JP4391038B2 - 電気炊飯器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、家庭用及び業務用に使用される炊飯器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電磁誘導加熱を利用した電気炊飯器が提案されている。図3において、1は上面
が開口する円筒上のボディで、このボディ1内部には鍋3の収納部であるコイルベース2が配設され、かつこのコイルベース2は非金属材料により有底円筒状に成形されている。コイルベース2の外側には加熱手段である誘導コイル4が鍋3の底面ならびに底側面部に対向して配設されている。前記電気炊飯器において、まず鍋に調理物である米及び水を所定量投入した後、誘導コイル4に通電し鍋3を加熱する。所定の通電パターンで通電することにより炊飯が行われる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記炊飯器では鍋中央下方部にベチヤが生じ食味を著しく低下させるものであった。
【0004】
また、炊飯後、前記ご飯を撹拌すると、前記ベチャ部がくずれ、正常に炊けたご飯の表面に付着する。その結果ご飯表面にベタツキが生じ、団子状になり食味を著しく低下させるものであった。
【0005】
特に、品種が魚沼産こしひかりやササニシキ等の軟質米と呼ばれている品種や、取れたての新米等は上記現象が発生しやすく、炊飯量を減らしたり、水加減を少なくするなど特別の技術を用いて炊飯を行っていた。
【0006】
また、加熱手段が下方部のみに集中した加熱を行うため、鍋底面部に焦げが発生しやすくなるため、炊飯後期プロセスで必要な「焼き行程」が実現困難になり、鍋側面部がびしょつく等、食味の低下が発生していた。
【0007】
本発明は以上の事情に鑑みて、本発明は、鍋中央下部のベチャ付を抑え食味を改善した炊飯器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明は、鍋の底面部を加熱する第1の加熱手段と、前記第1の加熱手段の外側に位置し前記鍋の底側面部を加熱する第2の加熱手段と鍋側面に対向してなる第3の加熱手段と、前記第1、第2、第3の加熱手段の通電を制御する制御手段と、「炊き上げ1」、「炊き上げ2」、「追い炊き1」及び「追い炊き2」を順次展開する炊飯プロセスとを備え、前記「炊き上げ1」は第2の加熱手段及び第3の加熱手段を前記調理物の上部の温度が前記調理物の下層部の温度より高くなるように通電し、前記「炊き上げ2」は第1の加熱手段及び第2の加熱手段を通電するとともに、「追い炊き1」及び「追い炊き2」は鍋の側面部が100℃以上に保つよう第3の加熱手段を通電したものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
請求項1記載の発明は、ボディと、このボディに着脱自在に収納され調理物を入れる鍋と、前記鍋の底面部を加熱する第1の加熱手段と、前記第1の加熱手段の外側に位置し前記鍋の底側面部を加熱する第2の加熱手段と、前記鍋の側面部を加熱する第3の加熱手段と、前記第1、第2、第3の加熱手段の通電を制御する制御手段と、「炊き上げ1」、「炊き上げ2」、「追い炊き1」及び「追い炊き2」を順次展開する炊飯プロセスとを備え、前記「炊き上げ1」は第2の加熱手段及び第3の加熱手段を前記調理物の上部の温度が前記調理物の下層部の温度より高くなるように通電し、前記「炊き上げ2」は第1の加熱手段及び第2の加熱手段を通電するとともに、「追い炊き1」及び「追い炊き2」は鍋の側面部が100℃以上に保つよう第3の加熱手段を通電することにより、「炊き上げ1」工程においてには第2の加熱手段および第3の加熱手段を通電とすることで調理物の上層部と下層部の温度差を生じさせることにより下層部のべちゃつきを防ぐことができ「追い炊き1」および「追い炊き2」には鍋の側面部が100℃以上に保つよう主に第3の加熱手段を通電することによって、鍋底面部の焦げが発生すること無しに、炊飯後期に必要な「焼き工程」が実現できになり、鍋側面部がびしょつく等食味の低下を防止できる。また、炊飯プロセス後半は主に第3の加熱手段で所定時間加熱することにより、炊飯プロセス中期は、第1の加熱コイルと第2の加熱コイルが対向する面が他の部分より多く加熱されるため、この近傍の鍋と接触した米粒が多く加熱される。