JP4279111B2 - 測定方法及び測定システム - Google Patents

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Description

本発明は、レーザ光源を回転させながらレーザ光を放射し、このレーザ光を検出する受光センサ装置の高さ位置を測定できる測定方法及び測定システムに関する。
本願出願人は、先に、回転レーザ装置の発光部から該発光部の回転軸線を含む平面に関して傾斜する平面内に広がる少なくとも1つの扇状レーザ光を含む複数の扇状レーザ光を放射し、前記発光部からの各扇状レーザ光を受光センサ装置の受光部で検出し、この各扇状レーザ光の検出時間間隔に基づいて、前記発光部及び前記受光部を結ぶ線と、水平基準線との交角である高低角を求める測定システムを提案した(例えば、特許文献1参照)。
この測定システムによれば、発光部となるレーザ投光器を傾斜させることなく、また受光センサ装置の受光部である受光器の精密な位置決め操作の必要なく、任意の傾斜面及び任意の高さの水平基準面を形成することができるので、例えば、建築物の内装工事における窓枠の位置出しのための基準水平ラインの形成、あるいは土木工事における盛土後の切土面の形成のための基準水平面の形成等に適用することができ、これらの作業を容易且つ効率的に行うことができる。
特開2002−39755号公報(第4−6頁、図1−4)
本発明の目的は、回転レーザ装置の発光部から少なくとも2つの扇状レーザ光を放射し、該発光部からの各扇状レーザ光を受光センサ装置の受光部で検出し、この各扇状レーザ光の検出時間間隔に基づいて、前記発光部及び前記受光部を結ぶ線と、水平基準線との交角である高低角を求める技術を利用して、さらに、容易に正確な高さ測定を可能とする測定方法及び測定システムを提供することにある。
請求項1に記載の発明は、測定方法であって、互いに軸線を一致させて上下方向に所定の間隔をおいて配置される一対の回転レーザ装置の各発光部から、前記軸線を含む平面に関して傾斜する平面内に少なくとも1つの扇状レーザ光線を含む複数の扇状レーザ光を前記軸線の回りに回転放射し、その扇状レーザ光を受光センサ装置の受光部が受光して検出する時間間隔に基づいて、前記回転レーザ装置の前記各発光部及び前記受光部を結ぶ各線それぞれの傾きを検出して前記回転レーザ装置に対する前記受光部の軸線方向の相対的な位置を検出することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、互いに軸線を一致させて上下方向に間隔をおいて配置される一対の回転レーザ装置のそれぞれの発光部から前記軸線を含む平面に関して傾斜する平面内に広がる少なくとも1つの扇状レーザ光を含む複数の扇状レーザ光で前記軸線の回りの所定の角度範囲を走査すべく前記レーザ光を放射し、前記両発光部からの前記レーザ光を互いに時間的なずれを以て受光センサ装置の受光部で検出し、前記発光部毎における前記各扇状レーザ光の検出時間間隔に基づいて、前記各発光部及び前記受光部を結ぶ各線と、水平基準線との各交角を求め、さらに該各交角と、前記両発光部の前記回転レーザ装置が設置されたグランドレベルからの高さ情報とを用いて前記受光部の前記グランドレベルからの高さを求めることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記受光センサ装置は支柱上に設けられ、該支柱が設置された地盤からの前記受光部の既知の高さ情報と、前記回転レーザ装置が設置された前記グランドレベルからの前記受光部の求められた高さ情報とから、前記グランドレベルと前記支柱が設置された前記地盤とのレベル差を算出することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記支柱には、該支柱と前記回転レーザ装置とを含む平面上での傾きを検出する傾斜検出器が設けられ、前記傾斜検出器からの検出信号に基づいて、前記回転レーザ装置が設置された前記グランドレベルからの前記高さまたは前記レベル差を補正することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項2乃至4のいずれか一項に記載の発明において、前記両発光部からの前記レーザ光は、相互の識別を可能とすべく、偏光方向を相互に異にすることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項2乃至4のいずれか一項に記載の発明において、前記両発光部からの前記レーザ光は、相互の識別を可能とすべく、少なくとも一方が変調を受けていