50は、例えば車速が5km/h以上のときはON状態にならないようにするのが好ましい。
【0024】
次に、前記説明した本実施形態の車庫入れ支援装置1の動作を、図面を参照して詳細に説明する(図1及び図2参照)。
ここで、図2は車庫入れ支援装置の動作を説明する図であり、(a)は車庫の前方を横切る車両の動きを示し、(b)はハンドルを右側に最大量(所定量)切る位置を示し、(c)はハンドルを左側に最大量(所定量)切る位置などを示し、(d)はハンドルを中立状態に戻す位置を示す。
【0025】
なお、ドライバは、車庫入れ支援装置1の動作を、操作マニュアルを読み、あるいは車両Cの販売店の店員などから教習を受け、理解しているものとする。また、車庫Gは、壁wと壁wの間に位置する。また、車両Cは、車庫Gにバック方向から入って行く。また、車両Cは4輪操舵システムを搭載しているので、後輪も逆位相に操舵される。ハンドルHを切る所定量は、最大量である。
【0026】
先ず、ドライバは、車両Cを車庫Gに入れるべく、車庫Gの手前に車両Cを停止し、車庫入れ支援装置1の作動スイッチ50をON状態にする(S1、図2(a)参照)。これにより、障害物センサ10からは、車両Cの左側方に超音波が発振・照射される。ステップS1の位置では、車両C(障害物センサ10のセンシング部)の左側には障害物たる壁wが位置するので、障害物センサ10の出力信号はHレベルである。なお、このように車庫Gを左側に見て車両Cを車庫入れするのは、我が国で通常見られる行為である。
【0027】
次に、ドライバは、車両Cを発進させ真っ直ぐに車庫Gの前方を横切って行く(S2)。車庫Gを横切る際には、車庫Gには奥行きがあるので障害物センサ10の出力信号はLレベルになる。この際に、ドライバは車庫Gの様子(幅・奥行き)を目視で確認し、車庫入れが可能かどうかの判断を行うことができる。なお、ドライバは、車両Cを微速前進させるのが好ましい。
【0028】
更に車庫Gの前方を横切って行くと、車両C(障害物センサ10のセンシング部)の左側に壁wが再び位置するので、障害物センサ10の出力信号は再びHレベルになる(S3)。障害物センサ10の出力信号がLレベルからHレベルになると、報知手段40は、距離センサ20に対して移動距離測定要求を出力する。これにより距離センサ20は、車両Cの移動距離の測定を開始する。この際、ドライバにビープ音などで、移動距離を測定している旨を知らせるのが好ましい。また、報知手段40は、以後の障害物センサ10からの出力信号を無視するようにするのが好ましい。
【0029】
車両Cの前進により、移動距離が第1目標移動距離(目標移動距離)に達すると(位置P1)、ビープ音が2回鳴る〔ビープ2回〕。これは、車両Cを停止してハンドルHを右側に最大量(所定量)切ることを促す合図である。したがって、ドライバは、ビープ音が2回鳴った時点で車両Cを即座に停止する(S4、図2(b)参照)。ちなみに、ビープ音が2回鳴った時点が、特許請求の範囲における「車両が車庫の前方を横切ったときにハンドルを他側面側に所定量切る位置」に相当する。
【0030】
なお、第1目標移動距離は、ここでは約2.84m(70パルス分)である。第1目標移動距離は、車両Cの種類や大きさ、障害物センサ10のセンシング部の取り付け位置によって異なり、例えばセンシング部がドアミラーの近くにある場合は、第1目標移動距離は2.03m(50パルス分)でもよい。ちなみに、移動距離が第1目標移動距離を上回ると、車庫入れした際に、車両Cの左側と車庫Gの隙間が狭くなるか、車両Cの後部左側が車庫Gの縁にぶつかる。一方、移動距離が第1目標移動距離を下回ると、第1目標移動距離を上回った場合と逆の事象が生じる。
【0031】
説明を元に戻す。位置P1で移動距離が第1目標距離に達して車両Cを停止した後、ドライバはハンドルHを右側に最大量切る(S5、図2(c)参照)。ハンドルHを最大量切ると、ビープ音が3回鳴る〔ビープ3回〕。このビープ音が3回鳴った時点が、ハンドルHが最大量切られたときである。この際のビープ音は、車庫入れ支援装置1が、ドライバに対してハンドルHが最大量切られたことを知らせる合図であると共に、ハンドルHを保持したままで車両Cを前進させることを促す合図である。なお、距離センサ20に対しては、報知手段40から移動距離測定要求が出力される(2度目の移動距離の測定開始)。
