JP4316575B2 - 車両用衝撃吸収構造体及びその取付構造 - Google Patents

車両用衝撃吸収構造体及びその取付構造 Download PDF

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Description

本発明は、車両用衝撃吸収構造体及びその取付構造に係り、特に、歩行者や歩行者以外の物体との接触乃至は衝突事故の発生時等に、歩行者や車両の乗員に加わる衝撃を緩和して、歩行者や乗員の保護を図るようにした車両用衝撃吸収構造体と、そのような衝撃吸収構造体を車両に有利に取り付けるための構造とに関するものである。
従来から、自動車等の車両の多くのものにあっては、ピラーガーニッシュやルーフサイドレール、インストルメントパネル等、衝突事故の発生時に乗員の頭部や脚部が接触する可能性が高い内装部品の車室側とは反対側(裏側)に、衝撃吸収構造体が設置されている。これにより、それらの内装部品に対して乗員が衝突事故時等に接触した際に、乗員に加わる衝撃が緩和されて、乗員の保護が図られるようになっている。また、近年では、内装部品だけでなく、バンパ等、歩行者と接触する可能性の高い外装部品の内側にも、衝撃吸収構造体が設置され、車両の走行中に、例えば歩行者の脚部等が、それらの外装部品と接触せしめられた時に、それに伴って生ずる衝撃エネルギーが、衝撃吸収構造体の変形により吸収せしめられて、歩行者脚部の損傷の軽減を図るような歩行者保護対策も、講じられるようになってきている。
そして、よく知られているように、そのような車両用衝撃吸収構造体には、様々な構造を有する各種のものがあり、例えば、バンパの内側に設置される衝撃吸収構造体としては、例えば、(ア)断面コ字形状を呈する鉄やアルミ等の金属製の屈曲板材からなり、衝撃の入力により座屈変形せしめられるように構成されたもの(例えば、下記特許文献1及び2参照)や、(イ)中空形状を呈する樹脂発泡体からなるもの(例えば、下記特許文献3及び4参照)等がある。それらのうち、(ア)の衝撃吸収構造体にあっては、衝撃入力の初期段階において、小さな変位量で荷重値が急激に上昇し、その後、変位量の増加に拘わらず、荷重値が略一定に推移するといった、矩形波を描く理想的な荷重−変位特性が確保される。また、(イ)の衝撃吸収構造体では、それまでの中実の樹脂発泡体製の衝撃吸収構造体に比して、より一層優れた軽量性が得られるだけでなく、衝撃入力の初期段階での衝撃吸収性能の向上が図られている。
しかしながら、金属製屈曲板材からなる衝撃吸収構造体では、重量が大きく、燃費に悪影響を及ぼすだけでなく、成形性に乏しいために、全体形状を設置スペースの形状に適応させることが困難であった。また、中空樹脂発泡体からなる衝撃吸収構造体においては、矩形波を描く荷重−変位特性を得ることが出来ず、しかも、衝撃入力時に割れが発生し易いために、個体毎のバラツキのない衝撃吸収性能を安定的に確保することが容易ではなかった。つまり、前記せる(ア)と(イ)の衝撃吸収構造体は、何れにしろ、改善されるべき問題が、幾つも内在していたのである。
かかる状況下、(ウ)衝撃が入力せしめられる天板部と、天板部の衝撃が入力される面とは反対側の面に対して、互いに対を為して対向位置せしめられた状態で、衝撃の入力方向に延びるように一体的に立設せしめられ、衝撃の入力により座屈変形せしめられることで衝撃を吸収する側壁部とを一体的に有して、衝撃の入力方向と平行な断面がコ字形状とされた樹脂成形体からなる車両用衝撃吸収構造体が、提案されている(例えば、下記特許文献5及び6参照)。このような衝撃吸収構造体においては、樹脂成形体からなることで、優れた成形性と軽量性とが発揮されると共に、側壁部の座屈変形により衝撃吸収が行われるようになっていることによって、矩形波を描く理想的な荷重−変位特性が安定的に確保され得、以て、前記せるような(ア)と(イ)の衝撃吸収構造体が有する問題点が悉く解消され得るのである。
ところが、かくの如き従来の衝撃吸収構造体にあっては、例えば、設置スペースの大きさに応じた、限られた衝撃ストロークの中で、衝撃エネルギーの吸収量を増大させる場合、通常、側壁部を厚肉化することで、荷重−変位特性における目標荷重値を許容範囲内で上昇せしめる構造が採用されることとなるのであるが、実際には、そのような側壁部の厚肉化だけでは、衝撃エネルギーの吸収量を、期待する程、増大させることが難しく、却って、厚肉化による重量の増大を招く結果となってしまう。即ち、上記せる(ウ)の衝撃吸収構造体では、衝撃エネルギーの吸収量が所望の量となるように、荷重−変位特性のチューニングを行うことが容易ではなかったのであり、そこに、未だ改良の余地が、存していたのである。
特開2003−285704号公報 特開2004−322876号公報 特開2004−168077号公報 特開2004−224106号公報 特表2005−510393号公報 特開2005−104164号公報
ここにおいて、本発明は、上述せる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、衝撃エネルギーの吸収量が所望の量となるように、荷重−変位特性を容易に且つ適切にチューニングすることが出来、以て、更に一層優れた衝撃吸収性能が有利に得られるようにした車両用衝撃吸収構造体の新規な構造を提供することにある。
そして、本発明にあっては、かかる課題を解決するために、その要旨とするところは、
衝撃が入力せしめられる天板部と、該天板部の衝撃が入力される面とは反対側の面に対して、互いに対向位置せしめられた状態で、該衝撃の入力方向に延びるように一体的に立設せしめられ、衝撃の入力により変形せしめられることで衝撃を吸収する二つの側壁部とを有して、該衝撃の入力方向と平行な断面がコ字形状とされた樹脂成形体を含んでなる車両用衝撃吸収構造体において、前記二つの側壁部を、それぞれ、前記衝撃の入力方向と直角な方向において所定距離を隔てて互いに対向位置する複数の段付け部にて段付けされた、該衝撃の入力方向と直角な方向に延びる矩形の波形形状とすると共に、該二つの側壁部の天板部側とは反対側の端部に、外フランジ部を、側壁部における該衝撃の入力方向と直角な方向の全長に延びるように、それぞれ一体形成し、更に、各側壁部における前記複数の段付け部の全てに対して、それぞれ、該衝撃の入力方向に一定幅をもって延びるスリットを設けて、各側壁部が、衝撃入力方向と直角な方向の断面において、該スリットにて、前記波形形状における凸部の形成部分と凹部の形成部分とにそれぞれ分割されるように構成したことを特徴とする車両用衝撃吸収構造体にある。
なお、ここで言う矩形の波形形状とは、長方形や正方形の波形形状の他、台形の波形形状等、各種の四辺形の波形形状を言うものである。以下、同一の意味において使用する。
すなわち、本発明に従う車両用衝撃吸収構造体にあっては、段付け部の幅、つまり側壁部における矩形の波形の高さを種々変更したり、或いは段付け部に設けられたスリットの幅や長さを調節したりすれば、例えば、側壁部の肉厚を何等変更することなく、側壁部の変形強度を変化させて、荷重−変位特性における目標荷重値を有利に増減せしめることが出来る。
また、かかる車両用衝撃吸収構造体では、側壁部の天板部側とは反対側の端部に、外フランジ部が、衝撃入力方向と直角な方向の全長に延びるように一体形成されているところから、段付け部に設けられるスリットの長さを十分に長くしても、側壁部のうち、互いに隣り合うスリット同士の間に位置する部分同士が、外フランジ部にて相互に連結された状態と為され得る。それ故、段付け部に対するスリットの形成によって、側壁部全体の変形強度が過度に低下してしまうようなことが有利に回避され得る。
