JP4386678B2 - 燃料電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池に関し、特に、空気極を含む電池部を備える燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、空気中の酸素を正極活物質として使用する空気極(正極)を含む燃料電池が知られている(たとえば、特許文献1参照)。このような燃料電池の一例として、空気中の酸素を正極活物質として使用するとともに、水素、メタノールおよび炭化水素などを負極活物質として使用する燃料電池が知られている。この燃料電池の動作としては、水素、メタノールまたは炭化水素と酸素とが反応することにより発電(放電)するとともに、発電(放電)の際に、水や二酸化炭素を放出する。最近では、燃料電池の小型化が進められており、携帯電話やノートパソコンなどの携帯機器用の燃料電池の研究開発が盛んに行われている。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−174855号公報
【発明が解決しようとする課題】
上記した空気中の酸素を正極活物質として使用する燃料電池では、放電時に、空気中の酸素が消費されるため、密閉空間中で使用する場合を想定すると、密閉空間中の酸素濃度が低下すると考えられる。また、充電時には、酸素が排出されるため、密閉空間中で使用する場合を想定すると、密閉空間中の酸素濃度が上昇すると考えられる。特に、現在では考えられないが、将来的には、小型の燃料電池の実用化によって、密閉空間内で多数の燃料電池を含む携帯機器を使用する可能性もある。このような場合には、多数の燃料電池を含む携帯機器の使用によって、密閉空間内の酸素濃度が、人体に適切な酸素濃度の範囲を超える可能性があると考えられる。
【0004】
また、炭化水素やメタノールなどの燃料を用いる燃料電池では、放電時に、二酸化炭素が放出されるため、密閉空間中で使用する場合を想定すると、密閉空間中の二酸化炭素濃度が上昇すると考えられる。このため、密閉空間内で放電時に二酸化炭素を放出する燃料電池を含む多数の携帯機器を使用すれば、密閉空間内の二酸化炭素濃度が、人体に適切な二酸化炭素濃度の範囲を超える可能性があると考えられる。
【0005】
さらに、燃料電池を含む燃料電池は、放電時に、水が放出されるため、密閉空間中で使用する場合を想定すると、密閉空間中の湿度が上昇すると考えられる。この場合、密閉空間内で放電時に水を放出する燃料電池を含む多数の携帯機器を使用すれば、密閉空間内の湿度が適切な湿度の範囲を超えるので、密閉空間内にカビやダニが発生しやすくなるという問題点がある。
【0006】
この発明の目的は、密閉空間内で使用する場合にも、密閉空間内の二酸化炭素濃度を人体に適切な二酸化炭素濃度に保持することが可能な燃料電池を提供することである。
【0007】
この発明のさらにもう1つの目的は、密閉空間内で使用する場合にも、密閉空間内の湿度を適切な湿度に保持することが可能な燃料電池を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0009】
この発明の燃料電池は、空気極を含む電池部と、電池部の外部の二酸化炭素濃度を測定するための二酸化炭素濃度測定部と、二酸化炭素濃度測定部によって測定された二酸化炭素濃度が所定の値に達した時に、電池部の動作を停止する動作停止手段とを備えている。
【0010】
上記燃料電池において、好ましくは、二酸化炭素濃度測定部は、二酸化炭素濃度に応じた出力電圧を発生させる二酸化炭素センサを含み、動作停止手段は、二酸化炭素センサの出力電圧を利用して、二酸化炭素センサの出力電圧が所定の値に達したときに、電池部の動作をオフ状態にするスイッチング部を含む。このように構成すれば、二酸化炭素センサにより発生された電圧を用いてスイッチング動作を行うことができるので、電池部や外部の電力を用いることなく、電池部の動作を停止することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、スイッチング部は、MOSトランジスタおよびリレー装置のうちの少なくとも1つを含む。このように構成すれば、容易に、酸素センサまたは二酸化炭素センサにより発生された電圧を用いてスイッチング動作を行うことができる。
【0012】
この発明の燃料電池は、空気極を含む電池部と、電池部の外部の湿度を測定するための湿度測定部と、湿度測定部によって測定された湿度が所定の値に達した時に、電池部の動作を停止する動作停止手段とを備えている。
【0013】
また、上記のいずれかの構成を有する燃料電池を内蔵した機器を設けてもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による燃料電池の全体構成を示した回路図である。図1を参照して、この第1実施形態では、電池部の外部の二酸化炭素濃度が所定の値に達した時に、電池部の動作を停止させる場合について説明する。
【0016】
