JP4129101B2 - 車両の自動操舵装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドライバーのステアリング操作によらずに車両を車庫入れするための車両の自動操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
かかる車両の自動操舵装置は特開平3−74256号公報、特開平4−55168号公報により既に知られている。これらの車両の自動操舵装置は、従来周知の電動パワーステアリング装置のアクチュエータを利用し、予め記憶した車両の移動距離と転舵角との関係に基づいて前記アクチュエータを制御することにより、バック駐車や縦列駐車を自動で行うようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来のものは、車両が予め記憶された移動軌跡を通ってスタート位置から駐車位置まで移動するため、スタート位置がずれると駐車位置もずれてしまう問題がある。また駐車位置の周囲の状況(例えば、左右両側に駐車されている他車両の位置等)を考慮していないので、最終的な駐車位置が周囲の状況に応じて決まる適切な駐車位置からずれてしまう場合がある。
【0004】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、自動操舵制御を開始するスタート位置のずれや駐車位置の周囲の状況に関わらず、常に適切な駐車位置に駐車できるようにすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、スタート位置から駐車位置までの車両の移動軌跡を記憶または算出する移動軌跡設定手段と、車輪を転舵するステアリングアクチュエータと、車両周辺の物体の有無を検出する物体検出手段と、移動軌跡設定手段により設定された車両の移動軌跡および物体検出手段の検出結果に基づいてステアリングアクチュエータの駆動を制御するアクチュエータ制御手段とを備えた車両の自動操舵装置において、前記アクチュエータ制御手段は、転舵角に基づいて車両の移動軌跡を複数の領域に分割、物体検出手段の検出結果から前記スタート位置と車両の最適スタート位置とのずれを求めて、前記ずれに基づいて前記複数の領域の少なくとも一つの領域の移動軌跡を修正することを特徴とする車両の自動操舵装置が提案される。
【0006】
上記構成によれば、車両の移動軌跡を転舵角に基づいて複数の領域に分割し、前記複数の領域の少なくとも一つの領域の移動軌跡を物体検出手段の検出結果から求めた前記スタート位置と車両の最適スタート位置とのずれに基づいて修正することにより、スタート位置における車両の位置ずれや角度ずれの影響を補償して車両を駐車位置に正しく誘導することができる。また移動軌跡を転舵角に応じて複数の領域に分割することにより、各領域での車両Vの運動が規則的になるため、移動軌跡の修正が単純化されて制御が容易になる。
【0007】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記アクチュエータ制御手段は、物体検出手段の検出結果から車両の周囲の状況を求めて、前記周囲の状況に基づいて前記修正を行うことを特徴とする車両の自動操舵装置が提案される。
【0008】
上記構成によれば、スタート位置における車両の位置ずれや角度ずれの影響ばかりでなく、周囲の障害物の影響を補償して車両を駐車位置に正しく誘導することができる。
【0009】
また請求項に記載された発明によれば、請求項1または2の構成に加えて、前記移動軌跡は、車両の移動距離に対する転舵角の関係として設定されることを特徴とする車両の自動操舵装置が提案される。
【0010】
上記構成によれば、移動軌跡が車両の移動距離に対する転舵角の関係として設定されるので、自動操舵制御中に車速が変化しても車両を駐車位置に正しく誘導することができる。
【0011】
また請求項に記載された発明によれば、請求項1〜3の何れかの構成に加えて、前記複数の領域は、転舵角が0に保持される直進部、転舵角が0以外の所定値に保持される保舵部および転舵角が変化する転舵部の何れかであることを特徴とする車両の自動操舵装置が提案される。
【0012】
上記構成によれば、移動軌跡の複数の領域が、転舵角が0に保持される直進部、転舵角が0以外の所定値に保持される保舵部および転舵角が変化する転舵部の何れかであるので、移動軌跡の修正が更に単純化されて制御が容易になる。
【0013】
また請求項に記載された発明によれば、請求項1〜の何れかの構成に加えて、前記アクチュエータ制御手段は、スタート位置および駐車位置間のシフトチェンジ位置と、物体検出手段で検出した物体とが所定の関係となるように移動軌跡を修正することを特徴とする車両の自動操舵装置が提案される。
【0014】
上記構成によれば、スタート位置および駐車位置間のシフトチェンジ位置と、物体検出手段で検出した物体とが所定の関係となるように移動軌跡を修正するので、スタート位置からシフトチェンジ位置までの移動軌跡を修正するだけで、シフトチェンジ位置から駐車位置までの移動軌跡を修正することなく、車両を駐車位置に正しく誘導することができる。しかも移動軌跡の修正によりシフトチェンジ位置を変化させて物体との干渉を回避することができる。
【0015】
尚、実施例の制御部22は本発明のアクチュエータ制御手段に対応し、実施例の記憶部23は本発明の移動軌跡設定手段に対応し、実施例の前輪Wfは本発明の車輪に対応する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例と参考例とに基づいて説明する。
【0017】