加熱された米粒は約60℃を超えると粉化が開始され米内の澱粉が流出し始め、鍋接触部分調理物である米・水を主に沸騰まで加熱することにより鍋内の対流を促進し均一に温度上昇させる。沸騰した時、底加熱手段と対向した鍋表面部は鍋内の他の部分より多く加熱されるためこの鍋表面に当接した米はきわめて多くの熱を受けることになりでん粉粒が溶出し、前記第1及び第2の加熱手段に当接した鍋表面に付着し鍋表面との付着面積が増大する。この時さらに底加熱手段で加熱を継続すると前記澱粉粒と鍋表面の付着面積が大きいため前記澱粉粒への熱流が大きくなり、澱粉流に色が付き焦げの発生となる。ここで、澱粉粒の付着のない第3の加熱手段を使用することによって、澱粉への集中加熱が低減されるため焦げの発生を気にすること無に加熱を継続することができる。前記のように加熱を継続することにより、鍋側面部を100℃以上に保つことができるため鍋側面に生ずる白化を抑えることができるとともに調理物であるご飯内の温度が100℃より高いレベルで維持することができるため、十分なα化が可能となり、さらにご飯表面に存在する表面水(遊離水)も除去することができ、はり・甘味を向上させた炊飯器を提供することができる。
【0010】
請求項2記載の発明は、鍋の温度を検知する温度検知手段を備え炊飯開始後、「炊き上げ1」において、温度検知装置の温度が所定値になるまで、第2の加熱手段に加え、第3の加熱手段により通電することにより、調理物上層部と下層部の温度差がより早く拡大するため、短い初期通電で前記第1の手段よりも短時間で同様の効果を得ることができる。また、炊飯量が変わっても、温度検知装置よりフィードバックされるため炊飯性能がより安定する。
【0011】
請求項3記載の発明は、「炊き上げ1」において、炊飯開始後所定時間、第2の加熱手段に加え、第3の加熱手段により通電することにより、調理物上層部と下層部の温度差がより早く拡大するため、短い初期通電で前記第1の手段よりも短時間で同様の効果を得ることができる。また、炊飯量が一定している場合炊飯性能がより安定する。
【0012】
請求項4記載の発明は、第1、第2及び第3の加熱手段は互いに独立して構成されることにより、必要な加熱が自在に設定でき米品種に対して幅広く対応した炊飯器を提供できる。
【0013】
請求項5記載の発明は、第1及び第2の加熱手段が同時に通電している時、第3の加熱手段は強制的に通電OFFとすることにより、3つの加熱源が同時に通電しないことで全体の給電量を抑えることができる。
【0014】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図1〜3により説明する。図において、10は上面が開口するボディでありまた11は非金属材料により有底円筒状に成形されたコイルベース、12は鍋で、ボディ10と着脱自在に配設されている。コイルベース11の鍋12の底部に対向する部分には第1の加熱手段である内コイル13が配設されている。また、前記コイルベース11の鍋12の底側部に対向する部分に、第2加熱手段である外コイル14が配設されている。15は第3の手段である側面コイルが、鍋12の側面に対向して設けられている。16は内コイル13及び外コイル14、側面コイル15に各々に交番磁界を発生させるための電流を流す回路基板である。17は、鍋の温度を検知する温度検出手段である底センサーでコイルベースに設けられ、前記鍋12の鍋底中央部に当接し、鍋12の温度を検知する。17は外蓋でこの外蓋17の上部には沸騰検知手段である蓋センサー18が
設けられ調理物19から発生する蒸気温度を検知して沸騰を検知する。また、本実施例の基米の質量は7kg、内コイル13と外コイル14の入力は6.5kw、側面コイルの入力は2kwである。
【0015】
以下、上記構成おける動作を説明する。鍋12に、米水等の調理物19を投入し、炊飯器を動作させる回路基板16から外コイル14及び側面コイル15に電流を流すと外コイル14及び側面コイル15は交番磁界を発生し鍋12が加熱して調理物20の温度が上昇する。炊飯が開始し図2に示す加熱プロセスにより炊飯される。加熱プロセス中、「炊き上げ1」を主に外コイル14にて炊飯し必要に応じ第1の側面コイル15を通電させる。
【0016】