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項2乃至4のいずれか一項に記載の発明において、前記両発光部からの前記レーザ光は、相互の識別を可能とすべく、波長を相互に異にすることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、測定システムであって、互いに軸線を一致させて上下方向に所定の間隔をおいて配置される一対の回転レーザ装置の各発光部から、前記軸線を含む平面に関して傾斜する平面内に少なくとも1つの扇状レーザ光線を含む複数の扇状レーザ光を前記軸線の回りに回転放射し、その扇状レーザ光を受光センサ装置の受光部が受光して検出する時間間隔に基づいて、前記回転レーザ装置の前記各発光部及び前記受光部を結ぶ各線それぞれの傾きを検出して前記回転レーザ装置に対する前記受光部の軸線方向の相対的な位置を検出することを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、回転レーザ装置に対するそれぞれの傾きの検出から、前記回転レーザ装置に対する前記受光部の軸線方向の相対的な位置と共に、前記回転レーザ装置から前記受光部の受光センサまでの距離が算出可能なことを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、互いに軸線を一致させて配置される一対の回転レーザ装置であってそれぞれが前記軸線を含む平面に関して傾斜する平面内に広がる少なくとも1つの扇状レーザ光を含む複数の扇状レーザ光で前記軸線の回りの所定の角度範囲を走査すべく前記レーザ光を放射する発光部を有する一対の回転レーザ装置と、該両回転レーザ装置の前記両発光部からの前記レーザ光を時間的なずれを以て受光する受光部が設けられた受光センサ装置とを含み、前記回転レーザ装置が設置されたグランドレベルからの前記両発光部のそれぞれの高さが相互に異なり、また該両発光部からの前記レーザ光は相互に識別可能であり、前記受光センサ装置は、前記両回転レーザ装置から放射される相互に識別可能な前記レーザ光の検出情報に基づいて、前記各発光部及び前記受光部を結ぶ各線と、水平基準線との各交角を求め、さらに、該各交角と前記両発光部のそれぞれの既知の高さ情報とから、前記受光部の前記グランドレベルからの高さを求める演算部を有することを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の発明において、前記受光センサ装置が、所望の高さを設定する設定手段と、該設定手段により設定された所望の値が求められた前記グランドレベルからの高さに一致したときその旨を表示する表示手段とを備えることを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、請求項10または11に記載の発明において、前記受光センサ装置は支柱上に設けられ、前記演算部は、前記支柱が設置された地盤からの前記受光部の既知の高さ情報と、前記回転レーザ装置が設置された前記グランドレベルからの前記受光部の求められた高さ情報とから、前記グランドレベルと前記支柱が設置された前記地盤とのレベル差を算出することを特徴とする。
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の発明において、前記支柱には、該支柱と前記回転レーザ装置とを含む平面上での傾きを検出する傾斜検出器が設けられ、前記演算部は前記傾斜検出器からの検出信号に基づいて、前記回転レーザ装置が設置された前記グランドレベルからの前記受光部の前記高さまたは前記レベル差を補正することを特徴とする。
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の発明において、前記受光センサ装置には、該受光センサ装置の絶対位置を検出するためのGPS (Global Positioning System) が搭載されており、前記GPSにより求められた絶対位置が表示されることを特徴とする。
請求項15に記載の発明は、請求項10乃至14のいずれか一項に記載の発明において、前記両発光部からの前記レーザ光は、相互の識別を可能とすべく、偏光方向を相互に異にすることを特徴とする。
請求項16に記載の発明は、請求項10乃至14のいずれか一項に記載の発明において、前記両発光部からの前記レーザ光は、相互の識別を可能とすべく、少なくとも一方が変調を受けていることを特徴とする。
請求項17に記載の発明は、請求項10乃至14のいずれか一項に記載の発明において、前記両発光部からの前記レーザ光は、相互の識別を可能とすべく、波長を相互に異にすることを特徴とする。
