JP4298824B2 - 気液溶解混合装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、各種の気体の気泡を液体中に分散させたり、加圧下の液体中で気体を反応させたり、溶解させるための気液溶解混合装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、一般に気体を液体中に分散溶解させる方法として、気体中に液体の噴流を通過させるエゼクター式気泡発生装置や、気体を溶解させたい液体を加圧タンク内に一旦収容し、この液体中に大量の気体を送り込み、この加圧タンク内で気液反応及び気体の溶解を行わせる気液溶解混合装置がある。さらに、液体ポンプの吸水側に気体を送り込むものもある。
【0003】
また、本願出願人による、特許第2554608号等に示すように、液体の流路に設けられたベンチュリ管状の絞り部により流路の一部を絞り、この絞り部の下流側で徐々にこの流路を広げるとともに、上記絞り部のわずかに下流側で、負圧になった気体流入口から気体を吸引し気液混合流を形成し、この流路の下流にノズル部を設けて、このノズル部の上流側の流路内の圧力を上昇させ、このノズル部の上流側の流路内部で液体に気体を加圧溶解させ、気体が溶解した気液混合流を、上記ノズル部を経て噴射して微細気泡を得る気液溶解混合装置も提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の技術のエゼクターを用いたものは、液体噴射ノズルを気体流路の絞り部の中心に正確に位置合わせしなければならず、装置の構造が複雑になり、気液の混合割合や溶解量も十分なものではなかった。特に、安定に気液混合が行える気液比(気体流量/液体流量×100)は30%以下であった。また、上記従来の技術の加圧タンクを用いたものの場合、加圧タンク内の液体は、止まった状態で、タンク内に収容された液体に気体を溶解させなければならず、連続的に液体に気体を溶解させることができないものであった。従って、気液の高接触状態を加圧タンク内で得るには、大量の気体を加圧タンク内に注入しなければならず、気体の無駄が多く効率の悪いものであった。特に高価な気体を用いる場合には、コスト上昇の原因となっていた。さらに、加圧タンク内で、気体を溶解させるには、加圧タンク内の液体と注入する気体との圧力を適切に調整しなければならず、この調整が、気温、気圧、液温等により変化するため、これらのパラメータが変動する度に、各圧力調整を行わなければならないという問題があった。さらに、液体ポンプの吸水側に気体を供給する場合、ポンプ内でキャビテーションガ生じ、ポンプの構造や材質が制限され、コストがかかる上、効率も悪いものであった。
【0005】
また上記本願出願人による気液溶解混合装置の場合、上記他の従来技術と比較して、小型で効率の良い気液溶解混合装置が得られるものであるが、液体流れの絞り部のわずかに下流で、気体が液体流れに対して垂直に流入するため、気体流れが液体流れに影響し、流入効率の向上の妨げとなっていた。特に、液体の圧送圧が0.2MPa以下の場合、気体の流入が液体流れに影響し、安定した気液混合が得られない場合があった。また、この場合も安定に気液混合が行える気液比(気体流量/液体流量×100)は30%以下であった。
【0006】
この発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて成されたもので、効率よく連続的に大量に気体を液体中に溶解混合させることができる気液溶解混合装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、液体の流路に設けられたベンチュリ管等の絞り部と、この絞り部につづいてこの流路を徐々に広げた広がり部と、上記絞り部内で上記液体の流れ方向に開口した気体流入管とを設け、上記広がり部の下流に設けられ流路中の液体と上記気体流入管から流入した気体とを混合する管路等からなる混合部と、この混合部の出口側に設けられたバルブや固定絞りまたはノズル部等の出口絞りとを有する気液溶解混合装置である。上記絞り部には、液体の流れ方向に断面積がほぼ一定の平行部を所定長設けられ、この平行部の中央部に上記気体流入管が位置している。この気体流入管は上記絞り部の液体流れ方向に配置され、上記絞り部の入口部から上記気体流入管の開口部までの距離、及び上記気体流入管の開口部から上記絞り部の出口部までの各距離は、上記絞り部の直径の各々1.5〜4倍、管路抵抗を考えると好ましくは1.5〜2倍である。そして、上記絞り部の長さは上記絞り部の直径の3〜8倍、管路抵抗を考えると好ましくは3〜4倍である。これは、絞り部の長さが上記値より短くなると、気体の吸引が不安定になり、また絞り部の長さが絞り部の直径の8倍より長くなると、気体吸引量が大きく減少してしまうからである。