しかも、本発明に係る車両用衝撃吸収構造体においては、側壁部の段付け部に設けられたスリットが、衝撃の入力方向に延びる形態とされているところから、側壁部における衝撃の入力方向と直角な断面が、側壁部の一方の側面において開口するコ字状部分と他方の側面において開口するコ字状部分とを、衝撃入力方向と直角な方向において、開口部が重なり合わないように、互い違いに一列に並べた如き形状とされる。そのため、衝撃の入力時に、かかる側壁部の各コ字状部分が、それぞれ、側壁部の側方に向かって屈曲変形せしめられるようになり、以て、変形状態において互いに干渉し合うようになることが、可及的に阻止され得る。そして、それにより、側壁部の変形時における有効ストロークが、十分に大きく為され得る。
従って、かくの如き本発明に従う車両用衝撃吸収構造体にあっては、単に、段付け部の幅やスリットの幅及び長さ等を変更するだけで、荷重−変位特性を、適切な範囲内において容易に且つ確実にチューニングすることが出来、しかも、十分に大きな有効ストロークが有利に得られるのであり、それによって、所望の衝撃エネルギーの吸収量を確実に且つ安定的に確保することが可能となる。そして、その結果として、例えば、衝突による衝撃の大きさやかかる衝撃から保護されるべき対象物の違い等に十分に適応した、更に一段と優れた衝撃吸収性能を、極めて効果的に得ることが出来るのである。
また、本発明に従う車両用衝撃吸収構造体においては、外フランジ部全体を、車両の所定部位に接触させた状態で、車両に取り付けるようにすれば、衝撃入力時に、側壁部全体において、変形に必要な反力が十分に得られるようになる。それによって、衝撃吸収性能の衝突位置依存性が、有利に解消され得ることとなる。
発明の態様
ところで、本発明は、少なくとも、以下に列挙する如き各種の態様において、好適に実施され得るものである。
(1)衝撃が入力せしめられる天板部と、該天板部の衝撃が入力される面とは反対側の面に対して、互いに対向位置せしめられた状態で、該衝撃の入力方向に延びるように一体的に立設せしめられ、衝撃の入力により変形せしめられることで衝撃を吸収する二つの側壁部とを有して、該衝撃の入力方向と平行な断面がコ字形状とされた樹脂成形体を含んでなる車両用衝撃吸収構造体にして、
前記二つの側壁部を、それぞれ、前記衝撃の入力方向と直角な方向において所定距離を隔てて互いに対向位置する複数の段付け部にて段付けされた、該衝撃の入力方向と直角な方向に延びる矩形の波形形状とすると共に、該二つの側壁部の天板部側とは反対側の端部に、外フランジ部を、側壁部における該衝撃の入力方向と直角な方向の全長に延びるように、それぞれ一体形成し、更に、各側壁部における前記複数の段付け部の全てに対して、それぞれ、該衝撃の入力方向に一定幅をもって延びるスリットを設けて、各側壁部が、衝撃入力方向と直角な方向の断面において、該スリットにて、前記波形形状における凸部の形成部分と凹部の形成部分とにそれぞれ分割されるように構成したことを特徴とする車両用衝撃吸収構造体
(2) 上記の態様(1)において、前記スリットが、前記段付け部における該スリットの延出方向と直角な幅方向の中央部に設けられていること。この本態様によれば、段付け部におけるスリットを間に挟んだ両サイド部分の幅が、略同一の大きさとされる。そのため、衝撃の入力方向と直角な断面形状がコ字状とされた、側壁部におけるスリットを間に挟んだコ字状部分の全てが、互いに同様な変形強度を有するようになる。これによって、側壁部における衝撃入力位置の違いによる荷重−変位特性のバラツキが有利に抑えられ、以て、安定した衝撃吸収性能が、効果的に確保され得ることとなる。
(3) 上記せる態様(1)又は態様(2)において、前記外フランジ部に、前記段付け部における前記天板部側とは反対側の端部に沿って延びる肉抜け部が設けられて、該外フランジ部と該段付け部とが非連結とされていること。この本態様によれば、衝撃入力による側壁部の変形時における段付け部の変形乃至は変位自由度が有利に高められ、それによって、段付け部、ひいては側壁部の潰れ残りが効果的に解消乃至は小さくされる。以て、側壁部の有効ストロークが、更に有利に大きく為され得る。
(4) 上記の態様(1)乃至態様(3)のうちの何れか一つにおいて、前記外フランジ部における前記天板部側とは反対側の面に、車両の所定部位に設けられた係合面に係合して、該外フランジ部を該車両の所定部位に固定する係合部が、一体形成されていること。このような本態様によれば、車両の所定部位に対する衝撃吸収構造体の取付けが容易となる。また、変形によって衝撃吸収を行う部分ではない外フランジ部に、衝撃吸収構造体を車両の所定部位に固定するため係合部が設けられるため、かかる係合部の形成によって、衝撃吸収性能が影響を受けるようなことが、有利に回避され得る。
(5) 上記せる態様(1)乃至態様(4)のうちの何れか一つにおいて、前記互いに対向位置する二つの側壁部のそれぞれの対向面と前記天板部における該側壁部の立設側の面とにて形成される内周面のうち、前記衝撃の入力方向と直角な方向における少なくとも一方側の端縁の内周面部分に、周方向に連続して延びる補強リブが、一体的に設けられていること。
この本態様においては、側壁部のうち、内周面部分に補強リブが形成された、衝撃の入力方向と直角な方向の端部が、かかる端部以外の部分と同様な変形強度を有するように構成される。それによって、側壁部における衝撃入力位置の違いによる荷重−変位特性のバラツキが有利に抑えられ、以て、衝撃の入力方向と直角な長さ方向の全長に亘って、均一な衝撃吸収性能が、安定的に確保され得る。
それ故、例えば、端部内周面部分に補強リブが形成されてなる衝撃吸収構造体の複数を、衝撃の入力方向と直角な方向に並べて配置しても、衝撃入力位置の違いにより、衝撃吸収性能が不均一となるようなことが、有利に防止され得る。
従って、本態様によれば、衝撃吸収性能を損なうことなく、衝撃吸収構造体の小型化を有利に実現することが可能となる。そして、その結果として、小型化による衝撃吸収構造体の成形性の向上と製作コストの削減とが、効果的に達成され得ることとなる。
(6) 上記せる態様(1)乃至態様(5)のうちの何れか一つにおいて、前記二つの側壁部が、前記天板部から離隔するに従って互いに離間するように、それぞれ傾斜せしめられていること。この本態様によれば、衝撃入力による側壁部の変形時に、互いに対向する側壁部同士が相互に接触し、干渉するようなことが可及的に回避乃至は抑制され得、それによって、可及的に大きな有効ストロークが有利に確保され得る。
(7) 上記の態様(1)乃至態様(6)のうちの何れか一つにおいて、前記複数の段付け部が、互いに対向するもの同士において、前記天板部から離隔するに従って互いに接近するか若しくは離間するように、それぞれ傾斜せしめられていること。この本態様によれば、衝撃入力による側壁部の変形時に、互いに対向する段付け部同士が相互に接触し、干渉するようなことが可及的に回避乃至は抑制され得、それによって、可及的に大きな有効ストロークが有利に確保され得る。
(8) 上記の態様(1)乃至態様(7)のうちの何れか一つにおいて、前記側壁部が、前記衝撃の入力方向と直角な方向に延びる台形の波形形状となるように、前記複数の段付け部が、互いに対向するもの同士において、前記二つの側壁部の対向方向の外側に向かって、相互に接近するか若しくは離間するように、それぞれ傾斜せしめられていること。この本態様によれば、例えば、互いに対向する段付け部同士が、衝撃の入力方向に平行に延びるように位置せしめられている場合に比して、衝撃入力による側壁部の変形時に、互いに対向位置する段付け部同士が接触して、干渉し合うようなことが、より可及的に防止乃至は抑制され得、以て、可及的に大きな有効ストロークが、更に有利に確保され得る。
