JP4096803B2 - 画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体 - Google Patents

画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータ等のディジタル技術の発展に伴い、種々の形態でデータの授受が行われるようになっている。例えば、記録媒体の一つである紙媒体にデータに基づいて生成される画像を固定し、当該画像をスキャナ等によって光学的に読み取って、データに復号するという技術もある。
【0003】
こうした技術の例として具体的に、特許文献1に示すようなものがある。この特許文献1に示した例は、複写偽造防止用の情報(付加情報)を、スラッシュ(「/」)や、逆スラッシュ(「\」)といった記号の画像として、これらを二次元に配列し、ドキュメントの背景として印字するものである。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−346032号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
こうしたデータの授受方法では、記録媒体から画像を読み込む際の走査方向によって、授受したいデータ(処理対象データ)を表す画像の向きが変わってしまい、データの復号を正確に行えなくなることがある。
【0006】
この対策として、復号対象の画像の向きを検出し、その向きに応じてデータの復号方法を変更することも考えられるが、その処理は複雑になってしまう。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、復号対象の画像の向きに関わらず、比較的簡易な処理によって、正確にデータの復号を行うことができるようにする画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び記憶媒体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係る画像処理装置は、処理対象となったデータに基づいて、記録媒体上に二次元のコード画像を形成する画像処理装置であって、前記コード画像において、同一の矩形形状に形成される複数の領域を、当該コード画像の中心に対して対称的な位置に設定する手段と、処理対象となった前記データに基づいて、前記複数の領域のうち一の領域にパターンを形成する一の領域パターン形成手段と、前記複数の領域のうち前記一の領域とは異なる他の領域の各々に、前記一の領域に形成されるパターンと、前記コード画像の中心に対する当該他の領域と前記一の領域との位置関係と、に基づいて、パターンを形成する他の領域パターン形成手段と、を含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る画像処理方法は、処理対象となったデータの授受のために、当該処理対象となったデータに基づく二次元のコード画像を記録媒体上に形成する画像処理方法であって、前記コード画像において、同一の矩形形状に形成される複数の領域を、当該コード画像の中心に対して対称的な位置に設定するステップと、処理対象となった前記データに基づいて、前記複数の領域のうち一の領域にパターンを形成するステップと、前記複数の領域のうち前記一の領域とは異なる他の領域の各々に、前記一の領域に形成されるパターンと、前記コード画像の中心に対する当該他の領域と前記一の領域との位置関係と、に基づいて、パターンを形成するステップと、を含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る画像処理プログラムは、処理対象となったデータに基づいて、記録媒体上に二次元のコード画像を形成する画像処理装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、前記コード画像において、同一の矩形形状に形成される複数の領域を、当該コード画像の中心に対して対称的な位置に設定する手段、処理対象となった前記データに基づいて、前記複数の領域のうち一の領域にパターンを形成する一の領域パターン形成手段、及び、前記複数の領域のうち前記一の領域とは異なる他の領域の各々に、前記一の領域に形成されるパターンと、前記コード画像の中心に対する当該他の領域と前記一の領域との位置関係と、に基づいて、パターンを形成する他の領域パターン形成手段、として、例えばプリンタ、複合機、パーソナルコンピュータ、サーバコンピュータ等の前記コンピュータを機能させるためのプログラムである。
【0011】
また、本発明に係る記録媒体は、処理対象となったデータの授受のために、当該処理対象となったデータに基づいて、機械読み取り可能な二次元のデータ画像が形成される記録媒体であって、前記コード画像において、同一の矩形形状に形成される複数の領域を、当該コード画像の中心に対して対称的な位置に設定し、処理対象となった前記データに基づいて、前記複数の領域のうち一の領域にパターンを形成し、前記複数の領域のうち前記一の領域とは異なる他の領域の各々に、前記一の領域に形成されるパターンと、前記コード画像の中心に対する当該他の領域と前記一の領域との位置関係と、に基づいて、パターンを形成した、ことを特徴とする、例えば紙媒体等の記録媒体である。
【0012】
また、本発明に係る画像処理装置は、処理対象となった複数のデータに基づいて、記録媒体上に複数の二次元のコード画像を形成する画像処理装置であって、前記複数のコード画像の各々において、同一の矩形形状に形成される複数の識別情報用領域を、当該コード画像の中心に対して対称的な位置に設定する手段と、前記複数のデータの各々について、前記複数のパターン画像のうち少なくとも1つにおける、前記複数の識別情報用領域以外の領域であるデータ用領域に、当該データに基づいてパターンを形成する手段と、前記複数のコード画像の各々について、前記データ用領域に形成されるパターンに係るデータを識別する識別情報を取得し、前記複数の識別情報用領域のうち一の識別情報用領域に当該識別情報に基づいてパターンを形成する手段と、前記複数のコード画像の各々について、前記複数の識別情報用領域のうち前記一の識別情報用領域とは異なる他の識別情報用領域の各々に、前記一の識別情報用領域に形成されるパターンと、前記コード画像の中心に対する当該他の識別情報用領域と前記一の識別情報用領域との位置関係と、に基づいてパターンを形成する手段と、を含