JP4452572B2 - 感光性組成物およびそれを用いた画像記録方法 - Google Patents
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Description
レーザ光を用いて記録することにより、コンピューター等のデジタルデータから直接製版可能な平板印刷用版材として好適な感光性組成物を提供することである。
1. (1)下記一般式(VIII)で示される構造を有する増感色素、
(2)該増感色素の光吸収により生じる電子励起状態との相互作用により化学変化を起こしラジカル又は酸を生成する活性剤化合物、および
(3)ラジカル又は酸の少なくともいずれかによって反応する重合性化合物
を含有することを特徴とする感光性組成物。
本発明は、一般式(I)で表される化合物を増感色素として用いると、とくに350〜450nmの吸収帯に対応する波長域での感度を損なう事なく、保存安定性を付与できる事を見出し、完成したものである。
一般式(I)で表される増感色素の保存安定性向上機構の詳細は完全には解明されていないが、増感色素の特定構造による立体障害により、活性剤化合物と増感色素間における微小レベル相互作用(微小レベルとは、未露光時におけるわずかな暗重合のレベルを示す。露光時はこの立体障害による相互作用効果は問題にならない)が抑制されるため、結果として保存時の活性ラジカル発生を抑えるためであると推定される。すなわち、例えば本発明の感光性組成物を平版印刷版用原版に使用した場合、露光時に発生する活性ラジカルが十分に機能する事ができ、保存安定性の高い平版印刷版を提供可能となる。
(A)光重合開始系
本発明の感光性組成物に使用される光重合開始系は、一般式(I)で表される増感色素と、活性剤化合物からなる。
本発明の感光性組成物に用いられる光重合開始系を構成する増感色素は、下記一般式(I)で表される化合物である。
までの分岐状、ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。
、アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基等を挙げることができる。
、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、等を挙げることができる。
本発明において、置換基の合計体積は、当業界で公知の手段により測定することができる。例えば、Cacheシステム(富士通社製、Computer Aided Chemistry Ver.5.5)を用いて測定することができる。具体的には、(1)置換基骨格を作図、(2)PM−3 geometryで最適化、(3)Project Leaderにデータを登録、(4)Property of isosurface ⇒ volume ⇒ standard procedureで測定パラメータを定義し、計測、という作業工程をもって、各置換基体積を求めることができる。
なかでも、好ましいAとしては、アルコキシ基、チオアルキル基、アミノ基を有するアリール基が挙げられ、特に好ましいAとしてはアミノ基を有するアリール基が挙げられる。
、R2、R3およびCNの合計体積を意味し、6員環を構成する原子団と、6員環上の酸素原子(カルボニル)は含まない。
R4は置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基を表す。これらの具体例としては一般式(I)におけるR1の説明において例示したものと同様のものが挙げられるが、好ましい例は置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアリール基であり、更に好ましくはこれらが以下に示す一般式(VIII)で示される構造を持ち、R5とイミノ置換基部との合計体積が200Å3以上の場合である。
3−ブチル−5−[(4−ジフェニルアミノフェニル)メチレン]−2−[(2−エトキシカルボニルフェニル)イミノ]−1,3−オキサゾリジン−4−オン(D−5)の合成
ジフェニルアミノベンズアルデヒド1.8g、メタノール10ml、ピロリジン0.6
mlを混合し、80℃にて10分間攪拌した。次いで、3−ブチル−2−[(2−エトキシカルボニルフェニル)イミノ]−1,3−オキサゾリジン−4−オン1.95gをメタノール5mlに溶かし、5分かけて滴下後、90℃に昇温し7時間攪拌した。
その後、90℃で7時間攪拌した反応液には、目的物が粉末状に生成した。これをメタノール洗浄しながらフィルターろ過したところ、3−ブチル−5−[(4−ジフェニルアミノフェニル)メチレン]−2−[(2−エトキシカルボニルフェニル)イミノ]−1,3−オキサゾリジン−4−オンが2.4g(収率71%、純度98%)で得られた。
上記他の例示化合物についても、出発物質、添加する化合物等を適宜選択することで、同様に合成することができる。
また、該増感色素と後述のチタノセン化合物などの活性剤やその他のラジカル発生パート(例えば、ハロゲン化アルキル、オニウム、過酸化物、ビイミダゾール、オニウム、ビイミダゾール等の還元分解性部位や、ボレート、アミン、トリメチルシリルメチル、カルボキシメチル、カルボニル、イミン等の酸化解裂性部位)との結合により、特に光重合開始系の濃度の低い状態での感光性を著しく高める事ができる。