(9) 上記態様(1)乃至態様(8)のうちの何れか一つに記載の車両用衝撃吸収構造体の車両への取付構造であって、車両に取り付けられた、前記衝撃の入力方向と直角な方向に延びる延出部材に、その延出方向と該衝撃の入力方向の両方向に対して直角な方向において互いに所定距離を隔てて対向する第一の対向部と第二の対向部とを設けて、前記互いに対向位置せしめられた二つの側壁部のそれぞれに形成された前記外フランジ部を、該第一の対向部と該第二の対向部とにて挟まれるように位置せしめた状態で、該剛性部材における該第一の対向部と該第二の対向部の間の部位に固定することにより、前記車両用衝撃吸収構造体を、該延出部材を介して車両に取り付けると共に、かかる取付状態下で、該側壁部が前記衝撃により変形せしめられたときに、該外フランジ部が該第一の対向部と該第二の対向部とにそれぞれ当接して、該側壁部の対向方向外側への該外フランジ部の変位が規制されるように構成したことを特徴とする車両用衝撃吸収構造体の取付構造。
このような本態様によれば、衝撃入力による側壁部の変形時に、例えば、外フランジ部が、延出部材上を摺動し、変位すること等によって、側壁部が十分に変形せしめられる前に、倒れてしまい、そのために、側壁部の変形不足が生ずるようなことが、有利に防止され得る。従って、衝撃入力時における側壁部の変形量が十分に確保され、以て、優れた衝撃吸収性能が、より安定的に発揮され得ることとなる。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明に係る車両用衝撃吸収構造体とその取付構造の構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
先ず図1乃至図4には、本発明に係る構造を有する車両用衝撃吸収構造体の一例として、自動車のフロントバンパの内側に設置される衝撃吸収構造体が、その正面形態と平面形態と切断位置が互いに異なる二つの縦断面形態とにおいて、それぞれ概略的に示されている。それらの図からも明らかなように、衝撃吸収構造体10は、天板部12と二つの側壁部14a,14bとを一体的に有して、構成されている。
より具体的には、この衝撃吸収構造体10は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等、座屈変形し易く且つ適度な可撓性を有するオレフィン系の合成樹脂材料等を用いた射出成形にて、天板部12と二つの側壁部14a,14bとが一体成形された樹脂成形体から成っている。
そして、かかる樹脂成形体からなる衝撃吸収構造体10にあっては、天板部12が、比較的に肉厚の薄い長手の狭幅板材からなり、厚さ方向の一方側の面が、衝撃吸収構造体10が設置されるべきフロントバンパにおけるバンパカバーの内面形状に対応した凸状湾曲面とされている。そして、この凸状湾曲面からなる天板部12の一方側の面が、後述する如きバンパカバーの内側への衝撃吸収構造体10の設置状態下で衝撃が入力せしめられる衝撃入力面16とされている。つまり、ここでは、天板部12の衝撃入力面16に対して直角な方向で、且つ衝撃入力面16側から、それとは反対側の裏面17側に向かう方向(図8中、矢印アにて示される方向)が、衝撃の入力方向とされているのである。
一方、二つの側壁部14a,14bも、それぞれ、天板部12と同一厚さを有する長手の板材から成っている。そして、それら二つの側壁部14a,14bが、天板部12の裏面17において長手方向(衝撃の入力方向と直角な方向で、図2中、左右方向)に延びる二つの長辺部18a,18bから、衝撃の入力方向に延出せしめられている。換言すれば、天板部12の裏面17に対して、互いに対向位置せしめられた状態で、衝撃の入力方向に延びるように、一体的に立設されている。なお、ここでは、各側壁部14の幅(図1中、上下方向の寸法)が、天板部12の凸状湾曲形態に対応して、長手方向の一方側から他方側(図1中、右側から左側)に向かって徐々に狭幅とされている。つまり、各側壁部14の高さが、長手方向の一方側から他方側に向かって徐々に低くなるように構成されている。
また、かかる衝撃吸収構造体10においては、二つの側壁部14a,14bが狭幅(高さが低く)とされた、長手方向一方側の端部部位に、平板状の連結壁部20が、天板部12の裏面17に対して、一体的に立設されている。即ち、天板部12の幅方向(図2中、上下方向)に延びる二つの短辺部22a,22bのうちの一方の短辺部22aのみから、連結壁部20が、各側壁部14の延出方向と同一方向に延出せしめられており、そして、この連結壁部20にて、二つの側壁部14a,14bが、狭幅とされた長手方向の対応する端部同士において相互に連結されているのである。なお、この連結壁部20は、天板部12や側壁部14と同一の厚さと、天板部12側の端縁部の幅よりも、その反対側の端縁部の幅が大きくされた台形状の全体形状とを有し、天板部12から離隔するに従って、他方の短辺部22bから徐々に離間するように傾斜せしめられている。
一方、図3及び図5から明らかなように、かかる衝撃吸収構造体10にあっては、長手方向における連結壁部20の形成側とは反対側の端部の内周面に、補強リブ21が、一体的に設けられている。この補強リブ21は、狭幅の薄肉平板からなり、二つの側壁部14a,14bのそれぞれの対向面における幅広側(図1中、右側)の端縁部と、かかる端縁部に対応位置する天板部12の裏面17の端縁部とに対して、それぞれ所定高さ突出し、且つそれらの対向面と裏面17とに連続して、周方向に延出せしめられた、全体として、門形形状を有している。そして、厚さ方向の一方側の面が、各側壁部14と天板部12のそれぞれの端面と面一となるように、位置せしめられている。これによって、各側壁部14の高さが高くされた端部部位における変形強度が、適度に高められている。
ところで、本実施形態では、特に、二つの側壁部14a,14bが、それぞれ、矩形の波形形状を描きながら、長手方向、つまり衝撃の入力方向と直角な方向に延びる形態とされている。つまり、各側壁部14には、それを直角よりも所定量だけ大きな角度で屈曲せしめるようにして段付けする段付け部24の複数が、衝撃入力方向と直角な方向において所定距離を隔てて互いに対向位置するように設けられている。また、それら各側壁部14には、互いに対向位置する段付け部24同士を側部として、板厚方向の一方側に向かって突出する矩形の凸部26と、互いに対向位置する段付け部24同士を側部として、板厚方向の一方側に向かって凹陥する凹部28とが、衝撃入力方向と直角な方向において交互に連続して形成されている。
そして、このような二つの側壁部14a,14bが、それぞれの凸部26における各側壁部14の長手方向に延びる平坦な頂部部位同士を、またそれぞれの凹部28における各側壁部14の長手方向に延びる平坦な底部部位同士を、各々、互いに対向位置せしめると共に、各凸部26を、対向方向の外方に向かって突出させ、且つ各凹部28を、対向方向内方に向かって凹陥せしめるように配置した状態で、天板部12の裏面17における二つの長辺部18a、18bのそれぞれから、衝撃の入力方向に延出せしめられているのである。
