JP4163445B2 - 洗濯乾燥機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、洗濯槽内に温風を送り、パルセータと洗濯槽を回転させることにより洗濯物を乾かす洗濯乾燥機に関するもので、特に、乾燥時間の短縮と、仕上がり向上に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
洗濯乾燥機は、洗い運転においては、水道水(洗い水)を給水後に、撹拌翼を正逆回転させ、洗濯物に機械力を作用させる洗い運転を実行し、その後、水道水(濯ぎ水)を給水するとともに洗濯物に同様に機械力を作用させる濯ぎ運転を実行し、その後、洗濯兼脱水槽を回転させることにより洗濯物に含まれる濯ぎ水を遠心脱水する脱水運転を実行し、更にその後に、洗濯兼脱水槽に温風を供給して洗濯物を乾燥させる乾燥運転を実行する構成である。
【0003】
このような一連の運転を実行する洗濯乾燥機として、特開平11−347281号公報や、特開平11−377282号公報や、特開平11−347296号公報等がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
撹拌翼を備えた洗濯乾燥機では、乾燥運転において乾燥時間が長く、洗濯物にしわがつきやすい。
【0005】
本発明の目的は、洗濯乾燥時間を短縮でき、洗濯物のしわが少ない仕上がりを実現でき、洗濯物の帯電を防止できる洗濯乾燥機を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
外槽内に設置した洗濯兼脱水槽と、該洗濯兼脱水槽の底部に設置した撹拌翼と、前記洗濯兼脱水槽及び撹拌翼を回転駆動する駆動装置と、前記洗濯兼脱水槽内に温風を供給する温風供給手段と、前記外槽内の空気を水冷除湿する水冷除湿手段と、給水手段と、前記外槽内の水を排水する排水手段と、洗剤を洗剤溶解水で溶解して供給する手段と、前記外槽内の空気の湿度を検知する湿度検知手段と、制御手段とを備え、
前記洗濯兼脱水槽内の洗濯物に対して、洗い水による洗いと濯ぎ水による濯ぎと遠心脱水と温風乾燥に至る各工程を順次実行する洗濯乾燥機において、
前記制御手段は、
洗剤を洗剤溶解水で溶解して洗い工程における洗い水の洗剤濃度よりも高濃度の高濃度洗剤液を生成する高濃度洗剤液生成工程と、前記高濃度洗剤液を希釈しながら洗濯物に散布して浸透させる浸透工程と、浸透工程後に洗いに必要な量の水を供給して生成した洗い水中で洗濯兼脱水槽と撹拌翼を逆方向に回転駆動し洗濯物に機械力を作用させる洗い工程と、濯ぎ及び脱水する各工程と、洗濯兼脱水槽内に温風を供給して脱水済みの洗濯物を乾燥する乾燥工程とを実行制御すると共に、
設定されている運転モードを確認し、洗濯乾燥運転が設定されている場合は、洗濯運転が設定されている場合より前記脱水工程の運転時間を短くし、前記乾燥工程では、最初に前記洗濯兼脱水槽を高速で回転駆動すると共にその途中から前記水冷除湿手段を作動させる第1の乾燥運転制御を行い、次いで、前記第1の乾燥運転より低速で前記洗濯兼脱水槽を回転駆動する第2の乾燥運転制御を行い、次いで、前記湿度検知手段により検出される循環空気の湿度に基づいて求めた乾燥度により開始時期が制御されて、前記撹拌翼を連続して正、逆回転駆動する第3の乾燥運転制御を順次に行うことを特徴とする。
【0008】
さらに、前記外槽内の水を排水する排水手段を設け、前記第3の乾燥運転の後に前記排水手段を閉じ、前記外槽内に前記洗濯兼脱水槽に触れない量の水を溜め水蒸気を発生し、次に前記洗濯兼脱水槽を高速回転させ、前記洗濯兼脱水槽で前記外槽に溜めた水の一部を粉砕しマイナスイオンを生成することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態である洗濯乾燥機を縦断面して示す模式図である。
【0010】
1は、外郭を構成する四角筒状の外枠である。外枠1は、クロムフリープレコート鋼板製である。従来のプレコート鋼板には、耐食性付与のために化成処理層及び下塗り塗膜層にクロメートとクロム系防錆顔料がそれぞれ使用されている。これらのクロム化合物は、環境上有害であり洗濯乾燥機を廃棄粉砕処理した場合に、環境中への拡散を危惧する声があった。このため、クロム化合物を含有しないクロムフリープレコート鋼板を使用することで、環境への負荷を低減できる効果がある。
【0011】
2は、洗濯兼脱水槽であり、その周壁に通水および通風のための小穴2aを有し、その上縁部に流体バランサー3を備え、底部の内側には回転自在に撹拌翼4を設置する。撹拌翼4は、通水および通風のための小穴4aを有する。5は、前記洗濯兼脱水槽2を内包し洗濯水およびすすぎ水を溜める外槽であり、底部の外側には駆動装置6を鋼板製の取り付けベース7によって取り付け、外枠1の上端部の四隅部に係止した4本の防振支持装置8によって外槽5を四方から均等に吊り下げることにより該外枠1の中心部に懸垂するように支持する。
【0012】
前記撹拌翼4は、洗濯兼脱水槽2の底部の大部分を覆う大径(外径寸法が洗濯兼脱水槽の内径寸法の90%以上)で周縁部を迫り上げるように上向きにわん曲させて皿状形態に形成し、洗濯物38を受け支える状態で回転するように構成する。
【0013】
駆動装置6は、駆動電動機と電動操作クラッチ機構と遊星歯車減速機構を内蔵し、洗濯兼脱水槽2を静止させた状態で撹拌翼4を回転させ(撹拌モード)、洗濯兼脱水槽2と撹拌翼4をそれぞれ反対方向に回転させ(洗濯モード)、洗濯兼脱水槽2と撹拌翼4を一体的に同一方向に回転(脱水・乾燥モード)させるような選択的な駆動機能を有する。
【0014】