図1〜図32は本発明の第1実施例を示すもので、図1は操舵制御装置を備えた車両の全体構成図、図2は移動軌跡Xに対する規範転舵角θrefの関係を示す図、図3はモード選択スイッチおよび自動駐車スタートスイッチを示す図、図4はバック駐車/左モードの移動軌跡を示す図、図5はバック駐車/左モードの最適駐車位置の設定手法を示す図、図6は理想的なバック駐車/左モードの作用説明図、図7および図8はバック駐車/左モードでスタート位置が後側にずれたときの作用説明図、図9〜図11はバック駐車/左モードで車両がスタート位置で左に傾いたときの作用説明図、図12および図13はバック駐車/左モードでスタート位置が右側にずれたときの作用説明図、図14〜図18はバック駐車/左モードでスタート位置が右側にずれ、かつ右側に障害物が存在するときの作用説明図、図19〜図23はバック駐車/左モードで前側に障害物が存在するときの作用説明図、図24は理想的な縦列駐車/左モードの説明図、図25は縦列駐車/左モードの最適駐車位置の設定手法を示す図、図26および図27は縦列駐車/左モードでスタート位置が後側にずれたときの作用説明図、図28〜図30は縦列駐車/左モードでスタート位置が右側にずれたときの作用説明図、図31および図32は縦列駐車/左モードで車両がスタート位置で右に傾いたときの作用説明図である。
【0018】
図1に示すように、車両Vは一対の前輪Wf,Wfおよび一対の後輪Wr,Wrを備える。ステアリングホイール1と操舵輪である前輪Wf,Wfとが、ステアリングホイール1と一体に回転するステアリングシャフト2と、ステアリングシャフト2の下端に設けたピニオン3と、ピニオン3に噛み合うラック4と、ラック4の両端に設けた左右のタイロッド5,5と、タイロッド5,5に連結された左右のナックル6,6とによって接続される。ドライバーによるステアリングホイール1の操作をアシストすべく、あるいは後述する車庫入れのための自動操舵を行うべく、電気モータよりなるステアリングアクチュエータ7がウオームギヤ機構8を介してステアリングシャフト2に接続される。
【0019】
操舵制御装置21は制御部22と記憶部23とから構成されており、制御部22には、ステアリングホイール1の回転角である転舵角θを検出する転舵角検出手段S1 と、ステアリングホイール1の操舵トルクTを検出する操舵トルク検出手段S2 と、左右の前輪Wf,Wfの回転角を検出する前輪回転角検出手段S3,S3 と、ブレーキペダル9の操作量を検出するブレーキ操作量検出手段S4 と、セレクトレバー10により選択されたシフトレンジ(「D」レンジ、「R」レンジ、「N」レンジ、「P」レンジ等)を検出するシフトレンジ検出手段S5 と、車両Vの前部、中央部および後部に設けられた合計8個の物体検出手段S8 …とからの信号が入力される。物体検出手段S8 …は公知のソナー、レーダー、テレビカメラ等から構成される。尚、8個の物体検出手段S8 …と制御部22とを接続するラインは、図面の煩雑化を防ぐために省略してある。
【0020】
図3を併せて参照すると明らかなように、ドライバーにより操作されるモード選択スイッチS6 および自動駐車スタートスイッチS7 が制御部22に接続される。モード選択スイッチS6 は、後述する4種類の駐車モード、即ちバック駐車/右モード、バック駐車/左モード、縦列駐車/右モードおよび縦列駐車/左モードの何れかを選択する際に操作される4個のボタンを備える。自動駐車スタートスイッチS7 は、モード選択スイッチS6 で選択した何れかのモードによる自動駐車を開始する際に操作される。
【0021】
記憶部23には、前記4種類の駐車モードのデータ、即ち車両Vの移動距離Xに対する規範転舵角θrefの関係が、予めテーブルとして記憶されている。車両Vの移動距離Xは、既知である前輪Wfの周長に前輪回転角検出手段S3 ,S3 で検出した前輪Wfの回転角を乗算することにより求められる。尚、前記移動距離Xの算出には、左右一対の前輪回転角検出手段S3 ,S3 の出力のハイセレクト値、ローセレクト値、あるいは平均値が使用される。
【0022】
制御部22は、前記各検出手段S1 〜S5 ,S8 …およびスイッチS6 ,S7からの信号と、記憶部23に記憶された駐車モードのデータとに基づいて、前記ステアリングアクチュエータ7の作動と、液晶モニター、スピーカ、ランプ、チャイム、ブザー等を含む操作段階教示装置11の作動とを制御する。
【0023】
次に、前述の構成を備えた本発明の実施例の作用について説明する。
【0024】
自動駐車を行わない通常時(前記モード選択スイッチS6 が操作されていないとき)には、操舵制御装置21は一般的なパワーステアリング制御装置として機能する。具体的には、ドライバーが車両Vを旋回させるべくステアリングホイール1を操作すると、操舵トルク検出手段S2 がステアリングホイール1に入力された操舵トルクTを検出し、制御部22は前記操舵トルクTに基づいてステアリングアクチュエータ7の駆動を制御する。その結果、ステアリングアクチュエータ7の駆動力によって左右の前輪Wf,Wfが転舵され、ドライバーのステアリング操作がアシストされる。
【0025】
次に、バック駐車/左モード(車両Vの左側にある駐車位置にバックしながら駐車するモード)を例にとって、自動操舵制御の内容を説明する
【0026】
