JP4194118B2 - レーザ走査顕微鏡の点光源および波長の異なる少なくとも2つのレーザをレーザ走査顕微鏡に入射結合する方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、レーザ走査顕微鏡の点光源に関し、この場合、波長の異なる少なくとも2つのレーザを走査顕微鏡に入射結合できる。本発明は、更に、波長の異なる少なくとも2つのレーザをレーザ走査顕微鏡に入射結合する方法に関する。
【0002】
【背情景技術】
ここで取上げる種類の光源は、レーザ走査顕微鏡、特に、共焦点顕微鏡に必要である。この場合、特に、多色使用の枠内において、波長の異なるレーザ光を顕微鏡に入射結合することが問題となる。この入射結合は、特にレーザの整合性を考慮して且つ整合の安定性を考慮して行わなければならない。
【0003】
レーザ走査顕微鏡において、実際から、2種の多色使用方式が知られている。第1の方式の枠内において、複数の共通の波長を有するレーザ(ArKr)を使用する。この場合、すべてのレーザ線が−それ自体−相互に整合されているということが、系に固有のことである。この場合、波長選択および出力調節は、AOTF(Acousto OpticalTunable Filter音響光学的チューナブルフィルタ)によって達成される。従って、各レーザ線の出力は、他のレーザ線とは無関係に、極めて低い出力にも連続的に調節できる。入射結合は、それぞれ、シングル・モード・ファイバによって行う。上述の入射結合方式の利点は、コンパクトなスキャナ、絶対的な整合安定性およびレーザ冷却に起因の振動の遮断にある。
【0004】
しかしながら、上述の利点には、著しい問題点も伴う。ArKrレーザは、−既述の如く−同時に複数のレーザ線を含む。上記レーザ線は、共振器において生成されるので、上記共振器が、常に、各レーザ線の不安定さを誘起する。なぜならば、レーザにおいて、調節によって一定に保持されるのは総出力のみに過ぎないからである。この際に現れる雑音は、総出力の調節に応じて、“Peak to Peak(ピークピーク値)”の最大10%に達し、かくして、信号/雑音比(S/N)に関する像品質を低下する。これに反して、単一線レーザの雑音は、正に1%に過ぎない。
【0005】
更に、−唯一つの−レーザが作動不能になった場合、系は、完全に機能不能となる。利用可能なレーザ線は、常に、レーザ活性のガスおよび混合ガスに依存する。上記レーザ線は、レーザの寿命にわたって変化するので、すべてのレーザ線は、経時的に劣化する。更に、使用した混合ガスのレーザ線が得られるのに過ぎないので、この場合、常に、選択が制限される。
【0006】
実際から公知の他の系の場合、常に、複数のレーザをレーザ走査顕微鏡に直接に入射結合する。1つのレーザの故障の場合、単に1つのレーザ線が欠落するに過ぎない。他のレーザ線は、このレーザの機能に対応して使用可能に留まる。レーザ出力は、単一線運転にもとづき、高い安定性を有する。単一線レーザは、複数の波長を有するレーザよりも長い寿命を有する。レーザ出力は、各レーザ線について、余計な補助方策を要することなく、実験条件に最適に適合させることができる。
【0007】
上述の如く複数のレーザをレーザ走査顕微鏡に入射(導入・結合)する場合にも、著しい問題点がある。なぜならば、即ち、異なるレーザからなるレーザ光束を正確に同一の方向の同一点にフォーカシングまたは合致させなければならないからである。この場合、1つのレーザ当り4つの自由度が存在する。フォーカシングまたは合致が十分に行われない場合、異なるレーザ線で撮像した映像が一致しない。しかしながら、一致した映像の解析が、正に、ここで取上げる種類の多重(色)励起の目的である。
【0008】
複数の異なるレーザの使用における他の問題点は、従来の光束結合ないし統合装置及び合致装置は頻繁に修正しなければならないということにある。この操作は、極めて複雑である。なぜならば、従来の装置の場合、異なる調整自由度が、相互に十分に独立ではないからである。
【0009】
即ち、角度を変更すると、常に、位置も変わる。従って、多数の調整サイクル後に始めて、調整目的が達成されるので、ユーザ自身は、調整を殆ど実施できない。即ち、機器メーカの特別なサーピス業務が、絶対的に必要である。更に、複数のレーザの組合せは、常に、複数の波長を有する単一レーザよりも高価である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
