JP4030664B2 - 熱可塑性エラストマー樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

熱可塑性エラストマー樹脂組成物およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超軟質熱可塑性エラストマー樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ゴム的な材料であって、加硫工程を必要とせず、熱可塑性樹脂と同様な成形加工性を有する熱可塑性エラストマー樹脂が、自動車部品、家電部品、電線被覆、履物、雑貨などの分野で注目されている。
【0003】
このような熱可塑性エラストマー樹脂として、例えばポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリスチレン系、ポリ塩化ビニル系などの種々の形式のポリマーが開発され、市販されている。
【0004】
なかでも、スチレン・ブタジエン−ブロックポリマー(SBS)やスチレン・イソプレンブロックポリマー(SIS)などのポリスチレン系熱可塑性エラストマー樹脂は、柔軟性に富み、常温で良好なゴム弾性を有し、かつ、これらより得られる熱可塑性エラストマー樹脂組成物は加工性に優れており、加硫ゴムの代替品として広く使用されている。
【0005】
しかしながら、これらのポリマーはその分子内に共役ジエンブロックとして二重結合を有しているため、耐熱老化性(熱安定性)および耐候性に問題がある。これを解決するために、スチレンと共役ジエンのブロック共重合体の分子内二重結合に水素添加し、それによって、熱安定性の向上したエラストマー樹脂組成物を得ることができる。
【0006】
これらの水素添加物を用いた熱可塑性エラストマー樹脂組成物についてはいくつか提案されており、例えば特開昭50−14742号公報、特開昭52−26551号公報などを挙げることができる。そして、それらの改良法として例えば、特開昭58−132032号公報、特開昭58−145751号公報、特開昭59−53548号公報、特開昭62−48757号公報などには、水素添加されたスチレン・共役ジエン‐ブロック共重合体に炭化水素およびα‐オレフィン重合体樹脂を配合した組成物或いはその製造方法が開示されている。
【0007】
しかしながら、これらの水素添加ブロック共重合体を用いた従来の熱可塑性エラストマー樹脂組成物はゴム的特性、例えば加熱加圧変形率(圧縮永久歪み)や高温時のゴム弾性に問題があった。
【0008】
そこで、この点を改良するものとして、上記ブロック共重合体の水素添加誘導体を含む組成物をシラン変性することによる架橋性組成物、または上記ブロック共重合体の水素添加誘導体を含む組成物を有機パーオキサイドの存在下に架橋させて得られる架橋体が提案されている(例えば特開昭59−6236号公報、特開昭62−57662号公報、特公平3−49927号公報、特公平3−1129号公報および特公平6−13628号公報)。
【0009】
しかしながら、上記公報に開示されている水添ブロック共重合体の架橋組成物は、高温時、特に100℃における圧縮永久歪みが未だに不十分である。そのため、従来加硫ゴム用途で要求されている性能レベルに到達していないのが現状である。例えば、良好な加工性が得られない、機械強度が低下するなどである。
【0010】
また、上記公報に開示された組成物はいずれも、ショアA硬さで10以上のものばかりである。そのため、軟化剤の添加量を増量することによって軟化させているが、かかる場合には、成形品表面がベタツキを生じたり、加熱応力下において軟化剤のブリードアウトを生じ、実用上好ましくないという問題点を含んでいるのが現状である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記欠点のない、柔軟性に富み、耐熱変形特性、機械的強度、耐油性および成形加工性に優れ、ベタツキのない超軟質熱可塑性エラストマー樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0012】
本発明において、超軟質とは、JIS K 6301 A硬度が10以下のものをいう。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(a)ビニル芳香族化合物から主として作られる2つの重合体ブロックAと、共役ジエン化合物から主として作られる1つの重合体ブロックBとからなるトリブロック共重合体、及び/又は、これを水素添加して得られるブロック共重合体100重量部、
(b)非芳香族系ゴム用軟化剤150〜400重量部、
(c)ビニル芳香族樹脂1〜20重量部、
(d)水添石油樹脂5〜20重量部、および
(e)ポリテトラフルオロエチレンとアクリル系共重合体との混合物である加工助剤0.5〜5.0重量部
を含む熱可塑性エラストマー樹脂組成物であって、
成分(a)、(b)、(c)、(d)および(e)を有機パーオキサイドの存在下に溶融混練して架橋させることによって得られる熱可塑性エラストマー樹脂組成物を提供する。
【0014】
好ましい態様を以下に記載する。
(イ)(f)パ−オキサイド分解型オレフィン系樹脂および/またはそれを含む共重合体ゴム15.0重量部以下を更に含む上記の樹脂組成物。
(ロ)(g)シリコーンオイル20重量部以下を更に含む上記いずれかの樹脂組成物。
(ハ)(h)無機充填剤100重量部以下を更に含む上記のいずれかの樹脂組成物。
【0015】
本発明はまた、熱可塑性エラストマー樹脂組成物の好ましい製造方法を提供する。すなわち、
(a)ビニル芳香族化合物から主として作られる2つの重合体ブロックAと、共役ジエン化合物から主として作られる1つの重合体ブロックBとからなるトリブロック共重合体、及び/又は、これを水素添加して得られる水添ブロック共重合体100重量部、