特にエステル型の親水性基は、平版印刷版用原版の感光層中では比較的疎水的構造を有するため相溶性に優れ、かつ、現像液中では、加水分解により酸基を生成し、親水性が増大するという特徴を有する。その他、例えば、平版印刷版用原版の感光層中での相溶性向上、結晶析出抑制のために適宜置換基を導入する事ができる。
例えば、ある種の感光系では、アリール基やアリル基等の不飽和結合が相溶性向上に非常に有効である場合があり、また、分岐アルキル構造導入等の方法により、色素π平面間の立体障害を導入する事で、結晶析出が著しく抑制できる。また、ホスホン酸基やエポキシ基、トリアルコキシシリル基等の導入により、金属や金属酸化物等の無機物への密着性を向上させる事ができる。そのほか、目的に応じ、増感色素のポリマー化等の方法も利用できる。
増感色素の選択は、感光性の他、使用する光源の発光波長でのモル吸光係数が重要な因子である。モル吸光係数の大きな色素を使用する事により、色素の添加量は比較的少なくできるので、経済的であり、かつ感光層の膜物性の点からも有利である。感光層の感光性、解像度や、露光膜の物性は光源波長での吸光度に大きな影響を受けるので、これらを考慮して増感色素の添加量を適宜選択する。
害され、例えば平版印刷版用原版として使用した場合には膜強度、基板密着性の不十分なものとなる。
比較的薄い膜厚で使用する平版印刷版用原版としての使用に際しては、増感色素の添加量は、感光層の吸光度が0.1から1.5の範囲、好ましくは0.25から1の範囲となるように設定するのが好ましい。
また、平版印刷版用原版として利用する場合には、増感色素の添加量は、通常、感光層成分100質量部に対し、0.05〜30質量部、好ましくは0.1〜20質量部、さらに好ましくは0.2〜10質量部の範囲で使用する。
次に、本発明における光開始系の第2の必須成分である活性剤化合物について説明する。
本発明における活性剤化合物とは、増感色素の光吸収により生じる電子励起状態との相互作用を経て化学変化を生じ、ラジカル又は酸を生成する化合物である。以下、このようにして生じたラジカル、酸を単に活性種と呼ぶ。これらの化合物が存在しない場合や、活性剤のみを単独で用いた場合には、実用上十分な感度が得られないが、前記、増感色素と活性化合物を併用する一つの態様として、これらを適切な化学的方法(増感色素と、活性剤化合物との化学結合による連結等)によって単一の化合物として利用することも可能である。このような技術思想は、例えば、特許第2720195号公報に開示されている。
炭素−ハロゲン結合結合を有する化合物:還元的に炭素−ハロゲン結合が解裂し、活性種を発生すると考えられる(例えば、Polymer Preprints, Jpn., 41 (3) 542 (1992)に記載れている)。活性種としては、ラジカル、酸を発生しうる。具体的には、例えば、ハロ
メチル−s−トリアジン類の他、M.P.Hutt, E.F.ElslagerおよびL.M.Merbel著, Journal of Heterocyclic Chemistry, 7, 511 (1970)に記載される合成方法により当業者が容易に合成しうるハロメチルオキサジアゾール類、また、ドイツ特許2641100号、同3333450号、同3021590号、同3021599号の各明細書に記載される化合物等が好適に使用できる。
また、活性種として塩基を生成することも可能であり、例えば下記のような化合物群が知られる。
ジスルホン類:還元的にS−S結合解裂を起こし酸を発生しうる。例えば特開昭61−166544号公報に記載されるようなジフェニルジスルホン類が知られる。
アルキルアート錯体:酸化的に炭素−ヘテロ結合が解裂し、活性ラジカルを生成すると考えられる(例えば、J.Am.Chem.Soc., 112, 6329 (1990)に記載される)。具体的には例えば、トリアリールアルキルボレート類が好適に使用される。
増感機構は明確ではないが、活性剤として機能しうるものも多い。チタノセン、フェロセン等の有機金属化合物や芳香族ケトン、アシルフォスフィン、ビスアシルフォスフィン類等が挙げられ、活性種としては、ラジカル、酸を発生しうる。
下記式[II]で表される化合物が挙げられる。特にラジカル発生、酸発生能にすぐれる。
活性剤として特に好適に用いられる、チタノセン化合物は、前記した増感色素との共存下で光照射した場合、活性種を発生し得るチタノセン化合物であればいずれであってもよく、例えば、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号、特開昭63−41483号、特開昭63−41484号、特開平2−249号、特開平2−291号、特開平3−27393号、特開平3−12403号、特開平6−41170号の各公報に記載されている公知の化合物を適宜に選択して用いることができる。
下記式[III]で表されるボレート塩類はラジカル発生能に優れる。
のが含まれる。
安定性に優れ、高感度なラジカル発生が可能である。具体的には、2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾ
ール、2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2'−ビス(o,o'−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−メチルフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−トリフルオロメチルフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
