JP4111590B2 - 重合体の製造方法、得られた重合体、及びそれを用いたゴム組成物 - Google Patents

重合体の製造方法、得られた重合体、及びそれを用いたゴム組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、破壊特性、耐摩耗性、低発熱性が同時に高度に保たれた重合体の製造方法、得られた重合体、及び、該重合体を用いたゴム組成物に関し、より詳しくは、アニオン重合で得られた重合体の末端を変性し、シリカ及びカーボンブラックとの相互作用性を高めた変性ジエン系重合体の製造方法、得られた重合体、及び、該重合体を用いたゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題への関心の高まりに伴う世界的な二酸化炭素排出規制の動きに関連して、自動車の低燃費化に対する要求はより過酷なものとなりつつある。このような要求に対応するため、タイヤ性能についても転がり抵抗の減少が求められてきている。タイヤの転がり抵抗を下げる手法としては、タイヤ構造の最適化による手法についても検討されてきたものの、ゴム組成物としてより発熱性の低い材料を用いることが最も一般的な手法として行われている。
【0003】
このような発熱性の低い配合ゴムを得るために、これまで、ゴム組成物に使用する充填材の分散性を高めるような技術開発が数多くなされてきた。その中でも特に、アルキルリチウムを用いたアニオン重合で得られるジエン系重合体の末端を充填材と相互作用を持つ官能基にて修飾する方法が、最も一般的になりつつある。
【0004】
それらの手法の中で最も代表的なものとして、充填材にカーボンブラックを用い、重合体末端をスズ化合物にて修飾する方法が知られている。(特公平5−87530号)また同様にカーボンブラックを用いて、重合体末端にアミノ基を導入する方法も用いられている。(特開昭62−207342号)
【0005】
また、さらに近年、自動車の安全性への関心の高まりにつれて、低燃費性能のみならず、湿潤路面での性能(以下ウェット性能という)、特に、制動性能についても要求が高まってきた。このため、タイヤトレッドのゴム組成物に対する性能要求は、単なる転がり抵抗の低減に止まらず、ウェット性能と低燃費性能を高度に両立するものが必要とされている。
【0006】
このような、良好な低燃費性と良好なウェット性能とを同時にタイヤに与えるゴム組成物を得る方法として、補強性充填材として、従来から一般的に用いられてきたカーボンブラックに変えてシリカを用いる方法がすでに行われている。
【0007】
しかしながらシリカを補強性充剤として用いた場合、カーボンブラックと比較して、ゴム組成物の破壊強度及び耐摩耗特性が著しく低下することも明らかとなっている。またさらに、シリカの分散性が悪く、混練りを行なう際の作業性についても、現実にタイヤを製造する上で大きな問題となってきている。
【0008】
そこで、このように発熱性の良好なゴム組成物を生産性よく得るためには、補強性充填材としてカーボンブラック又はシリカを単独で用いるのみでなく、シリカとカーボンブラックを併用し、さらに、このような多様な充填材に対して広く相互作用を持ち、充填材の良好な分散性と、良好なゴム組成物の耐摩耗性とを与え得る末端変性重合体が必要とされている。
【0009】
しかしながらこれまでに述べてきた手法においては変性剤の開発が単一の充填材を目的として行われてきたために、充填材種類に関係なく、充填材との相互作用を十分に持つ末端変性重合体は、極めて限られているのが現状である。
【0010】
たとえば始めに述べたスズ化合物については、カーボンブラックに対する分散効果は大きいものの、シリカに対しては、ほとんど分散効果がなくさらに、補強効果については全く観察することができない。
【0011】
他方、特開平1−188501号、特開平8−53513号、特開平8−53576号に述べられている、シリカの分散効果及び補強性の改善にたいして効果のあるアルコキシシランを用いる手法については、アルコキシシリル基がカーボンブラックと相互作用を全く持たないために、カーボンブラックを充填材として用いた場合においては効果がないことが明らかである。他のシリカ用変性重合体についても同様であり、たとえば、特開平9−71687号、特開平9−208633号に開示されているアミノアクリルアミドを用いる方法は、シリカの分散改良に対しては一定の効果を持つものの、カーボンブラックを用いた場合においては分散改良効果はほとんど観察されず、カーボンブラックとシリカの併用系のゴム組成物やカーボンブラック配合のゴム組成物についてはヒステリシスロスが上昇してしまうという問題がある。
【0012】
さらに、近年、リチウムアミド開始剤により重合した重合体末端をアルコキシシランで変性することによりその変性効果を増強する手法についても行われているが(特開平9−208621号)、この手法はやや高価な重合開始剤が必要なことと、得られた重合体をゴム組成物に用いた場合、分散補強効果はあるもののゴム組成物の作業性についてやや問題があることが知られている。
【0013】