外側衣類投入口9aを形成したトップカバー9は、外枠1の上部開口を覆うように該開口端縁に嵌め込み、フロントパネル10およびバックパネル11と共に取り付けねじによって外枠1に取り付けられる。図2は、バックパネル2を取り外したトップカバーの平面図である。
【0015】
トップカバー9とフロントパネル10の間に形成される前部収納部であるフロントパネルボックス12には、電源スイッチ13と入力スイッチ群14aおよび表示素子群14bを備えた操作パネル14と、外槽5内の水位に応じた水位信号を発生する水位センサ15と、コントロールユニット16を内蔵する。これらは、制御装置を構成する。
【0016】
図8は、操作パネル14の詳細である。操作パネルの中央手前には、使用頻度が高い入力スイッチである運転選択スイッチ14a1、14a2、14a3が設けてあり、その上部には、選択した運転コースの内容を表示する表示素子14b1〜14b10が設けてある。
【0017】
14a1は乾燥選択スイッチ、14a2は洗濯乾燥(洗濯から乾燥までを連続して行う)選択スイッチ、14a3は洗濯選択スイッチである。例えば、洗濯選択スイッチ14a3を押すと表示素子14b1が点灯し洗濯標準コースが選択できる。再度スイッチ14a3を押すと表示素子14b2が点灯し洗濯念入りコースが選択できる。スイッチ14a3を押す毎に洗濯コースの変更が行えるようになっている。同様に洗濯乾燥選択スイッチ14a2を押すと表示素子14b1が点灯し洗濯乾燥標準コースが選択でき、洗濯乾燥洗濯スイッチ14a2を押す毎に洗濯乾燥コースが変化する。なお、各運転洗濯スイッチに対して、選択できないコース表示素子14bは点灯せず、飛ばすようになっていることはもちろんである(例えば、洗濯乾燥選択スイッチ14a2を押した場合に、ソフトコース表示素子14b7とドライコース表示素子14b8、仕上げコース表示素子14b9は点灯しない)。
【0018】
このように、3つの運転選択スイッチに対して、表示素子14b1〜14b10を兼用していて、各運転選択スイッチに共通のコース(例えば標準コース)の表示素子を1つにすることができる。従って、操作パネル14の簡素化、小型化、低コスト化を実現できるとともに、使い勝手も向上する。
【0019】
トップカバー9とバックパネル11の間に形成される後部収納部であるバックパネルボックス17には、後述する洗濯水給水手段と高濃度洗剤液生成・供給手段を横並びにして内蔵する。
【0020】
洗濯水給水手段は、入水側を水栓接続口18に接続し、出水側を注水口19に接続した主給水電磁弁20によって構成する。さらに、入水側をホース接続口82に接続し、出水側を注水口19に接続した風呂水ポンプ81によって構成される給水手段を設けてもよい。
【0021】
高濃度洗剤液生成・供給手段は、補助給水電磁弁22から洗剤溶解容器21に洗剤溶解水を供給し、この洗剤溶解容器21内に投入されている粉末合成洗剤を撹拌しながら前記洗剤溶解水で溶解して高濃度洗剤液を生成し、更なる給水により希釈しながら洗剤溶解容器21から溢水させて前記注水口19に供給するように構成する。洗剤溶解容器21には仕上げ剤投入室21dが付設されており、補助給水電磁弁22aから給水することによって、この仕上げ剤投入室21d内に投入されている柔軟仕上げ剤を仕上げ剤投入室21dから溢水させて前記注水口19に供給するように構成する。
【0022】
注水口19は、トップカバー9の底と外槽5の外槽上カバー28の後部を貫通して洗濯兼脱水槽2の上部開口内に向けて開口する。この注水口19は、洗剤溶解容器21と外槽上カバー28との間に接続した可撓管19a(図3参照)により構成する。
【0023】
温風循環乾燥手段は、外槽5の下部の側壁に形成した吸い出し口5aから該外槽5の後側の外壁面に沿って垂直状態で上向きに伸びるように形成して前記吸い出し口5aから侵入した洗濯水を堰き止める除湿風路部である水冷除湿ダクト23と、この水冷除湿ダクト23内の上部に位置して該ダクト内に冷却水を供給する水冷除湿手段である冷却散水部24と、洗濯工程における外槽5の水位よりも高い位置で折り返して該外槽5の外壁面に沿って該外槽5の下側に向かって垂直に伸びる下降風路部である下降風路ダクト25と、外槽5の下側の空間に配置されて前記下降風路ダクト25から吸い込み口に空気を吸い込んで循環空気を生成する循環ファン26と、この循環ファン26の吹き出し口から外槽5の外壁面に沿って上方向に垂直状態に伸びる上昇風路部である上昇風路ダクト27と、外槽5の上端部に取り付けた外槽上カバー28上に設置されて前記上昇風路ダクト27から送り込まれる循環空気を加熱する加熱手段であるヒータ(PTCヒータ)29を内蔵し、加熱した循環空気を洗濯兼脱水槽2内に向けて吹き込む吹き込み口30を備える。冷却水散水部24は、散水弁24aに接続する。
【0024】
循環風路を構成する前記水冷除湿ダクト23、下降風路ダクト25および上昇風路ダクト27は、外槽5の後側の外壁面に該外槽5の周方向に並べてその一部を該外槽5と一体成形して実装し、これらの外側を覆う裏側蓋1aは、外側に膨出する形状に構成してねじ止めする。
【0025】
また、下降風路ダクト25内には湿度検地手段である湿度センサ40と第1温度センサ41を設置し、吹き込み口30のヒータ29の下流側の間の風路内には第2温度センサ42を設置する。水冷除湿ダクト23内で水冷除湿された循環空気の湿度と温度を精度良く検出するためには、水冷除湿された循環空気が良く混合されて均一になった後に前記湿度センサ40と第1温度センサ41に触れさせるのが良く、従って、湿度センサ40と第1温度センサ4は、水冷除湿ダクト23から遠く離れた下降風路ダクト25の下部または循環ファン26の吸い込み口ケーシング26cに設置する。更に、湿度センサ40と第1温度センサ41は、保守作業に便利なように、裏側蓋1aを外したときに露出するような設置位置とする。