周期律表の15(5B)、16(6B)、17(7B)族元素、具体的にはN、P、As、Sb、Bi、O、S、Se、Te、Iのオニウム化合物は感度にすぐれた活性剤である、特にヨードニウム塩やスルホニウム塩、とりわけ、ジアリールヨードニウム、トリアリールスルホニウム塩化合物は感度と保存安定性の両方の観点で極めて優れている。酸、および/またはラジカルの発生が可能であり、これらは目的に応じて、使用条件を適宜選択することで使い分けることができる。具体的には以下の化合物が挙げられる。
有機過酸化物型の活性剤を用い場合、活性種としてラジカルの発生を非常に高感度で行うことができる。
オキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、過酸化こはく酸、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、メタ−トルオイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシオクタノエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチル過酸化マレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、3,3',4,4'−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ−(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、カルボニルジ(t−ブチルパーオキシ二水素二フタレート)、カルボニルジ(t−ヘキシルパーオキシ二水素二フタレート)等がある。
活性剤化合物の好ましい例としては、チタノセン化合物、トリアジン化合物が挙げられ、さらに好ましくはチタノセン化合物が挙げられる。
本発明の感光性組成物は、前述の光重合開始系の他、ラジカルまたは酸の少なくともいずれかによって反応しその物理的または化学的特性が変化して保持される化合物を含有する。
このような化合物としては、具体的には少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を
有する付加重合性化合物であり、より詳細には、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。この様な化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定すること無く用いる事ができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノマーおよびその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類があげられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。
また、イソシアナト基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、ハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。
また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用する事も可能である。
ジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926号、特公昭51−47334号、特開昭57−196231号各公報記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭59−5241号、特開平2−226149号各公報記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
さらに、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報記載のシクロへキシレン構造を有すものをあげる事ができる。
(ただし、RおよびR′は、それぞれ独立してHまたはCH3を示す。)
2−25493号公報記載のビニルホスホン酸系化合物等もあげることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号公報記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。さらに日本接着協会誌 vol. 20、No. 7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
本発明の感光性組成物を、その好ましい実施形態である平版印刷版用原版の感光層への適用に際しては、前述の光重合開始系および重合性化合物の他にさらにバインダーポリマーを使用することが好ましい。バインダーとしては線状有機高分子重合体を含有させることが好ましい。このような「線状有機高分子重合体」としては、どれを使用しても構わない。好ましくは水現像あるいは弱アルカリ水現像を可能とする水あるいは弱アルカリ水可溶性または膨潤性である線状有機高分子重合体が選択される。
