JP4141175B2 - データ記録媒体、データ記録方法および装置 - Google Patents

データ記録媒体、データ記録方法および装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば読み出し専用(ROM)タイプの光ディスクに対して適用されるデータ記録媒体、データ記録方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
CD(Compact Disc )やCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory) 等の光ディスクは、取り扱いが容易で、製造コストも比較的安価なことから、データを保存しておくための記録媒体として、広く普及している。また、近年、データを追記録可能なCD−R(Compact Disc Recordable)ディスクや、データの再記録が可能なCD−RW(Compact Disc ReWritable)ディスクが登場してきており、このような光ディスクにデータを記録することも簡単に行えるようになってきてきる。このことから、CD−DAディスクや、CD−ROMディスク、CD−Rディスク、CD−RWディスク等、CD規格に準拠した光ディスクは、データ記録媒体の中核となってきている。更に、近年、MP3(MPEG1 Audio Layer-3 )やATRAC(Adaptive TRansform Acoustic Coding) 3でオーディオデータを圧縮して、CD−ROMディスクやCD−Rディスク、CD−RWディスク等に記録することが行われている。
【0003】
ところが、CD−RディスクやCD−RW(Compact Disc ReWritable)ディスクの登場により、CDのディスクに記録されているデータは簡単にコピーできるようになってきている。このため、著作権の保護の問題が生じてきており、CDのディスクにコンテンツデータを記録する際に、コンテンツデータを保護するための対策を講じる必要性がある。
【0004】
図17は、コピーの流れを概略的に示すものである。参照符号41で示す再生装置によって、オリジナルのディスク例えばCD42を再生する。参照符号43が光ピックアップであり、参照符号44が再生信号処理部である。そして、再生装置41からの再生データを記録装置51の記録処理部52に供給し、光ピックアップ53によって光ディスク例えばCD−R54に対して記録する。CD−R54には、オリジナルのCD42の記録内容がコピーされる。このように再生装置41と記録装置51とを使用して容易にオリジナルのCD42のコピーディスクが作成できる。
【0005】
CDの場合では、再生処理部44は、図18に示すように、入力端子45からの再生信号からシンク検出部46によってフレームシンクを検出し、EFM復調器47によってEFM(eight to fourteen modulation)の復調を行い、さらに、EFM復調された再生データがCIRC(Cross Interleave Reed-Solomon Code)デコーダ48に供給され、CIRCデコーダ48において、エラー訂正がなれる。EFMでは、各シンボル(8データビット)が14チャンネルビットへ変換され、14チャンネルビット同士の間に3ビットの接続ビットが追加される。また、サブコードデコーダ49によって再生データ中のサブコードが復号され、再生サブコードが得られる。
【0006】
図19は、記録処理部52の概略的構成を示す。記録すべきデータが入力端子55からCIRCエンコーダ56に供給され、CIRCの符号化の処理を受ける。また、サブコードが入力端子57からサブコードエンコーダ58に供給され、サブコードのフォーマットに変換される。CIRCエンコーダ56の出力およびサブコードエンコーダ58の出力がマルチプレクサ60に供給される。マルチプレクサ60には、さらに、入力端子59からフレームシンクが供給される。マルチプレクサ60によってこれらのデータが所定の順序で配列され、マルチプレクサ60の出力がEFM変調器61に供給され、EFM変調の処理を受ける。
【0007】
CDのディスクに記録されているコンテンツデータを保護するための一つの方法は、オリジナルのCDであるか、オリジナルのCDからコピーされたディスクであるかを判別することである。例えばオリジナルのCDの場合であれば、コピーが許可されるのに対して、コピーされたディスクの場合では、さらなるコピーを禁止することが可能である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
オリジナルかコピーかの判別のために、原盤製作時に欠陥を挿入しておき、オリジナルディスクの再生時にその欠陥を検出してオリジナルと判定する方法が提案されている。しかしながら、この方法は、オリジナルディスクに欠陥が含まれてしまう問題がある。また、欠陥の種類によっては、そのままコピーが可能で、CD−Rへの複製を防げない問題があった。
【0009】
したがって、この発明の目的は、意図的に欠陥を挿入せずに、オリジナルかコピーかの判別が可能で、コピー防止に寄与できるデータ記録媒体、データ記録方法および装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上述した課題を解決するために、所定ビット数のデータシンボルをより多いビット数のコードシンボルに変換することによってランレングスが制約された記録データを生成するディジタル変調方式を使用してディジタルデータが記録されているデータ記録媒体であって、ランレングスが制約された状態では正常なデータの再生を妨げるおそれを生じさせるほどDSVを増加させ、且つ、再生された際に低い振幅レベルを示すデータを構成するデータパターンが所定位置に記録されることを特徴とするデータ記録媒体である。
【0011】
また、この発明は、所定ビット数のデータシンボルをより多いビット数のコードシンボルに変換することによってランレングスが制約された記録データを生成するディジタル変調方式を使用して記録媒体にディジタルデータを記録するデータ記録方法であって、ランレングスが制約された状態では正常なデータの再生を妨げるおそれを生じさせるほどDSVを増加させ、且つ、再生された際に低い振幅レベルを示すデータを構成するデータパターンが記録媒体の所定位置に記録されることを特徴とするデータ記録方法である。
【0012】
また、この発明は、所定ビット数のデータシンボルをより多いビット数のコードシンボルに変換することによってランレングスが制約された記録データを生成するディジタル変調方式を使用して記録媒体にディジタルデータを記録するデータ記録装置であって、ランレングスが制約された状態では正常なデータの再生を妨げるおそれを生じさせるほどDSVを増加させ、且つ、再生された際に低い振幅レベルを示すデータを構成するデータパターンが記録媒体の所定位置に記録されることを特徴とするデータ記録装置である。