【0026】
また、ここでは図示説明を省略するが、水冷除湿ダクト23から下降風路ダクト25への折り返し部分には、後述する糸屑捕集手段を備える。
【0027】
トップカバー9に形成した外側衣類投入口9aは、2つ折り(山折り)に開くようにヒンジ31aによってトップカバー9に取り付けた外蓋31によって開閉自在に覆い、外槽5の上端に取り付けた外槽上カバー28に形成した内側衣類投入口28aは、ヒンジ32aによって外槽上カバー28に取り付けた内蓋32によって開閉自在に覆うように構成する。
【0028】
外槽5の底に形成した排水口5bは、排水電磁弁33を介して排水ホース34に接続する。エアートラップ5cは、エアーチューブ35を介して前記水位センサ15に接続する。外枠1の下端縁には、四隅に脚36を取り付けた合成樹脂で成形されたベース37を装着する。
【0029】
なお、参照符号38は、洗濯兼脱水槽2内に投入された洗濯物である。
【0030】
図3、図4は、前述した洗濯乾燥機の具体的な構成を示すもので、図3は洗濯乾燥機の縦断面図、図4はトップカバーを外して外槽と循環風ロブを示す洗濯乾燥機の上面図である。図1の説明と重複する説明は一部省略する。
【0031】
回転駆動装置6は、可逆型の駆動電動機61と電動操作クラッチ機構62と太陽歯車減速機構63と撹拌翼4が結合される中心出力軸64と洗濯兼脱水槽2が結合される外側出力軸65を備える。
【0032】
電動操作クラッチ機構62は、電動操作機62aによって操作レバー62bを操作することによって、撹拌モードと洗濯モードと脱水・乾燥モードに選択的に設定する。
【0033】
太陽歯車減速機構63は、駆動電動機61に直結した太陽歯車と外側出力軸65に直結した内歯車と遊星歯車を支持して中心出力軸64に直結するキャリアを備える。そして、電動操作クラッチ機構62を撹拌モードに制御することによって、太陽歯車減速機構63の内歯車(外側出力軸65と洗濯兼脱水槽2に連結)を静止させた状態で駆動電動機61の回転力を太陽歯車と遊星歯車とキャリアを介して減速して中心出力軸64に伝達して撹拌翼4を正逆回転させ、電動操作クラッチ機構62を洗濯モードに制御することによって、太陽歯車減速機構63の内歯車(外側出力軸65と洗濯兼脱水槽2に連結)を回転自由状態にして駆動電動機61の回転力を太陽歯車と遊星歯車とキャリアを介して減速して中心出力軸64に伝達することにより撹拌翼4を正逆回転させると共に内歯車に作用する反力を外側出力軸65に伝達して洗濯兼脱水槽2を撹拌翼4と反対の方向に回転させ、電動操作クラッチ機構62を脱水・乾燥モードに制御することによって、太陽歯車減速機構63の太陽歯車と内歯車を駆動電動機61に直結して該駆動電動機61の回転力を中心出力軸64と外側出力軸65を介して洗濯兼脱水槽2と撹拌翼4に伝達してこれらを一体的に回転させる構成である。
【0034】
循環風路における水冷除湿ダクト23の垂直部分は、円筒状の外槽5の最後部位、すなわち、外枠1の裏側蓋1aに最も近い部位に位置するように外槽2に沿わせて、外槽2の側壁の吸い出し口5aの周縁から連続させて側壁と一体的に成形により形成する。
【0035】
下降風路ダクト25の垂直部分は、前記水冷除湿ダクト23の横隣に外槽5の側壁に一体成形により形成する。上昇風路ダクト27の垂直部分は、水冷除湿ダクト23の反対側の横隣に外槽5の側壁に一体成形により形成する。
【0036】
水冷除湿ダクト23の垂直部分と下降風路ダクト25の上端部を連通させる上部折り返し部材44は、外槽5の上端に取り付けた外槽上カバー28の上面の後部に張り出させ、糸屑捕集手段を構成する糸屑フィルタ45を内蓋32の上側から挿脱可能に収納する。
【0037】
また、上昇風路ダクト27の垂直部分の上端部に連通させた吹き込み口30は、前記外槽上カバー28の上面の後部に張り出させ、ヒータ29を内蔵し、加熱した循環空気を洗濯兼脱水槽2内に吹き込むように外槽上カバー28を貫通させて、洗濯兼脱水槽2の開口に臨んで開口させる。ヒータ29は、PTCヒータである。
【0038】
循環ファン26は、遠心羽根車26aと該遠心羽根車26aを回転させる電動機26bと遠心羽根車26aを包囲する吸い込み口ケーシング26cと吹き出し口ケーシング26dを備え、外槽5の底部の下側に取り付ける。吸い込みケーシング26cは、下降風路ダクト25の下端部に連結する。吐き出し口ケーシング26dは、上昇風路ダクト27の下端部に連結する。
【0039】
温風循環乾燥手段は、洗濯後に外槽5内の洗濯水を排水し、洗濯兼脱水槽2を高速回転させて脱水した後に高速回転させながら、あるいは、低速回転させながら、または、撹拌翼4を生逆反転させながら循環ファン26を運転することによって、外槽5および洗濯兼脱水槽2内の湿潤空気を吸い出し口5aから吸い出し、水冷除湿ダクト23内を上昇させる過程において冷却散水部24から該水冷除湿ダクト23内に供給される冷却水によって冷却して除湿する。その後、冷却除湿した空気を下降風路ダクト25を下降させて循環ファン26に吸い込み、この循環ファン26から上昇風路ダクト27とヒータ29を通して吹き込み口30に送り込み、ヒータ29によって加熱して洗濯兼脱水槽2内の中央部に向けて吹き込む。このように洗濯兼脱水槽2に吹き込まれた循環空気は、洗濯兼脱水槽2内の洗濯物に触れて該洗濯物を乾燥する。
【0040】
図5は、この洗濯乾燥機の電気系を示すブロック図である。
【0041】
電源スイッチ13を介して受電するコントロールユニット16は、マイクロコンピュータ16aを中心にして構成し、電源回路16bと、駆動装置6と主給水電磁弁20と補助給水電磁弁22、22aと洗剤撹拌電動機39と風呂水ポンプ81、排水電磁弁33と循環ファン26とヒータ29と冷却散水電磁弁24aへの給電を制御するための半導体交流スイッチング素子(FLS)群を有する駆動回路16cとを備える。