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の一態様では、前記パターンは、少なくとも2種類の記号パターンの配列によって形成され、前記一の領域パターン形成手段は、処理対象となった前記データに基づいて、前記記号パターンを前記一の領域に所定の配列規則に則して配列させ、前記他の領域パターン形成手段は、前記他の領域の各々において、前記所定の配列規則と、前記コード画像の中心に対する当該他の領域と前記一の領域との位置関係と、に基づいて、前記記号パターンを配列させる、ことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の一態様では、前記パターンは、180度回転対称性を有する2種類の記号パターンによって形成され、前記他の領域パターン形成手段は、前記他の領域の各々において、当該他の領域に配列される記号パターンを、前記コード画像の中心に対する当該他の領域と前記一の領域との位置関係に基づいて、他方の記号パターンに置き換える、ことを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る画像処理システムの模式図である。本システムは図1に示すように、パーソナルコンピュータで構成されたクライアント装置1と、プリント機能及びコピー機能を持った複合機2とがイントラネット等のネットワーク3に接続されて構成されている。
【0016】
本システムは、不正なコピー等を抑制し機密を確保するなどのためにコピー牽制パターンの印刷を可能としたものである。コピー牽制パターンは、機密確保対象となる画像の背景として印刷され、本システムは、このコピー牽制パターンをパターン画像で構成してプリントし、コピー機能の利用時には、そのパターン画像に表されたデジタルデータを読み取って、例えばコピーの制御や管理の処理に供する。
【0017】
図2は、本システムによってプリント出力され、またコピー機能において読み取られる画像を示す模式図である。この画像は、例えば用紙などの記録媒体上に形成されて固定される。図2(A)には本システムによってプリント出力されたコピー牽制パターンの全体が例示されている。なお、実際には、このコピー牽制パターン上に文書画像が合成されてプリント出力されるが、ここでは、コピー牽制パターンに関する説明がしやすいように、文書画像は文字や図形を一切含まない文書画像であった場合(したがって、単にコピー牽制パターンのみを印刷したのと同じ結果となっている)を例として示している。図2(A)において、文字「COPY」の領域が複写機で複写すると浮かび上がる潜像部であり、その周囲の領域が背景部である。この図では、「COPY」の文字が識別できるように示されているが、実際には潜像部の「COPY」の文字は、周辺の画像と、肉眼上は濃度差を見分けられず、識別が困難になるよう形成されている。図2(C)は図2(A)の四角で囲んだ領域を拡大した画像であり、背景部はスラッシュ(「/」)及び逆スラッシュ(「\」)として表される記号パターンが配列されて構成され、潜像部には、それらとは異なる第3のパターンが配列される。図3は、これら背景部、潜像部に配置される3つのパターンに対応するドットパターンであり、図3(A)に示すパターン0が逆スラッシュ、図3(B)に示すパターン1がスラッシュ、そして図3(C)に示すパターン2が潜像部を構成するパターンである。
【0018】
これらパターン0〜2の形状は互いに異なるが、各パターンを構成する黒色画素の数が略同じであり、パターンの配列に依らずプリント出力された場合の濃度が同じになるように構成されている。なお、実際にはプリンタ特性により画素数が同じでもパターンにより濃度が多少異なるため、プリント出力後の濃度が正確に一致するように、各パターンを構成する黒色画素の数及びパターン形状が設定されている。それゆえ、記録媒体上にプリント出力した際の潜像文字の内外の平均濃度(単位面積当たりの黒色画素面積)は同一となり、人間の目にはコピー牽制パターンが全面均一のグレイ背景に見え、上述したようにオリジナルのコピー牽制パターンにおいては肉眼で「COPY」の文字が識別し難くなる。
【0019】
さて、背景部に配置されるパターン0及びパターン1は図3(A)及び(B)に示すようにドットが直線状に並んだ記号パターンであり、複写機で複写された場合にパターンが再現される特性を有している。これに対し、潜像部の内部に配置されるパターン2は図3(C)に示すように孤立ドットがランダムに配置されたパターンであり、複写機で複写された場合にパターンが再現されにくい特性を有している。このため、図2(A)に示す画像を複写機で複写すると、背景部は高濃度で複写され、潜像部の内部は画像が抜けて、図2(B)に示すように、複写物においては白抜きの「COPY」の文字が浮かび上がる。
【0020】
以上のように、本システムでプリント出力した印刷物は、複写機で複写すると潜像として埋め込まれていた文字等の画像が浮かび上がることになるので、不正に複写する行為に対して心理的な抑制となると共に、浮かび上がった文字等によりオリジナルと複写物とを区別することが可能になる。
【0021】
また、コピー牽制パターンの背景部は、互いに識別可能なパターン0及びパターン1をビット値「0」、「1」に対応付けてデジタルデータを表したパターン画像とされる。背景部を構成するパターン0及びパターン1は複写後においても再現されるため、そのパターン画像に埋め込まれた情報は、複写物からも復号することができる。例えば、このパターン画像には、オリジナル文書を印刷したプリンタのIPアドレス等の情報を埋め込むことができ、それら情報を復号することで印刷物の流出経路を特定する処理などに供することができるようになる。
【0022】
図1に示す本発明に係る画像処理システムにおいて、クライアント装置1からの指示により文書データの印刷を行う場合には、クライアント装置1に内蔵されたプリンタドライバによって、文書データがPDL(Page Description Language)で記述された文書データ(PDLデータ)に変換され、このPDLデータがネットワーク3を介して複合機2へ送信される。複合機2は、受信したPDLデータに基づき、機密文書か否かを判定し、機密文書であると判定した場合には、PDLデータに対し、後述する加工を施すとともに、PDLデータをラスタ画像データに変換し、プリント出力を行う。
【0023】