【0013】
上述したように、この発明は、ランレングスが制約された状態では正常なデータの再生を妨げるおそれを生じさせるほどDSVを増加させ、且つ、再生された際に低い振幅レベルを示すデータを構成するデータパターンが所定位置に記録されるため、このような記録媒体を複製しても複製された記録媒体は再生時にDSVが増加され正常なデータの再生が妨げられる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の一実施形態について説明する。この発明は、オーディオ信号としてレベルの低いデータを構成する特定のデータパターンを持ち、且つ、そのデータパターン部分で、DSV(Digital Sum Variation)の累積値が通常のエンコーダでエンコードすると一定範囲を超え、特殊なエンコーダでエンコードすると一定範囲内となるような信号が記録されたコンパクトディスクなどの記録媒体を提供する。
【0015】
特定のデータパターンをオーディオ信号に付加してEFMを行う際に、特殊なエンコーダによりDSVの累積値が一定範囲内に収まるように変調された記録信号として出力して、ディスクを製作する。リニアPCM(Pulse Code modulation)で変調されたディジタルオーディオ信号の場合には、16ビットデータがバイト単位で2’sコンプリメント(2の補数)により表現されて記録されるため、上位側バイトの上位ニブルが「0h」または「Fh」(hは、16進表記であることを示す)で、オーディオ信号としてレベルの低いデータとされる。
【0016】
この発明では、当該記録信号を、例えば上述の上位ニブルが「0h」または「Fh」であるような、オーディオ信号としてレベルの低いデータから選択する。これにより、当該記録信号により製作されたCDを通常のCD再生装置で再生した際に、当該記録信号が大音量のノイズとして再生されることを防いでいる。
【0017】
図1は、この発明によるデータ記録媒体を作成するためのマスタリング装置の構成の一例を示す。マスタリング装置は、例えばArイオンレーザ、He−CdレーザやKrイオンレーザ等のガスレーザや半導体レーザであるレーザ1と、このレーザ1から出射されたレーザ光を変調する音響光学効果型または電気光学型の光変調器2と、この光変調器2を通過したレーザ光を集光し、感光物質であるフォトレジストが塗布されたディスク状のガラス原盤4のフォトレジスト面に照射する対物レンズ等を有する記録手段である光ピックアップ3を有する。
【0018】
光変調器2は、記録信号にしたがって、レーザ1からのレーザ光を変調する。そして、マスタリング装置は、この変調されたレーザ光をガラス原盤4に照射することによって、データが記録されたマスタを作成する。また、光ピックアップ3をガラス原盤4との距離が一定に保つように制御したり、トラッキングを制御したり、スピンドルモータ5の回転駆動動作を制御するためのサーボ部(図示せず)が設けられている。ガラス原盤4がスピンドルモータ5によって回転駆動される。
【0019】
光変調器2には、EFM変調器12からの記録信号が供給される。入力端子7からは、記録するメインのディジタルデータが供給される。メインのディジタルデータは、例えば2チャンネルステレオのディジタルオーディオデータである。また、入力端子8から、特殊データ、すなわち、上述した特定のデータパターンを有するデータが供給される。さらに、入力端子6からは、現行のCD規格に基づいたチャンネルP〜Wのサブコードが供給される。
【0020】
メインディジタルデータおよび特殊データは、後述するエリア制御部15による制御に基づきスイッチ回路16で所定のタイミングで切り換えられて、CIRC(Cross Interleave Reed-Solomon Code)エンコーダ9に供給される。CIRCエンコーダ9では、供給されたデータに対して、エラー訂正用のパリティデータ等を付加するエラー訂正符号化処理やスクランブル処理が施される。すなわち、1サンプルあるいは1ワードの16ビットが上位8ビットと下位8ビットとに分割されてそれぞれシンボルとされ、このシンボル単位で、例えばCIRCによるエラー訂正用のパリティデータ等を付加するエラー訂正符号化処理やスクランブル処理が施される。入力端子6からのサブコードがサブコードエンコーダ10にてサブコードのEFMフレームフォーマットを有するサブコードに変換される。
【0021】
CIRCエンコーダ9の出力、サブコードエンコーダ10の出力がマルチプレクサ11に供給される。マルチプレクサ11に供給されたこれらの信号は、所定の順序に配列され、出力される。マルチプレクサ11の出力データがEFM変調器12に供給され、変換テーブルに従って8ビットのシンボルが14チャンネルビットのデータシンボルへ変換される。さらに、変換されたデータは、同期信号付加回路14から供給されたフレームシンク信号が所定のタイミングで付加されて、EFM変調器12から出力される。
【0022】
EFM変調器12では、14チャンネルビットに変換されたデータシンボルのDSVが検出され、DSV制御回路13に供給される。DSV制御回路13では、供給されたDSVの検出結果に基づきデータシンボルとデータシンボルとを接続する3ビットの接続ビットが選択される。EFM変調器12では、この選択結果に基づき、データシンボルに対して3ビットの接続ビットが追加される。
【0023】
なお、DSVは、EFM後のハイレベル側のチャンネルクロックの周期分を+1、ローレベル側のチャンネルクロックの周期分を−1として加算した値である。また、以下では、DSVの累積値が絶対値的に増加することをDSVの増加とし、DSVが0に近づくことをDSVの減少とする。
【0024】
接続ビットは、「000」、「001」、「010」および「100」の4種類あり、コンパクトディスクの規格に従い接続ビットの挿入後に3T未満のパターンや、11Tよりも大きなパターンが出現しないようにされると共に、DSVが収束するように、接続ビットの選択が制御される。
【0025】
なお、エリア制御回路15は、入力端子8から供給された特殊データがEFMされた信号がディスク上の所定の領域に記録されるように、スイッチ回路16の切り換えを制御する。このとき、エリア制御回路15とDSV制御回路13とが連動され、DSV制御回路13により、エリア制御回路15のスイッチ回路16の切り換え制御により供給された特殊データがEFMされた信号に対する上述した接続ビットの選択条件を緩めるように、接続ビットの選択が制御される。
【0026】
