JP4090389B2 - 核磁気共鳴装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、核磁気共鳴装置(以下、NMR装置と表記する)に係わり、均一磁場(B)中に置かれた試料に対して、所定の共鳴周波数で高周波信号を送信、および/または自由誘導減衰(FID)信号を受信するためのプローブのコイル形状と実装のための構造に特徴を有するNMR装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
核磁気共鳴分光(NMR分光)における分解能を高める目的で、均一な高磁場(B)下で、高い共鳴周波数の高周波信号を試料に印加できるNMR装置が開発されている。10テスラ(T)以上の高磁場を発生するために、超電導マグネットが一般的に使われ、現在ではタンパク質の構造解析を主要な目的とした高磁場NMR装置が開発されており、磁場強度21.6T、共鳴周波数920MHzのNMR装置が作られている。
【0003】
一方、印加された高周波パルス信号に対応して試料が発生する自由誘導減衰信号(FID信号)を受信するプローブには、高い感度が求められる。これはタンパク質のように、試料の量が少ない場合は、FID信号強度が特に低く、測定に長時間を要してしまうためである。プローブの主要なノイズは、共鳴器を構成するプローブの電気抵抗に起因して発生し、温度と材料の高周波損失抵抗に依存する。このノイズを下げるために、特許文献1に提示されているように、低温下にプローブコイルやプリアンプを設置する他、最近は高周波損失抵抗が銅などの通常金属に比較して2桁以上低い高温超電導体が使われている。高温超電導体をプローブコイルに用いた例は、特許文献2に示されている。
【0004】
磁場強度の均一度が優れた超電導マグネットは、一体型のソレノイドマグネットによって実現されており、測定試料に対してのばらつきは10−9と小さい。このようなソレノイド型マグネットを有するNMR装置では、試料を磁場に導入するための試料管はソレノイド型マグネットの軸方向に一致しており、高周波信号は試料管およびソレノイド型マグネットの軸方向に対して垂直に印加される。そのため、プローブには鞍型コイルやバードケージ型アンテナが用いられている。バードケージ型アンテナの例は、特許文献3に示されている。
【0005】
プローブコイルのノイズを減らすために超電導体、特に、高温超電導体で鞍型やバードケージ型のコイルまたはアンテナを作製しようとする場合、平面の酸化物単結晶基板上に形成した超電導膜を利用するため、自由な形状を選ぶことはできず、効率的に試料を覆うことが難しい。そのため、抵抗に起因したコイルのノイズは低下するが、形状に関係する充填率(filling factor)の低下により、高周波信号の印加効率は下がる。
【0006】
ソレノイド型コイルは、鞍型やバードケージ型のコイルまたはアンテナに比較して、充填率が高い。酸化物高温超電導体でソレノイド型コイルを作った例は、前述の特許文献2に示されている。この公知例では高温超電導膜で平板ドーナッツ状のリング(1枚のコイル)を作製し、その一部を切り離して基板を介したキャパシタを形成してLC共振器を作っている。コイル間の電気的接続が困難なため、複数の平板ドーナッツ状のリングを接続してソレノイドコイルを作製することができず、各コイル間の相互インダクタンスを利用した誘導性結合により試料に高周波信号を印加し、試料からのFID信号を受信している。しかし、各コイル間の相互インダクタンスを利用する方法では、調整が困難で、一般的には効率が低くなってしまう。
【0007】
充填率を高め、FID信号の検出効率を高めるには、ソレノイドコイルの巻き数を多くすればよいが、高周波用NMRプローブには困難が伴う。すなわち、コイルのインダクタンスと給電点に設けるキャパシタの容量との積は、印加する高周波周波数に対応させることが必要であるが、給電点に設けるキャパシタの容量を3pF以下にすることは製作上難しい。さらに、タンパク質の構造解析に用いられるような高周波信号が600MHzクラスのNMR装置では、コイルのインダクタンスを下げることが強く要求されるため、ますます製作が困難となる。
【0008】
【特許文献1】
米国特許5,247,256号明細書
【特許文献2】
米国特許5,585,723号明細書
【特許文献3】
特開平11−133127号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は核磁気共鳴(NMR)分光における自由誘導減衰(FID)信号を受信するプローブコイルの高感度化を実現したNMR装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明ではプローブコイルの感度を高めるために、以下の手段を講じる。まず、2つに分割された超電導マグネットにより均一な高磁場(B)を発生させる。次に分割された超電導マグネット間の均一な高磁場の領域に共鳴周波数の高周波信号を印加するプローブコイルを設ける。プローブコイルは超電導マグネット間の均一な高磁場の方向と直交している。