次に、図1で示した複合機2の内部構成について説明する。図4は、複合機の内部構成を示す概略の機能ブロック図である。複合機2は、ネットワーク3に対するネットワークインターフェース(ネットワークI/F)10、複合機2全体の制御を行う制御部12、ユーザへの情報表示及びキー入力等を行うコントロールパネル14、原稿を読み取って画像データを取得する画像読み取り部16、読み取った画像データに対する所定の画像処理及び制御部12の制御に基づく画像データ生成を行う画像処理装置18、及び画像処理装置18から出力された画像データを印刷用紙等の画像記録媒体に印刷出力する画像形成部20を備える。
【0024】
ネットワークI/F10は、ネットワーク3を通してクライアント装置1からPDLデータの受信を行うと共に、その他のネットワーク接続機器との通信を行う。このPDLデータのヘッダー部には、プリントジョブを送信したコンピュータのIPアドレス、プリントジョブを送信したユーザ名、プリントする文書ファイル名、プリントする文書のタイムスタンプ等の情報が付加情報として付加されている。さらに、PDLデータのヘッダー部には、コピー牽制パターンの設定情報が付加されている。
【0025】
ここで、コピー牽制パターンの設定情報は、潜像文字として埋め込む文字列を示す情報を含んでいる。このコピー牽制パターンの設定情報は、複写を抑制する必要がある機密文書等にだけ付加されているので、コピー牽制パターンが抽出された場合には、この文書は機密文書等であると判定される。
【0026】
制御部12は、ネットワークI/F10で受信したPDLデータを格納するメモリ(図示省略)を有し、このメモリに格納されたPDLデータをチェックし、付加情報及びコピー牽制パターン設定情報が付加されているかを調べる。制御部12はコピー牽制パターン設定情報が付加されている場合には、複合機2の動作モードをコピー牽制パターン合成プリントモードに設定する。また、制御部12は付加情報並びにコピー牽制パターン設定情報に含まれている潜像文字列情報を取り出して、画像処理装置18へ設定する。
【0027】
一方、制御部12は、コピー牽制パターン設定情報が付加されていない場合には、複合機2の動作モードを通常プリントモードに設定する。この通常プリントモードでは、以下で説明するコピー牽制パターンの生成と合成処理は行われない。
【0028】
画像処理装置18は、ページバッファ30、画像処理部32、デジタルコード復号処理部34、画像生成部36、セレクタ38を含んで構成される。
【0029】
画像生成部36は上述した通常プリントモードでは、制御部12からPDLデータを受け取り、それに応じた文書画像データを生成し、この文書画像データをセレクタ38を介して画像形成部20へ出力する。また画像生成部36は、コピー牽制パターン合成プリントモードでは、文書画像データを生成するだけでなく、制御部12からPDLデータの付加情報及び潜像文字列情報を受け取り、それらを用いてコピー牽制パターンを生成する。そして、画像生成部36はコピー牽制パターンと文書画像とを合成した画像データを生成し、これをセレクタ38を介して画像形成部20へ出力する。例えば、付加情報はコピー牽制パターンの背景部を構成するパターン画像に埋め込まれる。
【0030】
さて複合機2は、入力されたPDLデータに基づく上述した2つのプリントモードの他、画像読み取り部16から画像データを読み取って複写する動作モードであるコピーモードを有している。コピーモードでは、画像読み取り部16が用紙等の記録媒体上に形成された文書画像を読み取って、画像データを生成し、この画像データがページバッファ30に格納される。例えば、画像読み取り部16はスキャナ等であり、ページバッファ30は半導体素子等のメモリで構成される。
【0031】
ページバッファ30に格納された読み取り画像は、画像処理部32及びデジタルコード復号処理部34で利用される。画像処理部32は、読み取られた画像に対し、ユーザの指示に従って、又はセットされた印刷用紙の種別等に応じて、倍率変換、回転操作、コントラスト調整等の処理を行い、当該処理を施された画像データがセレクタ38を介して画像形成部20へ出力され得る。
【0032】
デジタルコード復号処理部34は、ページバッファ30から得た読み取り画像内に、上述したコピー牽制パターンの背景部のパターン画像を検知し、そのパターン画像に埋め込まれたデジタルデータを復号する。復号されたデジタルデータは制御部12に渡される。例えば、デジタルコード復号処理部34は、コピー牽制パターンの背景部のパターン画像から上述したPDLデータの付加情報を抽出して、制御部12へ出力する。制御部12は、このPDLデータの付加情報に基づいて、例えば、その複合機2にて複写禁止の文書が読み込まれたことや、付加情報自体を、ネットワークI/F10及びネットワーク3を介して管理者に通知したり、当該複合機2の動作を制御する。
【0033】
セレクタ38は2つのプリントモードにおいては、画像生成部36から出力される画像データを画像形成部20へ通過させ、一方、コピーモードにおいては、画像処理部32から出力される画像データを画像形成部20へ通過させる。
【0034】
さて、上述したようにコピー牽制パターンはパターン画像で構成され、背景部にデジタルデータが埋め込まれる。図5は、このコピー牽制パターンの構造を説明するための図であり、コピー牽制パターンの構成単位となる二次元デジタルコード(コード画像)の一例を示す模式図である。二次元デジタルコードは、パターン0又はパターン1を直交座標に従って行列状に配列して構成される。二次元デジタルコードは矩形状に構成され、本実施の形態では正方形状に構成されている。さらに複数の二次元デジタルコードが行列状に配列されてコピー牽制パターン全体の画像が構成される。
【0035】
各二次元デジタルコードは、画像の中での当該二次元デジタルコードの位置特定を可能とするための、所定の同期パターンを含んで構成される同期コード部50と、後述するアドレス情報を含むアドレスコード部52と、付加情報等のデジタルデータを含むデジタルデータ部54とを含んでいる。
【0036】
同期コード部50に含まれる同期パターンは同じビット値(例えば「1」)を表すパターン(パターン「1」)を連続させた画像であり、パターン1が行方向(図5において水平方向)又は列方向(図5において垂直方向)に一列に並んだものである。二次元デジタルコードに記録されるデータ領域(アドレスコード部52及びデジタルデータ部54)をこの同期パターンで囲んで画定することにより、当該記録データ領域(又は当該二次元デジタルコード)の境界を検知し、画像中の各二次元デジタルコードから記録データ領域(又は二次元デジタルコード)を個別に取り出すことが可能となる。