さて、本発明の課題は、上述の双方の系、即ち、多重線レーザおよび複数の単一レーザの利点を利用し、その欠点を少なくとも十分に排除するレーザ走査顕微鏡用点光源を提供することにある。更なる課題は、この種の点光源の利用法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るレーザ走査顕微鏡用の点光源は、請求項1又は2の特徴にもとづき、上記課題を解決する。請求項1にもとづき、レーザ走査顕微鏡用点光源は、光束統合装置に入射(導入・結合)する少なくとも3つのレーザと、光束統合装置から顕微鏡に間接的または直接的に至る光伝送ファイバとを有し、光束統合装置はモノリシックに構成され、1つのレーザが、直接的に光束統合装置に入射結合し、他の2つ以上のレーザが、それぞれ、光伝送ファイバを介して光束統合装置に入射結合して、そのうちの任意の2つ又は3つのレーザから1つの点光源を形成することができることを特徴とする。
【0012】
この場合、本発明にもとづき、少なくとも3つの独立のレーザ光源の使用、即ち、少なくとも3つの異なったレーザの使用が、上述の利点を齎すということが認められる。この方策に伴う不利な点は、−同じく本発明にもとづき−複数の波長が同時に現れるレーザの場合と同様、−多重線レーザの意味において−複数の波長を有する相互に調整された光束またはレーザ線が得られるよう、レーザ走査顕微鏡への入射結合前に既に光束統合を行うことによって、排除できる。
【0013】
発明の効果
光束統合後、統合されたレーザ線を光伝送ファイバを介して顕微鏡に同時に導き、−複数の波長が同時に現れるレーザの場合と同様−顕微鏡に入射結合させる。従って、光束統合からファイバ内へ至るすべてのレーザ線が、自動的に相互に整合されている。即ち、整合または調節は、もっぱら、コンパクトな構造部材として構成できる光束統合装置において行われる。レーザ走査顕微鏡の入射結合のための特殊な調整は、不要である。即ち、機器メーカ(又は装置の専門家)の光束調整サービスを受けることなく、ユーザが自ら必要なレーザを必要な数だけ光束統合してレーザ走査顕微鏡用の点光源として使用することができる。
【0014】
【発明を実施するための最良の形態】
特に有利な態様で、構造的または装置的経費を最少とするため、特に、利用可能なスペースを最適に活用するため、レーザの1つを光束統合装置に直接に入射結合させる。換言すれば、上記レーザは、光束統合装置に直接的に配してある。他の少なくとも1つのレーザは、光伝送ファイバを介して光束統合装置に入射結合させる。この場合、シングル・モード・ファイバが対象となる。光束統合装置に直接に入射結合されるレーザ以外に、具体的に且つ特に有利な態様で、さらに2つまたは3つのレーザを、それぞれ、別個の光伝送ファイバを介して光束統合装置に入射結合させることができる。この場合、異なる波長を有するレーザ線を任意に入射結合でき、かくして、多色使用が可能となる。
【0015】
光束統合装置(の各単位統合(2つの光線の統合)手段)は、先行技術から公知の従来の構造部材または対応する装置であってよい。即ち、光束統合装置は、透過/反射特性の異なるハーフミラー(分割ミラー)を有する二色光束統合装置として構成できる。いずれの場合にも、すべての任意の光束統合装置を使用できる。この場合、安定性、精度、製造の簡単さおよび僅かな所要スペースにもとづき、モノリシック装置が好ましい。幾何学的に類似であるが物理的には異なる態様で“トリミング”された光束統合装置に対して光束統合装置の互換性を実現できる。
【0016】
光束統合装置は、特に有利な態様で、ハウジング内に設置される。光束統合装置に直接に入射結合するレーザは、場合によっては、特殊なアダプタヘッドを介してハウジングに固定するか、ハウジングに直接に結合されアダプタヘッドを介して光束統合装置に入射結合する。しかしながら、他のレーザは、それぞれ、光伝送ファイバを介してハウジングに入射結合し、かくして、ハウジングに設けた光束統合装置およびその光路に入射結合する。
【0017】
ハウジングは、金属から製造するのが好ましい。ハウジングを射出成形技術で製造できる場合は、合成樹脂から製造すれば特に有利である。
【0018】
線出力の選択および個別調節のため、光束統合装置には、特に有利な態様で、AOTF(Acousto Optical Tunable Filter音響光学的チューナブルフィルタ)が後置されている。このAOTFは、コンパクトなモジュールを得るため、同じくハウジング内に設置する。AOTFによって、とりわけ、何らかの入射結合ロスも補償できる。
【0019】
光束統合装置には、更に、光変調および迅速な遮光に役立つAOM(Acousto Optical Modulator音響光学的モジュレータ)を後置できる。この場合も、ハウジング内の設置を提案する。なぜならば、かくして、全体としてコンパクトなモジュールを実現できるからである。
【0020】
