JP4199885B2 - インクジェット記録シート用非晶質シリカおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット記録シート用に使用される非晶質シリカに関し、詳しくはインクジェット用紙やフィルムなどの塗工層に填料として使用される非晶質シリカの分散液が高濃度配合しても安定した粘度が得られ、塗工液の高濃度化に有用な新規な非晶質シリカを提供する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式によるプリントは、騒音が少なく、高速記録が可能で、しかも多色化が容易である等の利点があり、各種プリンター、ファクシミリ等への応用が行われている。
【0003】
この用途に用いる記録シートとしては一般に紙やフィルム等が挙げられるが、例えば通常の上質紙やコート紙では性能の点で使用困難であり、紙面に付着したインク液が速やかに紙内に吸収されること、紙面上でのインク滴の広がりや滲みが抑制されること、濃度のある鮮明な画像が形成されること等の特性が要求される。このためインクジェット記録シートは基質シート表面にインク受容層、すなわち塗工層を設けたものが多く、これらの特性を基質シートの表面の塗工層に与えるために、例えば、非晶質シリカのほかにクレー、タルク、炭酸カルシウム、カオリン、酸性白土、等種々のインク受容能を有する無機固体物質が、必要により結着剤と共に基質シート表面に塗布されている。
【0004】
非晶質シリカはこれら無機固体物質のうち最も代表的なもので、各種の物性を有する非晶質シリカが多く使用されている。
【0005】
非晶質シリカは一般的には乾式製造法によって得られる乾式シリカ(無水ケイ酸)と湿式製造法によって得られる湿式シリカ(含水ケイ酸)に分類でき、さらに湿式シリカに属するシリカには、製法により沈降法シリカとゲル法シリカに分類出来る。これらは製造条件によりシリカの多孔構造、比表面積、表面状態等を様々にコントロールし、使用目的に合った使われ方をしている。
【0006】
このインクジェット記録方式によるプリントに使用される記録シートに要求される特性としては、インクジェット記録シートの表面に形成された塗工層に付着したインク滴が、速やかに内部に吸収され、且つできる限り表面近傍にインクが留まれることが必要であるとともにドットの真円性が保たれ、色彩性が良いなどが挙げられる。
【0007】
インクジェット記録紙用として適したシリカとしては、例えば、特公平5−71394号公報では、平均粒子径が2.5〜3.5μm、窒素吸着による細孔測定で60〜130オングストロームの範囲内の細孔が全細孔の20%以上であり、吸油量が250ml/100g以上の無定型シリカ(非晶質シリカ)をインクジェット記録紙用填料に用いることが提案されている。
【0008】
また、特開平9−95042号公報では、BET比表面積が270〜400m2/g、水銀圧入法で測定された細孔半径のピーク位置が37.5〜75オングストローム、平均粒子径が3.5μmを超えて、10μm以下の範囲である非晶質シリカが提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
一般にインクジェット記録シートの塗工層に使用される塗工液は、非晶質シリカ又は有機溶媒を含む水の分散液を調整し、次いでバインダーを加えて塗工液となるが、現状の非晶質シリカを用いて分散液を調整すると、同一配合条件でも分散液の粘度が高くなったり、或いはロット間のばらつきが大きいなどの問題が発生し、塗工液を製造する際の作業性を悪化させる原因となっている。そればかりか、分散液を製造する際にも非晶質シリカを投入すると、撹拌機のトルクが急激に上昇し、分散液の粘度が安定するまでに時間がかかるなどの現象がしばしば観察された。
【0010】
特に記録シートの大量生産(大量塗工や高速塗工)を行う場合には填料を高濃度に配合できる方がよいが、分散液の粘度が不安定になると非晶質シリカを高濃度に配合することが困難になり、結果的に作業性及び生産性を悪化させてしまう。