【0037】
デジタルデータ部54は、二次元デジタルコードのうち同期コード部50とアドレスコード部52とを除く部分であり、上述した付加情報等の二次元デジタルコードに埋め込まれるデータは、1つのデジタルデータ部54に格納できる情報量に応じて複数の部分データに分割され得る。例えば6つの二次元デジタルコードが設けられ、それぞれのデジタルデータ部54に異なる部分データが格納される。なお、図5では、説明のため、デジタルデータ部54を全てビット値「0」の記号パターン(パターン0)で描いているが、実際には格納される情報に応じてパターン0とパターン1とが混在した形態となる。
【0038】
アドレスコード部52に保持されるアドレス情報は、画像中に複数配列された二次元デジタルコードを識別する情報であり、異なる二次元デジタルコード別に定められる。ここで、画像中には記録データ内容が異なる複数種類の二次元デジタルコードを含み得る一方、記録データ内容が同じである二次元デジタルコードを複数個、一つの画像内に配列することも行われ得る。このような同種の二次元デジタルコードを複数個配置する冗長な記録は、コピー牽制パターン上に重ねて印刷される文書画像による遮蔽や画像ノイズの影響を回避するために有効である。この場合には、同種の二次元デジタルコードには同一のアドレスを付すことができる。例えば、アドレス情報は識別番号であり、アドレスコード部52には2進数で表された当該番号が格納される。
【0039】
例えば、二次元デジタルコードに埋め込まれる記録データは6個の部分データに分割され、各部分データに応じた6つの二次元デジタルコードが生成される。この場合は、それぞれの部分データに応じた二次元デジタルコードに互いに異なるアドレス情報を付することになる。6つ程度の場合、アドレス情報の表現には4ビットあれば十分であり、アドレスコード部52は例えば図5に示すように2行2列の4ビット領域で構成され、この4ビットのアドレスコード部52が記録データ領域の四隅にそれぞれ配置される。アドレスコード部52を記録データ領域の四隅に配置することで、画像に含まれる文字や図形などが上から形成されてアドレスコード部52の少なくとも一部が掩蔽され、又は誤って読み取られるような場合に他のアドレスコード部52でそれを補って訂正することが可能となる。ちなみに、図5に示す例では、2進数表記でのアドレス情報「0101」がアドレスコード部52に格納されている。すなわち、アドレス情報「0101」に応じて、パターン0とパターン1とが配列されている。
【0040】
本実施の形態では、文書画像が正立状態から90,180,270度回転された状態(図7参照)で読み込まれた場合であっても、比較的簡易な処理によって、正確にアドレス情報を取得できるようになっている。例えば図5に示すような二次元デジタルコードを埋め込まれた文書画像が90,180,270度回転された状態で読み込まれた場合には、取得されるアドレス情報はそれぞれ「1100」、「1010」、「0011」となってしまう。これに対し、本実施の形態では、いずれの状態であっても正確にアドレス情報を取得できるようになっている。
【0041】
具体的には、図6に示すようにアドレス情報がアドレスコード部に格納されるようになっている。同図は本実施の形態における二次元デジタルコード(コード画像)の一例を示している。同図に示すように、本実施の形態では、アドレスコード部は二次元デジタルコード(記録データ領域)の中心に対して対称的な位置に配置される。例えば、二次元デジタルコード(記録データ領域)の各頂点に関連づけてアドレスコード部がそれぞれ配置される。同図の例では、二次元デジタルコード(記録データ領域)の四隅にそれぞれ配置されている。
【0042】
なお、同図(A)は、各アドレスコード部における配列規則を示している。ここで、配列規則とは、アドレス情報の各ビットの値を表す記号パターンをどのように配列させるかを示すものである。配列規則は、例えば配列順序を示したり、アドレス情報の各ビットの値を表す記号パターンを配置する位置を示したりするものである。同図(B)は、アドレス情報「0101」を格納する場合の例を示している。同図(C)は、同図(B)をコード画像化したもの(二次元デジタルコード)を示している。また、同図では、同期コード部50とアドレスコード部52とデジタルデータ部54との境界をわかりやすくするために強調表示している。また、同図(B)及び同図(C)においては、デジタルデータ部54のパターンを省略している。実際には格納される情報に応じてパターン0等が配置される。これらについては、図8乃至11においても同様である。図11では、同期コード部50のパターンについても省略している。
【0043】
同図(A)において、各アドレスコード部の数字は、当該アドレスコード部においてアドレス情報のビット値を表す記号パターンが配置される順序を示している。換言すれば、各数字はアドレス情報のビット位置を示しており、各箇所にはアドレス情報の当該数字によって示されるビットの値を表す記号パターンが配置されることを示している。例えば「1」の箇所にはアドレス情報の1ビット目の値「0」を表すパターン0が配置される。
【0044】
同図(A)に示すように、本実施の形態では、各アドレスコード部における配列規則は、二次元デジタルコードの中心に対して90度回転対称性を有するようになっている。換言すれば、各アドレスコード部における配列規則は、アドレスコード部のうちいずれかを基準として定められるようになっている。すなわち、アドレスコード部のうちいずれかを基準とし、他のアドレスコード部それぞれにおける配列規則は、基準としたアドレスコード部における配列規則と、当該二次元デジタルコードの中心に対する当該アドレスコード部と基準としたアドレスコード部との位置関係とに基づいて定められるようなっている。
【0045】
同図(A)の例では、二次元デジタルコードの中心に対して右上に配置されるアドレスコード部における配列規則(アドレス情報の各ビットの値を表す記号パターンの配列順序)は、左上に配置されるアドレスコード部(基準とするアドレスコード部)における配列規則を90度回転させたものとなっている。ここで、回転角度(90度)は、二次元デジタルコードの中心に対するこれらアドレスコード部の位置関係に基づくものである。同様に、右下及び左下に配置されるアドレスコード部における配列規則は、左上に配置されるアドレスコード部における配列規則をそれぞれ180度又は270度回転させたものとなっている。
