JP4076583B2 - 重量貨物車タイヤ用クラウン補強材 - Google Patents
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Description
米国特許第4688615号は、一つのプライと次のプライが交差し、タイヤの円周方向に対して5°乃至60°の間の角度をなす各プライ中で互いに平行なケーブルで作られた第一のプライと第二のプライとから組み立てられたラジアルタイヤ用のクラウン補強材を説明している。これらの2つのプライの間には円周方向に配置されたケーブルの第三のプライが配置されており、第三のプライのケーブルは、第一および第二のプライのケーブルの直径に最大等しい直径を有し、第一および第二のプライのケーブルを形成する材料の引っ張り強度よりも小さい引っ張り強度を有し、それにより、第三のプライにより低い引っ張り強度を与え、且つ、交差されたケーブルのプライの各々よりも伸長性のある材料から作られており、さらに、第三のプライは、最も大きい幅の角度をなすケーブルのプライよりも大きくない幅を有する。
未公開のフランス特許出願第FR94/15,736号は、上に記載したタイヤに関し、さらに詳しくはリム上の高さHの最大軸幅Sに対する比が最大0.60の重量貨物車型タイヤに関する。前記特許出願は、そのタイヤのクラウン補強材の寿命を改善し、そしてタイヤのトレッドの摩耗の均一性も改善するために、軸方向に連続したプライの前記補強材が組合されていることによって特徴づけられるクラウン補強の構造を必要とし、軸方向に連続したプライは、タイヤの円周方向に対して少なくとも60°の角度をなす非伸縮性金属補強要素で作られ、金属要素のプライは円周方向と実質的に平行に向けられ、2つのワーキングクラウンプライの半径方向間に配置されている。
そのような構造はワーキングプライ同士の剥離に対してより強い抵抗を得ることを可能にし、こうして作られたクラウン補強材の下に配置されたカーカス補強材のケーブルのより強い疲労強度を得ることも可能にする。円周方向補強要素の付加プライの軸方向の幅は、ワーキングプライの幅より小さくてもよい。
少なくとも0.50の形状比のタイヤにおいて運転温度は無視できないが、出願人の研究により、出願人は、熱的、そして経済的観点からより効果的な解決法を見出した。
タイヤの円周方向に対して非常に大きく傾けられ、かつカーカス補強材の半径方向上方に配置された金属ケーブルによって形成されたクラウンプライを使用することなく、タイヤのクラウン補強材及びその下のカーカス補強材の寿命を改善するために、本発明は、上記のフランス特許出願よりも、より経済的な解決策を提案する。
本発明による少なくとも0.50のH/S形状比を有するタイヤは、ラジアルカーカス補強材及びクラウン補強材を有し、クラウン補強材は、一つのプライと次のプライが交差し、円周方向に対して10°乃至45°の間の角度をなす非伸縮性金属ケーブルで作られた少なくとも2つのワーキングクラウンプライと、円周方向に対して半径方向最も外側のワーキングクラウンプライのケーブルがなす角度に等しい角度に円周方向に対して向けられたスチール製の弾性金属ケーブルで形成されたいわゆる保護プライと、軸方向に連続で、円周方向と実質的に平行に向けられた金属補強要素から形成された付加プライと、から組立てられ、付加プライが、カーカス補強材に半径方向に最も近いワーキングプライの上に配置され、円周方向に対して45°より大きい角度に向けられた金属ケーブルから形成されたクラウンプライの存在は除外されており、保護プライの軸方向幅が、スチール製の金属要素の付加プライの軸方向幅よりも大きく、且つ、半径方向最も外側のワーキングクラウンプライの軸方向幅よりも小さく、Fをプライの単位幅あたりの力、相対伸びεを0.5%に等しいとしたとき、付加プライの伸び剛性R=dF/dεの、クラウン補強材のその他のプライの伸び剛性の合計に対する比が0.35乃至0.70の間であることを特徴とする。
技術的かつ経済的観点の両方から有利にも、ワーキングプライを形成するスチール製の金属ケーブルの直径よりも大きい直径をもつスチール製の金属要素をいわゆる付加プライにおいて使用することによってこの比の値は得られる。
非伸縮性ケーブルは、例えば、破壊荷重の25%で測定されたとき0.5%以下の相対伸びを有するスチールケーブルを意味すると理解すべきである。
実質的に円周方向に平行に向けられた金属要素とは、前記方向に対して0°を中心に+2.5°乃至−2.5°の範囲内の角度を形成する要素のことをいう。
補強要素のプライの伸び剛性は、所定の相対伸びεを得るために必要な、プライの単位幅当りにケーブルの方向に働く張力によって決まり、Rを問題とするプライの剛性、dF/dεを張力の相対伸びに対する微分、そしてεが0.5%に等しいとして、式
