JP4116149B2 - 枚葉式ロードロック装置 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、半導体、液晶、太陽電池、メモリディスク製造分野で用いられる基板の成膜装置あるいはクラスタツールにおいて、大気中から高真空に排気された処理装置への基板の搬入および処理装置から大気中への搬出を行うためのロードロック装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の枚葉式ロードロック機構を用いた装置として、特公昭63−45467号公報がある。また、処理装置から独立したロードロック装置の例としては特公平10−50798号公報がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このようなロードロック装置に求められる条件は、基板雰囲気を大気から所定の圧力まで出来るだけ短い時間で粗排気し、また、真空から大気圧に短時間で昇圧することである。
従来から、前記従来の技術に示したように基板テーブルとノズル付きフランジで構成される小部屋のみを大気に開放し、基板テーブル上に基板を搬入後、ノズル付きフランジを降下させ小部屋60を密閉し、粗排気を行い、小部屋の圧力が所定の圧力に達した時点で基板テーブルを降下させ本排気を行う方式のロードロック装置が用いられている。
この方式のロードロック装置においては、真空容器内は常に高真空ポンプにより排気されているため、基板テーブル降下後は、基板雰囲気は速やかに排気され比較的短時間で目標の圧力に到達できる。
しかし、粗引きの過程は、単に小部屋内のガスを排出するのみではなく、基板表面および内壁に吸着している水分を剥離し排出する過程である。一般に、真空容器を一度大気中に露出すると一瞬の間におよそ100層の水分子が表面に吸着されるといわれる。この容器を真空排気する場合には、水分子が最表面の1層を残す程度にまで取り除いてしまわなければ高真空ポンプに切替え可能な10Pa程度まで圧力は下がらない。したがって、この排気時間を短縮することは、排気時間全体を短縮する上で重要になる。
一方、排気段階において小部屋内を急激に減圧すると、小部屋内のガス流が乱流となり小部屋底面や基板裏面に付着しているパーティクルが巻き上げられ基板上面に付着してしまう不都合が生じる。
また、粗排気段階には小部屋内のガスは断熱膨張し急激に温度が下がる。その結果空気中の水分あるいは揮発性有機物が凝結しエアロゾルを生じ、これが基板上面に落下し電子デバイス特性に悪影響を及ぼす。
また、一般の装置においては、搬入専用と搬出専用のロードロック装置を設けている。処理装置に搬入される基板は十分に清浄化されているが、処理装置の中では反応ガスを流しながら物理的、化学的な反応により膜付けあるいはエッチングが行われており、反応ガスや副生成物がパーティクルとして多く基板に付着する。1つのロードロック室を用いて基板の搬入と搬出を行うと、搬出基板に付着しているガスや副生成物がロードロック室を介して搬入基板に悪影響を及ぼす。これが搬入および搬出用の2個のロードロック装置を設けていた理由である。
【0004】
本発明は以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、パーティクルを迅速に除去し基板を清浄に保つことができる枚葉式ロードロック装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明による枚葉式ロードロック装置は、真空容器の上部に設けられた開口部を前記真空容器内側から密閉する基板テーブルと前記真空容器外側から密閉するノズル付きフランジとで形成された小部屋に基板を挿入し、前記小部屋を粗排気後基板テーブルが下降し本排気を行う枚葉式ロードロック装置において、前記ノズル付きフランジ中心から前記基板外周に向かって、ガスを吹き出す噴射ノズルを有し、基板外周部における基板とノズル付きフランジ内壁の隙間は3mm以下であり、基板テーブル中心に排気ポートを有している構成である。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、図面と共に本発明による枚葉式ロードロック装置の好適な実施の形態について説明する。