【0032】
ドライバは、ビープ音が3回鳴ると、ハンドルHを保持したまま車両Cを前進(微速前進)させる。車両Cを前進させると、ハンドルHが右側に最大量切ってあるので、車両Cは右方向に旋回し始める。しばらく旋回すると位置P2でビープ音が2回鳴る〔ビープ2回〕。このビープ音は、移動距離が第2目標移動距離に達したので、車両Cを停止してハンドルHを左側に最大量切ることを促す合図である。したがって、ドライバは、ビープ音が2回鳴った時点で車両Cを即座に停止する(S6)。
【0033】
なお、〔ビープ3回〕から〔ビープ2回〕までの車両Cの移動距離(位置P1〜位置P2までの距離)は、約1.14m(28パルス分)である。この移動距離、つまり第2目標移動距離は、車両Cの種類や大きさ、ハンドルHを切る量(移動角)によって異なるものとすることができる。ちなみに、移動距離が第2目標移動距離を上回ると、車庫入れした際に、車両Cの左側と車庫Gの隙間が狭くなるか、車両Cの後部左側が車庫Gの縁にぶつかる。一方、移動距離が第2目標移動距離を下回ると、第2目標移動距離を上回った場合と逆の事象が生じる。
【0034】
説明を元に戻す。ドライバは、位置P2で車両Cを停止した後ハンドルHの切り返しを行い、ハンドルHを左側に最大量切る(S7、図2(d)参照)。ハンドルHを左側に最大量切ると、ビープ音が3回鳴る〔ビープ3回〕。このビープ音が3回鳴った時点が、ハンドルHが最大量(所定量)切られたときである。この際のビープ音は、車庫入れ支援装置1が、ドライバに対してハンドルHが最大量切られたことを知らせる合図であると共に、ハンドルHを保持したままで車両Cを後進させることを促す合図である。なお、距離センサ20に対しては、報知手段40から移動距離測定要求が出力される(3度目の移動距離測定開始)。
【0035】
ドライバは、ビープ音が3回鳴ると、ハンドルHを保持したまま車両Cを後進(微速後進)させる。車両Cを後進させると、ハンドルHが左側に最大量切ってあるので、車両Cは左方向に旋回し始める。しばらく旋回すると位置P3でビープ音が2回鳴る〔ビープ2回〕。このビープ音は、移動距離が第3目標移動距離に達したので、車両Cを停止してハンドルHを中立状態に戻すことを促す合図である。したがって、ドライバは、ビープ音が2回鳴った時点で車両を即座に停止する(S8)。
【0036】
なお、〔ビープ2回〕から〔ビープ3回〕までの車両Cの移動距離(位置P2〜位置P3までの距離)は、約4.06m(100パルス分)である。この移動距離、つまり第3目標移動距離は、車両Cの種類や大きさ、ハンドルHを切る量(移動角)によって異なるものとすることができる。ちなみに、移動距離が第3目標移動距離を上回ると、車庫入れした際に、車両Cが斜めになってしまう(車両Cの前部が車庫Gの右側に寄ってしまう)。一方、移動距離が第3目標移動距離を下回ると、第3目標移動距離を上回った場合と逆の事象が生じる(車両Cの前部が車庫Gの左側に寄ってしまう)。
【0037】
ステップS8で車両を停止したら、今度は、ハンドルHを中立状態に戻す。そして、そのまま所定の位置まで車両Cを後退する。これにより、車庫入れが終了する。
【0038】
つまり、ドライバは、次のことを記憶しておくだけで、容易に車庫入れを行うことができる。
(1)車庫Gを左に見て車庫Gの手前に車両Cを停止する。
(2)車庫入れ時、車両Cを前進あるいは後進させている際に、ビープ音が2回鳴ると〔ビープ2回〕、車両Cを停止してハンドルHを右側又は左側に切る。ハンドルHを切る方向は、車両Cの停止位置から直感的に認識することができる。(3)ハンドルHを右側又は左側に最大量(所定量)切っている際に、ビープ音が3回鳴ると〔ビープ3回〕、ハンドルHをその状態で固定したまま前進又は後進する。車両Cを前進させるか後進させるかも、車両Cの停止位置から直感的に認識することができる。
