JP4297254B2 - 接合体、発光容器、高圧放電灯用組み立て体および高圧放電灯 - Google Patents

接合体、発光容器、高圧放電灯用組み立て体および高圧放電灯 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミナ製放電管を使用した高圧放電灯に関し、特に小型化して擬似点光源化した高圧放電灯に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用ヘッドライトとして、石英製の放電管を使用した高圧放電灯が、その明るさや発光効率の高さ等の利点のために広く使用されてきている。このような石英管を用いた放電灯は、放電管が透明であるため放電管内の発光ガスによる発光部をそのまま放電灯の光源として扱えるので、点光源として扱うことができ、ヘッドライトのような点光源を必要とする照明の光源として利用されている。
【0003】
しかし、石英管を放電管として用いた高圧放電灯は、長期に亘り使用していると、内側に封入されているハロゲン化物等の腐食性物質により石英管の腐食が進み、失透現象が現れて光源部を隠蔽し、あたかも石英管全体が発光しているような状態となってしまい、点光源として扱うことができなくなってしまう。また、光束も減少し、点光源としての寿命は2000時間程度とそれほど長いものではなかった。
【0004】
そのため、ハロゲン化物に対して安定であり、石英に比べて寿命の長いアルミナで作成したセラミック放電管を用いた高圧放電灯のヘッドランプへの利用が検討されている。このアルミナ製放電管は半透明であるため、内部の放電電極間での発光が放電管外部から見た場合、放電管全体が発光しているのと同じ状態になる。そのため、放電管全体を発光体と見なければならず、擬似点光源化するには放電管を小さくすることで対応していた。本出願人は、このような高圧放電灯を特許文献1に開示した。
【特許文献1】
特開2001−76677号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、更にこの高圧放電灯を検討していく過程で、以下の問題を見いだした。即ち、例えば自動車用途においては、高温、高圧下において長時間にわたって強度を確保する必要がある。また、放電管においてアーク放電からの放出光が完全に散乱せず、直線透過光が見えると、発光管が理想的な疑似点光源とならない。すると、リフレクタの設計の際に、放電管を透過する直線透過光を考慮して設計しなければならないので、リフレクタの設計が難しくなる。
【0006】
これらの問題を解決するためには、放電管を構成する多結晶アルミナの平均粒径を小さくすることが効果的であった。即ち、多結晶アルミナの平均粒径を小さくし、例えば20μm以下とすることによって、高温および高圧下で強度を確保しやすい。また、アーク放電からの放出光がほぼ完全散乱し、放電管を透過する直線透過光をほとんどなくすることができる。この結果、放電管の全体が理想的な疑似点光源となる。
【0007】
しかし、多結晶アルミナの粒径を小さくすると、放電管の端部をセラミック組成物で封止する段階において、放電管を構成する多結晶アルミナが一部溶解してセラミック組成物中に溶融することがあっいた。こうなると放電管と端部封止部材との間の接合部分の信頼性が低下し、歩留りが低下するおそれがある。
【0008】
本発明の課題は、少なくとも接合面が平均粒径20μm以下の多結晶アルミナからなる第一の部材、第二の部材および接合材を備えている接合体において、接合時における多結晶アルミナの溶融を抑制し、接合部分の信頼性を向上させることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第一の態様に係る発明は、少なくとも接合面が平均粒径20μm以下の多結晶アルミナからなる第一の部材、第二の部材および第一の部材と第二の部材との間の接合材を備えている接合体であって、接合材が、多孔質骨格と、この多孔質骨格の気孔内に含浸されている結晶化ガラス組成物またはセラミック組成物からなり、この結晶化ガラス組成物またはセラミック組成物が、Al23:10−30重量%、SiO2:15−40重量%、Y23:0−40重量%、Dy23:0−70重量%、B23:0−5重量%およびMo3:0−10重量%の組成を有する酸化物ガラスまたはセラミック組成物からなり、組成物を溶融した後、組成物の結晶化温度領域より低い温度にまで温度降下し、次いで結晶化温度領域で加熱することによって得られたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記の接合体を備えており、第一の部材が、端部に開口が設けられている放電管であり、第二の部材が、放電管の端部に固定されている封止部材であることを特徴とする、発光容器に係るものである。更に、本発明は、前記の発光容器、および放電管の内部空間に設けられている電極を備えていることを特徴とする、高圧放電灯用組み立て体および高圧放電灯に係るものである。
