JP4296841B2 - 櫛付キャップ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗布液を収納した容器の口部に取り付けられ、その塗布に用いられる櫛付キャップと塗布用具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ヘアカラー、ヘアマニュキュア等の毛髪染毛剤、毛髪脱色剤、スタイリング剤等の毛髪化粧料を毛髪に塗布する塗布用具として、図6に示すように、毛髪化粧料を収納したスクイズ容器1の口部2に取り付けられる櫛付キャップ10Xが使用されている。
【0003】
この櫛付キャップ10Xは、スクイズ容器1の口部2に螺合するキャップ部20と櫛歯部30とからなり、櫛歯部30は、キャップ部20の頂面21に起立した複数の板状櫛歯31が、該板状櫛歯31の厚み方向に列設されたものとなっている。同図(b)に示したように、板状櫛歯31には容器1の内部に連通する毛髪化粧料の通液路32が形成されており、通液路32の一端が板状櫛歯31の先端部において毛髪化粧料の吐出孔33として開口している。
【0004】
この櫛付キャップ10Xの使用時には、スクイズ容器1を倒立させて櫛歯部30を毛髪に当て、容器1を押圧することにより吐出孔33から毛髪化粧料を吐出させつつ、櫛歯部30で毛髪を梳く。これにより、毛髪化粧料の吐出操作と塗布操作を同時にできるので、毛髪化粧料の毛髪への塗布を簡便に行うことが可能となる。
【0005】
また、このような櫛付キャップにおいて、櫛通りをよくするために、図7に示したように、各板状櫛歯31の下半分に板状櫛歯31の幅を狭めた欠部34を形成し、隣り合う板状櫛歯31同士で欠部34が左右交互に互い違いとすることが提案されている(特許文献1)。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−120339号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図7に示したように、板状櫛歯31の下半分に欠部34を形成すると、板状櫛歯31の基部側の剤保持性が低下し、毛髪のボリュームのある部分に毛髪化粧料を十分に塗布することができない。
【0008】
一方、毛髪への塗布量を多くするには、板状櫛歯31同士の間隔を狭めればよいが、板状櫛歯31同士の間隔を狭めると櫛通りが低下する。
【0009】
これに対し、本発明は、板状櫛歯が、該板状櫛歯の厚み方向に列設した櫛歯部を有する櫛付キャップを取り付けた容器を用いて、毛髪化粧料その他の塗布液を毛髪等の被塗布体に塗布する際に、被塗布体への塗布量を十分に確保しつつ櫛通りを改善することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
キャップ部上に起立した複数の板状櫛歯が、該板状櫛歯の厚み方向に列設されている櫛付キャップにおいて、板状櫛歯をその基部においては一列に重なるように配列するが、先端部は幅狭とし、その幅狭の先端部が隣り合う板状櫛歯同士で互い違いとなる千鳥配列とすると、板状櫛歯の先端部は幅狭で、隣り合う板状櫛歯同士の間隔が広くなるので櫛通りがよく、かつ板状櫛歯の基部においては、板状櫛歯の幅が広く、隣合う板状櫛歯同士の間隔が狭くなるので剤保持性が向上し、毛髪化粧料等の塗布液の塗布量が低下しないことを本発明者は見出した。
【0011】
即ち、本発明は、塗布液を収容した容器に取り付けられるキャップ部と、キャップ部上に起立した複数の板状櫛歯が、該板状櫛歯の厚み方向に列設されてなる櫛歯部とからなる櫛付キャップであって、
板状櫛歯が容器内部に連通する通液路を有し、通液路の一端が板状櫛歯の先端部において塗布液の吐出孔として開口し、
板状櫛歯がその基部において一列に配列し、先端部が幅狭となり、該先端部が千鳥配列となっている櫛付キャップを提供する。
【0012】
また、本発明は、上述の櫛付キャップを、塗布液を収容した容器に装着した塗布用具を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。なお、各図中、同一符号は同一又は同等の構成要素を表している。