【0011】
分散液粘度を安定化させる方法としては、例えば填料濃度を低くして、分散液粘度を低くすれば、誤差範囲も小さくなり最も適当な方法と言えるが、この場合、填料濃度を低くしなければならないために、結果としてバインダーを加えて塗工液にした際に一度に塗工できる量が少なくなってしまい生産性を悪化させてしまう。また、填料濃度が低い場合は塗工層の乾燥のための熱エネルギーコストがかかってしまうためにあまり好ましくない。また、填料である非晶質シリカのBET比表面積を極端に小さくしたり、平均粒子径を極端に大きくしたり、吸油量を極端に低くすることによっても分散液の粘度は高濃度でも安定化するが、これらの方法は本発明の目的から考えて適切な方法とは言えない。
【0012】
そこで、本発明者は、インク吸収性に優れかつ鮮明画像を保ったまま、非晶質シリカを高濃度配合した場合でも安定した分散液粘度が得られるような非晶質シリカを提供するために鋭意研究を行った結果、分散液の粘度は4%懸濁液のろ液の電気伝導度に依存することを見出した。また、この電気伝導度を50μS/cm未満に制御することで高濃度配合を行った場合でも分散液粘度のロット間のばらつきが無く、かつ分散液を製造する際のトルクの急激な変化も無く安定した非晶質シリカを得られることを見出した。更に、インクの吸収性即ち印字濃度は非晶質シリカ4%水懸濁液のろ液の電気伝導度の値に関係なくBET比表面積の値に依存することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明のインクジェット記録紙用シリカは、塗工液の高濃度配合を行うために4%水懸濁液の電気伝導度が50μS/cm未満、好ましくは30μS/cm未満でなければならない。更に高い印字濃度を得るためにBET比表面積は270m2/g以上320m2/g未満でなければならず、その両方の条件を満足しなければならない。
【0014】
なお、4%(質量%)水懸濁液の電気伝導度とは、非晶質シリカ(通常105℃で2時間乾燥したときの加熱減量が6%以下)4.0gに蒸留水50mlを加えて数分間煮沸し、冷却後さらに蒸留水を加えて全体を100mlとした後、該懸濁液をろ過したろ液の電気伝導度(25℃)をいう。
【0015】
【発明の実施の形態】
BET比表面積が270m2/g未満、或いは320m2/g以上の場合、理由は定かではないがインクの吸収性能が低下してしまい高い印字濃度が得られなくなってしまう。
【0016】
BET比表面積が270m2/g以上320m2/g未満の場合でも、4%水懸濁液の電気伝導度が50μS/cm以上の場合、インクの吸収性能は良く、高い印字濃度が得られるものの、分散液粘度の急激な上昇や粘度のばらつきが観察され、塗工液を製造する際の作業性を悪化させてしまうため本発明には適さない。特に定着剤等の各種添加剤を添加して分散液のpHが高くなった場合や非晶質シリカを高濃度配合した場合にはこの現象が顕著に観察される。
【0017】
この様な現象が起こる理由については定かではないが、4%水懸濁液のろ液の電気伝導度は非晶質シリカを製造する際に残留する水溶性のアルカリイオン、酸性イオン、塩類等の不純物の総量を示したものであり、これらの水溶液不純物が分散液中に溶出すると、シリカ粒子との間で何らかの相互作用が発生し、結果として分散液粘度が上昇したり不安定になると考えられる。
【0018】
本発明者らの研究結果によれば、4%水懸濁液のろ液の電気伝導度が50μS/cm未満になるような製造処方(水洗)を行えば、製造工程中の乾燥条件や粉砕条件、あるいはその他の特別な処方を施すことなく安定した粘度が得られることが分かっている。
【0019】
本発明のインクジェット記録シート用非晶質シリカは、一般的なインクジェット記録シート用非晶質シリカと同様にコールターカウンター法による平均粒子径が1.0μm以上12.0μm未満、吸油量は200ml/100g以上350ml/100g未満、好ましくは220ml/100g以上300ml/100g未満、より好ましくは240ml/100g以上280ml/100g未満であればよい。