EFM変調12からCDのEFMフレームフォーマットの記録信号が発生する。この記録信号が光変調器2に供給され、光変調器2からの変調されたレーザビームによってガラス原盤4上のフォトレジストが露光される。このように記録がなされたガラス原盤4を現像し、電鋳処理することによってメタルマスタを作成し、次に、メタルマスタからマザーディスクが作成され、さらに次に、マザーディスクからスタンパが作成される。スタンパーを使用して、圧縮成形、射出成形等の方法によって、光ディスクが作成される。
【0027】
図2は、CDの1EFMフレームのデータ構成を示す。CDでは、2チャンネルのディジタルオーディオデータ合計12サンプル(24シンボル)から各4シンボルのパリティQおよびパリティPが形成される。この合計32シンボルに対してサブコードの1シンボルを加えた33シンボル(264データビット)をひとかたまりとして扱う。つまり、EFM変調後の1フレーム内に、1シンボルのサブコードと、24シンボルのデータと、4シンボルのQパリティと、4シンボルのPパリティとからなる33シンボルが含まれる。
【0028】
EFM変調方式(eight to fourteen modulation: EFM)では、各シンボル(8データビット)が14チャンネルビットへ変換される。EFM変調の最小時間幅(記録信号の1と1との間の0の数が最小となる時間幅)Tmin が3Tであり、3Tに相当するピット長が0.87μm となる。Tに相当するピット長が最短ピット長である。また、各14チャンネルビットの間には、3ビットの接続ビットが配される。さらに、フレームの先頭にフレームシンクパターンが付加される。フレームシンクパターンは、チャンネルビットの周期をTとする時に、11T、11Tおよび2Tが連続するパターンとされている。このようなパターンは、EFM変調規則では生じることがないもので、特異なパターンによってフレームシンクを検出可能としている。1EFMフレームは、総ビット数が588チャンネルビットからなるものである。フレーム周波数は、7.35kHzとされている。
【0029】
このようなEFMフレームを98個集めたものは、サブコードフレーム(またはサブコードブロック)と称される。98個のフレームを縦方向に連続するように並べ換えて表したサブコードフレームは、サブコードフレームの先頭を識別するためのフレーム同期部と、サブコード部と、データおよびパリティ部とからなる。なお、このサブコードフレームは、通常のCDの再生時間の1/75秒に相当する。
【0030】
図3は、サブコード部のデータ構成を示す。サブコード部は、98個のEFMフレームから形成される。サブコード部における先頭の2フレームは、それぞれ、サブコードフレームの同期パターンであるとともに、EFMのアウトオブルール(out of rule)のパターンである。また、サブコード部における各ビットは、それぞれ、P,Q,R,S,T,U,V,Wチャンネルを構成する。
【0031】
RチャンネルないしWチャンネルは、例えば静止画やいわゆるカラオケの文字表示等の特殊な用途に用いられるものである。また、PチャンネルおよびQチャンネルは、ディスクに記録されているディジタルデータの再生時におけるピックアップのトラック位置制御動作に用いられるものである。
【0032】
Pチャンネルは、ディスク内周部に位置するいわゆるリードインエリアでは、"0" の信号を、ディスクの外周部に位置するいわゆるリードアウトエリアでは、所定の周期で"0" と"1" とを繰り返す信号を記録するのに用いられる。また、Pチャンネルは、ディスクのリードイン領域とリードアウト領域との間に位置するプログラム領域では、各曲の間を"1"、それ以外を"0"という信号を記録するのに用いられる。このようなPチャンネルは、CDに記録されているディジタルオーディオデータの再生時における各曲の頭出しのために設けられるものである。
【0033】
Qチャンネルは、CDに記録されているディジタルオーディオデータの再生時におけるより精細な制御を可能とするために設けられる。Qチャンネルの1サブコードフレームの構造は、同期ビット部と、コントロールビット部と、アドレスビット部と、データビット部と、CRCビット部とにより構成される。
【0034】
図4は、上述したマスタリングおよびスタンピングによって作成された光ディスクを再生する再生装置の構成の一例を示す。再生装置は、既存のプレーヤ、ドライブと同一の構成であるが、この発明の理解の参考のために以下に説明する。図4において、上述したマスタリング、スタンピングの工程で作成されたディスク21がスピンドルモータ22により回転駆動され、ディスク21に記録された信号が光ピックアップ23により再生される。光ピックアップ23は、レーザ光をディスク21に照射する半導体レーザ、対物レンズ等の光学系、ディスク21からの戻り光を受光するディテクタ、フォーカスおよびトラッキング機構等からなる。さらに、光ピックアップ23は、スレッド機構(図示しない)によって、ディスク21の径方向に送られる。
【0035】
光ピックアップ23の例えば4分割ディテクタからの出力信号がRF部24に供給される。RF部24は、4分割ディテクタの各ディテクタの出力信号を演算することによって、再生(RF)信号、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号を生成する。再生信号がシンク検出部25に供給される。シンク検出部25は、各EFMフレームの先頭に付加されているフレームシンクを検出する。検出されたフレームシンク、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号がサーボ部26に供給される。サーボ部26は、RF信号の再生クロックに基づいてスピンドルモータ22の回転動作を制御したり、光ピックアップ23のフォーカスサーボ、トラッキングサーボを制御する。
【0036】
フレームシンク検出部25から出力されるメインデータがEFM復調器27に供給され、EFM復調の処理を受ける。EFM復調器27からのメインディジタルデータは、CIRCデコーダ28に供給され、エラー訂正の処理を受ける。さらに、補間回路29によって補間され、出力端子30に再生データとして取り出される。EFM復調器27からのサブコードデータがシステムコントローラ32に供給される。
【0037】
システムコントローラ32は、マイクロコンピュータによって構成されており、再生装置全体の動作を制御する。システムコントローラ32と関連して、操作ボタンおよび表示部33が設けられている。システムコントローラ32は、ディジタル21の所望の位置にアクセスするために、サーボ部26を制御するようになされている。
【0038】