またアルコキシシランにジアルキルアミノ基を導入した変性剤を用いた変性重合体についても報告がなされている(特公平6−53763号、特公平6−57767号)。この手法においては、良好な作業性とともにシリカ配合に対する補強性及びシリカ、カーボンブラックの両者に対する一定の分散効果が得られるものの、アミノ基がカーボンブラックに対する効果の少ないジアルキル基型のために特にカーボンブラックの多い配合については、スズ系変性剤を使用する方法等に比較すると、十分な効果が得られない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、このような公知の方法では十分な解決が困難であった、カーボンブラック及びシリカの双方に対する相互作用のレベルを同時に上げることにより、充填剤の種類に関わらず、良好な補強特性及び充填材分散効果を持つ変性ジエン系重合体、および、その製造方法を提供すること、さらには、ウェット特性を損なわずに、良好な破壊特性、耐摩耗性、低発熱性を有するゴム組成物を提供することである。
【0015】
【課題を解決する手段】
本発明者は、上記の多様な充填材に対して優れた相互作用を持つ重合体について鋭意研究を進めた結果、重合体の末端変性剤としてカーボンブラック及びシリカの双方に対し特異的に良好な相互作用を持つメチレンアミノ基を含有する化合物を用いることにより公知の技術で得られる重合体と比較して極めて優れた効果を得られることを見出した。
【0016】
すなわち、本発明は、以下の構成とする。
(1)炭化水素溶媒中で、有機リチウム化合物を開始剤として用いて共役ジエン単量体を重合または共重合させた後、その重合活性末端と(式1)で示されるメチレンアミノ基を含有する化合物を反応させてなることを特徴とする重合体の製造方法。
【化1】
Figure 0004111590
ただし、R、R ' は、炭素数1〜18のアルキル基、アリル基又はアリール基を、R '' 、R ''' は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、アリル基又はアリール基(但し、R '' 及びR ''' の両方が水素原子である場合はない)を、m、及び、nは、それぞれ1から20、及び、1から3の整数を示す。
(2)前記(式1)におけるR、R ' 、R '' 、R ''' は、炭素数1〜18のアルキル基、アリル基又はアリール基であることを特徴とする前記(1)記載の重合体の製造方法。
(3)前記重合体が、共役ジエン単量体と、モノビニル芳香族化合物との共重合体である事を特徴とする前記(1)または(2)記載の重合体の製造方法。
(4)前記重合体の共重合に供する共役ジエン単量体及びモノビニル芳香族化合物が各々ブタジエン及びスチレンであることを特徴とする前記(3)記載の重合体の製造方法。
(5)前記メチレンアミノ基がエチリデンアミノ基、1−メチルプロピリデンアミノ基、1,3−ジメチルブチリデンアミノ基、1−メチルエチリデンアミノ基であることを特徴とする前記(1)から(4)のいずれかに記載の重合体の製造方法。
(6)炭化水素溶媒中で、有機リチウム化合物を開始剤として用いて共役ジエン単量体を重合または共重合させた後、その重合活性末端と「A−(CH 2 m −Si(OR) n R’ 3-n (AはN−(4−N,N−ジメチルアミノベンジリデンアミノ基、R、R ' は炭素数1〜18のアルキル基、アリル基又はアリール基であり、mは1から20、nは1から3の整数)」で示される化合物とを反応させてなることを特徴とする重合体の製造方法。
(7)前記(1)から(6)のいずれかの方法で重合したことを特徴とする重合体。
(8)DSCにて測定したガラス転移点が−90℃〜−30℃であることを特徴とする前記(7)項に記載の重合体。
(9)ムーニー粘度(ML 1+4 /100℃)が10〜150である事を特徴とする前記(7)又は(8)に記載の重合体。
(10)前記(5)から(9)のいずれかに記載の重合体をゴム成分中に30重量%以上含有し、かつこのゴム成分100重量部に対しシリカまたはカーボンブラックまたはその両方を10〜100重量部含有することを特徴とするゴム組成物。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の重合体は、炭化水素溶媒中で、有機リチウム化合物を開始剤として用いて共役ジエン単量体を重合または共重合させた後、その活性な重合末端と前記(式1)で示されるメチレンアミノ基を含有する化合物を反応させることにより得られる。
【0018】
本発明で用いられる共役ジエン単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられる。これらは、一種単独で用いても、二種以上を混合して用いてもよい。中でも好ましいのは1,3−ブタジエンである。
【0019】
また、共役ジエン単量体との共重合に用いられる、ビニル芳香族炭化水素単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4−シクロヘキシルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン等を例示することができる。中でも好ましいのは、スチレンである。
【0020】
更に、単量体として共役ジエン単量体及びビニル芳香族炭化水素を用いて共重合を行なう場合、各々1,3−ブタジエン及びスチレンを使用することが実用性、特にモノマーを容易に入手可能であり又アニオン重合特性がリビング性等の点で優れるとの理由から特に好ましい。
【0021】
