以下、本発明の洗濯機を図示の実施の形態により詳細に説明する。
図1に、本発明の一実施の形態の洗濯機のドラム式乾燥機を斜め上方から見た概略図を示す。
上記ドラム式洗濯乾燥機は、底台2の上に外箱1が配置され、外箱1の上面が天板32で覆われている。この天板32は樹脂成型品等から成り、外箱1にネジ止めされている。
外箱1は化粧鋼板を折曲して形成されている。そして、外箱1の前面上部には、使用者が操作する操作パネル11が取付けられている。また、外箱1の前面には洗濯物投入口1aが設けられており、その洗濯物投入口1aを開閉扉3で開閉する。この開閉扉3は、外箱1の前面に回動自在に取付けられている。なお、17は接続ケースである。
図2に、操作パネル11の概略正面図を示す。
操作パネル11は、表示部11a、電源キー111、スタートキー112、ドアロック解除キー113、コース切替キー114、乾燥キー115、洗濯キー116、洗いキー117、すすぎキー118および脱水キー119を有している。また、背面パネル11の背面には制御回路31(図3参照)が配置されている。表示部11aは液晶表示装置から成り、入力情報等を表示する。電源キー111、スタートキー112、ドアロック解除キー113、コース切替キー114、乾燥キー115、洗濯キー116、洗いキー117、すすぎキー118および脱水キー119を操作することによって、ドラム式洗濯乾燥機の運転条件を設定することができる。
使用者が電源キー111を押すと、ドラム式洗濯乾燥機の電源がON(オン)またはOFF(オフ)の状態になる。電源がONの状態になると、表示部11aには「標準コース」の洗濯乾燥条件が表示される。この「標準コース」は木綿や化繊等の洗濯物を扱う場合に、洗い工程および乾燥工程を最適に行う条件が予め設定されている。また、使用者はコース切替キー114を押すことにより、「ドライコース」「毛布コース」等の運転条件を選択することができる。
使用者は、洗濯キー116を押すことによって、洗い工程、すすぎ工程および脱水工程が順次行われて、乾燥工程が行われないように設定することができる。また、使用者は、乾燥キー115を押すことによって、乾燥工程のみが行われるように設定することもできる。また、洗いキー117が押されると洗い工程のみが行われ、すすぎキー118が押されるとすすぎ工程のみが行われ、脱水キー119が押されると脱水工程のみが行われる。
運転条件が設定された後、使用者がスタートキー112を押すと、ドラム式洗濯乾燥機の運転が開始する。この運転中にスタートキー112を押すと、運転が一時停止され、スタートキー112を再度押すと運転が再開する。運転の一時停止中にドアロック解除キー113を押すと、開閉扉3のロック状態が解除され、洗濯物の追加投入ができるようになっている。
図3に、ドラム式洗濯乾燥機を側方から見た概略断面図を示す。
制御回路31には、ドラム式洗濯乾燥機の運転を制御する制御プログラムが格納され、操作キーK(電源キー111〜脱水キー119)により運転条件が設定されると、その運手条件に基づいてドラム式洗濯乾燥機の運転が行われる。
外箱1の内部には、前面に向かって開口した開口部4aを有する水槽4が後方へ行くほど下がるように傾斜して配置されている。水槽4内には、開口部5aを有するドラム5が回転自在に配置されている。水槽4およびドラム5は共に、開口部4a,5aが斜め上方を向くように傾斜している。つまり、水槽4とドラム5は、前面部(開閉扉3側の部分)よりも後面部(駆動機構9側の部分)が下がるように配置されている。これにより、使用者は、ドラム式洗濯機の前面側に立って操作する際に、見下ろすようにして容易に回転ドラム5の奥まで見通すことができる。なお、水槽4の軸心とドラム5の回転軸心とは一致している。