請求項1、2、8、9及び10に記載の発明によれば、両回転レーザ装置の発光部からの扇状レーザ光を検出する受光センサ装置により、各発光部からの複数の扇状レーザ光の検出情報すなわち検出時間間隔に基づいて、各発光部及び受光センサ装置の受光部を結ぶ各線と、水平基準線との各交角が求められ、さらに、該各交角と両発光部のそれぞれの既知の高さ情報とから、前記受光部の前記グランドレベルからの高さが求められることから、前記受光センサ装置を垂直線に沿って上下動することにより、その上下動に応じた前記グランドレベルからの前記受光部の高さ位置を容易に知ることができる。
請求項3及び12に記載の発明によれば、支柱に設けられた受光センサ装置の受光部の前記支柱が設置された地盤からの既知の高さ情報と、回転レーザ装置が設置されたグランドレベルからの前記受光部の求められた高さ情報とから、前記グランドレベルと前記支柱が設置された前記地盤とのレベル差を求めることができるので、地盤の高低差を容易且つ正確に測定することができる。
請求項3及び10に記載の発明によれば、受光センサ装置が設けられる支柱の傾きに依る誤差を補正することができるので、高精度での高さ測定が可能となる。
請求項5乃至7及び15乃至17に記載の発明によれば、両発光部からのレーザ光を確実に識別することができるので、両発光部からの各レーザ光の誤判定による誤動作を確実に防止することができる。
請求項11に記載の発明によれば、受光センサ装置の受光部の高さが設定された所望の高さに一致したとき、表示手段による視覚あるいは聴覚等によってその旨を表示させることができるので、受光センサ装置を垂直方向へ上下動させながら、表示手段の表示の有無を確認することにより、正確な所望の高さ位置を容易に得ることができる。
請求項14に記載の発明によれば、高精度での高さ測定に加えて、GPSでの高精度での絶対位置の測定が可能となる。
本発明によれば、発光部となるレーザ投光器を傾斜させることなく、また受光センサ装置の受光部である受光器の精密な位置決め操作の必要なく、正確な高さ測定が可能となるので、例えば、建築物の内装工事における窓枠の位置出しのための基準水平ラインの形成、あるいは土木工事における盛土後の切土面の形成のための基準水平面の形成等に適用することができ、これらの作業を容易且つ効率的に行うことができる。
本発明が特徴とするところは、図示の実施例に沿っての以下の説明により、さらに明らかとなろう。
〈実施例1〉
本発明に係る測定方法を実施する測定システム100は、図1に示すように、一対の回転レーザ装置151a、151bと、該両回転レーザ装置からのレーザ光を受ける受光センサ装置154とを含む。一方の回転レーザ装置151aは、グランドレベルGL1の地盤11上に設置された三脚12のベース13に設けられている。また、他方の回転レーザ装置151bは、コの字状のステー14を介してベース13の上方に保持されたベース15上に設けられている。各回転レーザ装置151a、151bは、それぞれの発光部となる各透光窓131a、131bから後述する扇状のレーザ光を一方向に回転しながら360度の角度範囲で放射するが、前記回転軸線が互いに一致して垂直線C上に位置するように、相互に上下方向に間隔をおいて配置される。
受光センサ装置154は、高さを測定しようとする地点上でその受光部156に両回転レーザ装置151a、151bの各発光部131a、131bからのレーザ光を受けるように、受光部156を回転レーザ装置151a、151bに向けられる。
前記測定システム100では、地盤11のグランドレベルGL1から一方の回転レーザ装置151aの発光部131aまでの距離すなわちグランドレベルGL1からの発光部131aの高さAは既知であり、また両回転レーザ装置151a、151bの発光部131a、131b間の距離Lは既知であり、これにより、他方の回転レーザ装置151bの発光部131bの高さ(A+L)も既知である。
本発明は、各発光部131a、131bと受光センサ装置154の受光部156とを結ぶ線と水平基準線との交角、すなわち、一方の回転レーザ装置151aの発光部131aを通る水平基準線18と発光部131a及び受光部156を通る線19とで構成される仰角β、他方の回転レーザ装置151bの発光部131bを通る水平基準線16と発光部131b及び受光部156を通る線17とで構成される俯角αを測定し、これら交角α、βと既知の高さA、Lとから受光センサ装置154の受光部156の高さを求める。
その詳細を説明するに先立って、各回転レーザ装置151(151a、151b)及び受光センサ装置154の基本構成に関連して、各交角α、βを求める原理を図2及び図3に沿って概略的に説明する。図2及び図3では、両回転レーザ装置151a、151bの代表として回転レーザ装置151が示されている。
