JP4152691B2 - 弾性軸継手装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、弾性軸継手装置において、組付け時における部品の取付けの誤りを防止し、組付け作業の効率を向上させ、且つその構造が極めて簡単にできる弾性軸継手に関する。
【0002】
【従来の技術】
弾性軸継手における、弾性体の両側に当接させるストッパープレートが設けられ、そのストッパープレートの切欠開口の先端を、弾性体との間隙が外径方向に行くに従って、徐々に大きくなる円弧状に曲げ形成して、弾性体との間に間隙を形成する逃げ部が設けられているものが実公平4─39092号に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ストッパープレートと弾性体端面との間隙が外径方向に行くにしたがって、徐々に大きくなる円弧状に曲げ形成されている。そのため、ストッパープレートの表側と裏側では形状が異なる。弾性軸継手を組み立てる際に、ストッパープレートの表側と裏側とを間違えないように、注意し、そのストッパープレートの円弧状の逃げ部の曲げ方向を確認しなければならないが、その曲げがなだらかな場合や、明確に形成されていない場合等は、目視にて確認することは困難であり、誤組を発生させるおそれがある。
【0004】
また、上述したように、目視では、表面,裏面が極めて分かりづらく、手で一つ一つ接触して確認するのでは、生産性が極めて悪い。また、検知器等で表側、裏側の向きを検出するなどの特別な機器で確認することになるが、このような特別な機器は、高価であり、結局製造コストが高くなる。本発明の目的は、弾性軸継手装置の組付において、作業員がストッパープレートの表裏をいちいち確認することなく、組付作業を行い、作業効率を向上させることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意,研究を行った結果、本発明を、弾性板材と、該弾性板材の両側を挟持するストッパープレートとからなり、前記一方のストッパープレートは入力側部材に、他方のストッパープレートは出力側部材に夫々連結部材を介して連結する継手装置において、前記ストッパープレートのプレート本体の外周には前記連結部材が挿通する切欠状の凹み状部が形成され、該各凹み状部の開口先端部箇所には前記プレート本体の厚さが外方に向かって対称的に薄くなる薄肉部が押し潰しによるプレス加工によって形成されてなる弾性軸継手装置としたことにより、組付け時における部品の取付けの誤りを防止し、組付け作業の効率を向上させ、且つその構造が極めて簡単にでき、上記課題を解決したものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。まず、弾性軸継手装置のは、図1,図2に示すように、入力側及び出力側の2枚のストッパープレートA,Aによって弾性板材5が挟持される。そして前記各ストッパープレートA,Aは、管状部材6,6,…及びカラー部材7,7,…を介して入力側部材10、出力側部材11と連結するようになっている。また弾性軸継手装置には、倒れ規制軸8及び、倒れ規制孔9等も具備されており、折曲角度を規制している。
【0007】
そのストッパープレートAは、プレート本体1と薄肉部3,3から形成されている。そのプレート本体1は、ほぼ円形状に形成され、図3(A)に示すように、その中心に対して直径方向両側にほぼU字形状に切除された凹み状部1a,1aが形成されている。該凹み状部1aは、プレート本体1の外方に向かって開口しており、その開口箇所における幅方向両側には突出状の開口先端部1a1 ,1a1 となっている。該開口先端部1a1 ,1a1 は、凹み状部1aを設けることにより、その凹み状部1aの残存肉部として形成されたものである。その開口先端部1a1 ,1a1 は、先端に行くにしたがい幅方向に狭くなる。
【0008】