重合に使用される開始剤としては、リチウム金属の炭化水素化合物等が挙げられる。好ましくは、2〜20個の炭化原子を有するリチウム化合物であり、具体的には、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、i−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec −ブチルリチウム、t−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フエニルリチウム、2−ナフチルリチウム、2−ブチル−フエニルリチウム、4−フエニル−ブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、4−シクロペンチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムの反応生生物などである。
開始剤の使用量は単量体100g当り通常0.2〜20ミリモルの範囲で用いる。
【0022】
本発明の重合体は、炭化水素溶剤などの有機リチウム開始剤を破壊しない溶剤中で行われる。適当な炭化水素溶剤としては、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環族炭化水素から選ばれ、特に炭素数3〜8個を有するプロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1−ブテン、i−ブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどが好ましい。またこれらの溶剤は2種類以上を混合して使用することもできる。
【0023】
なお、溶媒中の単量体濃度は、通常、5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%である。共役ジエン単量体とビニル芳香族炭化水素の共重合の場合、仕込み単量体混合物中のビニル芳香族炭化水素の含量は好ましくは3〜50重量%、さらに好ましくは5〜45重量%である。
【0024】
本発明では、共役ジエン単量体のアニオン重合を行なう際に既知のランダマイザーを用いることができる。ここで言うランダマイザーとは、共役ジエン系重合体のミクロ構造のコントロール、例えばブタジエン重合体又はブタジエン−スチレン重合体のブタジエン部の1,2結合、イソプレン重合体の3,4結合の増量等及び共役ジエン単量体ビニル芳香族炭化水素共重合体の単量体単位の組成分布のコントロール例えば、ブタジエン−スチレン共重合体のブタジエン単位、スチレン単位のランダム化等、の作用を有する化合物である。本発明のランダマイザーは特に制限されないが、一般に用いられているもの全てを含む。このものとしては例えばジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ビステトラヒドロフリルプロパン、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジピペリジノエタンなどのエーテル類及び第3級アミン類などを挙げることができる。またカリウム−t−アミレート、カリウム−t−ブトキシド等のカリウム塩類またナトリウム−t−アミレート等のナトリウム塩等も用いることができる。
【0025】
ランダマイザーの使用量は有機リチウム化合物1モル当量当たり、0.01〜1000モル当量の範囲で用いられる。
【0026】
本発明に用いられる末端変性剤はメチレンアミノ基をその分子内に有する必要がある。メチレンアミノ基は、三級アミノ基と同様の優れた塩基性を有する上に、立体障害が少ないため、様々な酸性官能基と良好な水素結合力を発現する可能性を有する。
【0027】
この末端変性剤を重合体の活性末端に反応させた場合、(式2)に示されるように、アルコキシシランとの求核置換生成物とイミンへの付加反応生成物の混合物が得られるものと考えられる。つまり、重合体の末端に求核置換反応をした場合には、充填剤表面の酸性官能基と導入されたメチレンアミノ基との間に相互作用が生まれ、良好な充填剤分散効果と補強効果を同時に与えることが期待できる。また、重合体末端に付加した場合においては二級アミンに変換される。このような場合においてもシラノール基との水素結合性の高い二級アミンにより良好なシリカ分散性が期待できる。
【0028】
【化2】
Figure 0004111590
ただし、R、R ' は、炭素数1〜18のアルキル基、アリル基又はアリール基を、R '' 、R ''' は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、アリル基又はアリール基(但し、R '' 及びR ''' の両方が水素原子である場合はない)を、m、及び、nは、それぞれ1から20、及び、1から3の整数を示す。
【0029】
また本発明に用いられる末端変性剤は、アルコキシシリル基を有する必要がある。重合体の末端に導入されたアルコキシシリル基は、シリカ表面のシラノール基と縮合反応する事により上記のメチレンアミノ基の水素結合力との相乗効果によりきわめて高い補強効果を与える事ができる。
【0030】
また本発明に用いられる末端変性剤は、ジメチルアミノベンゼン構造をメチレンアミノ基の置換基として有することもできる。この場合、カーボンブラックとの相互作用の強い官能基の作用によりさらに充填剤との良好な補強効果を得る事ができる。
【0031】