換言すれば、天板部12が、狭幅部分と幅広部分とが交互に連続して複数設けられた、全体として細長い段付の矩形形状を呈しており、そして、この天板部12の各幅広部分に対して、二つの側壁部14a,14bのそれぞれの凸部26が対応位置せしめられると共に、天板部12の各狭幅部分に対して、二つの側壁部14a,14bのそれぞれの凹部28が対応位置せしめられた状態で、各側壁部14a,14bが、天板部12の裏面17に対して、一体的に立設されているのである。なお、ここでは、それら凸部26の頂部部位同士、及び凹部28の底部部位同士、更には凸部26の頂部部位と凹部28の底部部位とが、全て、略同一の幅とされている。
また、本実施形態においては、図2及び図3に示されるように、二つの側壁部14a,14bが、天板部12の裏面17に対して一体的に立設された状態下で、天板部12から離隔するに従って互いに離間するように、それぞれ傾斜せしめられている。
さらに、図1、図2、及び図4に示されるように、各側壁部14における複数の段付け部24のうち、互いに対向位置せしめられて、凸部26の側部を構成する段付け部24同士が、天板部12から離隔するに従って互いに離間し、且つ凸部26の突出方向の前方(二つの側壁部14a,14bの対向方向の外方)に向かうに従って、互いに接近するように、それぞれ傾斜せしめられている。更に、かかる複数の段付け部24のうち、互いに対向位置せしめられて、凹部28の側部を構成する段付け部24同士は、天板部12から離隔するに従って互いに接近し、且つ凹部28の開口部側(二つの側壁部14a,14bの対向方向の外方)に向かうに従って、互いに離間するように、それぞれ傾斜せしめられている。
そして、特に、そのような段付け部24においては、その幅方向(天板部12からの延出方向に対して直角な方向で、図2中、上下方向)の中央部に、スリット30が、形成されている。このスリット30は、天板部12の裏面から段付け部24の全長に亘って、一直線に連続して延びる、細長い矩形形状を呈している。
かくして、本実施形態の衝撃吸収構造体10にあっては、二つの側壁部14a,14bが、それぞれ、衝撃入力方向と直角な方向において描く矩形の波形形状が、具体的には、矩形の一種たる台形の波形形状とされている。また、それら各側壁部14の衝撃入力方向と平行な断面が、凸部26の形成部分においても、或いは凹部28の形成部位においても、開口部に向かって次第に幅広となるコ字形状とされている。
さらに、図6に示される如く、各側壁部14の衝撃入力方向と直角な断面も、スリット30により分割された凸部26の形成部分と凹部28の形成部分とにおいて、それぞれ、開口部に向かって次第に幅広となるコ字形状とされている。即ち、ここでは、各側壁部14の凸部26の平坦な頂部部位と、各段付け部24における各凸部26の頂部部位からスリット30までの部分とにて、衝撃入力方向と直角な断面が、二つの側壁部14a,14bの対向方向内方に向かって開口し、且つかかる開口部に向かって次第に幅広となるコ字形状とされた外側コ字状部分32が形成される一方、各凹部28の平坦な底部部位と、各段付け部24における各凹部28の底部部位からスリット30までの部分とにて、衝撃入力方向と直角な断面が、二つの側壁部14a,14bの対向方向外方に向かって開口し、且つかかる開口部に向かって次第に幅広となるコ字形状とされた内側コ字状部分34が形成されている。そして、それら外側コ字状部分32と内側コ字状部分34とが、衝撃入力方向と直角な方向において、開口部が重なり合わないように、互い違いに一列に並べた如き形状をもって、各側壁部14が構成されているのである。
また、図1乃至図4から明らかなように、かくの如き構造とされた各側壁部14における天板部12側とは反対側の端部(先端部)には、外フランジ部36が、一体形成されている。この外フランジ部36は、天板部12や各側壁部14と略同一の厚さを有する平板からなり、各側壁部14の先端部側における凸部26の平坦な頂部部位の端縁部や凹部28の平坦な底部部位の端縁部に対して、二つの側壁部14a,14bの対向方向の外方に向かって所定高さ突出し、且つ側壁部14の長手方向の全長に亘って連続して延びるように一体形成されている。
さらに、そのような外フランジ部36においては、凹部28の底部部位の端縁部からの延出部分、即ち、互いに対向位置せしめられた段付け部24同士の間に形成された部分の全てに対して、各段付け部24に沿って延びる肉抜け部38が、設けられている。
これによって、側壁部14における凸部26の頂部部位と凹部28の底部部位とが、天板部12側とは反対側において、外フランジ部36に対してそれぞれ連結されていると共に、かかる外フランジ部36を介して相互に連結されている。一方、段付け部24は、凸部26の頂部部位や凹部28の底部部位、或いは天板部12とを介して、隣り合うもの同士が互いに連結されているものの、外フランジ部36に対しては非連結とされている。
また、図1及び図4に示されるように、外フランジ部36における凹部28の底部部位の端縁部からの延出部分の裏面(天板部12側とは反対側の面)には、その長さ方向に間隔を隔てた複数個所(ここでは、4個所)に、係合部としての係合クリップ40が、それぞれ一体的に設けられている。この係合クリップ40は、外フランジ部36の裏面に、所定の厚さと高さとをもって一体的に突設された、厚さ方向に撓み乃至は弾性変形可能な平板状の支柱部42と、かかる支柱部42の先端部における凹部28の底部部位側とは反対側の面に一体形成された、断面三角形状の爪部44とを有している。
而して、かくの如き構造とされた衝撃吸収構造体10にあっては、例えば、図7及び図8に示される如く、自動車の車体の前部に設置されるフロントバンパのバンパカバー46とバンパリーンホースメント48との間に取り付けられる。
より詳細には、バンパカバー46は、所定の合成樹脂材料からなり、凸状湾曲形態を有し、車体前部の所定部位に対して、車幅方向に延びるように設置されている。一方、バンパリーンホースメント48は、金属製で高い剛性を有する、中空の長手押出形材等からなり、バンパカバー46に対して、車体の後方側に所定距離を隔てて対向位置せしめられた状態で、車体前部の所定部位に固定されている。
また、バンパリーンホースメント48においては、バンパカバー46との対向部分の表面が平坦な取付面50とされている一方、その裏面(内側面)も平坦な係合面52とされている。更に、このバンパリーンホースメント48の取付面50の幅方向の中央部には、浅い深さの矩形の凹溝54が、長手方向、つまり車幅方向に連続して延びるように形成されている。そして、かかる凹溝54の二つの側面が、上下方向において互いに対向して、車幅方向に連続して延びる第一の対向部56と第二の対向部58とされており、また、この凹溝54の底部には、その長さ方向(車幅方向)に所定の間隔をおいた位置に、矩形の貫通孔60が、幅方向に二つ並んで、それぞれ形成されている。
そして、ここでは、2個の衝撃吸収構造体10,10が、バンパカバー46とバンパリーンホースメント48との間において、各側壁部14の高さが高くされた長手方向の一端部側の端面同士を、車幅方向の中央部において互いに対向させ、且つ各側壁部14の高さが低くされた長手方向の他端部を、車幅方向の両側端部に各々位置させて、配置されている。また、それら各衝撃吸収構造体10が、天板部12の衝撃入力面16を、バンパカバー46の内面に対して、僅かな隙間を隔てて対向せしめると共に、二つの側壁部14a,14bを上下方向において対向位置せしめて、それら天板部12と二つの側壁部14a,14bとを、車幅方向に延出させるように、位置せしめられている。更に、かかる状態下で、二つの側壁部14a,14bのそれぞれの先端面(外フランジ部36a,36bの形成側の端面)と、外フランジ部36の天板部12側とは反対側の面とが、バンパリーンホースメント48の取付面50に設けられた凹溝54の底面に接触せしめられ、それと共に、二つの側壁部14a,14bにおける各外フランジ部36a,36bの突出方向先端面が、凹溝54における第一の対向部56と第二の対向部58とに対して、それぞれ接触せしめられている。
