JP4291433B2 - ダイコーター塗装装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は長尺状の薄金属板やプラスチックフィルム等の基材(ワーク)の表面に、安定した連続的な模様を形成するダイコーター塗装装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ダイコーター塗装装置を用いて、長尺の基材に2種類の塗料にて連続的に帯、筋、縞目等の模様を形成する技術としては、特公昭64−106号公報に記載されたものがある。
【0003】
すなわちこの塗装装置では、基材に形成する帯、筋、縞目等の模様はトレンチ内での異なる種類の塗料の層流により形成されているものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記塗装装置では、模様の形成が単にトレンチ内での異なる種類の塗料の層流のみで形成されているので、模様管理が難しく連続的な塗装では模様の明確な部分と模様の不明確な部分等が発生したり、安定した模様の形成が難しいものであった。また、模様自体も単純であり、複雑で深みのある模様は形成することが困難である等の課題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような課題を解決するために、ダイスのキャビティー内に混合棒を設置することにより、キャビティー内に供給される塗料が混合棒の抵抗によりより攪拌され、キャビティー内にて捻回することにより、安定して連続的に模様を形成することができると共に、より複雑で深みのある模様を形成することができるダイコーター塗装装置を提案するものである。
【0006】
さらに、キャビティー内の混合棒をそのまま回転させたり、キャビティーに沿って反復運動を行ったりすることにより、より一層塗料同士の攪拌、混合と捻回運動を助長させることができ、安定して連続的に模様を形成することができると共に、より複雑で深みのある模様を形成することができるダイコーター塗装装置を提案するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に図面を用いて、本発明に係るダイコーター塗装装置の代表的な一実施例について詳細に説明する。図1、図2は本発明に係るダイコーター塗装装置の概略を示す説明図であり、Aはダイコーター塗装装置であり、図1(a)はその斜視図、図1(b)は内部の透視図、図2(a)は断面図、図2(b)は図2(a)のイ部分の拡大図である。
【0008】
その形状としては、略四角柱のダイス1と、ダイス1の一側面の基材Bに面するヘッド2と、ヘッド2略中央部分に任意断面形状(図では断面半円状)の細いキャビティー3(塗装溝)を形成したものである。また、キャビティー3内にはキャビティー3と平行に棒状で任意径の混合棒4を配置したものである。
【0009】
さらに、ヘッド2の上方端部には切り欠いてとがらせたエッジ5を形成し、ダイス1内にキャビティー3と平行となるように、必要に応じて混合室6を設け、混合室6の奥には、ベース塗料αを供給する第1パイプ7が設置されており、第1パイプ7の途中には、マーカー塗料βを供給する第2パイプ8が設置されている。
【0010】
また、キャビティー3と混合室6は複数の接続パイプ9によって接続されており、各々の接続パイプ9の途中には、開閉自在なバルブ10が設けられている。
【0011】
基材Bの表面に模様が形成される仕組みとしては、図3(a)、(b)および図4に示すように、第1パイプ7からベース塗料αを供給し、第2パイプ8から異なる色のマーカー塗料βをそれぞれ供給すると、ベース塗料α、マーカー塗料βは混合室6に充填されると共に回転しはじめ、半練り状(完全にではなく半分混じりあっている状態)となり、接続パイプ9内を移動して、キャビティー3内に移動する。
【0012】
キャビティー3内では、混合棒4の抵抗もあり塗料の層流が一層助長され、さらに攪拌、捻回を加え、そこを基材Bの表面が矢印方向に移動することにより、基材Bの表面に連続的に複雑で深みのある帯、筋、縞目状の模様が安定して形成されるものである。また、実際には図3(b)、および図4に示すように、基材Bは支持材および搬送手段でもあるパックアップロール11に支持されて塗装され、その後、乾燥や焼き付け工程等に移送されるものである。