【0008】
また、上記液体流路の上記絞り部の上流側に、液体配管を介して液体を圧送するポンプ等の液体圧送手段を接続し、上記気体流入管の上流側には、気体配管を介してコンプレッサやボンベ等の気体圧送手段を接続したものである。
【0009】
さらに、上記混合部は、流路が段階的に緩急を繰り返す勾配に形成され、上から下へ流体が流れるものである。上記混合部の途中に、上記出口絞りよりも断面積の大きい中間絞りを設けたものである。また上記混合部に、余剰気体を外部へ逃がす上方に突き出した分岐流路を設けたものである。上記混合部の下流に流路が分岐した分岐流路が設けられ、この分岐流路に上記出口絞りが設けられたものである。また、上記混合部の下流に上記出口絞りを設け、この出口絞りの下流に流路が分岐した分岐流路を設けたものである。
【0010】
さらに、上記混合部は、液体の流れ方向に直列に複数接続されている。上記混合部は、液体の流れ方向に直列に複数接続し、上記各混合部は、気体を送る気体配管と液体を送る液体配管により別々に接続されている。また、上記混合部の少なくとも一つの最上段にバルブを設け、上記液体圧送手段の停止時に少なくとも3秒間上記バルブを解放するものである。
【0011】
この発明の気液溶解混合装置は、ベンチュリ管ののど部等の絞り部で気体を気体流入管から流路に吸引する際に、気体流入管及びその開口部を液体の流れ方向に向けて、液体流れの中央部で液体の流れ方向に気体を吸引して流入させている。これにより、絞り部の中央部に吸引された気体流れが形成され、その外側に液体流れが形成され、安定的に効率よく気体吸引を行うものである。特に、気体流入管は、流路の絞り部のほぼ中央部に位置し、所定長さの絞り部の上流側で液体流れが安定した位置で気体を流入させ、気体が流入した液体流れをさらにその気体流入管の開口部より下流の絞り部により安定させ、気体の流入をより安定させるものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下この発明の気液溶解混合装置の実施の形態について図面に基づいて説明する。図1、図2はこの発明の第一実施形態を示すもので、図示するように、この実施形態の気液溶解混合装置は、水等の液体中に、空気や酸素又はオゾンその他不活性ガス等、種々の気体を混合する吸引器10を有し、この吸引器10の流入部11に液体配管12の先端部が取り付けられている。また、吸引器10の流出部13には、気液を混合させる混合部として、液体が上から下へ段階的に流れ落ちる混合部である気液混合槽14が接続され、気液混合槽14の下部の出口部15に、管路16が接続されている。この管路16の先端部には、出口絞り18が設けられ、出口絞り18の下流にも短い管路20が接続されている。
【0013】
吸引器10内には、図2に示すように、流路を緩やかに絞ったのど部である絞り部22が中央部に設けられたベンチュリ管状の流路24が形成されている。このベンチュリ管状の流路24の下流側には、広がり部26が形成されている。絞り部22は、円筒状に形成され、絞り部22は液体の流れ方向に断面積がほぼ一定の平行部28を所定長備え、この平行部28のほぼ中央部に、気体流入管30が位置している。
【0014】
この気体流入管30は流路24内では液体流れ方向に配置され、吸引器10の流入部11部分で直角に折れて外部に出ている。なお、この気体流入管30は、空気を大気圧下で吸引する場合は外気に開放しておけば良く、また特定の気体や加圧して大量の気体を送り込む場合は、ボンベやコンプレッサ等に接続される。
【0015】
吸引器10の絞り部22の入口部22aから気体流入管30の開口部30aまでの距離、及び気体流入管30の開口部30aから絞り部22の出口部22bまでの各距離は、絞り部22の流路の直径の各々1.5〜4倍、管路抵抗を考えると好ましくは1.5〜2倍である。絞り部22の平行部28の長さは、絞り部22の流路の直径の3〜8倍であり、管路抵抗を考えると好ましくは3〜4倍である。
【0016】