先ず、図4に実線で示すように、ドライバー自身のステアリング操作により車両Vを駐車しようとする車庫の近傍に移動させ、車体の左側面を車庫入口線にできるだけ近づけた状態で、予め決められた基準(例えば、ドアの内側に設けられたマークやサイドミラー)が車庫の中心線に一致する最適スタート位置P1 ′に車両Vを停止させる。そして、モード選択スイッチS6 を操作してバック駐車/左モードを選択するとともに自動駐車スタートスイッチS7 をONすると、自動操舵制御が開始される。自動操舵制御が行われている間、操作段階教示装置11には自車の現在位置、周囲の障害物、最適シフトチェンジ位置Ps′、最適駐車位置P2 ′、スタート位置P1 からシフトチェンジ位置Psを経て駐車位置P2までの自車の予想移動軌跡等が表示され、併せてスピーカからの音声でドライバーに前記シフトチェンジ位置Psにおけるセレクトレバー10の操作等の各種の指示や警報が行われる。
【0027】
自動操舵制御により、ドライバーがブレーキペダル9を緩めて車両Vをクリープ走行させるだけでステアリングホイール1を操作しなくても、モード選択スイッチS6 により選択されたバック駐車/左モードのデータに基づいて前輪Wf,Wfが自動操舵される。即ち、スタート位置P1 らシフトチェンジ位置Psまで車両Vが前進する間は前輪Wf,Wfは右に自動操舵され、シフトチェンジ位置Psから駐車位置P2 まで車両Vが後進する間は前輪Wf,Wfは左に自動操舵される。
【0028】
図2から明らかなように、自動操舵が行われている間、制御部22は記憶部23から読み出したバック駐車/左モードの規範転舵角θrefと、転舵角検出手段S1 から入力された転舵角θとに基づいて偏差E(=θref−θ)を算出し、その偏差Eが0になるようにステアリングアクチュエータ7の作動を制御する。このとき、規範転舵角θrefのデータは車両Vの移動距離Xに対応して設定されているため、クリープ走行の車速に多少の変動があっても車両Vは常に前記移動軌跡上を移動することになる。
【0029】
上記自動操舵制御はドライバーがブレーキペダル9を踏んで車両Vがクリープ走行する間に実行されるため、ドライバーが障害物を発見したときに速やかにブレーキペダル9を踏み込んで車両Vを停止させることができる。
【0030】
上述した自動操舵制御は、ドライバーがモード選択スイッチS6 をOFFした場合に中止されるが、それ以外にもドライバーがブレーキペダル9から足を離した場合、ドライバーがステアリングホイール1を操作した場合に中止され、通常のパワーステアリング制御に復帰する。
【0031】
ところで、自動操舵制御を開始すべく車両Vをスタート位置に停止させる際に、実際に車両Vが停止するスタート位置P1 が最適スタート位置P1 ′からずれる場合がある。このような場合、自動操舵制御により図4に実線で示す移動軌跡を通って最適駐車位置P2 ′に達するはずの車両Vが、ずれたスタート位置P1によって図4に破線で示す移動軌跡を通り、誤った駐車位置P2 に導かれてしまう。また駐車位置の周囲の状況(左右両側に他車両が駐車しているか、左右片側に他車両が駐車しているか、あるいは左右両側に他車両が駐車していないか)によって、最適駐車位置P2 ′が異なってくる。そこで、本実施例では車両Vがスタート位置P1 に停止したときに、物体検出手段S8 …で検出した周囲の状況(物体検出手段S8 …がソナーやレーダーである場合には主として他車両や壁等、物体検出手段S8 …がテレビカメラである場合には主として白線等)に基づいて、最適駐車位置P2 ′を求める。
【0032】
図5は、バック駐車/左モードにおける最適駐車位置P2 ′を求める手法を説明するものである。図5(A)は駐車位置の左右両側に障害物となる他車両がある場合を示すもので、この場合には最適駐車位置P2 ′を左右の他車両の間隔Lの中央に、即ち車体中心線が左右の他車両からそれぞれα(=L/2)の距離になるように設定する。尚、前記間隔Lが自車が駐車可能な間隔よりも狭い場合には自車の移動経路上に障害物が有ると判定し、操作段階教示装置11により画像および音声でドライバーに報知する。
【0033】
図5(B)は駐車位置の右側に他車両がある場合を示すもので、この場合には駐車した自車が右ドアを開けるスペースを確保するために、自車の右側面と他車両の左側面との間にドア開閉のための距離Aを確保し得る位置に最適駐車位置P2 ′を設定する。従って、車幅をBとすると、自車が最適駐車位置P2 ′にあるとき、車体中心線と他車両との距離αがα=A+B/2となるように設定する。
【0034】
また駐車位置の左側に他車両がある場合には、他車両が右ドアを開けるスペースを確保するために、自車の左側面と他車両の右側面との間に距離Aを確保すべく、車体中心線と他車両との距離αがα=A+B/2となる位置に最適駐車位置P2 ′を設定する。更に、駐車位置の左右両側に障害物が無い場合には、最適駐車位置P2 ′の設定は行わず、スタート位置から推定される駐車位置をそのまま最適駐車位置P2 ′として採用する。
【0035】
尚、図5(A),(B)の最適駐車位置P2 ′の設定は物体検出手段S6 …がソナーやレーダーの場合であり、物体検出手段S6 …がテレビカメラの場合には、駐車位置の左右の白線の中央に最適駐車位置P2 ′を設定する。また左右の白線が検出できない場合には最適駐車位置P2 ′の設定は行わず、スタート位置から推定される駐車位置を最適駐車位置P2 ′として採用する。
【0036】
図6には、最適スタート位置P1 ′から最適シフトチェンジ位置Ps′を経て最適駐車位置P2 ′に車両Vを導くバック駐車/左モードの適正な移動軌跡が示される。適正な移動軌跡は、最適スタート位置P1 ′に続く前進直進部aと、前進直進部aに続く右転舵部と、この右転舵部に続く右保舵部bと、右保舵部bに続く左転舵部と、この左転舵部に続いて最適シフトチェンジ位置Ps′に達する前進直進部cと、前進直進部cに続く左転舵部と、この左転舵部に続く左保舵部dと、左保舵部dに続く右転舵部と、この右転舵部に続いて最適駐車位置P2 ′に達する後進直進部eとから成っている。尚、この移動軌跡は、車両Vの横方向の移動距離Bを平均的な駐車場の通路幅程度に設定したときに、車両Vの前後方向の移動距離Tが最小になるように設定されている。また移動軌跡を転舵角θrefに応じて複数の領域に分割することにより、各領域での車両Vの運動が規則的になるため、移動軌跡の修正が単純化されて制御が容易になる。