図1は本発明による枚葉式ロードロック装置を概略的に示す斜視図であり、図2は図1の要部を詳細に示す構成図である。図1及び図2において符号21で示されるものは真空容器であり、この真空容器21には各々独立した昇降機能である第1、第2アクチュエータ22,23により昇降自在に構成された基板テーブル24及びノズル付きフランジ25が設けられている。前記各アクチュエータ22,23はベローズ26により真空が保たれるように構成され、前記真空容器21の底部には高真空ポンプ用弁板27を有するヘッドバルブ28を介して高真空ポンプ4が接続されている。この基板テーブル24には、図7で示すような円錐状の複数の側面受け34及び上面が球形の底部受け35が設けられている。
【0007】
前記ロードロック装置に真空ゲート弁8を介して接続された搬送チャンバ6の真空搬送ロボット38で搬送された半導体基板である基板1は前記底面受け35上に搬送載置され、処理後は大気搬送ロボット39により外部へ搬送できるように構成されている。さらに、前記ノズル付きフランジ25の内面には、基板1及び基板テーブル24の中心に対応して噴射ノズル40が形成され、この噴射ノズル40からのガスは、ノズル付きフランジ25の内面のノズル付きフランジ内壁41を介して基板1上に供給されるように構成されている。従って、この噴射ノズル40は基板1及び基板テーブル24の中心に対応している。また、他の形態としては、図4に示されるように、噴射ノズル40の下方に多数の小孔40aを有するノズル板42が設けられ、この各小孔40aを介して基板1上にガスを供給するように構成することもできる。
【0008】
前記、ノズル付きフランジ25の下面及び基板テーブル24の上面には、真空容器21と密合するためのアリ溝に設けられたOリング50が設けられ、前記噴射ノズル40の上流側には、パージバルブ51、ガスヒータ52及びガスをイオン化するためのイオナイザ53が設けられている。なお、前述の構成は300mmのシリコン基板に対応した構造である。
さらに、基板1外周部における基板1とノズル付きフランジ内壁41との隙間は3mm以下とし、基板テーブル24中心に排気ポート29Aを設けた。ノズル付きフランジ25の中央部の内壁と基板の隙間は、基板周辺より大きくし、噴射ノズル40からの基板1上の気流速度をほぼ一定にするようにしている。これにより排気およびベントの過程において、気流がパーティクル70を巻き上げ基板1に付着させることをなくした。すなわち、小部屋60内においてパージガスは、基板1の上面において中心から外周部へ軸対象の流れとなり、排気ガスは基板1の下面において外周部から中心部への軸対象な流れとなる。また、基板1の縁部では小部屋60の内壁と基板1の隙間が狭く、基板1の外周全体にわたり一定となっているため、気流は上面から下面へ一様な流れとなる。装置立上げ後の初期の状態において小部屋60内は、清浄化されている。しかし、装置が稼働し基板1の搬送が始まると、基板1が持ち込むパーティクル70、基板1と基板受け34,35やロボットフィンガ38,39との接触によるパーティクル70などが小部屋60内に蓄積する。ただし、これらのパーティクル70は基板1より低い位置、つまり基板1の下面側のみに有り、基板1の下面側から上面側への逆流をなくすことで、基板1の上面へのパーティクルの付着を避けることができる。
【0009】
図1の形態では、基板テーブル24中心の排気ポート29Aから吸込まれたガスは、基板テーブル1内に設けられた排気トンネル33を通り真空容器21に設けられた排気管32から粗引きバルブ31、フィルタ30A及び粗引きポンプ30により外部へ排出される。真空容器21の排気ポート入口へは、排気トンネル33からのガスのほかに基板テーブル24と真空容器21の隙間を通り小部屋60から直接流れ込むガスがある。しかし、基板テーブル24と真空容器21の隙間は狭くしてあるため、大部分は排気トンネル33からのガスとなる。すなわち、大方のガスは基板1の上面中心から基板1の下面中心へ向かって流れる。
さらに、小部屋60を粗引きする過程において、噴射ノズル40から一時的に短時間のガスパージを行い、パージガスの気流により基板1の表裏面および小部屋60の底面に付着しているパーティクルを粗引きポンプ30側へ排出する。また、前記ガスは水分を取り除いた乾燥ガスであり、また、前記ガスは約100℃に加熱されたガスを使用する。
さらに、小部屋60をベントする過程で、短時間の排気を行い、基板1に付着しているパーティクル70を粗引きポンプ30側に排出する。
さらに、前記基板1表面に付着したパーティクル70の何れか又は全部を剥離、除去するため、前記噴射ノズル40から噴射する高温、乾燥ガスを噴射直前でイオン化するイオナイザ53が前記噴射ノズル40の上流側に設けられている。
【0010】
次に、動作について述べる。
まず、基板1の搬入時の手順(図5のA〜D参照)