以上のことによりこの変性重合体はシリカ配合、及びシリカとカーボンブラックの混合配合において良好な補強特性を得ることができ、摩耗特性、破壊特性において良好な配合ゴムを得ることができる。
【0032】
本発明で使用されるメチレンアミノ基を含有する化合物の具体例としては、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルエチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−エチリデン−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1−メチルプロピリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(4−N,N−ジメチルアミノベンジリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン等が挙げられ、N−(1−メチルプロピリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン等が好ましい。
【0033】
本発明で使用される末端変性剤の量は、ジエン系単量体の重合に使用される、有機アルカリ金属1モルに対し通常0.25〜3.0モルであり、好ましくは0.5〜1.5モルである。0.25モルより少ない量ではアルコキシ基がカップリング反応に消費されて好ましくない。また3モルを超えるような量においては過剰の変性剤が無駄になるとともに、変性剤に含まれる不純物によりアニオン重合末端が失活して実質的な変成功率が低下して好ましくない。
【0034】
本発明の末端変性剤と重合体末端リチウムの反応温度はジエン系重合体の重合温度をそのまま用いることができる。具体的には30℃〜100℃が好ましい範囲としてあげられる。30℃未満では重合体の粘度が上昇しすぎる傾向があり100℃を超えると、末端アニオンが失活し易くなるので好ましくない。
【0035】
これらの末端変性剤の重合鎖末端への添加時期、方法については特に限定はないが一般的にこのような変性剤を用いる場合は、重合終了後に行なう場合が多い。
【0036】
この重合鎖末端変性基の分析は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて行なうことができる。
【0037】
得られた重合体または共重合体は、DSCにて測定したガラス転移点(Tg)が−90℃〜−30℃であることが好ましい。通常のアニオン重合の処方においては−90℃以下の重合体を得るのは困難であり又−30度以上の重合体については室温領域で硬くなりゴム状組成物として用いるのにやや不都合である。
【0038】
本発明における重合体のムーニー粘度(ML1+4 ,100℃)は10〜150、好ましくは15〜70である。ムーニー粘度が10未満の場合は破壊特性を始めとするゴム物性が十分に得られず、150を超える場合は作業性が悪く配合剤とともに混練りすることが困難である。
【0039】
本発明の重合体の重合は約−80〜150℃の範囲内で任意の温度で行なうことができるが、−20〜100℃の温度が好ましい。重合反応は発生圧下で行なうことができるが、通常は単量体を実質的に液相下に保つに十分な圧力で操作することが望ましい。即ち、圧力は重合される個々の物質や、用いる希釈剤及び重合温度にもよるが、所望ならばより高い圧力を用いることができ、このような圧力は重合反応に関して不活性なガスで反応器を加圧する等の適当な方法で得られる。
【0040】
一般に、開始剤成分、溶媒、単量体等重合工程に関与する全ての物質から、水、酸素、二酸化炭素及び他の触媒毒を除去するのが好適である。
【0041】
また本発明では、上記の重合体とともに、通常タイヤ業界で用いられるゴム成分を併用することが出来る。併用されるゴム成分としては、天然ゴム、及び、ジエン系合成ゴムが挙げられ、ジエン系合成ゴムとしては、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR), ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン共重合体、及び、これらの混合物等が挙げられる。その一部が多官能型変性剤たとえば四塩化スズのような変性剤を用いることにより分岐構造を有している物でもよい。
【0042】
本発明のゴム組成物には、補強性充填材として、カーボンブラック又はシリカがそれぞれ単独で、又は、両者を併わせて用いられる。
【0043】
本発明で用いられるシリカには特に制限はなく、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が含まれ、中でも破壊特性の改良効果並びにウェットグリップ性及び低転がり抵抗性の両立効果が最も顕著である湿式シリカが好ましい。
【0044】
充填材は、シリカのみとすることができる。この場合に、シリカは、ゴム成分100重量部に対して10〜100重量部で用いられ、補強性とそれによる諸物性の改良効率の観点より好ましくは20〜60重量部である。10重量部未満では破壊特性等が十分でなく、また、100重量部を越えると加工性が劣る。
【0045】