【0039】
なお、車庫Gの壁wと車両Cの左側との隙間d1(図2(b)参照)は、図2(d)における隙間d2に影響する。つまり、隙間d1が所定量(例えば50cm)増えると、隙間d2も所定量(同じく50cm)増える。このため、ドライバはハンドルHを中立状態に戻した後、後進する距離が所定量(50cm)増えることになる(狭い場所での車庫入れが困難になることにもなる)。ちなみに、隙間d1を極端に大きくとると、障害物センサ10の種類によっては、常にLレベルの信号を出力することがある。したがって、隙間d1は、極端に大きくとらない方がよい(隙間d1は、1m程度がよい)。
【0040】
このように、本実施形態の車庫入れ支援装置1によれば、車庫入れを簡単に行うことができる。しかも、車両Cの移動距離及びハンドルHを切る量をビープ音により知ることができるので、一層簡単に車庫入れを行うことができる。かつ、ハンドルHの操作も、右側に最大量(所定量)切る操作、左側に最大量(所定量)切り返す操作、中立状態に戻す操作の3つだけである(切り返しは1度だけ)。しかも、走行しながらハンドルHの操作を行う必要がないので、車庫入れに際しての車速の影響を除去して微妙な操舵タイミングのズレを防止することができ、さらに、ドライバは周囲の状況に集中することができ、走行しながら操舵する場合に比べより早く安全に車庫入れすることができる。よって、誰でも簡単に車庫入れすることができる。また、本実施形態での車両Cは、4輪操舵システムを搭載して後輪も操舵(逆位相操舵)されるので、前輪(2輪)だけで操舵を行う車両に比べてはるかに小回りを行うことができ、狭い場所(殊に車庫前の道幅が狭い場所)でも楽に車庫入れすることができる。
【0041】
≪第2実施形態≫
次に、第2実施形態の車庫入れ支援装置を説明する。第2実施形態の車庫入れ支援装置は、ビープ音を断続的に鳴らすと共に、断続的なビープ音を連続音などに変化させることにより、車庫入れ支援を行うものである。
なお、第2実施形態の車庫入れ支援装置は、第1実施形態の車庫入れ支援装置と、センサの一部及び報知手段の一部が異なるのみであるので、第1実施形態と同一性のある要素・部材については、同一の番号を付して第1実施形態での図面を参照し、その説明を省略する。以下、図1から図3を参照して第2実施形態の車庫入れ支援装置1を説明する。ここで、図3はビープ音が鳴るバターンを示した図である。
【0042】
図1に示すように、第2実施形態では、ハンドルリミットスイッチ30に代えて、舵角センサ30’を使用する。舵角センサ30’は、ハンドルHの移動角(回転角)を検出するセンシング部及びデータ処理部から構成され、ハンドルHの移動角に応じた検出信号を出力する。舵角センサ30’の検出信号は、報知手段40に送信される。但し、この舵角センサ30’が移動角の測定を開始するのは、報知手段40からの移動角測定要求(後述)があった場合である。ちなみに、移動角は、例えば中立状態から左側(右側)に270度ハンドルHを切ると、ハンドルHの移動角は270度になる(左右の区別なし)。また、右側(左側)に270度切られている状態から中立状態を経て左側(右側)に270度ハンドルHを切る場合は、ハンドルHの移動角は540度である。
なお、舵角センサ30’は、ハンドルHの移動角を測定することができるものであれば、特定のものに限定されることはない。例えば、車両CがEPS(電動パワーステアリング装置)を搭載して舵角センサを備える場合は、EPSの舵角センサをセンシング部として使用することができる。
【0043】
また、第2実施形態の報知手段40は、パルス信号により断続的なビープ音を鳴らすことができると共に、パルス幅を車両Cの移動距離及びハンドルHの移動角度に応じて連続的に変更することができる。
【0044】