【0037】
次に、誤ったスタート位置P1 から最適駐車位置P2 ′に車両Vを導くために移動軌跡の修正手法を、バック駐車/左モードで駐車位置の両側に障害物がある場合を例にとって説明する。尚、以下の図7〜図32において、特に断りのない限り、破線は修正の必要がない最適スタート位置P1 ′、最適シフトチェンジ位置Ps′および最適駐車位置P2 ′と、それらを結ぶ車両Vの移動軌跡とを示しており、また実線は修正前のあるいは修正後のスタート位置P1 、シフトチェンジ位置Psおよび駐車位置P2 と、それらを結ぶ車両Vの移動軌跡とを示している。
【0038】
図7および図8は、スタート位置P1 が最適スタート位置P1 ′よりもΔaだけ後側(図中右側)にずれた例を示している。図7に実線で示すように、スタート位置P1 が最適スタート位置P1 ′よりもΔaだけ図中右側にずれると、シフトチェンジ位置Psおよび駐車位置P2 もΔaだけ図中右側にずれてしまう。そこで、図8に示すように、スタート位置P1 直後の前進直進部aをΔaだけ延長することにより、シフトチェンジ位置Psおよび駐車位置P2 を、最適シフトチェンジ位置Ps′および最適駐車位置P2 ′に一致させることができる。
【0039】
逆に、スタート位置P1 が最適スタート位置P1 ′よりもΔaだけ図中左側にずれた場合には、スタート位置P1 直後の前進直進部aをΔaだけ短縮することにより、シフトチェンジ位置Psおよび駐車位置P2 を、最適シフトチェンジ位置Ps′および最適駐車位置P2 ′に一致させることができる。但し、Δaが前進直進部aよりも長い場合には上記手法では修正不能であるため、スタート位置P1 を後側(図中右側)にずらすように、操作段階教示装置11により画像および音声でドライバーに報知する。スタート位置P1 が最適スタート位置P1 ′よりもΔaだけ図中右側にずれた場合にも、Δaが予め設定した閾値を越えた場合に限り、スタート位置P1 を前側(図中左側)にずらすようにドライバーに報知しても良い。
【0040】
図9および図10は、スタート位置P1 が最適スタート位置P1 ′に一致しているが、車両Vが左向きに角度βだけ傾いた例を示している。図9に実線で示すように、スタート位置P1 において車両Vが角度βだけ左向きに傾いていると、シフトチェンジ位置Psにおいて車両Vが角度βだけ左向きに傾くとともに図中下側にずれてしまい、かつ駐車位置P2 において車両Vが角度βだけ左向きに傾くとともに図中右側にずれてしまう。
【0041】
この場合には、2種類の修正手法が考えられる。第1の手法は、図10に示すように、スタート位置P1 からシフトチェンジ位置Psまでの自動操舵制御の過程で右保舵部bをΔbだけ延長することである。これにより、車両Vの右旋回量が角度βだけ増加するとともに、車両Vの図中上側への移動量が増加するため、車両Vの角度を含むシフトチェンジ位置Psを最適シフトチェンジ位置Ps′に一致させることができる。従って、最適シフトチェンジ位置Ps′から最適駐車位置P2 ′まで予め記憶された移動軌跡に基づいて自動操舵制御を行うだけで、車両Vを最適駐車位置P2 ′に正しく導くことができる。
【0042】
第2の手法は、図11に示すように、予め記憶された移動軌跡に基づいてスタート位置P1 からシフトチェンジ位置Psまでの自動操舵制御を行った後に、シフトチェンジ位置Ps以降の自動操舵制御の過程で左保舵部dをΔdだけ延長することである。これにより、車両Vの左旋回量が角度βだけ増加するため、車両Vの傾斜角度を含む駐車位置P2 を最適駐車位置P2 ′に一致させることができる。
【0043】
逆に、スタート位置P1 で車両Vが右向きに角度βだけ傾いた場合には、前述とは逆に、スタート位置P1 からシフトチェンジ位置Psまでの自動操舵制御の過程で右保舵部bをΔbだけ短縮するか、あるいはシフトチェンジ位置Ps以降の自動操舵制御の過程で左保舵部dをΔdだけ短縮すれば良い。但し、Δbが右保舵部bよりも長い場合、あるいはΔdが左保舵部dよりも長い場合には上記手法では修正不能であるため、スタート位置P1 での車両Vの角度を真っ直ぐに修正するように、操作段階教示装置11により画像および音声でドライバーに報知する。スタート位置P1 で車両Vが左向きに角度βだけ傾いた場合にも、角度βが予め設定した閾値を越えた場合に限り、車両Vの角度を真っ直ぐに修正するようにドライバーに報知しても良い。
【0044】
図12および図13は、スタート位置P1 が最適スタート位置P1 ′よりもΔeだけ右側(図中上側)にずれた例を示している。図12に実線で示すように、スタート位置P1 が最適スタート位置P1 ′よりもΔeだけ図中上側にずれると、シフトチェンジ位置Psおよび駐車位置P2 もΔeだけ図中上側にずれてしまう。そこで、図13に示すように、駐車位置P2 直前の後進直進部eをΔeだけ延長することにより、駐車位置P2 を最適駐車位置P2 ′に一致させることができる。
【0045】
逆に、スタート位置P1 が最適スタート位置P1 ′よりもΔeだけ図中下側にずれた場合には、駐車位置P2 直前の後進直進部eをΔeだけ短縮することにより、駐車位置P2 を最適駐車位置P2 ′に一致させることができる。但し、Δeが後進直進部eよりも長い場合には上記手法では修正不能であるため、スタート位置P1 を右側(図中上側)にずらすように、操作段階教示装置11により画像および音声でドライバーに報知する。スタート位置P1 が最適スタート位置P1′よりもΔeだけ図中上側にずれた場合にも、Δeが予め設定した閾値を越えた場合に限り、スタート位置P1 を左側(図中下側)にずらすようにドライバーに報知しても良い。