【0014】
図1(a)は、本発明の一実施例の櫛付キャップ10Aをスクイズ容器1に取り付けた本発明の一実施例の塗布用具の部分斜視図であり、同図(b)は櫛付キャップ10Aの上面図、同図(c)、(d)はそれぞれ櫛付キャップ10Aの断面図である。
【0015】
この櫛付キャップ10Aは、スクイズ容器等の塗布液を収容した容器1の口部に螺合により取り付けられるキャップ部20と、キャップ部20の頂面21上に起立した複数の板状櫛歯31が、該板状櫛歯31の厚み方向に列設されている櫛歯部30からなっている。
【0016】
なお、本発明において板状櫛歯とは、図1(a)に示すように、その厚みに比べて幅方向の面積が十分に大きい平板状の高剛性材料からなる櫛歯をいう。
【0017】
この板状櫛歯31には、容器1の内部に連通する、塗布液の通液路32が形成されている。通液路32の一端は、隣合う板状櫛歯31の対向面の先端部35に、塗布液の吐出孔33として開口しており、その開口面は板状櫛歯31の長手方向に対して平行となっている。このように吐出孔33を、隣合う板状櫛歯31の対向面に形成することにより、毛髪等の被塗布体を板状櫛歯31で梳いた場合に、塗布液を効率よく被塗布体に付着させることができ、また、塗布している間に容器1を一時的に正立させた場合に、板状櫛歯31に付着していた塗布液を、後述する液受け部38に効率よく溜めることができる。
【0018】
また、この櫛付キャップ10Aの特徴として、各板状櫛歯31はその基部36において同一幅に形成されており、一列に重なり合って配列しているが、先端部35は、その頂部35aが右又は左に偏心するように幅狭に形成され、隣り合う板状櫛歯31同士の右又は左に偏心した先端部35は互い違いとなる千鳥配列になっている。このため、板状櫛歯31の先端部35において隣り合う板状櫛歯31のピッチW1 は、板状櫛歯31の基部36において隣り合う板状櫛歯31のピッチW2 の2倍となっている。したがって、この櫛付キャップ10Aを用いて塗布液を毛髪等の被塗布体に塗布する際の櫛通りは、板状櫛歯31の先端部35の櫛歯ピッチW1 が広いために良好となる。一方、櫛付キャップ10Aを用いて毛髪等を梳いている間に、板状櫛歯31の基部36にも毛髪等は通るようになり、板状櫛歯31の基部36に保持されていた塗布液が毛髪等に塗布されるところ、板状櫛歯31の基部36では、櫛歯ピッチW2 が狭く、また、板状櫛歯31の幅も広い。よって、塗布液の毛髪等の被塗布体への塗布量が向上したものとなる。これに対して、板状櫛歯31の基部36を先端部35と同様に幅狭に形成すると、板状櫛歯31が、先端部35だけでなく、櫛歯全体として千鳥配列となり、基部36のピッチが先端部35のピッチW1と同様に広くなる。このため、毛髪等の被塗布体への塗布量が、単に基部36を幅狭にしたことによって低下するだけでなく、基部36のピッチが広がることによっても低下するので好ましくない。
【0019】
櫛付キャップ10Aにおいて、キャップ部20の頂面21からの板状櫛歯31の高さL1 を30〜40mmとする場合に、各板状櫛歯31が同一幅を有する基部36の高さL0 は10〜20mmとし、先端部35の幅は、吐出孔33近傍で基部36の幅の1/2以下、特に3〜7mmとすることが好ましい。また、基部36に対して先端部35の幅を狭めるにあたり、所定の高さL2 の基部から先端部35の頂部35aにかけて徐々に幅を狭めてもよいが、櫛通りを向上させる点から、図示したように急激に狭めることが好ましい。
【0020】
また、この櫛付キャップ10Aには、隣り合う板状櫛歯31間の櫛歯基面37に、その中央部が板状櫛歯31の縁部側に対して凹んだ液受け部38が形成されている。これにより、櫛付キャップ10Aを取り付けた容器1で塗布液を塗布する間に、一時的にその容器を正立後しばらく放置しても、板状櫛歯31の表面に付着した塗布液は矢印Pのように液受け部38に溜まるので、容器1の側面への液だれを防止することができる。さらに、液受け部38に塗布液が溜まった後、再度この櫛付キャップ10Aを用いて塗布液を塗布すると、液受け部38に溜まった塗布液を毛髪等の被塗布体に塗布できるので、塗布液の無駄をなくすことができる。