また、本発明のゴム組成物に用いられるカーボンブラックとしても特に制限はなく、FEF、SRF、HAF、ISAF、SAF等が用いられる。好ましくはヨウ素吸着量(IA)が60mg/g以上、かつ、ジブチルフタレート吸油量(DBP)が80ml/100g以上のカーボンブラックである。カーボンブラックを用いることにより、諸物性の改良効果は大きくなるが、特に、耐摩耗性に優れるHAF、ISAF、SAFが好ましい。
【0046】
本発明の重合体組成物において、シリカを充填材として用いた場合その補強性を更に向上させるために、配合時にシランカップリング剤を用いることができ、そのシランカップリング剤を例示すると、次のとおりである。ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、3−ニトロプロピルジメトキシメチルシラン、3−クロロプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド等が挙げられ、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド等が補強性改善効果の観点より好ましい。
【0047】
本発明の重合体は、その分子内にシリカとの親和性が高い官能基を有するため、高価なシランカップリング剤の添加量を通常の添加量よりも低減しても、同等の物性を持つゴム組成物を得ることができる。さらに、ゴムの混練り時のゲル化を防ぐことにより混練り作業性が良好になる。その好ましい配合量は、シランカップリング剤の種類、シリカの配合量等によって異なるが、補強性の観点より、シリカ配合量に対して1〜20重量%、好ましくは5〜15重量%である。
【0048】
加硫剤としては、硫黄等が挙げられ、これらの使用量は、ゴム成分100重量部に対して硫黄分として0.1〜10.0重量部が好ましく、さらに好ましくは1.0〜5.0重量部である。0.1重量部未満では加硫ゴムの破壊強度、耐摩耗性、低発熱性が低下し、10.0重量部を越えるとゴム弾性が失われる。
【0049】
本発明のゴム組成物で使用できるプロセス油としては、例えばパラフィン系、ナフテン系、アロマチック系等を挙げることができる。引張強度、耐摩耗性を重視する用途にはアロマチック系が、ヒステリシスロス、低温特性を重視する用途にはナフテン系又はパラフィン系が用いられ、その使用量は、ゴム成分100重量部に対して0〜100重量部が好ましく、100重量部を越えると加硫ゴムの引張強度、低発熱性が悪化する傾向がある。
【0050】
本発明で使用できる加硫促進剤は、特に限定されるものではないが、好ましくはM(2−メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアジルジサルファイド)、CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)等のチアゾール系の、DPG(ジフェニルグアニジン)等のグアジニン系の加硫促進剤等を挙げることができ、その使用量は、ゴム成分100重量部に対して0.1〜5.0重量部が好ましく、さらに好ましくは0.2〜3.0重量部である。
【0051】
本発明では、これら以外にもゴム工業で通常使用されている老化防止剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤等の通常ゴム業界で用いられる添加剤を配合することもできる。
【0052】
本発明のゴム組成物は、ロール、インターナルミキサー等の混練り機を用いて混練りすることによって得られ、成形加工後、加硫を行い、タイヤトレッド、アンダートレッド、カーカス、サイドウォール、ビード部分等のタイヤ用途を始め、防振ゴム、ベルト、ホースその他の工業品等の用途にも用いることができるが、特にタイヤトレッド用ゴムとして好適に使用される。
【0053】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明の主旨を越えない限り、本実施例に限定されるものではない。
【0054】
なお、実施例において、部及び%は特に断らない限り、重量部及び重量%を意味する。各種の測定は下記の方法によった。
【0055】
(1)重合体の物性
重合体の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)の測定はゲルパーミエイションクロマトグラフィ〔GPC;東ソー製HLC−8020、カラム;東ソー製GMH−XL(2本直列)〕により行い、示差屈折率(RI)を用いて、単分散ポリスチレンを標準としてポリスチレン換算で行った。
重合体のムーニー粘度は東洋精機社製のRLM−01型テスターを用いて測定した。
重合体のブタジエン部分のミクロ構造は、赤外法(モレロ法)によって求めた。
重合体中のの結合スチレン含有量は 1H−NMRスペクトルの積分比より算出した。
重合体のガラス転移点(Tg)はパーキンエルマー社製の示差熱分析機(DSC)7型装置を用い−100℃まで冷却した後に10℃/min で昇温する条件で測定した。
【0056】
(2)ゴム組成物の物性
a)低発熱性
粘弾性測定装置(レオメトリックス社製)を使用し、温度50℃、歪み5%、周波数15Hzでtanδ(50℃)を測定した。tanδ(50℃)が小さい程、低発熱性である。
b)ウェット特性
スタンレイロンドンタイプのポータブルスキッドテスターを用い、ウエットグリップ特性を測定した。結果はコントロールを100とした指数で表した。指数が大きい方が良好な性能を示す。
c)破壊特性