図3に示すように、第2実施形態では、ビープ音は、(a)「ビ、ビ」と2回鳴る場合〔ビープ2回〕、(b)「ビ、ビ、ビ」と3回鳴る場合、(c)鳴っていない状態から断続的に鳴り始めてやがて連続音として鳴り続ける場合〔ビープ断続→連続〕、(d) 連続音として鳴りつづけている状態から断続的に鳴り始めてやがて鳴り止む場合〔ビープ断続→停止〕の4種類がある。
【0045】
なお、〔ビープ断続→連続〕は、距離センサ20の検出信号(移動距離)と目標移動距離とから、次式により求められるデューティ比(パルス幅)に基づいてビープ音が鳴るようになっている。
デューティ比=移動距離/目標移動距離 … (1)
これによれば、移動距離が目標移動距離に近づくに連れてビープ音を鳴らすパルス信号のデューティ比が大きくなる。したがって、移動距離が目標移動距離に近づくに連れて、断続的なビープ音は徐々に連続的なビープ音になってゆく。
目標移動距離は、第1実施形態と同様に第1〜第3目標移動距離の3種類があるが、その内容については、第1実施形態と同じであるので説明を省略する。
【0046】
一方、〔ビープ断続→停止〕は、舵角センサ30’の検出信号(ハンドルHの移動角)と目標移動角とから、次式により求められるデューティ比に基づいてビープ音が鳴るようになっている。
デューティ比=1−移動角/目標移動角 … (2)
これによれば、移動角が目標移動角に近づくに連れてビープ音を鳴らすパルス信号のデューティ比が小さくなる。したがって、移動角が目標移動角に近づくに連れて、連続的なビープ音は徐々に断続的なビープ音へと変化し、やがてビープ音が鳴り止み停止する。
【0047】
第2実施形態では、目標移動角も第1〜第3目標移動角の3種類がある。
報知手段40は、次の基準により記憶している各目標移動角を選択し、前記した(2)式によりデューティ比を演算して求める。
【0048】
第1目標移動角; 最初の移動角の測定の際に(位置P1)、データ処理部42が選択する目標移動角である。最初の移動角の測定は、最初の移動距離の測定が終わった時点から開始される(報知手段40は、舵角センサ30’に対して移動角測定要求を出力する)。最初の移動角の測定は、中立状態にあるハンドルHを右側に最大量(所定量)切る際のハンドルHの移動角が対象になる。
第2目標移動角; 2度目の移動角の測定の際に(位置P2)、データ処理部42が選択する目標移動角である。2度目の移動角の測定は、2度目の移動距離の測定が終わった時点から開始される(報知手段40は、舵角センサ30’に対して移動角測定要求を出力する)。2度目の移動角の測定は、右側に最大量(所定量)切ってあるハンドルHを切り返して、左側に最大量(所定量)切る際のハンドルHの移動角が対象になる。
第3目標移動角; 3度目の移動角の測定の際に(位置P3)、データ処理部42が選択する目標移動角である。3度目の移動角の測定は、3度目の移動距離の測定が終わった時点から開始される(報知手段40は、舵角センサ30’に対して移動角測定要求を出力する)。3度目の移動角の測定は、左側に最大量(所定量)切ってあるハンドルHを中立状態に戻す際のハンドルHの移動角が対象になる。
【0049】
次に、前記説明した第2実施形態の車庫入れ支援装置1の動作を、図面を参照して詳細に説明する(図1から図3参照)。
【0050】
なお、前提条件などは、第1実施形態と同様であり、ドライバは、車庫入れ支援装置1の動作を、操作マニュアルを読み、あるいは車両Cの販売店の店員などから教習を受け、充分に理解しているものとする。また、車庫Gは、壁wと壁wの間に位置する。また、車両Cは、車庫Gにバック方向から入って行く。また、車両Cは4輪操舵システムを搭載しているので、後輪も逆位相に操舵される。ハンドルHを切る所定量は、最大量である。
【0051】
先ず、ドライバは、車両Cを車庫Gに入れるべく、車庫Gの手前に車両Cを停止し、車庫入れ支援装置1の作動スイッチ50をON状態にする(S1、図2(a)参照)。これにより、障害物センサ10からは、車両Cの左側に超音波が発振・照射される。この位置では、車両C(障害物センサ10のセンシング部)の左側には障害物たる壁wが位置するので、障害物センサ10の出力信号はHレベルである。
【0052】