【0046】
図14〜図18は、スタート位置P1 が最適スタート位置P1 ′よりもΔeだけ右側(図中上側)にずれており、かつスタート位置P1 の右側に障害物が存在するためにシフトチェンジ位置Psで車両Vが障害物と干渉する例を示している。この場合、図14に示すように、スタート位置P1 およびシフトチェンジ位置Ps間の横方向移動距離Bを小さくしないと、シフトチェンジ位置Psで車両Vが障害物と干渉してしまう。そのために、図15に示すように、スタート位置P1 およびシフトチェンジ位置Ps間の右保舵部bをΔbだけ短縮してb′にすることにより、シフトチェンジ位置Psを左側(図中下側)に移動させて障害物と干渉しないようにする。
【0047】
しかしながら、右保舵部をbからb′に短縮すると車両Vの右方向への旋回量が減少するため、図15に示すように、シフトチェンジ位置Psにおける車両Vの向きが本来の向きよりも角度βだけ左向きになってしまう。従って、シフトチェンジ位置Psから駐車位置P2 まで車両Vを後進させると、駐車位置P2 において車両Vの向きが角度βだけ左向きになってしまう。そこで、図16に示すように、シフトチェンジ位置Psおよび駐車位置P2 間の左保舵部dをΔdだけ延長し、車両Vの旋回量を角度βだけ増加させて駐車位置P2 での車両Vの向きを車庫と平行にする。
【0048】
しかしながら、シフトチェンジ位置Psが最適シフトチェンジ位置Ps′よりも距離Δaだけ図中右側にずれているため、駐車位置P2 が最適駐車位置P2 ′よりも距離Δaだけ図中右側にずれてしまう(図16参照)。そこで、図17に示すように、スタート位置P1 直後の前進直進部aをΔaだけ延長することにより、駐車位置P2 を車庫の中心線上に位置させることができる。上記修正を行っても、最初のスタート位置P1 が最適スタート位置P1 ′よりも右側(図中上側)にずれていることから、図17の駐車位置P2 も前側(図中上側)に距離Δeだけずれてしまう。そこで、図18に示すように、駐車位置P2 直前の後進直進部eをΔeだけ延長することにより、最終的な駐車位置P2 を最適駐車位置P2′に一致させることができる。而して、シフトチェンジ位置Psを障害物の状況に応じて設定するので、シフトチェンジ位置Psで車両Vが障害物と干渉するのを防止することができる。
【0049】
尚、移動軌跡を如何に修正しても車両Vを最適駐車位置P2 ′に導くことができない場合には、操作段階教示装置11により画像および音声でドライバーに報知する。
【0050】
図19〜図23は、スタート位置P1 の前側に障害物が存在するためにシフトチェンジ位置Psで車両Vが障害物と干渉する例を示している。この場合、図19に示すように、スタート位置P1 およびシフトチェンジ位置Ps間の前後方向移動距離Tを小さくしないと、シフトチェンジ位置Psで車両Vが障害物と干渉してしまう。そのために、図20に示すように、スタート位置P1 およびシフトチェンジ位置Ps間の右保舵部bをΔbだけ延長してb+Δbにすることにより、シフトチェンジ位置Psを右側(図中上側)に移動させて障害物と干渉しないようにする。
【0051】
しかしながら、右保舵部bをΔbだけ延長すると車両Vの右方向への旋回量が増加するため、図20に示すように、シフトチェンジ位置Psにおける車両Vの向きが本来の向きよりも角度βだけ右向きになってしまう。従って、シフトチェンジ位置Psから駐車位置P2 まで車両Vを後進させると、駐車位置P2 において車両Vの向きが角度βだけ右向きになってしまう。そこで、図21に示すように、シフトチェンジ位置Psおよび駐車位置P2 間の左保舵部dをΔdだけ短縮してd′にし、車両Vの旋回量を角度βだけ減少させて駐車位置P2 での車両Vの向きを車庫と平行にする。
【0052】
しかしながら、上記修正によって駐車位置P2 は最適駐車位置P2 ′よりも図中左側にΔaだけずれ、かつ図中上側にΔeだけずれてしまう(図21参照)。そこで、図22に示すように、スタート位置P1 直後の前進直進部aをΔaだけ短縮してa′にすることにより、駐車位置P2 を車庫の中心線上に位置させることができる。更に、図23に示すように、駐車位置P2 直前の後進直進部eをΔeだけ延長することにより、最終的な駐車位置P2 を最適駐車位置P2 ′に一致させることができる。而して、シフトチェンジ位置Psを障害物の状況に応じて設定するので、シフトチェンジ位置Psで車両Vが障害物と干渉するのを防止することができる。
【0053】
尚、移動軌跡を如何に修正しても車両Vを最適駐車位置P2 ′に導くことができない場合には、操作段階教示装置11により画像および音声でドライバーに報知する。
【0054】
以上、バック駐車/左モードを例にとって移動軌跡の修正手法を説明したが、スタート位置P1 のずれや障害物の存在が複数同時に発生した場合には、それぞれの修正手法を組み合わせることにより対処する
【0055】
以下、縦列駐車/左モードにおける移動軌跡の修正手法について説明する。
【0056】
先ず、図24に基づいて理想的な縦列駐車/左モードの作用を説明する。最適スタート位置P1 ′から最適シフトチェンジ位置Ps′までの前進経路は前進直進部aから構成され、最適シフトチェンジ位置Ps′から最適駐車位置P2 ′までの後進経路は、左転舵部と、この左転舵部に続く左保舵部bと、左保舵部bに続く右転舵部と、この右転舵部に続く後進直進部cと、後進直進部cに続く右転舵部と、この右転舵部に続く右保舵部d、右保舵部dに続く左転舵部と、この左転舵部に続く後進直進部eとから構成される。上記自動操舵制御により、車両Vは最適スタート位置P1 ′から左側に横方向移動距離Yだけずれた最適駐車位置P2 ′に導かれる。