(b)非芳香族系ゴム用軟化剤150〜400重量部、
(c)ビニル芳香族樹脂1〜20重量部、
(d)水添石油樹脂5〜20重量部、および
(e)ポリテトラフルオロエチレンとアクリル系共重合体との混合物である加工助剤0.1〜5.0重量部
を含む熱可塑性エラストマー樹脂組成物の製造方法であって、上記成分(a)、(b)、(c)、(d)および(e)を溶融混練した後、得られた組成物を、有機パーオキサイド0.1〜5.0重量部および架橋助剤0.5〜10.0重量部の存在下に、さらに溶融混練して架橋させることを特徴とする熱可塑性エラストマー樹脂組成物の製造方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の樹脂組成物における各成分について説明する。
【0017】
成分(a):
ブロック共重合体は、ビニル芳香族化合物から主として作られる(以下では、ビニル芳香族化合物を主体とするということがある)2つの重合体ブロックAと、共役ジエン化合物から主として作られる(以下では、共役ジエン化合物を主体とするということがある)1つの重合体ブロックBとからなるトリブロック共重合体、またはこれを水素添加して得られるもの、あるいはこれらの混合物である。すなわち、A−B−Aの構造を有するビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体あるいは、これを水素添加して得られるものである。上記(水添)ブロック共重合体(以下、(水添)ブロック共重合体とは、ブロック共重合体及び/又は水添ブロック共重合体を意味する)は全体として、ビニル芳香族化合物を好ましくは5〜60重量%、より好ましくは20〜50重量%含む。
【0018】
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAは、好ましくはビニル芳香族化合物のみから成るホモ重合体ブロック、あるいは50重量%を超える、好ましくは70重量%以上のビニル芳香族化合物と任意的成分たとえば共役ジエン化合物とから作られた共重合体ブロックであり得る。
【0019】
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBは、好ましくは共役ジエン化合物のみから成るホモ重合体ブロック、あるいは50重量%を超える、好ましくは70重量%以上の共役ジエン化合物と任意的成分たとえばビニル芳香族化合物とから作られた共重合体ブロックであり得る。
【0020】
これらのビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAまたは、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBのそれぞれにおいて、分子鎖中の共役ジエン化合物またはビニル芳香族化合物由来の単位の分布がランダム、テーパード(分子鎖に沿ってモノマー成分が増加または減少するもの)、一部ブロック状またはこれらの任意の組合せでなっていてもよい。ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックA又は共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBが、2個以上ある場合には、各重合体ブロックはそれぞれが同一構造であっても異なる構造であってもよい。
【0021】
(水添)ブロック共重合体を構成するビニル芳香族化合物としては、例えばスチレン、α‐メチルスチレン、ビニルトルエン、p‐第3ブチルスチレンなどのうちから1種または2種以上を選択でき、中でもスチレンが好ましい。また共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどのうちから1種または2種以上が選ばれ、中でもブタジエン、イソプレンおよびこれらの組合せが好ましい。
【0022】
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBにおいて、そのミクロ構造を任意に選ぶことができる。例えばポリブタジエンブロックにおいては、1,2−ミクロ構造が好ましくは20〜50重量%、特に好ましくは25〜45重量%である。ポリイソプレンブロックにおいてはイソプレンの70〜100重量%が1,4‐ミクロ構造を有し、かつイソプレンに由来する脂肪族二重結合の少なくとも90重量%が水素添加されたものが好ましい。
【0023】
(水添)ブロック共重合体の数平均分子量は、好ましくは5,000〜1,500,000、より好ましくは、10,000〜550,000、特に好ましくは100,000〜400,000の範囲である。分子量分布(重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn))は好ましくは10以下、更に好ましくは5以下、特に好ましくは2以下である。
【0024】
(水添)ブロック共重合体の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状あるいはこれらの任意の組合せのいずれであってもよい。
【0025】
これらのブロック共重合体の製造方法としては数多くの方法が提案されているが、代表的な方法としては、例えば特公昭40−23798号公報に記載された方法により、リチウム触媒またはチーグラー型触媒を用い、不活性媒体中でブロック重合させて得ることができる。水素添加する方法も公知の方法がいずれも使用できる。例えば上記方法により得られたブロック共重合体に、不活性溶媒中で水素添加触媒の存在下にて水素添加することにより水添ブロック共重合体が得られる。
【0026】