【0011】
プローブコイルの材料には高周波電流に対する抵抗が極めて小さな超電導体、例えば、二硼化マグネシウム(MgB)あるいは酸化物超電導体を用いる。プローブコイルの単位となる一つのコイル形状は円盤上に形成した超電導膜で作製した平板ドーナッツ状薄膜である。該平板ドーナッツ状超電導膜は円周上の一部で切り離されている。前記超電導膜の面は均一な高磁場に平行になるように配置する。
【0012】
前記平板ドーナッツ状超電導膜の開放された両端面の一部にはキャパシタが形成されている。前記超電導膜はこれらキャパシタを介して引き出し端子として利用される常伝導金属リードと容量性結合するものとされる。所定の間隔で並列に配置された単位となる一つのコイルが複数個前記常伝導金属リードにより並列または直列に接続されてソレノイドコイルとされる。
【0013】
なお、プローブコイル中に軸方向に試料が導入される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下本発明の核磁気共鳴装置を図を参照して説明する。
【0015】
(比較例)
図1は本発明の対象とするNMR装置の一例の主要部の概略を示す斜視図である。2つに分割された超電導マグネット30,30により、一点鎖線で示す中心線に沿って、14.1テスラ(T)の均一磁場を発生させる。この磁場中の前記中心線に直角方向に、低温プローブ31を設置する。低温プローブ31のプローブコイルは10Kまで冷却できる。プローブ31の断熱された内側に直径3〜10mm、長さ5〜10mmの試料を入れた内径10mm程度の試料管32を挿入する。ここでは、実際の冷却構造や信号系および電気回路関連の図示は省略されている。
【0016】
図2および図3は、低温プローブ31のソレノイドコイルに超電導体を用いることとしたときの構成および接続回路の単純な考えの例を説明する図であり、図2にソレノイドコイルの構成の概略を斜視図で示し、図3にこのコイルを使用するときの回路図を示す。
【0017】
図2において、3は超電導マグネット30,30により発生された均一磁場の向きを示す矢印である。4,4,4および4は、それぞれ、円盤ドーナッツ状の基板2上に形成された超電導膜で作製された単位となるドーナッツ状コイルであり、該ドーナッツ状超電導膜は円周上の一部で切り離された構造である。これらの超電導膜コイル4,4,4および4は一定の間隔で平行に配置される。1,1は超電導膜コイル4,4,4および4を保持するための外筒であり、作業の便のために二つ割りにされている。9は超電導膜コイル4,4,4および4を保持するための内筒である。内筒9および外筒1により超電導膜コイルを所定の間隔に維持し、且つ、相互に平行に保持する。また、単位となる超電導膜コイル4,4,4および4は均一磁場3に平行であるように配置される。
【0018】
,821,822,823および824は常伝導金属リードであり、リード8は超電導膜コイル4の一端に接続され、プローブ31の下端部まで引き出される。リード821は超電導膜コイル4の一端と超電導膜コイル4の一端とを接続する。同様に、リード822は超電導膜コイル4の一端と超電導膜コイル4の一端とを接続し、リード823は超電導膜コイル4の一端と超電導膜コイル4の一端とを接続し、リード824は超電導膜コイル4の他端に接続され、プローブ31の下端部まで引き出される。かくして、リード8とリード824の間に、巻き数4のソレノイドコイルが構成される。リード8が、他の超電導膜コイル4,4および4の側面を通過するとき、電気的な混触が起こるのを避けるために、超電導膜コイル4,4および4はリード8が通る位置の部分で超電導膜を切り欠いたものとした。
【0019】
図2では、図を分かりやすくするために、超電導膜コイル4を形成した円盤ドーナッツ状の基板2の表示は省略した。超電導膜コイル4は全て同じ構成で良いが、各コイル間の関連を分かり安くるために、超電導膜コイル4,4と超電導膜コイル4,4の表示を異なったパターンとした。また、内筒1および外筒9は、例えば、サファイアで作成されるが、輪郭の線を示すのみとした。
【0020】
図3は、図2のように構成されたソレノイドコイルを、サファイア製の内筒1および外筒9を介して10Kまで冷却、NMR分光測定に供するために、600MHzの送受信コイルとして使用する場合の回路図である。ソレノイドコイルのリード8とリード824の両端に高周波電源7と並列に、0.17pFのキャパシタ6を接続することにより600MHzの送受信コイルとして使用することが可能となる。しかしながら、この0.17pFのような小さな容量のキャパシタ6を再現性よく製作することは極めて困難で、かつ動作は不安定になるため、高周波NMR装置では現実的ではない。
【0021】
(実施例1)
600MHzを超える高周波帯域でのNMR分光測定を行うために、直径3〜10mm、長さ5〜10mmの試料を測定対象とし、試料管32に入れた試料に磁界を印加し、自由誘導減衰(FID)信号を受信するソレノイド型コイルのインダクタンスが低くなる構造を検討した。コイルの巻き数を3以上にし、600MHzの共振器を構成するキャパシタの容量を実現可能な3pF以上にすることが具体的なターゲットである。