水槽4の底部外面には駆動機構9が取付けられている。この駆動機構9、水槽4およびドラム5が洗濯手段の一例を構成している。駆動機構9のケース9a内には、ロータ9bとステータ9cとから成るモータが入っている。ステータ9cはケース9aに固定され、ロータ9bはドラム5の槽軸5dに固定されている。また、駆動機構9にはロータ9bの回転数を検知する回転検知手段53(図6参照)が設けられている。この回転検知手段53の検知結果に基いてロータ9bの回転数が制御される。つまり、駆動機構9はインバータ機能を有している。
槽軸5dは、一端がドラム5の本体に固定されていると共に、ケース9aに固定されたベアリング6によって支持されている。この槽軸5dを駆動機構9が回転させると、ドラム5も槽軸5dと一体に回転する。つまり、ドラム5は駆動機構9によって直接回転駆動される。また、ロータ9bの回転数を検知する回転検知手段53(図6参照)が駆動機構9に設けられており、回転検知手段53の検知結果に基づいてロータ9bの回転速度が制御される。
ドラム5の周壁には複数の小孔5cが設けられている。この小孔5aは、水槽4とドラム5との間の空間と、回転ドラム5内の空間との間で洗濯水や空気を流通させるためのものである。ドラム5の内壁面にはバッフル5bが突出して形成されている。このバッフル5bは回転ドラム5の回転に伴って、洗濯物の持上げと落下とを繰り返す働きをする。バッフル5bはドラム5の内壁に固定されるかあるいはドラム5と一体に形成される。
ドラム5の開口部5aを外側から取り囲む流体バランサ5dを設けて、ドラム5の回転時に、洗濯物および洗濯液の偏りにより生じようとするアンバランスを、流体バランサ5eの内部における封入流体の移動によって打消すようにしている。流体バランサ5d内に封入する封入流体としては、例えば、塩水等の比重の大きい液体を用いる。なお、流体バランサ5eは、ドラム5の開口部5aの内周面に取り付けてもよい。
外箱1の洗濯物投入口1aの内周面と水槽4の開口部4aの内周面とは、ゴムや軟質樹脂等の弾性体から成るパッキン10で接続されている。このパッキン10が、洗濯物を出し入れするためのアクセス路を形成する。このアクセス路は、開閉扉3を閉じると、開閉扉3の窓部3aがパッキン10の内周縁10aに密着することにより、閉じる。その結果、水槽4内の洗濯水が水槽4の外へ漏水しないようになっている。また、パッキン10には蛇腹等が設けられ、水槽4の揺動に応じてたわみが生じる。これにより、パッキン10は水槽4の揺動に対応して動くことができる。開閉扉3の前面の一部および窓部3aはドラム5内を視認できるようにガラス等に透明部材で形成されている。開閉扉3の前面の一部および窓部3aは半透明部材で形成してもよい。
外箱1内の上部には洗剤を収容する洗剤ケース15が配置されている。洗剤ケース15内には、洗剤の収納部を通る通路と、洗剤の収納部を通らない通路とが設けられていて、水道水が洗剤の収納部を通過したりしなかったりする。洗剤ケース15は、ドアパッキン10に支持される給水ノズル15aを有している。また、洗剤ケース15は、給水パイプ12を介して給水弁装置13に接続されている。
水槽4の底面には流出口4cが設けられていて、この流出口4cが排水ダクト16に接続されている。排水ダクト16は、流出口4cから接続ケース17まで延びる第1排水ダクト16aと、接続ケース17から排水ポンプ18まで延びる第2排水ダクト16bと、排水ポンプ18から外箱1外へ向って延びる第3排水ダクト16cとから成っている。排水ポンプ18を駆動させることによって、水槽4内の液体を外箱1外へ排水できるようになっている。
接続ケース17内には糸屑フィルタ17aが収容されている。この糸屑フィルタ17aは、例えば、格子状に形成された樹脂あるいは、袋状に形成された目の細かい繊維等から成る。水槽4内から流れてきた液体が糸屑フィルタ17aを通過することによって、液体中の糸屑等が糸屑フィルタ17aに集積するようになっている。また、糸屑フィルタ17aは接続ケース17内に着脱自在に装着され、外箱1の前面下部からキャップ17bと共に取り外して容易に清掃できるようになっている。