上記(水添)ブロック共重合体の具体例としては、SBS(スチレン・ブタジエン−ブロックコポリマー)、SIS(スチレン・イソプレンブロックコポリマー)、SEBS(水素化SBS)、SEPS(水素化SIS)等を挙げることができる。本発明において、特に好ましい(水添)ブロック共重合体は、スチレンを主体とする重合体ブロックAと、イソプレンを主体としかつイソプレンの70〜100重量%が1,4−ミクロ構造を有し、かつ該イソプレンに基づく脂肪族二重結合の少なくとも90重量%が水素添加されたところの重合体ブロックBとからなる、重量平均分子量が50,000〜550,000の水添ブロック共重合体である。更に好ましくは、イソプレンの90〜100重量%が1,4−ミクロ構造を有する上記水添ブロック共重合体である。
【0027】
成分(b):
非芳香族系ゴム用軟化剤として、非芳香族系の鉱物油または液状もしくは低分子量の合成軟化剤を用いることができる。一般にゴム用として用いられる鉱物油軟化剤は、芳香族環、ナフテン環およびパラフィン鎖の三者の組み合わさった混合物であって、パラフィン鎖炭素数が全炭素数の50%以上を以上を占めるものをパラフィン系、ナフテン環炭素数が30〜40%のものはナフテン系、芳香族炭素数が30%以上のものは芳香族系と呼ばれて区別されている。
【0028】
本発明の成分(b)として用いられる鉱物油系ゴム用軟化剤は上記区分でパラフィン系およびナフテン系のものである。芳香族系の軟化剤は、その使用により成分(a)が可溶となり、架橋反応を阻害し、得られる組成物の物性の向上が図れないので好ましくない。本発明の成分(b)としては、パラフィン系のものが好ましく、更にパラフィン系の中でも芳香族環成分の少ないものが特に適している。
【0029】
これらの非芳香族系ゴム用軟化剤の性状は、37.8℃における動的粘度が20〜500cst、流動点が−10〜−15℃、引火点(COC)が170〜300℃を示すのが好ましい。
【0030】
非芳香族系ゴム用軟化剤は、重量平均分子量が100〜2,000のものが好ましい。
【0031】
また、液状の合成軟化剤として、液状ブテン系重合体を用いることができる。液状ブテン系重合体とは、イソブチレンを主成分とする重合体であり、例えばイソブチレンの単独重合体、あるいはイソブチレンを主成分とする共重合体が挙げられる。共重合される他の成分としては、例えばα‐オレフィン(1-ブテン、2-ブテン)、ジエン類(ブタジエン)等が挙げれられる。これらの共重合される他の成分は、液状ブテン系重合体中に1種単独でまたは2種以上組合せて含まれることができる。共重合される他の成分の含有量は、40モル%以下が好ましい。
【0032】
この液状ブテン系重合体は、100℃における動粘度が2〜5000cStのものが好ましく、より好ましくは5〜1000cStである。
【0033】
成分(b)の配合量は、成分(a)100重量部に対して、150重量部以上、好ましくは200重量部以上、より好ましくは250重量部以上、特に好ましくは300重量部以上で、かつ400重量部以下、好ましくは380重量部以下、より好ましくは370重量部以下、特に好ましくは360重量部以下である。400重量部を超える配合は、軟化剤のブリ−ドアウトを生じやすく、最終製品に粘着性を与えるおそれがあり、機械的性質も低下せしめる。また、150重量部未満の配合では、得られる組成物の柔軟性が失われることになる。
【0034】
成分(c):
本発明で使用するビニル芳香族樹脂は、ビニル芳香族化合物の単独重合体である
【0035】
ビニル芳香族化合物としては、例えばスチレン;アルキル置換スチレン例えばα−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン;ハロゲン化スチレン例えばo−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、ジクロロスチレン、ジブロモスチレン、トリクロロスチレン、トリブロモスチレン等が挙げられる。この中で、スチレンおよびα−メチルスチレンが好ましい。
【0037】
成分(c)は、成分(a)100重量部に対して1重量部以上、好ましくは5重量部以上、さらに好ましくは8 重量部以上、特に好ましくは10重量部以上で、かつ20重量部以下、好ましくは18重量部以下、さらに好ましくは16重量部以下、特に好ましくは14重量部以下の量で使用する。配合量が20重量部を超えると、得られるエラストマ−組成物の柔軟性が失われ、また配合量が1重量部未満では、成形性が悪い。
【0038】
成分(d):
本発明に用いる水添石油樹脂としては、水素化石油樹脂、例えば水素化脂肪族系石油樹脂、水素化芳香族系石油樹脂、水素化共重合系石油樹脂及び水素化脂環族系石油樹脂、及び水素化テルペン系樹脂が挙げられる。上記水素化石油樹脂は、慣用の方法で製造される石油樹脂を慣用の方法によって水素化することにより得られる。
【0039】
前記石油樹脂とは、石油精製工業、石油化学工業の各種工程で得られる樹脂状物、又は、それらの工程、特にはナフサの分解工程にて得られる不飽和炭化水素を原料として共重合して得られる樹脂のことを指し称する。例えば、C5留分を主原料とする脂肪族系石油樹脂、C9 留分を主原料とする芳香族系石油樹脂、それらの共重合系石油樹脂、及び脂環族系石油樹脂等を挙げることができる。好ましい水添石油樹脂は、水素化脂環族系石油樹脂であり、その中でも、シクロペンタジエン系化合物とビニル芳香族系化合物とを共重合して、水素添加したものが特に好ましい。
【0040】
本発明で使用する水添石油樹脂は、完全水素添加されたものが好ましい。部分的に水素添加されたものは、熱安定性と耐候性の点で劣る傾向にある。また、水素添加されていない石油樹脂を用いると、得られる組成物の熱安定性が悪く、本発明の目的を達成できない。
【0041】
成分(d)は、成分(a)100重量部に対して5重量部以上、好ましくは10重量部以上で、かつ20重量部以下、好ましくは15重量部以下の量で使用する。配合量が20重量部を超えると、得られる組成物のさらなる軟質化が認められにくくなるばかりでなく、石油樹脂の粘着性付与剤としての特徴が顕著になり、かつ組成物の機械的性質が低下する。また、5重量部未満では、得られる組成物の軟質化が認められない。