次に、ドライバは、車両Cを発進させ真っ直ぐに車庫Gの前方を横切って行く(S2)。車庫Gを横切る際には、車庫Gには奥行きがあるので障害物センサ10の出力信号はLレベルになる。この際に、ドライバは車庫Gの様子(幅・奥行き)を目視で確認し、車庫入れが可能かどうかの判断を行うことができる。なお、ドライバは、車両Cを微速前進させるのが好ましい。
【0053】
車庫Gの前方を横切って行くと、車両C(障害物センサ10のセンシング部)の右側方に壁wが再び位置するので、障害物センサ10の出力信号は再びHレベルになる(S3)。このHレベルになった際に、「ビ、ビ」とビープ音が2回鳴る〔ビープ2回〕。ここでのビープ音は、距離センサ20が移動距離を測定し始めたことを知らせる合図である(最初の移動距離の測定)。ビープ音が2回鳴るとドライバは、移動距離を注意しながら引き続き車両Cを前進(微速前進)させる。
【0054】
車両Cを前進させると、ビープ音が断続的に鳴り始め、移動距離が増加するに連れて徐々にビープ音の鳴っていない休止間隔が短くなる。これは、移動距離が第1目標移動距離(目標移動距離)に近づいていることを知らせる合図である。更に車両Cを前進させると、位置P1で断続的なビープ音が連続音に変化して鳴り続ける〔ビープ断続→連続〕。この連続音への変化は、移動距離が第1目標移動距離に達したので、車両Cを停止してハンドルHを右側に最大量(所定量)切ることを促す合図である。したがって、ドライバは、ビープ音が連続音になった時点で車両Cを即座に停止する(S4、図2(b)参照)。この時点が、特許請求の範囲における「車両が車庫の前方を横切ったときにハンドルを他側面側に所定量切る位置」に相当する。
【0055】
位置P1で車両Cを停止した後、ドライバはハンドルHを右側に最大量切る(S5、図2(c)参照)。ハンドルHを右側に切り始めると、連続的に鳴っていたビープ音が断続音に変化する。更にハンドルHを右側に切ると、ビープ音の休止間隔が長くなり、やがてビープ音が鳴り止む〔ビープ断続→停止〕。このビープ音が鳴り止んだ時点が、ハンドルHが最大量切られたときである。なお、ビープ音が鳴り止むのは、車庫入れ支援装置1が、ドライバに対してハンドルHが最大量切られたことを知らせる合図であると共に、ハンドルHを保持したままでの車両Cの前進を促す合図である。ちなみに第2実施形態では、ハンドルHが最大量切られるとビープ音が2回鳴り〔ビープ2回〕、ドライバにハンドルHが最大量切られたことを知らせる。
【0056】
ドライバは、ビープ音が鳴り止むと(ビープ音が鳴り止んだ後に続けてビープ音が2回鳴ると)、ハンドルHを保持したまま車両Cを前進(微速前進)させる。車両Cを前進させると、ハンドルHが右側に最大量切ってあるので、車両Cは右方向に旋回し始める。すると、旋回による移動距離が増加するに連れて鳴り止んでいたビープ音が断続的に鳴り始めると共に、ビープ音の休止間隔が次第に短くなって行く。これは、移動距離が第2目標移動距離(目標移動距離)に近づいていることを知らせる合図である。更に車両Cを前進(旋回)させると、位置P2で断続的なビープ音が連続音に変化して鳴り続ける〔ビープ断続→連続〕。今度の連続音への変化は、移動距離が第2目標移動距離に達したので、車両Cを停止してハンドルHを左側に最大量切ることを促す合図である。したがって、ドライバは、ビープ音が連続音になった時点で車両Cを即座に停止する(S6)。
【0057】
ドライバは、位置P2で車両Cを停止した後ハンドルHの切り返しを行い、ハンドルHを左側に最大量切る(S7、図2(d)参照)。ハンドルHを左側に切り始めると、連続的に鳴っていたビープ音が断続音に変化する。更にハンドルHを左側に切ると、ビープ音の休止間隔が長くなり、やがてビープ音が鳴り止む〔ビープ断続→停止〕。このビープ音が鳴り止んだ時点が、ハンドルHが最大量切られたときである。なお、ビープ音が鳴り止むのは、車庫入れ支援装置1が、ドライバに対してハンドルHが最大量切られたことを知らせる合図であると共に、ハンドルHを保持したままでの車両Cの後進を促す合図である。また、第2実施形態では、ハンドルHが最大量切られるとビープ音が2回鳴り〔ビープ2回〕、ドライバにハンドルHが最大量(所定量)切られたことを知らせる。
