JP4128521B2 - ゲル状シート及びその製造方法 - Google Patents
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Description
また、アクリル系ポリマーのゲルでは、残留するモノマーの毒性が懸念され、他のものにおいては架橋剤が必要とされ製造に手間がかかるといった問題点があった。
これらは、主に紙性のシート状に保水剤を含浸させて用いるものが一般的であるが、水分の保持力が十分でなく、また紙性のシートによる違和感が生じている。また、ゲル状の高分子についても、架橋剤を使用する等製造に手間がかかる欠点がある。
即ち、本発明は、モル置換度0.05〜1.0の低置換度セルロースエーテル、モル置換度1.1〜1.4の水溶性セルロースエーテル及び水を含有するゲル状シートを提供する。また、本発明は、モル置換度0.05〜1.0の低置換度セルロースエーテルとモル置換度1.1〜1.4の水溶性セルロースエーテルを溶解したアルカリ水溶液を、台板上にキャストし、これを凝固させ、洗浄するゲル状シートの製造方法を提供する。
本発明におけるに低置換度セルロースエーテルは、水には溶解しないがアルカリ溶液に溶解する性質をもつものである。一般にセルロースは水に不溶であるが、セルロースを構成しているグルコース環の水酸基の水素原子をアルキル基やヒドロキシアルキル基で置換すると、その置換の程度によって水溶性を持つようになる。しかしながら、置換の程度が低いものは水への溶解性は見られず、その代わりにアルカリ溶液には溶解する性質を持つことが多い。多くの場合、低置換度セルロースエーテルの粉末は、水中に分散されると、その一部が膨潤した状態となる。モル置換度が高くなると水溶性のものとなり、逆にアルカリに溶解する性質を失う。
ここで、前述の方法で一度最終製品とされた低置換度セルロースエーテル粉末をアルカリ水溶液に溶かしても、反応直後の段階でアルカリ分を含む粗セルロースエーテルを水に溶解しても結果的には同様の効果が得られる。後者の場合は、粗セルロースエーテルがアルカリを含んでいるため、溶かす溶媒は水のみでもよいが、溶解を確実にするためにアルカリを追加する場合もある。いずれの方法も本発明に適用できる。
この低置換度水溶性セルロースエーテルの種類としては、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルエルチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等があげられる。
モル置換度1.1〜1.4のセルロースエーテルの水溶液中の濃度は、好ましくは1.0〜10.0質量%である。
また、酸を用いずに硫酸アンモニウム液によっても凝固することができる。
中和の方法は、通常、キャストした溶液を台板ごと酸溶液を入れた浴槽に浸漬するか、キャストした溶液に酸溶液をピペット等で直接かけてもよい。
中和槽にキャストした板を入れてしばらくすると、凝固してゲル状シートとなるのでこれを台板から分離して、1分程度水で洗浄する。洗浄時間が短いと表面に付着した酸やゲルフィルム中に残っている塩が残存する可能性があり、また反応時間を長くしすぎると、添加した水溶性セルロースエーテルが流出してしまう可能性がある。
実施例1
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース粉末(信越化学工業社製、モル置換度0.2)9gを10質量%NaOH水溶液91gにニーダーを使用して溶解した。この液を5,000rpmで10分間遠心分離して気泡を除き、透明で粘ちょうな液とした。また、一方でヒドロキシプロピルメチルセルロース粉末(信越化学工業社製、メトキシル基モル置換度1.15、ヒドロキシプロポキシル基置換度0.12)2.5gを熱水47.5gに分散し、冷却して、透明で粘ちょうな液とした。この2つの溶液を混合し、気泡が入らないように注意しながらよく撹拌して、均一な溶液とした。この液の一部をガラス板上に置き、ドクターズブレードを用いて厚さ0.7mmでキャストした。このガラス板を10質量%塩酸を入れたバットに浸し、3分放置した。得られたゲル状シートをガラス板から剥がし、水を入れたバットで流水により1分間洗浄し、表面をガーゼで拭いてゲル状シートを完成させた。
このゲル状シートの水分量を乾燥法により測定したところ、90質量%であった。シートは、ほぼ透明であり弾性を持っていた。
また、このシートを肌に張り付けたところ、良好な感触であった。張り付けて90分後に剥がしたあとの肌はしっとりしていた。