【0042】
成分(e):
本発明で使用する加工助剤としては、例えば(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物の重合体もしくは共重合体とフッ素化合物(共)重合体との混合物があげられる。
【0043】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えばメチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、トリデシルメタクリレート等が挙げられる。
【0049】
特に好ましくは、成分(e)は、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸アルキル共重合体とポリテトラフルオロエチレンとの混合物である。
【0050】
これらの製造方法は、特開平1−190746号公報および特開平1−279954号公報に記載されている。
【0051】
成分(e)の配合量は、成分(a)100重量部に対して、0.1重量部以上、好ましくは0.5重量部以上、より好ましくは0.8重量部以上、特に好ましくは1.0重量部以上で、かつ5.0重量部以下、好ましくは4.5重量部以下、より好ましくは3.5重量部以下、特に好ましくは2.5重量部以下である。5.0重量部を超える配合は、コストが高くなるという問題がある。また、配合量が0.1重量部未満では、溶融粘度が小さくなり、製品を得ることができない。
【0052】
(f)成分:任意成分
必要に応じて、パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂および/またはそれを含む共重合体ゴムを配合することができる。本発明で用いられるパーオキサイド分解型オレフィン系樹脂は、13C−核磁気共鳴吸収法によるペンタッド分率においてrrrr/l−mmmmが20%以上であり、かつ示差走査熱量測定法により求められる融解ピーク温度(Tm)が150℃以上及び融解エンタルピー(△Hm)100J/g以下のものである。Tmは、好ましくは150℃〜167℃であり、△Hmは、好ましくは25mJ/mg〜83mJ/mgである。結晶化度はTmおよび△Hmから推定することができる。Tm及び△Hmが上記範囲以外のものでは、得られるエラストマー組成物の、100℃以上におけるゴム弾性が改良されない。
【0053】
本発明の樹脂組成物にパーオキサイド分解型オレフィン系樹脂を配合する場合には、次の2種類を組み合わせて、後述する架橋反応の前後で分けて添加するのが好ましい。しかし、架橋反応前または後に、いずれかもしくは両方を添加することがまた可能である。
【0054】
架橋反応前に配合するのが好ましいパーオキサイド分解型オレフィン系樹脂は、高分子量のホモ型のポリプロピレン例えばアイソタクチックポリプロピレン;または、プロピレンと他の少量のα−オレフィン例えばエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等との共重合体が好ましい。このような樹脂のMFR(ASTM‐D‐1238、L条件、230℃)は、好ましくは0.1〜10g/10分、より好ましく0.1〜5g/10分、更に好ましくは0.1〜3g/10分である。架橋反応前に配合する場合、パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂のMFRが0.1g/10分未満では、得られるエラストマーの成形性が低下し、MFRが10g/10分を超えると、得られるエラストマー組成物のゴム弾性が悪化するので好ましくない。
【0055】
架橋反応後に配合するのが好ましいパーオキサイド分解型オレフィン系樹脂は、良流動性のブロック、ランダム、ホモタイプのポリプロピレン(PP)、例えばアイソタクチックポリプロピレン;又はプロピレンと他の少量のα−オレフィン例えばエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等との共重合体が好ましい。このような樹脂のMFRは、好ましくは5〜200g/10分、より好ましくは8〜150g/10分、更に好ましくは10〜100g/10分である。架橋反応後に配合する場合、パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂のMFRが5g/10分未満では、得られるエラストマーの成形性が低下し、MFRが200g/10分を超えると、得られるエラストマー組成物のゴム弾性が悪化するので好ましくない。
【0056】
成分(f)の配合量は、成分(a)100重量部に対して15重量部以下、好ましくは10重量部以下である。15重量部を超えると、得られるエラストマー組成物の硬度が高くなりすぎて柔軟性が低下し、成形加工性が悪化する。配合量の下限値は特に限定されないが、通常3重量部以上である。
【0057】
この他に、数平均分子量(Mn)が25,000以上で、かつ重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が7以下の沸騰ヘプタン可溶性ポリプロピレンとメルトインデックスが0.1〜4g/10分の沸騰ヘプタン不溶性ポリプロピレンとからなるパーオキサイド分解型オレフィン系樹脂、極限粘度[η]が1.2dl/g以上の沸騰ヘプタン可溶性ポリプロピレンと極限粘度[η]が0.5〜9.0dl/gの沸騰ヘプタン不溶性ポリプロピレンとからなるパーオキサイド分解型オレフィン系樹脂を用いることもできる。
【0058】
(g)成分:任意成分:
必要に応じてシリコーンオイルを配合することができる。使用されるシリコーンオイルの重量平均分子量は、好ましくは5,000〜50,000、より好ましくは10,000〜20,000である。分子量が5,000未満ではブリードアウトが顕著になる。粘度で言えば、100〜1,000cStのものが適切である。ストレートシリコーンオイルは、成形品の表面滑性を改善する。シリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、あるいは他の有機基を含む変性シリコーンオイルなどを用いることができる。
【0059】
上記シリコーンオイルは、成分(a)100重量部に対して20重量部以下、好ましくは10重量部以下で配合される。20重量部を超えて配合しても、特に更なる改善は少なく、ブリードアウトが顕著になる。配合量の下限値は特に限定されないが、通常3重量部以上である。
【0060】
(h)成分:任意成分
必要に応じて無機充填剤を配合することができる。無機充填剤は成形品の圧縮永久歪みなど一部の物性を改良する効果のほかに、増量による経済上の利点を有する。慣用の無機充填剤を満足に用いることができ、例えば、炭酸カルシウム、タルク、水酸化マグネシウム、マイカ、クレー、硫酸バリウム、天然けい酸、合成けい酸(ホワイトカーボン)、酸化チタン、カーボンブラックなどが挙げられる。これらのうち、炭酸カルシウムあるいはタルクが特に好ましい。
【0061】
成分(h)の配合量は、成分(a)100重量部に対して、100重量部以下、好ましくは60重量部以下である。100重量部を超えるものは得られるエラストマー組成物の機械的強度の低下が著しく、かつ、硬度が高くなって柔軟性が失われ、ゴム的な感触の製品が得られなくなるので好ましくない。配合量の下限値は特に限定されないが、通常20重量部以上である。
【0062】
本発明の樹脂組成物は、上記の成分のほかに用途に応じて、各種の添加剤、例えば抗酸化剤、光安定剤、熱安定剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤等を含有することができる。
【0063】
本発明の樹脂組成物は、各成分を有機パーオキサイドの存在下に溶融混練して架橋させることによって製造することができる。慣用の溶融混練の手法および装置(1軸または2軸押出機、ロール、バンバリーミキサー、各種ニーダー等)がいずれも使用できる。特に、L/Dが47以上の二軸押出機やバンバリ−ミキサ−を使用する場合、すべての工程を連続的に行なうことができる利点がある。
【0064】
溶融混練条件は、慣用の条件が使用でき、たとえば混練温度130〜210℃が好ましい。
【0065】
有機パ−オキサイドとしては、例えば、ジクミルパ−オキサイド、ジ−tert−ブチルパ−オキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパ−オキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルパ−オキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルパ−オキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパ−オキシ)バレレ−ト、ベンゾイルパ−オキサイド、p−クロロベンゾイルパ−オキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパ−オキサイド、tert−ブチルパ−オキシベンゾエ−ト、tert−ブチルパ−オキシイソプロピルカ−ボネ−ト、ジアセチルパ−オキサイド、ラウロイルパ−オキサイド、tert−ブチルクミルパ−オキサイドなどを挙げることができ、これらを単独で、または2種以上を組合せて使用する。
【0066】
これらのうち、臭気性、着色性、スコ−チ安定性の点で、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルパ−オキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3が最も好ましい。
【0067】
有機パーオキサイドの添加量は、パーオキサイドの添加時における成分(a)100重量部に対して好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.5重量部以上、特に好ましくは1.0重量部以上で、かつ好ましくは3.0重量部以下、より好ましくは2.5重量部以下である。0.1重量部未満では、必要とする架橋が得られない。3.0重量部を超えると架橋が進みすぎて、架橋物の分散が悪くなる。
【0068】
本発明で用らいれる有機パーオキサイドによる部分架橋処理に際し、架橋助剤を配合することができる。架橋助剤としては、例えばジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレートのような多官能性ビニルモノマー、又はエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレートのような多官能性メタクリレートモノマー等が挙げられる。このような化合物により、均一かつ効率的な架橋反応が期待できる。
【0069】
特に、本発明においては、トリエチレングリコールジメタクリレートが、取扱いやすく、任意成分であるパーオキサイド架橋型オレフィン系重合体ゴムを配合する場合には、これとの相溶性が良好であり、かつパーオキサイド可溶化作用を有し、パーオキサイドの分散助剤として働くため、熱処理による架橋効果が均一かつ効果的で、硬さとゴム弾性のバランスのとれた架橋熱可塑性エラストマーが得られるため、最も好ましい。
【0070】