【0058】
ドライバは、ビープ音が鳴り止むと(ビープ音が鳴り止んだ後に続けてビープ音が2回鳴ると)、ハンドルHを保持したまま車両Cを後進(微速後進)させる。車両Cを後進させると、ハンドルHが左側に最大量切ってあるので、車両Cは左方向に旋回(後進)し始める。ここで、旋回による移動距離が増加するに連れて鳴り止んでいたビープ音が断続的に鳴り始めると共に、ビープ音の休止間隔が次第に短くなって行く。これは、移動距離が第3目標移動距離(目標移動距離)に近づいていることを知らせる合図である。更に車両Cを後進(旋回)させると、位置P3で断続的なビープ音が連続音に変化して鳴り続ける〔ビープ断続→連続〕。今度の連続音への変化は、移動距離が第3目標移動距離に達したので、車両Cを停止してハンドルHを中立状態に戻すことを促す合図である。したがって、ドライバは、ビープ音が連続音になった時点で車両Cを即座に停止する(S8)。
【0059】
ステップS8で位置P3に車両を停止したら、今度は、ハンドルHを中立状態に戻す。ハンドルHを中立状態に戻し始めると、連続的に鳴っていたビープ音が断続音に変化する。更にハンドルHを切ると、ビープ音の休止間隔が長くなり、やがてビープ音が鳴り止む〔ビープ断続→停止〕。このビープ音が鳴り止んだ時点が、ハンドルHが中立状態になったときである。また、第2実施形態では、ビープ音が2回鳴り〔ビープ2回〕、ドライバにハンドルHが中立状態になったことを知らせる。
【0060】
そして、ドライバは、そのまま所定の位置まで車両Cを後退する。これにより、車庫入れが終了する。
【0061】
つまり、ドライバは、次のことを記憶しておくだけで、容易に車庫入れを行うことができる。
(1)車庫Gを左に見て車庫Gの手前に車両Cを停止する。
(2)車庫入れ時、車両Cを前進あるいは後進させている際に、断続的なビープ音が連続音に変化したら車両Cを停止してハンドルHを右側又は左側に切る。ハンドルHを切る方向は、車両Cの停止位置から直感的に認識することができる。
(3)ハンドルHを右側又は左側に切っている際に、断続的なビープ音が鳴り止んだらハンドルHをその状態で固定したまま前進又は後進する。車両Cを前進させるか後進させるかも、車両Cの停止位置から直感的に認識することができる。
【0062】
このように、第2実施形態の車庫入れ支援装置1によれば、第1実施形態と同様に車庫入れを簡単に行うことができる。また、ハンドルHの操作も、第1実施形態と同様に極めて単純なものであり、走行しながらのハンドルHの操作は不要である。しかも、車両Cの移動距離及びハンドルHの移動角をビープ音の変化により予知(察知)することができるので、第1実施形態よりも一層確実に車庫入れを行うことができる。つまり、ドライバは、ビープ音の変化により移動距離と目標移動距離の関係を知ることができるので、正確に各位置P1,P2,P3に停止することができる。加えて、ドライバは、ビープ音の変化により移動角と目標移動角の関係を知ることができるので、正確にハンドルHの操作を行うことができる。
【0063】
なお、本発明は、前記した実施の形態(第1実施形態及び第2実施形態)に限定されることなく広く変形実施することができる。
例えば、車両Cが車庫Gの前方を横切っていく際に、障害物センサ10の出力がHレベル→Lレベル→Hレベルと順次変化して行くが、Lレベルの出力信号の時に距離センサ20で移動距離を測定するようにすれば、車庫Gの間口寸法(車庫幅)を知ることができる。車庫幅を知ることで、車庫入れが可能かどうかを例えば報知手段40により判断させることもできる。この際、報知手段40には、目標移動距離のごとく車庫入れ可能車庫幅を記憶させておき、車庫入れ可能車庫幅と実際の車庫幅を比較し、車庫幅の方が広ければ、車庫入れが可能と判断させることができる。