【0022】
図4は実施例1のNMR装置用プローブコイルの概略図である。図2に例示した構成と同様に、円盤ドーナッツ状の基板2(図5(B)参照)上に形成され、円周上の一部で切り離された構造の超電導膜で作製された単位となるドーナッツ状コイルを基本とする。図4も、図2と同様に、円盤ドーナッツ状の基板2の表示は省略し、内筒9および外筒1,1は輪郭の線のみとした。また、超伝導コイルのパターンを交互に異なるものにして見やすくした。
【0023】
外筒1,1は外径20mm、内径16.5mmのサファイアパイプを半分に割った形状である。内筒9は外径14mm、内径11mmのサファイアパイプである。円盤ドーナッツ状の基板2は、外径18mm、内径14mm、厚さ0.75mmの円盤ドーナッツ状の平面基板であり、面方位が(0001)のサファイア(Al)からなる。これらの円盤ドーナッツ状の基板2が4枚、3.3mm間隔で固定される。これらの円盤ドーナッツ状の基板2の一面には円周上の一部で切り離された構造の超電導膜4で作製された単位となるドーナッツ状コイルが形成される。超電導膜4は、二硼化マグネシウム(MgB)である。二硼化マグネシウム(MgB)超電導膜4は、Mg板上にBペレットを並べたターゲットを用いたスパッタリング法により、サファイアで構成された円盤ドーナッツ状の基板2の表面に膜厚250nmの非晶質MgB膜を形成後、2×10−5Torrで400℃で5分間加熱、結晶化させて形成された。超電導膜4で作製されたドーナッツ状コイルはNMR装置の均一磁場3に平行になるように配置される。
【0024】
図2では、超電導膜と常伝導金属リードの接続には言及しなかったが、実施例1のNMR装置用プローブコイル31は、この部分に工夫を施すことにより、単位となるコイルのインピーダンスを低減するとともに、コイルの超電導膜4と常伝導金属リード8の接続を安定したものとする。5,5は金薄膜であり、前記円盤ドーナッツ状の基板2の一面に作製された超電導膜4の円周上の一部で切り離された位置に形成される。22,22は金薄膜5が絶縁層24を介して超電導膜4の上に延伸されて形成されたオーバーラップ部である。他の超電導膜4にも金薄膜5およびオーバーラップ部22は同様に形成されるが、図4では常伝導金属リード8および8の陰に隠れて、部分的にしか見えていない。超電導膜4による単位となるコイルは、常伝導金属リード8および8によって、後述するように、キャパシタを介して、並列接続されてプローブ31の下端部まで引き出される。
【0025】
図5(A)は超電導膜4によるコイルと金薄膜5との関係を説明するための平面図、(B)は(A)のB−B’位置で断面として矢印方向に見た図である。
【0026】
超電導膜4を前記平板ドーナッツ状の基板2の片側の全面に形成した後、一部をエッチングで除去、切り離し部21を形成する。この後、超電導膜4の切り離した両端の一部を含めて切り離し部21を覆うように窒化アルミニウム(AlN)23の膜を形成する。これは、超電導膜4と同様に、メタルマスクを用いてスパッタ法により窒素雰囲気でアルミニウムをスパッタリングすることにより形成した。この後、金薄膜5を蒸着、電子線リソグラフィにより、超電導膜4と金薄膜5の一部が超電導膜4上にオーバーラップするようなパターンを形成してオーバーラップ部22,22を形成した。切り離し部21は角度15°のピッチで形成し、超電導膜4に近い切り離し部21に金薄膜5とオーバーラップ部22,22を形成した。金薄膜5の円盤ドーナッツ状の基板2の外周部が常伝導金属リード8および8と接続される。
【0027】
常伝導金属リード8および8と金薄膜5が直接接続されるだけで、超電導膜4と常伝導金属リード8および8は、直接接続されない。しかし、図5(B)から分かるように、金薄膜5と超電導膜4との間には窒化アルミニウム(AlN)24の膜を挟んで、オーバーラップ部22にはキャパシタ23が、オーバーラップ部22にはキャパシタ23が形成される。すなわち、本発明では、常伝導金属リード8と超電導膜4によるコイルとはキャパシタ23を介して接続されたものとなる。その結果、常伝導金属リード8および8間で見たインダクタンスは低いものとすることができる。
【0028】
実施例1では、キャパシタ23は層間絶縁膜24をAlNとし、その膜厚を250nm、オーバーラップ部22の大きさを6μm×6μmにすることで、容量を4pFにできた。実施例1では、キャパシタ23は4pFとなったが、オーバーラップ部22の大きさを変えることで、20から50pFの範囲のキャパシタ23を実現できることが計算機シミュレーションで分かった。
【0029】
図5(C)は超電導膜4によるコイルと金薄膜5との関係を異なる形にしたときの平面図である。すなわち、超電導膜4の一部を切り欠いて単位となる超電導コイルを作り、この切り欠き部21に常伝導金属リードとの接続片となる金薄膜5およびキャパシタ23を作ることにおいて変わりは無い。しかし、金薄膜5およびキャパシタ23を作る位置を超電導膜4の円周方向の幅のほぼ半分の部分に限るものとして、超電導膜4によるコイルの有効長を大きくすることができる。