広がり部26の下流側に接続された気液混合槽14は、上から下に液体が段階的に流れ落ちる流路32が形成されたものである。流路32は、水平部と垂直部とが交互に形成され、水平部を形成する隔壁33により形成されている。そして、流路32の上部の入口部34に吸引器10が接続され、下方の出口部15側に管路16が接続されている。気液混合槽14の出口部15近傍には、余剰気体を上方へ逃がすための垂直方向の分岐流路を設けた余剰気体分離部36が形成され、余剰気体分離部36の上方には、余剰気体を外部へ逃がす開口部38が設けられている。
【0017】
この実施形態の気液溶解混合装置の作用について以下に説明する。先ず、液体配管12から吸引器10の流入部11に流入した水等の液体は、流路24の絞り部22で加速されて、一旦静圧が低下し、広がり部26を経て流速が遅くなり再び静圧が増大する。このとき、気体流入管30の開口部30aから流路24へ、空気等の気体が送り込まれる。ここで、絞り部22の平行部28の断面積 A と出口絞り18の総断面積 B は、以下の式を満たすものであれば良い。
A<PG (1)
Gは、気体流入管30から流入する気体の圧力。
Aは、流体力学上のベルヌーイの定理と連続の式により以下の式(2)により与えられ、気体流入管30の開口部30aのある位置での平行部28中の静圧。
A=(1−S /S )P1+(δP+PB)S /S (2)
ここで、P1は平行部28に流入する液体の総圧、δPは平行部28からから出口絞り18までの圧力損失、PBは出口絞り18の出口側の静圧である。
【0018】
従って、上記式(1)、(2)を満たす様に液体の圧送圧、気体流入管30及び出口絞り18等の大きさ等を設定することにより、液体中に気体を効率的に混合し溶解させる最適な条件が得られるものである。また、気液混合槽14は、加圧下で、液体に気体が溶解し飽和状態となるまで気液の接触時間が得られるものであればより好ましい。気液の接触時間は混合部の体積に依存するので、気液混合槽14の長さがある程度長い方がよい。また、気液溶解や気液の反応には、所定の圧力が必要となる場合があり、出口絞り18は、気液混合槽14の内部を所定の圧力に保つ働きも有する。気液混合槽14の内部の圧力は、気液混合槽14の断面積が十分に広い場合、次の式(3)により表される。
=ρU2/2+P+δP (3)
ここで、Pは気液混合槽14内部の圧力、ρは液体の密度、Uは出口絞り18での液体の流速、Pは出口絞り18の出口側の静圧、δPは気液混合槽14から出口絞り18までの圧力損失である。
【0019】
気体流入管30の開口部30aから吸引された気体は、気泡となって流路24中の液体とともに気液混合槽14に流れ、気泡となった気体は、気液混合槽14の静圧が絞り部22より高いので液体中に溶解していく。そして、気液混合槽14から管路16を経て出口絞り18で再び静圧が低くなり、溶解していた気体が微細気泡となって液体中に析出する。また、余剰気体は余剰気体分離部36の上方の開口部38から外部へ逃がされる。さらに、溶解し切らなかった気泡は、出口絞り18で細かく剪断され、数十〜数百μmの微小気泡となって液体中に分散される。
【0020】
この実施形態の気液溶解混合装置によれば、吸引器10の絞り部22の平行部28の中央に気体流入管30が同軸的に配置され、その気体流入管30から効率よく安定に気体を液体中に吸引混合することができる。特に、気体流入管30の開口部30aを液体の流れ方向に向けて、液体流れの中央部で液体の流れ方向に気体を流入させているので、安定に効率よく気体吸引が可能となる。また、気体流入管30は、流路の絞り部22のほぼ中央部に位置し、絞り部22の上流側の平行部28で液体流れが安定し、その安定した液体流れの中央部に気体が流入し、液体流れをさらにその気体流入管30の開口部30aより下流の平行部28により安定させ、気体の流入をより安定させるものである。
【0021】
次にこの発明の第二実施形態について図3を基にして説明する。ここで、上述の実施形態と同様の部材は同一符号を付して説明を省略する。この実施形態の吸引器10は、気体流入管30が、吸引器10に対して直線状に配置され、吸引器10が流路24の流入部11で直角に折れているものである。この実施形態によっても上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0022】
次にこの発明の第三実施形態について図4を基にして説明する。ここで、上述の実施形態と同様の部材は同一符号を付して説明を省略する。この実施形態の気液溶解混合装置は、上記第一実施形態の気液混合槽14の代わりに、気液を混合させる混合部として管路40が設けられたものである。この実施形態によれば、吸引器10に管路40を接続して管路40の先端部に出口絞り18を取り付けるだけで気液溶解混合装置を構成することができ、構成が簡単であり、組み立てや取り扱いが容易である。