【0011】
接合部でガラスやセラミック組成物を溶融させた後、組成物を部分結晶化させたい場合には、溶融後の降温過程において結晶化温度で一定時間保持し、あるいは徐冷することによって、結晶化を促進する工程が必要である。しかし、本発明者が検討したところ、結晶化温度領域での保持や徐冷段階において、多結晶アルミナと溶融組成物との界面でのアルミナの拡散が進行し、多結晶アルミナの部分溶融をもたらしていた。
【0012】
そこで、本発明者は、接合部でガラスやセラミック組成物を溶融させた後、いったん結晶化温度領域より下の温度(例えば室温)にまで冷却し、次いで結晶化温度領域内に昇温して結晶化工程を行うことを想到した。この結果、結晶化工程の際に、多結晶アルミナと溶融組成物との界面でのアルミナの拡散が抑制され、多結晶アルミナの部分溶融が防止されることを見いだした。
【0013】
第二の態様に係る発明は、少なくとも接合面が平均粒径20μm以下の多結晶アルミナからなる第一の部材、第二の部材および第一の部材と第二の部材との間の接合材を備えている接合体であって、接合材が、多孔質骨格と、この多孔質骨格の気孔内に含浸されている、金属酸化物および金属窒化物を含む下記(A)または(B)の組成物からなることを特徴とする。
組成(A):
希土類酸化物:5mol%以上、60mol%以下
酸化珪素: 5mol%以上、20mol%以下
アルミナ:
20mol%以上、60mol%以下、および
窒化アルミニウム:10mol%以上、40mol%以下
組成(B):
希土類酸化物: 5mol%以上、60mol%以下
酸化珪素: 0mol%以上、20mol%以下
アルミナ: 20mol%以上、60mol%以下、および
窒化珪素:
3mol%以上、18mol%以下
【0014】
また、本発明は、前記の接合体を備えており、第一の部材が、端部に開口が設けられている放電管であり、第二の部材が、放電管の端部に固定されている封止部材であることを特徴とする、発光容器に係るものである。更に、本発明は、前記の発光容器、および放電管の内部空間に設けられている電極を備えていることを特徴とする、高圧放電灯用組み立て体および高圧放電灯に係るものである。
【0015】
本発明者は、金属酸化物組成物中に窒化物をも添加することによって、組成物が溶融したときの粘度を上昇させ、これによって多結晶アルミナと溶融組成物との界面でのアルミナの拡散が抑制され、多結晶アルミナの部分溶融が防止されることを見いだした。
【0016】
【発明の実施の形態】
第一、第二の態様に係る発明においては、第一の部材の少なくとも一部を構成する多結晶アルミナの平均粒径は20μm以下であるが、これが15μm以下となると、本発明による作用効果が一層顕著となる。また、この多結晶アルミナの平均粒径の下限は特にないが、使用時の粒成長を抑制するという観点からは1μm以上が好ましく、5μm以上が更に好ましい。
【0017】
多結晶アルミナの平均粒径は以下のようにして測定する。
例えばインターセプト法にて計測・算出する。詳細には以下の通りとなる。
(1)まず光学顕微鏡で倍率100倍で観察し、画像を得る。
(2) この画像(視野)の凡そ上・中・下部辺りでそれぞれ5cm直線が通過する粒子数をカウント、3箇所の平均値(n)を求める。
(3) 100倍における5cmを実寸法とした500(μm)とする。
(4) 平均粒径=4/π×500/nとなる。
【0018】
第一の部材の全体が多結晶アルミナからなっていることが好ましいが、多結晶アルミナ以外の材質からなる部分を備えていてもよい。この部分は、セラミックス、金属、セラミックス−金属複合材料など、任意の材料からなっていてよい。第二の部材の材質は特に限定されず、セラミックス、金属、セラミックス−金属複合体であってよい。
