JP4334421B2 - フィルター共用型デコーダーおよびこれを組み込んだ無線通信機 - Google Patents

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本発明は、音声およびデータの送受信をするため、音声送受信機能とミニマム・シフト・キーイング・モデム(MSKモデム)とを備えた無線通信機のデコーダーに関し、詳しくはコチャネル・リジェクション(Co‐channel Rejection)の特性を示すリジェクション・レシオを向上させるMSKデコーダーおよびこれを組み込んだ無線通信機に関する。
図2は、従来における無線通信機の装置構成を示すハードウエアブロック図である。マイク1から入力された音声信号は、マイクアンプ2で増幅される。さらにこの音声信号は、プリエンファシス回路4においてS/Nの改善のため、音声信号の高域を+6dB/octにて強調される。高域が強調された音声信号は、第1のスイッチ5によりスプラッタフィルター6へ入力され、隣接チャネルへの漏洩を防止するため3kHzのローパスフィルターを通過する。スプラッタフィルター6を通過した音声信号は、変調器7で周波数変調された後、送信回路8で高周波電力増幅され、第2のスイッチ9によりアンテナ10に接続されて、相手の無線通信機あるいは基地局へと送信される。
送信された音声信号は、相手の無線通信機のアンテナ10および第2のスイッチ9を通り、受信回路11で信号増幅される。増幅された信号は、復調器12で音声信号に復調される。その後復調された音声信号は、デエンファシス回路13において、強調された音声信号をー6dB/octで元の音声信号に戻され、音声電力増幅器15でスピーカを駆動するために電力増幅される。電力増幅された音声信号は、スピーカを駆動し受信者に情報を伝える。
ところでMSKモデムの用途としては、データの伝送として、送信の開始・終了時にIDを送信し個別呼び出しを行う、無線機に接続したGPSからの座標データを通信先に知らせる、トランキングシステムとリンクする際に端末IDの伝送やハンドシェークのためのデータを送受信する、などがある。ここでは、送信の開始・終了時にIDを送信し個別呼び出しを行う場合を例に説明する。送信の開始・終了時に入力されたIDがMSKエンコーダー3で符号化され、1200bpsあるいは2400bpsのMSKデータ信号に変換されて、第1のスイッチ5によりスプラッタフィルター6に接続される。その後、音声入力信号の場合と同様に、符号化されたIDがMSKデータ信号としてアンテナ10から送信される。
送信されたMSKデータ信号は、相手の無線通信機のアンテナ10から復調器12までを、送信された音声信号の場合と同様のプロセスを通り、復調器12でMSKデータ信号に復調される。この復調されたMSKデータ信号は、MSKデコーダー14へ入力され、元のデータであるIDに復元される。このようなMSK信号の応用例として、個別呼び出し情報、グループ呼び出し情報、および第1の一斉呼び出し情報によってそれぞれ呼び出しが可能な無線通信機の呼び出し制御装置において、特許文献1に記載の第2の一斉呼び出しがあると、通信中の無線機を優先的に第2の一斉呼び出しに切り替える制御装置が知られている。
特開2000−315979号公報
音声およびデータの送受信をするため、音声送受信機能とMSKモデムとを備えた無線通信機が普及する中、ヨーロッパにおいても利用が拡大している。ところがヨーロッパにおいては、European Standard(ETSI EN300 113−1)にヨーロッパ規格としてのコチャンネル・リジェクション・レシオが示されている。これによるとリジェクション・レシオは、チャネル・セパレーション20kHzあるいは25kHzにおいて0dB〜−8.0dB、また12.5kHzにおいて0dB〜−12dBと定義されている。
ところが、図1で説明した従来の無線通信機はこの規格値をクリアするものの、装置設計の観点からすると、チャネル・セパレーションの条件次第では、動作余裕度において十分とはいえない状況であった。そのため、大幅な設計変更を生じることがなく、かつ高価な部品の増設を伴わないで動作余裕度を改善する方法が求められていた。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、大幅な設計変更を生じることがなく、かつ高価な部品の増設を伴わないでコチャンネル・リジェクション・レシオを向上させ、動作余裕度を改善するMSKデコーダーおよびこれを組み込んだ無線通信を提供する。
