JP4272927B2 - ハイブリッド型ステッピングモータの回転子の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はハイブリッド型ステッピングモータに使用される回転子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハイブリッド型ステッピングモータに使用される回転子は、図11に示すように、ロータ部10にロータシャフト12を貫設して形成したものであり、ロータ部10は、外周側面に多数個の小歯を設けたコア板を積み重ねるようにして一体化して形成されている。コア板はケイ素鋼板等の被加工材をプレス金型を用いた打ち抜き加工により形成される。コア板の上面と下面には、コア板を積み重ねてかしめ固定するための凸部と凹部が各々設けられ、凸部と凹部とを位置合わせしてコア板を積み重ねることにより、小歯位置を位置合わせしてコア板が一体化されてロータ部10が形成される。
【0003】
ところでハイブリッド型ステッピングモータでは、回転子の外周面と固定子の内周面との間隔が0.05mm程度できわめて狭く設定されている。このため、回転子のロータ部10の真円度、ロータ部10とロータシャフト12との同軸度にきわめて高精度が求められ、従来は、プレス抜きによって形成したコア板を積み重ねて一体化した後、ロータ部10の外周面を研磨加工して、所定の真円度および同軸度が得られるようにしている。
【0004】
なお、ロータ部10の外周面を研磨加工した際にバリが生じると、回転子が回転停止したりする原因になるから、ロータ部10を研磨加工した際にロータ部10の外周面にバリが生じないような処理がなされる。図11に示す回転子は、ロータ部10の外周面にバリ防止用の樹脂を塗布して硬化させた後、ロータ部10の外周面を研磨加工して形成されたものである。この製品では隣接する小歯14の中間にバリ防止用の樹脂16が充填された状態で回転子として使用される。なお、研磨加工の際に生じるバリを除去する方法としては、ショットブラスト処理、バフ掛け、水圧を利用する方法等もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ハイブリッド型ステッピングモータの回転子を製造する際に、ロータ部10の外周面を研磨加工しているのは、ロータ部10の真円度やロータ部10とロータシャフト12との同軸度を所定精度に仕上げるためであるが、同時に、ロータ部10を構成しているコア板の小歯14が所定の端面形状になるように仕上げるためでもある。
図12は、ケイ素鋼板等の被加工材18からコア板20を打ち抜く方法を示している。コア板20はプレス金型を用いた打ち抜き加工により、外周縁に沿って小歯14を形成して成形するが、この打ち抜き加工の際に、小歯14の先端部のエッジ部がアール状になり(拡大図のA部分)、また小歯14を端面方向から見ると抜き方向にダレが生じた形状になる。図8は打ち抜き加工したコア板を積み重ねてロータ部を形成した状態で、小歯を端面方向から見た状態を示す写真である。図は、小歯の端面がパンチの抜き方向にダレた形状となっていることを示す。
【0006】
従来の被加工材18を打ち抜いて小歯14を形成するコア板20の加工方法では、このように小歯14のエッジ部分がアール状になり、小歯14の端面がダレた形状になることが避けられない。このように、小歯14の端面がダレた形状になると、小歯14の端面積として所要の面積を確保することができず、ハイブリッド型ステッピングモータの回転子として必要なトルクが得られないという問題が生じる。
ハイブリッド型ステッピングモータの回転子を製造する工程で、ロータ部10の外周面を研磨加工しているのは、ダレ形状になっている小歯14の端面を研磨することによって小歯14の端面を所定の四角形状に補正し、所要のトルクが得られるようにするためである。
【0007】
このように従来のハイブリッド型ステッピングモータの回転子の製造方法においては、回転子として所要の真円度、同軸度を得るため、また所要のトルクが得られるようにするために、ロータ部の外周面を研磨加工して仕上げる方法が一般的な方法として行われてきている。しかしながら、ロータ部の外周面を研磨加工する作業はプレス工程とはまったく別の工程として行う作業であり、ロータ部の外周面にバリ防止用の樹脂を塗布して硬化させ、研磨加工を施すといった作業が必要になるために、回転子の製造コストひいてはハイブリッド型ステッピングモータの製造コストを上げる原因になっている。