【0030】
図6は、図5に示したNMR装置用プローブコイル31を600MHzの送受信コイルとして使用する場合の回路図である。常伝導金属リード8と超電導膜4による単位となるコイルをキャパシタ23を介して接続されたものとする。すなわち、超電導膜によるコイル4はキャパシタ2311,2312を直列に介して、超電導膜によるコイル4はキャパシタ2321,2322を直列に介して、超電導膜によるコイル4はキャパシタ2331,2332を直列に介して、および、超電導膜によるコイル4はキャパシタ2341,2342を直列に介して、常伝導金属リード8および8に並列接続される。
【0031】
これにより、常伝導金属リード8および8間で見たインダクタンスは低いものとすることができる。その結果、常伝導金属リード8および8の給電点に並列に接続するキャパシタ6の容量を40pFとして送受信コイルとした。高周波電源7を送受信コイルに並列に接続して、600MHzの送受信コイルとして安定に機能するものとすることができた。各円盤ドーナッツ状の基板2上の超電導膜4による単位となるコイル間の電気的接続は、外筒1の内面に蒸着法により形成した金薄膜による常伝導金属リード8で行った。
【0032】
図7、図8は超電導膜4を一面に形成している円盤ドーナッツ状の基板2の外筒1への固定および金薄膜5と常伝導金属リード8との接続について説明する図である。
【0033】
図7に示すように、外筒1の内面には、単位となる超電導膜によるコイル4,4,4および4の間隔に対応した間隔で溝13,13,13および13が設けられる。これらの溝13の深さは、外筒1の内径16.5mmに対して円盤ドーナッツ状の基板2の外径を18mmとしたので、これに対応して深さ0.5mとした。また溝13の幅は、円盤ドーナッツ状の基板2の厚さを0.75mmとしたので、これに対応して、0.77mmとした。溝13の配列のピッチは円盤ドーナッツ状の基板2の配列をピッチを3.3mmとしたのに対応して3.3mmとして作製した。外筒1の内面に金薄膜を蒸着法により成膜して常伝導金属リード8,8のパターンを作製した。
【0034】
図8は、図7に示した常伝導金属リード8の部分で溝13の部分を断面とした一部を示す図である。常伝導金属リード8は金薄膜で形成されているが、溝13の部分では、溝に沿って凹形状となっている。超電導膜4および金薄膜5を形成した円盤ドーナッツ状の基板2の金薄膜5の位置が、前記、溝13の常伝導金属リード8を成膜した位置に来るようにして、溝13に基板2を差込む。常伝導金属リード8と金薄膜5の間の電気的コンタクトと円盤ドーナッツ状の基板2の固定を確実にするため、図8に示すようにインジウム14を超音波で付着させた。全ての円盤ドーナッツ状の基板2を溝13に差込んだ後、円盤ドーナッツ状の基板2の内側に、内筒9を挿入した。さらに、もう一つの外筒1で4枚の円盤ドーナッツ状の基板2を挟み込み、熱収縮チューブで外筒1,1を円筒状にして固定した。
【0035】
作製した4層並列コイルを600MHzにて評価した結果、超電導膜4を利用することで、感度は銅コイルを用いた場合の3.5倍に向上した。
【0036】
図9は超電導コイル4の感度の幅依存性を示す図である。実施例1では超電導コイル4の幅は2mmであったが、この幅を0.3mmから4mmまで変化させた。この結果からは、幅を大きくすれば導体抵抗およびインダクタンスが下がり感度は向上するが、一方で、コイルが大きくなるとプローブの外径が大きくなるために試料から遠ざかり、感度は逆に低下する。また、静磁場Bの均一度が低くなるという、相反する効果が生じる。そのため、望ましい超電導膜4の幅は、0.5mmから2mmで、望ましくは0.5mmから1mmであることが明らかになった。
【0037】
均一磁場Bの均一度を高く維持するためには、超電導膜面が均一磁場Bに平行になっている必要があり、そのため、実施例1ではプローブを周囲から支える支持体の内側に溝を形成、円盤ドーナッツ状基板2を差し込み、固定した。これにより、円盤ドーナッツ状基板2上に形成された超電導膜4は均一磁場Bに平行にできる。後述する他の実施例でも同じである。
【0038】
(実施例2)
実施例1と同じ構造で4層並列コイルを超電導膜を二硼化マグネシウム(MgB)から酸化物超電導体の1つであるYBaCu(YBCO)に変更した。円盤ドーナッツ状の基板2にはLa−Sr−Al−Ta酸化物を用い、レーザ蒸着法でYBCO超電導膜4を形成した。膜厚は同じく250nmである。超電導膜4と常伝導金属リード8の間のキャパシタ23の形成のための絶縁膜24は、セリウム酸化物(CeO)を超電導膜4と同様に、レーザ蒸着法によりメタルマスクを用いて形成した。
【0039】
このあと、実施例1と同様に金薄膜5を蒸着、電子線リソグラフィにより、超電導膜4と金薄膜5を一部オーバーラップさせるようなパターンを形成した。切り離し部21および金薄膜5は、角度15°のピッチで形成した。金薄膜5の厚さは200nmである。セリウム酸化物(CeO)24と金薄膜5の接着強度を高めるために、金薄膜5を蒸着後、酸素中で400℃、1時間の熱処理を行った。層間絶縁膜24はCeOとし、その膜厚を300nm、オーバーラップ部22の大きさは、6μm×6μmにすることで、容量が4pFのキャパシタを作製できた。