そして、かくの如き配置下において、各外フランジ部36の裏面に一体形成された複数の係合クリップ40の支柱部42が、バンパリーンホースメント48における凹溝54の底部に設けられた複数の貫通孔60に挿通されて、各係合クリップ40の爪部44が、バンパリーンホースメント48の係合面52に係合せしめられている。これによって、2個の衝撃吸収構造体10,10が、各側壁部14を衝撃入力方向に延出させた状態で、バンパリーンホースメント48に固定されている。このことから明らかなように、ここでは、バンパリーンホースメント48にて、延出部材が構成されている。なお、バンパカバー46にて延出部材を構成して、このバンパカバー46の内面に対して、衝撃吸収構造体10を取り付けるようにしても、何等差し支えない。
かくして、本実施形態では、例えば、自動車の走行時に、歩行者の脚部(図示せず)等がバンパカバー46に接触乃至は衝突せしめられた際に、その衝撃が、2個の衝撃吸収構造体10,10の両方又は何れか一方の天板部12に、バンパカバー46を介して、図8中、矢印:アの方向に入力されるようになる。これにより、各衝撃吸収構造体10における二つの側壁部14a,14bが、バンパカバー46とバンパリーンホースメント48との間に挟まれて、座屈変形せしめられ、以て、かかる衝撃のエネルギーが吸収され得るようになっている。
しかも、ここでは、衝撃吸収構造体10の二つの側壁部14a,14bのそれぞれに複数の段付け部24が設けられて、それら各側壁部14が、凸部26と凹部28とを連続的に設けてなる、衝撃入力方向と直角な方向に延びる台形の波形形状とされている。そのため、比較的に薄肉で形成されているにも拘わらず、各側壁部14において、適度な変形強度が確保され得、以て、軽量性を維持しつつ、衝撃エネルギーが十分な量において有利に吸収され得るようになる。
また、本実施形態においては、各側壁部14に設けられた段付け部24の全てに、スリット30が形成されていることにより、各側壁部14の凸部26と凹部28とが分断せしめられて、外側コ字状部分32と内側コ字状部分34とを、開口部が重なり合わないように互い違いに一列に並べた形態をもって、各側壁部14が構成されている。それ故、衝撃の入力時に、外側コ字状部分32と内側コ字状部分34とが、それぞれの開口方向たる二つの側壁部14a,14bの対向方向に向かって屈曲変形せしめられるように、各側壁部14が座屈変形せしめられる。これによって、各側壁部14が変形状態において接触し、互いに干渉し合うようなことが可及的に阻止され得、その結果として、各側壁部14において、十分に大きな有効ストロークが確保され得るようになる。
なお、ここでは、各側壁部14の先端部に外フランジ部36が設けられているため、段付け部24に対して、その全長に延びるようにスリット30が形成されていても、外側コ字状部分32と内側コ字状部分34とが、天板部12と外フランジ部36とにて相互に連結されている。それ故、段付け部24に対するスリット30の形成によって、各側壁部14全体の変形強度が過度に低下してしまうようなことが有利に回避され得る。
さらに、前述せるように、二つの側壁部14a,14bが、天板部12から離隔するに従って互いに離間するように、それぞれ傾斜せしめられている。その上、それら各側壁部14に設けられる段付け部24も、互いに対向するもの同士が、天板部12から離隔するに従って互いに離間するように傾斜せしめられ、更には、二つの側壁部14a,14bの対向方向の外方に向かって互いに離間するか若しくは接近するように傾斜せしめられている。これによっても、各衝撃吸収構造体10における二つの側壁部14a,14bの座屈変形時に、変形せしめられた側壁部14同士が接触して、互いに干渉し合うようなことが可及的に解消されて、各側壁部14の有効ストロークが十分に確保され得ることとなる。
そして、二つの側壁部14a,14bの各先端部に一体形成された外フランジ部36a,36bが、先端面を、バンパリーンホースメント48の取付面50に、上下方向に対向位置するように設けられた第一の対向部56と第二の対向部58とに各々接触させた状態で、衝撃吸収構造体10が、バンパリーンホースメント48の取付面50に取り付けられている。このため、二つの側壁部14a,14bが、上記の如きハの字状の傾斜形態とされているにも拘わらず、衝撃入力による座屈変形時に、それら二つの側壁部14a,14bの外フランジ部36a,36bが、二つの側壁部14a,14bの対向方向外方に向かって互いに離間するように変位せしめられることが、有利に阻止され得る。そして、それによって、各側壁部14が、十分な変形量において座屈変形せしめられる前に倒れて、変形不足を生ずるようなことも、効果的に防止され得、その結果として、衝撃エネルギーが、十分に且つ確実に吸収され得ることとなる。なお、このような特徴を確実に得るためには、第一の対向部56と第二の対向部58のそれぞれの高さ(図8において、hにて示される寸法)が2mm以上とされていることが、望ましい。
また、ここでは、外フランジ部36に肉抜け部38が設けられて、段付け部24と外フランジ部36とが非連結とされている。そのため、衝撃入力による各側壁部14の座屈変形時に、各段付け部24が、外フランジ部36に拘束されることがなく、それら各段付け部24の変形乃至は変位自由度が有利に高められるようになる。それ故に、各段付け部24、ひいては各側壁部14の潰れ残りが効果的に解消乃至は小さくされ、これによっても、各側壁部14の有効ストロークが、更に有利に大きく為され得る。
さらに、本実施形態においては、車幅方向の端部に位置するバンパカバー46部分の内側に、2個の衝撃吸収構造体10,10のそれぞれにおける各側壁部14の高さが低くされた端部と、それらの端部同士を連結する連結壁部20とが、位置せしめられている。そのため、そのようなバンパカバー46部分に対して衝撃が入力された際にあっても、それに対応位置する各側壁部14の端部の高さが低くされているにも拘わらず、かかる各側壁部14の端部と、それを連結する前記連結壁部20とが、共に座屈変形せしめられることで、衝撃エネルギーが十分に吸収され得るようになっている。
一方、車幅方向の中央部に位置するバンパカバー46部分の内側には、2個の衝撃吸収構造体10,10のそれぞれにおける各側壁部14のうち、内側に補強リブ21が設けられて、変形強度が適度に高められた、高さの高い端部が、位置せしめられている。それ故、車幅方向の中央部に位置するバンパカバー46部分に衝撃が入力された際には、かかるバンパカバー46部分の内側に、2個の衝撃吸収構造体10の繋ぎ部分が位置せしめられているにも拘わらず、補強リブ21により補強された各側壁部14の端部が座屈変形せしめられることで、衝撃エネルギーが十分に吸収され得るようになっている。
かくして、ここでは、歩行者の脚部等が、バンパカバー46における車幅方向の如何なる位置に接触乃至は衝突しても、その接触位置に拘わらず、接触により生ずる衝撃のエネルギーが、バンパカバー46の内側に固定された2個の衝撃吸収構造体10,10にて十分に吸収され得て、歩行者の安全が、更に有効に図られ得ることとなる。また、そのように、バンパカバー46に入力される衝撃のエネルギーが、2個の衝撃吸収構造体10,10を用いて、極めて有効に吸収され得るところから、バンパカバー46の内側に設置される衝撃吸収構造体10の全長を有利に短く為して、衝撃吸収構造体10を小型化することが可能となる。それによって、そのような小型化に伴う衝撃吸収構造体10の製作性の向上と製作コストの削減とが、効果的に実現され得ることとなる。