【0042】
前記駆動装置6の駆動電動機61は、固定子巻線61aと回転センサ61bを有し、電動操作クラッチ機構62は、電動操作機62aと動作位置を検出する位置センサ62cを有する。
【0043】
そして、前記駆動回路16cは、駆動装置6における前記駆動電動機61の固定子巻線61aへの給電制御に関しては、正逆回転制御用に2つの半導体交流スイッチング素子(FLS)16c1、16c2を備える。FLS16c1は、正回転給電制御用の半導体スイッチング素子、FLS16c2は逆回転給電制御用の半導体交流スイッチング素子である。この実施の形態において、駆動電動機61の回転速度制御は、固定子巻線61aへの給電をFLS16c1、16c2によって位相制御することによって行うように構成しているが、インバータ駆動のブラシレス電動機を使用する構成においては、PWM制御やPAM制御によって行うように構成する。また、駆動装置6における電動操作クラッチ機構62の電動操作機62aへの給電を制御するためのFLS16c3を備える。
【0044】
また、駆動回路16cは、主給水電磁弁20、補助給水電磁弁22、22a、洗剤撹拌電動機39、風呂水ポンプ81、排水電磁弁33、循環ファン26、ヒータ29、冷却散水電磁弁24a、蒸気散水電磁弁50aへの給電を制御するFLS16c4〜16c13を備える。そして、この駆動回路16cは、マイクロコンピュータ16aからの指示に従ってFLS16c1〜FLS16c13の導通状態を制御して従属する負荷への給電制御を行う。
【0045】
マイクロコンピュータ16aは、更に、前記駆動電動機61の回転センサ61b、電動操作クラッチ機構62の位置センサ62c、外槽5内の洗濯水位を検出する水位センサ15、湿度センサ40、第1、第2温度センサ41、42、アンバランス検出センサ43、外蓋31の開閉を検知する蓋スイッチ47、操作パネル14に接続し、予め組み込まれた制御処理プログラムを実行することにより、操作パネル14の入力スイッチ群14aと水位センサ15と回転センサ61bと位置センサ62cからの信号を取り込み、駆動回路16cを制御することによって、布量検出、高濃度洗剤液生成、プレ給水、高濃度洗剤液供給(浸透)、洗い、濯ぎ、脱水および温風乾燥の各工程を実行し、操作パネル14の表示素子群14bを制御することによってその進行状況を表示する。ここで、アンバランス検出センサ43は、洗濯兼脱水槽2を回転させたときに該洗濯兼脱水槽2内の洗濯物38の分布のアンバランスによって、該洗濯兼脱水槽2(外槽5)が所定値以上に大きく振れるのを検出するセンサである。
【0046】
操作パネル14の入力スイッチ群14aは、洗濯コース(標準、強力、ソフト、ドライ、手造り、ふとんなど)を設定するスイッチ、乾燥コース(標準、ワイシャツ、仕上げ、ドライなど)を設定するスイッチ、洗い時間や脱水時間、水量、すすぎ回数等洗濯条件を設定するスイッチ、洗濯から乾燥までを連続して行う場合の洗濯乾燥コース(標準、ワイシャツ、毛布など)を設定するスイッチ、乾燥のみを行う場合の乾燥コースを設定するスイッチなどを備える。
【0047】
次に、このように構成された洗濯乾燥機の各工程の動作を説明する。図6は、コントロールユニット16内のマイクロコンピュータ16aが実行する各工程のフローチャートである。
【0048】
マイクロコンピュータ16aは、入力スイッチ群14aの洗濯開始ボタンスイッチが投入されると次のような制御処理を実行する。
【0049】
ステップ401
使用者が、外蓋31と内蓋32を開いて洗濯兼脱水槽2に洗濯衣類38を投入し、外蓋31と内蓋32を閉じて操作パネル14の電源スイッチ13を投入し、入力スイッチ群14aを操作して初期設定を行い、洗濯開始ボタンスイッチを押すと、マイクロコンピュータ16aは、各工程の自動運転制御処理をスタートする。
【0050】
前記初期設定では、洗濯物38に合わせた洗濯コース、必要に応じて、洗い時間や脱水時間、水量、すすぎ回数等を設定する。さらに、洗濯の後、乾燥まで行う場合は洗濯乾燥コースを設定する。
【0051】
ステップ402
洗濯物38の布量の検出制御処理を行う。この布量検出は、給水前の乾布状態において、駆動装置6の電動操作クラッチ機構62を撹拌モードに制御し、駆動電動機61を短時間通電して撹拌翼4を回転駆動し、回転増速時の加速特性もしくは、駆動電動機61への通電停止時の惰性回転における減速特性に基づいて検出する。この検出結果(洗濯物38の布量)に基づいて、洗い水量および好ましい洗剤濃度の洗い水を生成するための洗剤量を演算して決定し、この洗剤量を表示素子群14bによって表示するとともに、洗剤投入の催促表示をする。
【0052】
使用者は、外蓋31を開いて、洗剤溶解容器21に前記表示洗剤量を参考に所定量の粉末合成洗剤を投入し(必要に応じて柔軟仕上げ剤を仕上げ剤投入室21dに投入する)、外蓋31を閉じる。
【0053】
ステップ403
高濃度洗剤液の生成を行う。洗剤溶解室21cに粉末合成洗剤が投入されたことを検知すると、補助給水電磁弁22を開いて洗剤溶解室21c内に前記粉末合成洗剤を溶解するのに好適な量の水道水(洗剤溶解水)を供給する。
【0054】
そして、表示素子群14bによって洗剤溶解中であることを示す表示を行い、洗剤撹拌電動機39を運転し粉末合成洗剤を撹拌しながら溶解することによって高濃度洗剤液を生成する。
【0055】
溶解時間は、2〜3分必要である。溶解時間は、粉末合成洗剤の種類により異なるが、溶けにくい洗剤でも2〜3分で溶解率が95〜100%となり、大部分の洗剤を溶かすことができるからである。
【0056】
ステップ404