図5〜図10は、EFM変調器12における8ビットのデータビット(適宜データシンボルと称する)を14ビットのチャンネルビット(適宜コードシンボルと称する)へ変換する規則を示す変換テーブルを示す。図5〜図10では、データビットが16進表記(00h〜FFh)と、10進表記(0〜255)と、2進表記とで示されている。また、コードシンボルの14ビット中の"1" は、値が反転する位置を示している。データシンボルが8ビットであるので、256通りのコードシンボルのパターンが存在する。14ビットのコードシンボルの全ては、最小時間幅(記録信号の1と1との間の0の数が最小となる時間幅)Tminが3Tであり、最大時間幅(記録信号の1と1との間の0の数が最大となる時間幅)Tmaxが11TであるEFMの規則(以下、適宜ランレングスリミット条件と呼ぶ)を満たしている。
【0039】
14ビットのコードシンボル同士を接続する場合でも、上述したTmin=3T、Tmax=11Tのランレングスリミット条件を満たすために接続ビットが必要とされる。接続ビットとして、「000」、「001」,「010」,「100」の4種類のパターンが用意されている。14ビット同士の接続のために接続ビットが使用される一例について、図11を参照して説明する。なお、以下の例は、「コンパクトディスク読本(改定3版)」(平成13年3月25日、オーム社発行)に記載されているものである。
【0040】
図11Aに示すように、前の14ビットのパターンが「010」で終わり、次のデータシンボルが「01110111」(16進表記では、77h、10進表記では、119)の場合を考える。このデータシンボルは、14ビットのパターン「00100010000010」に変換される。タイミングt0で前の14ビットのパターンが終わり、接続ビットの間隔の後のタイミングt1で次の14ビットのパターンが始まり、タイミングt2 で次の14ビットのパターンが終わるものとしている。
【0041】
上述した4種類の接続ビットとして、「100」を適用した場合では、Tmin=3Tという条件が満たされなくなるので、この接続ビットは、使用されない。後の3個の接続ビットは、使用可能である。3個の接続ビットの内で実際に使用する接続ビットとして、DSVを減少させるものが選択される。DSVは、波形がハイレベルであれば+1を与え、波形がローレベルであれば、−1を与えることで求められるものである。一例として、タイミングt0におけるDSVが(−3)であると仮定する。
【0042】
図11Bは、接続ビットとして「000」を使用した場合の波形を示す。期間(t0−t1)のDSVが+3であり、期間(t1−t2)のDSVが+2であるので、タイミングt2 におけるDSVは、(−3+3+2=+2)となる。図11Cは、接続ビットとして「010」を使用した場合の波形を示す。期間(t0−t1)のDSVが−1であり、期間(t1−t2)のDSVが−2であるので、タイミングt2 におけるDSVは、(−3−1−2=−6)となる。図11Dは、接続ビットとして「001」を使用した場合の波形を示す。期間(t0−t1)のDSVが+1であり、期間(t1−t2)のDSVが−2であるので、タイミングt2 におけるDSVは、(−3+1−2=−4)となる。結局、タイミングt2におけるDSVが最も0に近くなる接続ビット「000」が選択される。
【0043】
接続ビット選択部は、EFM変調器12(図1参照)内に備えられている。上述したように、接続ビット選択部は、EFM変調のランレングスリミット条件である、Tmin=3、Tmax=11を満たす接続ビットを選択し、その中で、DSVを収束させるものを選択している。
【0044】
この発明の一実施形態では、接続ビット選択部は、さらに、従来のEFM変調器によってはデータ読取にエラーを生じさせるほどDSVが大きくなるような、特定のデータパターンの場合でも、DSVが大きくなることを防止するように接続ビットを選択可能とされている。
【0045】
すなわち、接続ビット選択部では、再生時のデータ読み取りの際にエラーを生じさせるほどDSVが大きくなった場合を検出し、EFMのランレングスリミットの条件を緩めるように、接続ビットを選択することができる。一例として、Tmin=3、Tmax=11を、それぞれTmin'=2、Tmax'=12と緩やかにする。なお、この例はこれに限定されず、例えばランレングスリミット条件のTminおよびTmaxの一方を変更してもよく、また、Tmin'=1、Tmax'=13とすることもできる。
【0046】
また、この発明では、上述の、従来のEFM変調器によってはデータ読取にエラーを生じさせるほどDSVが大きくなるような、特定のデータパターンを有する特殊データを、オーディオ信号としてレベルの低いデータに基づくデータパターンから選択する。
【0047】
この発明に適用可能な特殊データの一例としては、「FAFAh」があげられる。なお、「h」は、その表記が16進表記であることを示す。データ「FAFAh」は、EFM変調器12において、14ビットからなるコードシンボルに変換される。上述した図5〜図10を参照すると、データ「FAh」は、コードシンボル「10010000010010」に変換される。このパターンが2回繰り返されデータ「FAFAh」となった場合に挿入される接続ビットについて考える。
【0048】
図12は、特殊データとして「FAFAh」を用いてFEMした場合のDSVと一部の波形を示す略線図である。図12Aに一例が示されるように、データ「FAh」が変換されたコードシンボル「10010000010010」に対して、3ビットの接続ビットが挿入される。このとき、上述のランレングスリミット条件であるTmax=11、Tmin=3に従えば、接続ビットは、「000」しか選択できないことになる。すなわち、接続ビット「001」、「010」および「100」では、何れもTmin=3の条件を満たすことができない。
【0049】
このように、データパターン「FAFAh」では、接続ビットが「000」に一意に固定される。これにより、接続ビットによるDSVを収束させる制御ができなくなると共に、DSVが元のデータパターンにより決定される。
【0050】
その結果、DSVは、図12Bに示されるように、データシンボルおよび接続ビットの周期毎に(+3−5+3−6=−5)ずつ増加し、DSVが発散する方向へ向かう。すなわち、DSVが1EFMフレームにつき例えば50以上、増加し、このデータパターンが続く限り、DSVが増加し続けることになる。
【0051】
また、このデータパターンが終了し、例えばオーディオデータによるランダムパターンになった場合、増加し続けていたDSVを0に近付けるために、DSVを収束させるような接続ビットが選択される。その結果、DSVは、急激に減少される。
【0052】