なお、ここにおいて、衝撃吸収構造体10が、上述の如き優れた特徴を、より有効に発揮し得るように為すためには、例えば、各側壁部14の高さ(図3において、Aにて示される寸法)が30〜300mmの範囲内の値とされていることが、望ましい。何故なら、各側壁部14の高さが30mm未満である場合には、低過ぎて、十分な衝撃ストロークを得ることが困難となるからであり、また、各側壁部14の高さが300mmを越えるようになると、衝撃吸収構造体10全体が過剰に大型なものとなり、限られた設置スペース内への設置が難しくなるからである。なお、本実施形態では、各側壁部14の高さが100mmとされている。
また、衝撃吸収構造体10全体の最大幅、換言すれば、一方の側壁部14aに設けられた外フランジ部36aの先端から他方の側壁部14bに設けられた外フランジ部36bの先端までの寸法(図3において、Bにて示される寸法)も、好適には、30〜300mmの範囲内の値とされる。これは、衝撃吸収構造体10全体の最大幅が30mm未満であると、衝撃の入力時に、各側壁部14が十分に座屈変形する前に、衝撃吸収構造体10の全体が倒れてしまうといった不具合が生ずる恐れがあるからであり、また、かかる最大幅が300mmを越えるようになると、衝撃吸収構造体10全体が過剰に大型なものとなり、限られた設置スペース内への設置が難しくなるからである。なお、本実施形態では、衝撃吸収構造体10全体の最大幅が100mmとされている。
さらに、外フランジ部36の幅(図3において、Cにて示される寸法)は、5〜50mmの範囲内の値とされていることが、好ましい。何故なら、その幅が5mmを下回るものであると、例えば、スリット30の長さを十分に長くしたときに、外フランジ部36による側壁部14の外側及び内側コ字状部分32,34の連結強度が小さくなり過ぎて、側壁部14の全体の変形強度が過剰に小さくなる恐れがあるからであり、また、外フランジ部36の幅が300mmを越えるようになると、衝撃吸収構造体10全体が過剰に大型なものとなり、限られた設置スペース内への設置が難しくなるからである。なお、本実施形態では、外フランジ部36の幅が5mmとされている。
更にまた、天板部12と側壁部14と外フランジ部36のそれぞれの板厚(図3において、D1 ,D2 ,D3 にて示される寸法)は、望ましくは0.6〜5.0mm程度の値とされる。何故なら、それら各部位の板厚が0.6mm未満である場合には、余りに薄いために、変形強度が過小となって、必要以上に容易に変形してしまうようになり、変形による衝撃エネルギーの吸収量が不十分なものとなる恐れがあるからである。また、各部位の板厚が5.0mmを越える値となると、今度は、余りに厚いために、変形強度が過度に大きくなって、衝撃による十分な変形量を得ることが困難となり、その結果として、所望の衝撃吸収性能が得られなくなる恐れがあるからである。なお、本実施形態では、天板部12と側壁部14と外フランジ部36のそれぞれの板厚が、それぞれ、2.0mm、2.5mm、2.0mmとされている。
また、段付け部24の幅(図2において、Eにて示される寸法)は、5〜100mmの範囲内の値とされていることが、望ましい。何故なら、段付け部24の幅が5mm未満であると、余りに小さいために、段付け部24を設けて、側壁部14を矩形の波形形状とすることにより発揮される上記の如きメリットを十分に得ることが困難となってしまうからであり、また、段付け部24の幅が100mmを越える場合には、衝撃吸収構造体10全体が過剰に大型なものとなり、限られた設置スペース内への設置が容易ではなくなるからである。なお、本実施形態では、段付け部24の幅が15mmとされている。
さらに、側壁部14における凸部26と凹部28のそれぞれの最大幅、換言すれば外側コ字状部分32の頂部部位と内側コ字状部分34の底部部位のそれぞれの最大幅(図2において、F,Gにて示される寸法)は、10〜100mmの範囲内の値とされていることが、望ましい。何故なら、凸部26と凹部28のそれぞれの最大幅が10mm未満であると、隣り合う段付け部24同士の間隔が狭くなって、それら隣り合う段付け部24同士やそれらの段付け部24に連続する側壁部14部分同士が、衝撃の入力による変形時に接触して、互いに干渉し合うといった問題が生ずる恐れがあるからである。また、凸部26と凹部28のそれぞれの最大幅が段付け部24の幅が100mmを越える場合には、今度は、隣り合う段付け部24同士の間隔が過大となり、そのために、衝撃入力位置(打撃位置乃至は衝突位置)の違いによって変形荷重特性が変化するといった、衝撃吸収性能の位置依存性(打撃位置依存性乃至は衝突位置依存性)が生ずるようになるといった不具合が惹起される恐れがあるからである。なお、本実施形態では、凸部26の最大幅と凹部28の最大幅が、それぞれ30mmとされている。
更にまた、スリット30の幅(図4において、Hにて示される寸法)は、好ましくは3〜60mm程度とされる。何故なら、スリット30が3mmよりも小さな幅を有する場合、余りにも狭幅であるために、段付け部24にスリット30を形成したことによって得られるメリットが十分に発揮されなくなる恐れがあるからであり、また、スリット30が60mmよりも大きな幅とされていると、段付け部24、ひいては側壁部14の変形強度が小さくなってしまうことになるからである。なお、本実施形態では、スリット30の幅が5mmとされている。
また、側壁部14と天板部12とのなす角の大きさ(図3において、αにて示される角度)は、70〜90°の範囲内の値とされていることが、好ましい。何故なら、かかる角度が70°を下回る場合、側壁部14の勾配が余りにも緩やかとなり、そのために、衝撃入力時に、側壁部14が十分に座屈変形する前に倒れてしまって、側壁部14の変形不足を生ずる可能性があるからである。また、かかる角度が90°を上回る場合、二つの側壁部14a,14bが逆ハの字状となってしまうために、各側壁部14の変形時に、変形部分が接触し、互いに干渉し合うようになり、その結果として、有効ストロークが減少する恐れがあるからである。なお、かかる角度の好適範囲からも明らかなように、本発明では、側壁部14が、天板部12の裏面17から垂直に延びるように形成されていても、何等差し支えないのである。また、本実施形態では、側壁部14と天板部12とのなす角の大きさが85°とされている。
さらに、側壁部14における凸部26の頂部部位や凹部28の底部部位と段付け部24とのなす角の大きさ(図2において、βにて示される角度)は、望ましくは0〜45°程度とされる。何故なら、かかる角度が0°未満である場合には、側壁部14の衝撃入力方向と直角な断面形状が、あり溝形状となってしまうために、側壁部14の変形時に、段付け部24の変形部分が接触し、互いに干渉し合うようになり、その結果として、有効ストロークが減少する恐れがあるからである。また、かかる角度が45°を越える比較的に大なる大きさとされると、十分な変形荷重の確保が困難となるといった不具合が生ずるからである。なお、かかる角度の好適範囲からも明らかなように、本発明では、段付け部24が、凸部26の頂部部位や凹部28の底部部位側から垂直に延びるように形成されていても、何等差し支えないのである。また、本実施形態では、側壁部14における凸部26の頂部部位や凹部28の底部部位と段付け部24とのなす角の大きさ側壁部14と天板部12とのなす角の大きさが、それぞれ、5°とされている。