本発明で用いられる架橋助剤の添加量は、添加時における成分(a)100重量部に対して、好ましくは0.5重量部以上、より好ましくは1.0重量部以上、特に好ましくは5.0重量部以上で、かつ好ましくは10.0重量部以下、より好ましくは8.0重量部以下である。架橋助剤の添加量はパーオキサイドの添加量の約2〜2.5倍の割合が好ましい。0.1重量部未満の配合では、必要とする架橋が得られない。10.0重量部を超えると架橋が進みすぎて、架橋物の分散が悪くなる。
【0071】
また、場合により用いられる抗酸化剤としては、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、4,4−ジヒドロキシジフェニル、トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタンなどのフェノール系抗酸化剤、ホスファイト系抗酸化剤及びチオエーテル系抗酸化剤などがある。中でも、フェノール系抗酸化剤とホスファイト系抗酸化剤が好ましい。
【0072】
抗酸化剤の添加量は、添加時における成分(a)100重量部に対して、3重量部以下の範囲が好ましく、さらに好ましくは1重量部以下である。また、抗酸化剤は、後述の2工程の製造方法の場合には、第一工程において添加するのが好ましい。
【0073】
本発明の樹脂組成物の製造方法の1 例として、2 工程の製造方法(架橋反応による方法)について以下に述べる。しかし、これに限定されることはなく、例えば各成分を一括して有機パーオキサイドおよび架橋助剤の存在下に溶融混練する1 工程の製造方法をまた用いることができる。
【0074】
第一工程において、まず成分(a)、成分(b)、成分(c)、成分(d)、成分(e)、場合により、更に抗酸化剤、光安定剤、着色剤、難燃剤等の各種添加剤及び、上記任意成分を配合する場合には、所望により成分(f)の一部、成分(g)および成分(h)の全部を予め溶融混練する。混練方法としては、ゴム、プラスチックなどで通常用いられる方法であれば満足に使用でき、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサーあるいは各種のニーダーなどが用いられる。この工程により、各成分が均一に分散された組成物を得ることができる。
【0075】
第二工程は、第一工程で得られた組成物に、有機パーオキサイド、架橋助剤および所望により成分(f)(第一工程で成分(f)を配合した場合はその残部)を加え、更に加熱下に混練して架橋を生じせしめる。
【0076】
このように成分(a)〜成分(e)を予め溶融混練してミクロな分散を生じせしめてから、有機パーオキサイドを加えて架橋を起こすことが、特に好ましい物性をもたらす。この工程は、一般に一軸押出機、二軸押出機、ロール、バンバリーミキサーあるいは各種のニーダーなどを用いて行うことができる。この工程で、各成分の分散がさらに進むと同時に、反応が完了する。
【0077】
混練方法として、L/Dが47以上の二軸押出機やバンバリーミキサーを使用するとすべての工程を連続的に行なうことができるので好ましい。また、例えば、二軸押出機にて混練する場合、スクリューの回転数は80〜350rpm、好ましくは100〜200rpmの条件で行うと各成分が分散が良好で、物性の良好なものを得ることができる。
【0078】
混練温度は、第一工程では、各成分が完全に溶融して混合しやすい状態になるように温度設定することが望ましい。第二工程では、有機パーオキサイド、各成分に剪断力がかかり、且つ、反応が均一に進みながら完了するように温度設定することが望ましい。溶融混練温度は、通常、第一工程では、130〜160℃、第2 工程では180〜210℃である。
【0079】
【実施例】
以下実施例および比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例および比較例において用いた評価方法は次の方法によった。
1)硬さ:JIS K 6301に準拠し、試験片は6.3mm厚プレスシートを用いた。15秒後の硬さを測定した。
2)引張強さ:JIS K 6301に準拠し、試験片は2mm厚の射出成形シートを、ダンベルで3号型に打抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
3)引張伸び:JIS K 6301に準拠し、試験片は2mm厚の射出成形シートを、ダンベルで3号型に打抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
4)100%モジュラス:JIS K 6301に準拠し、試験片は2mm厚の射出成形シートを、ダンベルで3号型に打抜いて使用した。引張速度は500mm/分とした。
5)圧縮永久歪み:JIS K 6262に準拠し、試験片は6.3mm厚さプレスシートを使用した。25%変形の条件にて、70℃×22時間および120℃×72時間で測定した。
6)耐油性:JIS K 6301 に準拠し、試験片は2mm厚の射出成形シートを、ダンベルで3号型に打抜いて使用した。ASTM2号油を用い、120℃×72時間の後に、溶解しないものは「不溶」、完全に溶解したものは「溶解」と評価した。
7)製造性:2軸混練機で製造した際、問題なく混練作業ができ、ペレットが得られた場合を「○」、製造が困難な場合を「×」とした。
8)ベタツキ性:下記(9)で成形した成形品について、低分子量物のブリードやブルームが見られず、手で触れてもベタツキがない場合を「○」、ベタツキがある場合を「×」とした。
9)成形性:120トンの射出成形機で130mm×130mm×2mm厚さシートを所定の条件で成形した。デラミネーションや変形がなく、著しく外観を悪化させるようなフローマークがない場合を「○」、デラミネーション変形があり、著しく外観を悪化させるようなフローマークがある場合を「×」とした。
【0080】
各成分としては、以下のものを用いた。
成分(a):水添ブロック共重合体
クラレ社製 、セプトン4077、スチレンの含有量:30重量%、イソプレンの含有量:70重量%、重量平均分子量:320,000、分子量分布:1.23、水素添加率:90%以上