R=dF/dε
によって、または、Rを問題とするプライの剛性、pを前記プライの要素の間のピッチ、dF/dεを張力の相対伸びに対する微分として、式
R=(1/p)dF/dε
によって表される。
上記の関係で、付加プライはいわゆる半弾性連続スチールケーブル、即ち、2%乃至6%の破壊時の相対伸びを有するケーブルで形成される。これらのケーブルは、ワーキングクラウンプライと付加プライの間の円周方向張力の適当な分布に適した剛性のレベルを得ることを可能にする。前記ケーブルは都合よくはバイモデュラーケーブルと呼ばれ、即ちそれは、小さな伸びに対して緩やかな傾きを持ち、大きな伸びに対して急激で実質的に一定の傾きを持つ相対伸びの関数としての引張り応力曲線を有する。2%以下の伸びに対する加硫前の非常に低い弾性係数は、タイヤの加硫中の付加プライの円周方向の拡張の増大を可能にする。
付加プライは、円周方向に向けられ、プライの円周長さよりも非常に短い長さの部分を形成するように切断され、部分の間の切断部が互いに円周方向にずれているスチール製の金属ケーブルで形成することもできる。この実施形態は、どんなものであろうと簡単な方法で、付加プライに所望の剛性を持たせることを可能にしている。
本発明によるクラウン補強材は、有利にはいわゆる保護クラウンプライで仕上げられ、この保護クラウンプライは、半径方向に最も外側のワーキングクラウンプライのケーブルのなす角度と同じ角度に円周方向から向けられたスチール製の弾性金属ケーブルで形成され、保護クラウンプライの軸方向の幅は、半径方向に最も外側のワーキングプライの軸方向の幅よりも小さいが、スチール製金属要素の付加プライの軸方向の幅よりも大きい。
本発明の特徴及び利点は、限定的でない仕方で一実施形態を示す図面を参照した以下の説明を参照することでよりよく理解されるであろう。図面において、単一の図1は、子午線方向断面で見た本発明によるクラウン補強材の概略図を示す。
サイズが315/80 R22.5のタイヤPは、0.8の形状比H/Sを有し、HはタイヤPの装着リム上のタイヤPの高さ、SはタイヤPの最大タイヤ軸方向幅である。前記タイヤPは、スチール製金属ケーブルの単一プライによって形成されたラジアルカーカス補強材(1)を有し、該金属ケーブルは各ビードの中にターンアップを形作る少なくとも一本のビードワイヤーに固定される。カーカス補強材(1)は、半径方向に内側から外側に向かって、
−スチール製の非伸縮性金属ケーブルで形成された第一ワーキングクラウンプライ(31)であって、該金属ケーブルは22°の角度αの方向を向き、中心部がカーカス補強材(1)に平行で、カーカスプライ及びワーキングプライの夫々のケーブルがカレンダー厚のみによって分離され、側部が、前記のプライに僅かな湾曲を与えるためにゴム製形材要素(2)によってカーカス補強材から分離されている第一のワーキングプライ(31)と;
−半径方向に第一ワーキングプライ(31)の上に載り、スチール製の非伸縮性金属要素で形成された付加プライ(32)であって、各要素はプライ(32)の円周長さの1/6に実質的に等しい円周長さを有し、前記要素は0°の方向に向けられている付加プライ(32)と;
−次いで、第一プライ(31)と同一の金属ケーブルで作られた第二ワーキングクラウンプライ(33)であって、該金属ケーブルは角度αと反対の角度βをなし、図示した場合では、円周方向に対して22°の前記の角度αに等しい(しかし、前記角度αと異なることもある)角度βをなす第二ワーキングプライ(33)と;
−最後に、円周方向に対して角度βと同じ方向のかつ、この角度βと同じ(しかし、異なることもある)大きさの角度θに向けられた保護プライと呼ばれる、破壊の際少なくとも4%の伸び率を有するいわゆる弾性スチールケーブルの最終プライ(34)と;
によって形成されたクラウン補強材(3)によってたがばめされている。
第一ワーキングプライの軸方向幅L31は226mmに等しく、これは、当該タイヤでは、実質的にトレッドの幅に等しく、トレッドの幅は本件の場合においては235mmに等しい。第二ワーキングプライ(33)の軸方向幅L33は、第一ワーキングプライ(31)の幅L31より小さく、204mmに等しい。付加プライ(32)の軸方向幅L32は、160mmに等しい。保護プライと呼ばれる最終クラウンプライ(34)は、付加プライの幅L32より僅かに大きいL34の幅、即ち170mmを有する。