【0019】
第一の態様に係る発明においては、接合材が、多孔質骨格と、多孔質骨格の気孔に含浸され、少なくとも部分的に結晶化した酸化物ガラスまたはセラミック組成物からなる。このような組成物は、以下のものである。
【0020】
Al23:10−30重量%、SiO2:15−40重量%、Y23:0−40重量%、Dy23:0−70重量%、B23:0−5重量%、Mo 3:0−10重量%
【0021】
また、第二の態様に係る発明における組成物はオキシナイトライドガラスである。オキシナイトライドガラスは、希土類酸化物、Al、SiOおよび窒化物を原料とする。
この窒化物は、窒化アルミニウム、窒化珪素である。希土類酸化物は、サマリウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウムおよびルテチウムからなる群より選ばれた一種以上の元素の酸化物である。特に好ましくは、Sc、Y、La、Gd、Dy、HoまたはTmである。
【0022】
第二の発明においては、オキシナイトライドガラス材料が、以下の原料組成を有する混合物である。
【0023】
組成(A)
希土類酸化物:5mol%以上、60mol%以下
(特に好ましくは10mol%以上、あるいは、50mol%以下)
酸化珪素: 5mol%以上、20mol%以下
(特に好ましくは8mol%以上、あるいは、15mol%以下)
アルミナ:
20mol%以上、60mol%以下
(特に好ましくは25mol%以上、あるいは、50mol%以下)
窒化アルミニウム:10mol%以上、40mol%以下
(特に好ましくは15mol%以上、あるいは、30mol%以下)
原料組成(B)
希土類酸化物: 5mol%以上、60mol%以下
(特に好ましくは10mol%以上、あるいは、50mol%以下)
酸化珪素: 0mol%以上、20mol%以下
(特に好ましくは2mol%以上、あるいは、15mol%以下)
アルミナ: 20mol%以上、60mol%以下
(特に好ましくは25mol%以上、あるいは、50mol%以下)
窒化珪素: 3mol%以上、18mol%以下
(特に好ましくは5mol%以上、あるいは、15mol%以下)
【0024】
以下の組成系が特に好ましい。
Dy−Si−Al−AlN、Sc−SiO−Al−AlN、Y−SiO−Al−AlN、Dy−Al−Si、Sc−Al−Si、Y−Al−Si
【0025】
窒化物を含有する組成物においては、珪素原子の組成比率が大きすぎると、組成物の融点が低下し、接合部分の耐久性が低下する可能性がある。この観点からは、珪素原子の組成比率は17原子%以下とすることが好ましい。また、組成物の珪素原子の組成比率が小さくなり過ぎると、溶融時の粘度が低くなり、多結晶アルミナの溶解が進行しやすくなる。これを防止するという観点からは、組成物中の珪素原子の組成比率は、5原子%以上とすることが好ましい。
【0026】
第一の態様に係る発明においては、組成物を溶融した後、組成物の結晶化温度領域より低い温度にまで温度降下する。この温度降下後の保持温度は、結晶化温度領域の下限温度以下とする。この保持温度は特に限定されないが、結晶化温度領域の下限温度よりも150℃以上低い温度であることが好ましく、250℃以下であることが更に好ましく、室温であることが最も好ましい。
【0027】
第一の態様に係る発明においては、次いで結晶化温度領域で接合部分を加熱し、組成物を結晶化させる。この際の温度や保持時間は組成物の組成によって適宜選択する。
【0028】
本発明の接合体は、真空等の開閉器など、900℃以上の高温下において気密性を要する導電部ないし端子を有する構造体の一部として幅広く応用できる。また、腐食性ガス、特にハロゲン系の腐食性ガスに対して曝露されるような用途に好適に使用できる。
【0029】
好適な実施形態においては、、本発明の接合材を高圧放電灯用途に適用する。この場合には、第一の部材が、端部に開口が設けられている放電管であり、第二の部材が、放電管の端部に固定されている封止部材である。
【0030】
この場合、放電管の内周面および外周面の中心線平均表面粗Raを2〜8μmとすることによって、疑似点光源化を促進することができる。
【0031】
本発明の高圧放電灯は、自動車用ヘッドランプ、OHP(オーバーヘッドプロジェクタ)用或いは液晶プロジェクタ等の光源に利用できる。