【0013】
なお、ベース塗料α、マーカー塗料βとしてはアクリル系、ウレタン系、エポキシ系、ポリエステル系、フッ素樹脂系等の一種以上の塗料からなり、少なくともそれぞれの色が異なるものである。勿論、ベース塗料αおよびマーカー塗料βの性質自体が異なるものでもよい。さらに、ベース塗料αおよびマーカー塗料βのどちらか一方をインク等の各種顔料のみとして供給してもよい。
【0014】
また、ベース塗料α、マーカー塗料βの何れか一方、もしくは両方に、塗料の回転による混合を助長する溶剤を混入しておくものである。溶剤は、ダイコーター塗装装置Eに至る前に予め混合しておくものであり、アルコール類、ケトン類、エステル類、グリコールエーテル類、エーテル類、炭化水素類のうち、1種以上からなるものである。
【0015】
なお、供給するベース塗料α、マーカー塗料βの流量比の値、および溶剤の量比によっても帯、筋、縞目状の模様の幅や表れる間隔等が変化するものであり、この量比は任意に選択することができるものである。
【0016】
さらに図4に示すように、ヘッド2に形成したエッジ5は基材Bの表面から、塗装する膜厚の長さだけの距離(クリアランス)を設けて設置するものであり、塗料切れを良くし、塗装膜の厚みを一定に保つ働きをするものである。
【0017】
さらに、基材Bの表面全面に一時にして塗装するには、キャビティー3の幅を基材Bの幅と同一もしくは広幅とし、基材Bの一部表面に塗装するにはキャビティー3の幅を基材Bの幅より狭幅とすれば良く、任意に行えるものである。
【0018】
なお、バルブ10は、キャビティー3内にベース塗料α、マーカー塗料βを充填する際の各接続パイプ9からの供給量を調節することで、模様に変化を持たせるために、必要に応じて設けるものであり、具体的にはロータリーエアーバルブ等からなるものである。
【0019】
さらに、図示しないが、1つのベース塗料αに対して、2つ以上のマーカー塗料βを供給して、3種類以上の異なる塗料の混じりあった塗装を行うこともできるものである。
【0020】
図5(a)および、図5(a)のロ部分の拡大図である図5(b)に示すダイコーター塗装装置Aは、キャビティー3内に配設してある混合棒4の両先端に、駆動装置12を装着した装置である。この駆動装置12は、例えばサーボーモーター等からなるものであり、図5(b)に示すように、混合棒4に矢印で示すような回転運動を行わせるものである。
【0021】
図6(a)および、図6(a)のハ部分の拡大図である図6(b)に示すダイコーター塗装装置Aは、キャビティー3に沿って混合棒4が矢印で示すような反復運動を行う装置であり、図7(a)および、図7(a)のニ部分の拡大図である図7(b)に示すダイコーター塗装装置Aは、回転運動と反復運動を同時に行う装置を示すものである。
【0022】
すなわち、混合棒4がキャビティー3内で回転運動や反復運動を行うことにより、より一層塗料同士の攪拌、混合と捻回運動を助長させることができ、安定して連続的に模様を形成することができると共に、より複雑で深みのある模様を形成することができるものである。
【0023】
なお、回転や反復運動のスピード方向、タイムラグ等の設定は任意に行えるものである。
【0024】
【その他の実施例】
以上説明したのは本発明に係るダイコーター塗装装置の代表的な一実施例であり、図8〜図14に示すような部材を用いたり、ダイコーター塗装装置Aとしたりすることもできる。
【0025】
すなわち、図8〜図10は混合棒4の変形例を示す説明図であり、図8(a)は長手方向に沿って凸条13を、図8(b)は溝条14を、図8(c)はヒレ条15を形成した例、図8(d)は断面を三角形状に、図8(e)は多角形状に、図8(f)は星形状に形成した混合棒4の例である。
【0026】
図9(a)は外周に沿って溝16を複数形成した例、図9(b)は溝16を螺旋状に形成した例、図9(c)は径の太さを任意ピッチで変更した例、図9(d)は外周に針状物17を複数突出させた例、図10(a)、(b)はパドル状やフィン状の突起物18を形成した例、図10(c)は内部を中空とし、外周に貫通孔19を複数形成した混合棒4の例である。