線状有機高分子重合体は、組成物の皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水あるいは有機溶剤現像剤としての用途に応じて選択使用される。例えば、水可溶性有機高分子重合体を用いると水現像が可能になる。このような線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸基を有する付加重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号各公報に記載されているもの、すなわち、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等がある。また同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体がある。この他に水酸基を有する付加重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
本発明の感光性組成物を平版印刷版用原版等の画像記録材料の感光層として用いるには、さらにその用途、製造方法等に適したその他の成分を適宜添加することができる。
以下、好ましい添加剤に関し例示する。
(D1)共増感剤
ある種の添加剤(以後、共増感剤という)を用いることで、該感光層の感度をさらに向上させる事ができる。これらの作用機構は、明確ではないが、多くは次のような化学プロセスに基づくものと考えられる。即ち、先述の光重合開始系の光吸収により開始される光反応、と、それに引き続く付加重合反応の過程で生じる様々な中間活性種(ラジカル、過酸化物、酸化剤、還元剤等)と、共増感剤が反応し、新たな活性ラジカルを生成するものと推定される。これらは、大きくは、(a)還元されて活性ラジカルを生成しうるもの、(b)酸化されて活性ラジカルを生成しうるもの、(c)活性の低いラジカルと反応し、より活性の高いラジカルに変換するか、もしくは連鎖移動剤として作用するもの、に分類できるが、個々の化合物がこれらのどれに属するかに関しては、通説がない場合も多い。
炭素−ハロゲン結合を有する化合物:還元的に炭素−ハロゲン結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、トリハロメチル−s−トリアジン類や、トリハロメチルオキサジアゾール類等が好適に使用できる。
窒素−窒素結合を有する化合物:還元的に窒素−窒素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的にはヘキサアリールビイミダゾール類等が好適に使用される。
酸素−酸素結合を有する化合物:還元的に酸素−酸素結合が解裂し、活性ラジカルを発
生すると考えられる。具体的には、例えば、有機過酸化物類等が好適に使用される。
オニウム化合物:還元的に炭素−ヘテロ結合や、酸素−窒素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には例えば、ジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類、N−アルコキシピリジニウム(アジニウム)塩類等が好適に使用される。
フェロセン、鉄アレーン錯体類:還元的に活性ラジカルを生成しうる。
アルキルアート錯体:酸化的に炭素−ヘテロ結合が解裂し、活性ラジカルを生成すると考えられる。具体的には例えば、トリアリールアルキルボレート類が好適に使用される。
アルキルアミン化合物:酸化により窒素に隣接した炭素上のC−X結合が解裂し、活性ラジカルを生成するものと考えられる。Xとしては、水素原子、カルボキシル基、トリメチルシリル基、ベンジル基等が好適である。具体的には、例えば、エタノールアミン類、N−フェニルグリシン類、N−トリメチルシリルメチルアニリン類等が挙げられる。
含硫黄、含錫化合物:上述のアミン類の窒素原子を硫黄原子、錫原子に置き換えたものが、同様の作用により活性ラジカルを生成しうる。また、S−S結合を有する化合物もS−S解裂による増感が知られる。
α−置換メチルカルボニル化合物:酸化により、カルボニル−α炭素間の結合解裂により、活性ラジカルを生成しうる。また、カルボニルをオキシムエーテルに変換したものも同様の作用を示す。具体的には、2−アルキル−1−[4−(アルキルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロノン−1類、並びに、これらと、ヒドロキシアミン類とを反応したのち、N−OHをエーテル化したオキシムエーテル類をあげる事ができる。
スルフィン酸塩類:還元的に活性ラジカルを生成しうる。具体的は、アリールスルフィン酸ナトリウム等を挙げることができる。
また、本発明の感光性組成物においては、以上の基本成分の他に、その製造中あるいは保存中において重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。熱重合防止剤の添加量は、全組成物の質量に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。また平版印刷版用原版等の感光層として塗布する場合、必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で該感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