以上、詳述せるように、本実施形態の衝撃吸収構造体10にあっては、例えば、自動車の走行時に、歩行者の脚部(図示せず)等がバンパカバー46に接触乃至は衝突せしめられた際に、それに伴って生ずる衝撃エネルギーが、十分に且つ確実に吸収され得、それによって、歩行者の脚部等が有利に保護されて、歩行者の安全が、極めて効果的に確保され得ることとなるのである。
そして、かかる衝撃吸収構造体10においては、特に、段付け部24の幅、つまり各側壁部14における台形の波形の高さを種々変更したり、或いは段付け部24に設けられたスリット30の幅や長さを調節したりすることによって、例えば、各側壁部14の肉厚等を何等変更することなく、各側壁部14の変形強度を変化させて、荷重−変位特性を、適切な範囲内で容易に且つ確実にチューニングすることが出来る。
従って、かくの如き本実施形態の衝撃吸収構造体10にあっては、単に、段付け部24の幅やスリット30の幅、長さ等を変更するだけの極めて簡便な設計変更により、所望の衝撃エネルギーの吸収量を確実に且つ安定的に確保することが可能となり、その結果として、例えば、衝突による衝撃の大きさやかかる衝撃から保護されるべき対象物の違い等に十分に適応した、更に一段と優れた衝撃吸収性能を、極めて効果的に得ることが出来るのである。
また、かかる衝撃吸収構造体10では、スリット30が、段付け部24の幅方向の中央部に設けられているところから、段付け部24におけるスリット30を間に挟んだ両サイド部分、つまり各側壁部14の外側コ字状部分32と内側コ字状部分34のそれぞれの脚部部位の幅が、略同一の大きさとされ、それによって、それら外側コ字状部分32と内側コ字状部分34とが、互いに同様な大きさの変形強度を有するようになる。その結果、各側壁部14の変形強度が、長手方向において均一化されて、側壁部における衝撃入力位置の違いによる荷重−変位特性のバラツキが有利に抑えられ、以て、安定した衝撃吸収性能が、効果的に確保され得ることとなる。
さらに、本実施形態においては、各側壁部14における外フランジ部36の裏面に一体形成された係合クリップ40を、バンパリーンホースメント48の貫通孔60に挿入するだけのワンタッチの操作で、バンパリーンホースメント48に取り付けられ得て、車体に対する取付操作が容易とされている。また、かかる係合クリップ40が外フランジ部36の裏面に設けられているため、衝撃入力による各側壁部14の変形が、係合クリップ40にて阻害されるようなことがなく、以て、安定した衝撃吸収性能が有利に確保され得る。
なお、ここで、かくの如き実施形態に係る衝撃吸収構造体10が、上記のような優れた特徴を発揮するものであることを確認するために、本発明者等によって実施された試験について、詳述する。
すなわち、先ず、図1乃至図4に示される如き構造を有する衝撃吸収構造体を作製して、準備し、これを供試品1とした。なお、この供試品1の衝撃吸収構造体は、ポリプロピレンを用いた射出成形により作製した。また、各部位の寸法諸元は、前記実施形態において示される寸法と同一とした。
そして、かくして準備された供試品1の衝撃吸収構造体を、外フランジ部に設けられた係合クリップにて、所定の基台上に固定した状態下において、天板部に対して、重量が9.5kgのインパクタを40km/hの速度で衝突させる衝突試験を、公知の方法に従って、行った。その後、インパクタに設置された加速度計による測定値等に基づいて、従来手法により、供試品1の衝撃吸収構造体の荷重−変位特性を調べた。その結果を図9に示した。
かかる図9から明らかなように、本発明に従う構造を有する供試品1の衝撃吸収構造体にあっては、衝撃入力の初期段階において、小さな変位量で荷重値が急激に上昇し、その後、変位量の増加に拘わらず、荷重値が略一定に推移するといった、矩形波を描く理想的な荷重−変位特性(荷重−変位曲線)が得られることが、確認される。
次に、本発明に従う構造を有する衝撃吸収構造体が、荷重−変位特性を容易にチューニング可能であることを確認するために、先ず、図10に示されるように、各側壁部14の段付け部24に設けられたスリット30が、段付け部24の長さの略半分の長さとされる以外、図1乃至図4に示された衝撃吸収構造体10と同一の構造を有する衝撃吸収構造体100を作製して、準備し、これを供試品2とした。なお、この供試品2の衝撃吸収構造体も、ポリプロピレンを用いた射出成形により作製した。また、各部位の寸法諸元は、前記実施形態において示される寸法と同一とした。
そして、上記せる供試品1の衝撃吸収構造体に対して実施した衝突試験と同一の衝突試験を、スリットの長さが半分とされた、供試品2の衝撃吸収構造体に対して、上記と同様な手法により実施し、かかる供試品2の衝撃吸収構造体の荷重−変位特性を調べた。その結果を、図11に示した。
一方、それとは別に、一般に市販される所定の自動車のフロントバンパのバンパカバーを用い、このバンパカバーに対しても、同様な衝突試験を行って、かかるバンパカバーの荷重−変位特性を調べた。その結果を図11に併せて示した。
そして、供試品2の衝撃吸収構造体の荷重−変位特性とバンパカバーの荷重−変位特性とを公知の手法により合成して、バンパカバーの内側に、供試品2の衝撃吸収構造体が設置されてなるフロントバンパ全体の荷重−変位特性を求めた。その結果を図11に併せて示した。
かかる図11に示された供試品2の衝撃吸収構造体の荷重−変位特性と、図9に示された供試品1の衝撃吸収構造体の荷重−変位特性とを比較すれば、本発明に従う衝撃吸収構造体においては、スリットの長さを変更するだけで、荷重−変位特性をチューニングし得ることが、明確に認識され得る。また、図11に示された供試品2の衝撃吸収構造体とバンパカバーとフロントバンパ全体のそれぞれの荷重−変位特性から明らかなように、衝撃吸収構造体の荷重−変位特性をチューニングすることで、フロントバンパ全体において、所望の衝撃吸収性能が容易に確保され得ることが、認められる。
次に、図1乃至図4に示される如く、外フランジ部に肉抜け部が設けられてなる供試品1の衝撃吸収構造体を作製して、準備する一方、外フランジ部に肉抜け部が何等形成されていない以外、かかる供試品1の衝撃吸収構造体と同一の構造を有する衝撃吸収構造体を作製して、準備し、これを供試品3とした。なお、これら供試品1と供試品3の衝撃吸収構造体も、何れも、ポリプロピレンを用いた射出成形により作製し、また、各部位の寸法諸元を、前記実施形態において示される寸法と同一とした。
そして、かくして準備された2種類の衝撃吸収構造体(供試品1と供試品3)のそれぞれに対して、上記と同様の衝突試験を行って、供試品1の衝撃吸収構造体の荷重−変位特性と供試品3の衝撃吸収構造の荷重−変位特性とを、それぞれ調べた。その結果を図12に示した。
かかる図12から明らかなように、供試品1の衝撃吸収構造体の荷重−変位特性と供試品3の衝撃吸収構造体の荷重−変位特性とを比較すると、前者の方が、後者よりも、荷重値が略一定の値でしばらく推移した後、再び上昇するようになったときの変位量の値が、大きくなっていることが、認められる。この事実から、外フランジ部に肉抜け部を設けて、段付け部を外フランジ部とを非連結とすることにより、有効ストロークが増大せしめられることが、明確に認識され得る。
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
例えば、各側壁部14の幅(高さ)が、長さ方向の一端部から他端部に向かって徐々に狭く(低く)なるように構成されていたが、全長に亘って一定の大きさとされていても、勿論、良い。