【0023】
次にこの発明の第四実施形態について図5を基にして説明する。ここで、上述の実施形態と同様の部材は同一符号を付して説明を省略する。この実施形態の気液溶解混合装置は、気液混合槽14の出口部15に接続された管路16が、途中で分岐し、複数の分岐管路42が設けられたものである。分岐管路42の先端部には、各々出口絞り18が取り付けられ、出口側の管路43から気体溶解液が出る。
【0024】
この実施形態の気液溶解混合装置は、複数の管路に分岐したので、異なる供給先へも各々気体溶解液を供給することができ、より広い用途に使用可能である。
【0025】
次にこの発明の第五実施形態について図6を基にして説明する。ここで、上述の実施形態と同様の部材は同一符号を付して説明を省略する。この実施形態の気液溶解混合装置は、上記第四実施形態の分岐前の管路16に出口絞り18を設け、出口絞り18を通過した気液混合流を分岐部で複数の管路44に分割して、気液混合流を供給するものである。
【0026】
次にこの発明の第六実施形態について図7を基にして説明する。ここで、上述の実施形態と同様の部材は同一符号を付して説明を省略する。この実施形態の気液溶解混合装置は、上記第一実施形態の吸引器10に、液体配管50を介して液体圧送手段であるポンプ52を備える。ポンプ52の上流側には、液体配管54を介して給水源56が接続され、被処理水58を吸引器10に圧送可能に設けられている。
【0027】
吸引器10の気体流入管30は、気体配管60を介してコンプレッサ62に接続されている。また、吸引器10の流出部13には、液体が上から下へ段階的に流れ落ちる混合部である気液混合槽14が接続され、気液混合槽14の下部の出口部15に、管路16が接続されている。この管路16の先端部には、出口絞り18が設けられ、出口絞り18の下流に管路20が接続されている。管路20の先端には、被処理水64を収容する処理水槽66が設けられている。
【0028】
吸引器10は、図2に示すものと同様の構成である。また、気液混合槽14の上面には、電磁弁70が取り付けられ、余剰気体分離部36の上面にはバルブ72が設けられている。さらに、余剰気体分離部36の側面には、液体面を検知するセンサ73,74がその液面の下限と上限位置に設けられている。
【0029】
この実施形態の気液溶解混合装置の作用について以下に説明する。給水源56に溜められた被処理水58は、液体配管54,50を介してポンプ52により吸引器10に圧送される。尚、吸引器10に送られる被処理水58に、気液混合に必要な所定の圧力がかかっている場合には、ポンプ52を省略することもできる。吸引器10では、流路24の絞り部22で加速されて、一旦静圧が低下し、広がり部26を経て流速が遅くなり再び静圧が増大する。絞り部22で液体の圧力が低下し、これにより気体流入管30の開口部30aから流路24へ、空気等の気体が送り込まれる。気体は、コンプレッサ62により気体配管60を介して気体流入管30に所定の圧力で送られる。従って、絞り部22の平行部28の断面積と出口絞り18の総断面積は、第一実施形態の(1)、(2)式を満たすものでなければならない。尚、コンプレッサ62はボンベ等の他の気体圧送手段でも良い。
【0030】
気体流入管30の開口部30aから吸引された気体は、気泡となって流路24中の液体とともに気液混合槽14に流れ、気泡となった気体は、気液混合槽14の静圧が絞り部22より高いので液体中に溶解していく。そして、気液混合槽14から管路16を経て出口絞り18で再び静圧が低くなり、溶解していた気体が微細気泡となって液体中に析出する。さらに、溶解し切らなかった気体は、出口絞り18で細かく剪断され、数十〜数百μmの微小気泡となって液体中に分散される。また、出口絞り18は、気液混合槽14の内部の圧力を保つ働きも有する。その条件は、気液混合槽14の断面積が十分に広い場合、前述の式(3)により表される。
【0031】
ここで、電磁弁70は、ポンプ52の停止時に少なくとも3秒間電磁弁70を解放し、気液混合槽14内部の加圧を逃がすものである。またバルブ72は、センサ73,74の信号に対応させて液面が上限と下限の間に入り、排出される余剰気体中に液体が混合しない様に適宜操作するものである。この操作は、センサ73,74の信号により、液面が下限または上限にきたことを表示する手段を設けて、その表示により作業者がバルブ72を操作するものや、センサ73,74からの信号により、自動的にバルブ72を開閉する様にしたものでも良く、その制御方法は適宜選択可能である。なお、排気中に多少の液体の混入が許される場合等、排気中の液体が問題とならない場合は、センサ73,74とその操作手段は設けなくても良い。