本発明の感光性組成物を平版印刷版用原版等の画像記録材料の感光層として用いる場合、さらに、該感光層の着色を目的として染料もしくは顔料の着色剤を添加してもよい。これにより、平版印刷版用原版としての、製版後の視認性や、画像濃度測定機適性といったいわゆる検版性を向上させる事ができる。
着色剤としては、多くの染料は光重合系感光層の感度の低下を生じるので、特に顔料の使用が好ましい。具体例としては例えばフタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料などの染料がある。染料および顔料の添加量は全組成物の約0.5質量%〜約5質量%が好ましい。
本発明の感光性組成物を平版印刷版用原版等の感光層に用いる場合、さらに、その硬化皮膜の物性を改良するために無機充填剤や、その他可塑剤、該感光層表面のインク着肉性を向上させうる感脂化剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
可塑剤としては例えばジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等があり、バインダーポリマーを使用した場合、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物とバインダーポリマーとの合計質量に対し10質量%以下添加することができる。
その他、該感光層と支持体との密着性向上や、未露光感光層の現像除去性を高めるための添加剤、中間層を設ける事を可能である。例えば、ジアゾニウム構造を有する化合物や、ホスホン化合物等、後述の基板と比較的強い相互作用を有する化合物の添加や下塗りにより、密着性が向上し、耐刷性を高める事が可能であり、一方ポリアクリル酸や、ポリスルホン酸のような親水性ポリマーの添加や下塗りにより、非画像部の現像性が向上し、汚れ性の向上が可能となる。
る上、現像処理にもより長い時間を要するため好ましくない。本発明の感光性組成物の主要な使用目的である走査露光用平版印刷版としては、その被覆量は乾燥後の質量で約0.1g/m2〜約10g/m2の範囲が適当である。より好ましくは0.5〜5g/m2である。
本発明の感光性組成物の主要な使用目的の一つである、平版印刷版用原版を得るには該感光性組成物からなる感光層を、表面が親水性の支持体上に設ける事が望ましい。親水性の支持体としては、従来公知の平版印刷版用原版に使用される親水性支持体を限定無く使用することができる。
使用される支持体は寸度的に安定な板状物であることが好ましく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙若しくはプラスチックフィルム等が含まれ、これらの表面に対し、必要に応じ親水性の付与や、強度向上、等の目的で適切な公知の物理的、化学的処理を施しても良い。
アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸、硝酸等の電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。また、アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するために、例えば、界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液等による脱脂処理が行われる。
また、米国特許第3658662号明細書に記載されているようなシリケート電着も有効である。
さらにまた、特開昭56−28893号公報に開示されているような機械的粗面化、化学的エッチング、電解グレイン、陽極酸化処理さらに珪酸ソーダ処理を順に行ったものも好適である。
さらに特開平7−159983号公報に開示されているようなラジカルによって付加反応を起こし得る官能基を共有結合させたゾル−ゲル処理基板も好適に用いられる。
これらの親水化処理は、支持体の表面を親水性とするために施される以外に、その上に設けられる感光性組成物の有害な反応を防ぐため、かつ感光層の密着性の向上等のために施されるものである。
本発明の感光性組成物の望ましい使用態様である、走査露光用平版印刷版においては、通常、露光を大気中で行うため、該感光性組成物からなる層の上に、さらに、保護層を設ける事が好ましい。
保護層は、感光層中で露光により生じる画像形成反応を阻害する大気中に存在する酸素や塩基性物質等の低分子化合物の感光層への混入を防止し、大気中での露光を可能とする。従って、この様な保護層に望まれる特性は、酸素等の低分子化合物の透過性が低いことであり、さらに、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、感光層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できる事が望ましい。この様な、保護層に関する工夫が従来よりなされており、米国特許第3,458,311号明細書および特開昭55−49729号公報に詳しく記載されている。
ビニルアルコールは、必要な酸素遮断性と水溶性を有するための、未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテルおよびアセタールで置換されていても良い。また、同様に一部が他の共重合成分を有していても良い。ポリビニルアルコールの具体例としては71〜100%加水分解され、分子量が300から2400の範囲のものをあげる事ができる。
