JP4182181B2 - 自動追尾式測量装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動追尾式測量装置に関し、特に、シールド掘進機やトンネルボーリングマシンなどのトンネル掘進機に用いられる測量装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
シールド掘進機やトンネルボーリングマシンを用いるトンネル工事においては、近時、高精度,高能率化が促進されており、このような要請に応えるためには、トンネル掘進機の位置,姿勢を正確に把握する必要がある。
【0003】
そこで、従来は、このような要請に応えるために、図4に示すような自動追尾式測量装置を設置していた。同図に示した自動追尾式測量装置は、シールド掘進機1に適用した場合であって、自動追尾式の測量機器(トータルステーション)2は、シールド掘進機1の後方において、順次環状に組立設置されるセグメント3に設置されている。
【0004】
シールド掘進機1には、測量機器2により視準されるプリズムないしは反射ターゲット4が配置されている。測量機器2の設置位置の機械座標値は、後方に設置されるダボと呼ばれる複数の座標原点から求められる。
【0005】
シールド掘進機1の座標値は、測量機器2の機械座標値と、ターゲット4までの距離と角度とを測量機器2で視準して測定することによりリアルタイムで検出し、この座標値に基づいてシールド掘進機1の姿勢制御などが行われ、測量機器2の制御は、常にターゲット4を視準するように制御される。
【0006】
しかしながら、このように構成された従来の自動追尾式測量装置には、以下に説明する技術的な課題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、図4に示した測量装置では、測量機器2とシールド掘進機1に設置したターゲット4との間には、実際の施工では、後方台車などの各種設備が存在し、測量機器2で視準可能な空間に制限があり、シールド掘進機1の位置を測定するのに適した個所にターゲット4を設置することが難しい。
【0008】
また、測量機器2の有効視準距離は、直線距離で100m程度であり、この有効視準距離外になると、重量のある測量機器2の面倒な盛替え作業を行うことになる。
【0009】
この場合、特に、急角度の曲線部の施工では、短時間に有効視準距離外となり、自動測量が不能になって、盛替え作業を頻繁に行う必要があって、より一層面倒な作業を伴う。
【0010】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、測量機器での視準可能な空間の自由度が増し、しかも、盛替え作業が不要になる自動追尾式測量装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、トンネル掘進機の後方に位置する台車の前部側に搭載され、測点間の挟角の測定と測点までの距離の測定とが可能な自動視準型の測量機器と、前記トンネル掘進機で掘削された掘削面に順次環状に組立設置されるセグメントに個別に設置される複数のターゲットを備え、座標値が既知の3個の前記ターゲットから、前記測量機器の設置位置の機械原点を決定した後に、新たなターゲットを視準して、前記測量機器から当該ターゲットまで距離測定を行い、得られた測距値と座標値が既知の前記3個のターゲットとに基づいて、当該ターゲットの座標値を求め、前記トンネル掘進機の停止中に、前記新たなターゲットを含む3個のターゲット間の挟角を測定して当該3個のターゲットの既知座標と測定された挟角とにより、前記測量機器の移動後の機械座標値を順次求める自動追尾式測量装置であって、前記ターゲット以外に、環状に組立設置された同一セグメントの端面内周の同一平面上に設置され、前記測量機器での距離の測定と視準方向および前記機械座標値とに基づいて、座標値が求められ、求められた座標値と前記セグメントの既知直径とにより、当該セグメントの中心を求めるための一対のターゲットを設けた。
このように構成した自動追尾式測量装置によれば、自動視準型の測量機器がトンネル掘進機の後方に位置する台車の前部側に搭載されているので、トンネル掘進機側の視準の自由度が増す。
また、測量機器は、3次元の機械座標値が、常時確保される座標値が既知の3ターゲットに基づいて順次求められ、この測量機器がトンネル掘進機の後方に位置する台車に搭載されているので、測量機器を盛替える必要がない。
また、本発明では、環状に組立設置された同一セグメントの端面内周の同一平面上に設置され、測量機器での測距と機械座標値とに基づいて、座標値が求められ、求められた座標値とセグメントの既知直径とにより、当該セグメントの中心を求めるための一対のターゲットを設けているので、特殊な計測機器を用いることなく、セグメントの中心点を求めることができる。
また、本発明では、前記トンネル掘進機本体の内周に設置され、前記測量機器での測距と前記トンネル掘進機の既知直径および長さとにより、前記トンネル掘進機の先端の座標値を求める一対のターゲットを設けることができる。