切断時の強力(Tb)、切断時の伸び(Eb)、および、300%伸長時の引張応力(M300 )をJIS K6301−1995に従って測定した。
d)耐摩耗性
ランボーン型摩耗試験機を用い、室温におけるスリップ率60%の摩耗量を測定し、コントロールの耐摩耗性を100として、耐摩耗指数として指数表示した。指数が大きい方が良好となる。
【0057】
(重合体の製造)
重合に用いた原材料に関しては特に指示がある場合をのぞいて乾燥精製した原材料を用いて実験を行った。
【0058】
乾燥し、窒素置換された800mlの耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン300g、1,3−ブタジエン単量体32.5g、スチレン単量体17.5g、カリウム−t−アミレート0.025mmol、THF1mmolを注入し、これにn−ブチルリチウム(BuLi)0.55mmolを加えた後、50℃で3時間重合を行った。重合系は重合開始から終了まで、全く沈殿は見られず均一で透明であった。重合転化率は、ほぼ100%であった。
【0059】
重合溶液の一部をサンプリングし、イソプロピルアルコールを加え、固形物を乾燥し、ゴム状重合体を得た。この重合体についてミクロ構造、分子量及び分子量分布を測定した。その結果を(表1)に示した。
【0060】
この重合系にさらに末端変性剤としてN−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン (DMBTESPA) 0.55mmolを加えた後にさらに30分間変性反応を行った。この後重合系にさらに2,6−ジ−t−ブチルパラクレゾール(BHT)のイソプロパノール5%溶液0.5mlを加えて反応の停止を行いさらに常法に従い乾燥することにより重合体Aを得た。得られた重合体の分析値を(表1)に示す。
【0061】
またこのn−ブチルリチウムの量および変性剤の種類と量を表1に示される変性剤に置換することにより重合体B〜Iを得た。
【0062】
これらの重合体についても重合体Aと同様にミクロ構造、分子量及び分子量分布を測定した。その結果を(表1)に示した。
【0063】
【表1】
Figure 0004111590
BaseMw :変性反応前の分子量 (Mw)
TotalMw :変性反応後の分子量 (Mw)
Mw/Mn :変性反応後の分子量分布
METESPA :N−(1−メチルエチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1
−プロパンアミン、
ETMSPA :N−エチリデン−3−(トリメトキシシリル)−1−プロパンアミン
MPTESPA :N−(1−メチルプロピリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン
DMBTESPA :N−(1,3−ジメチルブチリデン) −3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン
DMABTESPA:N−( 4−N.Nジメチルアミノベンジリデン) −3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン
TTC :四塩化スズ
TEOS :テトラエトキシシラン
DMPT :3−ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン
【0064】
乾燥し、窒素置換された800mlの耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン300g、1,3−ブタジエン単量体40g、スチレン単量体10g、ジテトラヒドロフリルプロパン0.16mmolを注入し、これに0.55mmolのn−ブチルリチウム(BuLi)を加えた後、50℃で2時間重合を行った。重合系は重合開始から終了まで、全く沈澱は見られず均一に透明であった。重合転化率はほぼ100%であった。
【0065】
重合溶液の一部をサンプリングし、イソプロピルアルコールを加え、固形物を乾燥し、ゴム状共重合体を得た。この共重合体についてミクロ構造、分子量及び分子量分布を測定した。その結果を(表2)に示した。
【0066】
この重合系にさらに末端変性剤としてN−(1, 3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、0.55mmolを加えた後にさらに30分間変性反応を行った。この後、重合系にさらに2,6−ジ−t−ブチルパラクレゾール(BHT)のイソプロパノール5%溶液0.5mlを加えて反応の停止を行いさらに常法に従い乾燥することにより重合体Jを得た。得られた重合体の分析値を(表2)に示す。
【0067】
またこのn−ブチルリチウムの量および変性剤の種類と量をを表2に示される変性剤に置換することにより重合体K〜Nを得た。
【0068】
これらの重合体について、重合体Lと同様にミクロ構造、分子量及び分子量分布を測定した。その結果を(表2)に示す。
【0069】
【表2】
Figure 0004111590
【0070】
乾燥し、窒素置換された800mlの耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン300g、1,3−ブタジエン単量体50g、テトラヒドロフラン(THF)1mmolを注入し、これに0.55mmolのn−ブチルリチウム(BuLi)を加えた後、50℃で2時間重合を行った。重合系は重合開始から終了まで、全く沈澱は見られず均一に透明であった。重合転化率は、ほぼ100%であった。