回転レーザ装置151は、図2及び図3に示すように、3つの扇状のレーザ光である扇状レーザ152a、152b及び153を射出しながら軸線Cを中心にそれらの扇状レーザを回転させる。図2及び図3(iii)に明確に示されているように、扇状レーザ152a、152bは水平面に対して垂直な方向で射出され、扇状レーザ153は軸線Cを含む垂直面に関して(π/2−θ)で傾斜し、これにより扇状レーザ153は、水平面に対して角度θをなして射出される。また、図3(i)に示すように、扇状レーザ153と水平面との交線は、扇状レーザ152aと扇状レーザ152bがなす角を2等分する。即ち、前記交線と扇状レーザ152aとのなす角、及び前記交線と扇状152bとのなす角は夫々等しく、δである。3つ扇状レーザ152a、152b、153はこのような関係を保ちながら一方向に回転するので、扇状152a、152b、153は時間差をもって受光センサ装置154を横切る。この時間差を基に、受光センサ装置154と軸線Cとを結ぶ直線と、水平面とのなす角度γ(図3(ii)参照)が、後述するように求められる。この角度すなわち高低角度γは、一方の回転レーザ装置151aと受光センサ装置154との関係で求められる場合は、仰角βに相当し、他方の回転レーザ装置151bと受光センサ装置154との関係で求められる場合は、俯角αに相当する。
次に、それぞれが3つの扇状レーザ光を発しながら垂直な軸線Cを中心に回転する回転レーザ装置を説明する。図4には、両回転レーザ装置151a、151bの代表として、回転レーザ装置151が示されている。回転レーザ装置151は、ケーシング101と、レーザ投光器103とを有する。切頭円錐形の凹部102がケーシング101の上面中央に形成されている。レーザ投光器103が凹部102の中央を上下方向に貫通する。レーザ投光器103は傾斜することができるように、球面座104を介して凹部102に支持されている。ペンタプリズム109を有する回転自在な回転部105がレーザ投光器103の頭部に設けられている。回転部105は走査モータ106によって駆動ギア107、走査ギア108を介して回転駆動される。
回転レーザ装置151は、レーザ投光器103の周囲に設けられた2組の傾斜機構を有する(一方のみ図示する)。一方の傾斜機構110は、傾斜用モータ111と、傾斜用スクリュー112と、傾斜ナット113とを有する。傾斜用モータ111が駆動ギア114、傾斜用ギア115を介して傾斜用スクリュー112を回転させると、傾斜用スクリュー112の回転により、傾斜ナット113が上下に移動する。傾斜ナット113は、傾斜用アーム116を介してレーザ投光器103に連結されている。従って、傾斜ナット113が上下動すると、これに応じてレーザ投光器103が傾斜する。また、図示していない他方の傾斜機構は、傾斜機構110と同様の機構によって、上記の傾斜機構110が傾斜する方向に直交する方向へ投光器103を傾斜させる。
傾斜用アーム116に平行な固定傾斜センサ118と、傾斜用アーム116に対して直角方向の固定傾斜センサ119がレーザ投光器103の中間部に設けられている。傾斜機構110により傾斜用アーム116を傾斜させ、固定傾斜センサ118が常に水平になるように制御を行なうことができる。また、同時に、前記した他方の傾斜機構によって固定傾斜センサ119が常に水平になるように制御を行なうことができる。この調整によって、回転部105の回転軸線を垂直な軸線Cに一致させることができる。なお、軸線Cに正確に一致させるには、なるべく回転レーザ装置本体を水平に設置して傾斜機構を作動させたほうがよい。
レーザ投光器103及びそれに取付けられた回転部105について説明する。図5に示すように、レーザ光線投光器132、及びレーザ光線投光器132から発せられるレーザ光線を平行光線にするコリメートレンズ133等を含む投光光学系が、レーザ投光器103に内蔵されている。投光光学系からのレーザ光線は回転部105の回折格子(BOE)134によって、図2及び図3(i)乃至図3(iii)に示したように、3つの扇状レーザ152a、152b、153に形成される。扇状レーザ152a、152b、153は、ペンタプリズム109によって水平方向に偏向され、回転レーザ装置151の発光部として作用する投光窓131から照射される。
各回転レーザ装置151a、151bからそれぞれ3つの扇状レーザ152a、152b、153が受光センサ装置154により検出されるが、該受光センサ装置が両回転レーザ装置151a、151bからのレーザ光を時間的に重複して受光することを防止するために、例えば各回転レーザ装置151a、151bからのレーザが軸線Cの直径方向に整列した状態で回転するように、有線、無線、光通信等で両回転レーザ装置151a、151bが同期的に回転される。