この構成によれば、ジャイロなどの測定器を用いることなくトンネル掘進機の現在位置と方位,方向とが求められる。
前記ターゲットは、前記セグメントに貼着する反射シートで構成することができる。
この構成によれば、安価な反射シートを使い捨てにすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて詳細に説明する。図1から図3は、本発明にかかる自動追尾式測量装置の一実施例を示している。
【0013】
同図に示した測量装置は、本発明をシールド掘進機10に適用した場合を例示しており、シールド掘進機10は、中空円筒状の本体10aと、本体10aの前端に設けられたカッター10bと、ジャイロ10cとを備え、本体10aの内部には、図示省略の推進ジャッキ,カッター10bの駆動装置やセグメント12の組立て装置などが設置される。
【0014】
シールド掘進機10の後方には、掘進に伴って順次セグメント12が環状に組立て設置される。また、シールド掘進機10の後部側には、環状に組立てられたセグメント12内を走行する後方台車14が設置されている。
【0015】
本実施例の場合には、後方台車14は、シールド掘進機10の掘進に伴って牽引移動され、その前端には、自動視準型の測量機器16が設置されている。なお、この後方台車14は、シールド掘進機10で必ずしも牽引移動させる必要はなく、例えば、自走式のものであってもよい。
【0016】
この測量機器16は、いわゆるトータルステーションと呼ばれる測量機器であって、本実施例の場合には、CCDカメラ16aを有し、3次元方向に移動可能な雲台(図示省略)により支持されている。
【0017】
測量機器16は、坑外に設置される制御装置18からの制御信号を受けて測点に設けられた反射ターゲットを画像処理により自動的に探査することができ、探索された反射ターゲットの方向を視準して、光波ないしはレーザー光線を反射ターゲットに向けて照射し、その反射波を受光することで、測点までの距離の測定と、測点間の挟角の測定を自動的に行うことができる。
【0018】
一方、環状に組立て設置されたリングセグメント12には、測量機器16の視準可能な位置に複数のターゲット200〜20n,20a,20bが設置されている。この実施例では、各反射ターゲット200〜20nは、セグメント12の内面側に貼着された反射シートから構成されている。
【0019】
図1においてセグメント12の後端に設置されたターゲット200は、自動追尾の原点ターゲットとなるものであって、シールド掘進機10の掘進が開始される際、もしくは、複数のリングのセグメント12が設置された状態で、その三次元座標値(x0,y0,z0)が正確に求められて、視準し易さを考慮して、セグメント12の天井側にトンネル軸方向と直交するように配置される。
【0020】
なお、この原点ターゲット200は、必要に応じて盛替えることができる。また、各セグメント12の側面に設置された第1〜第nターゲット201〜20nは、シールド掘進機10の掘進が進行し、これに伴って測量機器16の位置が移動したときに、移動後の測量機器16の設置位置の機械座標値(x0n,y0n,z0n)を求める際に使用するものであって、本実施例の場合には、1つのリングセグメント12に対して1個設けられており、測量機器16で視準できる任意の位置に貼付することができる。
【0021】
さらに、リングセグメント12の前端側に設けられた一対のターゲット20a,20bは、環状に組立て設置されたリングセグメント12の中心位置Oを求めるためのものであって、リングゼグメント12の内周端面にあって、トンネル軸方向と直交する概略同一平面上に設置されている。
【0022】
また、シールド掘進機10の本体10aに設けられた一対のターゲット20c,20dは、シールド掘進機10の先端座標値(xM,yM,xM)を求めるためのものであって、測量機器16で視準可能な位置に、トンネル軸方向と直交する概略同一平面上に配置されている。
【0023】
次に、制御装置18により測量機器16を制御して、自動追尾する手順の一例について説明する。図2には、この制御手順の一例が示されており、手順がスタートすると、まず、ステップs1で初期設定が行われる。
【0024】
この初期設定の内容は、原点および第1,2ターゲット200,201,202の各座標値(x0,y0,z0),(x1,y1,z1),(x2,y2,z2)および測量機器16の設置位置の機械原点の座標値(x00,y00,z00),セグメント12に設置された2つのターゲット20a,20b,シールド掘進機10に設置された2つのターゲット20c,20dの座標値(xc,yc,zc),(xd,yd,zd)を入力する。
【0025】
これらの各座標値は、予め求めておくものであるが、機械原点の座標値(x00,y00,z00)は、座標値が既知の3ターゲット(原点,第1,2ターゲット)200,201,202を測量機器16で視準することによって求めてもよい。