【0046】
本実施の形態では、アドレスコード部からアドレス情報を取得する側においても、各アドレスコード部における配列規則を把握している必要がある。具体的には、アドレスコード部のいずれか(基準とするアドレスコード部)について配列規則を保持しておくことによって、他のアドレスコード部における配列規則を取得するようにすればよい。例えば、二次元デジタルコードの中心に対して左上に配置されるアドレスコード部における配列規則を保持しておくようにすればよい。
【0047】
次に、図7に示す各状態で文書画像が読み込まれた場合において、アドレス情報がどのように取得されるかについて説明する。同図(A)は文書画像が正立状態で読み込まれる場合を示している。同図(B),(C),(D)はそれぞれ、文書画像が正立状態から90度、180度、270度回転された状態で読み込まれる場合を示している。
【0048】
図8は、図6(C)に示す二次元デジタルコードを埋め込まれた文書が図7(A)又は(C)の状態で読み込まれた場合において抽出される二次元デジタルコードを示している。同図に示すように、この場合に取得されるアドレス情報は「0101」となり、正確にアドレス情報を取得できている。すなわち、文書画像が正立状態から180度回転された状態で読み込まれているにも関わらず、正確にアドレス情報を取得できるようになっている。
【0049】
図9は、図6(C)に示す二次元デジタルコードを埋め込まれた文書が図7(B)又は(D)の状態で読み込まれた場合において抽出される二次元デジタルコードを示している。同図に示すように、この場合に取得されるアドレス情報は「1010」となり、アドレス情報は各ビットが反転された状態で取得される。これらの場合には、同図に示すように、同期コード部についてもビットが反転されている。したがって、文書画像が90度又は270度回転されている否かを、同期コード部のビットが反転されているか否かによって判断し、文書画像が90度又は270度回転されていると判断される場合には、検出されたアドレス情報の各ビットを反転させてやるようにすればよい。こうすれば、文書画像が正立状態から90度又は270度回転された状態で読み込まれた場合であっても、アドレス情報を取得できるようになる。
【0050】
なお、本実施の形態では、ビット値「0」又は「1」を表す記号パターンとして、各々180度回転対象性を有し、一方を90度又は270度回転させると、他方となるような関係を有する記号パターン(「\」,「/」)を用いているが、各々90度回転対称性を有する記号パターンを用いるようにしてもよい。こうすれば、文書画像が正立状態から90度又は270度回転された状態で読み込まれた場合であっても、同期コード部のビットの状態(反転しているか否か)を判断することなく、アドレス情報を取得できるようになる。
【0051】
アドレス情報は、例えば図10に示すようにしてアドレスコード部に格納するようにしてもよい。同図では特に、二次元デジタルコードにおいて対角線上に配置されるアドレスコードの組み合わせのうち一方の組み合わせに係るアドレスコード部について、アドレス情報の各ビットに対応する記号パターンとして、各ビットの値を反転させたものを表す記号パターンを配置するようになっている。換言すれば、二次元デジタルコードにおいて対角線上に配置されるアドレスコードの組み合わせのうち一方の組み合わせに係るアドレスコード部については、アドレス情報の各ビットを表す記号パターンをそのまま配置するのではなく、もう一方の記号パターンに替えて配置する(置き換える)ようになっている。同図において、各アドレスコード部における配列規則は、同図(A)に示すように図6の場合と同様になっている。同図(B)は、アドレス情報「0101」を格納する場合の例を示している。この例では、二次元デジタルコードの右上及び左下に配置されるアドレスコード部において、アドレス情報の各ビットを反転させた値を表す記号パターンが配列されている。同図(C)は、同図(B)をコード画像化したもの(二次元デジタルコード)を示している。
【0052】
図11は、図10(C)に示す二次元デジタルコードを埋め込まれた文書を図7(A),(B),(C),(D)の状態で読み込んだ場合において、抽出される二次元デジタルコードをに示している。同図に示すように、いずれの場合においても取得されるアドレス情報は「0101」となり、正確にアドレス情報を取得できるようになっている。すなわち、各々180度回転対象性を有し、一方の記号パターンを90度又は270度回転させると他方の記号パターンとなるような記号パターンを各ビット値を表す記号パターンとして用いる場合において、文書画像が正立状態から90度又は270度回転された状態で読み込まれても、アドレス情報を正確に取得できるようになっている。
【0053】
図12は画像生成部36の構成を示すブロック図である。画像生成部36は、プリントデータ入力部80、文書画像生成部82、文書画像バッファ84、付加情報抽出部86、潜像生成部88、付加情報分割部90、付加情報符号化部92、パターン画像生成部94、パターン格納部96、画像合成部98、及び画像形成部100を含んで構成される。
【0054】
プリントデータ入力部80に、付加情報が付加された機密文書等のPDLデータが入力されると、文書画像生成部82は文書画像データを生成する。生成された文書画像データは文書画像バッファ84に一時格納される。付加情報抽出部86は、PDLデータから付加情報及びコピー牽制パターン設定情報(潜像文字列情報を含む)を抽出する。潜像生成部88は、潜像文字列情報から潜像文字画像データを生成する。
【0055】
付加情報分割部90は、コード化された付加情報を固定長コードに分割する。付加情報符号化部92は分割された複数の付加情報をそれぞれ誤り訂正符号化し、潜像文字画像データを参照して、ビット配列データを生成する。このビット配列データは、それぞれデジタルデータのビット値に対応するコード「0」「1」の二次元配列をベースとしつつ、潜像文字の位置がコード「2」で置き換えられたものである。
【0056】
ここで、付加情報符号化部92を中心として実行される処理(付加情報符号化処理)についてさらに詳しく説明する。本処理はコンピュータによってプログラムが実行されることによって実現される。図13は、本処理を説明するためのフロー図である。
【0057】