第1排水ダクト16aから分岐するエアートラップ21には、導圧パイプ22が接続されている。この導圧パイプ22およびエアートラップ21を介して水槽4内の水圧による圧力(水圧)が水位センサ23に伝わるようになっている。水位センサ23はコイルと磁性体とを内部に有している。この磁性体は水槽4内の水位による圧力変化に応じてコイル内を移動する。これにより、水位センサ23は、コイル内における磁性体の位置により生じるコイルのインダクタンスを発振周波数に基づいて、水槽4内の水位を検出することができる。水位センサ23は水槽4内の空間に直接または間接的に連なっていればどの位置に設けてもよい。
図4に、給水弁装置13の概略構成図を示す。
給水弁装置13は、流入口13cおよび吐出口13aに連通する洗濯用の給水弁と、流入口13cおよび吐出口13bに連通する乾燥用の給水弁とを有している。流入口13cと水道管とを接続することにより、水道水が流入口13cから外箱1内に入ることができるようになっている。
吐出口13aは給水パイプ12に接続されていて、洗濯用の給水弁の開放により、水道水が洗剤ケース15を通過して給水ノズル15aから水槽4内に流入する。このとき、水道水は、洗剤の収納部を通過していれば、洗剤を含んだ洗濯水となって水槽4内に流入する一方、洗剤の収納部を通過していなければ、そのままの状態で水槽4内に流入する。給水弁装置13の吐出口13bは乾燥用ダクト33(図5参照)の上部に接続されていて、乾燥用の給水弁の開放により、水道水が乾燥用ダクト33内に流入する。なお、洗剤ケース15内において、洗剤の収納部を通らない通路に柔軟剤の収納部を設けてもよい。
図5に、上記ドラム式洗濯乾燥機を側方から見た他の概略断面図を示す。
水槽4の上方には、乾燥手段の一例としての温風ユニット24が設けられている。この温風ユニット24は、送風ファン25およびヒータ28から構成されている。また、温風ユニット24の一方の端部は、水槽4の開口部4aに臨む吹出し口4aに連結されている。一方、温風ユニット24の他方の端部は、水槽4の後ろ側に配置された乾燥用ダクト33の上部に連結されている。この乾燥用ダクト33の下部は、水槽4の下部に設けられた循環口4dに連結されている。また、乾燥用ダクト33の上部には、吐出口13bが挿入される貫通穴を設けている。
送風ファン25の駆動によって、ヒータ28で加熱された空気が吹出し口4bを介してドラム4内に吹き込まれる。これにより、ドラム5内の洗濯物の水分が蒸発する。その水分を含んだ空気、つまり湿潤空気は、小孔5c、循環口4dを順次通って乾燥用ダクト33内に流入する。この乾燥用ダクト33では吐出口13bから水道水が給水されているため、その水道水と湿潤空気が接触する。これにより、上記湿潤空気は水道水で冷却されて、湿潤空気が含む水分が凝縮する。すなわち、上記湿潤空気が水道水により除湿されて乾燥空気となる。この乾燥空気は送風ファン25によってヒータ28に送られる。そして、ヒータによって加熱された空気が再び吹出し口4bから水槽4内に入る。このように、外箱1内で空気を循環させることによって、洗濯物を乾燥させることができる。
上記空気の循環経路には、空気センサ29A,29Bを設けている。この空気センサ29A,29Bは、それぞれ、温度検知手段の一例としての温度センサと、湿度検知手段の一例としての湿度センサとで構成されている。空気センサ29Aは吹出し口4b近傍に配置されていて、ドラム5内に送り込む空気の温度および湿度を検知する。一方、空気センサ29Bは循環口4d近傍に配置されていて、循環口4dから排出される空気の温度および湿度を検知する。これらの空気センサ29A,29Bによって検知された空気の温度,湿度の少なくとも一方に応じて、ヒータ28の出力が制御されるようになっている。よって、ヒータ28は、ドラム5内に吹き込む空気を所定の温度に加熱することができる。