【0057】
図25(A)は、前後に障害物が存在する場合の最適駐車位置P2 ′を示している。この場合の最適駐車位置P2 ′は、前後の障害物のうち道路の中央側に張り出した障害物(図において自車の後側の障害物)の右側面に自車の右側面が一致し、かつ自車の前側の障害物との間に自車が脱出できるだけの距離Cが確保される位置に設定される。図25(B)は、自車の後側だけに障害物が存在する場合の最適駐車位置P2 ′を示している。この場合の最適駐車位置P2 ′は、後側の障害物の右側面に自車の右側面が一致し、かつ後側の障害物が車両である場合を考慮して、該車両が自車と干渉せずに脱出できるだけの距離Cが確保される位置に設定される。上記何れの場合も、最適駐車位置P2 ′が車幅Bの中心線上に設定されるのは勿論である。
【0058】
図26および図27は、スタート位置P1 が最適スタート位置P1 ′に対して後側(図中下側)にΔaだけずれている例を示している。この場合、移動軌跡の修正を行わないと、図26に示すように、駐車位置P2 も最適駐車位置P2 ′に対して後側(図中下側)にΔaだけずれてしまう。そこで、図27に示すように、スタート位置P1 直後の前進直進部aをΔaだけ延長することにより、シフトチェンジ位置Psを最適シフトチェンジ位置Ps′に一致させて駐車位置P2 を最適駐車位置P2 ′に一致させることができる。
【0059】
またスタート位置P1 が最適スタート位置P1 ′に対して前側(図中上側)にΔaだけずれている場合には、逆にスタート位置P1 直後の前進直進部aをΔaだけ短縮することにより、駐車位置P2 を最適駐車位置P2 ′に一致させることができる。但し、Δaが前進直進部aよりも長い場合には上記手法では修正不能であるため、スタート位置P1 を後側(図中下側)にずらすように、操作段階教示装置11により画像および音声でドライバーに報知する。スタート位置P1 が最適スタート位置P1 ′よりもΔaだけ後側(図中下側)にずれた場合にも、Δaが予め設定した閾値を越えた場合に限り、スタート位置P1 を前側(図中下側)にずらすようにドライバーに報知しても良い。
【0060】
図28〜図30は、スタート位置P1 が最適スタート位置P1 ′に対して右側(図中右側)にΔYだけずれている例を示している。この場合、移動軌跡の修正を行わないと、図28に示すように、駐車位置P2 も最適駐車位置P2 ′に対して右側(図中右側)にΔYだけずれてしまう。そこで、図29に示すように、シフトチェンジ位置Psから駐車位置P2 に後進走行する過程の後進直進部cをΔcだけ延長する。前記Δcは、その左右方向成分が最初の左右方向のずれ量であるΔYに一致するように設定されており、従って駐車位置P2 において車両Vの左右方向位置は最適駐車位置P2 ′の左右方向位置に一致する。
【0061】
しかしながら、上記修正の過程で前記Δcの前後方向成分であるΔaのずれが発生するため、駐車位置P2 が最適駐車位置P2 ′に対してΔaだけ後側(図中下側)にずれてしまう(図29参照)。そこで、図30に示すように、スタート位置P1 直後の前進直進部aをΔaだけ延長することにより、駐車位置P2 を前側(図中上側)にΔaだけ移動させて最適駐車位置P2 ′に一致させることができる。
【0062】
逆に、スタート位置P1 が最適スタート位置P1 ′に対して左側(図中左側)にΔYだけずれている場合には、後進直進部cをΔcだけ短縮するとともに、前進直進部aをΔaだけ短縮することにより、駐車位置P2 を最適駐車位置P2 ′に一致させることができる。但し、Δcが後進直進部cよりも長い場合、あるいはΔaが前進直進部aよりも長い場合には上記手法では修正不能であるため、スタート位置P1 を右側(図中右側)にずらすように、操作段階教示装置11により画像および音声でドライバーに報知する。スタート位置P1 が最適スタート位置P1 ′よりもΔaだけ右側(図中右側)にずれた場合にも、ΔcあるいはΔaが予め設定した閾値を越えた場合に限り、スタート位置P1 を左側(図中左側)にずらすようにドライバーに報知しても良い。
【0063】
図31および図32は、スタート位置P1 が最適スタート位置P1 ′に一致しているが、スタート位置P1 での車両Vの向きが角度βだけ右側にずれている例を示している。この場合、移動軌跡の修正を行わないと、図31に示すように、駐車位置P2 が最適駐車位置P2 ′に対して前側(図中上側)にずれてしまい、しかも駐車位置P2 での車両Vの向きが角度βだけ右側にずれてしまう。そこで、図32に示すように、シフトチェンジ位置Psから駐車位置P2 に後進走行する過程の右保舵部dをΔdだけ延長する。これにより、延長された右保舵部d+Δdでの車両Vの右旋回量が増加するとともに車両Vの後進距離が増加し、車両Vは左右に傾くことなく最適駐車位置P2 ′に正しく導びかれる。
【0064】
逆に、スタート位置P1 での車両Vの向きが角度βだけ左側にずれている場合には、シフトチェンジ位置Psから駐車位置P2 に後進走行する過程の右保舵部dをΔdだけ短縮することにより、車両Vは左右に傾くことなく、かつ左右に位置ずれすることなく最適駐車位置P2 ′に導びかれる。但し、Δdが右保舵部dよりも長い場合には上記手法では修正不能であるため、スタート位置P1 での車両Vの傾きを修正するように、操作段階教示装置11により画像および音声でドライバーに報知する。スタート位置P1 が最適スタート位置P1 ′で角度βだけ右側にずれている場合にも、Δdが予め設定した閾値を越えた場合に限り、車両Vの角度βを修正するようにドライバーに報知しても良い。