ステップ101において、付加情報分割部90には、付加情報抽出部86によって抽出される付加情報が入力される。同じく付加情報抽出部86によって抽出される潜像文字列情報は潜像生成部88に入力される。潜像生成部88は、潜像文字列情報に基づいて潜像文字画像データを生成する。潜像文字画像データは付加情報符号化部92に入力される。
【0058】
ステップ102において、付加情報分割部90は、付加情報を所定バイト数ごとのブロック(部分データ)に分割する。そして、各部分データに対応するアドレス情報を生成する。アドレス情報は各部分データを識別する情報であり、これらの部分データから付加情報を再構築するために用いられる。部分データはそれぞれ付加情報符号化部92に入力される。
【0059】
ステップ103及びステップ104において、付加情報符号化部92は、すべての部分データ及びそのアドレス情報を誤り訂正符号化していく。誤り訂正符号化された部分データやアドレス情報は「0」「1」のビット列で表される。
【0060】
すべての部分データについて符号化が完了した場合には、ステップ105において、付加情報符号化部92は、各部分データに応じた二次元デジタルコード(コード画像)を生成する。具体的には、各部分データについて、ビット列を1ビットずつ読み出して、読み出したビット列を二次元配列に並べる。
【0061】
この場合、二次元デジタルコードの最外周は、二次元デジタルコードの位置特定を容易にするためにすべて「1」とする。また、二次元デジタルコードの四隅にm行n列のm×nビット領域(以下、アドレス領域)を設ける。アドレス領域の大きさ(m,nの値)は、付加情報がいくつの部分データに分割されたかに基づいて決定する。
【0062】
アドレス領域には、二次元デジタルコードに格納される部分データを識別するアドレス情報に応じて、パターン0とパターン1とを配列する。具体的には、アドレス情報(符号化されたもの)を1ビットずつ読み出して、当該ビットの値を表す記号パターンを所定の配列規則に基づいて並べる。配列規則はアドレス領域ごとに異なっており、アドレス情報の各ビットについて、各アドレス領域における当該ビットに対応する記号パターンが配置される位置が二次元デジタルコードの中心に対して90度回転対称性を有するようになっている。また、二次元デジタルコードにおいて対角上に配置される当該アドレス領域の組み合わせのうち一方の組み合わせに係るアドレス領域(例えば、二次元デジタルコードの右上及び左下に配置される領域)については、読み出したビット値を反転させた値を表す記号パターン(読み出したビット値を表す記号パターンではないもう一方の記号パターン)を並べるようになっている。
【0063】
以上の二次元デジタルコードが、縦方向及び横方向に並べられて、文書1ページ分のビット配列が生成される。
【0064】
ステップ106において、付加情報符号化部92は、1ページ分のビット配列に潜像画像を埋め込む。具体的には、潜像文字画像データの画素を参照し、潜像文字画像データの画素が黒色画素である場合には、黒色画素の位置に対応する二次元配列の要素の値が強制的に、複写により再現し難いパターンを選択するための値「2」に置き換える。以上によって生成された1ページ分のビット配列データは、パターン画像生成部94に入力される。
【0065】
パターン格納部96は、図3に示したパターン0〜2のドットパターンを格納している。ビット配列データのコード値「0」「1」「2」はそれぞれこれらパターン0,1,2に対応している。パターン画像生成部94は、このパターン格納部96に格納されたパターンを参照して、ビット配列データに対応してパターン0〜2を配列し、パターン画像を生成する。
【0066】
画像合成部98は、文書画像データとパターン画像を重畳合成して出力し、画像形成部100は画像合成部98の出力を受けて、パターン画像が合成された文書画像データをプリント出力する。このようにして、文書画像の背景画像にデジタルデータと潜像文字部が埋め込まれた文書画像が生成される。
【0067】
図14はデジタルコード復号処理部34の構成を示すブロック図である。デジタルコード復号処理部34は、画像整形部60、パターン検出部62、デジタル情報検出部64、デジタル情報登録部66、アドレス判定部68、デジタルデータ復号部70、及び付加情報復号部72を含んで構成される。
【0068】
画像整形部60は次段のパターン検出部62にて文書画像からパターン画像を取り出しやすくするために、画像読み取り部16にて読み取った文書画像に対して2値化処理や画像の傾き補正処理、ノイズ除去処理などを行う。2値化処理はグレースケールで入力された文書画像を浮動(最適)2値化等の処理により2値画像へ変換する。画像の傾き補正処理は、画像読み取り時等で発生する画像の傾きを補正する。文書画像には文字やグラフィックなどの文書構成物を多く含み、これらはパターン画像を抽出する際にはノイズ成分となる。ノイズ除去処理は、読み取った画像からデジタルコードのパターン(パターン0及び1)のサイズより大きい画像構成物、又はデジタルコードのパターンより小さい画像構成物を除去する。ノイズ除去処理によって、文書画像に含まれる文字やグラフィック等の文書構成物が除去され、パターン画像を構成する記号パターンの検出を容易とすることができる。
【0069】
本実施の形態において、画像読み取り部16では、文書画像を所定の大きさに分割して読み込むようにしている。文書画像を分割して読み込むのは、一度に全ての文書画像を読み込むと処理に時間がかかるためである。一度に読み込む文書画像の大きさは、全種類の二次元デジタルコードが格納される大きさ以上とするのが好適である。すなわち、付加情報が複数の部分データに分割されて文書に埋め込まれている場合には、各部分データに対応する二次元デジタルコードがすべて含まれる大きさ以上とするのが好ましい。このようにすると、1回の読み込みですべての種類の二次元デジタルコードを読み込むことができ、読み込んだ画像に文書の文字、グラフィックや潜像文字等がない場合には、高速に付加情報を復号できるようになる。
【0070】
パターン検出部62はパターン0(「\」)とパターン1(「/」)を使用して、文書画像に含まれる複数のパターンを検出する。パターン検出部62により検出されたビットパターンは、その位置とパターンの種類(0,1,又は不明のいずれか)が次のデジタル情報検出部64へ渡される。
【0071】