【0027】
これらの混合棒4は、いずれも抵抗により層流を変化させたり、捻回や攪拌を助長する形状としたものである。
【0028】
図11はキャビティー3内における混合棒4の配設位置の変形例であり、図11(a)〜(d)は設置位置をそれぞれ移動させた例、図11(e)、(f)は複数の混合棒4を配設した例である。
【0029】
図12はダイコーター塗装装置Aの変形例であり、ヘッド2の両端近傍までの幅を有するキャビティー3の幅を調節する弾性体20をキャビティー3内に嵌装し、弾性体20を動かすことによりキャビティー3の幅を調整し、基材Bの幅の変化に対応して、塗装する幅を任意に変更したりする際に有効なものである。
【0030】
図13(a)、図13(a)のホ部分の拡大図である図13(b)、および図14(a)の斜視図、図14(b)の透視図に示すダイコーター塗装装置Aは、混合室6にも混合棒4を設置して、より一層塗料同士の攪拌、混合と捻回運動を助長させることができ、安定して連続的に模様を形成することができると共に、より複雑で深みのある模様を形成できる装置である。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るダイコーター塗装装置によれば、ダイスのキャビティー内に混合棒を設置することにより、キャビティー内に供給される塗料が混合棒の抵抗によりより攪拌され、キャビティー内にて捻回することにより、安定して連続的に模様を形成することができると共に、より複雑で深みのある模様を形成することができる。等の特徴、効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るダイコーター塗装装置の代表例を示す説明図である。
【図2】本発明に係るダイコーター塗装装置の代表例を示す説明図である。
【図3】本発明に係るダイコーター塗装装置の使用例を示す説明図である。
【図4】本発明に係るダイコーター塗装装置の使用例を示す説明図である。
【図5】本発明に係るダイコーター塗装装置の代表例を示す説明図である。
【図6】本発明に係るダイコーター塗装装置の代表例を示す説明図である。
【図7】本発明に係るダイコーター塗装装置の代表例を示す説明図である。
【図8】混合棒のその他の例を示す説明図である。
【図9】混合棒のその他の例を示す説明図である。
【図10】混合棒のその他の例を示す説明図である。
【図11】混合棒の配設位置の変形例を示す説明図である。
【図12】本発明に係るダイコーター塗装装置のその他の例を示す説明図である。
【図13】本発明に係るダイコーター塗装装置のその他の例を示す説明図である。
【図14】本発明に係るダイコーター塗装装置のその他の例を示す説明図である。
【符号の説明】
α ベース塗料
β マーカー塗料
A ダイコーター塗装装置
B 基材
1 ダイス
2 ヘッド
3 キャビティー
4 混合棒
5 エッジ
6 混合室
7 第1パイプ
8 第2パイプ
9 接続パイプ
10 バルブ
11 バックアップロール
12 駆動装置
13 凸条
14 溝条
15 ヒレ条
16 溝
17 針状物
18 突起物
19 貫通孔
20 弾性体

Claims (3)

  1. 基材の表面に連続的に模様を形成するダイコーター塗装装置において、略四角柱のダイスと該ダイスの一側面に形成した溝状の細いキャビティーと、該キャビティー内に設置した混合棒と、キャビティー内に連結した複数のパイプとからなり、該パイプよりそれぞれ異なる種類の塗料を連続的にキャビティー内に供給することにより模様を形成することを特徴とするダイコーター塗装装置。
  2. キャビティー内に設置した混合棒が回転運動を行うことを特徴とする請求項1記載のダイコーター塗装装置。
  3. キャビティー内に設置した混合棒が反復運動を行うことを特徴とする請求項1および請求項2記載のダイコーター塗装装置。
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