【0026】
また、ターゲット20c,20d,20a,20bの座標値(xc,yc,zc),(xd,yd,zd)は、測量機器16の視準方向の指標を予め定めて、視準の時間を短縮するために入力しているが、測量機器16の画像処理により視準方向を決定できるので、必ずしも初期設定で入力する必要はない。
【0027】
初期設定が終了すると、ステップs2で、初期設定で与えられた各ターゲット200,201,202,20a,20b,20c,20dの視準方向を算出し、これを記憶させておくことで、以後の視準方向の指標としてターゲット200,201,202,20a,20b,20c,20dの追尾を行う。
【0028】
続くステップs3では、第3ターゲット203の座標値(x3,y3,x3)を計算する。この場合の計算は、測量機器16の設置位置から第3ターゲット203を視準して距離を測距するとともに、座標値が既知の3ターゲット200,201,202の座標値(x0,y0,z0),(x1,y1,z1),(x2,y2,z2)と、機械原点の座標値(x00,y00,z00)とに基づいて行われる。
【0029】
第3ターゲット203の座標値(x3,y3,x3)が計算されると、次の測量の準備のために、測量機器16は、原点ターゲッド200の方向を向かせて、待機する。
【0030】
そして、ステップs4で1リング分の掘削が終了し、シールド掘進機10の掘進が停止されると、ステップs5,6,7で、原点ターゲット,第2,3ターゲット200,202,203の順に計測が行われる。
【0031】
この計測は、各ターゲット200,202,203を視準して、測量機器16からの距離と、ターゲット200,202,203間の挟角が測定される。続くステップs8では、測定結果とターゲット200,202,203の3既知座標値(x0,y0,z0),(x2,y2,z2),(x3,y3,z3)に基づいて、移動後の機械座標値(x01,y01,z01)が計算される。
【0032】
座標値が既知の3点から未知点の座標を求める演算は、例えば、衛星を利用したGPSシステムで移動体の位置を求めることで実用化されていて、未地点からの距離と挟角とを測定することで、未知点の3次元座標値を高精度に求めることができる。
【0033】
ステップs8で求められた移動後の機械座標値(x01,y01,z01)が予測される範囲以上の誤差があったり、あるいは、何らかの原因により求めることができなかった場合には、ステップs5に戻り、同様な手順が繰返される。
【0034】
そして、移動後の機械座標値(x01,y01,z01)が求められると、ステップs9に移行する。ステップs9では、セグメント12に配置された一対のターゲット20a,20bの計測が行われ、移動後の機械座標値(x01,y01,z01)に基づいて、各ターゲット20a,20bの座標値(xa,ya,za),(xb,yb,zb)が求められる。
【0035】
続くステップs10では、セグメント12の中心Oの計算が行われる。この計算は、ステップs9で求めた座標値(xa,ya,za),(xb,yb,zb)が、図3に示すように、リング状のセグメント12の円周上の2点に相当する位置なので、座標値(xa,ya,za),(xb,yb,zb)間の線分の長さを求めると、セグメント12の直径が既知なので、各座標値が得られた2点からの距離が、セグメント12の内周円の半径に一致する点を求めると、その点が中心Oとなる。この場合、掘進機10内の傾斜計で求められるピッチング値からセグメント12の中心Oの補正を行うことができる。
【0036】
このようにしてセグメント12の中心Oを求めることができると、従来行われていた、水準器付の測定棒をセグメント12の内周面に、水平状態に掛け渡し、後方からトランシットで測量することにより中心Oを求める作業が不要になる。
【0037】
セグメント12の中心Oを求めると、その軌跡を順にプロットすることにより、構築したトンネルの中心線が判り、計画したトンネルと構築したトンネルとの一致ないしは不一致を判断することができる。
【0038】
セグメント12の中心Oの計算が終了すると、ステップs11で、シールド掘進機10の本体10aに配置されているターゲット20c,20dの計測が行われる。
【0039】
そして、この測定によって得られた座標値(x,y,z),(x,y,z)と、シールド掘進機本体10aの直径Dと長さL(何れも既知)とに基づいて、図3に示すように、掘進機10の先端座標値(x,y,x)を求め、シールド掘進機10の掘進方向や姿勢制御の演算を行う(ステップs12,13)。
【0040】
以上の処理手順が終了すると、ステップs3に戻り、第4ターゲット204の座標値(x4,y4,x4)を計算し、ステップs5以降の手順が順次繰返される。
【0041】