その各開口先端部1a1 に、それぞれ薄肉部3が形成される。該薄肉部3は、開口先端部1a1 の先端,すなわち外方に向かって、次第にそのプレート本体1の肉厚の厚さが薄くなってゆく部位である。その薄肉部3の厚さ方向における断面形状には、種々のタイプが存在する。その第1タイプは、図4(A)に示すように、開口先端部1a1 の厚さ方向の両側に対称となる傾斜面3a,3aが形成され、該傾斜面3a,3aの外端より平行な平坦面3b,3bが形成されたものである。すなわち、その断面形状において二つの台形状部と方形状部とから構成されたようになっている。
【0009】
この薄肉部3は、厚さ方向に押し潰すことにより形成されるもので、その加工工程において、前記薄肉部3の強度を確保したり、或いは増加させることができる。さらに、薄肉部3の押し潰しは、プレス加工によって行われ、これによってストッパープレートAのプレス加工時に成形することが可能となり、作業効率を向上させることができる。また、プレス加工によって開口先端部1a1 を押しつぶして、薄肉化することで、ストッパープレートA自体の開口先端部1a1 ,1a1 を加工硬化させることができ、強度を向上させることができる。
【0010】
次に、薄肉部3の第2タイプとしては、図4(B)に示すように、その厚さ方向における両面が直線状傾斜面3a1 ,3a1 にて形成されたものである。このタイプの加工は、前記押し潰しによるプレス加工としたり、その開口先端部1a1 箇所を厚さ方向且つ外方に次第に薄くなるように、切削加工することもできる。次に、薄肉部3の第3タイプとしては、図4(C)に示すように、その厚さ方向における両面が円弧状傾斜面3a2 ,3a2 に形成されたものである。
【0011】
これらの第1タイプ乃至第3タイプの薄肉部3は、プレート本体1の肉厚の厚さが薄くなる境界を円弧状に連続して形成されているので、通常時、前記弾性板材5への食い込みが軽減され、又回転時において前記弾性板材5とストッパープレートAとが回転方向に相対的に動く場合、引っ掛かりを低減し、バネ定数特性を安定させることができる。
【0012】
このように、ストッパープレートAの開口先端部1a1 ,1a1 を厚さ方向において表側,裏側対称の薄肉化することによって、前記弾性板材5の両側に挟持固定する際、同じストッパープレートAを両側に使用することができるので、弾性軸継手装置の組立において、ストッパープレートAの表裏側における誤組を防止することができる。
【0013】
図5(A),(B)は、弾性軸継手装置において、入力側部材10と出力側部材11との間に微小角度Δθの倒れが生じた状態を示したものである。このとき、ストッパープレートAと弾性板材5が相対的には微小角度Δθで交わろうとするが、そのストッパープレートAに形成された薄肉部3,3は、先端に向かうにしたがい、厚さ方向に沿って次第に薄くなっているので、開口先端部1a1 ,1a1 における弾性板材5への食い込み干渉が避けられる。これによって、弾性板材5の初期撓み変形される際のバネ定数特性に悪影響を及ぼすことなく、弾性板材5を良好に機能させることができる。
【0014】
【発明の効果】
請求項1の発明は、弾性板材5と、該弾性板材5の両側を挟持するストッパープレートAとからなり、前記一方のストッパープレートAは入力側部材に、他方のストッパープレートAは出力側部材に夫々連結部材を介して連結する継手装置において、前記ストッパープレートAのプレート本体1の外周には前記連結部材が挿通する切欠状の凹み状部1aが形成され、該各凹み状部1aの開口先端部1a1箇所には前記プレート本体1の厚さが外方に向かって対称的に薄くなる薄肉部3が押し潰しによるプレス加工によって形成されてなる弾性軸継手装置としたことにより、弾性軸継手装置において、組付け時における部品の取付けの誤りを防止し、組付け作業の効率を向上させ、且つその構造が極めて簡単にできる。
【0015】