に記載されているものを挙げることができる。さらに、特開昭50−26601号、同58−54341号、特公昭56−39464号、同56−42860号の各公報に記載されている現像液も優れている。
A−W
(式中、AはA−HのLogPが1.5以上の疎水性有機基を表し、WはW−HのLogPが1.0未満の非イオン性の親水性有機基を表す。)
350nm〜450nmの入手可能なレーザー光源としては以下のものを利用することができる。
ガスレーザーとして、Arイオンレーザー(364nm、351nm、10mW〜1W)、Krイオンレーザー(356nm、351nm、10mW〜1W)、He−Cdレーザー(441nm、325nm、1mW〜100mW)、固体レーザーとして、Nd:YAG(YVO4)とSHG結晶×2回の組み合わせ(355nm、5mW〜1W)、Cr:LiSAFとSHG結晶の組み合わせ(430nm、10mW)、
・内面ドラム方式で総出力20mW以上の半導体レーザーとなる様に、ガスレーザーあるいは固体レーザー光源を1個以上使用するシングルビーム〜トリプルビームの露光装置
・フラットベッド方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザー、ガスレーザーあるいは固体レーザーを1個以上使用したマルチビーム(1〜10本)の露光装置
・外面ドラム方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザー、ガスレーザーあるいは固体レーザーを1個以上使用したマルチビーム(1〜9本)の露光装置
・外面ドラム方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザーあるいは固体レーザーを1個以上使用したマルチビーム(10本以上)の露光装置以上のようなレーザー直描型の平版印刷版においては、一般に感材感度X(J/cm2)、感材の露光面積S(cm2)、レーザー光源1個のパワーq(W)、レーザー本数n、全露光時間t(s)との間に式(eq 1)が成立する。
レーザー回転数f(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)の間には一般的に式(eq 2)が成立する。
ドラム回転数F(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)、ビーム数(n)の間には一般的に式(eq 3)が成立する。
ポリゴンミラーの回転数H(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)、ビーム数(n)の間には一般的に式(eq 4)
が成立する。
ともできる。光重合に伴う、表面の粘着性の変化を利用して様々な転写材料(剥離感材、トナー現像感材等)にも応用できる。マイクロカプセルの光硬化にも適用できる。フォトレジスト等の電子材料製造、インクや塗料、接着剤等の光硬化樹脂材料にも応用できる。
〔実施例1〜11および比較例1〜6〕
(支持体の調製)
厚さ0.3mmのアルミニウム板を10質量%水酸化ナトリウムに60℃で25秒間浸漬してエッチングした後、流水で水洗後20質量%硝酸で中和洗浄し、次いで水洗した。これを正弦波の交番波形電流を用いて1質量%硝酸水溶液中で300クーロン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。引き続いて1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に40℃で5秒間浸漬後30質量%の硫酸水溶液中に浸漬し、60℃で40秒間デスマット処理した後、20質量%硫酸水溶液中、電流密度2A/dm2において、陽極酸化皮膜の厚さが2.7g/m2になるように、2分間陽極酸化処理した。その表面粗さを測定したところ、0.3μm(JIS B0601によるRa表示)であった。
テトラエチルシリケート 55質量部
水 25質量部
メタノール 10質量部
リン酸 0.05質量部
ジメチルフタレート 6質量部
フッ素系界面活性剤 0.7質量部
(N−ブチルペルフルオロオクタンスルホンアミドエチルアクリレート/ ポリオキシエチレンアクリレート共重合体:分子量2万)
メタノールシリカゾル(日産化学工業(株)製,メタノール30質量%)
50質量部
メタノール 800質量部
このように処理されたアルミニウム板上に、下記組成の光重合性組成物を乾燥塗布量が1.0g/m2となるように塗布し、80℃、2分間乾燥させ感光層を形成させた。
・3−(2−メチルプロプ−2−エノイロキシ)−2−(N−(6−((2−(2−メチルプロプー2−エノイロキシ)−1−((2−メチルプロプ−2−エノイロキシ)メチル)エトキシ)カルボニルアミノ)ヘキシル)カルバモイロキシ)プロピル−2−メチルプロプ−2−エノエート
下記ジイソシアネートとジオールの縮重合物であるポリウレタン樹脂 1.8g
・4,4'−ジフェニルメタンジイソイソシネート(MDI)
・ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)
・ポリプロピレングリコール、重量平均分子量1000(PPG1000)
・2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオニックアシッド(DMPA)