【0008】
本発明は、これらの課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、ハイブリッド型ステッピングモータの回転子として十分な精度および特性を備え、回転子の信頼性を低下させることなく回転子の製造工程を簡素化して生産効率を向上させることができ、回転子の製造コストを大きく低減させることができるハイブリッド型ステッピングモータの回転子の製造方法を提供するにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するため、次の構成を備える。
すなわち、プレス金型を用いた打ち抜き加工により、外周縁に多数個の小歯を備えるとともに、ロータシャフトを貫通させる内径孔を備えたコア板を形成し、コア板を所定枚数積み重ねて一体化することによりロータ部を形成し、ロータ部にロータシャフトを嵌入して組み立てるハイブリッド型ステッピングモータの回転子の製造方法において、前記コア板に前記小歯を形成する工程を、被加工材に対し前記小歯の内周面の形状に合わせて小歯孔を抜き加工する小歯孔抜き加工工程と、小歯孔が形成された被加工材に対し小歯の端面位置に合わせて被加工材を抜き加工し、小歯の先端部のエッジ部を鋭角に加工する外形抜き加工工程の2段階の加工工程とし、前記プレス金型として、被加工材に前記内径孔を形成する加工ステージと、被加工材に前記外形抜き加工を施す加工ステージとをこの順に隣接して配置したプレス金型を使用し、前記小歯孔抜き加工工程後に、前記内径孔を抜き加工し、次いで前記外形抜き加工工程を行うとともに、前記外形抜き加工工程においては、小歯の端面近傍をクランプする押さえ手段として、ストリッパープレートの押さえ面よりも端面を突出させた分割ストリッパーを備えた、ストリッパープレートを使用して抜き加工し、前記内径孔を加工する加工ステージにおいては、パンチプレートに設けた四角形状の支持孔にパンチの基部を挿入し、位置調節用のシム板を支持孔の内側面とパンチとの間に差し込むことによりパンチの取り付け位置を調節して内径孔を加工し、前記加工工程により形成したコア板を所定枚数積み重ねて一体化してロータ部を形成し、前記ロータ部にロータシャフトを嵌入し、ロータ部の外周面を研磨することなくモータに組み込むことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について添付図面とともに詳細に説明する。
図1は本発明に係るハイブリッド型ステッピングモータの回転子の製造工程において、ケイ素鋼板等の被加工材18に対してプレス抜き加工を施し、外周縁に小歯14が形成されたコア板20を形成する工程を示す。
本実施形態では、外周縁に多数個の小歯14を備えたコア板20を高精度に形成するためのプレス打ち抜きの製造工程を、小歯14の位置に合わせて小歯孔を抜く小歯孔抜き加工(図1(a))と、コア板20の小歯14の端面位置に合わせて被加工材18を打ち抜く外形抜き加工(図1(b))の2段階の工程とした。
【0012】
被加工材18に小歯孔を抜き加工する小歯孔抜き加工では、図1(a)に示すように、周方向に等間隔で形成される小歯14の周方向位置に合わせて、小歯14の内側面に一致する内周面を有する小歯孔22を打ち抜いて形成する。小歯孔22は、小歯14の刃先部分の長さよりも径方向(放射方向)に若干延出した卵形の孔形状に設定されている。図2に小歯14と小歯孔22との位置関係を拡大して示す。
次に、図1(b)に示す外形抜き加工では、小歯14の端面の位置に合わせて被加工材18を打ち抜く。小歯孔22は小歯14の歯先位置(端面位置)よりも外側まで延出しているから、外形抜き加工では小歯孔22を横切るようにして被加工材18が打ち抜かれる。図2で、線Bが外形抜き加工での抜き線位置を示す。この抜き線Bの位置が小歯14の端面位置となる。図1(b)で斜線部分が被加工材18から打ち抜かれるコア板20となる部分である。
【0013】