デジタル情報検出部64はパターン検出部62で検出したパターン画像から二次元デジタルコードを検出し、さらに各二次元デジタルコードからデジタルデータ部54のデジタルデータ及びアドレスコード部52に格納されるアドレス情報を抽出する。抽出されたアドレス情報はアドレス判定部68へ渡される。一方、抽出されたデジタルデータ部54のデジタルデータはデジタル情報登録部66へ渡される。
【0072】
二次元デジタルコードの検出は、まず、パターン検出部62にて検出されたパターン画像中に同期パターンを探索する。同期パターンは、上述したようにビット値が全て「1」(記号「/」に対応)の画像に設定していることに基づいて探索される。基本的には、同期コード部50の位置は、読み取られたパターン画像のうちビット値「1」の比率が高い行及び列として特定することができる。一方、ここで、画像読み取り部16に画像記録媒体が90°回転した向きにセットされると、ビット値「1」を表すパターン1の画像は「\」(すなわちパターン0)と読み取られ、逆にビット値「0」を表すパターン0の画像は「/」(すなわちパターン1)と読み取られることになる。そのため、同期パターンはビット値が全て「0」の画像となっている可能性があり、読み取られたパターン画像のうちビット値「0」の比率が高い行及び列も同期コード部50の位置の候補となり得る。デジタル情報検出部64は例えば、ビット値が全て「1」の行又は列と全て「0」の行又は列のいずれか多い方を同期コード部50と判断し、その位置に基づいて二次元デジタルコードを検出する。
【0073】
デジタル情報検出部64は、検出した二次元デジタルコードのうち同期コード部50を除いた残りの部分の四隅の所定ビットをアドレスコード部52と判断し、その部分に含まれるデジタルデータをアドレス判定部68へ渡す。アドレス判定部68は、アドレスコード部52から渡されたデジタルデータに基づいて当該二次元デジタルコードのアドレスを識別し、これをデジタル情報登録部66へ渡す。なお、アドレス判定部68は、一つの二次元デジタルコードに含まれる4つのアドレスコード部52の内容を比較し、それら全てのアドレス情報が一致しない場合には、多数決等の方法で確からしいアドレスを定めることができる。またアドレスコード部52の情報だけではアドレスを定めることができない場合には、アドレス判定部68は当該二次元デジタルコードのデジタルデータ部54の内容と、デジタル情報登録部66に二次元デジタルコードのアドレス別に既に登録されているデジタルデータ部54の内容とを対比して、その一致度に基づいて確からしいアドレスを推定するように構成することができる。
【0074】
デジタル情報登録部66は、デジタル情報検出部64からデジタルデータ部54に対応するデジタルデータを入力され、これをアドレス判定部68にて判定されたアドレス毎に登録する。なお、この登録処理においては、同じ種類の複数の二次元デジタルコードからそれぞれ得られる複数のデジタルデータ部54のデジタルデータを補完的に用いたり、統計処理することによって、文字画像等によって欠損した情報を訂正する処理が施される。
【0075】
パターン画像内に検知される全ての二次元デジタルコードに対し、アドレス判定部68によるアドレス判定とデジタル情報登録部66によるデジタルデータ登録処理が完了すると、デジタルデータ復号部70は、デジタル情報登録部66に登録されているデジタルコードを復号する。デジタルデータの復号はBCH符号やRS符号などの誤り訂正符号の復号や、暗号化データに対する復号を含む。デジタルデータ復号部70からは、二次元デジタルコードの各種類毎に、復号されたデジタルデータが得られる。
【0076】
付加情報復号部72は、これら複数の復号されたデジタルデータを、アドレス情報に従って連結し、レコードに分割して画像に埋め込まれていた付加情報等のデジタルデータを再構築する。
【0077】
以上説明した画像処理システムによれば、二次元デジタルコードを埋め込まれた文書画像が正立状態から90,180,270度回転された状態(図7参照)で読み込まれた場合であっても、比較的簡易な処理によって、二次元デジタルコードに含まれるアドレス情報を取得でき、文書画像に記録されたデータ(付加情報)を復元できるようになる。すなわち、文書画像がどの方向で走査されたかに依存することなく、文書画像に記録されたデータを復元できるようになる。
【0078】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0079】
本発明は、二次元デジタルコードの複数領域に同じ内容のデータを格納させる場合に適用できるものである。すなわち、以上ではアドレス情報(アドレスコード部)を対象として説明したが、対象とする情報はアドレス情報に限られるものではない。例えば、付加情報を分割せずに二次元デジタルデータを生成する場合において、記録データ領域を複数の領域(例えば4つの領域)に分割し、その各領域に付加情報を格納する場合には、各領域における配列規則を以上でアドレスデータ部を対象に説明したようにすればよい。
【0080】
またここでは、画素値を表す色として黒の場合を例示したが、これに限定するものではなくサイアン(cyan)やマゼンタ(magenta)などの他の色であっても良い。
【0081】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、復号対象の画像の向きに関わらず、比較的簡易な処理によって、正確にデータの復号を行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に係る画像処理システムの全体構成を示す図である。
【図2】 文書画像の一例を示す図である。
【図3】 3種類のドットパターンを示す図である。
【図4】 本発明の実施の形態に係る複合機の機能ブロックを示す図である。
【図5】 二次元デジタルコードの一例を示す図である。
【図6】 本発明の実施の形態に係る二次元デジタルコードの一例を示す図である。
【図7】 文書画像の状態を示す図である。
【図8】 抽出される二次元デジタルコードの一例を示す図である。
【図9】 抽出される二次元デジタルコードの一例を示す図である。
【図10】 本発明の実施の形態に係る二次元デジタルコードの他の一例を示す図である。
【図11】 抽出される二次元デジタルコードの一例を示す図である。
【図12】 本発明の実施の形態に係る画像生成部の機能ブロックを示す図である。
【図13】 付加情報符号化処理を示すフロー図である。
【図14】 本発明の実施の形態に係るデジタルコード復号処理部の機能ブロックを示す図である。
【符号の説明】