また、車庫Gの左側の壁wを基準に第1目標移動距離を定めているが、車庫Gの右側の壁wを基準に第1目標移動距離を定めてもよい。この場合、最初の移動距離の測定は、障害物センサ10の出力信号がHレベルかLレベルに切り替わった際に行う(車両Cは図2(a)におけるステップS1の位置から発進する)。
また、図4(a)に示すように駐車場でも車庫入れ支援装置により駐車を行うことができる。なお、図4(a)において、符号C’は他車両、符号PLは駐車場、符号s1は駐車スペースである。同様に、図4(b)に示すように、車庫入れ支援装置は、T字路や空き地などの方向転換スペースを利用しての方向転換の際に、方向転換支援装置としても使用することができる。このように方向転換支援装置として使用する場合も、当然本発明の技術的範囲に属する。なお、図4(b)において、符号Rは道路、符号s2は方向転換スペースである。
【0064】
また、例えば、前記実施形態では、図2(a)のステップS1の位置、つまり車庫Gの手前で作動スイッチ50をON状態にしたが、図2(a)のステップS2の位置で作動スイッチ50をON状態にしてもよい。また、第1実施形態ではハンドルHを最大量(所定量)切った際にビープ音を3回鳴らす構成としたが、ビープ音は必ずしも必要ではない。したがって、この場合にはハンドルリミットスイッチ30も省略することができる。
【0065】
さらに、障害物センサ10を車両Cの右側(両側)に備える構成としてもよい。この場合、ウィンカーのレバーの信号又は実際のウインカー信号やその他スイッチを設け、ドライバがどちらに車庫入れするかをシステムで認識し、ドライバが反対方向に操舵したときのエラーを告知する構成としてもよい。また、ビープ音に加えてあるいはビープ音に置き換えて、光(光の点滅)を用いた構成としてもよい。また、ビープ音のパルス変化により情報を知らせたが、音量(光量)の変化により知らせてもよい。また、音声や画像で情報を知らせてもよい。また、第1実施形態のハンドルリミットスイッチ30を第2実施形態に適用してもよい。また、本発明の車庫入れ支援装置1は、通常の2輪操舵車にも適用することができる。
【0066】
【発明の効果】
本発明の駐車・方向転換の支援装置(車庫入れ支援装置によれば、高価なセンサを必要とすることなく極めて簡単な構成で車庫入れ支援(方向転換支援)を行うことができる。また、ハンドルを切る位置が報知されるので、確実に車庫入れ(方向転換)を行うことができる。しかも、ハンドルを切る操作は、3回だけですみ(切り返しは1回のみ)、ドライバに与える負担が少ない。さらに、ハンドルを切る量は適宜設定することができるが、その車両における最大量とした場合は、再現性よくかつ小回りできるので、道幅が狭い場所でも車庫入れ(方向転換)を確実に行うことができる。また、走行(移動)中にハンドル操作を行う必要がないので、車速による影響が除かれ再現性良く車庫入れ(方向転換)を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態の車庫入れ支援装置のブロック構成図を車庫入れ支援装置が搭載される車両と共に示した図である
【図2】 図1の車庫入れ支援装置の動作を説明する図であり、(a)は車庫の前方を横切る車両の動きを示し、(b)はハンドルを右側に最大量(所定量)切る位置を示し、(c)はハンドルを左側に最大量(所定量)切る位置などを示し、(d)はハンドルを中立状態に戻す位置を示す。
【図3】 第2実施形態でのビープ音が鳴るバターンを示した図である。
【図4】 変形例を説明する図であり、(a)は駐車場に駐車する場合を想定した図、(b)は方向転換スペースを利用しての方向転換を行う場合を想定した図である。
【符号の説明】
1 … 車庫入れ支援装置
10 … 障害物センサ
20 … 距離センサ
30 … ハンドルリミットスイッチ
30’… 舵角センサ
40 … 報知手段
41 … ビープ音源
42 … データ処理部
50 … 作動スイッチ
C … 車両
H … ハンドル
FL … 左前輪
G … 車庫
w … 壁
P1,P2,P3…位置(車両を停止する位置、左前輪を基準)

Claims (5)