【0021】
ここで、キャップ部20の頂面21からの板状櫛歯31の高さL1 を前述と同様30〜40mmとする場合に、液受け部38の側壁39のキャップ部20の頂面21からの高さL2 は10〜20mm、液受け部38の深さL3 は3〜10mmとすることが、液だれを防止し、かつ櫛通りをよくする点から好ましい。液受け部38の深さL3 が浅すぎると液だれを有効に防止することができず、反対に深すぎると溜まった塗布液が排出されにくくなるおそれがある。また、液受け部38の側壁39の高さL2 が高すぎるとL1 −L2 で求められる櫛歯先端部の長さが短くなり、毛髪をすいたり、かき分けたりする櫛としての機能が低下し、反対に低すぎると液受け部38の深さL3 を十分に確保することができない。
【0022】
なお、板状櫛歯31の中央部の幅L4 、厚みL5 、間隔L6 には特に制限はなく、例えば、幅L4 10〜20mm、厚みL5 1〜3mm、間隔L6 1〜3mmとする。
【0023】
また、この櫛付キャップ10Aのキャップ部20の頂面21には、櫛歯部30を囲む高さL7 1〜5mmの凸条22が形成されている。この凸条22が無い場合には、板状櫛歯31の縁辺を矢印Qのようにつたう少量の液だれが容器1の側面にまでつたうことを防止できないが、この凸条22を設けることにより、かかる液だれが容器1の側面につたうことを防止できる。
【0024】
図2(a)は、異なる態様の本発明の実施例の櫛付キャップ10Bの斜視図であり、同図(b)、(c)はそれぞれ櫛付キャップ10Bの断面図である。また、図3は、この櫛付キャップ10Bの櫛歯部30を形成する一つの板状櫛歯31の斜視図である。
【0025】
この櫛付キャップ10Bは、図3に示したように、吐出孔33よりも先端側の領域において板状櫛歯31が肉薄になっており、吐出孔33は、板状櫛歯31の長手方向と垂直な開口面を有している。
【0026】
また、隣り合う板状櫛歯31同士の対向面に、長手方向に延びたリブ40が形成されている。このリブ40により板状櫛歯31の表面積が増加し、板状櫛歯31間の剤保持性が向上するので、塗布液を毛髪等の被塗布体へ十分に延ばして均一に塗布することが容易となる。また、容器1を正立させた場合に、このリブ40により、板状櫛歯31の表面に付着した塗布液を効率よく液受け部38に誘導することが可能となる。
【0027】
なお、このようなリブ40を形成する場合、この櫛付キャップ10Bを樹脂成型する際の金型構造としては、図3に矢印で示したように上下分割するものを使用することが好ましい。
【0028】
図4は、さらに異なる実施例の櫛付キャップ10Cの斜視図(a)、上面図(b)、断面図(c)、及び側面図(d)である。
【0029】
この櫛付キャップ10Cにおいても、板状櫛歯31の基部36は一列に配列し、先端部35は基部36に対して幅狭となっている。また、隣り合う板状櫛歯31の先端部35は、全体として左右交互にずれて千鳥配列となっているが、その厚み方向に部分的に重なり、頂部35aが一列に配列している。
【0030】
このように頂部35aが一列に配列していることにより、板状櫛歯31で毛髪等の被塗布体を梳く場合に、所望の位置を狙って梳くことが容易となる。
【0031】
なお、この櫛付キャップ10Cのように隣り合う板状櫛歯31同士で先端部35の一部が厚み方向に重なっていても、実質的に先端部35において隣り合う板状櫛歯31のピッチW1 は、基部36におけるピッチW2 の2倍となっている。したがって、先端部35でピッチが広いことにより櫛通りが良好となり、また、基部36でピッチが狭く、板状櫛歯31の幅が広いことにより、液保持性が高まり、被塗布体への塗布量を向上させることができる。
【0032】
図5の櫛付キャップ10Dは、図4の櫛付キャップ10Cにおいて、板状櫛歯31の先端部35の頂部35aを細径の円柱状にしたものである。このように板状櫛歯31の頂部35aを細径の円柱状にすることにより、板状櫛歯31で毛髪等の被塗布体を梳く場合に、所望の位置を狙って梳くことがいっそう容易となる。また、頭皮に板状櫛歯31が当たっている感触がわかりやすくなり、さらに、頭皮に塗布液がつくことを極力抑えつつ、髪の根元にまで塗布液を十分につけることが容易となる。