【0032】
この実施形態の気液溶解混合装置によれば、上記第一実施形態の効果に加えて、所望の液体圧送圧で、所望の気体を効率よく混合溶解させることができ、気体による処理液を効率よく製造することができる。そして、この実施形態によれば、気液比が400%で、安定に気液混合を実現することができた。
【0033】
次にこの発明の第七実施形態について図8〜図10を基にして説明する。ここで、上述の実施形態と同様の部材は同一符号を付して説明を省略する。この実施形態の気液溶解混合装置は、上記第六実施形態の気液溶解混合装置の気液混合槽14と同様の気液混合槽76を複数並べ、気液混合流が各気液混合槽76を直列に通過する様にしたものである。さらに、余剰気体分離部78を気液混合槽76の下流側に別体に設けている。各気液混合槽76及び余剰気体分離部78は各々配管80により接続されている。配管80は、気液混合槽76の最下段の出口部15から隣の気液混合槽76の最上段の入口部34をつなぐように配管されている。この実施形態では気液混合槽76を3個連ねたが、この数は適宜設定可能なものである。
【0034】
この実施形態の気液溶解混合装置の作用について以下に説明する。この実施形態の気液溶解混合装置も上記実施形態と同様の作用効果を有するが、気液混合槽76を複数連ねることにより、気液の接触時間を長くとることができ、気液比をより大きくすることができる。ここで、気液の接触時間を長く取るには、気液混合槽の段数を多くすれば良いが、単に段数を多くしようとすると、気液混合槽の高さが高くなり、また、液体を気液混合槽の最上段にまで圧送するエネルギーを必要とし、効率が悪いものとなる。そこで、複数の気液混合槽76を並べることにより、小型で、効率の良い気液混合槽を得ることができる。
【0035】
次にこの発明の第八実施形態について図11、図12を基にして説明する。ここで、上述の実施形態と同様の部材は同一符号を付して説明を省略する。この実施形態の気液溶解混合装置は、上記第七実施形態の気液溶解混合装置と同様に気液混合槽76を複数並べ、気体と液体が各気液混合槽76を直列に通過する様にしたものである。この実施形態の場合、気体と液体は各々別々の気体配管82と液体配管84により各々隣接する気液混合槽76に送られる。従って、気体配管82は、気液混合槽76の最下段の出口部15の上方15aに接続され、隣の気液混合槽76の最上段の入口部34の上方34aに接続されて配管されている。また、液体配管84は、気液混合槽76の最下段の出口部15の下方15bに接続され、隣の気液混合槽76の最上段の入口部34の下方34bに接続されている。気体配管82と液体配管84は、主に気体、液体を送るものであり、通常は気体配管82で送られる気体中にも液体が混合し、液体配管84で送られる液体中にも気体が混合している。
【0036】
この実施形態によれば、上記実施形態と同様の効果に加えて、密度の小さい気体は主に上方の気体配管82により隣の気液混合槽76に送られ、密度の大きい液体は主に下方の液体配管84により送られ、各々別々に移送される。これにより、各々管路抵抗が軽減され、圧送効率が向上する。
【0037】
なお、この発明の気液溶解混合装置の混合部は上記実施形態以外の、固定またはフレキシブルな管路を用いても良く、気液混合槽の形状も任意に設定可能である。さらに、出口絞りの形状は上記実施形態以外に、一または複数の透孔を有したノズル部であっても良い。また絞り部は、段階的に内径が変化するものでも良い。また、混合部は、その途中に、上記出口絞りよりも断面積の大きい中間絞りを設けても良い。この絞り部の平行部はほぼ平行であれば良く、流れを安定化させる程度のものであれば良い。
【0038】
【発明の効果】
この発明の気液溶解混合装置は、簡単な装置で効率よく安定に気体を液体中に吸引し、混合溶解させることができる。特に緩急を繰り返す混合部を設けることにより、気体がより効率よく効果的に溶解し、気体の無駄も少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の気液溶解混合装置の第一実施形態を示す概略図である。