【0071】
重合溶液の一部をサンプリングし、イソプロピルアルコールを加え、固形物を乾燥し、ゴム状重合体を得た。この重合体についてミクロ構造、分子量及び分子量分布を測定した。その結果を(表3)に示す。
【0072】
この重合系にさらにDMBTESPA: N−( 1,3−ジメチルブチリデン) −3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミンを0.55mmol加えた後にさらに30分間変性反応を行った。この後重合系にさらにBHTのイソプロパノール5%溶液0.5mlを加えて反応の停止を行いさらに常法に従い重合体を乾燥することにより重合体Wを得た。得られた重合体の分析値を(表3)に示す。
【0073】
またこのn −ブチルリチウムの量および変性剤の種類と量をを表2に示される変性剤に置換することにより重合体P、Qを得た。
【0074】
【表3】
Figure 0004111590
【0075】
なお、重合体G、M、Qは、重合終了後、変性反応を行なわずに、2,6−ジ−t−ブチルパラクレゾール(BHT)のイソプロパノール5%溶液0.5mlを加えて反応の停止を行いさらに常法に従い乾燥することにより得た。
【0076】
(ゴム組成物の調製)
上記のようにして得られた各々の重合体を用い、表4に示す配合に基づき、カーボン及び/又はシリカを充填剤としてゴム組成物を調製し、各ゴム組成物の物性の評価を行った。
【0077】
実施例1〜6、比較例1〜4
重合体A〜I を用いて、表4に示す配合1(充填剤はシリカのみ)にて各ゴム組成物を調製し、その物性を評価した。結果を表5−1に示す。ウェット特性、及び、摩耗特性は、比較例1(重合体G)をコントロールとした。
【0078】
【表4】
Figure 0004111590
シリカ :日本シリカ工業(株)製、ニプシルAQ)
カップリング剤 :デグサ社製シランカップリング剤、Si69(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド
6C :N−(1,3−ジメチル−ブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン
DPG :ジフェニルグアニジン
DM :メルカプトベンゾチアジルダイスルフィド
NS :N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド
【0079】
【表5−1】
Figure 0004111590
【0080】
実施例6〜10、比較例5〜8
次に先の検討と同じ、重合体A〜Iを用いて、表4に示す配合2(充填剤はC/Bのみ)にて各ゴム組成物を調製し、その物性を評価した。結果を表5−2に示す。ウェット特性、及び、摩耗特性は、比較例6(重合体G)をコントロールとした。
【0081】
【表5−2】
Figure 0004111590
【0082】
充填剤としてシリカを用いている系においても、カーボンブラックを用いている系においても、アルコキシシリル基とアミノ基の双方を含有する本発明の共役ジエン系重合体A〜Eを用いている実施例1〜5のゴム組成物は、未変性のジエン系重合体Gを用いている比較例2、または、比較例6のゴム組成物に比べ、破壊特性、ウェット性能に影響を受けることなく、摩耗特性、低発熱性共に改良されている。とくに、カーボンブラックを充填剤として用いた系において、従来大変効果があるとされていたスズ化合物で変性された重合体Fを用いているゴム組成物とほぼ同等の効果を有する点は、注目に値する。一方、四塩化スズにより変性された重合体Fを用いている比較例1及び比較例5カーボンブラックを充填剤として用いている系においては低発熱性、摩耗特性ともに十分に効果が出ているが、シリカを充填剤に用いた系においては全く効果が無い。また、アルコキシシランで変性された重合体H、Iを用いた比較例3、4、及び7、8のゴム組成物は、カーボンブラックを充填剤として用いた系においては低発熱性にも摩耗特性にも全く効果が無く、シリカを充填剤として用いた系においてさえ、未変性の重合体や、スズ変性の重合体を用いたゴム組成物に比べれば効果はあるとはいえ、本発明の重合体を用いたゴム組成物に比べると、その効果は小さい。
【0083】
以上の配合検討からわかるように、従来の技術による変性重合体がシリカ系の充填材に対してのみ効果があるか、カーボンに対してのみ効果があるのに対して、本発明による変性剤を用いた重合体については双方の充填剤について良好な低発熱性から理解できるようにすぐれた分散効果を有し、また良好な摩耗特性より優れた補強効果を有することが理解できる。
【0084】
実施例11〜16、比較例9〜17
重合体J〜Nを用いて、表4に示す配合3(充填剤はシリカとC/Bを併用)にて各ゴム組成物を調製し、その物性を評価した。結果を表6に示す。ウェット特性、及び、摩耗特性はそれぞれ、重合体Mを含むゴム組成物を用いた比較例10をコントロールとした。
【0085】
【表6】
Figure 0004111590
phr :ゴム成分100重量部あたりの重量部
【0086】