【0032】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を基に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る高圧放電灯14Aの断面説明図である。
アルミナ製円筒体2から成る放電管1の両端部1a開口部1bに、直接電極部材3が挿入封止され、内部空間10にはハロゲン化合物等の発光物質や始動ガスが封入されている。円筒体2は、多結晶アルミナで形成された単純な円筒で形成され、また電極部材3は電流導体4とその先端に設置された放電電極5とから形成されている。電極5は空間10内に固定される。
【0033】
放電電極5はタングステンの棒体及びその先端に固着されたフィラメントとで形成されているが、小型化を図るため単なるタングステンの棒体のみで形成しても良い。また、電流導体4は、金属製のパイプ(封止部材)7とその内部に形成された円柱形状の芯材8とから成り、双方は端部で溶接接合されている。また、放電電極5は芯材8の先端に設けられ、溶接又はメタライズ接合により接合されている。また、封止部材7は、例えばタングステン、モリブデン等の耐ハロゲン化物物質で形成すれば良く、ここではモリブデンを使用している。
【0034】
アルミナ製放電管を用いた高圧放電灯を疑似点光源として使用する場合には、上述したように小型化する必要がある。具体的には放電管の長さL1を15mm以下とし、直径を6mmφ以下とすることが好ましい。但し、内部放電部のアーク長は1mm〜5mm程度必要とされている。この点、図1の構成にあっては、放電管1であるアルミナ製円筒体2の長さL1は6mm以上であれば内部に1mm以上のアーク長を形成することが可能であるし、放電管に直接電極部材3を取り付けるため、放電管1の直径D1は1mmφまで小さくすることが可能である。従って、擬似点光源化した高圧放電灯を得ることができる。
【0035】
図2は、他の実施形態に係る高圧放電灯14Bを模式的に示す断面図である。本例では、円筒体15は、両端部15aの開口部15bの電極部材挿入位置に段部23を設けて拡径してある。
【0036】
次に、図1、図2の例において放電管1とパイプ導体(封止部材)7とを接合する接合部分について説明する。図3、図4に示すように、この接合部分20、21は、多孔質に形成した金属(以下多孔質骨格6とする)に、セラミックまたはガラス組成物の溶融物を含浸させて形成されている。多孔質骨格6は金属粉末の焼結体で開気孔を有している。
【0037】
この接合部分20、21を製造する際には、金属粉末を調合、粉砕、乾燥し、エチルセルロースもしくはアクリル系樹脂等のバインダーを添加して混連してペースト状にし、多孔質骨格6を得る。そのペーストを所定の部位、即ちパイプ導体7の側面にリング状に塗布し、20℃〜60℃で乾燥させる。この仮焼体を、露点20℃〜50℃の還元雰囲気、不活性ガス雰囲気又は真空下で、1200℃〜1700℃の温度で焼成する。こうすることで、開気孔を有する多孔質骨格6をパイプ導体7の接合部に形成することができる。
【0038】
次いで、放電管にパイプ導体7を挿入し、ガラスまたはセラミック組成物をシール部に添付し、組成物を加熱溶融させてパイプ導体7を円筒体2に接合すると共に隙間を封止する。この組成物中には、ポリビニルアルコール等のバインダーを添加し、造粒することができる。最後に、放電電極5を設けた芯材8をパイプ導体7に挿入し、端部を溶接し、双方を接合し封止する。
【0039】
こうして形成したパイプ導体7と円筒体2との接合部は、図1のA部の拡大説明図である図3、図4に示すように、添付されたガラスまたはセラミック組成物が、溶融した際に多孔質骨格6の開気孔中に含浸し、多孔質骨格6と含浸ガラス相から成る主相12を形成する。更に、パイプ導体7と円筒体2との間に界面層9.19を生成させる。
【0040】
ここで、前述したように、放電管1を、平均粒径20μm以下の多結晶アルミナによって形成した場合には、溶融した組成物との界面拡散によって、図3に示す19aのように接合材のヒケが発生し、長さT1、T2の浸食部分Cが発生していた。しかし、本発明によれば、図4に示すように、接合材9にはヒケは発生せず、放電管2の界面2bにおける浸食は抑制される。
【0041】
【実施例】
(比較例1)