このように、この発明による特定のデータパターンが挿入された部分においてDSVが一方的に増加され、当該部分の終了後、DSVを収束させ0に戻るように変化される。一般的に、CDを再生する再生装置を用いて再生を行った場合、DSVの変化はアシンメトリ補正などに影響するが、上述の「FAFAh」に基づくパターンが記録されたCDでは、元のデータが再生できないほどの影響が確認される。
【0053】
すなわち、CDのマスタリングを行う際には、特定のデータパターンを有する特殊データ「FAFAh」を記録する位置において、ランレングスリミット条件を緩め、当該特定データパターンが繰り返された場合にDSVが増加し続けることを抑制するような接続ビットが選択可能とされる。このようにして製作されたディスクは、一般のCD再生装置での再生は、略通常通り行うことができる。
【0054】
ここで、このように製作されたディスクを例えばCD−Rを用いて複製しようとした場合について考える。一般的なCD−R記録装置は、図1を用いて説明したような、所定の記録エリアにおいてランレングスリミット条件を緩めて接続ビットの選択を行うことが可能とされたEFM変調器12、DSV制御回路13およびエリア制御回路15を有していない。そのため、CD−R記録装置では、特定のデータパターン「FAFAh」に対して接続ビット「000」が一意に選択されてしまう。
【0055】
したがって、こうして作成されたCD−Rを一般のCD再生装置で再生させると、DSVが増加し続け、再生動作が破綻する。すなわち、結果的に、この発明による特定のデータパターンを挿入されて製作されたディスクは、CD−RやCD−RWによる複製ができないことになる。
【0056】
また、データ「FAh」は、上位5ビットが「1」となり、リニアPCMが2’コンプリメントで表現されることを考えると、オーディオ信号としてみた場合に最大レベルにはならない。そのため、特殊データ「FAFAh」をオーディオ信号中にスポット的に挿入しても、再生音に対して殆ど影響を与えない。
【0057】
この発明の一実施形態では、図1に示したように、DSV制御部13およびエリア制御部15を有する。上述のような特定のデータパターンを構成する特殊データが入力端子8から入力される。DSV制御回路13からエリア制御回路15に対して、特殊データをメインデータの所定位置に挿入するように指示が出され、この指示に基づきエリア制御回路15によりスイッチ回路16の切り換えのタイミングが制御される。
【0058】
パターンが「FAFAh」の特殊データは、スイッチ回路16が入力端子8側に切り換えられている間、入力端子8から繰り返し入力される。入力された特殊パターンのデータは、CIRCエンコーダ9によるエラー訂正用のパリティ付加されや、マルチプレクサ11でのサブコードの重畳などを経て、EFM変調器12に供給される。
【0059】
EFM変調器12では、DSV制御部13からの指示に基づき、EFM変調器12に供給された特殊データがEFMされたデータシンボルに対して、ランレングスリミット条件を緩めて、DSVを収束できるような接続ビットが選択される。例えば、ランレングスリミット条件がTmin'=2T、Tmax'=12Tとする。これにより、接続ビットの選択の余地が生じ、DSVを収束させるような接続ビットを選択することが可能とされる。例えば、Tmin'=2Tに基づき、「010」または「100」を接続ビットとして選択可能である。
【0060】
なお、DSV制御回路13の指示に基づくエリア制御回路15の制御により、スイッチ回路16がメインデータが入力される入力端子7側に切り換えられているときは、EFM変調器12によるランレングスリミット条件は、従来通り、Tmin=3T、Tmax=11Tとされる。
【0061】
上述では、挿入される特定のデータパターンを有する特殊データを「FAFAh」として説明したが、これはこの例に限定されない。例えば、特定のデータパターンを有する特殊データとしてデータ「FBFBh」や「FAFBh」を用いても、データ「FAFAh」の場合と同様の効果を得ることができる。
【0062】
図13を用いて、データパターン「FBFBh」の場合について説明する。図13は、特殊データとして「FBFBh」を用いてFEMした場合のDSVと一部の波形を示す。データ「FBh」は、上述した図5〜図10を参照し、EFMによりコードシンボル「10001000010010」に変換される。これが2回繰り返され「FBFBh」となった場合に挿入される接続ビットについて考える。
【0063】
図13Aに一例が示されるように、データ「FBh」が変換されたコードシンボル「10010000010010」に対して、3ビットの接続ビットが挿入される。このとき、上述のランレングスリミット条件であるTmax=11、Tmin=3に従えば、接続ビットは、「000」しか選択できないことになる。すなわち、接続ビット「001」、「010」および「100」では、何れもTmin=3の条件を満たすことができない。
【0064】
このように、データ「FBFBh」では、接続ビットが「000」に一意に固定され、接続ビットによるDSVの制御ができなくなる。そのため、DSVが元のデータパターンにより決定される。その結果、DSVは、図13Bに示されるように、データシンボルおよび接続ビットの周期毎に(+4−5+3−5=−3)ずつ減少し、DSVが発散する方向へ向かう。
【0065】
また、データ「FBh」は、上述のデータ「FAh」と同様に、オーディオ信号としてみた場合、上位5ビットが「1」となり、最大レベルにはならない。そのため、オーディオ信号中に特殊データ「FBFBh」をスポット的に挿入した場合の再生音への影響が避けられる。
【0066】
図14を用いて、データ「FAFBh」の場合について説明する。図14は、特殊データとして「FAFBh」を用いてFEMした場合のDSVと一部の波形を示す。データ「FAh」および「FBh」は、上述したように、EFMによりコードシンボル「10010000010010」および「10001000010010」にそれぞれ変換される。
【0067】
図14Aに一例が示されるように、データ「FAh」が変換されたコードシンボル「10010000010010」とデータ「FBh」が変換されたコードシンボル「10001000010010」との間に、3ビットの接続ビットが挿入される。このとき、上述のランレングスリミット条件であるTmax=11、Tmin=3に従えば、接続ビットは、「000」しか選択できないことになる。すなわち、接続ビット「001」、「010」および「100」では、何れもTmin=3の条件を満たすことができない。
【0068】
同様にして、データ「FBh」が変換されたコードシンボル「10001000010010」とデータ「FAh」が変換されたコードシンボル「10010000010010」との間に挿入される接続ビットも、「000」しか選択できない。接続ビット「001」、「010」および「100」では、何れもTmin=3の条件を満たすことができない。