本発明のフィルター共用型デコーダーは、音声およびデータの送受信をするための無線通信機において送信される音声信号のS/Nを改善するために高域を強調するプリエンファシス回路と、受信信号を音声信号または受信MSKデータ信号に復調する復調器と、送信の開始・終了時に入力されたIDを符号化するMSKエンコーダと、前記プリエンファシス回路の出力と前記復調器の出力とを選択する第1の切り替え手段と、前記第1の切り替え手段の出力と前記MSKエンコーダの出力とを選択する第2の切り替え手段と、を備え、前記第2の切り替え手段の出力は、送信信号が隣接チャネルへ漏洩するのを防止するスプラッタフィルターの入力に接続され、前記スプラッタフィルターの出力は、送信信号に変調する変調器と、高域が強調された復調器の出力を元の音声信号に戻すデエンファシス回路と、前記受信MSKデータ信号を元のデータに復元するMSKデコーダーと、に接続されることを特徴とする。
前記フィルター共用型デコーダーは、前記無線通信機の前記復調器で復調された受信MSKデータ信号が、前記第1の切り替え手段および前記第2の切り替え手段にて前記スプラッタフィルターに入力され、前記スプラッタフィルターから出力された前記受信MSKデータ信号が、前記MSKデコーダーに入力されることを特徴とする。
前記フィルター共用型デコーダーは、前記無線通信機のPTT(Push To Talk)スイッチに連動して前記第1の切り替え手段および前記第2の切り替え手段が切り替わり、前記MSKデータ信号が前記スプラッタフィルターに入力されることを特徴とする。
本発明の無線通信機は、前記フィルター共用型デコーダーを組み込んで成ることを特徴とする。
本発明のフィルター共用型デコーダーによると、大幅な設計変更を生じることがなく、かつ高価な部品の増設を伴わないでコチャンネル・リジェクション・レシオを向上させ、動作余裕度を改善するMSKデコーダーおよびこれを組み込んだ無線通信を提供することが可能となる。
本発明によるフィルター共用型デコーダーの実施の形態について、図1を用いて説明する。図1は、本発明のフィルター共用型デコーダーを実装した無線通信機の装置構成を示すハードウエアブロック図である。図2で説明した動作と同じブロックについては、同一の名称と番号が付されている。
マイク1から入力された音声信号は、マイクアンプ2で増幅される。さらにこの音声信号は、プリエンファシス回路4においてS/Nの改善のため、音声信号の高域を+6dB/octにて強調される。高域が強調された音声信号は、第3のスイッチ17と第1のスイッチ5とによりスプラッタフィルター6へ入力され、隣接チャネルへの漏洩を防止するため3kHzのローパスフィルターを通過する。第3のスイッチ17と第1のスイッチ5の動作は、無線通信機のPTT(Push To Talk)スイッチに連動して動作し、送信時にPTTスイッチが押されると第3のスイッチ17と第1のスイッチ5はMSKエンコーダー3とスプラッタフィルター6を接続する回路構成をとる。スプラッタフィルター6を通過した音声信号は、変調器7で周波数変調された後、送信回路8で高周波電力増幅され、第2のスイッチ9によりアンテナ10に接続されて、相手の無線通信機あるいは基地局へと送信される。
送信された音声信号は、相手の無線通信機のアンテナ10および第2のスイッチ9を通り、受信回路11で信号増幅される。増幅された信号は、復調器12で音声信号に復調される。その後復調された音声信号は、PTTスイッチに連動した第3のスイッチ17と第1のスイッチ5とにより復調器12とスプラッタフィルター6が接続されるため、接続回路が切り替わり、スプラッタフィルター6へ入力される。スプラッタフィルター6で妨害波のノイズが除去された音声信号は、デエンファシス回路13において、強調された音声信号をー6dB/octで元の音声信号に戻され、音声電力増幅器15でスピーカを駆動するために電力増幅される。電力増幅された音声信号は、スピーカを駆動し受信者に情報を伝える。
MSKデータ信号によるデータ伝送を、図1の場合と同様、送信の開始・終了時にID(呼び出し番号)を送信し個別呼び出しを行う場合を例に説明する。送信の開始・終了時に入力されたIDがMSKエンコーダー3で符号化され、1200bpsあるいは2400bpsのMSKデータ信号に変換されて、PTTスイッチに連動した第3のスイッチ17と第1のスイッチ5とによりスプラッタフィルター6に接続される。その後、音声入力信号の場合と同様に、符号化されたIDがMSKデータ信号としてアンテナ10から送信される。