1. 基板テーブル24は上昇し真空容器21内と大気側を遮断している。真空容器21は、高真空ポンプ4により排気され高真空を維持し、ノズル付きフランジ25は、上昇位置にある。
2. 大気側から、大気側ロボット39により基板テーブル24上に基板1を搬入する。
3. ノズル付きフランジ25が下降し、密閉された小部屋60を形成する。(図5のB)
4. 粗引きポンプ30により小部屋60を粗排気する。粗排気の過程で一時的にパージバルブ51を開き、小部屋60にガスを導入する。
5. 粗引き完了後、基板テーブル24が下降し、高真空ポンプ4により本排気される。(図5のC)
6. ゲートバルブ8が開き、搬送チャンバ6に基板1を搬出する。
次に、搬出時の手順(図5のCとD)
1. 上記(6)の状態で、図示しない処理装置側から搬送チャンバ6を経て基板テーブル24上に基板1を搬入する(図5のC)
2. 基板テーブル24が上昇しウエハ収納室である小部屋60を形成する。(図5のD)
3. パージバルブ51が開き小部屋60を大気圧までベントする。このベントの過程で一時的に粗引きバルブ31を開き、小部屋60を排気する。
4. ノズル付きフランジ25が上昇後、大気側へ大気側ロボット39で基板1を搬出する。(図5のA)
ベントの初期段階において、真空中に大量のガスが放出される。このガス流が基板1の中心付近に垂直に衝突すると基板1にダメージを与え、欠陥発生の原因になる可能性がある。そのため、図4に示すようなノズル形状にすることによりガス流の方向を変え、基板1へのダメージを減らすことができる。すなわち各ノズル40aはガスの流れ方向と一致させて並べているが、少しづつずらせて配置してもよい。
同時にこのノズル40aは、ベント時のガスの流れを整流し、基板1上の流れを均一にするのにも役立つ。
また、このようなノズルの代わりに周知の拡散フイルタ(図示せず)を噴射ノズル40位置に配置しても、同様の効果が得られる。
【0011】
また、図5のBにおいては、基板テーブル24の中心付近に開口を持つ粗引き用の排気管32が排気トンネル33に対応し、粗引き時に大部分のガスがここを通って排気されるようにすることで、基板1上面中心から裏面の中心まで基板1表面に沿う流れをつくり、装置内壁に付着したパーティクル70を基板1上面に巻き上げることなくガスと一緒に速やかに排出する。
すなわち、従来のロードロック装置ではパーティクル70はチャンバ内に蓄積されるのみであったが、本発明の装置ではパーティクル70は排気により積極的に排出され、チャンバ内には蓄積されない。粗引きの過程で一時的にガスでパージを行うことにより少なくとも基板1の表裏面のパーティクル70を図2の粗引きポンプ30側へ排出できる。また、ベントの過程で一時的に排気を行うことにより少なくとも基板1の表裏面等のパーティクル70を粗引きポンプ30側へ排出することができる。
【0012】
また、基板1受けとして底面受け35と基板1の接触位置は、図7のようにロードロック装置7の中で最もパーティクル70の発生しやすいところの一つである。そのため基板1が置かれるときの微妙な位置ズレにより接触部で衝突や滑りが生じパーティクル70の発生は避けられない。そのうえ発生したパーティクル70は、基板1近くにあるため、その処理を間違えれば製品に悪影響を及ぼす。図7に示すように基板1の側面を円錐状の側面受け34で受けることで気流の流れを乱さず、生じたパーティクル70を基板1の裏面へ速やかに流し、少なくとも基板1上面への付着は避けることができる。
また、枚葉式ロードロック装置では、大気から高真空までの排気時間をいかに短縮するかがスループットに大きく影響する。
一方、高真空領域での排気速度はポンプの開口面積と流路長さで決まるため、高い排気速度を得るためには、広い開口面積を取り、かつ流路を短くすることが重要である。
真空ポンプの有効排気速度は、
1/S=1/C+1/S0
S :有効排気速度
S0:実排気速度
C :コンダクタンス
で表される。
一方、円管のコンダクタンスと長さとの関係は、図11のようになる。
従って、排気開口径の長さと同じ長さの円管を介して排気する場合でも、ポンプの有効排気速度は34%に減少してしまう。
これらの問題を回避するために、図2ではヘッドバルブ28を真空容器21と一体の構造としている。
【0013】
図10は、本装置における基板受け渡しの圧力変化を示したものである。圧力データは小部屋60内をピラニゲージで、真空容器21内をピラニゲージおよびB−Aゲージで、さらに搬送チャンバ6内をピラニゲージおよびB−Aゲージで測定した値である。実線は、大気側から真空へ搬入される基板の雰囲気圧力を、破線は真空から大気へ搬出される基板の雰囲気圧力を示している。