【0040】
作製した4層並列コイルを600MHzにて評価した結果、超電導膜4を利用することで、感度は銅コイルを用いた場合の3.5倍に向上し、実施例1との超電導材料の違いによる差異は見いだせなかった。
【0041】
(実施例3)
実施例2と同じ構造で、超電導膜の枚数を3枚とした。接続の回路図を図10に示す。また、実施例3に使用した超電導膜4は、実施例1と同様にYBCO膜であるが、円盤ドーナッツ状の基板2には(001)の面方位をもつLaAlOを用いた。また、キャパシタ23を構成する常伝導金属電極には銀薄膜を金薄膜5に替えて形成した。銀薄膜の厚さは250nmであった。CeO層間絶縁膜と銀薄膜の接触抵抗を下げるために、実施例3においても銀薄膜を蒸着後、酸素中で400℃、1時間の熱処理を行った。
【0042】
作製した3層並列コイルを600MHzにて評価した結果、実施例1の場合に比較して、感度は下がったが、銅コイルを用いた場合の3.0倍であった。
【0043】
さらに、常伝導金属電極を銀薄膜に代えて、金および銀の合金とした場合についても、銀薄膜によって得られたと同程度以上の感度が実現できた。
【0044】
(実施例4)
4枚の超電導コイル4を直列に接続してソレノイドコイルを構成した。コイルの概略図を図11に、超電導膜によるコイル4,4,4および4の平面図を図12(A)-(D)に、超電導コイルの接続を示す接続図を図13に示す。なお、図11も、図2,4と同様に、円盤ドーナッツ状の基板2の表示は省略し、内筒9および外筒1,1は輪郭の線のみとした。また、超伝導コイル4のパターンを交互に異なるものにして見やすくした。
【0045】
実施例1と同様にキャパシタ23を介して超電導コイル4と金薄膜5による常伝導金属電極を接続し、金薄膜5と常伝導金属リード8を接続した。図11のコイルの各部品は実施例1のコイルの概略図を示す図4と同等のものには同じ参照符号を付した。実施例4では、超電導膜によるコイル4,4,4および4を直列に接続するために、図11と図4と対比して明らかなように、金薄膜5による常伝導金属電極の位置は、金薄膜5による常伝導金属電極1枚の幅に相当する7.5°ずつずらしたものとされる。
【0046】
超電導コイル4の巻き始め端は、図4と同様、常伝導金属リード8により引き出されるが、コイル4の巻き終わり端は金属リード821により引き出され、コイル4の巻き始め端に接続される。同様に、各コイルの巻き始め端と巻き終わり端を金属リード822、823により順次接続して、最後のコイル4の巻き終わり端が金属リード824により引き出される。
【0047】
キャパシタ23を構成するオーバーラップ部22のパターン構造は図5−(C)に示すものとした。こうすることにより、超電導コイル4の有効長を増加させることができる。
【0048】
図12(A)-(D)は超電導コイル4,4,4および4の金薄膜5による常伝導金属電極の位置関係を具体的に示す図である。この図には、さらに、金薄膜5による常伝導金属電極と常伝導金属リード8との混触を避けるための超電導コイル4,4および4の切り欠き25,25および25についても表示した。図11と図12とを対比して分かるように、超電導コイル4の金薄膜5による常伝導金属電極5と超電導コイル4の金薄膜5による常伝導金属電極512とが常伝導金属リード821で接続される。同様に、超電導コイル4の金薄膜5による常伝導金属電極522と超電導コイル4の金薄膜5による常伝導金属電極513とが常伝導金属リード822で接続され、超電導コイル4の金薄膜5による常伝導金属電極523と超電導コイル4の金薄膜5による常伝導金属電極514とが常伝導金属リード823で接続される。超電導コイル4の金薄膜5による常伝導金属電極524は常伝導金属リード824で引き出される。
【0049】
図13は超電導コイル4,4,4および4の接続を示す接続図である。超電導コイル4,4,4および4の回路構成は図6に示す実施例1と同様であるが、実施例4では、これらが直列されている点において実施例1とを異なる。
【0050】
円盤ドーナッツ状の基板2の外筒1,1への固定、および超電導コイル4と常伝導金属リード8との接続は実施例1と同じである。ただし、常伝導金属リード8は、実施例1と異なり、超電導コイル4,4,4および4間の接続が、それぞれ、常伝導金属リード821,822および823と異なったものであるから、これに対応したパターニングが必要である。実施例4では、図14に示すように、常伝導金属リード8はAu層15/SiO層16/Au層17の3層積層構造とし、各層の厚さはそれぞれ、Au層15を200nm、層間絶縁SiO層16を300nm、Au層17を200nmとした。Au層15を接地した。Au層17と常伝導金属電極5とは、図8に示す実施例1の場合と同様に、インジウム14を超音波で付着させた。