ワーキングプライ(31)又はワーキングプライ(33)の単位幅当りの伸び剛性は、それらが同じ、直径1.09mmのフープのない9.28スチール製の金属ケーブルで作られ、該ケーブルは非伸縮性でプライの全幅に亘って連続で、前記ケーブルが1.8mmの同一ピッチで配置されているため、今回の場合同じであり、0.5%の相対伸びにおいて4000daN/mm以上、本件の場合では5500daN/mmである。付加プライ(32)の同一条件で測定された、同様の剛性は、付加プライがフープのない27.23のスチール製の直径1.4mmの金属ケーブルから作られ、プライの円周長さの20%に実質的に等しい円周長さのケーブルの部分を持つように切断され、要素の列は2mmの間隔で互いに隔てられている場合には、0.5%の相対伸びに対して5500daN/mmに等しい。
上に記載されたタイヤは、第一にテストドラム上で、空気圧8.5bar、横滑り角度5°、速度80km/hにおいて荷重4000kgで車両が走ることをシミュレートした条件で、第二に試験車両に取り付けて、空気圧8.5bar、平均速度105km/hで車が直線上を走っていると考えられる状態において4500kg以上の荷重でテストされた。車上試験において、ワーキングクラウンプライの縁部で取られた温度の測定値は、運転温度に関しては僅かな利得を示したが、他方、在来の構造の、即ち、大きく傾けられたケーブルのプライ、ケーブルが僅かに傾けられ一つのプライと次のプライが交差されている二つのワーキングプライ、及び弾性ケーブルの保護プライから組立てられたクラウン補強材を有するタイヤと比較して破損する前の走行距離は少なくとも100%の上昇率を示す。テストドラム上で横滑り角5°で走行する場合において、走行距離の上昇率は大きく、それは80%に達し、本発明によるタイヤで7800kmに及び、これに対して在来のタイヤでは4430kmにすぎない。
付加プライ(32)はいわゆるバイモデュラースチールケーブルで形成しても良い。ある弾性のプライ(32)のみが、加硫モールド内でのタイヤの成形中に有用であり、初期状態から1%の相対伸びで、例えば、最大1000daN/mm2の低い弾性係数、2%以上の相対伸びに対して、例えば、8000daN/mm2以上の係数を有するケーブルを使用するのがよい。
Claims (4)
- 0.50以上H/S形状比を有するタイヤであって、ラジアルカーカス補強材(1)及びクラウン補強材(3)を有し、該クラウン補強材(3)は、一つのプライと次のプライが交差し、円周方向に対して10°乃至45°の間の角度(α、β)をなす非伸縮性金属ケーブルで作られ、幅L31およびL33を有する2つのワーキングクラウンプライ(31、33)と、円周方向に対して半径方向最も外側のワーキングクラウンプライのケーブルがなす角度βに等しい角度θに円周方向に対して向けられたスチール製の弾性金属ケーブルで形成され、幅L34を有するいわゆる保護プライ(34)と、軸方向に連続で、円周方向と実質的に平行に向けられた金属補強要素から形成された付加プライ(32)と、から組立てられ、前記付加プライ(32)が、カーカス補強材(1)に半径方向に最も近いワーキングプライ(31)の上に配置され、円周方向に対して45°より大きい角度に向けられた金属ケーブルから形成されたクラウンプライの存在が除外されているタイヤにおいて、保護プライ(34)の軸方向幅L34が、スチール製の金属要素の付加プライの軸方向幅L32よりも大きく、且つ、半径方向最も外側のワーキングクラウンプライの軸方向幅L33よりも小さく、Fをプライの単位幅あたりの力、相対伸びεを0.5%に等しいとしたとき、付加プライの伸び剛性R=dF/dεの、クラウン補強材のその他のプライの伸び剛性の合計に対する比が0.35乃至0.70の間であることを特徴とするタイヤ。
- 前記付加プライ(32)の前記補強要素がスチールで作られ、前記付加プライ(32)の前記補強要素の直径が前記2つのワーキングプライ(31、33)の前記スチールケーブルの直径よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のタイヤ。
- 前記付加プライ(32)がいわゆる半弾性連続スチールケーブルから形成され、前記スチールケーブルは2%乃至6%の間の破断時の相対伸びを有し、相対伸びの関数としての引っ張り応力の曲線が、前記ケーブルが、初期状態から1%の相対伸びで、最大で1000daN/mm2に等しい低い弾性係数を有し、2%以上の相対伸びに対しては8000daN/mm2以上の弾性係数を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤ。
- 前記付加プライ(32)がスチール製の金属ケーブルで形成され、該ケーブルは円周方向を向き、プライの円周長さより非常に小さい長さの部分を形成するように切断され、部分の間の切断部は夫々互いに軸方向にずれていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のタイヤ。
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