表6に示すように、充填剤としてカーボンブラックとシリカを併用する配合においては、本発明のゴム組成物を用いた場合、カップリング剤の配合量に関わらず、また、カップリング剤を併用しない場合でも、特に低発熱性に優れる事が判る。特に、カップリング剤を併用しない系では、摩耗特性、低発熱性双方において、比較例に示した公知の変性剤を用いた重合体に対して明らかな改善を確認する事ができる。
特にカップリング剤の配合量をゴム100重量部あたり2.5重量部から0重量部に減じても、本発明のゴム組成物Mについては、摩耗特性の低下が抑制でき、なおかつ、末端を変性していない重合体に、シランカップリング剤を2.5重量部配合したコントロールとほぼ同等である。
【0087】
実施例17、18、比較例18〜20
重合体 A、E、F、G、Hを用いて、表4に示す配合3にて各ゴム組成物を調製し、その物性を評価した。結果を表7に示す。ウェット特性、及び、摩耗特性は、比較例20(重合体G)をコントロールとした。結果を表7に示す。
【0088】
【表7】
Figure 0004111590
【0089】
この結果から判るように、重合体のミクロ構造が変わっても、同様の効果が得られることが分かる。
【0090】
実施例19、比較例21、22
重合体O,P,Qを用いて、表4の配合3(充填剤は、カーボンブラックとシリカを併用)に基づきゴム組成物を調製し、物性を評価した。結果を表8に示す。ウェット特性、および、摩耗特性は、比較例22(重合体Q)をコントロールとした。
【0091】
【表8】
Figure 0004111590
【0092】
以上の結果より、重合体の主鎖にガラス転移点の低いBRを用いた場合においても本発明における重合体を用いた場合は、良好な低発熱性及び摩耗特性を得る事ができる。
【0093】
以上の結果より明らかなように両充填剤と相互作用を持ち得る本発明の重合体を用いたゴム組成物においては、重合体の種類、主鎖構造に関わらず、良好な充填剤分散効果により低発熱性が、補強効果により摩耗特性が改良されており、この傾向は、シランカップリング剤を用いない系で特に顕著に現われている。
【0094】
さらに、本発明の重合体を用いたゴム組成物においては、シランカップリング剤の量を減らしても、本発明に外れる重合体を用いたゴム組成物よりも良好な低発熱性が得られる。
【0095】
【発明の効果】
本発明によれば、シリカ及びカーボンブラックの双方との相互作用性を高めた変性ジエン系重合体の製造方法、得られた重合体を提供できるため、該重合体を用いることにより、ゴム組成物の破壊特性、耐摩耗性、低発熱性を同時に高度に維持することができる。

Claims (10)

  1. 炭化水素溶媒中で、有機リチウム化合物を開始剤として用いて共役ジエン単量体を重合または共重合させた後、その重合活性末端と(式1)で示されるメチレンアミノ基を含有する化合物を反応させてなることを特徴とする重合体の製造方法。
    Figure 0004111590
    ただし、R、R'は、炭素数1〜18のアルキル基、アリル基又はアリール基を、R''、R'''は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、アリル基又はアリール基(但し、R '' 及びR ''' の両方が水素原子である場合を除く)を、m、及び、nは、それぞれ1から20、及び、1から3の整数を示す。
  2. 前記(式1)におけるR、R'、R''、R'''は、炭素数1〜18のアルキル基、アリル基又はアリール基であることを特徴とする特許請求の範囲1項記載の重合体の製造方法。
  3. 前記重合体が、共役ジエン単量体と、モノビニル芳香族化合物との共重合体である事を特徴とする特許請求の範囲1または2項記載の重合体の製造方法。
  4. 前記重合体の共重合に供する共役ジエン単量体及びモノビニル芳香族化合物が各々ブタジエン及びスチレンであることを特徴とする特許請求の範囲3記載の重合体の製造方法。
  5. 前記メチレンアミノ基がエチリデンアミノ基、1−メチルプロピリデンアミノ基、1,3−ジメチルブチリデンアミノ基、1−メチルエチリデンアミノ基であることを特徴とする特許請求の範囲1項から4項のいずれかに記載の重合体の製造方法。
  6. 炭化水素溶媒中で、有機リチウム化合物を開始剤として用いて共役ジエン単量体を重合または共重合させた後、その重合活性末端と「A−(CH 2 m −Si(OR) n R’ 3-n (AはN−(4−N,N−ジメチルアミノベンジリデンアミノ基、R、R ' は炭素数1〜18のアルキル基、アリル基又はアリール基であり、mは1から20、nは1から3の整数)」で示される化合物とを反応させてなることを特徴とする重合体の製造方法。
  7. 特許請求の範囲1項から6項のいずれかの方法で重合したことを特徴とする重合体。
  8. DSCにて測定したガラス転移点が−90℃〜−30℃であることを特徴とする特許請求の範囲7項に記載の重合体。
  9. ムーニー粘度(ML1+4/100℃)が10〜150である事を特徴とする特許請求の範囲7項又は8項に記載の重合体。
  10. 特許請求の範囲7項から9項のいずれかに記載の重合体をゴム成分中に30重量%以上含有し、かつこのゴム成分100重量部に対しシリカまたはカーボンブラックまたはその両方を10〜100重量部含有することを特徴とするゴム組成物。
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