炊飯の炊き上げプロセス時、調理物の温度を均一に上昇させる沸騰に達すると調理物である米は水を吸収し調理物上層部は比較的早く米の周りの水が無くなり炊きが少なくなり、調理物下方は最後まで米の周りに水が存在するため炊けすぎた状態となり、ベチャになりやすいものであった。
【0017】
従って、炊飯初期プロセスである「炊き上げ1」で外コイル14及び側面コイル15を通電し加熱すると調理物19中の水は、鍋側部を通過する外対流となり調理物19上層部の温度が上昇する。この後「炊き上げ2」で内コイル13及び外コイル14の両方を通電することにより調理物上層部の温度がすでに下層部よりも早く上昇しているため調理物19下方部の炊けすぎを防止できる。また「炊き上げ1」の時間をコントロールすることにより調理物上層部と下層部の温度差をコントロールできる。すなわち、「炊き上げ1」の通電時間を長くすればするほど調理物上層部と下層部の温度差が広がるものである。
【0018】
図3は、「炊き上げ1」の時間を可変させた時の調理物の温度を示したグラフである。図中aは調理物19の下層部の温度、bは同中層部の温度、cは同中層部の温度を示す。「炊き上げ1」の時間で、(A)は「炊き上げ1」の時間が0、(B)は「炊き上げ1」の時間が標準、(C)「炊き上げ1」の時間が長い場合を示す。図より明らかなように「炊き上げ1」の時間が長くなればなるほど、下層部の温度aと上層部の温度cの差が広がっている。発明者らの実験によれば、(A)でのご飯は、下層部にべちゃつきが生じ食味を悪化させていた。また(C)でのご飯は下層部が煮足りなくなりボロボロとした食感となった。(B)のご飯は、ご飯の上下むらがほとんど無く食味も良好であった。
【0019】
上記実験からも、「炊き上げ1」の時間を最適にすることにより、ご飯の食味を向上させることができる。
【0020】
また、この温度差を利用すると、例えば新米は少ない熱量でご飯のα化が促進されやすいが炊きすぎるとベチャになりやすい。一方古米は多少炊きすぎてもベチャにはなりにくいが、多量の熱量で加熱しないとα化が促進され難い特徴をもつ。従って新米では第2の加熱手段の通電時間を長くすることにより、下層部のベチャを抑え、古米では第2の加熱手段の通電時間を短くすることにより下層部の加熱量を増やしα化を促進させる。同様に米の品種によっても前記と同様な効果を得る事ができる。
【0021】
また、「炊き上げ1」の工程で外コイル14と側面コイル15を同時に通電する場合と外コイル14のみを通電する場合の炊飯状態の結果はほぼ同程度であるが、外コイル14と側面コイル15を同時に通電した方が調理物19の上下むらがより早く拡大するため、短時間で同様の効果を得ることができる。
【0022】
なお、本実施例の「炊き上げ1」の時間は、あらかじめプログラムにより設定している。これは、本実施例のように炊飯システムに組み込まれる炊飯器の場合は、あらかじめ炊飯量及び加水量をあらかじめ設定するため時間で設定したほうが炊飯性能が安定する。し
かし、家庭用の炊飯器のように炊飯量があらかじめ設定できない場合、底センサー17の温度が所定値になるまで通電する方がより炊飯性能が安定する。前記のように、炊飯器の使用条件に合わせて、炊飯が安定する方を選択すればよい。
【0023】
炊飯プロセス中期である「炊き上げ2」においては、調理物19内の温度を均一且つ素早く上げることが必要となる。従ってこの工程では、内コイル13及び外コイル14の両方通電して最大電力で通電する。この時側面コイル15も通電すると沸騰時間の短縮が図れるが側面コイル15は調理物19の上方のみ加熱するため炊きむらが増加するものになった。従って、側面コイル15は非通電のほうがでご飯の出来が良好となるため内コイル13及び外コイル14が両方通電された場合側面コイル15を強制的にOFFとした。この場合、本実施例の最大入力は13kwとなり全ての加熱コイルを通電した場合の15kwと比べ電源容量を削減できる。
【0024】