この第1実施形態による燃料電池は、図1に示すように、空気中の酸素を正極活物質として使用する空気極(正極)を有する電池部101と、所定のピンチオフ電圧Vpを有するPMOSトランジスタPT101と、抵抗R101およびR102と、固体電解質型二酸化炭素センサ102と、オペアンプ103とを備えている。なお、固体電解質型二酸化炭素センサ102は、本発明の「二酸化炭素濃度測定部」および「二酸化炭素センサ」の一例であり、PMOSトランジスタPT101は、本発明の「動作停止手段」および「スイッチング部」の一例である。また、固体電解質型二酸化炭素センサ(固体電解質型炭酸ガスセンサ)102は、固体電解質と固体基準極との界面において酸化物と二酸化炭素とが化学反応することにより生じる起電力が、被検ガス中の二酸化炭素分圧の対数に比例する原理により、二酸化炭素濃度を測定するものである。
【0017】
PMOSトランジスタPT101は、電池部101の負極と、負荷104との間に接続されている。また、オペアンプ103の出力端子は、PMOSトランジスタPT101のゲートに接続されている。また、オペアンプ103の反転入力端子には、負帰還回路を構成する抵抗R101およびR102の一方の端子が接続されている。抵抗R101の他方の端子は、オペアンプ103の出力端子に接続されており、抵抗R102の他方の端子は、電池部101の負極に接続されている。これにより、抵抗R101と抵抗R102との抵抗値の比を調整することにより、オペアンプ103の増幅率Aを任意に調整することが可能となる。なお、本実施形態では、オペアンプ103の動作電圧は、電池部101から供給されるが、他の電池から供給されてもよい。また、オペアンプ103の非反転入力端子には、固体電解質型二酸化炭素センサ102の一方の端子が接続されている。固体電解質型二酸化炭素センサ102の他方の端子は、電池部101の負極に接続されている。
【0018】
ここで、密閉空間内で放電時に二酸化炭素を放出する燃料電池を多数使用する場合には、密閉空間内の二酸化炭素濃度が上昇すると考えられる。また、人体に適切な空気中の二酸化炭素濃度は、約2%以下であることが知られている。そして、この第1実施形態では、固体電解質型二酸化炭素センサ102は、外部の二酸化炭素濃度が約2%の時にV1の電圧が出力されるように設定されている。また、第1実施形態では、電池部101の外部の二酸化炭素濃度が約2%の時に、PMOSトランジスタPT101のゲートに印加されるオペアンプ103の出力電圧がPMOSトランジスタPT101のピンチオフ電圧Vpになるように、オペアンプ103の増幅率Aが調整されている。すなわち、第1実施形態では、V1×A=Vpになるように、抵抗R101およびR102の抵抗値が調整されている。
【0019】
この第1実施形態の動作としては、放電時に、電池部101の外部の二酸化炭素濃度が上昇して約2%に達したときに、固体電解質型二酸化炭素センサ102の出力電圧がV1になるとともに、PMOSトランジスタPT101のゲートに印加されるオペアンプ103の出力電圧が、PMOSトランジスタPT101のピンチオフ電圧Vpになる。これにより、電池部101の外部の二酸化炭素濃度が上昇して約2%に達したときに、PMOSトランジスタPT101がオフ状態になるので、電池部101の正極から負荷104を介して負極に向かう電流経路が遮断される。その結果、電池部101の放電動作が停止される。なお、電池部101の外部の二酸化炭素濃度が約2%以上の状態では、固体電解質型二酸化炭素センサ102の出力電圧がV1以上になるとともに、PMOSトランジスタPT101のゲートに印加されるオペアンプ103の出力電圧がPMOSトランジスタPT101のピンチオフ電圧Vp以上になるので、PMOSトランジスタPT101のオフ状態(放電動作の停止状態)が維持される。
【0020】
第1実施形態では、上記したように、電池部101の外部の二酸化炭素濃度を測定する固体電解質型二酸化炭素センサ102と、固体電解質型二酸化炭素センサ102によって測定された二酸化炭素濃度が、人体に適切な二酸化炭素濃度の上限値を上回る前の所定の値(約2%)に達したときに、電池部101の放電動作を停止するためのPMOSトランジスタPT101とを設けることによって、密閉空間内で燃料電池の電池部101を放電する場合にも、密閉空間内の二酸化炭素濃度を人体に適切な二酸化炭素濃度の範囲内に保持することができる。
【0021】
また、第1実施形態では、上記したように、オペアンプ103と抵抗R101およびR102とを設けることによって、固体電解質型二酸化炭素センサ102の出力電圧を増幅することができるとともに、この増幅された出力電圧をPMOSトランジスタPT101のゲートに印加することができる。これにより、固体電解質型二酸化炭素センサ102から小さな出力電圧しか得ることができない場合であっても、1個の固体電解質型二酸化炭素センサ102のみにより、PMOSトランジスタPT101のゲートに、容易に、ピンチオフ電圧Vpを印加することができる。
【0022】
(第2実施形態)
図2は、本発明の第13実施形態による燃料電池の全体構成を示した回路図である。図2を参照して、この第13実施形態では、電池部の外部の湿度が所定の値に達した時に、電池部の動作を停止させる場合について説明する。
【0023】
この第2実施形態による燃料電池は、図2に示すように、空気中の酸素を正極活物質として使用する空気極(正極)を有し、放電時に水を放出する電池部131と、毛髪式湿度センサ132とを備えている。なお、毛髪式湿度センサ132は、本発明の「湿度測定部」および「動作停止手段」の一例である。
【0024】