【0065】
以上、縦列駐車/左モードを例にとって移動軌跡の修正手法を説明したが、スタート位置P1 のずれが複数同時に発生した場合には、それぞれの修正手法を組み合わせることにより対処する
【0066】
次に、図33〜図35に基づいて本発明の第2実施例を説明する
【0067】
図33(A)において、車両Vがスタート位置P1 に停止すると、障害物検出手段S8 …により検出した車庫の周囲の物体に基づいて第1実施例と同様に最適駐車位置P2 ′を決定する。続いて、最適駐車位置P2 ′に車両Vを導くための最適シフトチェンジ位置Ps′を、車庫の周囲の物体Zからの距離Lと、最適駐車位置P2 ′からの距離Tと、最適シフトチェンジ位置Ps′での車両Vの傾斜角度β0 により設定する。この最適シフトチェンジ位置Ps′は、図2の規範転舵角θrefの後半の後進部分をそのまま実行することにより、車両Vを最適駐車位置P2 ′に導くことができる位置である。従って、スタート位置P1 がずれていても、規範転舵角θrefの前半の前進部分を修正して車両Vをスタート位置P1 から最適シフトチェンジ位置Ps′に導びけば、それ以後の修正を必要とせずに車両Vを最適駐車位置P2 ′に導くことができる。
【0068】
尚、最適シフトチェンジ位置Ps′を物体Zからの距離Lを基準として設定する代わりに、図33(B)に示すように、車庫の反対側の物体Yからの距離L′を基準として設定することもできる。
【0069】
次に、移動軌跡の修正の具体的手法について説明する。
【0070】
図34は最適スタート位置P1 ′から最適シフトチェンジ位置Ps′までの規範転舵角θrefを示すもので、最適スタート位置P1 ′直後の前進直進部aと、前進直進部aに続く右転舵部と、この右転舵部に続く右保舵部bと、右保舵部bに続く左転舵部と、この左転舵部に続いて最適シフトチェンジ位置Ps′に連なる前進直進部cとから構成される。
【0071】
図35(A)〜(D)にスタート位置P 1 から最適シフトチェンジ位置Ps′までの規範転舵角θrefの設定の参考例を示す。図35(A)に示すように、スタート位置P1 に対して最適シフトチェンジ位置Ps′が、前後方向に距離X離れており、左右方向に距離Y離れているとする。先ず、図35(B)に示すように、車両Vがスタート位置P1 から直接右旋回すると仮定して、右保舵部bと、その前後の転舵部とにおける車両Vの右旋回量の総和が角度β0 に一致するように前記右保舵部bの長さを決定する。続いて、図35(C)に示すように、車両Vの右旋回に伴う左右方向の移動距離Y1 と、前進直進部cによる左右方向の移動距離Y2 との和が左右方向の距離Yに一致するように、前記前進直進部cの長さを決定する。続いて、図35(D)に示すように、車両Vの右旋回に伴う前後方向の移動距離X1 と、前進直進部cによる前後方向の移動距離X2 と、前進直進部aによる前後方向の移動距離X3 との和が前後方向の距離Xに一致するように、前記前進直進部aの長さを決定する。以上のようにしてスタート位置P1 から最適シフトチェンジ位置Ps′までの規範転舵角θrefを設定すれば、その規範転舵角θrefに基づいて自動操舵制御を行うことにより、スタート位置P1 のばらつきに拘わらずに車両Vを最適シフトチェンジ位置Ps′に正しい角度β0 で導くことができる
【0072】
最適シフトチェンジ位置Ps′から後は図2の規範転舵角θrefの後半の後進部分をそのまま実行するだけで、車両Vを確実に最適駐車位置P2 ′に導くことができる。
【0073】
以上、本発明の実施例と参考例を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である
【0074】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、車両の移動軌跡を転舵角に基づいて複数の領域に分割し、前記複数の領域の少なくとも一つの領域の移動軌跡を物体検出手段の検出結果から求めた前記スタート位置と車両の最適スタート位置とのずれに基づいて修正することにより、スタート位置における車両の位置ずれや角度ずれの影響を補償して車両を駐車位置に正しく誘導することができる。また移動軌跡を転舵角に応じて複数の領域に分割することにより、各領域での車両Vの運動が規則的になるため、移動軌跡の修正が単純化されて制御が容易になる。
【0075】
また請求項2に記載された発明によれば、スタート位置における車両の位置ずれや角度ずれの影響ばかりでなく、周囲の障害物の影響を補償して車両を駐車位置に正しく誘導することができる。
【0076】
また請求項に記載された発明によれば、移動軌跡が車両の移動距離に対する転舵角の関係として設定されるので、自動操舵制御中に車速が変化しても車両を駐車位置に正しく誘導することができる。
【0077】
また請求項に記載された発明によれば、移動軌跡の複数の領域が、転舵角が0に保持される直進部、転舵角が0以外の所定値に保持される保舵部および転舵角が変化する転舵部の何れかであるので、移動軌跡の修正が更に単純化されて制御が容易になる。
【0078】
また請求項に記載された発明によれば、スタート位置および駐車位置間のシフトチェンジ位置と、物体検出手段で検出した物体とが所定の関係となるように移動軌跡を修正するので、スタート位置からシフトチェンジ位置までの移動軌跡を修正するだけで、シフトチェンジ位置から駐車位置までの移動軌跡を修正することなく、車両を駐車位置に正しく誘導することができる。しかも移動軌跡の修正によりシフトチェンジ位置を変化させて物体との干渉を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 操舵制御装置を備えた車両の全体構成図