1 クライアント装置、2 複合機、3 ネットワーク、10 ネットワークインターフェース、12 制御部、14 コントロールパネル、16 画像読み取り部、18 画像処理装置、20 画像形成部、30 ページバッファ、32画像処理部、34 デジタルコード復号処理部、36 画像生成部、38 セレクタ、50 同期コード部、52 アドレスコード部、54 デジタルデータ部、60 画像整形部、62 パターン検出部、64 デジタル情報検出部、66 デジタル情報登録部、68 アドレス判定部、70 デジタルデータ復号部、72 付加情報復号部、80 プリントデータ入力部、82 文書画像生成部、84 文書画像バッファ、86 付加情報抽出部、88 潜像生成部、90 付加情報分割部、92 付加情報符号化部、94 パターン画像生成部、96 パターン格納部、98 画像合成部、100 画像形成部。

Claims (7)

  1. 処理対象となったデータに基づいて、記録媒体上に、矩形形状を有する二次元のコード画像を形成する画像処理装置であって、
    前記コード画像において、同一の矩形形状に形成される複数の領域を、当該コード画像の中心に対して対称となる位置に設定する手段と、
    処理対象となった前記データに基づいて、前記複数の領域のうち一の領域にパターンを形成する一の領域パターン形成手段と、
    前記複数の領域のうち前記一の領域とは異なる他の領域の各々に、前記一の領域に形成されるパターンと、前記コード画像の中心に対する当該他の領域と前記一の領域との位置関係と、に基づいて、パターンを形成する他の領域パターン形成手段と、
    を含むことを特徴とする画像処理装置。
  2. 請求項1に記載の画像処理装置において、
    前記パターンは、少なくとも2種類の記号パターン配列されることによって形成され、
    前記一の領域パターン形成手段は、処理対象となった前記データに基づいて、前記記号パターンを前記一の領域に所定の配列規則に則して配列させ、
    前記他の領域パターン形成手段は、前記他の領域の各々において、前記所定の配列規則と、前記コード画像の中心に対する当該他の領域と前記一の領域との位置関係と、に基づいて、前記記号パターンを配列させる、
    ことを特徴とする画像処理装置。
  3. 請求項2に記載の画像処理装置において、
    前記パターンは、2種類の記号パターンが配列されることによって形成され、
    前記2種類の記号パターンは、180度回転対称性を有するものであり、
    前記他の領域パターン形成手段は、前記他の領域の各々において、当該他の領域に配列される記号パターンを、前記コード画像の中心に対する当該他の領域と前記一の領域との位置関係に基づいて、他方の記号パターンに置き換える、
    ことを特徴とする画像処理装置。
  4. 処理対象となった複数のデータに基づいて、記録媒体上に、矩形形状を有する二次元のコード画像を複数形成する画像処理装置であって、
    前記複数のコード画像の各々において、同一の矩形形状に形成される複数の識別情報用領域を、当該コード画像の中心に対して対称となる位置に設定する手段と、
    前記複数のデータの各々について、前記複数のコード画像のうち少なくとも1つにおける、前記複数の識別情報用領域以外の領域であるデータ用領域に、当該データに基づいてパターンを形成する手段と、
    前記複数のコード画像の各々について、前記データ用領域に形成されるパターンに係るデータを識別する識別情報を取得し、前記複数の識別情報用領域のうち一の識別情報用領域に当該識別情報に基づいてパターンを形成する手段と、
    前記複数のコード画像の各々について、前記複数の識別情報用領域のうち前記一の識別情報用領域とは異なる他の識別情報用領域の各々に、前記一の識別情報用領域に形成されるパターンと、前記コード画像の中心に対する当該他の識別情報用領域と前記一の識別情報用領域との位置関係と、に基づいてパターンを形成する手段と、
    を含むことを特徴とする画像処理装置。
  5. 処理対象となったデータの授受のために、当該処理対象となったデータに基づく二次元かつ矩形形状のコード画像を記録媒体上に形成する画像処理方法であって、
    前記コード画像において、同一の矩形形状に形成される複数の領域を、当該コード画像の中心に対して対称となる位置に設定するステップと、
    処理対象となった前記データに基づいて、前記複数の領域のうち一の領域にパターンを形成するステップと、
    前記複数の領域のうち前記一の領域とは異なる他の領域の各々に、前記一の領域に形成されるパターンと、前記コード画像の中心に対する当該他の領域と前記一の領域との位置関係と、に基づいて、パターンを形成するステップと、
    を含むことを特徴とする画像処理方法。
  6. 処理対象となったデータに基づいて、記録媒体上に、矩形形状を有する二次元のコード画像を形成する画像処理装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、
    前記コード画像において、同一の矩形形状に形成される複数の領域を、当該コード画像の中心に対して対称となる位置に設定する手段、
    処理対象となった前記データに基づいて、前記複数の領域のうち一の領域にパターンを形成する一の領域パターン形成手段、及び、
    前記複数の領域のうち前記一の領域とは異なる他の領域の各々に、前記一の領域に形成されるパターンと、前記コード画像の中心に対する当該他の領域と前記一の領域との位置関係と、に基づいて、パターンを形成する他の領域パターン形成手段、
    として前記コンピュータを機能させるためのプログラム。
  7. 処理対象となったデータの授受のために、当該処理対象となったデータに基づいて、機械読み取り可能な二次元かつ矩形形状のデータ画像が形成される記録媒体であって、
    前記コード画像において、同一の矩形形状に形成される複数の領域を、当該コード画像の中心に対して対称となる位置に設定し、
    処理対象となった前記データに基づいて、前記複数の領域のうち一の領域にパターンを形成し、
    前記複数の領域のうち前記一の領域とは異なる他の領域の各々に、前記一の領域に形成されるパターンと、前記コード画像の中心に対する当該他の領域と前記一の領域との位置関係と、に基づいて、パターンを形成した、
    ことを特徴とする記録媒体。
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