更に、光束統合装置から顕微鏡に至る光伝送ファイバ、即ち、ファイバカプラをシングル・モード・ファイバとして構成すれば、請求の点光源に関して、特に有利である。かくして、単にファイバへの入射結合ロスが僅かであることによって、不整合が減少される。既述の如く、この僅かな入射結合ロスおよびこれに起因する線出力条件の変化は、AOTFの使用によって補償される。
【0021】
レーザ走査顕微鏡に波長の異なる少なくとも2つのレーザを入射結合する本発明に係る方法は、請求項12の特徴にもとづき、冒頭に述べた課題を解決する。請求項12にもとづき、この種の方法は、レーザを組合せて共通の波長を有する唯一つの点光源として顕微鏡に入射結合するか、レーザ線を組合せてを唯一つの点光源として顕微鏡に入射結合することを特徴とする。
【0022】
この場合、顕微鏡への入射結合前に−独立の構造部材において−光束統合を行うのが特に有利である。次いで、好ましくはシングル・モード・ファイバとして構成した光伝送ファイバを介して顕微鏡への入射結合を行う。
【0023】
ここに請求した方法の枠内において、複数レーザの一つを直接的に且つ他の少なくとも1つのレーザを光伝送ファイバを介して、カプセルに受容した構造部材としての光束統合装置に入射結合させることができる。顕微鏡への入射結合前に、AOTF(Acousto Optical Tunable Filter)によって線出力の選択および個別調節を行うことができる。
【0024】
更に、顕微鏡への入射結合前に、AOM(Acousto Optical Modulator)によって、光変調および場合により迅速な遮光が可能である。ハウジング内の点光源または光点モジュールのコンパクトな構成のために、双方いずれの選択も有利である。
【0025】
さて、本発明の教示を有利な態様で構成、改良する各種の方式がある。これに関しては、一方では、請求項1,12に従属する請求項を参照し、他方では、図面を参照した本発明の実施例の以下の説明を参照する。本発明の好ましい実施例の説明と組合せて、教示の概ね好ましい構成および改良を説明する。
【実施例】
【0026】
添付の図面に示したモジュールは、全体として、レーザ走査顕微鏡または共焦点(konfokal)顕微鏡の点光源として定義され、この場合、4つのレーザ1,2,3,4が設けてある。レーザ1,2,3,4は、異なる波長を有する。
【0027】
本発明にもとづき、レーザ1,2,3,4のレーザ光束が入射結合される光束統合装置5が設けてある。後置のAOTF(Acousto Optical Tunable Filter)に対するすべてのレーザ1,2,3,4の“光学的結合”は、もっぱら、光束統合装置5の下部ハーフミラーを介して行われる。共通の光路が、光束統合装置5からAOTF11,AOM(Acousto Optical Modulator)13および光伝送ファイバ6を介して図示のレーザ走査顕微鏡7に至る。
【0028】
特に、図面から明らかな如く、1つのレーザ、即ち、参照記号4で示したレーザは、光束統合装置5に直接に入射結合する。他のレーザ1,2,3は、それぞれ、光伝送ファイバ8を介して光束統合装置に入射結合する。
【0029】
光束統合装置5は、ハウジング9内に設けてある。対応して、光束統合装置5に直接に入射結合されるレーザ4は、ハウジング9に直接に結合されている。この場合、簡略化のために、対応するアダプタヘッドは図示してない。
【0030】
他のレーザ1,2,3は、光伝送ファイバ8およびハウジング壁または対応する接続器10を介してハウジング内部に達し、ハウジング内部で光束統合装置5への入射結合が行われる。
【0031】
既述の如く、添付の図面に示したように、ハウジング9内には、光束統合装置5の後段にAOTF(Acousto Optical Tunable Filter)11が設けてあり、このAOTF11は、線出力の選択および個別調節に役立つ。AOTF11には、更に、光変調および迅速な遮光に役立つAOM(Acousto Optical Modulator)13が後置してある。複数の波長を有するレーザ光束または点光源の意義における複数のレーザ線の入射結合のため、シングル・モード・ファイバとして構成された光伝送ファイバ6が、AOMから対応する接続器12を介してレーザ走査顕微鏡7に至る。
【0032】
本発明に係る方法に関しては、反復を避けるため、詳細な説明の共通部分を参照する。
【0033】
更に、特に指摘するが、上述の実施例は、請求の教示の説明に役立つに過ぎず、この説明は、実施例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】添付の図面は、合計4つのレーザを有する本発明に係る点光源の1実施例の略図である。
【符号の説明】
1 レーザ
2 レーザ
3 レーザ
4 レーザ
5 光束統合装置
6 光伝送ファイバ(光束統合装置からレーザ走査顕微鏡まで)
7 レーザ走査顕微鏡、顕微鏡
8 光伝送ファイバ(レーザから光束統合装置まで)