【図2】 移動軌跡Xに対する規範転舵角θrefの関係を示す図
【図3】 モード選択スイッチおよび自動駐車スタートスイッチを示す図
【図4】 バック駐車/左モードの移動軌跡を示す図
【図5】 バック駐車/左モードの最適駐車位置の設定手法を示す図
【図6】 理想的なバック駐車/左モードの作用説明図
【図7】 バック駐車/左モードでスタート位置が後側にずれたときの作用説明図(その1)
【図8】 バック駐車/左モードでスタート位置が後側にずれたときの作用説明図(その2)
【図9】 バック駐車/左モードで車両がスタート位置で左に傾いたときの作用説明図(その1)
【図10】 バック駐車/左モードで車両がスタート位置で左に傾いたときの作用説明図(その2)
【図11】 バック駐車/左モードで車両がスタート位置で左に傾いたときの作用説明図(その3)
【図12】 バック駐車/左モードでスタート位置が右側にずれたときの作用説明図(その1)
【図13】 バック駐車/左モードでスタート位置が右側にずれたときの作用説明図(その2)
【図14】 バック駐車/左モードでスタート位置が右側にずれ、かつ右側に障害物が存在するときの作用説明図(その1)
【図15】 バック駐車/左モードでスタート位置が右側にずれ、かつ右側に障害物が存在するときの作用説明図(その2)
【図16】 バック駐車/左モードでスタート位置が右側にずれ、かつ右側に障害物が存在するときの作用説明図(その3)
【図17】 バック駐車/左モードでスタート位置が右側にずれ、かつ右側に障害物が存在するときの作用説明図(その4)
【図18】 バック駐車/左モードでスタート位置が右側にずれ、かつ右側に障害物が存在するときの作用説明図(その5)
【図19】 バック駐車/左モードで前側に障害物が存在するときの作用説明図(その1)
【図20】 バック駐車/左モードで前側に障害物が存在するときの作用説明図(その2)
【図21】 バック駐車/左モードで前側に障害物が存在するときの作用説明図(その3)
【図22】 バック駐車/左モードで前側に障害物が存在するときの作用説明図(その4)
【図23】 バック駐車/左モードで前側に障害物が存在するときの作用説明図(その5)
【図24】 理想的な縦列駐車/左モードの説明図
【図25】 縦列駐車/左モードの最適駐車位置の設定手法を示す図
【図26】 縦列駐車/左モードでスタート位置が後側にずれたときの作用説明図(その1)
【図27】 縦列駐車/左モードでスタート位置が後側にずれたときの作用説明図(その2)
【図28】 縦列駐車/左モードでスタート位置が右側にずれたときの作用説明図(その1)
【図29】 縦列駐車/左モードでスタート位置が右側にずれたときの作用説明図(その2)
【図30】 縦列駐車/左モードでスタート位置が右側にずれたときの作用説明図(その3)
【図31】 縦列駐車/左モードで車両がスタート位置で右に傾いたときの作用説明図(その1)
【図32】 縦列駐車/左モードで車両がスタート位置で右に傾いたときの作用説明図(その2)
【図33】 本発明の第2実施例に係る最適シフトチェンジ位置の設定手法の説明図
【図34】 スタート位置からシフトチェンジ位置までの規範転舵角を示す図
【図35】 スタート位置からシフトチェンジ位置までの規範転舵角の修正手法の説明図
【符号の説明】
7 ステアリングアクチュエータ
22 制御部(アクチュエータ制御手段)
23 記憶部(移動軌跡設定手段)
8 物体検出手段
V 車両
Wf 前輪(車輪)
X 車両の移動距離
θ 転舵角

Claims (5)

  1. スタート位置から駐車位置までの車両(V)の移動軌跡を記憶または算出する移動軌跡設定手段(23)と、
    車輪(Wf)を転舵するステアリングアクチュエータ(7)と、
    車両(V)周辺の物体の有無を検出する物体検出手段(S8 )と、
    移動軌跡設定手段(23)により設定された車両(V)の移動軌跡および物体検出手段(S8 )の検出結果に基づいてステアリングアクチュエータ(7)の駆動を制御するアクチュエータ制御手段(22)と、
    を備えた車両の自動操舵装置において、
    前記アクチュエータ制御手段(22)は、転舵角(θ)に基づいて車両(V)の移動軌跡を複数の領域に分割し、物体検出手段(S8 )の検出結果から前記スタート位置と車両の最適スタート位置とのずれを求めて、前記ずれに基づいて前記複数の領域の少なくとも一つの領域の移動軌跡を修正することを特徴とする車両の自動操舵装置。
  2. 前記アクチュエータ制御手段(22)は、物体検出手段(S 8 )の検出結果から車両の周囲の状況を求めて、前記周囲の状況に基づいて前記修正を行うことを特徴とする、請求項1に記載の車両の自動操舵装置。
  3. 前記移動軌跡は、車両(V)の移動距離(X)に対する転舵角(θ)の関係として設定されることを特徴とする、請求項1または2に記載の車両の自動操舵装置。
  4. 前記複数の領域は、転舵角(θ)が0に保持される直進部、転舵角(θ)が0以外の所定値に保持される保舵部および転舵角(θ)が変化する転舵部の何れかであることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載の車両の自動操舵装置。
  5. 前記アクチュエータ制御手段(22)は、スタート位置および駐車位置間のシフトチェンジ位置と、物体検出手段で検出した物体とが所定の関係となるように移動軌跡を修正することを特徴とする、請求項1〜の何れかに記載の車両の自動操舵装置。
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