成分(b):非芳香族系ゴム軟化剤
出光興産社製、ダイアナプロセスオイルPW‐90、種類:パラフィン系オイル、重量平均分子量:540、芳香族成分の含有量:0.1%以下
成分(c):ビニル芳香族樹
電気化学工業社製、GP−1、種類:スチレン樹脂、MFR:6.4g/10分(測定温度200℃、荷重5kg)
成分(d):水添石油樹脂 出光石油化学社製、アイマーブ P−140、種類:水添石油樹脂、C5 −芳香族系共重合水素添加樹脂
成分(e):加工助剤
三菱レイヨン社製、試作名:ZX21(製品名:A3000)、種類:メタクリル酸メチル/メタクリル酸ドデシル/メタクリル酸トリデシル共重合体とポリテトラフルオロエチレンとの混合物
成分(f):パーオキサイド分解型オレフィン系樹脂 三井化学社製、CJ700、種類:ポリプロピレン(PP)、MFR:7g/10分
成分(g):シリコーンオイル
東レ・ダウコーニング社製、SH200、種類:重量平均分子量17,000のジメチルポリシロキサン、粘度1,000cSt
成分(h):無機充填剤 三共精粉社製、RS400、種類:炭酸カルシウム有機パーオキサイド: 日本油脂社製、パーヘキサ25B、種類:2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−ヘキサン架橋助剤: 新中村化学社製 NKエステル、3G、種類:トリエチレングリコールジメタクリレート。
【0081】
(実施例1)
2工程の製造方法に従って、樹脂組成物を製造した。
【0082】
第一工程において、成分(a)としてセプトン4077を100重量部、成分(b)としてPW‐90を350重量部、成分(c)として、GP−1を12.5重量部、成分(d)として、P−140を12.5重量部、成分(e)としてZX21を2.0重量部、成分(g)としてSH200を6.5重量部、および成分(h)としてRS400を25重量部配合して、溶融混練した。
【0083】
第二工程において、第一工程で得られた組成物に、有機パーオキサイドとしてパーヘキサ25Bを3.5重量部、および架橋助剤としてNKエステル3Gを7.0重量部配合して、溶融混練した。
【0084】
各工程においては、2軸混練機を用いて、以下の温度条件にてスクリュー回転200rpmで溶融混練を行った。第一工程混練温度:130〜160℃および第二工程混練温度:180〜210℃。
【0085】
得られた樹脂について、上記評価方法に従って評価した。組成及び評価の結果を表1に示す。
【0086】
(実施例2)
第二工程で、さらに成分(f)として、CJ700を10重量部配合した以外は実施例1と同様に樹脂組成物を製造し、その評価を行った。
【0087】
(比較例1〜3)
実施例1と同様にして、2工程の製造方法に従って樹脂組成物を製造した。ただし、比較例1では成分(c)を、比較例2では成分(d)を、比較例3では成分(e)を配合しなかった。
【0088】
得られた樹脂について、上記評価方法に従って評価した。組成及び評価の結果を表1に示す。
【0089】
(比較例4)
2工程の製造方法に従って、樹脂組成物を製造した。
【0090】
第一工程において、成分(f)としてCJ700を10.0重量部配合し、第二工程で、成分(f)の残部を配合し、かつ有機パーオキサイドおよび架橋助剤を配合しなかった以外は比較例1と同様にして樹脂組成物を製造した。
【0091】
得られた樹脂について、上記評価方法に従って評価した。組成及び評価の結果を表1に示す。
【0092】
(比較例5)
実施例1の第一工程のみを行って樹脂組成物を製造した。すなわち、有機パーオキサイドによる架橋反応を行わなかった。
【0093】
得られた樹脂について、上記評価方法に従って評価した。組成及び評価の結果を表1に示す。
【0094】
(比較例6)
成分(a)としてセプトン4077を100重量部、成分(b)としてPW‐90を350重量部、成分(f)としてCJ700を10.0重量部、成分(g)としてSH200を6.5重量部および成分(h)としてRS400を25重量部配合して、一括溶融混練した。
【0095】
溶融混練は、2軸混練機を用いて、以下の温度条件にてスクリュー回転200rpmで行った。混練温度:130〜210℃。
【0096】
得られた樹脂について、上記評価方法に従って評価した。組成及び評価の結果を表2に示す。
【0097】
(比較例7)
2工程の製造方法に従って、樹脂組成物を製造した。
【0098】
第一工程において、成分(a)としてセプトン4077を100重量部、成分(b)としてPW‐90を350重量部、成分(f)としてCJ700を10.0重量部、成分(g)としてSH200を4.0重量部および成分(h)としてRS400を25重量部配合して、溶融混練した。
【0099】
第二工程において、第一工程で得られた組成物に、成分(f)としてCJ700を9.0重量部配合して、溶融混練した。
【0100】
各工程においては、2軸混練機を用いて、以下の温度条件にてスクリュー回転200rpmで溶融混練を行った。第一工程混練温度:130〜160℃および第二工程混練温度:180〜210℃。
【0101】
得られた樹脂について、上記評価方法に従って評価した。組成及び評価の結果を表2に示す。
【0102】
(比較例8)
2工程の製造方法に従って、樹脂組成物を製造した。
【0103】
第一工程において、成分(a)としてセプトン4077を100重量部、成分(b)としてPW‐90を350重量部、成分(f)としてCJ700を10.0重量部、成分(g)としてSH200を6.5重量部および成分(h)としてRS400を25重量部配合して、溶融混練した。
【0104】
第二工程において、第一工程で得られた組成物に、有機パーオキサイドとしてパーヘキサ25Bを3.5重量部、および架橋助剤としてNKエステル3Gを7.0重量部および成分(f)としてCJ700を22.0重量部配合して、溶融混練した。