次に、炊飯プロセス後期である「追い炊き1」及び「追い炊き2」だが、炊飯プロセス中期である「炊き上げ2」では、内コイル13と外コイルが対向する面が他の部分より多く加熱されるため、この近傍の鍋と接触した調理物19が多く加熱されため、この鍋表面に当接した調理物19米はきわめて多くの熱を受けることになりでん粉粒が溶出し、前記内コイル13及び外コイル14に当接した鍋表面に付着し鍋表面との付着面積が増大する。この時さらに内コイル13及び外コイル14で加熱を継続すると前記澱粉粒と鍋表面の付着面積が大きいため前記澱粉粒への熱流が大きくなり、澱粉流に色が付き焦げの発生となる。ここで、澱粉粒の付着のない側面コイル15を使用することによって、澱粉への集中加熱が低減されるため焦げの発生を気にすること無に加熱を継続することができる。前記のように加熱を継続することにより、鍋12の側面部を100℃以上に保つことができるため鍋12の側面に生ずる白化を抑えることができるとともに調理物19であるご飯内の温度が100℃より高いレベルで維持することができるため、十分なα化が可能となり、さらにご飯表面に存在する表面水(遊離水)も除去することができ、はり・甘味を向上させた炊飯器を提供することができる。
【0025】
前記内容で明らかなように、炊飯プロセス後期で、側面コイル15通電することにより、焦げを抑え且つ調理物内の温度を98℃以上に維持し調理物19のご飯のアルファ化を促進するするとともに、ご飯となった時に付着している表面水を飛ばしいわゆる「焼工程」を実現しご飯のはりを向上させ食味の大幅な向上が図られる。
【0026】
【発明の効果】
以上のように、請求項1記載の発明によれば、鍋中央部のベチャつきを抑え食味を大幅に向上させ、また、ご飯の焦げを抑え十分なα化が可能となり、さらにご飯表面に存在する表面水(遊離水)も除去することができ、はり・甘味を向上させた炊飯器を提供することができる。
【0027】
また、請求項2記載の発明によれば、スピーディで且つ炊飯量が可変しても炊飯性能の安定した炊飯器を提供することができる。
【0028】
また、請求項3記載の発明によれば、スピーディで且つ炊飯量が予め判っている時の炊飯性能を安定させた炊飯器を提供できる。
【0029】
また、請求項4記載の発明によれば、幅広い米質の対応した炊飯器を提供することができる。
【0030】
また、請求項5記載の発明によれば、全体の給電量を抑える炊飯器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例における電気炊飯器の破断縦断面図
【図2】 同、電気炊飯器の炊飯プロセス図
【図3】 同、電気炊飯器の温度上昇図
【図4】 従来例における炊飯器の破断縦断面図
【符号の説明】
10 ボディ
12 鍋
13 内コイル(第1の加熱手段)
14 外コイル(第2の加熱手段)
15 側面コイル(第3の加熱手段)
17 底センサー(温度検知手段)
18 蓋センサー(沸騰検知手段)

Claims (5)

  1. ボディと、このボディに着脱自在に収納され調理物を入れる鍋と、前記鍋の底面部を加熱する第1の加熱手段と、前記第1の加熱手段の外側に位置し前記鍋の底側面部を加熱する第2の加熱手段と、前記鍋の側面部を加熱する第3の加熱手段と、前記第1、第2、第3の加熱手段の通電を制御する制御手段と、「炊き上げ1」、「炊き上げ2」、「追い炊き1」及び「追い炊き2」を順次展開する炊飯プロセスとを備え、前記「炊き上げ1」は第2の加熱手段及び第3の加熱手段を前記調理物の上部の温度が前記調理物の下層部の温度より高くなるように通電し、前記「炊き上げ2」は第1の加熱手段及び第2の加熱手段を通電するとともに、「追い炊き1」及び「追い炊き2」は鍋の側面部が100℃以上に保つよう第3の加熱手段を通電した電気炊飯器。
  2. 鍋の温度を検知する温度検知手段を備え炊飯開始後、「炊き上げ1」において、温度検知装置の温度が所定値になるまで、第2の加熱手段に加え、第3の加熱手段により通電してなる請求項1に記載の電気炊飯器。
  3. 「炊き上げ1」において、炊飯開始後所定時間、第2の加熱手段に加え、第3の加熱手段により通電してなる請求項1に記載の電気炊飯器。
  4. 第1、第2及び第3の加熱手段は互いに独立して構成された請求項1に記載の電気炊飯器。
  5. 第1及び第2の加熱手段が同時に通電している時、第3の加熱手段は強制的に通電をOFFとした請求項4に記載の電気炊飯器。
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JP2009114212A (ja) * 2000-11-06 2009-05-28 Pharma Mar Sa 効果的な抗腫瘍治療

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