駆動装置6の電動操作クラッチ機構62を脱水・乾燥モードに制御し、駆動電動機61を低速運転して洗濯兼脱水槽2と撹拌翼4を低速回転させながら主給水電磁弁20を開いて水道水を注水口19に直に供給して該水道水を洗濯兼脱水槽2内の洗濯物38上に散布するプレ給水を行う。洗濯物38は散布された水道水を吸水して湿潤し、嵩が低減する。
【0057】
プレ給水量は、布量検出で検出した洗濯物38の量に応じて制御し、洗濯物38の量が少ない場合は少なくし、多くなるにつれて多くなるようにする。例えば、洗濯物38の量が4kg未満の場合には4L(リットル)程度、4〜8kgの場合は10Lとする。給水は、主給水電磁弁20の開閉時間によって制御する。
【0058】
なお、本プレ給水工程は、ステップ403の高濃度洗剤液生成工程と同時に行う。これは、上述のように、洗剤溶解に2〜3分必要で、この間にプレ給水工程を行うことで、洗濯時間を短縮できるからである。さらに、プレ給水終了後から洗剤溶解終了までの時間が据え置き時間となるため、水道水を洗濯物38内に十分に浸透させることができる。そして、水道水を洗濯物38内に十分に浸透させるように、必要に応じて所定時間据え置くようにする。
【0059】
ステップ405
洗剤撹拌電動機39を運転したままで、補助給水電磁弁22を開いて洗剤溶解容器21に追加給水を行うことにより、洗剤溶解容器21内の高濃度洗剤液を溢水させて注水口19に供給すると共に、主給水電磁弁20を開いて水道水を注水口19に供給することにより、高濃度洗剤液を所望の洗剤濃度(5〜30倍)に希釈して洗濯物に散布するよう制御する。この時、高濃度洗剤液が洗濯物38に万遍なく降りかかり洗濯物38内に均一に浸透するように、洗濯兼脱水槽2と撹拌翼4を一体的に低速で回転させ、あるいは洗濯兼脱水槽2を静止させた状態で撹拌翼4を回転させることによって、洗濯物38を回転または撹拌するように駆動装置6を制御する。
【0060】
このように、5〜30倍の濃度の高濃度洗剤液を洗濯物に浸透させると、高濃度洗剤液の化学的洗浄力(浸透乳化、分散などの作用)が洗濯物に付着している汚れに作用し、汚れは洗濯物から取れやすい状態となる。
【0061】
ステップ406
ステップ402で決定した水量(水位)まで水道水(洗い水)を給水するよう主給水電磁弁20を制御する。なお、給水の途中で洗濯物38の布量(湿布値)、布質を検出するために、給水を中断する。中断水位は、マイクロコンピュータ16aにあらかじめ設定された湿布布量及び布質検出に適した水位である。
【0062】
湿布布量と布質を検出して、洗い水給水量の補正と、洗い及び濯ぎ運転における時間と水流(機械的撹拌の強さ)や脱水、乾燥運転における制御定数の決定を行う。
【0063】
給水を再開し、ステップ402で決定した水量まで水道水を給水する。この給水により、洗い水は高濃度洗剤液を更に希釈して洗いに好ましい洗剤濃度となる。これにより、洗濯物38は、洗濯兼脱水槽2内で所定の洗剤濃度の洗い水に浸かった状態となり、洗濯兼脱水槽2や撹拌翼4を回転させて洗濯物38に機械的な洗浄力を作用させるのに好適な状態となる。
【0064】
ステップ407
ステップ406において設定した粗い水流と洗い時間の洗い運転を行うように駆動装置6を制御する。この洗い運転において、駆動装置6は、電動操作クラッチ機構62を洗濯モードに制御し、駆動電動機61を正逆運転を繰り返すことによって洗濯兼脱水槽2と撹拌翼4を反対向きに繰り返し正逆転させて洗濯物38に機械的な洗浄力を作用させる。洗濯物38に作用させる機械(撹拌)力は、洗濯兼脱水槽2及び撹拌翼4の正逆転のON−OFF時限を調整したり、回転数を調整したり、洗い(撹拌)時間を調整したりすることによって制御することができる。
【0065】
本実施の形態の洗濯乾燥機は、ステップ405の高濃度洗剤液散布・浸透工程による高濃度洗剤液の化学的な高い洗浄力を利用しているため、洗濯物38に付着した汚れは取れやすい状態になっており、洗濯物38に作用させる機械(撹拌)力を小さくしても、従来の洗浄方式より高い洗浄力が得られることから、洗濯物38の布絡みや布傷みを低減することができる。
【0066】
更に、撹拌翼4は、洗濯兼脱水槽2の底部の大部分を覆う大径(外径寸法が洗濯兼脱水槽の内径寸法の90%以上)で周縁部を迫り上げるように上向きにわん曲させて皿状形態に形成され、洗濯物38を受け支える状態で回転するため、撹拌翼4の機械(撹拌)力が小さくても、機械力が洗濯物38全体に効率良く作用し、洗いむらも小さくすることができる。
【0067】
ステップ408
洗い水を機外に排水するよう排水電磁弁33を開弁制御し、洗濯兼脱水槽2と撹拌翼4を一体的に高速回転させて、洗い水を遠心脱水する中間脱水を行うように駆動装置6を制御する。
【0068】
ステップ409
排水電磁弁33を閉弁制御し、所定の濯ぎ水位まで給水するように主給水電磁弁20を開弁制御する。
【0069】
駆動装置6の電動操作クラッチ機構62を洗濯モードに制御し、駆動電動機61を正逆運転することによって、洗濯兼脱水槽2と撹拌翼4を反対方向に正、逆回転させて洗濯物38に機械力を作用させて濯ぎ工程を行う。この濯ぎ工程は、必要に応じて複数回実行し、最後の濯ぎにおける給水時に補助給水電磁弁22aを開いて柔軟仕上げ剤を供給する。
【0070】
ステップ410
濯ぎ水を機外に排水するように排水電磁弁33を開弁制御し、排水後に、排水電磁弁33を開いたままにして駆動装置6の電動操作クラッチ機構62を脱水・乾燥モードに制御し、駆動電動機61を高速運転することによって洗濯兼脱水槽2と撹拌翼4を一体的に高速回転させて洗濯物38の水分を遠心脱水する。この最終脱水が終了した状態では、洗濯物38は、洗濯兼脱水槽2の側壁に押し付けられて付着した状態にある。