上述した製造プロセスに従って、図1を参照しつつ説明したセラミック放電管を作製した。ただし、セラミック放電管および閉塞材をアルミナ磁器によって形成し、金属部材としてモリブデン製のパイプを使用した。また、多孔質骨格には平均粒径3μmのモリブデン粉末を使用し、バインダーとしてエチルセルロースを使用した。モリブデン粉末のタップ密度は2.9g/ccであった。
【0042】
酸化ジスプロシウム、アルミナおよび酸化珪素の各粉末の混合物を成形し、リング状の成形体を得、大気中700℃で脱脂した。酸化ジスプロシウム、アルミナ、酸化珪素の割合は、重量比で、77:13:10とした。得られたリング状の成形体をセットし、乾燥した非酸化雰囲気で1650℃で10分間保持し、混合物を溶融させて多孔質骨格中に含浸させた。
【0043】
次いで、1650℃から1200℃までは5分間で降温し、1200℃から1000℃までは1.5時間で徐冷し、組成物を結晶化させた。この組成物の結晶化温度領域は、1300〜900℃である。次いで室温まで放冷し、図3に示す接合部分を有する高圧放電灯用の発光容器を得た。
【0044】
得られた接合体について、放電管1を構成する多結晶アルミナの平均粒径を、表1に示すように変更した。また、接合部の長さをSとし、放電管1を構成する多結晶アルミナが浸食されている長さを(T1+T2)としたとき、(多結晶アルミナの浸食部分の長さ(T1+T2)/接合部の長さS)を評価した。これが15%以下である場合には「○」と表記し、15〜35%である場合には「△」と表記し、35%を超える場合には「×」と表記した。この結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
Figure 0004297254
【0046】
この結果から分かるように、多結晶アルミナの平均粒径が20μm以下になると、多結晶アルミナの浸食部分の長さの比率が著しく増大した。
【0047】
(実施例1:第一の態様に係る発明)
比較例1と同様にして、図1を参照しつつ説明したセラミック放電管を作製した。ただし、セラミック組成物からなるリング状の成形体をセットした後、乾燥した非酸化雰囲気で1650℃で10分間保持し、混合物を溶融させて多孔質骨格中に含浸させた。
次いで、1650℃から、結晶化温度領域内で徐冷ないし保持することなしに、室温まで放冷した。次いで室温から1200℃まで昇温し、1200℃で1.5時間加熱し、組成物を結晶化させた。次いで室温まで放冷し、図4に示す接合部分を有する高圧放電灯用の発光容器を得た。
【0048】
得られた接合体について、放電管1を構成する多結晶アルミナの平均粒径を、表2に示すように変更した。また、(多結晶アルミナの浸食部分の長さT1+T2/接合部の長さS)を評価した。
【0049】
【表2】
Figure 0004297254
【0050】
この結果、多結晶アルミナの平均粒径が20μm以下の場合であっても、多結晶アルミナのアルミナの浸食を効果的に防止できることが分かった。
【0051】
(実施例2)
比較例1と同様にして、図1を参照しつつ説明したセラミック放電管を作製した。ただし、酸化ジスプロシウム、アルミナ、酸化珪素および窒化珪素の各粉末の混合物を成形し、リング状の成形体を得、大気中700℃で脱脂した。酸化ジスプロシウム、アルミナ、酸化珪素の割合は、重量比で、77:13:10とし、かつ全原子%に対して窒素5原子%となるように添加した。得られたリング状の成形体をセットし、乾燥した非酸化雰囲気で1650℃で10分間保持し、混合物を溶融させて多孔質骨格中に含浸させた。
【0052】
次いで、1650℃から1200℃までは5分間で降温し、1200℃から1000℃までは1.5時間で徐冷し、組成物を結晶化させた。この組成物の結晶化温度領域は、1300〜1050℃である。次いで室温まで放冷し、図4に示す接合部分を有する高圧放電灯用の発光容器を得た。
【0053】
得られた接合体について、放電管1を構成する多結晶アルミナの平均粒径を、表3に示すように変更した。また、(多結晶アルミナの浸食部分の長さT1+T2/接合部の長さS)を評価した。この結果を表3に示す。
【0054】
【表3】
Figure 0004297254
【0055】
この結果、多結晶アルミナの平均粒径が20μm以下の場合であっても、多結晶アルミナのアルミナの浸食を効果的に防止できることが分かった。