  1. 駐車又は方向転換するスペースの前方を横切って車両を前進させ、前記スペースを車両の一側面側に見る第1の位置で車両を停止させ、当該第1の位置において直進状態の舵角中立点からハンドルを切る量として予め定められた回転量を最初に据え切りし、前記第1の位置から進んだ第2の位置までハンドルを切ったまま車両を前進させて停止させ、当該第2の位置において前記舵角中立点を超えて逆方向にハンドルを切る量として予め定められた回転量を次に据え切りし、前記第2の位置から後進することで、前記スペースを利用して駐車又は方向転換をするドライバの運転を支援する、駐車・方向転換の支援装置であって、
    少なくとも車両の一側面側に位置する障害物までの距離の遠近を前記スペースの前方を車両が横切る際に検出することで前記第1の位置の起点を得るための障害物センサと、
    車両の移動距離を検出する距離センサと、
    前記障害物センサから得られる前記第1の位置の起点の検出結果と前記距離センサから得られる移動距離の検出結果とに基づいて、前記ハンドルを前記一側面側とは反対の他側面側に最初に据え切りする前記第1の位置に車両が到達したことを判定すると共に、前記距離センサの検出結果に基づいて、前記第1の位置から前記最初に据え切りした状態を保持したままで所定距離進んだときにハンドルを前記一側面側に次に据え切りする前記第2の位置に車両が到達したことを判定する判定手段と、
    前記判定結果に基づいて、夫々の前記位置に車両が到達したことを報知する報知手段とを有し、
    前記判定手段は、
    当該車両が、前記スペースの前を横切って直進して通過する際に、前記障害物センサの出力信号が遠から近に急に変化する位置を、前記第1の位置の起点と判定し、
    当該車両が、前記判定された第1の位置の起点から直進して前進する際に、前記距離センサで検出される距離が、前進すべき第1の目標移動距離になったところを、前記第1の位置と判定し、
    当該車両が、前記判定された第1の位置から最初に据え切り後に前記他側面側へと旋回して前進する際に、前記距離センサで検出される距離が、前進すべき第2の目標移動距離になったところを、前記第2の位置と判定する
    ことを特徴とする駐車・方向転換の支援装置。
  2. 前記報知手段は、夫々の前記位置に車両が近づくに従って報知を変更すると共に、前記ハンドルを切っていくに従って報知を変更する
    ことを特徴とする請求項1に記載の駐車・方向転換の支援装置。
  3. 前記報知手段は、夫々の前記位置に近づくに従って、報知音を徐々に連続音に変化させ、前記位置に到達後、前記ハンドルを切っていくに従って報知音を連続音から断続的な報知音に変化させ、前記予め定められた回転量切れたときに報知音を停止するよう構成されている
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の駐車・方向転換の支援装置。
  4. 前記障害物センサは、前記障害物が所定値以内にあるときはHレベルの出力信号を、それ以外のときはLレベルの出力信号を出力するセンサであり、
    前記判定手段は、
    前記出力信号が遠から近に急に変化する位置として、前記車両が前記スペースの前方を横切る際に、前記障害物センサの出力信号がLレベルからHレベルに切り替わった位置を、前記第1の位置の起点とする
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の駐車・方向転換の支援装置。
  5. 前記予め定められた回転量は、
    前記第1の位置においては、前記他側面側へのハンドルの切れ角の最大量であり、
    前記第2の位置においては、前記一側面側への舵角中立点を超えたハンドルの切れ角の最大量である
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の駐車・方向転換の支援装置。
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