図6に、上記ドラム式洗濯乾燥機の制御ブロック図を示す。
上記ドラム式洗濯乾燥機は、制御動作の中心となるマイクロコンピュータ50(以下、「マイコン」と略称する。)を備えている。このマイコン50は、量検知手段50a、布質検知手段50b、アンバランス検知手段50c、泡拘束検知手段50d、タイマー50e、脱水終了判定手段50fおよび記憶手段50gを含んでいる。
量検知手段50aは洗濯物の量(重さ)を検知し、布質検知手段50bは洗濯物の布質を検知する。そして、アンバランス検知手段50cは中間脱水および最終脱水時の負荷アンバランスを検知し、泡拘束検知手段57は中間脱水および最終脱水時の泡拘束を検知する。また、脱水終了判定手段50fは洗濯物の脱水が終了したか否かを判定する。また、タイマー58は運転条件に対応する工程時間をカウントする。また、記憶手段50gは、空気センサ29A,29B、量検知手段50a、布質検知手段50b、アンバランス検知手段50cおよび泡拘束検知手段50dによる検知結果を記憶する。また、記憶手段50gは、操作キーKで設定された運転条件も記憶する。
マイコン50は、操作キーK(電源キー111〜脱水キー119)、水位センサ23、電源回路51、リセット回路52、回転検出手段53および空気センサ29A,29Bから信号を受けて、この信号に基く制御信号を負荷駆動回路59、ブザー60および表示部11aに送る。これによって、負荷駆動回路59は、その制御信号に基いて、ヒータ28、送風ファン25、給水弁装置13、駆動機構9および排水ポンプ18の動作を制御して、運転条件に対応する工程(洗い工程、すすぎ工程、脱水工程および乾燥工程のうちの少なくとも1つ)を行う。このとき、表示部11aには運転条件の内容が表示される。そして、上記工程の終了または上記工程中のエラー等はブザー60によって使用者に報知される。
上記構成のドラム式洗濯乾燥機によれば、洗濯物投入口1aより洗濯物をドラム5内に投入して開閉扉3を閉じると、開閉扉3の窓部3aの周縁にパッキン10の内周縁10aが密着して水槽4が封止される。そして、使用者が、コース切替キー114、乾燥キー115、洗濯キー116、洗いキー117、すすぎキー118および脱水キー119の少なくとも1つを操作して運転条件を設定する。このように設定された運転条件は記憶手段50gに記憶される。
その後、使用者がスタートキー112を押すと、使用者が設定した運転条件に応じて洗濯物が処理される。つまり、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程および乾燥工程のいずれかが開始する。
以下、上記ドラム式洗濯乾燥機が洗い工程、すすぎ工程、脱水工程および乾燥工程を順次行う場合について説明する。
使用者がスタートキー112を押すと、まず、図7に示すように、ステップS1で量センシングが行われる。つまり、ドラム5内に収容されている洗濯物の量が検知される。そして、上記洗濯物の量に応じた運転時間が表示部11aに表示される。また、ステップS1で検知された洗濯物の量は記憶手段50gに記憶される。
本実施の形態では、洗濯物の量を検知する方法の一例として、洗濯物が入ったドラム5を回転させ、ドラム5が180°回転するまでの時間を回転検出手段53で検知し、その時間から洗濯物の量を検知している。また、洗濯物の量を検知する他の方法としては、駆動機構9のモータを回転させ、モータが所定の回転数に達した後、モータへの通電をやめてから、ドラム5が完全に停止するまでの時間によって、洗濯物の量を検知する方法がある。