【0051】
作製した4層直列超電導コイルを600MHzにて評価した結果、超電導膜を利用することで、感度は銅コイルを用いた場合の2.7倍に向上した。また、キャパシタ23を介して接続したので、600MHzにて使用する場合にも、給電点に並列に接続するキャパシタ6の容量は2.7pFに大きくなり、再現性が向上した。
【0052】
(実施例5)
実施例4と同じ基本構造において、3枚の超電導膜を直列に接続し、ソレノイドコイルを作製した。超電導コイル4,4,および4間を接続する常伝導金属リード8および引き出しの常伝導金属リード8には、これまで金薄膜を用いていたが、銅(Cu)とアルミニウム(Al)の積層構造を採用した。これは、均一磁場3に対して膜面が垂直になる常伝導金属リード8が均一磁場3を歪めないためである。Cuの比透磁率は0.999991で1よりも若干低く、一方、Alは1.0000002で、1よりも若干高い。そのため、CuとAlを平均値が1になるように積層することで、比透磁率を極めて1に近くすることができる。
【0053】
常伝導金属リード8をサファイア外筒1の内面に蒸着法でパターンニングする際、Cuの膜厚を200nmに、Alの膜厚を100nmとした。実施例4と同様に600MHzにて評価した結果、並列接続した場合と同じ感度で、給電点に並列に接続するキャパシタ6の容量は3.6pFに増大した。
【0054】
(実施例6)
実施例1のように、超電導コイル4,4,4および4を全て直列に繋いだ場合には、本発明の場合でも、インダクタンスが大きくなる。そのため、給電点に接続するキャパシタ6の容量を小さくしなければならず、更なる高周波での測定には不利である。実施例6では、2枚の超電導コイルを直列に接続し、これらを2つ並列に接続した。図15は実施例6の回路図の概略を示す図である。超電導コイル4と4および超電導コイル4と4が、それぞれ直列接続され、これらが並列接続されている。参照符号は実施例4の接続回路を示す図13に付したものと同じである。キャパシタ23を構成するオーバーラップ部22のパターン構造は、実施例4と同じ図5−(C)に示すものとした。こうすることにより、超電導コイル4の有効長を増加させることができる。
【0055】
さらに、円盤ドーナッツ状の基板2を外筒1へ固定する方法を改善した。図16は実施例6の改善した固定法を説明する図である。実施例1の固定法を説明する図8と同様に、常伝導金属リード8の部分で溝18の部分を断面とした一部を示す図である。外筒1の内側に幅0.75mm、深さ0.5mm、傾斜角が10−15°のテーパを有する切り込み18を作製した。常伝導金属リード8は実施例5で説明した銅(Cu)とアルミニウム(Al)の積層構造を採用した。Cu薄膜19とAl薄膜20を実施例5の膜厚で成膜し、外筒1の内面にコイルを接続するための常伝導金属リード8のパターンを作製した。一方、円盤ドーナッツ状の基板2の外周縁0.5mm幅に傾斜角が10°のテーパ加工をし、これに超電導膜4および金薄膜5を形成した。そして、前記外筒1の切り込み18に差込む形で、2つの外筒1で4枚の円盤ドーナッツ状の基板2を挟み込み、熱収縮チューブで外筒1を固定した。さらに、実施例1と同様に常伝導金属リード8と金薄膜5の間の電気的コンタクトと円盤ドーナッツ状の基板2の固定を確実にするため、インジウム14を超音波で付着させた。
【0056】
なお、外筒1の内側に形成するテーパは、図に示すように、金薄膜5側ではなく、基板2が露出している側でも良い。また、両側にテーパを形成したものとしても良い。いずれの場合も、円盤ドーナッツ状の基板2の周辺はこのテーパに対応する形に形成されるべきことは言うまでもない。
【0057】
実施例1と同様に600MHzにて評価した結果、実施例1の超電導コイル4を4個並列接続した場合と同じ感度で、給電点に並列に接続するキャパシタ6の容量は10.4pFに増大した。
【0058】
(種々のコイル形状における感度と必要なキャパシタ6の容量)
上述の実施例1-6におけるコイルの直列、並列、直並列の接続形態と常伝導金属リード8による引き出し線との接続関係に関して、常伝導金属リード8と超電導コイルとを図2に示すように直接接続した場合(直接接続)と、本発明のように、常伝導金属リード8と超電導コイルとの間にキャパシタ23を構成する形で接続した場合(容量接続)とについて、プローブコイルの感度と必要なキャパシタ6の容量について評価した。ここでは、常伝導金属リード8と超電導コイルとの間に構成されるキャパシタ23は4pFとし、測定周波数は600MHzとした。
【0059】
評価結果を表1にまとめた。表1には必要な給電用キャパシタ6の容量を括弧内に示し、比較のため、コイルを常伝導膜コイルとした場合についても示した。
【0060】
【表1】
Figure 0004090389
使用する周波数の大きさによってどのようなコイル形状を採用するか違ってくるが、超電導コイルを金属常伝導リードによりキャパシタを介して接続し、ソレノイドコイルにすることにより、3倍以上の感度向上が図れることが明らかになった。そして、給電用キャパシタ6の容量を大きなものとできるから、製作上の再現性が大きく向上する。