【0069】
このように、データパターン「FAFBh」では、接続ビットが「000」に一意に固定され、接続ビットによるDSVの制御ができなくなる。そのため、DSVが元のデータパターンにより決定される。その結果、DSVは、図14Bに示されるように、データシンボルおよび接続ビットの周期毎に、データ「FAh」および「FBh」に基づく接続の場合には(+3−6+3−5=−5)、データ「FBh」および「FAh」に基づく接続の場合には(+4−5+3−5=−3)ずつがそれぞれ減少し、DSVが発散する方向へ向かう。
【0070】
なお、データおよび「FAh」および「FBh」は、上位5ビットが「1」となり、最大レベルにはならない。そのため、オーディオ信号中に特殊データ「FAFBh」をスポット的に挿入した場合の再生音への影響が避けられる。
【0071】
特定のデータパターンを有する特殊データとしては、上述のデータ「FAh」およびデータ「FBh」に限られず、例えばデータ「FF01h」を用いることができる。図15を用いて、データパターンが「FF01h」の場合について説明する。図15は、特殊データとして「FF01h」を用いてFEMした場合のDSVと一部の波形を示す。
【0072】
データ「FFh」および「01h」は、図5〜図10を参照し、EFMによりコードシンボル「00100000010010」および「10000100000000」にそれぞれ変換される。
【0073】
図15Aに一例が示されるように、データ「FFh」および「01h」の接続を考えたとき、データ「FFh」が変換されたコードシンボル「00100000010010」とデータ「01h」が変換されたコードシンボル「10000100000000」との間に挿入される接続ビットは、上述のランレングスリミット条件であるTmax=11、Tmin=3に従えば、Tminの制約に基づき「000」が一意に選択される。このとき、接続ビットの先頭からデータ「01h」が変換されたコードシンボル「10000100000000」終端までのDSVは、図15Bに示されるように、+7となる。
【0074】
また、データ「00h」および「FFh」の接続を考えると、それぞれが変換されたコードシンボルの間に挿入される接続ビットは、上述のランレングスリミット条件であるTmax=11、Tmin=3に従えば、Tmaxの制約に基づき、「000」以外が選択可能である。このとき、図15Aおよび図15Bから分かるように、選択された接続ビットの先頭からデータ「FFh」が変換されたコードシンボル「00100000010010」終端までのDSVは、接続ビットとして「100」、「010」および「001」を選択した場合、それぞれDSV=+1、DSV=+3およびDSV=+5になる。そのため、DSVが最小になるようにすると、接続ビットとして「100」が選択される。
【0075】
したがって、データ「FF01h」のパターンが繰り返されると、DSVを最小にするように接続ビットとして「000」および「100」がそれぞれ選択され、DSVが+8(=+1+7)ずつ一方的に増加し、発散する方向に向かう。
【0076】
なお、CDに用いられるPCMデータは、量子化数が16ビットとされ、2バイトデータで構成される。また、上述もしたが、CDにおいては、PCMデータが2’sコンプリメントで表現されており、上位ニブルが「0h」または「Fh」でオーディオ信号としてレベルの低いデータとされる。データパターン「FF01h」は、2バイトデータで上位バイトが「FFh」であり、2’コンプリメントにおいては、最大レベルにはならない。そのため、オーディオ信号中にスポット的に挿入した場合の再生音への影響が避けられる。
【0077】
上述のデータ「FAh」および「FBh」によるデータパターン、ならびに、データパターン「FF01h」は、オーディオ信号(PCMデータ)として負の値を取るデータであるが、オーディオ信号として正の値を取るデータに対しても、この発明を適用することができる。図16を用いて、データパターンが「0030h」の場合について説明する。図16は、特殊データとして「0030h」を用いてFEMした場合のDSVと一部の波形を示す。
【0078】
データ「00h」および「30h」は、図5〜図10を参照し、EFMによりコードシンボル「01001000100000」および「00010000010000」にそれぞれ変換される。図16Aに一例が示されるように、データ「00h」が変換されたコードシンボル「10010000010010」とデータ「30h」が変換されたコードシンボル「00010000010000」との間に、3ビットの接続ビットが挿入される。
【0079】
このとき、上述のランレングスリミット条件であるTmax=11、Tmin=3に従えば、接続ビットは、Tmaxの制約に基づき「000」が選択できない。また、図16Aおよび図16Bから分かるように、選択された接続ビットの先頭からデータ「30h」が変換されたコードシンボル「00010000010000」終端までのDSVは、接続ビットとして「100」、「010」および「001」を選択した場合、それぞれDSV=+1、DSV=+3およびDSV=+5になる。したがって、DSVが最小になるようにすると、接続ビットとして「100」が選択される。
【0080】
さらに、データパターン「0030h」において、データ「30h」の次にデータ「00h」が配されるが、データ「30h」が変換されたコードシンボル「00010000010000」とデータ「00h」が変換されたコードシンボル「10010000010010」との間に挿入される接続ビットは、ランレングスリミット条件であるTmax=11、Tmin=3に従えば、「100」および「010」の何れかとなる。また、選択された接続ビットの先頭からデータ「00h」が変換されたコードシンボル「」終端までのDSVは、接続ビットとして「100」および「010」を選択した場合、それぞれDSV=+1およびDSV=+3となる。したがって、DSVが最小になるようにすると、接続ビットとして「100」が選択される。
【0081】
したがって、データ「0030h」のパターンが繰り返されると、DSVを最小にするように接続ビットとして常に「100」が選択され、DSVが+2(=+1+1)ずつ一方的に増加し、発散する方向に向かう。
【0082】
なお、CDに用いられるPCMデータは、量子化数が16ビットとされ、2バイトデータで構成される。データ「0030h」は、2バイトデータで上位バイトが「00h」であり、最大レベルにはならない。そのため、オーディオ信号中にスポット的に挿入した場合の再生音への影響が避けられる。
【0083】