【0020】
平均粒子径は例えば写真画質向け、汎用向け或いはアンダーコート向けの用紙やマットフィルムやグロスフィルム、バックライトフィルム等目的に応じてそれぞれ選択でき、一般には、高画質向け用途には平均粒径の小さいものが用いられ、汎用向けあるいは筆記性を重視するものには平均粒径の大きいものが用いられる。
【0021】
しかし、平均粒子径が1.0μmよりも小さい場合は、製造が非常に困難かつ作業性やハンドリング性能が悪くなり、実用上の使用には適していないばかりか平均粒子径が1.0μmよりも小さな非晶質シリカは分散液粘度が不安定になってしまうので本発明には適さない。
【0022】
逆に平均粒子径が12μmよりも大きな場合は、インクの吸収性を著しく悪化させ、ドットの真円性が保てなくなり、コート層表面の滲みや裏抜けの原因になってしまう。
【0023】
吸油量が200ml/100g未満の場合も、インクの吸収性を悪化させ、ドットの真円性が保てなくなり、コート層表面の滲みや裏抜けの原因になり、逆に350ml/100g以上の場合、分散液や塗工液の粘度が高く不安定になるあるいは高すぎる吸油能のために高濃度分散することができず、本発明には適さない。
【0024】
本発明のインクジェット記録シート用非晶質シリカの窒素吸着法による細孔分布は細孔直径のピークが100〜300Åであるのが好ましく、非晶質シリカの細孔分布については、例えば特開平9−30809号公報に記載されているような公知の技術によりコントロールすることができる。
【0025】
なお、コールターカウンター法による平均粒子径の測定法、BET比表面積は、非晶質シリカの物性を示す上記パラメーターを測定する適切な方法として当業界において広く用いられている方法である。
【0026】
本発明の非晶質シリカは上記範囲を満足するものであれば他の物性は特に限定されない。
【0027】
105℃で2時間乾燥したときの加熱減量(水分)は通常の6%以下であれば良く、4%水懸濁液pHは通常の4〜11、好ましくは5〜8が適用出来る。嵩比重は通常の30〜300g/リットルが適用できるが、ハンドリング性能の面から考えて嵩比重は高い方が良い。一般的に嵩比重は、同一平均粒子径でも微粒子が少ないほど高くなり、細孔容積が小さくなるほど(無孔質に近くなるほど)高くなる。
【0028】
本発明のシリカの製造方法も特に限定されるものではなく、上述の湿式製造法による製造方法が適用出来る。
【0029】
湿式製造法のうち、沈降法シリカの製造方法による場合は、例えば、あらかじめ一定量の温水を張り込んだ反応槽中に、一定のpHと温度を保ちながら珪酸アルカリ水溶液と鉱酸とを一定時間添加する同時滴下方法と、一定濃度にあらかじめ調整して反応槽中に張り込んだ珪酸アルカリ水溶液(または鉱酸)に対して鉱酸(または珪酸アルカリ水溶液)を一定時間滴下する片側滴下方式等が利用できる。
【0030】
ただし、このような方法で析出した非晶質シリカは本発明の目的から考えてもその反応スラリー(シリカスラリー)中に残留するアルカリイオン、酸性イオン、塩類などを除去するためにろ過、水洗を充分に行わなければならない。水洗後は乾燥、粉砕し必要に応じて分級することで最終的に目的とする非晶質シリカを製造する。
【0031】
また、ゲル法シリカの製造方法は例えば、珪酸ソーダ水溶液と鉱酸とをノズルを用いて急速に剪断、混合することにより、シリカヒドロゾルが形成され、このシリカヒドロゾルを数時間放置することによりシリカヒドロゲルを得る方法が利用できる。このシリカヒドロゲルをアルカリイオン、酸性イオン、塩類などを除去するための中和等を含めた水洗を充分に行い、その後BET比表面積や細孔を調節するための水熱処理等を行ったのち、乾燥、粉砕し、必要に応じて分級することで最終的に目的とする非晶質シリカを製造する。