各回転レーザ装置151a、151bからのレーザ光を時間的なずれを以て受光する受光センサ装置154について説明する。図6に示すように、受光センサ装置154の筐体164には、各回転レーザ装置151a、151bからの扇状レーザ152a、152b、153を検出するための受光部156が取付けられている。筐体164は、表示部157と、例えばブザーからなる警告部161と、入力キー162と、指標163と、目盛160が付された標尺159とを有する。更に筐体164には記憶部165、演算部166が内蔵されている。筐体164は、固定ノブ158により、標尺159上に調整可能に位置決められる。
表示部157には、例えば、レーザ光の回転軸線Cと受光部156とを結ぶ直線と水平基準面とのなす角度α、βが表示され、また、入力キー162の操作によって入力される所望の高さデータ値が表示され、この入力データ値は記憶部165に記憶される。
前述のように、各回転レーザ装置151(151a、151b)は、共通の軸線Cを中心に回転するように扇状レーザ152a、152b、153を射出する。図3(iii)に示したように、扇状レーザ153は水平面に対して角度θをなして射出される。更に、図3(i)に示したように、扇状レーザ152aと水平面が交わる交線と、扇状レーザ152bと水平面が交わる交線は角度2δをなしている。3つ扇状レーザ152a、152b、153はこのような関係を保ちながら回転するので、各回転レーザ装置151(151a、151b)からのレーザは、扇状レーザ152a、扇状レーザ153、扇状レーザ152bの順に時間差をもって受光センサ装置154の受光部156を横切る。
図2に示すように、受光センサ装置154の受光部156が回転レーザ装置151を通る水平面内の位置Aにある場合には、受光センサ装置154が検出する光は図7(a)に示すようになる。これに対して、受光部156が、図2に示すAの鉛直上方Bの位置にある場合には、検出される扇状レーザは図7(b)に示すようになる。ここで、図7(a)に示すように、2つの扇状レーザ152a、152bの検出時間間隔をt0とする。また、扇状レーザ152aを検出してから、扇状レーザ153を検出するまでの時間間隔をtとする。受光部156が水平面内の位置Aにある場合には、時間間隔tは時間間隔t0の半分である。即ち、式(1)の関係が成り立つ。なお、回転レーザ装置151が扇状レーザを回転させる回転周期をTとする。
0=2t …(1)
又、図2に示すように、受光部156が前記水平面よりも上の位置Bにある場合には、検出時間間隔tは図7(b)に示すようにt0の半分よりも短くなる。受光部156が水平面から上方に離れるにつれて検出時間間隔tは短くなり、図3(ii)に明確に示されているように、受光部156の位置Bと扇状レーザ光の射出点(C)とを結んだ直線と、水平面とのなす角度∠BCA=γである高低角度は検出時間間隔tから式2によって求めることができる。
γ=δ(1−2t/t0)tanθ … (2)
受光部156が点Aを含む前記水平面よりも下の位置にある場合には、時間間隔tは時間間隔t0の半分よりも長くなる。これにより、受光部156が点Aを含む前記水平面の上にあるのか下にあるのかを判別することができる。また、式(2)は受光部156が水平面よりも下にある場合にも適用することができる。
前記したところにより、受光センサ装置154が一方の回転レーザ装置151aからの扇状レーザ光152a、152b、153を検出すると、演算部166は、式(2)に従い、それらの検出時間間隔tから図1に示した俯角αを算出する。また、受光センサ装置154が他方の回転レーザ装置151bからの扇状レーザ光152a、152b、153を検出すると、演算部166は、式(2)に従い、それらの検出時間間隔tから図1に示した仰角βを算出する。
また、演算部166は、求められた俯角α、仰角βと、図1に示した既知の寸法A、Lとから、受光センサ装置154の受光部156の高さを求める。
すなわち、一方の回転レーザ装置151aの発光部131aを通る水平基準線18から受光部156までの距離をBとし、回転軸Cと受光部156との距離をXとすると、次式(3)、(4)が成り立つ。
tanα=(L−B)/X … (3)
tanβ= B/X … (4)
例えば、式(3)のXに、式(4)から求められるXを代入することにより、式(3)から距離Xを削除することができ、式(3)は次式(5)に書き換えることができる。
tanα=(L/B−1)/tanβ … (5)