次に、ステップS11〜S13から成る洗い工程が行われる。
上記洗い工程では、まず、ステップS11で洗い工程を開始し、駆動機構9を駆動させ、ドラム5を所定の洗いチャートにより回転制御する。
次に、ステップS12で、洗濯物の布質を検知する布質センシングが行われる。このステップ11で検知された洗濯物の布質は、記憶手段50gに記憶される。
本実施の形態では、洗濯物の布質を検知する方法の一例として、水槽4内に給水を始めてから所定の時間後の水槽4内の水位を水位センサ23で検知し、その水位に基いて洗濯物の布質を検知している。この方法は、洗濯物が吸収する水分量が洗濯物の布質によって異なることを利用している。
次に、ステップS13で、記憶手段50gに記憶された運転条件の洗い時間が経過したか否が判定される。このステップS13で、運転条件の洗い時間が経過したと判定されると、洗い工程が終了する。一方、ステップS13で運転条件の洗い時間が経過していないと判定されると、その洗い時間が経過したと判定されるまでステップS13を繰り返す。
上記洗い工程の次には、図8に示すステップS21,S22から成るすすぎ工程が行われる。
上記すすぎ工程では、まず、ステップS21で、洗濯物のすすぎを開始する。より詳しくは、排水ポンプ18を駆動させて、水槽4内の洗濯水を排水した後、再び給水弁装置13の洗濯用の給水弁を開いて、水道水を水槽4内に入れる。そして、駆動機構9を駆動させ、ドラム5を所定のすすぎチャートにより回転制御して、水槽4内の水道水で洗濯物をすすぐ。
次に、ステップS22で、記憶手段50gに記憶された運転条件のすすぎ時間が経過したか否が判定される。このステップS22で、運転条件に対応するすすぎ時間が経過したと判定されると、すすぎ工程が終了する。一方、ステップS22で、運転条件に対応するすすぎ時間が経過していないと判定されると、そのすすぎ時間が経過したと判定されるまでステップS22を繰り返す。
上記すすぎ工程の次には、脱水工程が行われる。この脱水工程は、図8に示すステップS31,S32の中間脱水工程と、図13に示すステップS33,S34の最終脱水工程とから成っている。
上記中間脱水工程では、まず、ステップS31で中間脱水を開始する。より詳しくは、排水ポンプ18を駆動させつつ、駆動機構9を駆動させ、ドラム5を所定のすすぎチャートにより回転制御する。
次に、ステップS32で、空気センサ29Bが、洗濯物を通過して循環口4dから排気された空気の温度および湿度を検知する。この空気センサ29Bで検知された温度および湿度は記憶手段50gに記憶される。
次に、ステップS33で、洗濯物の脱水が終了したか否かを判定する。このステップS33で、洗濯物の脱水が終了したと判定されると、中間脱水工程が終了する。一方、ステップS33で、洗濯物の脱水が終了していないと判定されると、ステップ32に戻り、洗濯物の脱水が終了したと判定されるまでステップS32,S33を繰り返す。
上記洗濯物の脱水が終了したか否かは、ドラム5内に収容された洗濯物の量(ステップS1参照)と、その洗濯物の布質(ステップS12参照)と、洗濯物を通過した空気の温度および湿度(ステップS32参照)とに基いて洗濯物の脱水率を求め、その脱水率が所定値に達しているか否かで判定する。つまり、上記洗濯物の脱水率が所定値以上であれば、洗濯物の脱水が終了したと判定される一方、洗濯物の脱水率が所定値未満であれば、洗濯物の脱水が終了していないと判定される。
上記中間脱水工程の次には、図13に示すステップS34〜S36からなる最終脱水工程が行われる。
上記最終脱水工程のステップS34では中間脱水工程のステップS31と同じ処理が行われ、また、最終脱水工程のステップS35では中間脱水工程のステップS32と同じ処理が行われ、また、最終脱水工程のステップS36では中間脱水工程のステップS33と同じ処理が行われる。