【0033】
本発明の櫛付キャップを装着する容器1は、塗布液を収納でき、櫛付キャップを装着できればよく、例えば、合成樹脂製スクイズ容器とすることができる。
【0034】
本発明の櫛付キャップを用いて塗布する塗布液の種類は、通液路32を通して吐出孔33から吐出させることができる粘度の液剤であれば特に限定されず、人毛あるいは獣毛に適用する種々のヘアカラー、ヘアマニュキュア等の染毛剤、脱色剤、シャンプー、リンス、トリートメント、スタイリング剤等の化粧料、犬や猫等の獣毛あるいは表皮に塗布する蚤取り剤等の薬液、天然あるいは合成の糸束あるいは房状製品の染色液、脱色液、マスキング液などの塗布に使用することができる。
【0035】
特に、染毛剤又は毛髪脱色剤の塗布に用いると、櫛通りよく、十分な塗布量でそれらを塗布することができ、また、櫛付キャップに液受け部38を設けた場合には、それらが容器の側面に液だれすることを防止し、周囲が不要に染色あるいは脱色されることを防止できるので好ましい。したがって、染毛剤又は毛髪脱色剤を収容した容器に本発明の櫛付キャップを装着した本発明の塗布用具は、毛髪化粧料製品として使い勝手がよく、製品価値の高いものとなる。
【0036】
【発明の効果】
本発明の櫛付キャップによれば、板状櫛歯を列設した櫛歯部を有する櫛付キャップを取り付けた容器を用いて、毛髪化粧料その他の塗布液を毛髪等の被塗布体に塗布する際に、被塗布体への塗布量を十分に確保しつつ櫛通りを改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の櫛付キャップをスクイズ容器に取り付けた実施例の塗布用具の部分斜視図(a)、上面図(b)及び断面図(c)、(d)である。
【図2】 実施例の櫛付キャップの斜視図(a)及び断面図(b)、(c)である。
【図3】 実施例の櫛付キャップの板状櫛歯の斜視図である。
【図4】 実施例の櫛付キャップの斜視図(a)、上面図(b)、断面図(c)、及び側面図(d)である。
【図5】 実施例の櫛付キャップの斜視図(a)、上面図(b)、断面図(c)、及び側面図(d)である。
【図6】 従来の櫛付キャップを取り付けた塗布用具の斜視図(a)及び断面図(b)である。
【図7】 従来の櫛付キャップの斜視図である。
【符号の説明】
1 スクイズ容器又は容器
2 口部
10A、10B、10C、10D 実施例の櫛付キャップ
20 キャップ部
21 頂面
22 凸条
30 櫛歯部
31 板状櫛歯
32 通液路
33 吐出孔
35 先端部
35a 頂部
36 基部
37 櫛歯基面
38 液受け部
40 リブ

Claims (8)

  1. 塗布液を収容した容器に取り付けられるキャップ部と、キャップ部上に起立した複数の板状櫛歯が、該板状櫛歯の厚み方向に列設されてなる櫛歯部とからなる櫛付キャップであって、
    板状櫛歯が容器内部に連通する通液路を有し、通液路の一端が板状櫛歯の先端部において塗布液の吐出孔として開口し、
    板状櫛歯がその基部において一列に配列し、先端部が幅狭となり、該先端部が千鳥配列となっている櫛付キャップ。
  2. 隣り合う板状櫛歯間の櫛歯基面に、その中央部が板状櫛歯の縁部側に対して凹んだ液受け部が形成されている請求項1記載の櫛付キャップ。
  3. キャップ部の頂面に櫛歯部を囲む凸条が形成されている請求項1記載の櫛付キャップ。
  4. 隣り合う板状櫛歯同士の対向面に、長手方向に延びたリブが形成されている請求項1記載の櫛付キャップ。
  5. 板状櫛歯の先端部の頂部が、一列に配列している請求項1記載の櫛付キャップ。
  6. 板状櫛歯の先端部が、細径の円柱状の頂部を有する請求項1記載の櫛付キャップ。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の櫛付キャップを、塗布液を収容した容器に装着した塗布用具。
  8. 塗布液が、染毛剤又は毛髪脱色剤である請求項7記載の塗布用具。
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