このように、本実施形態では被加工材18を打ち抜いて外周縁に小歯14を備えたコア板20を形成する工程を、小歯孔抜き加工と外形抜き加工を行う2段階の工程に分けたことによって、小歯14の先端部のエッジ部がアール形状にならず、鋭角な形状に形成することができる。小歯孔抜き加工は外形抜き加工にくらべて荷重が大きく加わる加工であるから、小歯孔抜き加工を外形抜き加工の前に行うことによって小歯14の変形を抑えることができ、小歯14の平面形状を所定の形状に形成することができる。
【0014】
図3は本実施形態の加工方法によって実際に製作したコア板の小歯部分の拡大写真であり、図4は従来の加工方法によって製作したコア板の小歯部分の拡大写真である。図3、4を比較してわかるように、本実施形態の方法による場合は、小歯14の端面が外形抜き加工によってパンチによって切り落とされた形状となっており、小歯14のエッジ部分がアール状にならず、鋭角に形成されている。これによって、ひとつひとつの小歯14の幅寸法が設計通りの幅寸法に仕上げることが可能となる。
【0015】
以上説明したように、小歯孔抜き加工と外形抜き加工の2段階に打ち抜き加工工程を分けることによって小歯14の幅寸法については精度よく仕上げることが可能となるのであるが、ハイブリッド型ステッピングモータの回転子として所要のトルクが得られるようにするには、小歯14の端面形状についてもダレのない高精度の四角形状に仕上げる必要がある。
本実施形態においては、小歯14の端面を高精度の四角形状に仕上げるため、プレス金型として図5に示すような支持構造を採用した。
図5は本実施形態におけるプレス金型でのストリッパープレート30、ダイ32およびパンチ40の配置位置関係を示す説明図であり、図6は従来のプレス金型におけるストリッパープレート30、ダイ32およびパンチ34の配置位置関係を示す説明図である。
【0016】
図6に示すように、プレス金型によって被加工材18を打ち抜き加工する際には、ストリッパープレート30とダイ32とで被加工材18を所定圧力でクランプし、被加工材18をクランプした状態でパンチ34を突き下ろしてコア板20を打ち抜く。
これに対して、本実施形態のプレス金型においては、図5に示すように、ダイ孔32aの近傍でダイ32との間で被加工材18をクランプする分割ストリッパー31を設けたストリッパープレート30を使用している。
分割ストリッパー31は、ストリッパープレート30のパンチ34に対向する側面位置に、平坦面に形成されているストリッパープレート30の押さえ面からわずかに突出するように細幅に配置したものである。実施形態では、ストリッパープレート30と別体に分割ストリッパー31を設け、その端面がストリッパープレート30の押さえ面よりも0.03mm突出するように設定した。また、分割ストリッパー31の幅は0.03mmとした。
【0017】
分割ストリッパー31はストリッパープレート30に固定して設けられ、ストリッパープレート30とともに昇降して被加工材18をクランプする作用をなす。分割ストリッパー31の押さえ面をストリッパープレート30の押さえ面よりも突出させて設けたことにより、ストリッパープレート30とダイ32とで被加工材18をクランプした際に、ダイ孔32aの縁部近傍では、分割ストリッパー31の作用により、被加工材18はストリッパープレート30よりも強いクランプ力でクランプされる。
【0018】
ストリッパープレート30によるクランプ力を大きくする方法としては、ストリッパープレート30を支持する押圧バネの本数を増やしたり、押圧バネの強さを強くするといった方法があるが、押圧バネの本数を増やす場合は金型を大きくしなければならないといった構造上および金型製作上の問題がある。また、ストリッパープレート30の全体に対してクランプ力を強くするようしても、被加工材18に対するクランプ力を高める作用として有効に作用しないという問題がある。
これに対して、本実施形態のようにストリッパープレート30に分割ストリッパー31を設ける方法は、ストリッパープレート30の押圧バネ等の構造を変えることなく、効果的に被加工材18に対するクランプ力を大きくさせることができる点で有効である。
【0019】
分割ストリッパー31を設けた金型はコア板20の外形抜き加工に使用するものである。ストリッパープレート30の最端部に分割ストリッパー31を設けているのは、ダイ孔32aの内面に最も近い位置で被加工材18をクランプできるようにするためであり、分割ストリッパー31を細幅に設けることによって、被加工材18に対するクランプ力を集中せて作用させることが可能となる。