【0071】
最終脱水の運転時間は、洗濯コースのみの場合は、6〜10分程度とし、十分に洗濯物38の水分を脱水する。一方、洗濯乾燥コースが選択された場合は、3分程度とする。これは、最終脱水に長い時間をかけるよりも、後で述べる乾燥工程における温風脱水を効率よく行った方が、洗濯から乾燥までの全工程の所用時間を短縮できるからである。
【0072】
以上で、洗濯が終了し、洗濯コースのみの場合はここで終了する。洗濯乾燥コースが選択されている場合は次のステップ(乾燥工程)へ進む。
【0073】
このように、高濃度洗剤液の化学力と、大径撹拌翼と洗濯兼脱水槽の反転駆動による小さな機械(撹拌)力で、従来以上の高い汚れ落ちを実現するとともに、洗濯物38に布絡みや布傷みが発生しないようにできる。これは、後述する乾燥工程での洗濯物38の仕上がり向上(しわ低減)にも有効である。
【0074】
ステップ411
マイクロコンピュータ16aは、制御装置循環ファン26を運転し、ヒータ29に通電する。循環ファン26から吐き出された空気は、上昇風路ダクト27を通りヒータ29によって加熱され、温風となり吹き込み口30から洗濯兼脱水槽2内へ吹き込まれる。温風は、洗濯兼脱水槽2内の洗濯物38に吹き付けられ、洗濯物38の温度が上昇し、洗濯物38から水分が蒸発していく。この水分を多量に含んだ洗濯兼脱水槽2内の空気は、洗濯兼脱水槽2の周壁の小穴2aや4撹拌翼4の小穴aを通り洗濯兼脱水槽2と外槽5との隙間に出て、吸出し口5aから水冷除湿ダクト23内を上昇する。水冷除湿ダクト23を上昇する過程において、冷却散水部24から供給される冷却水によって冷却除湿され、糸屑フィルタ45を通過し、下降風路ダクト25を通り循環ファン26に吸い込まれる。以上のように空気が循環し、洗濯物を乾かしていく。
【0075】
この間、駆動装置6の電動操作クラッチ機構62を脱水・乾燥モードに制御し、駆動電動機61を運転して洗濯兼脱水槽2と撹拌翼4を一体的に回転させる「槽回転動作」と、電動操作クラッチ機構62を撹拌モードに制御し、駆動電動機61を正逆運転して撹拌翼4を正逆回転させる「ほぐし動作」を繰り返す。
【0076】
槽回転動作は、洗濯物38に温風をむら無く当て、表面の湿った部分からむら無く水分を蒸発させるために行う。また、ほぐし動作は、重なった洗濯物38をほぐし、洗濯物38の姿勢を変えると共に湿った面を表面に出すために行う。
【0077】
この温風乾燥運転について、図7を参照して更に詳しく説明する。温風乾燥運転は、あらかじめ設定した所定のタイムスケジュールにしたがって、設定されている乾燥モードや洗濯物38の量や循環空気の湿度(洗濯物38の乾燥度)や温度、洗濯兼脱水槽2及び撹拌翼4の回転制御や循環ファン26の運転制御、ヒータ29の発熱制御や冷却散水部25の散水制御などを実行する。
【0078】
ステップ501
温風乾燥運転をスタートするとタイムスケジュールを遂行するための運転タイマを始動する。
【0079】
ステップ502
ファン26とヒータ29を通電し、洗濯兼脱水槽2内の空気を循環させながら加熱し、洗濯物38に温風を吹き付ける。
【0080】
ステップ503
槽回転動作により温風脱水を行う。この時の回転数は洗濯乾燥機の強度が許す範囲で極力高い方が好ましい(本実施例では毎分900回転である)。通常の遠心脱水による洗濯兼脱水槽2の小穴2aからの脱水とともに、洗濯物38に温風が吹きかけられることにより洗濯物38の表面からも多くの水分が蒸発して行く。更に、高速回転しているため、洗濯物38表面と周囲の空気(温風)との相対速度が高く洗濯物38からの水分の蒸発が一層促進される。時間の経過とともに洗濯物38の表面の水分が減少して行く。このため、必要以上に長い時間温風脱水をしても洗濯物38表面からの蒸発による乾燥効果は小さくなる。そこで、所定時間(例えば10分)経過したら、回転を停止する。
【0081】
ステップ504
ほぐし動作を行い、洗濯兼脱水槽2の周壁面や底面(撹拌翼4)付近に位置し水分が多く残っている洗濯物38と洗濯兼脱水槽2の上部に位置し水分が少なくなった洗濯物38の位置を入れ替える。
【0082】
ステップ505
ステップ503の温風脱水とステップ504ほぐし動作を規定回数繰り返す。こうすることで、ほぐし動作により洗濯兼脱水槽2の上部に水分が多い洗濯物38が位置するため、洗濯物38表面からの水分の蒸発量が再び増加し、効率よく乾燥度を増加(水分を減少)することができる。なお、2回目以降の温風脱水時間は、1回目の温風脱水時間より少なくしても良い(例えば5分)。これは、洗濯物38の水分量がステップ503の時より少なくなっており、短い時間で洗濯物38表面からの水分の蒸発量が減少するため、ほぐし動作の頻度を増加させ洗濯物38の位置を入れ替えた方が、水分が多く残っている部分に温風を当てることができ、更に効率よく乾燥できるからである。
【0083】
なお、くり返し回数は2〜3回程度でよい。これは、くり返し回数の増加とともに洗濯物38の水分が減少して行き、洗濯物38と温風との相対速度による蒸発の効果が少なくなるためである。また、温風脱水時間は、洗濯物38の量により制御しても良い。洗濯物38の量が少ない場合は短く、洗濯物38が多くなるほど長くする。
【0084】
このように、ステップ410の最終脱水の運転時間を短くし、温風脱水とほぐし動作を繰り返すことで、洗濯物38から効率よく水分を除去できるので、乾燥時間を短縮することができる。
【0085】
ステップ506
乾燥運転が所定時間(15分)を経過すると、冷却散水部24から水冷除湿ダクト23内に冷却水を供給することにより、循環空気の水冷除湿(水冷除湿乾燥)を開始するように冷却散水電磁弁24aを開放制御する。
【0086】
ステップ507