・テトラエチレングリコール(TEG)
共重合モル比(MDI/HMDI/PPG1000/DMPA/TEG)=38/12/15/25/10
NaOH滴定により求めた実測酸価1.08meq/g
GPC測定より求めた重量平均分子量5.2万
光重合開始系 (表1中に記載)
・増感色素
・活性剤化合物(チタノセン化合物)
・共増感剤
フッ素系ノニオン界面活性剤(F−177P) 0.03g
熱重合禁止剤
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩 0.01g
顔料分散物 2.4 g
顔料分散物の組成
Pigment Blue 15:6 15質量%
アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 10質量%
(共重合モル比83/17)
シクロヘキサノン 15質量%
メトキシプロピルアセテート 20質量%
プロピレングリコールモノメチルエーテル 40質量%
メチルエチルケトン 30.0 g
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20.0 g
この感光層上にポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度550)の3質量%の水溶液を乾燥塗布質量が2g/m2となるように塗布し、100℃で2分間乾燥した。
この様に得られた平版印刷版用原版上に富士写真フイルム(株)製の富士ステップガイド(△D=0.15で不連続的に透過光学濃度が変化するグレースケール)を密着させ、光学フィルター(ケンコーBP−40)を通したキセノンランプを用い、既知の露光エネルギーとなるように露光を行った。光学フィルターとしては、短波半導体レーザへの露光適性を見積もる目的で、400nmのモノクロミックな光で露光が可能なケンコーBP−40を用いた。その後、下記組成の現像液に25℃、10秒間浸漬し、現像を行い、画像が完全に除去される最高の段数から感度(クリア感度)を算出した(表1)。ここで、ク
リア感度とは、画像の形成に最低限必要なエネルギーを表し、この値が低いほど高感度である。
実施例に挙げた構成で作成した平版印刷版を、下記2条件で、クリア感度と強制経時網点変動率を比較することで保存安定性を評価した。
(i)塗布終了後、即時に露光、現像
(ii)60℃、10日条件の強制保存条件下で保存後、露光、現像
ここで言うクリア感度は、前述したものと同様である。また強制経時網点変動率とは、上記(i)と(ii)の条件間において、現像画像の網点(Centurfax社製ccDOTで測定)20、30、40、50%におけるそれぞれの網点再現値の差の平均値を示す。即ち、この値が小さいことは、経時時間無し感材と強制経時後感材における画像再現性が高いことを示し、保存安定性が高いと言える。
下記実施例にて挙げる、一般式(I)のZの5員環もしくは6員環に配置された置換基の合計体積は、Cacheシステム(富士通社製、Computer Aided Chemistry Ver.5.5、PM3-geometry)を用いて各置換基体積を求めており、これらの合計値で示した。
結果を表1に示す。
また、本発明の感光性組成物に含まれる光重合開始系は増感色素を使用しない場合に比較して、高感度であり、特にチタノセンの添加量が少ない場合においても、十分な感度を示す。
なお、上記実施例1〜11、比較例1〜6で用いた現像液は、下記組成からなるpH12.0の水溶液である。
水酸化カリウム 0.2g
下記式(1)の化合物 5.0g
水 91.3g
エチレンジアミンテトラ酢酸・4Na塩 0.1g
以下の手順で平版印刷版用原版を作製し、印刷性能を評価した。結果を表2に示す。
(支持体の前処理)
厚さ0.3mmの材質1Sのアルミニウム板を8号ナイロンブラシと800メッシュのパミストンの水懸濁液を用い、その表面を砂目だてした後、よく水で洗浄した。10質量%水酸化ナトリウムに70℃で60秒間浸漬してエッチングした後、流水で水洗後、20質量%硝酸で中和洗浄し、次いで水洗した。これをVA=12.7Vの条件で、正弦波の交番波形電流を用いて1質量%硝酸水溶液中で300クーロン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。その表面粗さを測定したところ、0.45μm(JIS B0601によるRa表示)であった。
上記の支持体を、3号ケイ酸ソーダ(SiO2=28〜30%、Na2O=9〜10%、Fe=0.02%以下)の2.5質量%、pH=11.2、70℃の水溶液に13秒浸漬し、続いて水洗した。表面の蛍光X線分析により求めた、Si元素量から、表面シリケート量は10mg/m2と求められた。
上記の親水化支持体表面上に、フェニルホスホン酸の塗布量が20mg/m2となるようにように、下記(A)に示す組成の塗布液を調製し、ホイラーにて180rpmの条件で塗布後、80℃で30秒間乾燥させた。
フェニルホスホン酸 0.09〜1.4g
メタノール 190 g
上記中間層を設けた支持体上に、下記組成の感光液を調製し、塗布量が1.0〜2.0g/m2になるように、ホイラーで塗布し、100℃で1分間乾燥させた。
付加重合性化合物(表2中に記載の化合物) 1.7 g
バインダーポリマー(表2中に記載の化合物) 2.2 g
増感色素(表2中に記載の化合物) 0.2 g