式(5)でα、βが既に演算部166で求められており、Lが既知であることから、演算部166は、式(5)より、回転レーザ装置151aの発光部131aを通る水平基準線18から受光部156までの距離Bを算出する。必要に応じて、この値Bは表示部157であるディスプレイに表示される。また演算部166は、グランドレベルGL1からの発光部131aの既知の高さAと求めた値Bとを加算することにより、グランドレベルGL1から受光センサ装置154の受光部156迄の高さH(A+B)を求め、この高さHを表示部157に測定値として表示する。
前記したように、所望の値Hを入力キー162の操作によって記憶部165に入力しておき、受光センサ装置154を垂直方向へ上下動させたときの測定値と、記憶された所望値Hとを演算部166により比較し、測定値と設定値Hとが一致したとき、表示手段の一つであるブザー161を動作させることができる。この場合、ブザー161の発音動作によって受光センサ装置154の受光部156が所望の高さHにあることを容易に知ることができる。
また、算出された距離Bを式(3)または式(4)に代入する演算部166での演算によって、回転軸Cと受光部156との距離Xを求めることができ、この測定値Xをも表示手段を構成するディスプレイ157に表示させることができる。
〈実施例2〉
図8に示す測定システム110では、地盤11′に支柱20が垂直に設置されており、この支柱20に受光センサ装置154の筐体164(図6参照)が上下方向へ移動可能に保持されている。受光センサ装置154は、図6に示したと同様な固定ノブ158の締め付け操作によって、支柱20上の所望の高さ位置に位置決め可能である。支柱20には、図6に示した指標163の指示によって地盤11′からの高さH′を示す目盛160(図6参照)が付されている。
受光センサ装置154の演算部166は、指標163の指示値H′を読み取り、前記したと同様な記憶部165に格納する。
演算部166は、回転レーザ装置151a、151bが設置された地盤11上から受光部156までの高さHを算出すると、この高さHから記憶部165に格納された指示値H′を差し引く。この減算(H−H′)により、回転レーザ装置151a、151bが設置された地盤11のグランドレベルGL1と、受光センサ装置154が設けられる支柱20が設置された地盤11′のグランドレベルGL2とのレベル差ΔHが算出される。このレベル差ΔHをディスプレイ157に表示させることができる。
〈実施例3〉
図9の測定システム120に示すように、支柱20に傾斜検出器21を設けることができる。この傾斜検出器21が設けられた測定システム120では、受光センサ装置154を取り付けた支柱20が、地盤11′の垂直線に関して傾斜を生じていると、支柱20と回転レーザ装置151a、151bの軸線Cとを含む平面上での垂直線に関する傾きρに対応する電気信号を演算部166に出力する。
傾きρが生じると、演算部166によって算出される回転レーザ装置151aの発光部131aを通る水平基準線18から受光部156までの距離(B)は、この傾きρに対応した誤差Dを含むことになる。しかしながら、演算部166は、傾きρに応じた誤差信号を傾斜検出器21から受信すると、この誤差Dを補正すべく算出された値Bに傾きρに応じた補正値Dを加算することにより、補正された適正な値Bを算出する。また、この補正により、地盤11′上からの受光部156の高さH′が補正される。従って、この補正された適正な値B、H′を用いて、支持柱20の傾きρに拘わらず、地盤11のグランドレベルGL1からの受光部156の正確な高さH及び地盤11のグランドレベルGL1と地盤11′のグランドレベルGL2との正確なレベル差(H−H′)を求めることができる。
〈実施例4〉
また、図10の測定システム130に示すように、支持柱20の絶対位置すなわち受光センサ装置154の絶対位置を求めるために、GPS(Global Positioning System)を利用することができる。支柱20の頂部には、GPSアンテナ21が設けられ、このGPSアンテナ21によって受信される衛星からのGPS信号から絶対位置を算出するGPS本体(図示せず)が図6に示した受信センサ装置154の筐体164内に設けられている。このGPSによって得られた位置情報は、表示手段であるディスプレイ157に表示することができる。
回転レーザ装置の位置とレーザ光の射出方向のデータとを傾斜検出器21の傾斜方向と関連付けることにより、GPSによる絶対位置の補正ができると共に、例えば直角座標系とすることができる。データは光通信等で行う。