低速の槽回転動作(例えば、回転数が毎分100回転)を3〜5分間行う。
【0087】
ステップ508
ほぐし動作を行う。
【0088】
ステップ509
規定の乾燥度Aになるまでステップ507とステップ508を繰り返す。なお、槽回転動作の時間が長すぎると、洗濯物38の表面のみが乾いてしまう。このため、槽回転動作を3〜5分間行い、ほぐし動作を行うことで、洗濯物38が均一に乾燥するようにするようにできる。また、上述の頻度でほぐし動作を行うことで、水分の多い部分に温風が効率よくあたり、洗濯物38からの水分の蒸発を促進でき、乾燥時間の短縮に大きな効果がある。
【0089】
洗濯物38の乾燥しわを少なくし、布傷みを少なくするためには、上記ほぐし動作と槽回転動作の頻度を乾燥の進行状態に合わせて適切に制御する必要がある。
しわは、洗濯物38が同じ姿勢で折り曲げられたまま乾燥すると発生するが、しわの大小は、乾燥度とほぐし動作の頻度に大きく影響される。すなわち、乾燥初期の乾燥度が低いうちは、洗濯物38には水分が多く残っていて十分に湿っており、折れ曲がっていても、姿勢を変えることでその折り目は容易に消すことができるので、ほぐし動作の頻度は上述の程度で良い。
乾燥が進行し乾燥度が上昇していくと、洗濯物38の水分が少なくなって行き、ある範囲の乾燥度(布質や織物の厚さ、織り方などにより多少ばらつくが、しわの付きやすい薄手の平織りの木綿の場合で約85%から約95%)の時に同じ姿勢のまま折れ曲がっていると、その折り目が固定され、その後姿勢を変えても非常に消えにくくなり、しわとなる。
ステップ510
乾燥度A(乾燥度85%)になったら、ほぐし動作を連続して行う。こうすることで、洗濯物38の姿勢が頻繁に変わり、折れ曲がり位置が逐次変わりため、洗濯物38のしわ付きを少なくすることができる。なお、洗濯物38のしわを少なくするためには、本ステップのほぐし動作において、洗濯物38の姿勢変化が大きくなるよう、洗濯物38が洗濯兼脱水槽2内で上下方向に動くよう撹拌翼4を運転した方が良い。こうすることで、洗濯物38へ作用する力が解放されるため、しわを除去できる。
ステップ511
湿度センサ40、第1温度センサ41、第2温度センサ42の検出信号を監視しながらほぐし動作を実行し、所望の乾燥度Bが得られた時点で終了する。乾きむらをなくすために、通常は、乾燥度108%(完全乾燥)になるまで乾燥を継続している。
【0090】
なお、乾燥度は、次式で定義される。
【0091】
乾燥度(%)=乾燥質量/湿布質量×100 …(数式1)
ここで、乾燥質量とは、温度20±2℃、相対湿度60〜70%の空気中に一昼夜放置した後の質量である。簡易的には、衣類乾燥機で乾燥し、10分間隔で質量を測定したときの質量変化が1.0%以下になったときの質量に1.08を乗じた質量としても良い。
【0092】
乾燥度の測定方法としては、上記したステップ402の布量検出を利用し洗濯物38の質量を測定する方法(ほぐし動作時に実行する)や、湿度センサ40で循環している空気の湿度を測定して、乾燥度に換算する方法などがある(乾燥度と湿度の関係を予め測定し、テーブルとしてマイクロコンピュータ16aのROMに記憶しておくことはもちろんである)。
【0093】
更に、ステップ406で検出した布量、布質のデータを使用し、乾燥の経過時間で乾燥度を推定し、ステップ510のほぐし動作の開始を制御しても良い(布量、布質に対する経過時間と乾燥度との関係をあらかじめ測定し、マイクロコンピュータ16aのROMに記憶しておく)。
【0094】
ステップ512
循環ファン26は運転したままで、ヒータ29への通電を停止し、送風運転を所定時間行う。また、送風運転中に、槽回転動作とほぐし動作を行う。これは、暖まっている洗濯物38や洗濯兼脱水槽2、外槽5など洗濯乾燥機を冷やすために行う。
【0095】
ステップ513
排水弁33を閉じ、冷却散水部24からの水を外槽5の底と洗濯兼脱水槽2底面とのすき間5bに貯水する。貯水する水量は、すき間5dの容積に対して、0.5〜0.6程度とする。これは、後述するマイナスいおんの発生工程において、十分な量のマイナスイオンが発生でき、かつ発生した水滴が洗濯兼脱水槽2内へ侵入しないようにできる水量である。冷却散水部24に供給する水量は、毎分0.3Lであるので、上記の水量になったら(排水弁33を閉じてからの時間で制御する)冷却散水電磁弁24aを閉じる。
【0096】
冷却散水部24からの水は、水冷除湿ダクト23を流れる温風で暖めながら、流下し外槽5の底に溜まり、温風乾燥で熱くなっている外槽5で更に暖められ、40〜50℃になる。
【0097】
暖かくなった水からは、水蒸気が発生し、洗濯兼脱水槽2の小穴2aを通り洗濯兼脱水槽2内に入り洗濯物38に吸着する(蒸らし)。これにより、温風乾燥で洗濯物38に発生した静電気を除電する効果がある。
【0098】
なお、本ステップの蒸らしは、上述のステップ510のほぐし動作時から始めても良い。ステップ510のほぐし動作は、乾燥度85%から開始する。しかし、薄手の衣類の場合は、乾燥速度が速く、洗濯物38全体の平均乾燥度が85%の時には乾燥度が更に高くなり、薄手の衣類のしわが多くなる恐れがある。この時、水蒸気を供給してやることで、薄手の衣類に水分が補給でき、乾燥むらを防ぎしわを防ぐことができる。この時、排水弁33は、周期的に短時間開き、外槽5に水が溜まりすぎ洗濯兼脱水槽2内に水が侵入しないようにする。
【0099】
ステップ514