【0061】
(実施例7)
超電導膜にMgBを用いて、実施例1と同じキャパシタを介した常伝導リードとの接続を特徴とする構造のプローブ用コイルを作製した。本実施例ではワッシャ状円盤にポリテトラフルオロチレンを用いた。MgB薄膜の形成は実施例1と同じように、Mg板上にBペレットを並べたターゲットを用いたスパッタリング法で行った。成膜後、ランプ加熱により、2×10−5Torrで400℃で2分間加熱、結晶化させた。MgB超電導薄膜の上にAlN層間絶縁膜を形成後、金薄膜を形成して、キャパシタ23を構成するオーバーラップ部22および接続片となる金薄膜5を作製した。超電導膜のパターン、キャパシタおよびコンタクト用の金薄膜のパターンは実施例1と同じである。この場合も実施例1と同様の性能を得た。
【0062】
(実施例8)
均一磁場3に対して垂直に高周波磁界を印加するために、プローブコイルに大きな高周波電流を流すことが必要となる。キャパシタ23の接続による高周波電力の供給では、キャパシタ23には耐圧が要求される。実施例1に示した層間絶縁膜24をCeOとした単一のキャパシタ23では、耐圧上不利である場合がある。これを改善するひとつの実施例として、キャパシタ23を複数のキャパシタが直列接続されたものとした例を提案する。
【0063】
図17(A)は実施例8の超電導コイル4についての切り離し部のおよび金薄膜5のオーバーラップ部22の平面図、(B)は図17(A)のB−B’位置で矢印方向に見た断面図である。LSATで作製した円盤ドーナッツ状の基板2上に超電導コイルを構成するYBCO超電導膜を250nm厚で形成後、下部電極36,36,36および36のパターンを超電導コイル4のパターンと同時にパターン化した。その後、SrTiO層間絶縁膜38を形成した。SrTiO層間絶縁膜38の膜厚は200nmである。次に、さらにYBCO超電導膜37を形成し、前記超電導コイル4の切り離し部および下部電極36,36,36および36のパターンの間をブリッジする形でパターン化した上部電極37,37,37および37を形成した。その後、金薄膜5を形成し、同時に、オーバーラップ部22も形成した。
【0064】
前記超電導コイル4の切り離し部および下部電極36,36,36および36と上部電極37,37,37および37の間にはオーバーラップ部分があり、それらの間には層間絶縁膜38があるから、これらのオーバーラップ部分はキャパシタとして機能する。すなわち、図17(A),(B)に示す構造とすれば、常伝導金属リード8と超電導コイル4の接続部の金薄膜5との間には、9個のキャパシタが直列接続された形となる。図17(C)は超電導コイル4が直列接続されたキャパシタ23,23を介して常伝導金属リード8,8に接続された形の接続図を示す。
【0065】
キャパシタ23を直列接続したものとすることで、個々のキャパシタにかかる電圧は低くなり、送信用コイルとして利用したときの絶縁体力を増大させることが可能になった。ここで、キャパシタの層間絶縁膜に比誘電率が非常に大きなSrTiOを用いたのは、個々のキャパシタの容量を大きくし、直列に接続した時にも全体の容量を維持するためである。比誘電率が大きな材料としては、他にBaTiO、などがある。
【0066】
【発明の効果】
本発明によれば、超電導膜を磁場に平行に配置し、それらを常伝導金属膜リードで接続することで磁場を乱すことなく、プローブコイルの超電導化が図れた。さらに、超電導膜と常伝導金属薄膜リードとの間の接続点にキャパシタを介することで、給電点に接続するキャパシタの大きさを制御容易な大きさにすることができた。その結果、NMR分光測定におけるFID信号を高感度で検出することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の対象とするNMR装置の一例の主要部の概略を示す斜視図。
【図2】低温プローブのソレノイドコイルに超電導体を用いることとしたときの構成の単純な考えの例を示す斜視図。
【図3】図2の構成の回路図。
【図4】実施例1のNMR装置用プローブコイルの概略図。
【図5】(A)は超電導膜によるコイルと金薄膜5との関係を説明するための平面図、(B)は(A)のB−B’位置で断面として矢印方向に見た図、(C)は超電導膜によるコイルと金薄膜5との関係を異なる形にしたときの平面図。
【図6】図5に示したNMR装置用プローブコイルを600MHzの送受信コイルとして使用する場合の回路図。
【図7】超電導膜を一面に形成している円盤ドーナッツ状の基板の外筒への固定について説明する図。
【図8】超電導膜を一面に形成している円盤ドーナッツ状の基板2の金薄膜と常伝導金属リードとの接続について説明する図。
【図9】超電導コイルの感度の幅依存性を示す図。
【図10】実施例2と同じ構造で、超電導膜の枚数を3枚とした場合の接続の回路図。
【図11】4枚の超電導コイルを直列に接続してソレノイドコイルを構成した概略図。
【図12】図11の超電導膜によるコイルの平面図。
【図13】図11の超電導コイルの接続を示す接続図。