【0032】
水洗方法も特に限定されるものではないが、水洗水として利用する水は電気伝導度が10〜100μS/cmのものを用い、十分に水洗するのが好ましい。
【0033】
水洗水の電気伝導度が100μS/cmを越えた水洗水を用いると、非晶質シリカの4%水懸濁液のろ液の電気伝導度を50μS/cm未満にするための水洗時間がより長くなるために非晶質シリカの製造工程上好ましくない。例を挙げると水洗水の電気伝導度が2倍になれば非晶質シリカの4%水懸濁液の電気伝導度を50μS/cm未満にするための時間は4倍以上になる。また、10μS/cm未満の水とは、純水あるいは純水に近い高純度水を言い、創水コストが嵩み、またかかる水を用いても水洗時間も極端に短くできない。これらのことから、上記範囲の電気伝導度の水、より好ましくは電気伝導度が20〜80μS/cmの範囲内で一定の電気伝導度を有する水洗水を用いて一定時間の水洗を施すことがよい。
【0034】
さらに好ましい水洗方法を挙げると、第1次の水洗で殆どの水溶性塩を除去した後、再度水に懸濁し、脱陽イオンを目的として該懸濁液のpHが4.0以下程度になるまで酸を加えたのち脱酸を目的としてアルカリを加えてpHを7.0以上にした後、水を用いて第2次の水洗を行い、pHが7以上になるまで水洗を行う方法を採用すればなお良い。
【0035】
沈降法シリカとゲル法シリカを比較した場合、本発明者らの経験則によれば、本発明が示すところによる物性を有する非晶質シリカであればいずれの方法の非晶質シリカも同様の傾向にあるが、製造工程を考えればゲル法シリカの方がアルカリイオン、酸性イオン、塩類などの除去が容易で4%水懸濁液のろ液の電気伝導度を50μS/cm未満にコントロールし易い。
【0036】
本発明の非晶質シリカを用いて基質シート上に塗工する方法も特に限定されることはない。
【0037】
一般には非晶質シリカのほかに他の填料、定着剤、耐水性付与剤等の添加剤等を加えてpHが中性〜アルカリ性の分散液としたのち、バインダー水溶液を加えて塗工液として使用される。
【0038】
バインダーとしては、ポリビニルアルコール(PVA)、澱粉、ポリアクリルアミド(PAM)、水溶性セルロース類等の水溶性樹脂が一般に使用される。
【0039】
分散媒としては、一般に水やアルコール類などの有機溶媒が単独にあるいは併用して使用される。
【0040】
また、塗工液中のバインダー濃度は一般に3〜20%、非晶質シリカ濃度は3〜30%の範囲内で必要に応じて調整され、使用される。
【0041】
これらの塗工液は、基質シート上に固形分質量として1〜50g/m2の割合で一層あるいは二層以上塗工され、乾燥後、カレンダリングを行ってインクジェット記録シートとなる。
【0042】
【実施例】
以下本発明を具体的に説明するために実施例および比較例を挙げて説明するが、勿論これらに限定されるものではない。なお各物性値等の測定は次に示す方法により実施し、実施例及び比較例で得られた非晶質シリカの物性値は下記表1に示した。
【0043】
・4%水懸濁液の電気伝導度
50ml蒸留水(電気伝導度1μS/cm以下)中に4gの非晶質シリカ(105℃、2時間後の加熱減量が6%以下)を添加し、よく混合した後5分間煮沸処理する。その後蒸留水を用いて全容量を100mlに調整した後ろ別する。このろ液について、電気伝導度計(堀場製作所製:型式DS−15)を用いて測定した(測定温度25℃)。
【0044】
・平均粒子径
コールターマルチサイザーII(Coullter Electronics Ltd.製)を用いて測定した。粒子の最大粒径が30μm以内(平均粒径でおよそ1〜7μm)のものは50μmのアパーチャーチューブを用い、粒子の最大粒径が42μm以内(平均粒径でおよそ4〜13μm)のものは70μmのアパーチャーチューブを用いた(アパチャーチューブの大きさにより最適測定範囲、及び測定限界があるため)。
【0045】