ステップ512の送風運転の最後に、洗濯兼脱水槽2を高速に回転する(毎分600回転)。洗濯兼脱水槽2の回転により、すき間5dに空気の流れが発生し、ステップ513で外槽5の底に貯水した水面が波立ち、やがて、波立ちが成長し洗濯兼脱水槽5底面と接触し、水が粉砕され水滴が生成し、マイナスイオンが発生する(レナード効果と呼ばれる)。マイナスイオンは、洗濯兼脱水槽2の回転による空気の流れ(洗濯兼脱水槽2の外周と外槽5の内壁面とのすき間を下から上へ流れる)で運ばれ、洗濯兼脱水槽2の上部から洗濯兼脱水槽2内に流入する。また、マイナスイオンの一部は、水冷除湿ダクト23から下降風路ダクト25、上昇風路ダクト27を通り、吹き出し口30から洗濯兼脱水槽2内へ流入する。本工程は、2分程度行う。
【0100】
マイナスイオンは、温風乾燥で洗濯物38に帯電したプラスの電荷と結合し、帯電を防止する効果がある。
【0101】
ステップ513の水蒸気による蒸らしと、本ステップのマイナスイオンの発生は、特別な機構が必要無いため、コストの上昇無しに洗濯物38の帯電防止を実現できる。
【0102】
そして、その後、循環ファン26の運転を停止し、排水弁33を開き外槽5内の水を排出して温風乾燥を終了する。
【0103】
【発明の効果】
本発明によれば、布絡みや布傷みが小さく洗浄力が高く、乾燥時間が短くかく、かつしわが少なく仕上がりが良い洗濯乾燥機とすることができる。
また、洗濯物の帯電を防止することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明になる洗濯乾燥機の一実施の形態を示す模式図である。
【図2】本発明になる洗濯乾燥機の洗剤溶解容器と主給水電磁弁、補助給水電磁弁および風呂水ポンプと操作パネルを実装したトップカバーをバックパネルを開いて示す上面図である。
【図3】本発明になる洗濯乾燥機の具体的な構成を示す縦断側面図である。
【図4】図3に示した洗濯乾燥機のトップカバーを外した状態を示す上面図である。
【図5】図1に示した洗濯乾燥機の電気系を示すブロック図である。
【図6】図1および図3に示した洗濯乾燥機のコントロールユニットにおけるマイクロコンピュータが実行する各工程の制御処理のフローチャートである。
【図7】図6における温風乾燥工程の詳細フローチャートである。
【図8】図2における操作パネルの詳細図である。
【符号の説明】
1…外枠、1a…裏側蓋、2…洗濯兼脱水槽、4…撹拌翼、5…外槽、5a…吸い出し口、6…駆動装置、8…防振支持装置、9…トップカバー、9a…外側衣類投入口、14…操作パネル、14a…入力スイッチ群、14b…表示素子群、16…コントロールユニット、17…バックパネルボックス、19…注水口、20…主給水電磁弁、21…洗剤溶解容器、22、22a…補助給水電磁弁、23…水冷除湿ダクト、24…冷却散水部、24a…冷却散水電磁弁、25…下降風路ダクト、26…循環ファン、27…上昇風路ダクト、28…外槽上カバー、28a…内側衣類投入口、29…ヒータ、30…吹き込み口、31…外蓋、32…内蓋、39…洗剤撹拌電動機、40…湿度センサ、41…第1温度センサ、42…第2温度センサ。
Claims (6)
- 外槽内に設置した洗濯兼脱水槽と、該洗濯兼脱水槽の底部に設置した撹拌翼と、前記洗濯兼脱水槽及び撹拌翼を回転駆動する駆動装置と、前記洗濯兼脱水槽内に温風を供給する温風供給手段と、前記外槽内の空気を水冷除湿する水冷除湿手段と、給水手段と、前記外槽内の水を排水する排水手段と、洗剤を洗剤溶解水で溶解して供給する手段と、前記外槽内の空気の湿度を検知する湿度検知手段と、制御手段とを備え、
前記洗濯兼脱水槽内の洗濯物に対して、洗い水による洗いと濯ぎ水による濯ぎと遠心脱水と温風乾燥に至る各工程を順次実行する洗濯乾燥機において、
前記制御手段は、
洗剤を洗剤溶解水で溶解して洗い工程における洗い水の洗剤濃度よりも高濃度の高濃度洗剤液を生成する高濃度洗剤液生成工程と、前記高濃度洗剤液を希釈しながら洗濯物に散布して浸透させる浸透工程と、浸透工程後に洗いに必要な量の水を供給して生成した洗い水中で洗濯兼脱水槽と撹拌翼を逆方向に回転駆動し洗濯物に機械力を作用させる洗い工程と、濯ぎ及び脱水する各工程と、洗濯兼脱水槽内に温風を供給して脱水済みの洗濯物を乾燥する乾燥工程とを実行制御すると共に、
設定されている運転モードを確認し、洗濯乾燥運転が設定されている場合は、洗濯運転が設定されている場合より前記脱水工程の運転時間を短くし、前記乾燥工程では、最初に前記洗濯兼脱水槽を高速で回転駆動すると共にその途中から前記水冷除湿手段を作動させる第1の乾燥運転制御を行い、次いで、前記第1の乾燥運転より低速で前記洗濯兼脱水槽を回転駆動する第2の乾燥運転制御を行い、次いで、前記湿度検知手段により検出される循環空気の湿度に基づいて求めた乾燥度により開始時期が制御されて、前記撹拌翼を連続して正、逆回転駆動する第3の乾燥運転制御を順次に行うことを特徴とする洗濯乾燥機。 - 請求項1において、前記第1の乾燥運転の運転時間を前記脱水工程の運転時間より長くしたことを特徴とする洗濯乾燥機。
- 請求項1において、前記制御手段は、前記第1の乾燥運転の途中で前記洗濯兼脱水槽の回転を一旦停止し、前記撹拌翼を正、逆回転させ洗濯物を撹拌する工程を規定時間間隔で複数回実行することを特徴とする洗濯乾燥機。
- 請求項1において、前記制御手段は、該第2の乾燥運転の途中で前記洗濯兼脱水槽の回転を一旦停止し、前記撹拌翼を正、逆回転させ洗濯物を撹拌する工程を規定時間間隔で複数回実行することを特徴とする洗濯乾燥機。
- 請求項4において、前記規定時間は3〜5分であることを特徴とする洗濯乾燥機。
- 請求項1において、前記第3の乾燥運転の後に前記排水手段を閉じ、前記外槽内に前記洗濯兼脱水槽に触れない量の水を溜め水蒸気を発生し、次に前記洗濯兼脱水槽を高速回転させ、前記洗濯兼脱水槽で前記外槽に溜めた水の一部を粉砕しマイナスイオンを生成することを特徴とする洗濯乾燥機。
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