【0020】
外形抜き加工では被加工材18を円形に打ち抜きするから、分割ストリッパー31は円形のリング状に形成されてストリッパープレート30に取り付けられている。実際には、ロットが変わった際など、打ち抜き後の小歯14の端面形状を検査し、分割ストリッパー31の突出量や、幅を適宜調節する。図5に示す例では、分割ストリッパー31のストリッパープレート30の押さえ面からの突出量は0.03mm、幅は0.03mmである。
なお、場合によっては分割ストリッパー31をストリッパープレート30と別体に設けずに、ストリッパープレート30に分割ストリッパー31と同様の作用をなす突起部を形成することも可能である。
【0021】
このようにストリッパープレート30に分割ストリッパー31を取り付け、ダイ孔32aの縁部近傍で被加工材18を強くクランプして打ち抜き加工するようにすると、小歯14の端面でダレが生じることが防止でき、小歯14の端面を四角形状に仕上げることができる。
【0022】
コア板20を外形抜きすると、小歯14の端面には剪断部と破断部が生じるが、小歯14の端面の剪断部の領域が破断部の領域にくらべて、より広くなることが、小歯14の端面にダレ等が発生せず、コア板20としてより高精度の仕上がり状態にすることができる。このため、本実施形態のプレス金型では、パンチ40とダイ32とのクリアランスが従来のプレス金型にくらべて小さくなるように設定している。
図5に示す実施形態ではパンチ40とダイ32とのクリアランスが0.01mmで、図6に示す従来のプレス金型でのパンチ40とダイ32とのクリアランス0.02mmの1/2となっている。
【0023】
図7は、小歯孔抜き加工と外形抜き加工の2段階のプレス抜き加工を施し、外形抜き加工では、分割ストリッパー31を備えたストリッパープレート30を使用し、パンチ40とダイ32とのクリアランスを小さく設定したプレス金型を使用して加工したコア板20を用いたロータ部10について、小歯の形状を撮影した写真である。
図8に示す従来のプレス金型を用いて打ち抜き加工した製品の小歯の形状と比較すると、本実施形態の製造方法による場合は、小歯の端面にダレが生じていないことがわかる。また、図7(b)と図8(b)の小歯の端面を拡大した写真を比較してわかるように、本実施形態の製造方法による場合は小歯の端面での剪断部の領域が従来方法の製品とくらべて広くなっている。すなわち、本実施形態の加工方法による場合は剪断作用がより強く作用して打ち抜き加工され、高精度の端面形状を有するコア板が得られることを示している。
【0024】
図3、4および図7、8の結果からもわかるように、上述したプレス金型を用いた打ち抜き加工によって得られたコア板20は、小歯14のエッジ部が鋭角に形成され、端面にダレが発生せず、所定の四角形状の端面に仕上げられるから、打ち抜き加工した状態のままで所要のトルクを得ることができる。したがって、本実施形態の回転子の製造方法によれば、プレス金型を用いた打ち抜き加工によってコア板20を形成した後に、小歯14の端面形状を修正するという作業を行う必要がない。すなわち、コア板20を形成した後、小歯14の端面形状を修正するために従来のようなロータ部の外周面を研磨加工する必要がない。
【0025】
なお、回転子はロータ部10とロータシャフト12との同軸度が所定の精度を満足していることが必要である。コア板20にはロータシャフト12を貫通させる内径孔が形成され、この内径孔にロータシャフト12を嵌入して回転子が組み立てられる。したがって、無研磨回転子を作製可能とするためには、プレス金型を用いてコア板20を加工する工程で、被加工材18にロータシャフト12を貫通させる内径孔を高精度に形成できるようにしなければならない。
コア板20を打ち抜き加工する工程は、上述したように小歯孔抜き加工と外形抜き加工の2段階の工程となっている。被加工材18に内径孔を形成する工程と外形抜き加工とは別工程として行われるから、本実施形態では、内径孔とコア板20の外形位置との位置ずれが生じにくくするため、内径孔を抜き加工する加工に続けてコア板20の外形抜き加工を行う配置となるようにプレス金型を設計している。