このように、受光センサ装置154の絶対値の測定にGPSを利用することにより、高精度での絶対値測定が可能となり、前記した受光センサ装置154による高さ測定H、ΔHと組み合わせによって高精度での測定作業を容易に実行することができる。
受光センサ装置154は、俯角αを求めるための回転レーザ装置151bからのレーザ光と、仰角βを求めるための回転レーザ装置151aからのレーザ光とを、時間的なずれをもって受光することから、両レーザ光が受光センサ装置154の受光部156で同時的にすなわち重複して検出されることはなく、この重複による誤動作あるいは誤測定が防止されるが、この誤動作等を確実に防止する上で、両回転レーザ装置151a、151bからのレーザ光として、相互に識別可能のレーザ光を採用することが望ましい。
このため、両回転レーザ装置151a、151bからのレーザ光に相互に偏光方向が異なることによって偏光面が異なる偏光を用いることができる。また、偏光方向を異にするレーザ光を用いることに代えて、その一方のレーザ光に変調を加えることができ、あるいは両レーザ光の波長を相互に異ならせることができる。
また、前記したところでは、両回転レーザ装置151a、151bを360度の角度範囲で一方向に回転させる例を示したが、これに代えて、受光センサ装置154を照射する所定の角度範囲を往復するように、走査させることができる。
さらに、各扇状レーザを一対の垂直な扇状レーザ152a、152b及び傾斜する扇状レーザ153で構成した例を示したが、例えば一方の垂直レーザ152aまたは152bを不要とすることができ、さらに、特開2002−39755号公報の図23に示すような種々の形態の組み合わせの扇状レーザ光を採用することができる。
本発明に係る高さ測定システムの実施例(1)の外観を示す説明図である。 本発明に係る高さ測定システムの角度測定原理を説明する斜視図である。 図3(i)、図3(ii)及び図3(iii)はそれぞれ図2の平面図、正面図及び側面図である。 図1に示した高さ測定システムの回転レーザ装置の断面図である。 図4に示した回転レーザ装置の光学系を示す断面図である。 図1に示した高さ測定システムの受光センサ装置を示す外観図である。 受光センサ装置により検出される信号を示すグラフである。 本発明に係る高さ測定システムの他の実施例(2)を示す図1と同様な図面である。 本発明に係る高さ測定システムのさらに他の実施例(3)を示す図1と同様な図面である。 本発明に係る高さ測定システムのさらに他の実施例(4)を示す図1と同様な図面である。
符号の説明
11、11′ 地盤
17、19 発光部及び受光部を結ぶ線
20 支柱
21 GPSアンテナ
100、110、120、130 高さ測定システム
131a、131b 発光部
151a、151b 回転レーザ装置
152a、152b、153 扇状レーザ
154 受光センサ装置
156 受光部
157、161 表示手段(ディスプレイ、ブザー)
166 演算部

Claims (17)

  1. 互いに軸線を一致させて上下方向に所定の間隔をおいて配置される一対の回転レーザ装置の各発光部から、前記軸線を含む平面に関して傾斜する平面内に少なくとも1つの扇状レーザ光線を含む複数の扇状レーザ光を前記軸線の回りに回転放射し、その扇状レーザ光を受光センサ装置の受光部が受光して検出する時間間隔に基づいて、前記回転レーザ装置の前記各発光部及び前記受光部を結ぶ各線それぞれの傾きを検出して前記回転レーザ装置に対する前記受光部の軸線方向の相対的な位置を検出する測定方法。
  2. 互いに軸線を一致させて上下方向に間隔をおいて配置される一対の回転レーザ装置のそれぞれの発光部から前記軸線を含む平面に関して傾斜する平面内に広がる少なくとも1つの扇状レーザ光を含む複数の扇状レーザ光で前記軸線の回りの所定の角度範囲を走査すべく前記レーザ光を放射し、前記両発光部からの前記レーザ光を互いに時間的なずれを以て受光センサ装置の受光部で検出し、前記発光部毎における前記各扇状レーザ光の検出時間間隔に基づいて、前記各発光部及び前記受光部を結ぶ各線と、水平基準線との各交角を求め、さらに該各交角と、前記両発光部の前記回転レーザ装置が設置されたグランドレベルからの高さ情報とを用いて前記受光部の前記グランドレベルからの高さを求めることを特徴とする測定方法。
  3. 前記受光センサ装置は支柱上に設けられ、該支柱が設置された地盤からの前記受光部の既知の高さ情報と、前記回転レーザ装置が設置された前記グランドレベルからの前記受光部の求められた高さ情報とから、前記グランドレベルと前記支柱が設置された前記地盤とのレベル差を算出することを特徴とする請求項2に記載の測定方法。