【0056】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、少なくとも接合面が平均粒径20μm以下の多結晶アルミナからなる第一の部材、第二の部材および接合材を備えている接合体において、接合時における多結晶アルミナの溶融を抑制し、接合部分の信頼性を向上させるができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る高圧放電灯14Aを模式的に示す縦断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態に係る高圧放電灯14Bを模式的に示す縦断面図である。
本発明の一実施形態に係る高圧放電灯14Aを模式的に示す縦断面図である。
【図3】比較例における接合部分の状態を示す断面図である。
【図4】本発明例における接合部分の状態を示す断面図である。
【符号の説明】
1、15 放電管 2 円筒体 6 多孔質骨格 7 封止部材 9 接合材 12 主相 14A、14B 高圧放電灯 T1+T2 多結晶アルミナの浸食部分の長さ
S 接合部分の長さ

Claims (10)

  1. 少なくとも接合面が平均粒径20μm以下の多結晶アルミナからなる第一の部材、第二の部材および前記第一の部材と前記第二の部材との間の接合材を備えている接合体であって、
    前記接合材が、多孔質骨格と、この多孔質骨格の気孔内に含浸されている結晶化ガラス組成物またはセラミック組成物からなり、この結晶化ガラス組成物またはセラミック組成物が、Al23:10−30重量%、SiO2:15−40重量%、Y23:0−40重量%、Dy23:0−70重量%、B23:0−5重量%およびMoO3:0−10重量%の組成を有、前記組成物を溶融した後、前記組成物の結晶化温度領域より低い温度にまで温度降下し、次いで前記結晶化温度領域で加熱することによって得られたことを特徴とする、接合体。
  2. 請求項1記載の接合体を備えており、前記第一の部材が、端部に開口が設けられている放電管であり、前記第二の部材が、前記放電管の端部に固定されている封止部材であることを特徴とする、発光容器。
  3. 前記放電管の内周面および外周面の中心線平均表面粗さRaが2〜8μmであることを特徴とする、請求項2記載の発光容器。
  4. 請求項2または3記載の発光容器、および前記放電管の内部空間に設けられている電極を備えていることを特徴とする、高圧放電灯用組み立て体。
  5. 請求項4記載の高圧放電灯用組み立て体を備えており、前記内部空間に少なくとも発光ガスが封入されていることを特徴とする、高圧放電灯。
  6. 少なくとも接合面が平均粒径20μm以下の多結晶アルミナからなる第一の部材、第二の部材および前記第一の部材と前記第二の部材との間の接合材を備えている接合体であって、
    前記接合材が、多孔質骨格と、この多孔質骨格の気孔内に含浸されている、下記組成(A)または組成(B)の組成物からなることを特徴とする、接合体。
    組成(A):
    希土類酸化物:5mol%以上、60mol%以下
    酸化珪素: 5mol%以上、20mol%以下
    アルミナ:
    20mol%以上、60mol%以下、および
    窒化アルミニウム:10mol%以上、40mol%以下
    組成(B):
    希土類酸化物: 5mol%以上、60mol%以下
    酸化珪素: 0mol%以上、20mol%以下
    アルミナ: 20mol%以上、60mol%以下、および
    窒化珪素:
    3mol%以上、18mol%以下
  7. 請求項6記載の接合体を備えており、前記第一の部材が、端部に開口が設けられている放電管であり、前記第二の部材が、前記放電管の端部に固定されている封止部材であることを特徴とする、発光容器。
  8. 前記放電管の内周面および外周面の中心線平均表面粗Raが2〜8μmであることを特徴とする、請求項7記載の発光容器。
  9. 請求項7または8記載の発光容器、および前記放電管の内部空間に設けられている電極を備えていることを特徴とする、高圧放電灯用組み立て体。
  10. 請求項9記載の高圧放電灯用組み立て体を備えており、前記内部空間に少なくとも発光ガスが封入されていることを特徴とする、高圧放電灯。
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