【0026】
また、内径孔とコア板20の外形位置とは数μm以下といった精度で位置合わせする必要があるから、プレス金型を用いた打ち抜き加工でこのような精度を達成できるようにする必要がある。
図9は、本実施形態での内径孔を加工するパンチの支持方法を示す。図9(a)で、40がパンチ、42がパンチ40の基部40aを支持するパンチプレート、44がストリッパー、46がストリッパープレートである。48はストリッパープレート46に取り付けたガイドブッシュであり、パンチ40の先端側をガイドしている。
【0027】
図10に、従来のプレス金型における内径孔を加工するパンチの支持方法を示す。パンチ41がパンチプレート42に支持され、パンチ41の先端側がストリッパー44、ストリッパープレート46およびガイドブッシュ48によってガイドされて支持されている。
図10に示す従来のパンチの支持方法と、図9に示す本実施形態におけるパンチの支持方法との相違点で特徴的な点は、本実施形態においては、パンチプレー42に対するパンチ40の取り付け位置が微調整可能に設けられている点である。すなわち、図10に示す支持方法では、パンチ41の基部41aを円柱状に形成し、図10(b)に示すように、パンチプレート42に形成した円形の支持孔に、単にパンチ41の基部41aを挿入して取り付けている。したがって、位置調整のためにパンチ41を中心位置から偏芯させなければならないような場合には、ガイドブッシュ48によってパンチ41を強制的に中心位置から偏芯させるといった操作ができるだけである。しかしながら、このような操作による調整方法は、多数回の打ち抜き加工を行うと位置ずれが生じてしまうといった問題があり、正確な微調整が不可能である。
【0028】
これに対して、図9に示す本実施形態のパンチ40の支持方法は、パンチ40の基部40aを四角柱状(断面正方形)に形成し、パンチプレート42にはパンチ40の基部40aを挿入する断面正方形の支持孔42aを形成し、パンチ40と支持孔42aの内側面との間に位置調節用のシム板50を差し込んで、パンチプレート42に対するパンチ40の位置を微調整できるようにしたものである。支持孔42aの内のり寸法を、パンチ40の基部40aの辺長よりも若干長く設定してパンチ40の基部40aと支持孔42aの内側面との間に隙間が形成されるようにし、シム板50の差し込み枚数を調節することによりパンチプレート42でのパンチ40の取付位置を調節することができる。パンチ40の基部40aと支持孔42aの平面形状を四角形としたことで、パンチ40の位置を、いわば、X−Y方向の任意の方向に調節することが可能となっている。
【0029】
プレス金型でのパンチ40の取付位置は正確に設計されているのであるが、ハイブリッド型ステッピングモータの回転体となるコア板20と内径孔との同軸度は5μmといったきわめて高精度が要求されるものであるから、このような加工精度が要求される場合には、実際のプレス金型を用いて加工した状態をチェックしながらパンチ40の取付位置を微調整できるようにする必要がある。本実施形態のプレス金型を用いた加工方法であれば、このような調節が容易に可能であり、パンチ40の位置を正確に調整した状態で打ち抜き加工することによって、コア板20の外形位置に対してロータシャフト12を貫通させる内径孔の位置を所定精度に仕上げることが可能となる。
【0030】
このように、本実施形態の回転子の製造方法によれば、内径孔とコア板20との同軸度を正確に設定することができることから、プレス金型を用いた打ち抜き加工によって内径孔を備えたコア板20を形成するとともに、コア板20を積み重ねて一体化たロータ部10を形成し、内径孔にロータシャフト12を嵌入させることによって、所定精度の回転子を得ることができる。こうして得られた回転子は、小歯14の端面形状が正確に形成され、内径孔とロータ部10との同軸度も所定精度に形成されているから、ロータ部10の外周面を研磨加工するといった後加工が必要なく、そのままの形態でハイブリッド型ステッピングモータの回転子として使用することが可能になる。
【0031】