  4. 前記支柱には、該支柱と前記回転レーザ装置とを含む平面上での傾きを検出する傾斜検出器が設けられ、前記傾斜検出器からの検出信号に基づいて、前記回転レーザ装置が設置された前記グランドレベルからの前記高さまたは前記レベル差を補正することを特徴とする請求項3に記載の測定方法。
  5. 前記両発光部からの前記レーザ光は、相互の識別を可能とすべく、偏光方向を相互に異にする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の測定方法。
  6. 前記両発光部からの前記レーザ光は、相互の識別を可能とすべく、少なくとも一方が変調を受けている請求項2乃至4のいずれか一項に記載の測定方法。
  7. 前記両発光部からの前記レーザ光は、相互の識別を可能とすべく、波長を相互に異にする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の測定方法。
  8. 互いに軸線を一致させて上下方向に所定の間隔をおいて配置される一対の回転レーザ装置の各発光部から、前記軸線を含む平面に関して傾斜する平面内に少なくとも1つの扇状レーザ光線を含む複数の扇状レーザ光を前記軸線の回りに回転放射し、その扇状レーザ光を受光センサ装置の受光部が受光して検出する時間間隔に基づいて、前記回転レーザ装置の前記各発光部及び前記受光部を結ぶ各線それぞれの傾きを検出して前記回転レーザ装置に対する前記受光部の軸線方向の相対的な位置を検出する測定システム。
  9. 回転レーザ装置に対するそれぞれの傾きの検出から、前記回転レーザ装置に対する前記受光部の軸線方向の相対的な位置と共に、前記回転レーザ装置から前記受光部の受光センサまでの距離が算出可能な請求項8に記載の測定システム。
  10. 互いに軸線を一致させて配置される一対の回転レーザ装置であってそれぞれが前記軸線を含む平面に関して傾斜する平面内に広がる少なくとも1つの扇状レーザ光を含む複数の扇状レーザ光で前記軸線の回りの所定の角度範囲を走査すべく前記レーザ光を放射する発光部を有する一対の回転レーザ装置と、該両回転レーザ装置の前記両発光部からの前記レーザ光を時間的なずれを以て受光する受光部が設けられた受光センサ装置とを含み、前記回転レーザ装置が設置されたグランドレベルからの前記両発光部のそれぞれの高さが相互に異なり、また該両発光部からの前記レーザ光は相互に識別可能であり、
    前記受光センサ装置は、前記両回転レーザ装置から放射される相互に識別可能な前記レーザ光の検出情報に基づいて、前記各発光部及び前記受光部を結ぶ各線と、水平基準線との各交角を求め、さらに、該各交角と前記両発光部のそれぞれの既知の高さ情報とから、前記受光部の前記グランドレベルからの高さを求める演算部を有することを特徴とする測定システム。
  11. 前記受光センサ装置は、所望の高さを設定する設定手段と、該設定手段により設定された所望の値が求められた前記グランドレベルからの高さに一致したとき、その旨を表示する表示手段とを備える請求項10に記載の測定システム。
  12. 前記受光センサ装置は支柱上に設けられ、前記演算部は、前記支柱が設置された地盤からの前記受光部の既知の高さ情報と、前記回転レーザ装置が設置された前記グランドレベルからの前記受光部の求められた高さ情報とから、前記グランドレベルと前記支柱が設置された前記地盤とのレベル差を算出することを特徴とする請求項10または11に記載の測定システム。
  13. 前記支柱には、該支柱と前記回転レーザ装置とを含む平面上での傾きを検出する傾斜検出器が設けられ、前記演算部は前記傾斜検出器からの検出信号に基づいて、前記回転レーザ装置が設置された前記グランドレベルからの前記受光部の前記高さまたは前記レベル差を補正することを特徴とする請求項12に記載の測定システム。
  14. 前記受光センサ装置には、該受光センサ装置の絶対位置を検出するためのGPS (Global Positioning System) が搭載されており、前記GPSにより求められた絶対位置が表示されることを特徴とする請求項13に記載の測定システム。
  15. 前記両発光部からの前記レーザ光は、相互の識別を可能とすべく、偏光方向を相互に異にする請求項10乃至14のいずれか一項に記載の測定システム。
  16. 前記両発光部からの前記レーザ光は、相互の識別を可能とすべく、少なくとも一方が変調を受けている請求項10乃至14のいずれか一項に記載の測定システム。
  17. 前記両発光部からの前記レーザ光は、相互の識別を可能とすべく、波長を相互に異にする請求項10乃至14のいずれか一項に記載の測定システム。
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