なお、試料の分散は40秒間の超音波分解を行い、分散は付属のIsoton−II液を使用した。
【0046】
・BET比表面積測定
カンターソープ(米国 Quantachrome社製)を用いて1点法により測定した。
【0047】
・吸油量測定
JIS K5101(顔料試験法)による吸油量測定法に準じて測定を行った。
【0048】
・基質シート(紙)への塗工方法
0.01N(規定)の水酸化ナトリウム水溶液165gに非晶質シリカ36gを投入し、ディスパーで1300rpm、5分間撹拌して分散液とした。この分散液の3分の2量(134g)をポリビニルアルコール((株)クラレ社製PVA117)の14%水溶液70gを入れた容器中に投入し、調整水として蒸留水を20g加え、ディスパーで700rpm、10分間の撹拌を行い塗工液とした。
【0049】
この塗工液を秤量66g/m2のPPC用紙にNo.30バーコーターを用いて塗工(塗工量;約8g/m2)し、風乾した。風乾後、線圧20kg/cmでカレンダリングを行ない塗工紙を得た。
【0050】
・分散液の粘度測定
前項記載の分散液の残りを50ccのトールビーカーに入れB型粘度計((株)東京計器社製)でNo.3ローター、60rpm、の条件で60秒後の粘度測定(A)を行った後さらに120秒後(測定開始から3分後)の粘度測定(B)を行った。
【0051】
ここで、B/A=0.90〜1.10のとき塗工液の粘度が安定しているとみなして○、そうでない場合は粘度が安定していないとみなして×とした。
【0052】
・インクジェット記録方法
エプソン社製のMJ−800Cプリンターを用いて印字した。印字パターンはブラック、イエロー、シアン、マゼンダの各単色のベタ塗り(4cm×4cm)と、階調をつけたブラック、イエロー、シアン、マゼンダの各単色ドット、及びこれら4色を混色したドットについて印字した。
【0053】
このように印字した画像について次の項目の評価を行った。
【0054】
(a)インクの吸収性と滲み
印字画像についてドットをビデオマイクロスコープ(スカラ(株)社製VMS−70A)による肉眼観察と写真撮影を行い次のような評価基準で評価を行った。
【0055】
○…ドットが重なった場合でもインクが流れ出したり滲んでいない。
【0056】
△…特定の色と色が重なった場合、滲むことがある。
【0057】
×…全体的に滲んでいる。
【0058】
(b)印字濃度(参考値)
ブラック、イエロー、シアン、マゼンダの各単色ベタ塗りの印字濃度測定をグレタグマクベス反射濃度計RD−918を用いて行った。
【0059】
実施例1
SiO2濃度25%、SiO2/Na2Oモル比3.3の珪酸ソーダ水溶液と40%の硫酸水溶液を過剰硫酸が0.6Nになるように混合させシリカヒドロゾルを得た。
【0060】
このシリカヒドロゾルをしばらく放置し、シリカヒドロゲルを得たのち、90℃、pH9.5の条件で16時間の水熱処理後、過剰のアルカリを除去するためにpH4.0になるまで硫酸を加え、さらに60℃で1時間放置した。これを副生塩を除去するのに充分な水洗を行ったのちに水とシリカ比が10:1の条件において60℃、2時間放置したのち充分にその付着水を除去した。この作業を2回繰り返し純粋なシリカヒドロゲルを得た。なお使用した水洗水は電気伝導度が50μS/cmの水を用いた。
【0061】
このシリカヒドロゲルを過熱蒸気を用いたジェットミルにより平均粒子径6.0μmになるように粉砕および最終乾燥を行ってゲル法シリカを得た。
【0062】
実施例2
実施例1で得られたのと同じ原料、処方に基づいてシリカヒドロゲルを得たのち、75℃、pH9.5の条件で16時間の水熱処理を行った。水熱処理後は実施例1と同様の方法で水洗を行い純粋なシリカヒドロゲルを得たのち乾燥し、ジェットミルにより平均粒子径6.0μmになるように粉砕及び最終乾燥してゲル法シリカを得た。
【0063】
実施例3