オーディオ信号として正の値であって、DSVが発散する方向へ向かう例は、上述のデータ「0030h」のパターンに限られない。例えば、データ「009Eh」のパターンも、DSVが+4ずつ増加し、発散する方向へ向かう。この場合、データ「00h」とデータ「9Eh」との接続は、接続ビット「100」が選択され、データ「9Eh」とデータ「00h」との接続は、接続ビット「000」が選択される。
【0084】
この発明は、上述したこの発明の一実施形態等に限定されるものでは無く、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。例えばEFM以外の変調方式としてEFMPlusに対してもこの発明を適用することができる。EFMPlusでは、8ビットのデータシンボルを16ビットのコードシンボルに変換するもので、接続ビットを使用しないものである。EFMPlusの場合でも、DSVが絶対値的に増加する特定のデータパターンが存在するので、標準のコード変換テーブルに変更を加えたエンコーダを使用することで、特定のデータパターンであっても、DSVの増加を防止することができる。それによって、この発明が適用されたエンコーダを使用して作成されたオリジナルのディスクか、従来のエンコーダを使用して作成されたコピーのディスクかを判別することが可能となる。
【0085】
この発明は、例えばCD−DAのフォーマットのデータとCD−ROMのフォーマットのデータをそれぞれ記録するマルチセッションの光ディスクに対しても適用できる。また、光ディスクに記録される情報としては、オーディオデータ、ビデオデータ、静止画像データ、文字データ、コンピュータグラフィックデータ、ゲームソフトウェア、およびコンピュータプログラム等の種々のデータが可能である。光ディスクに記録される情報がビデオデータや静止画像データである場合には、例えば、再生映像および/または画像においてより灰色に近い表示を行うデータを、特殊データとして用いることができる。したがって、この発明は、例えばDVDビデオ、DVD−ROMに対しても適用できる。さらに、円板状に限らずカード状のデータ記録媒体に対してもこの発明を適用できる。
【0086】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明は、記録媒体上の所定エリアのデータ列を、ディジタルオーディオ信号のレベルとして極めて低いデータを用い、通常のエンコーダではDSVが所定範囲外となるような特定のパターンデータを、DSVを所定範囲内に制御できるようにされた特殊エンコーダを用いて記録媒体に記録するようにしている。そのため、特定のパターンデータが特殊エンコーダによってエンコードされて所定のエリアに記録された記録媒体は、通常の再生装置で再生した場合に、DSVが所定範囲外になってしまい、再生に不都合が生じるようになり、記録媒体のコピープロテクションを実現できるという効果がある。
【0087】
また、通常のエンコーダではDSVが所定範囲外になるような特定のパターンデータとして、ディジタルオーディオ信号のレベルとして極めて低いデータを用いているため、CDの再生時における再生音の影響を極力避けて、記録媒体のコピープロテクションが実現できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるデータ記録媒体を作成するためのマスタリング装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】CDの1EFMフレームのデータ構成を示す略線図である。
【図3】サブコード部のデータ構成を示す略線図である。
【図4】光ディスクを再生する再生装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図5】EFMの変換テーブルを示す略線図である。
【図6】EFMの変換テーブルを示す略線図である。
【図7】EFMの変換テーブルを示す略線図である。
【図8】EFMの変換テーブルを示す略線図である。
【図9】EFMの変換テーブルを示す略線図である。
【図10】EFMの変換テーブルを示す略線図である。
【図11】接続ビットの選択方法を説明するための略線図である。
【図12】特殊データとして「FAFAh」を用いてFEMした場合のDSVと一部の波形を示す略線図である。
【図13】特殊データとして「FBFBh」を用いてFEMした場合のDSVと一部の波形を示す略線図である。
【図14】特殊データとして「FAFBh」を用いてFEMした場合のDSVと一部の波形を示す略線図である。
【図15】特殊データとして「FF01h」を用いてFEMした場合のDSVと一部の波形を示す略線図である。
【図16】特殊データとして「0030h」を用いてFEMした場合のDSVと一部の波形を示す略線図である。
【図17】ディスクのコピーの流れを説明するためのブロック図である。
【図18】従来の再生処理部の概略を示すブロック図である。
【図19】従来の記録処理部の概略を示すブロック図である。
【符号の説明】
1・・・レーザ、3・・・光ピックアップ、4・・・ガラス原盤、11・・・マルチプレクサ、12・・・EFM変調器、13・・・DSV制御回路、15・・・エリア制御回路、16・・・スイッチ回路

Claims (36)

  1. 所定ビット数のデータシンボルをより多いビット数のコードシンボルに変換することによってランレングスが制約された記録データを生成するディジタル変調方式を使用してディジタルデータが記録されているデータ記録媒体であって、
    上記ランレングスが制約された状態では正常なデータの再生を妨げるおそれを生じさせるほどDSVを増加させ、且つ、再生された際に低い振幅レベルを示すデータを構成するデータパターンが所定位置に記録されることを特徴とするデータ記録媒体。
  2. 請求項1に記載のデータ記録媒体において、
    上記振幅レベルは、オーディオデータレベルであることを特徴とするデータ記録媒体。
  3. 請求項1に記載のデータ記録媒体において、
    上記低い振幅レベルを示すデータは、バイト単位で記録され、バイト単位の上位側の上位ニブルが2’コンプリメント表記で「0h」または「Fh」であることを特徴とするデータ記録媒体。
  4. 請求項3に記載のデータ記録媒体において、
    上記低い振幅レベルを示すデータを構成するデータパターンは、「FAh」からなることを特徴とするデータ記録媒体。
  5. 請求項3に記載のデータ記録媒体において、
    上記低い振幅レベルを示すデータを構成するデータパターンは、「FBh」からなることを特徴とするデータ記録媒体。
  6. 請求項3に記載のデータ記録媒体において、
    上記低い振幅レベルを示すデータは、「FAFBh」であることを特徴とするデータ記録媒体。
  7. 請求項3に記載のデータ記録媒体において、
    上記低い振幅レベルを示すデータは、「FF01h」であることを特徴とするデータ記録媒体。