図9〜図12のグラフに、脱水率と脱水時間との関係を示す。
図9から判るように、同じ脱水時間であれば、循環口4dから排気された空気の温度が高い方が、脱水率も高くなっている。
図10から判るように、同じ脱水時間であれば、循環口4dから排気された空気の湿度が低い方が、脱水率は高くなっている。
図11から判るように、同じ脱水時間であれば、ドラム5内の洗濯物の量が多い方が、脱水率は高くなっている。つまり、同じ脱水時間であれば、ドラム5内の洗濯物が重い方が、脱水率は高くなっている。
図12から判るように、同じ脱水時間であれば、洗濯物の布質が綿100%よりも綿50%と化学繊維(以下、「化繊」と略称する。)50%との方が、脱水率は高くなっている。また、同じ脱水時間であれば、洗濯物の布質が綿50%と化繊50%とよりも化繊100%の方が、脱水率は高くなっている。
したがって、循環口4dから排気された空気の温度および湿度に加えて、洗濯物の量(重さ)および布質を検知することによって、ドラム5内の洗濯物の脱水率を高精度に得ることができる。
また、図9〜図12のグラフから図14のグラフが得られる。
図14において、脱水工程時の単位時間当たりの脱水量と、乾燥工程時の単位時間当たりの蒸発水量とを比較して、脱水工程時の単位時間当たりの脱水量よりも、乾燥工程時の単位時間当たりの蒸発水量が多くなったときに、最終脱水工程から乾燥工程に移行することによって、脱水工程および乾燥工程の効果が最大限になるから、脱水工程および乾燥工程に要する時間を短縮することができる。つまり、ステップS36で、脱水工程時の単位時間当たりの脱水量が0〜10g/分の範囲内であると判定されると、次のステップS41に進むようにすることにより、脱水工程および乾燥工程に要する時間を短縮することができる。このステップS36が切替手段の一例である。
脱水工程時の単位時間当たりの脱水量は、脱水工程時に循環口4dから排気された空気の温度および湿度と、洗濯物の量および布質とを用いて、単位時間当たり脱水率の増加分を求めることによって得られる。
乾燥工程時の単位時間当たりの蒸発水量は、脱水工程時に循環口4dから排気された空気の温度および湿度と、洗濯物の量および布質とを用いて、乾燥工程時の単位時間当たりの脱水率の増加分を求めることによって得られる。
上記最終脱水運転の次には、図15に示すステップS41〜S44から成る乾燥工程が行われる。このステップS41〜S43が、第1乾燥工程の一例と、第2乾燥工程の一例とを兼ねている。
上記乾燥工程では、まず、ステップS41で乾燥工程を開始し、温風ユニット24を所定の時間駆動させ、ヒータ28で加熱した空気を吹出し口4bを介してドラム4内に吹き込む。
次に、ステップS42で、空気センサ29Bが、洗濯物を通過して循環口4dから排気された空気の温度および湿度を検知する。この空気センサ29Bが検知した温度および湿度は記憶手段50gに記憶される。
次に、ステップS43で、空気センサ29Bが検知した温度および湿度を用いて乾燥効率を求め、この乾燥効率が所定値以上であれば、次のステップS44に進む一方、その乾燥効率が所定値未満であれば、ステップS51に進む。
ステップS51では、前工程で洗濯物が脱水されているか否かが判定される。このステップS51で、前工程で洗濯物が脱水されていると判定されると、ステップS52に進む。一方、ステップS51で、前工程で洗濯物が脱水されていないと判定されると、ステップS53に進む。
ステップ52では、前工程の脱水工程の脱水回転数に対して同等以上の脱水回転数で、洗濯物を脱水する。つまり、前工程の脱水工程で設定したドラム5の回転数と同じ回転数、または、前工程の脱水工程で設定したドラム5の回転数を超える回転数で、洗濯物を再度脱水する。
ステップS53では、通常の脱水回転数で、洗濯物を脱水する。つまり、ステップS53では、ステップS31〜S34と同じ処理を行う。