毛髪式湿度センサ132は、電池部131の負極と、負荷134との間に接続されている。この毛髪式湿度センサ132は、毛髪が湿度により伸縮することによって、オン状態またはオフ状態になるマイクロスイッチ(図示せず)を含んでいる。
【0025】
ここで、密閉空間内で放電時に水を放出する燃料電池を多数使用する場合には、密閉空間内の湿度が上昇すると考えられる。また、カビやダニが発生するのを抑制するためには、密閉空間内の湿度として、約60%以下が好ましいことが知られている。そして、この第13実施形態では、毛髪式湿度センサ132は、電池部131の外部の湿度が約60%の時に、毛髪式湿度センサ132のマイクロスイッチがオフ状態になるように設定されている。
【0026】
この第2実施形態の動作としては、放電時に、電池部131の正極から負荷134および毛髪式湿度センサ132を介して、負極に電流が流れる。この際、放電により電池部131の外部の湿度が上昇する。そして、電池部131の外部の湿度が約60%に達したときに、毛髪式湿度センサ132のマイクロスイッチがオフ状態になるので、電池部131の正極から負荷134を介して負極に向かう電流経路が遮断される。その結果、電池部131の放電動作が停止される。なお、電池部131の外部の湿度が約60%以上であれば、毛髪式湿度センサ132のマイクロスイッチがオフ状態になるので、放電動作の停止状態が維持される。
【0027】
第2実施形態では、上記したように、電池部131の外部の湿度を測定するとともに、電池部131の外部の湿度が約60%に達した時にオフ状態になるマイクロスイッチを含む毛髪式湿度センサ132を設けることによって、密閉空間内で燃料電池の電池部131を放電する場合にも、密閉空間内の湿度を適切な湿度(約60%以下)に保持することができる。これにより、カビやダニが発生するのを抑制することができる。
【0028】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0029】
たとえば、上記第1実施形態では、電池部の動作停止手段(スイッチング部)として、MOSトランジスタやリレー装置を用いたが、本発明はこれに限らず、他のスイッチング部を含む動作停止手段を用いてもよい。
【0030】
また、上記第1実施形態では、オペアンプまたはリレー装置の電力を電池部から供給するようにしたが、本発明はこれに限らず、他の外部電源または他の電池から供給するようにしてもよい。
【0031】
また、上記第1実施形態では、二酸化炭素濃度測定部として固体電解質型二酸化炭素センサを用いたが、本発明はこれに限らず、他の二酸化炭素濃度測定手段を用いてもよい。たとえば、固体電解質型二酸化炭素センサ以外の他の二酸化炭素濃度測定手段としては、赤外光方式二酸化炭素センサおよび半導体型二酸化炭素センサなどがある。
【0032】
また、上記第1実施形態では、PMOSトランジスタを用いて、電池部の正極から負極に向かう電流経路を遮断するようにしたが、本発明はこれに限らず、リレー装置を用いて、電池部の正極から負極に向かう電流経路を遮断するようにしてもよい。これにより、二酸化炭素センサを用いた場合にも、電流経路に大電流を流すことができる。
【0033】
また、上記第2実施形態では、湿度測定部として毛髪式湿度センサを用いたが、本発明はこれに限らず、他の湿度測定手段を用いてもよい。たとえば、毛髪式湿度センサ以外の他の湿度測定手段としては、水晶振動式湿度センサ、高分子系湿度センサおよび金属酸化物系湿度センサなどがある。なお、これらの湿度センサを用いる場合には、毛髪式湿度センサを用いる場合と異なり、動作停止手段を別途設ける必要がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態による燃料電池の全体構成を示した回路図である。
【図2】 本発明の第2実施形態による燃料電池の全体構成を示した回路図である。
【符号の説明】
101、131 電池部
103 オペアンプ
PT101 PMOSトランジスタ(動作停止手段、スイッチング部)
102 固体電解質型二酸化炭素センサ(二酸化炭素濃度測定部、二酸化炭素センサ)
132 毛髪式湿度センサ(湿度測定部、動作停止手段)
Claims (5)
- 空気極を含む電池部と、
前記電池部の外部の二酸化炭素濃度を測定するための二酸化炭素濃度測定部と、
前記二酸化炭素濃度測定部によって測定された二酸化炭素濃度が所定の値に達した時に、前記電池部の動作を停止する動作停止手段とを備えた、燃料電池。 - 前記二酸化炭素濃度測定部は、
二酸化炭素濃度に応じた出力電圧を発生させる二酸化炭素センサを含み、
前記動作停止手段は、
前記二酸化炭素センサの出力電圧を利用して、前記二酸化炭素センサの出力電圧が所定の値に達したときに、前記電池部の動作をオフ状態にするスイッチング部を含む、請求項1に記載の燃料電池。 - 前記スイッチング部は、MOSトランジスタおよびリレー装置のうちの少なくとも1つを含む、請求項2に記載の燃料電池。
- 空気極を含む電池部と、
前記電池部の外部の湿度を測定するための湿度測定部と、
前記湿度測定部によって測定された湿度が所定の値に達した時に、前記電池部の動作を停止する動作停止手段とを備えた、燃料電池。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料電池を内蔵した機器。
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