また、二つの側壁部14a,14bを、長さ方向の一端部同士と他端部同士において、、それぞれ、連結壁部20にて、互いに連結しても良い。或いは、かかる連結壁部20を省略して、二つの側壁部14a,14bにおける長さ方向の両端部の内側に、補強リブ21をそれぞれ形成することも、可能である。
さらに、衝撃吸収構造体10のバンパリーンホースメント48に対する取付構造は、例示のものに、特に限定されるものではない。
更にまた、各側壁部14に設けられる複数の段付け部24の配置間隔は、必ずしも一定である必要はない。
また、段付け部24の幅方向におけるスリット30の形成位置も、例示のものに、何等限定されるものではない。
更にまた、延出部材としてのバンパリーンホースメント48の取付面50に対して、複数の凸部を、衝撃吸収構造体10の各側壁部14にそれぞれ設けられた外フランジ部を挟んで位置するように形成し、これら各凸部における外フランジ部側の部分にて、第一の対向部と第二の対向部とを構成することも出来る。なお、それら第一の対向部と第二の対向部は、本発明において必須のものではなく、従って、省略しても良い。
また、天板部12の形状や大きさ等は、車両の設置されるべき部位等に応じて、種々変更され得るものである。
さらに、1個又は3個以上の衝撃吸収構造体を組み合わせて、車両の設置部位に設置することも出来る。
加えて、本発明は、自動車のフロントバンパの内側に設置される衝撃吸収構造体の他、フロントバンパ以外の自動車の外装部品の裏側や内装部品の裏側等に設置される衝撃吸収構造体、或いは自動車以外の車両に設置される衝撃吸収構造体の何れに対しても、有利に適用可能であることは、勿論である。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
本発明に従う車両用衝撃吸収構造体の一実施形態を示す正面説明図である。 図1に示された車両用衝撃吸収構造体の平面説明図である。 図1におけるIII−III断面の拡大説明図である。 図1におけるIV−IV断面の拡大説明図である。 図1におけるV矢視の端面説明図である。 図1におけるVI−VI断面の部分拡大説明図である。 図1に示された車両用衝撃吸収構造体を、フロントバンパのバンパカバーの内側に設置した状態を示す縦断面説明図である。 図7におけるVIII−VIII断面の拡大説明図である。 図1に示された車両用衝撃吸収構造体の荷重−変位特性を示すグラフである。 本発明に従う車両用衝撃吸収構造体の別の実施形態を示す図4に対応する図である。 図10に示された車両用衝撃吸収構造体の荷重−変位特性と、バンパカバー単体の荷重−変位特性と、それら車両用衝撃吸収構造体とバンパカバーとを組み合わせたフロントバンパ全体の荷重−変位特性とを、それぞれ示すグラフである。 図1に示された構造を有する車両用衝撃吸収構造体の荷重−変位特性と、外フランジ部に肉抜け部が設けられていない以外、図1に示された車両用衝撃吸収構造体と同様な構造を有する車両用衝撃吸収構造体の荷重−変位特性とを、それぞれ示すグラフである。
符号の説明
10,100 衝撃吸収構造体 12 天板部
14 側壁部 16 衝撃入力面
21 補強リブ 24 段付け部
30 スリット 36 外フランジ部
38 肉抜け部 40 係合クリップ
46 バンパカバー 48 バンパリーンホースメント
52 係合面 56 第一の対向部
58 第二の対向部

Claims (9)

  1. 衝撃が入力せしめられる天板部と、該天板部の衝撃が入力される面とは反対側の面に対して、互いに対向位置せしめられた状態で、該衝撃の入力方向に延びるように一体的に立設せしめられ、衝撃の入力により変形せしめられることで衝撃を吸収する二つの側壁部とを有して、該衝撃の入力方向と平行な断面がコ字形状とされた樹脂成形体を含んでなる車両用衝撃吸収構造体にして、
    前記二つの側壁部を、それぞれ、前記衝撃の入力方向と直角な方向において所定距離を隔てて互いに対向位置する複数の段付け部にて段付けされた、該衝撃の入力方向と直角な方向に延びる矩形の波形形状とすると共に、該二つの側壁部の天板部側とは反対側の端部に、外フランジ部を、側壁部における該衝撃の入力方向と直角な方向の全長に延びるように、それぞれ一体形成し、更に、各側壁部における前記複数の段付け部の全てに対して、それぞれ、該衝撃の入力方向に一定幅をもって延びるスリットを設けて、各側壁部が、衝撃入力方向と直角な方向の断面において、該スリットにて、前記波形形状における凸部の形成部分と凹部の形成部分とにそれぞれ分割されるように構成したことを特徴とする車両用衝撃吸収構造体。
  2. 前記スリットが、前記段付け部における該スリットの延出方向と直角な幅方向の中央部に設けられている請求項1に記載の車両用衝撃吸収構造体。
  3. 前記外フランジ部に、前記段付け部における前記天板部側とは反対側の端部に沿って延びる肉抜け部が設けられて、該外フランジ部と該段付け部とが非連結とされている請求項1又は請求項2に記載の車両用衝撃吸収構造体。
  4. 前記外フランジ部における前記天板部側とは反対側の面に、車両の所定部位に設けられた係合面に係合して、該外フランジ部を該車両の所定部位に固定する係合部が、一体形成されている請求項1乃至請求項3のうちの何れか1項に記載の車両用衝撃吸収構造体。
  5. 前記互いに対向位置する二つの側壁部のそれぞれの対向面と前記天板部における該側壁部の立設側の面とにて形成される内周面のうち、前記衝撃の入力方向と直角な方向における少なくとも一方側の端縁の内周面部分に、周方向に連続して延びる補強リブが、一体的に設けられている請求項1乃至請求項4のうちの何れか1項に記載の車両用衝撃吸収構造体。
  6. 前記二つの側壁部が、前記天板部から離隔するに従って互いに離間するように、それぞれ傾斜せしめられている請求項1乃至請求項5のうちの何れか1項に記載の車両用衝撃吸収構造体。
  7. 前記複数の段付け部が、互いに対向するもの同士において、前記天板部から離隔するに従って互いに接近するか若しくは離間するように、それぞれ傾斜せしめられている請求項1乃至請求項6のうちの何れか1項に記載の車両用衝撃吸収構造体。
  8. 前記側壁部が、前記衝撃の入力方向と直角な方向に延びる台形の波形形状となるように、前記複数の段付け部が、互いに対向するもの同士において、前記二つの側壁部の対向方向の外側に向かって、相互に接近するか若しくは離間するように、それぞれ傾斜せしめられている請求項1乃至請求項7のうちの何れか1項に記載の車両用衝撃吸収構造体。
  9. 前記請求項1乃至請求項8のうちの何れか1項に記載の車両用衝撃吸収構造体の車両への取付構造であって、
    車両に取り付けられた、前記衝撃の入力方向と直角な方向に延びる延出部材に、その延出方向と該衝撃の入力方向の両方向に対して直角な方向において互いに所定距離を隔てて対向する第一の対向部と第二の対向部とを設けて、前記互いに対向位置せしめられた二つの側壁部のそれぞれに形成された前記外フランジ部を、該第一の対向部と該第二の対向部とにて挟まれるように位置せしめた状態で、該剛性部材における該第一の対向部と該第二の対向部の間の部位に固定することにより、前記車両用衝撃吸収構造体を、該延出部材を介して車両に取り付けると共に、かかる取付状態下で、該側壁部が前記衝撃により変形せしめられたときに、該外フランジ部が該第一の対向部と該第二の対向部とにそれぞれ当接して、該側壁部の対向方向外側への該外フランジ部の変位が規制されるように構成したことを特徴とする車両用衝撃吸収構造体の取付構造。
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