9 ハウジング
10 接続器(ハウジングへの)
11 AOTF
12 接続器(レーザ走査顕微鏡への)
13 AOM

Claims (12)

  1. レーザ走査顕微鏡(7)の点光源であって、波長の異なる少なくとも2つのレーザ(1、2および3の1つ以上、4)を顕微鏡(7)に入射結合できる形式のものにおいて、
    光束統合装置(5)に入射結合する3つのレーザと、該光束統合装置(5)から顕微鏡(7)に直接的または間接的に至る光伝送ファイバ(6)とを有し、
    該光束統合装置はモノリシックに構成され、
    1つのレーザ(4)が、直接的に該光束統合装置(5)に入射結合し、他の2つのレーザ(1、2および3のいずれか2つ)が、それぞれ、光伝送ファイバ(8)を介して該光束統合装置に入射結合して、そのうちの任意の2つ又は3つのレーザから1つの点光源を形成することができることを特徴とするレーザ走査顕微鏡用点光源。
  2. レーザ走査顕微鏡(7)の点光源であって、波長の異なる少なくとも2つのレーザ(1、2および3の1つ以上、4)を顕微鏡(7)に入射結合できる形式のものにおいて、
    光束統合装置(5)に入射結合する4つのレーザと、該光束統合装置(5)から顕微鏡(7)に直接的または間接的に至る光伝送ファイバ(6)とを有し、
    該光束統合装置はモノリシックに構成され、
    1つのレーザ(4)が、直接的に該光束統合装置(5)に入射結合し、他の3つのレーザ(1,2,3)が、それぞれ、光伝送ファイバ(8)を介して該光束統合装置に入射結合して、そのうちの任意の2つ、3つ又は4つのレーザから1つの点光源を形成することができることを特徴とするレーザ走査顕微鏡用点光源。
  3. 該光束統合装置(5)が、二色光束統合装置として構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザ走査顕微鏡用点光源。
  4. 該光束統合装置(5)が、ハウジング(9)に設けてあり、該光束統合装置(5)に直接に入射結合するレーザ(4)が、アダプタヘッドを介して又は介することなくハウジング(9)に固定されていることを特徴とする請求項1〜3の1つに記載のレーザ走査顕微鏡用点光源。
  5. ハウジング(9)が金属からなることを特徴とする請求項4に記載のレーザ走査顕微鏡用点光源。
  6. ハウジング(9)が合成樹脂からなることを特徴とする請求項4に記載のレーザ走査顕微鏡用点光源。
  7. 該光束統合装置(5)には、線出力の選択および個別調節のためのAOTF(Acousto Optical Tunable Filter)(11)が後置されていることを特徴とする請求項4〜6の1つに記載のレーザ走査顕微鏡用点光源。
  8. 該光束統合装置(5)には、光変調および迅速な遮光に役立つAOM(Acousto Optical Modulator)(13)が後置されていることを特徴とする請求項4〜7の1つに記載のレーザ走査顕微鏡用点光源。
  9. 該光束統合装置(5)から顕微鏡(7)に至る光伝送ファイバ(6)が、シングル・モード・ファイバとして構成されていることを特徴とする請求項1〜8の1つに記載のレーザ走査顕微鏡用点光源。
  10. 波長の異なる少なくとも2つのレーザをレーザ走査顕微鏡(7)に入射結合する方法であって、
    カプセルに受容した構造部材において、1つのレーザ(4)を直接的に且つ他の少なくとも2つ以上のレーザ(1、2および3の2つ以上)を光伝送ファイバ(8)を介してモノリシックに構成された光束統合装置を用いて入射結合させ、そのうちの任意の2つ以上のレーザを用いて唯一つの点光源とし、
    次いで、シングル・モード・ファイバとして構成された光伝送ファイバ(6)を介して顕微鏡(7)への入射結合を行うことを特徴とするレーザ走査顕微鏡へのレーザ入射結合方法。
  11. 顕微鏡(7)への入射結合前に、AOTF(Acousto Optical Tunable Filter)(11)によって線出力の選択および個別調節を行うことを特徴とする請求項10に記載のレーザ走査顕微鏡へのレーザ入射結合方法。
  12. 顕微鏡(7)への入射結合前に、AOM(Acousto Optical Modulator)によって、光変調および場合による迅速な遮光が可能であることを特徴とする請求項10又は11に記載のレーザ走査顕微鏡へのレーザ入射結合方法。
JP53665097A 1996-04-16 1997-04-16 レーザ走査顕微鏡の点光源および波長の異なる少なくとも2つのレーザをレーザ走査顕微鏡に入射結合する方法 Expired - Lifetime JP4194118B2 (ja)

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