活性剤(表2中に記載の化合物) 0.1 g
共増感剤(H−4) 0.35 g
着色顔料分散物 2.3 g
(顔料分散物の組成)
Pigment Blue 15:6 15質量%
アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 10質量%
(共重合モル比83/17)熱重合
シクロヘキサノン 15質量%
メトキシプロピルアセテート 20質量%
プロピレングリコールモノメチルエーテル 40質量%
熱重合禁止剤 0.01g
(N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩)
界面活性剤(大日本インキ化学工業(株)製、メガファックF−177)
0.02g
メチルエチルケトン 30.0 g
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20.0 g
この感光層上にポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度550)の3質量%の水溶液を乾燥塗布質量が2g/m2となるように塗布し、100℃で2分間乾燥した。
上記のようにして得られた平版印刷版用原版を、光源として400nmの単色光を用い、版面露光エネルギー密度200μJ/cm2となる様に露光パワーを調節し、ベタ画像露光および、175線/インチ、1%刻みで1から99%となる網点画像露光を行った。
富士写真フイルム(株)製自動現像機LP−850に所定の現像液(表2中に記載)と富士写真フイルム(株)製フィニッシャーFP−2Wをそれぞれ仕込み現像液温度30℃、現像時間18秒の条件で露光済みの版を、現像/製版し、平版印刷版を得た。
印刷機としてローランド社製R201を使用し、インキとして大日本インキ社製GEOS−G(N)を使用した。ベタ画像部の印刷物を観察し、画像がかすれはじめた枚数によって耐刷性を調べた。数字が多きいほど耐刷性が良い。
[M−1]
3−(2−メチルプロプ−2−エノイロキシ)−2−(N−(6−((2−(2−メチルプロプー2−エノイロキシ)−1−((2−メチルプロプ−2−エノイロキシ)メチル)エトキシ)カルボニルアミノ)ヘキシル)カルバモイロキシ)プロピル−2−メチルプロプ−2−エノエート (U−4H)
[M−2]
ペンタエルスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業(株)製;NKエステルA−TMMT)
[B−1]
アリルメタクリレート/メタクリル酸/N−イソプロピルアクリルアミド(共重合モル比60/12/28)
NaOH滴定により求めた実測酸価1.07meq/g
GPC測定より求めた重量平均分子量14万
[B−2]
アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合モル比83/17)
NaOH滴定により求めた実測酸価1.55meq/g
GPC測定より求めた重量平均分子量 12.5万
[B−3]
下記ジイソシアネートとジオールの縮重合物であるポリウレタン樹脂
4,4'−ジフェニルメタンジイソイソシネート(MDI)
ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)
ポリプロピレングリコール、重量平均分子量1000(PPG1000)
2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオニックアシッド(DMPA)
テトラエチレングリコール(TEG)
共重合モル比(MDI/HMDI/PPG1000/DMPA/TEG)=38/12/15/25/10
NaOH滴定により求めた実測酸価1.08meq/g
GPC測定より求めた重量平均分子量5.2万
DV−1
下記組成からなるpH10の水溶液
モノエタノールアミン 0.1 質量%
トリエタノールアミン 1.5 質量%
下記化合物(2) 4.0 質量%
下記化合物(3) 2.5 質量%
下記化合物(4) 0.2 質量%
水 91.7 質量%
下記組成からなるpH12の水溶液
水酸化カリウム 0.2g
1Kケイ酸カリウム 2.4g
前記式(1)の化合物 5.0g
テトラエチレンジアミン・4Na塩 0.1g
水 91.3g
下記組成からなるpH13の水溶液
1Kケイ酸カリウム 3.0 質量%
水酸化カリウム 1.5 質量%
前記式(3)の化合物 0.2 質量%
水 95.3 質量%
Claims (3)
- (1)下記一般式(VIII)で示される構造を有する増感色素、
(2)該増感色素の光吸収により生じる電子励起状態との相互作用により化学変化を起こしラジカル又は酸を生成する活性剤化合物、および
(3)ラジカル又は酸の少なくともいずれかによって反応する重合性化合物、
を含有することを特徴とする感光性組成物。
- 一般式(VIII)において、EWGが示す電子吸引性基が、ハロゲン原子、エステル基、アミド基、ニトロ基、シアノ基、スルホン酸基またはカルボン酸基であることを特徴とする請求項1記載の感光性組成物。
- 支持体上に、請求項1記載の感光性組成物を含有する感光層を有する画像記録材料に対し、350〜450nmのレーザ光源を用いて走査露光を行うことを特徴とする画像記録方法。
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