さて、以上のように構成された自動追尾式測量装置によれば、測量機器16の設置位置の機械原点(x00,y00,z00)を決定した後に、シールド掘進機10の停止中にターゲット200〜20nを視準してその座標値を求めることで、常時、測量機器16での視準可能な座標値が既知のターゲット200〜20nを3以上確保し、確保された座標値が既知の3ターゲット200〜20nに基づいて、移動後の測量機器16の機械座標値(x0n,y0n,z0n)を順次求めるので、牽引移動される台車14側に測量装置16を搭載しても、その座標値を高精度に求めることができる。
【0042】
また、自動視準型の測量機器16がシールド掘進機10に牽引ないしはその後方に位置する台車14の前部側に搭載されているので、シールド掘進機10側の視準の自由度が増し、視準に適した場所にターゲット20c,20dを設置することが可能になる。
【0043】
さらに、測量機器16がシールド掘進機10に牽引ないしはその後方に位置する台車14に搭載されているので、測量機器16を盛替える必要がなく、重い測量機器16の移動,再設置を全く行う必要がない。
【0044】
また、本実施例の場合には、ターゲット20a,20bは、環状に組立設置された同一セグメント12の端面内周に一対設置され、これらのターゲット20a,20bを測量機器16で視準することにより、セグメント12の中心点Oを求めるので、特殊な計測機器を用いることなく、セグメント12の中心点Oを求めることができる。
【0045】
さらに、本実施例の場合には、ターゲットターゲット20c,20dは、トンネル掘進機本体10aの内周に一対設置され、これらのターゲット20c,20dを測量機器16で視準することにより、トンネル掘進機先端の座標値(xM,yM,xM)を求めることができるので、ジャイロなどの測定器を用いることなくトンネル掘進機10の現在位置と方位,方向とが求められる。
【0046】
また、本実施例の場合には、ターゲット200〜20n,20a,20bは、セグメント12に貼着する反射シートで構成しているので、安価な反射シートを使い捨てにすることができる。
【0047】
なお、上記実施例では、測量機器16の機械座標値を求める場合に、原点ターゲット200を視準する場合を例示したが、本発明の実施は、これに限定されることはなく、例えば、セグメント12の側面に設けられたターゲット201〜20nにおいて、測量機器16で視準可能な3点以上の既知座標値が確保されれば、必ずしも原点ターゲット200を用いる必要はない。
【0048】
また、本発明の実施は、シールド掘進機10の自動追尾だけでなく、例えば、セグメントを使用するトンネルボーリングマシンの自動追尾にも適用することができる。
【0049】
【発明の効果】
以上、実施例で詳細に説明したように、本発明にかかる自動追尾式測量装置によれば、測量機器での視準可能な空間の自由度が増し、しかも、盛替え作業が不要になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる自動追尾式測量装置の一実施例を示す全体構成説明図である。
【図2】 図1の測量装置の制御手順の一例を示フローチャート図である。
【図3】 図1の測量装置でシールド掘進機の先端位置座標を求める場合の説明図である。
【図4】 従来の自動追尾式測量装置の一例を示す説明図である。

Claims (3)

  1. トンネル掘進機の後方に位置する台車の前部側に搭載され、測点間の挟角の測定と測点までの距離の測定とが可能な自動視準型の測量機器と、
    前記トンネル掘進機で掘削された掘削面に順次環状に組立設置されるセグメントに個別に設置される複数のターゲットを備え、
    座標値が既知の3個の前記ターゲットから、前記測量機器の設置位置の機械原点を決定した後に、新たなターゲットを視準して、前記測量機器から当該ターゲットまで距離測定を行い、得られた測距値と座標値が既知の前記3個のターゲットとに基づいて、当該ターゲットの座標値を求め、
    前記トンネル掘進機の停止中に、前記新たなターゲットを含む3個のターゲット間の挟角を測定して当該3個のターゲットの既知座標と測定された挟角とにより、前記測量機器の移動後の機械座標値を順次求める自動追尾式測量装置であって、
    前記ターゲット以外に、環状に組立設置された同一セグメントの端面内周の同一平面上に設置され、前記測量機器での距離の測定と視準方向および前記機械座標値とに基づいて、座標値が求められ、求められた座標値と前記セグメントの既知直径とにより、当該セグメントの中心を求めるための一対のターゲットを設けたことを特徴とする自動追尾式測量装置。
  2. 前記トンネル掘進機本体の内周に設置され、前記測量機器での測距と前記トンネル掘進機の既知直径および長さとにより、前記トンネル掘進機の先端の座標値を求める一対のターゲットを設けたことを特徴とする請求項1記載の自動追尾式測量装置。
  3. 前記ターゲットは、前記セグメントに貼着する反射シートからなることを特徴とする請求項1または2記載の自動追尾式測量装置。
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