このデータによると、排気時間は約20秒、ベント時間は約5秒となっている。ロードロックの通過基板数は、70〜80枚/時程度が可能であり、1台の装置に1台のロードロック装置であっても十分に使用することが明らかである。
また、基板1を大気状態から真空状態に搬送する場合、ノズル付きフランジ25を降下させながら、パージバルブ51を開いて、ガスヒータ52で加熱された高温、乾燥ガスをノズル40から基板1表面に向かって噴射を開始し、粗引き開始後0.5秒から数秒のあいだ噴射を続ける。それによりガスが断熱膨張して温度がガスの凝縮温度以下まで下がるのを防止し、高温での基板1の水分を飛ばす効果が得られる。
また、前述の小部屋60におけるガス噴流の流れ状態は、図3の黒矢印で示すように、基板1表面から剥離、除去された水分 及びパークティクル等の一部もしくは全ては粗引きポンプ30の手前に設けられたフィルタ30Aによって捕集される。
また、前記高真空ポンプ4については、図1及び図2に示す配置例に限らず、図8及び図9のように配設することもできるが、図8及び図9の場合は基板テーブル24が障害となってコンダクタンスが減少するため、図2の取付位置が最適である。
【0014】
【発明の効果】
本発明による枚葉仕込みロードロック装置は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。すなわち、半導体装置分野では基板の大型化と、基板上に形成する電子デバイスの微細化が進む中で、製品歩留まり向上と製造装置のスループット(時間あたりの基板処理枚数)の向上を図る上で基板表面の汚染を除去するためのより効果的な方法とその装置が求められているが、本発明の枚数仕込みロードロック装置を用いることにより、従来のゆっくりと排気及びベントを行うことでパークティクルを巻き上げず基板を清浄に保つという方法に比べて、格段に早い粗引き、昇圧を行うことが可能となる。また、基板が位置する小部屋内は、常時高速のガス流により清浄化されているため、従来のロードロック装置のように真空容器内に徐々にパーティクルが蓄積されて行くことはないため、定期的な容器内のクリーニングは不要となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による枚葉仕込みロードロック装置を示す一部切欠付き概略斜視図である。
【図2】 図1の要部を詳細に示す1構成図である。
【図3】 図2の動作図である。
【図4】 図2の要部の他の形態を示す構成図である。
【図5】 図2の工程図である。
【図6】 図2の要部の拡大図である。
【図7】 図2の要部の拡大図である。
【図8】 高真空ポンプの比較配置例である。
【図9】 高真空ポンプの比較配置例である。
【図10】 本発明によるロードロック装置の動作ごとの圧力変化を示す特性図である。
【図11】 コンダクタンスと管の長さの関係を示す説明図である。
【符号の説明】
1 基板
4 高真空ポンプ
6 搬送チャンバ
8 真空側ゲートバルブ
21 真空容器
22 アクチュエータ
24 基板テーブル
25 ノズル付きフランジ
26 ベローズ
27 真空ポンプ用弁板
28 ヘッドバルブ
29A 排気ポート
30 粗引きポンプ
30A フィルタ
31 粗引きバルブ
32 排気管
33 排気トンネル
34 側面受け
35 底面受け
37 搬送チャンバ
38 真空側ロボット
39 大気側ロボット
40 噴射ノズル
40a 小孔
41 ノズル付きフランジ内壁
42 ノズル板
50 Oリング
51 パージバルブ
52 ガスヒータ
53 イオナイザ
60 小部屋
70 パーティクル
Claims (1)
- 真空容器(21)の上部に設けられた開口部を前記真空容器(21)内側から密閉する基板テーブル(24)と前記真空容器(21)外側から密閉するノズル付きフランジ(25)とで形成された小部屋(60)に基板(1)を挿入し、前記小部屋(60)を粗引き後基板テーブル(24)が下降し本排気を行う枚葉式ロードロック装置において、
前記ノズル付きフランジ(25)中心から前記基板(1)外周に向かって、ガスを吹き出す噴射ノズル(40)を有し、基板(1)外周部における基板(1)とノズル付きフランジ内壁(41)の隙間は3mm以下であり、基板テーブル(24)中心に排気ポート(29A)を有していることを特徴とする枚葉式ロードロック装置。
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