このシートを40mmX40mmにカットして肌に貼り付け、自然剥離するに至時間を測定したところ90分と良好であった。
実施例2の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースをそれぞれ低置換度メチルセルロース(メトキシル基のモル置換度0.28)、低置換度ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトキシル基のモル置換度0.13、ヒドロキシプロポキシル基のモル置換度0.18)、低置換度ヒドロキシエチルセルロース(ヒドロキシエトキシルのモル置換度0.2)に置き換えた以外は、実施例1と同様な方法でゲル状シートを調製した。
このゲル状シートの水分量を乾燥法により測定したところ、80〜90質量%であった。シートは半透明〜透明であり弾性をもっていた。
また、このシートを40mmX40mmにカットして肌に張り付けたところ、良好な感触であった。張り付けて1時間後に剥がしたあとの肌はしっとりしていた。
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース粉末(信越化学工業社製、モル置換度0.2)9gを10質量%NaOH水溶液91gにニーダーを使用して溶解した。この液を5,000rpmで10分間遠心分離して気泡を除き、透明で粘ちょうな液とした。また、一方でメチルセルロース粉末(信越化学工業社製、メトキシル基モル置換度1.2)2.5gを熱水47.5gに分散し、冷却して、透明で粘ちょうな液とした。この2つの溶液を混合し、気泡が入らないように注意しながらよく撹拌して、均一な溶液とした。この液の一部をガラス板上に置き、ドクターズブレードを用いて厚さ0.7mmでキャストした。このガラス板を10質量%塩酸を入れたバットに浸し、3分放置した。
得られたゲル状シートをガラス板から剥がし、水を入れたバットで流水により1分間洗浄し、表面をガーゼで拭いてゲル状シートを完成させた。
このゲル状シートを25質量%のグリセリン水溶液に30秒浸漬し、グリセリンが6質量%含浸したゲル状シートを調製した。水分量を乾燥法により測定したところ、90質量%であった。シートはほぼ透明であり弾性を持っていた。
また、このシートを肌に張り付けたところ、良好な感触であった。張り付けて60分後に剥がしたあとの肌は実施例1以上にしっとりしていた。
このシートを40mmX40mmにカットして肌に貼り付けて自然剥離するに至時間を測定したところ90分と良好であった。
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース粉末(信越化学工業社製、モル置換度0.2)9gを10質量%NaOH水溶液91gにニーダーを使用して溶解した。この液を5,000rpmで10分間遠心分離して気泡を除き、透明で粘ちょうな液とした。この液の一部をガラス板上に置き、ドクターズブレードを用いて厚さ0.7mmでキャストした。このガラス板を10質量%塩酸を入れたバットに浸し、3分放置した。
得られたゲル状シートをガラス板から剥がし、水を入れたバットで流水により1分間洗浄し、表面をガーゼで拭いてゲル状シートを完成させた。
このゲル状シートの水分量を乾燥法により測定したところ、90質量%であった。シートはほぼ透明であり弾性を持っていた。
また、このシートを40mmX40mmにカットして肌に張り付けたところ、20分で
自然剥離してしまった。
Claims (5)
- モル置換度0.05〜1.0の低置換度セルロースエーテル、モル置換度1.1〜1.4の水溶性セルロースエーテル及び水を含有するゲル状シートであって、上記水溶性セルロースエーテルの量が、上記低置換度セルロースエーテル100質量部に対して10〜30質量部であるゲル状シート。
- 上記水が、全質量中に50質量%以上含まれる請求項1に記載のゲル状シート。
- 上記水溶性セルロースエーテルが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである請求項1又は請求項2に記載のゲル状シート。
- 美容シートとして用いる請求項1〜3のいずれかに記載のゲル状シート。
- モル置換度0.05〜1.0の低置換度セルロースエーテルとモル置換度1.1〜1.4の水溶性セルロースエーテルを溶解したアルカリ水溶液を、台板上にキャストし、これを凝固させ、洗浄することを含んでなるゲル状シートの製造方法。
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