【0105】
各工程においては、2軸混練機を用いて、以下の温度条件にてスクリュー回転200rpmで溶融混練を行った。第一工程混練温度:130〜160℃および第二工程混練温度:180〜210℃。
【0106】
得られた樹脂について、上記評価方法に従って評価した。組成及び評価の結果を表2に示す。
【0107】
(比較例9)
2工程の製造方法に従って、樹脂組成物を製造した。
【0108】
第一工程において、成分(a)としてセプトン4077を100重量部、成分(b)としてPW‐90を350重量部、成分(d)として、P−140を25重量部、成分(f)としてCJ700を10.0重量部、成分(g)としてSH200を12.5重量部、成分(h)としてRS400を25重量部配合して、溶融混練した。
【0109】
第二工程において、第一工程で得られた組成物に、有機パーオキサイドとしてパーヘキサ25Bを3.5重量部、架橋助剤としてNKエステル3Gを7.0重量部および成分(f)としてCJ700を22.0重量部配合して、溶融混練した。
【0110】
各工程においては、2軸混練機を用いて、以下の温度条件にてスクリュー回転200rpmで溶融混練を行った。第一工程混練温度:130〜160℃および第二工程混練温度:180〜210℃。
【0111】
得られた樹脂について、上記評価方法に従って評価した。組成及び評価の結果を表2に示す。
【0112】
(比較例10)
2工程の製造方法に従って、樹脂組成物を製造した。
【0113】
第一工程において、成分(a)としてセプトン4077を100重量部、成分(b)としてPW‐90を225重量部、成分(d)として、P−140を12.5重量部、成分(e)としてZX21を2.0重量部、成分(f)としてCJ700を10.0重量部、成分(g)としてSH200を6.5重量部、成分(h)としてRS400を25重量部配合して、溶融混練した。
【0114】
第二工程において、第一工程で得られた組成物に、成分(f)としてCJ700を2.5重量部配合して、溶融混練した。
【0115】
各工程においては、2軸混練機を用いて、以下の温度条件にてスクリュー回転200rpmで溶融混練を行った。第一工程混練温度:130〜160℃および第二工程混練温度:180〜210℃。
【0116】
得られた樹脂について、上記評価方法に従って評価した。組成及び評価の結果を表2に示す。
【0117】
(比較例11)
第二工程において、有機パーオキサイドとしてパーヘキサ25Bを3.5重量部および架橋助剤としてNKエステル3Gを7.0重量部を追加した以外は比較例10と同様に樹脂組成物を製造した。
【0118】
得られた樹脂について、上記評価方法に従って評価した。組成及び評価の結果を表2に示す。
【0119】
【表1】
Figure 0004030664
【0120】
【表2】
Figure 0004030664
【0121】
【発明の効果】
本発明の樹脂組成物は、超軟質であり、かつ圧縮永久歪み等のゴム的特性、機械強度及び成形加工性に優れ,ベタツキがないので、自動車部品、電気部品、電子部品等の種々の分野において有用である。本発明の樹脂組成物はさらに、成形品の概観が優れている。
【0122】
本発明の樹脂組成物はまた、熱可塑性エラストマー(ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル芳香族系樹脂等)の柔軟性付与剤としても有用である。

Claims (5)

  1. (a)ビニル芳香族化合物から主として作られる2つの重合体ブロックAと、共役ジエン化合物から主として作られる1つの重合体ブロックBとからなるトリブロック共重合体、及び/又は、これを水素添加して得られる水添ブロック共重合体100重量部、
    (b)非芳香族系ゴム用軟化剤150〜400重量部、
    (c)ビニル芳香族樹脂1〜20重量部、
    (d)水添石油樹脂5〜20重量部、および
    (e)ポリテトラフルオロエチレンとアクリル系共重合体との混合物である加工助剤0.1〜5.0重量部
    を含む熱可塑性エラストマー樹脂組成物であって、
    成分(a)、(b)、(c)、(d)および(e)を有機パーオキサイドの存在下に溶融混練して架橋させることによって得られる熱可塑性エラストマー樹脂組成物。
  2. (f)パ−オキサイド分解型オレフィン系樹脂および/またはそれを含む共重合体ゴム15.0重量部以下を更に含む請求項1記載の樹脂組成物。
  3. (g)シリコーンオイル20.0重量部以下を更に含む請求項1または2記載の樹脂組成物。
  4. (h)無機充填剤100重量部以下を更に含む請求項1〜3のいずれか1項記載の樹脂組成物。
  5. (a)ビニル芳香族化合物から主として作られる2つの重合体ブロックAと、共役ジエン化合物から主として作られる1つの重合体ブロックBとからなるトリブロック共重合体、及び/又は、これを水素添加して得られる水添ブロック共重合体100重量部、
    (b)非芳香族系ゴム用軟化剤150〜400重量部、
    (c)ビニル芳香族樹脂1〜20重量部、
    (d)水添石油樹脂5〜20重量部、および
    (e)ポリテトラフルオロエチレンとアクリル系共重合体との混合物である加工助剤0.1〜5.0重量部
    を含む熱可塑性エラストマー樹脂組成物の製造方法であって、上記成分(a)、(b)、(c)、(d)および(e)を溶融混練した後、得られた組成物を、有機パーオキサイド0.1〜5.0重量部および架橋助剤0.5〜10.0重量部の存在下に、さらに溶融混練して架橋させることを特徴とする熱可塑性エラストマー樹脂組成物の製造方法。
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