上記効果を詳述すると、ストッパープレートAの開口先端部1a1 に形成された薄肉部3は、厚さ方向において外方に向かうにしたがい、次第に薄くなるように形成されたものである。それゆえに、ストッパープレートAの薄肉部3,3は、表側,裏側のいずれも同一の傾斜となる面(傾斜面3a,3a)を有しており、ストッパープレートAは何れの面を弾性板材5に当接させても、開口先端部1a1 ,1a1 箇所は、弾性板材5と非接触である。したがって、弾性軸継手装置を組み付ける際に何れの面を使用してもかまわないものであり、組付時の制限を減少させ、作業性を向上させ、且つ製品の品質を安定且つ向上させることができる。次に、ストッパープレートAの薄肉部3,3は、弾性板材5の表面に対して非接触状態であり、弾性板材5の初期(撓み変形)動作における変形時には、ストッパープレートAに干渉されることなく、バネ定数特性を安定させることができる。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1において、前記薄肉部3の基部側は傾斜面3a,3aとし、先端箇所はほぼ平行な平坦面3b,3bが形成されてなる弾性軸継手装置としたことにより、ストッパープレートAの開口先端部1a1 における薄肉部3は、開口先端部1a1 箇所を単に押し潰して形成するものではなく、ストッパープレートAの本来の肉厚から薄肉部3にかけて、傾斜する面(傾斜面3a,3a)を設けて、薄肉部3の平行な平坦面3b,3bを形成するので、強度を確保し、且つ弾性板材5との干渉をさけることができるものである。また、そのストッパープレートAの開口先端部1a1 の薄肉部3をプレス加工形成することにより、その先端部を硬化させ、薄肉部3自体の強度を向上させることができる。
【0017】
請求項3の発明は、請求項1において、前記薄肉部3は、ほぼ対称的に対向する直線状傾斜面3a1 ,3a1 のみからなる弾性軸継手装置としたことにより、傾斜する面の角度を適宜設定することができ、弾性板材5と,ストッパープレートAの開口先端部1a1 ,1a1 との傾斜間距離を種々,容易に設けることができる。
【0018】
請求項4の発明は、請求項1において、前記薄肉部3は、ほぼ対称的且つ外方に膨出する円弧状傾斜面3a2 ,3a2 となる弾性軸継手装置としたことにより、開口先端部1a1 ,1a1 における肉厚を確保することができ、強度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】弾性軸継手装置を示す側面図
【図2】弾性軸継手装置の要部分解斜視図
【図3】(A)はストッパープレートの正面図
(B)はストッパープレートの側面図
【図4】(A)は第1タイプの薄肉部の拡大断面図
(B)は第2タイプの薄肉部の拡大断面図
(C)は第3タイプの薄肉部の拡大断面図
【図5】(A)は弾性軸継手装置が微小角度折れ曲がった状態の略示図
(B)は(A)の要部拡大図
【符号の説明】
A…ストッパープレート
1…プレート本体
1a…凹み状部
1a1 …開口先端部
3…薄肉部
3a…傾斜面
3a1 …直線状傾斜面
3a2 …円弧状傾斜面
3b…平坦面
5…弾性板材
Claims (4)
- 弾性板材と、該弾性板材の両側を挟持するストッパープレートとからなり、前記一方のストッパープレートは入力側部材に、他方のストッパープレートは出力側部材に夫々連結部材を介して連結する継手装置において、前記ストッパープレートのプレート本体の外周には前記連結部材が挿通する切欠状の凹み状部が形成され、該各凹み状部の開口先端部箇所には前記プレート本体の厚さが外方に向かって対称的に薄くなる薄肉部が押し潰しによるプレス加工によって形成されてなることを特徴とする弾性軸継手装置。
- 請求項1において、前記薄肉部の基部側は傾斜面とし、先端箇所はほぼ平行な平坦面が形成されてなることを特徴とする弾性軸継手装置。
- 請求項1において、前記薄肉部は、ほぼ対称的に対向する直線状傾斜面のみからなることを特徴とする弾性軸継手装置。
- 請求項1において、前記薄肉部は、ほぼ対称的且つ外方に膨出する円弧状傾斜面となることを特徴とする弾性軸継手装置。
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