ステップS52,S53の次には、ステップS54で、脱水終了判定が行われる。このステップS54で、脱水が終了していると判定されると、ステップS41に戻り、ステップS43で乾燥効率が所定値以上であると判定されるまで、ステップS41,S42,S43,S51,S52,S54を繰り返す。一方、ステップS54で、脱水が終了していないと判定されると、ステップS52に戻り、脱水が終了していると判定されてされるまでステップS52,54を繰り返す。なお、ステップS54の処理はステップS33と同じ処理である。このステップS54が切替手段の一例である。
本実施形態では、ステップS51〜S54が、第1乾燥工程後の脱水工程の一例である。
最後に、ステップS44で、乾燥が終了しているか否かが判定される。このステップS51で、乾燥が終了していると判定されると、洗濯処理が終了する。一方、ステップS51で、乾燥が終了していないと判定されると、乾燥が終了していると判定されるまでステップS44を繰り返す。
本実施の形態では、乾燥終了判定の一例として、所定の時間が経過したか否かで、乾燥が終了したか否かを判定している。つまり、ステップS44で、所定の時間が経過していると判定されると、処理が終了する。一方、ステップS44で、所定の時間が経過していないと判定されると、所定の時間が経過するまでステップS44を繰り返す。
このように、ステップS41〜S43,S51〜S54が有るから、使用者が乾燥工程のみ行うように運転条件を設定したとしても、洗濯物の脱水率が低いために乾燥に多くの時間を費やしてしまうことが防止でき、時間・消費電力の削減ができる。
また、ステップS52において、前工程の脱水工程の脱水回転数に対して同等以上の脱水回転数で、洗濯物を脱水することによって、洗濯物の脱水率を高めることできるから、乾燥時間・消費電力を短縮できる。
上記実施の形態では、中間脱水工程と最終脱水工程とを続けて行ったが、つまり、中間脱水工程と最終脱水工程との間に他の工程を行わなかったが、中間脱水工程と最終脱水工程との間に2回目のすすぎ工程を行ってもよい。この場合、2回目のすすぎ工程を行った後、中間脱水工程と同じ工程を再度行って、最終脱水工程を行うのが好ましい。要するに、中間脱水工程は必要に応じて二回以上行ってもよい。
また、上記実施の形態では、洗濯物の量については洗濯物が入ったドラム5を回転させ、ドラム5が180°回転するまでの時間を回転検出手段53で検知し、その時間から洗濯物の量を検知し、洗濯物の布質については水槽4内に給水を始めてから所定の時間後の水槽4内の水位を水位センサ23で検知し、その水位に基いて洗濯物の布質を検知していたが、使用者がスタートキー112を押す前に洗濯物の量、または洗濯物の布質を入力するようにしてもよい。
また、上記実施の形態では、本発明をフロントローディングタイプのドラム式洗濯機に適用していたが、本発明をトップローディング型のドラム洗濯機に適用してもよい。また、本発明は、いわゆる縦型の全自動洗濯機や2槽式洗濯機等の様々な洗濯機に適用することができる。
また、上記実施の形態では、脱水終了判定手段50fは、洗濯物を通過した空気の温度および湿度と、洗濯物の量や布質とに基いて、洗濯物の脱水が終了したか否かを判定していたが、洗濯物を通過した空気の温度および湿度と、洗濯物の量、布質、布厚および形状等とに基いて、洗濯物の脱水が終了したか否かを判定してもよい。
上記実施の形態では、温度センサと湿度センサとは一体になっていたが、温度センサと湿度センサとは別々に単体としてあってもよい。つまり、温度センサと、この温度センサとは別体の湿度センサとを、吹出し口4b,循環口4dのそれぞれの近傍に配置してもよい。この場合、温度センサと湿度センサとはできるだけ近い位置にあることが望ましい。