実施例1で得られたのと同じ原料、処方に基づいてシリカヒドロゲルを得たのち、90℃、pH9.5の条件で16時間の水熱処理後、過剰のアルカリを除去するためにpH4.0になるまで硫酸を加え、さらに80℃で2時間放置した。これを副生塩を除去するのに充分な水洗を行ったのちに純水を用いて純水とシリカ比が10:1の条件において60℃、2時間放置したのち充分にその付着水を除去した。この作業を1回のみ行い純粋なシリカヒドロゲルを得たのち乾燥し、ジェットミルにより平均粒子径6.0μmになるように粉砕及び最終乾燥してゲ法シリカを得た。
【0064】
実施例4
SiO2濃度13.0%、SiO2/Na2Oモル比3.55の珪酸ソーダ水溶液0.7リットルと温水145リットルを仕込み、これを58℃に加温し充分に撹拌を行った。次いで珪酸ソーダ水溶液73リットルと濃度49%の硫酸5.6リットルとを撹拌を行いながら200分間にわたり同時に添加して中和反応を行った。その後、さらに硫酸を添加して含水珪酸スラリーのpHを3.5にして全反応を終了した。
【0065】
このようにしてできたシリカスラリーをフィルタープレスでろ過、水洗を行いシリカケークを得た。このシリカケークを再度水に懸濁し、該懸濁液のpHが4.0以下になるまで硫酸を加えた後、炭酸アンモニウム水溶液を加えてpHを7.0以上にした後、ヌッチェを用いてろ過、水洗を行った。水洗後は静置乾燥を行い乾燥後は平均粒子径が6.0μmになるようにバンタムミル(ホソカワミクロン(株)社製)で粉砕し、スペディック風力分級機((株)セイシン企業社製)で分級を行い沈降法シリカを得た。
【0066】
比較例1
実施例1で得られたのと同じシリカヒドロゲルを水熱処理後、電気伝導度が130μS/cmの水(水道水)を用いて実施例1と同一時間の水洗を行った。水洗後は過熱蒸気を用いたジェットミルにより平均粒子径6.0μmになるように粉砕および最終乾燥を行ってゲル法シリカを得た。
【0067】
比較例2
実施例2で得られたのと同じシリカヒドロゲルを水熱処理後、電気伝導度が130μS/cmの水(水道水)を用いて実施例2と同一時間の水洗を行った。水洗後は過熱蒸気を用いたジェットミルにより平均粒子径6.0μmになるように粉砕および最終乾燥を行ってゲル法シリカを得た。
【0068】
比較例3
実施例4で得られたシリカケークをそのまま静置乾燥を行い乾燥後は平均粒子径が6.0μmになるように粉砕、分級を行い沈降法シリカを得た。
【0069】
比較例4
市販の非晶質シリカ(沈降法)として、ニップシールLP(日本シリカ工業(株)社製)を用いた。
【0070】
比較例5
市販の非晶質シリカ(ゲル法)として、SYLOID ED−5(GRACEDAVISON社製)を用いた。
【0071】
【表1】
【0072】
【発明の効果】
以上の説明より分かるように、本発明の非晶質シリカは、インクジェット記録シートの塗工層に使用される塗工液を製造する際の分散液を高濃度配合しても安定した粘度が得られるため、結果として塗工液の高濃度配合が可能でしかも安定した粘度が得られるという効果がある。
【0073】
また、上記の塗工作業性に優れていながら、印字濃度が高く、鮮明な画像を形成することが出来るという効果が得られる。
Claims (2)
- BET比表面積が270m 2 /g以上320m 2 /g未満であり、かつ4%水懸濁液のろ液の電気伝導度が50μS/cm未満であり、かつコールターカウンター法による平均粒子径が1.0μm以上12.0μm未満であり、吸油量が200〜350ml/100gにあることを特徴とするインクジェット記録シート用非晶質シリカ。
- 湿式製造法により得たシリカスラリー又はシリカヒドロゲルを電気伝導度10〜100μS/cmの水で水洗することにより、4%水懸濁液のろ液の電気伝導度が50μS/cm未満にすることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録シート用非晶質シリカの製造方法。
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