送信されたMSKデータ信号は、相手の無線通信機のアンテナ10から復調器12までを、送信された音声信号の場合と同様のプロセスを通り、復調器12でMSKデータ信号に復調される。この復調されたMSKデータ信号は、PTTスイッチに連動した第3のスイッチ17と第1のスイッチ5とにより復調器12とスプラッタフィルター6が接続されるため、接続回路が切り替わり、スプラッタフィルター6へ入力される。スプラッタフィルター6で妨害波のノイズが除去されたMSKデータ信号は、MSKデコーダー14へ入力され、元のデータである呼び出し番号に復元される。この呼び出し番号は、受信側で自局の番号か否かがチェックされ、自局の番号であると判別されると、個別通話中の動作となる(図示されず)。
図3は、本発明によるフィルター共用型デコーダーを実装した無線通信機の受信総合特性を示す周波数対ゲイン特性図である。300Hzから3kHzの周波数帯域外の妨害波成分をカットすることで受信感度や歪み等、受信性能全般の性能が向上し、MSKデコード性能全般が改善され、図1に示される従来の無線通信機のコチャンネル・リジェクション・レシオに対して平均2dBの特性改善がもたらされた。またこの効果は音声受信におけるS/Nの改善にも繋がる。
以上説明したように、本発明によれば、大幅な設計変更を生じることがなく、かつ高価な部品の増設を伴わないでコチャンネル・リジェクション・レシオを向上させ、動作余裕度を改善するMSKデコーダーを提供できる。また図1における第1のスイッチ5は、音声信号とデータ信号の処理方法の違い、および送信タイミングの違いによりPTTスイッチに連動して接続を切り替えないで、回路的に常時接続されていても良い。
本発明によるフィルター共用型デコーダーを実装した無線通信機の装置構成ハードウエアブロック図。 従来における無線通信機の装置構成を示す。 本発明のフィルター共用型デコーダーを実装した無線通信機の受信総合特性を示す、周波数対ゲイン図。
符号の説明
1 マイク
2 マイクアンプ
3 MSKエンコーダー
4 プリエンファシス回路
5 第2のスイッチ(S1)
6 スプラッタフィルター
7 変調器
8 送信回路
9 第2のスイッチ(S2)
10 アンテナ
11 受信回路
12 復調回路
13 デエンファシス回路
14 MSKデコーダー
15 音声電力増幅器
16 スピーカ
17 第3のスイッチ(S3)

Claims (4)

  1. 音声およびデータの送受信をするための無線通信機において
    送信される音声信号のS/Nを改善するために高域を強調するプリエンファシス回路と、受信信号を音声信号または受信MSKデータ信号に復調する復調器と、送信の開始・終了時に入力されたIDを符号化するMSKエンコーダと、
    前記プリエンファシス回路の出力と前記復調器の出力とを選択する第1の切り替え手段と、前記第1の切り替え手段の出力と前記MSKエンコーダの出力とを選択する第2の切り替え手段と、
    を備え、
    前記第2の切り替え手段の出力は、送信信号が隣接チャネルへ漏洩するのを防止するスプラッタフィルターの入力に接続され、
    前記スプラッタフィルターの出力は、送信信号に変調する変調器と、高域が強調された復調器の出力を元の音声信号に戻すデエンファシス回路と、前記受信MSKデータ信号を元のデータに復元するMSKデコーダーと、に接続されることを特徴とするフィルター共用型デコーダー。
  2. 請求項1に記載のフィルター共用型デコーダーにおいて、前記無線通信機の前記復調器で復調された受信MSKデータ信号が、前記第1の切り替え手段および前記第2の切り替え手段にて前記スプラッタフィルターに入力され、前記スプラッタフィルターから出力された前記受信MSKデータ信号が、前記MSKデコーダーに入力されることを特徴とするフィルター共用型デコーダー。
  3. 請求項2に記載のフィルター共用型デコーダーにおいて、前記無線通信機のPTT(Push To Talk)スイッチに連動して前記第1の切り替え手段および前記第2の切り替え手段が切り替わり、前記MSKデータ信号が前記スプラッタフィルターに入力されることを特徴とするフィルター共用型デコーダー。
  4. 請求項1乃至3に記載のフィルター共用型デコーダーを組み込んで成ることを特徴とする無線通信機。
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