【図2】この第一実施形態の気液溶解混合装置の吸引器の縦断面図である。
【図3】この発明の第二実施形態の気液溶解混合装置の吸引器の縦断面図である。
【図4】この発明の気液溶解混合装置の第三実施形態を示す概略図である。
【図5】この発明の気液溶解混合装置の第四実施形態を示す概略図である。
【図6】この発明の気液溶解混合装置の第五実施形態を示す概略図である。
【図7】この発明の気液溶解混合装置の第六実施形態を示す概略図である。
【図8】この発明の気液溶解混合装置の第七実施形態を示す概略図である。
【図9】この発明の気液溶解混合装置の第七実施形態の気液混合槽の断面図である。
【図10】この発明の気液溶解混合装置の第七実施形態の気液分離部の断面図である。
【図11】この発明の気液溶解混合装置の第八実施形態を示す概略図である。
【図12】この発明の気液溶解混合装置の第八実施形態の気液混合槽の断面図である。
【符号の説明】
10 吸引器
12 液体配管
16,20 管路
14 気液混合槽
22 絞り部
24 流路
26 広がり部
28 平行部
30 気体流入管

Claims (10)

  1. 液体の流路に設けられた絞り部と、この絞り部につづいてこの液体流路を徐々に広げた広がり部と、上記絞り部内で上記液体の流れ方向に開口した気体流入管とを設け、上記広がり部の下流に設けられ上記液体流路中の液体と上記気体流入管から流入した気体とを混合する混合部と、この混合部の出口側に設けられた出口絞りとを備え、上記絞り部には、上記液体の流れ方向に断面積がほぼ一定の平行部が所定長さ設けられ、この平行部内に上記気体流入管が位置し、上記液体流路の上記絞り部の上流側に、液体配管を介して液体を圧送する液体圧送手段が接続され、上記混合部は流路が段階的に緩急を繰り返す勾配に形成され、上から下へ流体が流れる気液溶解混合装置であって、
    上記液体流路の上記絞り部から上記出口絞りまでの流路について、上記絞り部の上記平行部の断面積S A と上記出口絞りの総断面積S B 、及び上記混合部内部の圧力P と上記出口絞りの出口側の静圧P B は、以下の式(1)(2)(3)の関係を満たし、
    A <P G (1)
    A =(1−S /S )P 1 +(δP+P B )S /S (2)
    =ρU 2 /2+P +δP (3)
    A :流体力学上のベルヌーイの定理と連続の式により、式(2)で与えられる上記気体流入管の開口部のある位置での上記平行部の静圧、P G :上記気体流入管から流入する気体の圧力、P 1 :上記平行部に流入する液体の総圧、δP:上記平行部からから上記出口絞りまでの圧力損失、ρ:上記液体の密度、U:上記出口絞りでの上記液体の流速、δP :上記混合部から上記出口絞りまでの圧力損失、
    であることを特徴とする気液溶解混合装置。
  2. 上記気体流入管は上記絞り部の液体流れ方向に配置され、上記絞り部の入口部から上記気体流入管の開口部までの距離、及び上記気体流入管の開口部から上記絞り部の出口部までの各距離は、上記絞り部の直径の各々1.5〜4倍である請求項1記載の気液溶解混合装置。
  3. 上記絞り部の平行部の長さは上記絞り部の直径の3〜8倍である請求項2記載の気液溶解混合装置。
  4. 上記気体流入管の上流側には、気体配管を介して気体圧送手段が接続されている請求項1,2または3記載の気液溶解混合装置。
  5. 上記混合部の途中に、上記出口絞りよりも断面積の大きい中間絞りを設けた請求項1乃至4のいずれか記載の気液溶解混合装置。
  6. 上記混合部に、余剰気体を外部へ逃がす上方に突き出した分岐流路を設けた請求項1乃至5のいずれか記載の気液溶解混合装置。
  7. 上記混合部の下流に流路が分岐した分岐流路が設けられ、この分岐流路の分岐前または後の流路に上記出口絞りを設けた請求項1乃至6のいずれか記載の気液溶解混合装置。
  8. 上記混合部は、液体の流れ方向に直列に複数接続される請求項1乃至6のいずれか記載の気液溶解混合装置。
  9. 上記混合部は、液体の流れ方向に直列に複数接続し、上記各混合部は、主に気体を送る気体配管と主に液体を送る液体配管により別々に接続されている請求項8記載の気液溶解混合装置。
  10. 上記混合部の少なくとも一つの最上段にバルブを設け、上記液体圧送手段の停止時に少なくとも3秒間上記バルブを解放する手段を設けた請求項1乃至9のいずれか記載の気液溶解混合装置。
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