  8. 請求項3に記載のデータ記録媒体において、
    上記低い振幅レベルを示すデータは、「0030h」であることを特徴とするデータ記録媒体。
  9. 請求項3に記載のデータ記録媒体において、
    上記低い振幅レベルを示すデータは、「009Eh」であることを特徴とするデータ記録媒体。
  10. 請求項1に記載のデータ記録媒体において、
    上記データは、EFMにより変調されることを特徴とするデータ記録媒体。
  11. 請求項1に記載のデータ記録媒体において、
    上記データは、EFMplusにより変調されることを特徴とするデータ記録媒体。
  12. 請求項1に記載のデータ記録媒体において、
    コードシンボル同士の境界に複数ビットの接続ビットが配され、上記接続ビットとして複数のビットパターンを持つものが用意され、
    上記データ内の上記接続ビットが、上記DSVを増加させないように、ランレングスの制約条件を緩めた状態で選択されて記録されることを特徴とするデータ記録媒体。
  13. 所定ビット数のデータシンボルをより多いビット数のコードシンボルに変換することによってランレングスが制約された記録データを生成するディジタル変調方式を使用して記録媒体にディジタルデータを記録するデータ記録方法であって、
    上記ランレングスが制約された状態では正常なデータの再生を妨げるおそれを生じさせるほどDSVを増加させ、且つ、再生された際に低い振幅レベルを示すデータを構成するデータパターンが記録媒体の所定位置に記録されることを特徴とするデータ記録方法。
  14. 請求項13に記載のデータ記録方法において、
    上記振幅レベルは、オーディオデータレベルであることを特徴とするデータ記録方法。
  15. 請求項13に記載のデータ記録方法において、
    上記低い振幅レベルを示すデータは、バイト単位で記録され、バイト単位の上位側の上位ニブルが2’コンプリメント表記で「0h」または「Fh」であることを特徴とするデータ記録方法。
  16. 請求項15に記載のデータ記録方法において、
    上記低い振幅レベルを示すデータを構成するデータパターンは、「FAh」からなることを特徴とするデータ記録方法。
  17. 請求項15に記載のデータ記録方法において、
    上記低い振幅レベルを示すデータを構成するデータパターンは、「FBh」からなることを特徴とするデータ記録方法。
  18. 請求項15に記載のデータ記録方法において、
    上記低い振幅レベルを示すデータは、「FAFBh」であることを特徴とするデータ記録方法。
  19. 請求項15に記載のデータ記録方法において、
    上記低い振幅レベルを示すデータは、「FF01h」であることを特徴とするデータ記録方法。
  20. 請求項15に記載のデータ記録方法において、
    上記低い振幅レベルを示すデータは、「0030h」であることを特徴とするデータ記録方法。
  21. 請求項15に記載のデータ記録方法において、
    上記低い振幅レベルを示すデータは、「009Eh」であることを特徴とするデータ記録方法。
  22. 請求項13に記載のデータ記録方法において、
    上記データは、EFMにより変調されることを特徴とするデータ記録方法。
  23. 請求項13に記載のデータ記録方法において、
    上記データは、EFMplusにより変調されることを特徴とするデータ記録方法。
  24. 請求項13に記載のデータ記録方法において、
    コードシンボル同士の境界に複数ビットの接続ビットが配され、上記接続ビットとして複数のビットパターンを持つものが用意され、
    上記データ内の上記接続ビットが、上記DSVを増加させないように、ランレングスの制約条件を緩めた状態で選択されて記録されることを特徴とするデータ記録方法。
  25. 所定ビット数のデータシンボルをより多いビット数のコードシンボルに変換することによってランレングスが制約された記録データを生成するディジタル変調方式を使用して記録媒体にディジタルデータを記録するデータ記録装置であって、
    上記ランレングスが制約された状態では正常なデータの再生を妨げるおそれを生じさせるほどDSVを増加させ、且つ、再生された際に低い振幅レベルを示すデータを構成するデータパターンが記録媒体の所定位置に記録されることを特徴とするデータ記録装置。
  26. 請求項25に記載のデータ記録装置において、
    上記振幅レベルは、オーディオデータレベルであることを特徴とするデータ記録装置。
  27. 請求項25に記載のデータ記録装置において、
    上記低い振幅レベルを示すデータは、バイト単位で記録され、バイト単位の上位側の上位ニブルが2’コンプリメント表記で「0h」または「Fh」であることを特徴とするデータ記録装置。
  28. 請求項27に記載のデータ記録装置において、
    上記低い振幅レベルを示すデータを構成するデータパターンは、「FAh」からなることを特徴とするデータ記録装置。
  29. 請求項27に記載のデータ記録装置において、
    上記低い振幅レベルを示すデータを構成するデータパターンは、「FBh」からなることを特徴とするデータ記録装置。
  30. 請求項27に記載のデータ記録装置において、
    上記低い振幅レベルを示すデータは、「FAFBh」であることを特徴とするデータ記録装置。
  31. 請求項27に記載のデータ記録装置において、
    上記低い振幅レベルを示すデータは、「FF01h」であることを特徴とするデータ記録装置。
  32. 請求項27に記載のデータ記録装置において、
    上記低い振幅レベルを示すデータは、「0030h」であることを特徴とするデータ記録装置。
  33. 請求項27に記載のデータ記録装置において、
    上記低い振幅レベルを示すデータは、「009Eh」であることを特徴とするデータ記録装置。
  34. 請求項25に記載のデータ記録装置において、
    上記データは、EFMにより変調されることを特徴とするデータ記録装置。
  35. 請求項25に記載のデータ記録装置において、
    上記データは、EFMplusにより変調されることを特徴とするデータ記録装置。
  36. 請求項23に記載のデータ記録装置において、
    コードシンボル同士の境界に複数ビットの接続ビットが配され、上記接続ビットとして複数のビットパターンを持つものが用意され、
    上記データ内の上記接続ビットが、上記DSVを増加させないように、ランレングスの制約条件を緩めた状態で選択されて記録されることを特徴とするデータ記録装置。
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