【図14】実施例4の常伝導金属リードのAu層/SiO層/Au層の3層積層構造の例を示す図。
【図15】実施例6の回路図の概略を示す図。
【図16】円盤ドーナッツ状の基板を外筒へ固定する方法を改善した実施例6の固定法を説明する図。
【図17】(A)は実施例8の超電導コイルについての切り離し部のおよび金薄膜のオーバーラップ部の平面図、(B)は(A)のB−B’位置で矢印方向に見た断面図、(C)は超電導コイルが直列接続されたキャパシタを介して常伝導金属リードに接続された形の接続図を示す図。
【符号の説明】
,1…外筒、2…円盤ドーナッツ状の基板、3…均一磁場、4,4,4,4…超電導膜あるいは超伝導コイル、5,5,512,522,513,523,514,524…金薄膜、6…キャパシタ、7…高周波電源、8,8,821,822,823,824…常伝導金属リード、9…内筒、13…切り込み、14…インジウム、15…Au層、16…層間絶縁SiO層、17…Au層、18…テーパを有する切り込み、19…Cu薄膜、20…Al薄膜、21…切り離し部、22…オーバーラップ部、23,23,2311,2312,2321,2322,2331,2332,2341,2342…接続用キャパシタ、24…窒化アルミニウム、25,25,25…切り欠き、30,30…超電導マグネット、31…低温プローブ、32…ガラス管、36,36,36,36…YBCO超電導下部電極、37,37,37,37…YBCO超電導上部電極、38…SrTiO層間絶縁膜。

Claims (14)

  1. 所定の均一磁場を発生させるための2つに分割された超電導マグネット、該超電導マグネットの磁場中に置かれた試料に対して前記磁場の方向と直角方向に所定の共鳴周波数で高周波信号を送信、および/または自由誘導減衰(FID)信号を受信するためのプローブコイルを備えた核磁気共鳴装置において、前記プローブコイルの単位となる一つのコイルは円盤ドーナッツ状の基板上に形成された超電導膜の膜面が前記均一磁場に平行になるように配置されるとともに、前記円盤ドーナッツ状の基板上に形成された超電導膜は円周上の一部が切り離され、該切り離された両端の各端部に、絶縁体を挟んだ常伝導金属電極と超電導膜との積層構造からなるキャパシタが形成され、前記プローブコイルの単位となるコイルは前記キャパシタの常伝導金属電極を介して常伝導金属リードに電気的に接続され、複数のコイルが直列または並列または直並列に接続されてプローブコイルを形成したものであることを特徴とする核磁気共鳴装置。
  2. 前記常伝導金属リードが、前記円盤ドーナッツ状の基板を外周から締め付ける形で配置された少なくとも2分割された外筒の内面に、マイクロストリップライン構造にパターニングされているプローブコイルを備える請求項1記載の核磁気共鳴装置。
  3. 前記円盤ドーナッツ状の基板上に形成されたコイルの単位となる一つのコイルの超電導膜の幅が0.5mm以上、2mm以下とされたプローブコイルを備える請求項1記載の核磁気共鳴装置。
  4. 前記常伝導金属電極が金、または銀、またはこれらの合金の膜を蒸着により形成されたプローブコイルを備える請求項1記載の核磁気共鳴装置。
  5. 前記常伝導金属電極と超電導膜との積層構造からなるキャパシタの重なり部分の面積が、20から50平方ミクロンとされたプローブコイルを備える請求項1記載の核磁気共鳴装置。
  6. 前記単位となるコイルが、3個並列、4個並列、4個直列、または2個直列の2個並列のいずれかの接続形態とされたプローブコイルを備える請求項1記載の核磁気共鳴装置。
  7. 前記常伝導金属リードと前記常伝導金属電極とが、超音波で付着させたインジウムで電気的および機械的に接続されたプローブコイルを備える請求項2記載の核磁気共鳴装置。
  8. 前記常伝導金属リードが金薄膜を蒸着法により成膜されたプローブコイルを備える請求項2記載の核磁気共鳴装置。
  9. 前記常伝導金属リードが金薄膜層とSiO層および金薄膜層の3層積層薄膜からなり、前記常伝導金属電極と非接続となる金薄膜層は接地されるプローブコイルを備える請求項2記載の核磁気共鳴装置。
  10. 前記常伝導金属リードが銅とアルミニウムの積層薄膜からなるプローブコイルを備える請求項2記載の核磁気共鳴装置。
  11. 前記外筒がサファイアを材料とし、該外筒の内側に単位となるコイルの数だけの溝を形成し、それぞれの溝に単位となるコイルを差し込んだ請求項2記載の核磁気共鳴装置。
  12. 特許請求項11記載のサファイア支持体の内側に形成した溝の断面が、テーパ状になっていることを特徴とするプローブを有するNMR装置。
  13. 特許請求項1および2記載の平板ドーナッツ状超電導膜が、二硼化マグネシウムまたはY−Ba−Cu酸化物超電導体からなるプローブ用コイルを有するNMR装置。
  14. 特許請求項1および2記載の平板ドーナッツ状超電導膜が、サファイア、LaAlO、LSAT、ポリテトラフルオロチレンからなるプローブ用コイルを有するNMR装置。
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