このように、プレス加工のみによって形成したコア板20を使用してそのまま回転子の最終製品として提供できることは、製造工程を簡素化し、回転子の製造コストを引き下げる加工方法としてきわめて有効である。従来のように回転子を組み立てた後に、ロータ部10の外周面を研磨加工する際には、ロータ部10の外周面に樹脂を塗布して乾燥させる工程、研磨工程といった煩雑な工程を行わなければならないからである。本発明方法は、このような煩雑な工程を省略することによって、きわめて効率的に回転子を製造することを可能にし、回転子の製造コスト、ひいてはハイブリッド型ステッピングモータの製造コストの削減にきわめて有効に利用することが可能である。
【0032】
【発明の効果】
本発明に係るハイブリッド型ステッピングモータの回転子の製造方法によれば、被加工材をプレス金型を用いて打ち抜き加工し、ロータ部を無研磨のままモータに組み込み可能としたことにより、ハイブリッド型ステッピングモータの回転子をきわめて容易に生産することが可能になり、ハイブリッド型ステッピングモータの回転子の製造コストを大きく低減させることが可能になる等の著効を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】被加工材をプレス抜き加工する方法を示す説明図である。
【図2】コア板の小歯部分を成形する方法を示す説明図である。
【図3】本発明方法によって得られたコア板の小歯の形状を示す写真である。
【図4】従来方法によって得られたコア板の小歯の形状を示す写真である。
【図5】本発明方法におけるプレス金型のストリッパープレート等の構成を示す説明図である。
【図6】従来方法におけるプレス金型のストリッパープレート等の構成を示す説明図である。
【図7】本発明方法によってコア板を打ち抜いた状態での小歯の端面形状を示す写真である。
【図8】従来方法によってコア板を打ち抜いた状態での小歯の端面形状を示す写真である。
【図9】本発明方法におけるプレス金型のパンチの支持方法を示す説明図である。
【図10】従来のプレス金型のパンチの支持方法を示す説明図である。
【図11】従来の回転子の構成を示す説明図である。
【図12】被加工材を打ち抜いてコア板を形成する従来方法を示す説明図である。
【符号の説明】
10 ロータ部
12 ロータシャフト
14 小歯
18 被加工材
20 コア板
22 小歯孔
30 ストリッパープレート
31 分割ストリッパー
32 ダイ
40、41 パンチ
42 パンチプレート
42a 支持孔
44 ストリッパー
48 ガイドブッシュ
48 ストリッパープレート
50 シム板
Claims (1)
- プレス金型を用いた打ち抜き加工により、外周縁に多数個の小歯を備えるとともに、ロータシャフトを貫通させる内径孔を備えたコア板を形成し、コア板を所定枚数積み重ねて一体化することによりロータ部を形成し、ロータ部にロータシャフトを嵌入して組み立てるハイブリッド型ステッピングモータの回転子の製造方法において、
前記コア板に前記小歯を形成する工程を、
被加工材に対し前記小歯の内周面の形状に合わせて小歯孔を抜き加工する小歯孔抜き加工工程と、
小歯孔が形成された被加工材に対し小歯の端面位置に合わせて被加工材を抜き加工し、小歯の先端部のエッジ部を鋭角に加工する外形抜き加工工程の2段階の加工工程とし、
前記プレス金型として、被加工材に前記内径孔を形成する加工ステージと、被加工材に前記外形抜き加工を施す加工ステージとをこの順に隣接して配置したプレス金型を使用し、前記小歯孔抜き加工工程後に、前記内径孔を抜き加工し、次いで前記外形抜き加工工程を行うとともに、
前記外形抜き加工工程においては、小歯の端面近傍をクランプする押さえ手段として、ストリッパープレートの押さえ面よりも端面を突出させた分割ストリッパーを備えた、ストリッパープレートを使用して抜き加工し、
前記内径孔を加工する加工ステージにおいては、パンチプレートに設けた四角形状の支持孔にパンチの基部を挿入し、位置調節用のシム板を支持孔の内側面とパンチとの間に差し込むことによりパンチの取り付け位置を調節して内径孔を加工し、
前記加工工程により形成したコア板を所定枚数積み重ねて一体化してロータ部を形成し、
前記ロータ部にロータシャフトを嵌入し、ロータ部の外周面を研磨することなくモータに組み込むことを特徴とするハイブリッド型ステッピングモータの回転子の製造方法。
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